2018.1.19(金)
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マンション隣室住人の葬儀に帰った由美は、いっこうに東京に戻って来なかった。
夏休みの課題を仕上げた美弥子は、無聊を持て余していた。
『小人閑居して不善を為す』
美弥子には、この故事が身に染みて理解できた。
小人物が暇を持て余すと、とかく悪事に走りやすいということ。
先日の公園での一件もそうだ。
閑居の中から悪事の角が生まれ、ついには信じられない行動を自ら起こしてしまった。
幸い、あの公園のトイレでの一件が、事件になった気配はなかった。
しかし、ひとつ間違えば、取り返しの付かない事態となっていたかも知れないのだ。
思い返すことさえ恐ろしかった。
とうてい、自分が成したこととは思えない。
しかし……。
自分の仕業なのだ。
自分の身体の中には、恐ろしい血が流れている。
その血と、一人で対していてはいけない。
そう。
こうして一人でいると、悪血があぶくとなって、腐敗ガスのように水面に浮いてくる。
ボコッと泡が弾けるごとに、硫黄めいた臭気を噴き出すのだ。
立ちのぼる瘴気は、麻酔のように美弥子の正気を麻痺させる。
覚醒させてはいけないのだ。
悪血を。
しかし、今更ながらに、自らの無趣味を顧みざるを得なかった。
唯一の趣味と云っていいのは読書だったが……。
今、この部屋で読書を始めたら、いっそう悪血が煮詰まりそうだった。
何をしたらいいのだろう?
電車やバスに乗って、小旅行でもしてみようかとも思ったが……。
それも気が重い。
大柄で派手な顔立ちの美弥子は、どこにいても他人の視線を集めてしまうのだ。
黙ってベッドに腰掛けていると、また何かしでかすのではないかと不安になってくる。
少し、身体を動かした方がいいだろう。
だが、戸外に出るのはおっくうだった。
そんな折だった。
机の上のiPhoneが鳴動した。
由美かと思って拾いあげた液晶には……。
最も着信を望まない相手の名前が表示されていた。
万里亜だった。
美弥子の高校時代、学園に君臨していた生徒会長だ。
最も会いたくない人物だった。
しかし、忌まわしい過去の住人だったはずの彼女と、思いもしない再会をしてしまっていたのだ。
★作者注)万里亜との再会シーンは、1502回からになります。★
マンション隣室住人の葬儀に帰った由美は、いっこうに東京に戻って来なかった。
夏休みの課題を仕上げた美弥子は、無聊を持て余していた。
『小人閑居して不善を為す』
美弥子には、この故事が身に染みて理解できた。
小人物が暇を持て余すと、とかく悪事に走りやすいということ。
先日の公園での一件もそうだ。
閑居の中から悪事の角が生まれ、ついには信じられない行動を自ら起こしてしまった。
幸い、あの公園のトイレでの一件が、事件になった気配はなかった。
しかし、ひとつ間違えば、取り返しの付かない事態となっていたかも知れないのだ。
思い返すことさえ恐ろしかった。
とうてい、自分が成したこととは思えない。
しかし……。
自分の仕業なのだ。
自分の身体の中には、恐ろしい血が流れている。
その血と、一人で対していてはいけない。
そう。
こうして一人でいると、悪血があぶくとなって、腐敗ガスのように水面に浮いてくる。
ボコッと泡が弾けるごとに、硫黄めいた臭気を噴き出すのだ。
立ちのぼる瘴気は、麻酔のように美弥子の正気を麻痺させる。
覚醒させてはいけないのだ。
悪血を。
しかし、今更ながらに、自らの無趣味を顧みざるを得なかった。
唯一の趣味と云っていいのは読書だったが……。
今、この部屋で読書を始めたら、いっそう悪血が煮詰まりそうだった。
何をしたらいいのだろう?
電車やバスに乗って、小旅行でもしてみようかとも思ったが……。
それも気が重い。
大柄で派手な顔立ちの美弥子は、どこにいても他人の視線を集めてしまうのだ。
黙ってベッドに腰掛けていると、また何かしでかすのではないかと不安になってくる。
少し、身体を動かした方がいいだろう。
だが、戸外に出るのはおっくうだった。
そんな折だった。
机の上のiPhoneが鳴動した。
由美かと思って拾いあげた液晶には……。
最も着信を望まない相手の名前が表示されていた。
万里亜だった。
美弥子の高校時代、学園に君臨していた生徒会長だ。
最も会いたくない人物だった。
しかし、忌まわしい過去の住人だったはずの彼女と、思いもしない再会をしてしまっていたのだ。
★作者注)万里亜との再会シーンは、1502回からになります。★
コメント一覧
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1. Mikiko- 2018/01/19 07:56
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今日は何の日
もちろん、『119番の日』かと思ったら……。
違いました。
『119番の日』は、11月9日でした。
なぜ、1月19日でないのかは、わかりませんでした。
さて、気を取り直していきましょう。
『のど自慢の日』。
1946(昭和21)年1月19日。
NHKラジオで、『のど自慢素人音楽会』が開始されたそうです。
最初は、ラジオだったんですね。
下手な歌を、わざわざ人前で歌う人の気が知れません。
わたしが会社の飲み会が嫌いなのは……。
歌を歌わされる展開になることを恐れるからです。
幸い、今の会社では、1度もないですけど。
稀勢の里案件を書き込んでる記事が古くなりましたので……。
こちらに移しましょう。
今朝は、NHKのニュース速報のテロップが入ったので……。
何ごとかと見入ったら、稀勢の里休場のニュースでした。
速報するほどの案件ですかね?
今日は、久しぶりに電車が定時運行のようなので……。
ゆっくりとコメントが書けました。
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2. ハーレクイン- 2018/01/19 14:35
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おお、久方ぶりの……
万里亜生徒会長。
で、えーと「再会をしてしまっていた」。
そうだっけ?
いかんなあ、全く覚えていない。
ちょっとヒントをくれんかのう。
>歌を歌わされる展開……
で、飲み会がヤダ、ですか。
わたしは、他人のヘタな歌を聞かされるのがヤ、です。
速報
てっきり、稀勢ちゃん引退、だと思ったのですが、先場所に引き続き途中休場。
まだやる気力があるんですかね。
まあ、もっとぼろぼろの横綱もかつてはいましたが。
やるならやるで一場所と言わず、体(と心)が完治するまで何場所でも休むべきです。
どっちにしたって、次に出るときは進退を掛ける場所になるのはわかりきっているわけですから。
〔心配なのは白鵬も、だよHQ〕
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3. Mikiko- 2018/01/19 19:51
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再会場面は……
1503回(https://mikikosroom.com/archives/2673254.html)からになります。
覚えてないのも無理ないです。
この回の投稿は、2014年5月25日。
4年近く前でした。
夏休みのエピソードが、4年も続いてるんですね。
これにも驚きました。
稀勢の里。
次に出るときは、進退をかけることになります。
来場所は、出るべきではないです。
体調を整えるには、東京場所がいいでしょう。
5月ですね。
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4. ハーレクイン- 2018/01/19 21:56
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1503回
4年前。
よかったー。
これなら「読者の分際で忘れるとは何事」の謗りは免れられますな。
読み返してみたいんだけど『アイリス』次回分を書き上げてからだな。
〔この頃番宣が多いぞ、とHQ〕