Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
東北に行こう!(100)
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み「嫌なことばっかり言うな」
ド「心配してるんです」
み「それは、嘘だな」
ド「わかります?」
み「当たり前じゃ。
 目が喜んでる」
目が喜んでる

ド「そんなキャラじゃないんですけど。
 で、その症状は、その後も続いたんですか?」
み「2度めに起こったのは、自転車に乗ってるとき」
2度めに起こったのは、自転車に乗ってるとき

み「一生懸命漕いでるわけじゃないのに……。
 突然、心臓の鼓動が早くなった」
突然、心臓の鼓動が早くなった

み「と、同時に、冷や汗が噴き出したのよ」
ド「なるほど。
 今度こそ、医者に直行したんでしょ。
 自転車、乗ってるんだから」
み「日曜日だったのよ。
 医者は休み」
医者は休み

ド「でも、急患なんだから、ドア叩けば出てくれるんじゃないですか?」
急患なんだから、ドア叩けば出てくれるんじゃないですか?

み「急患の本人が、自転車で来るかい」
急患の本人が、自転車で来るかい

ド「じゃ、何もしなかったわけですか?」
み「乗ってるうちに治った」
ド「それ、治ったって言うのかな?
 危機意識、無さ過ぎじゃないですか?」
み「恐怖感は感じたけどね」
恐怖感は感じたけどね

ド「感じなきゃ、バカですよ」
み「もし、自分の心臓に何かが起こってるなら……」
もし、自分の心臓に何かが起こってるなら……

み「早いうちに、どうなってるか知っておくべきだと思った」
ド「いやに冷静ですね」
み「苦しいんなら、恥も外聞もなく訴えられるんだけどね……」
苦しいんなら、恥も外聞もなく訴えられるんだけどね
↑自画像ではありません。

み「痛くも痒くもないってのは、ほんとやっかいよ」
ド「で、どうしたんです?」
み「心電図なんかじゃなく、もっとしっかり診てもらおうと思ってね。
 心臓ドックを受けることにしたの」
ド「心臓だけのドックがあるんですか?
 人間ドックなら知ってますが」
み「人間ドックは、人間と犬の合いの子のことだろ」
人間ドックは、人間と犬の合いの子のことだろ

ド「違います」
み「人間ドックは、全身だから、値段が高いの。
 部分的なドックなら、比較的リーズナブルでしょ。
 脳ドックとかね。
 で、心臓ドックをやってる病院を、ネット検索したの。
 でも、わたしが住んでる新潟市の周りには、無かった。
 長岡には、あったけど。
 で、首都圏にも対象を広げて検索したら……。
 たくさんヒットした」
心臓ドックをやってる病院

ド「そうでしょうね」
み「しかも、長岡よりも安い!
 その中で、平日の午後限定で、さらにディスカウントしてる病院を見つけた」
ド「心臓ドックのディスカウントですか?」
み「安いに越したことないだろ」
ド「でも、首都圏じゃ、往復の旅費もかかるでしょ」
首都圏じゃ、往復の旅費もかかるでしょ

み「長岡の病院まで、新幹線で往復する場合と……。
 首都圏の病院との料金を比べてみたんだ。
 そしたら、東京への片道だけ高速バスを使えば、大して違いがないことがわかった」
東京への片道だけ高速バスを使えば、大して違いがないことがわかった
↑わたしが乗った西武バス。

ド「へー。
 でも、往復にかかる時間が、ぜんぜん違うでしょ」
み「そこで、考えを変えることにした」
ド「どう変えるんです?」
み「この健診を、レジャーと考える」
ド「健診はレジャーじゃないでしょ」
み「チミは、頭が硬い」
こんなのまで売ってるとは!
↑こんなのまで売ってるとは!

み「男は、別のところが硬くなくちゃいかん」
放送禁止面
↑放送禁止面。

ド「何を言ってるんです」
み「つまり、わたしは首都圏に遊びに行くの。
 そのついでに、健診も受ける。
 遊びに行くんだから、お金がその分かかってもかまわない。
 ということで、泊まりがけで出かけることにしたのじゃ」
泊まりがけで出かけることにしたのじゃ

ド「新潟と東京なら、十分、日帰り出来るでしょ」
新潟と東京なら、十分、日帰り出来るでしょ

み「それでは、せわしないではないか。
 平日の午後限定なんだから、いずれにしろ、1日休まにゃならん。
 それなら、金曜日に出かければ……。
 1泊しても、土曜日には帰ってこれる。
 新潟に帰ってから、もう1日休めるでしょ」
ド「行きは、バスだったんですか?」
み「左様じゃ」
ド「向こうに着いてから、健診までの間、半日遊べますね」
み「なんで?」
ド「なんでって、夜行バスでしょ。
 木曜の夜の」
新潟市の『万代シティバスセンター』。県外高速バスの乗り場です。<br>
↑新潟市の『万代シティバスセンター』。県外高速バスの乗り場です。

み「そういう、せわしない旅行は嫌いなの。
 バスは、金曜の朝9時発」
バスは、金曜の朝9時発

み「普段通りの時間に朝ごはんを食べて、出かけました」
ド「バスって、何時間かかるんですか?」
み「5時間ちょっとだね」
車窓から撮った1枚
↑車窓から撮った1枚。

ド「9時発じゃ、向こうに着くのは、14時過ぎじゃないですか。
 間に合うんですか?」
み「健診の予約は15時半だったかな?
 池袋に14時過ぎに着いて……」
池袋。東口に西武デパート、西口に東武デパートがあるディープな街。
↑池袋。東口に西武デパート、西口に東武デパートがあるディープな街。

み「そっから電車で病院のある埼玉まで戻ったわけです。
 ちょうど間に合った」
ド「でも、その時間から健診受けたら……。
 終わると、夕方になっちゃうでしょう」
み「当たり前じゃ。
 大宮に宿を取ってあったから、ちょうどいい塩梅の時間だった。
 宿についたら、18時くらいだったかな」
ド「何も出来ないじゃないですか」
み「心臓の健診を受けるという、大仕事をこなしたではないか」
ド「ボクなら、ぜったい夜行だな。
 バスじゃなくて、夜行列車もあるんじゃないですか?」
み「あるね。
 『ムーンライトえちご』」
ムーンライトえちご

 『ムーンライトえちご』は、新潟駅を23時36分に発車し……。
 新宿駅に、翌朝の5時10分に到着する快速列車です。
 でも残念ながら、2014年6月以降、運行されなくなったようです。

ド「朝、東京に付けば、半日遊べるのに」
み「心臓の検査前に、そんな無理してどうする。
 バチが当たって、心臓が止まるかも知れんではないか」
バチが当たって、心臓が止まるかも知れんではないか

ド「考えすぎでしょ」
み「ま、季節も良かったしね。
 5月の下旬だったな。
 歩いてると汗ばむくらいだった。
 もう、サツキツツジが満開」
もう、サツキツツジが満開

ド「ツツジなんて、ゴールデンウィーク前に満開になりますよ」
み「それは、普通のツツジでしょ」
これは、ヒラドツツジ。この季節まで、あと3ヶ月半。待ち遠しい!
↑これは、ヒラドツツジ。この季節まで、あと3ヶ月半。待ち遠しい!

み「わたしが言ってるのは、サツキツツジ」
ド「サツキに咲くツツジでしょ」
み「パカモン。
 風情のない男じゃ。
 サツキは、旧暦の皐月のこと。
 今で言えば、6月。
 梅雨のころ咲くツツジなの」
『由美美弥』のオープニングは、こんな景色でした
↑『由美美弥』のオープニングは、こんな景色でした。

み「それが、5月の下旬に満開だった。
 やっぱり、東京は暖かいんだなと思ったよ。
 でもね……」
ド「でも、何です?」
み「わたしはもう、東京には住めないと思ったな」
ド「何でです?」
み「人よ。
 人の多さ。
 平日に行ったのよ。
 昼間なのに、駅のホームなんて、人が零れそうなほど」
昼間なのに、駅のホームなんて、人が零れそうなほど

み「駅構内だって、人並みをかき分けて歩かにゃならん」
駅構内だって、人並みをかき分けて歩かにゃならん

み「すっごいストレスだった。
 あれが毎日じゃ、とってもじゃないけど無理だと思った。
 従兄弟の気持ちがよくわかった」
ド「従兄弟がどうしたんです?」
み「新潟の支店勤務だったのが、東京に異動になったの。
 連日、満員電車よ」
連日、満員電車よ

み「スーツのボタンが千切れるほど。
 とてもじゃないけど、こんなところで暮らせないって……。
 異動の希望を出してね。
 新潟には戻れなかったけど、富山の勤務になった」
新潟には戻れなかったけど、富山の勤務になった
↑待ち遠しいでしょうね。

み「でも、喜んでたよ」
ド「で、肝心の健診結果はどうだったんです?」
み「もちろん、詳しい結果は、その場では出ない。
 でも、もし重大な欠陥があれば、その場で告げられるはず」
ド「分かるんですか?」
み「実際、会社の健診であったんだよ。
 心電図を取ってるとき、心筋梗塞が見つかった人。
 定年間近の人だったけどね。
 波形を見てた健診係に……」
波形を見てた健診係に……

み「苦しくありませんかって聞かれたんだって。
 実際苦しかったので、そう言ったら……」
ド「どうなったんです」
み「その場から、救急車よ」
その場から、救急車よ
↑さすがにヘリは来なかったようです。

ド「ちょっと待ってください。
 だって、健診は病院でやったんでしょ?」
み「病院って云っても、リハビリ専門の病院。
 健診はひと通り受けられるけど、心臓の治療までは無理なわけ」
健診はひと通り受けられるけど、心臓の治療までは無理なわけ

ド「はぁ」
み「でも、考えて見れば、運のいい人だよ。
 病院で、心筋梗塞が起きたんだから」
ド「てことは、助かったんですね?」
み「駆けつけた奥さんには、枕元でお別れを言ったそうだけど……。
 見事、生還されました」
見事、生還されました
↑お懐かし、『ジャランポン祭り』。

ド「良かったですね」
み「定年を迎えた今も、嘱託社員として働いてる」
ド「そんなこともあるんですね」
み「だよね」
ド「で、あなたの結果はどうだったんです?」
み「後日、健診結果が送られて来たけど……。
 期待してた結果ではなかった」
俺って、やっぱり短小だった……
↑『俺って、やっぱり短小だった……』

ド「何を期待してたんです?」
み「あなたの心臓は、世界一丈夫な心臓です。
 だから、なーんも心配する必要はないよーん。
 あと200年は保ちます、みたいな結果」
あと200年は保ちます、みたいな結果

ド「そんな結果、出るわけないでしょ」
み「経過観察だって。
 心電図は異常なしだったんだけど……。
 心臓エコーでは、『三尖弁逆流』『左房拡大』」
心臓エコーでは、『三尖弁逆流』

み「MRIでは、『冠動脈硬化』って書いてあった」
MRIでは、『冠動脈硬化』って書いてあった

ド「ポンコツじゃないですか」
み「じゃかっし。
 でも、ちょっとショックだった。
 前に、『人体の不思議展』ってのが新潟に来たとき、見に行ったんだけど……」
『人体の不思議展』ってのが新潟に来たとき、見に行ったんだけど……
↑超グロい展示でした。

み「その会場に、ゲームマシンみたいなのがいっぱい並んでてね。
 それで、肌年齢や血管年齢が図れたんだよ」
それで、肌年齢や血管年齢が図れたんだよ

み「もちろん、タダじゃなくて、300円入れると動くんだけどね」
ド「スゴく、胡散臭くありません?」
み「見た目、そうだったけど。
 でも、いい結果だしてくれたから、超好印象が残ってる」
ド「どんな結果ですか?」
み「あなたの血管年齢は、実年齢より20年も若いって。
 ほとんど、キャピキャピギャルの年齢だよ」
ネタなのかホンモノなのか、よーわかりません
↑ネタなのかホンモノなのか、よーわかりません。

ド「完璧に胡散臭いと思います。
 みんなそういう結果が出るんじゃないですか。
 オミクジと一緒ですよ」
オミクジと一緒ですよ

み「ま、一人で行ったので、誰かと比べることも出来なかったけどね。
 でも、わたしにだけ出たと思いたい」
ド「違うと思います」
み「そのときの結果は、まだ大事に仕舞ってある」
ド「あわれな……」
み「うるさいっての。
 だから、動脈硬化って結果は、ショックだったわけよ」
だから、動脈硬化って結果は、ショックだったわけよ

ド「心臓ドックって、どういう検査をするんですか?」
み「いろいろやったよ。
 最初はまず、心電図でしょ」
カメの手術中。心拍は心電図でモニターするそうです。
↑カメの手術中。心拍は心電図でモニターするそうです。

み「その後、心臓エコーってやつ」
その後、心臓エコーってやつ

み「身体に、ヌルヌルしたジェルみないなのを塗って……。
 その上を、湾曲したソナーみたいなので、なぞっていくやつ。
 最後が、メインディッシュのMRIだよ」
ド「あの、ドーム状の棺桶みたいなのに入るやつですか?」
あの、ドーム状の棺桶みたいなのに入るやつですか?

み「例えが良くない!
 でも、そんな感じだったね。
 閉所恐怖症の人は、ちょっと堪えるかも。
 それと驚いたのが、音よ」
ド「機械の音ですか?」
み「大音響なのよ。
 だから、機械に入る前に、ヘッドホンをさせられるの」
機械に入る前に、ヘッドホンをさせられるの
↑この絵の作者は、耳がご不自由です。

ド「へー」
み「ヘッドホンからは、音楽が流れてるんだけど……。
 それがなぜか、とぼけたラテンミュージックでね」
なぜか、とぼけたラテンミュージックでね
↑この曲では無いでしょうが。

み「ヘンな感じだった。
 でも何で、あんな大きな音がするのかね?
 とても、文明の利器とは思えなかった。
 ヘッドホンしてても、ガンガン聴こえるし」
ヘッドホンしてても、ガンガン聴こえるし

ド「で、結局、その場では何ともなかったわけですね」
み「MRIは、すぐに結果が出ないんだろうけど……。
 心臓エコーは、お医者さんがモニターを見ながらやってたからさ」
心臓エコーは、お医者さんがモニターを見ながらやってたからさ
↑これ、ブラウン管のモニターですよね。まだこんなの使ってるんでしょうか? わたしが受けた病院では……。残念ながら、覚えてません。

み「心臓の動きがおかしかったら、何か言われると思う」
ド「無かったわけですね」
み「そう言えば、妙な動きがあった」
ド「自分でわかるんですか?」
み「わたしの心臓じゃないよ。
 妙な動きをしてたのは、医者の尻」
妙な動きをしてたのは、医者の尻

ド「は?」
み「わたしは、ベッドに横向きに寝てるわけ。
 で、医者はそのベッドに後ろ向きに腰掛けてる」
医者はそのベッドに後ろ向きに腰掛けてる
↑わたしの医者は、男でした。

ド「何で後ろ向きなんです?」
み「パカモン。
 ベッドに寝てる人に向いては、腰掛けられないだろ」
ド「何もベッドに腰掛ける必要は無いんじゃないですか?
 椅子に座れば、患者に正対できるじゃないですか?」
ベッドに座らない病院もあるようです
↑ベッドに座らない病院もあるようです。しかし……。ここのもブラウン管ですね。液晶が使えない理由があるんでしょうか?

み「よく覚えてないけど、モニターの位置関係で、そうなったんじゃないの?
 とにかく、狭いベッドなので、医者とわたしの身体は接してるわけ」
ド「ほー」
み「何が、ほーだ」
ド「いえ、別に」
み「で、その医者なんだけど……。
 後ろ向きでわたしの身体に凭れかかるようにして、ソナーを操作するわけよ。
 わたしは、背中を向けてるんだけどね。
 医者の尻が、背中に当たるわけ」
ド「何が言いたいんですか?」
み「別に、何か言おうとしてるわけではないがね。
 個室のベッドの上だから、ま、考えようによっては、微妙な体制なわけよ」
ド「考えたわけですね?」
こーゆー展開。AVにはありがちです。
↑こーゆー展開。AVにはありがちです。

み「別に、考えたわけではないが……。
 小説書きは、想像力が発達してるからね」
小説書きは、想像力が発達してるからね

ド「考えたんじゃないですか」
み「さまざまな場面で、さまざまな選択肢が思い浮かぶわけよ」
ド「襲われるとか?」
み「あほきゃ。
 AVじゃあるまいし。
 そんなことして、キャリアを棒に振るバカ医者が、現実にいるわけなかろ」
そんなことして、キャリアを棒に振るバカ医者が、現実にいるわけなかろ

み「それに、あの医者……。
 たぶん、ゲイだよ」
たぶん、ゲイだよ

ド「はぁ?
 何でわかるんです?」
み「何となく。
 物腰が怪しかった」
物腰が怪しかった

ド「そんなら、ゲイにお尻を擦り付けられたんですか?
 最悪じゃないですか」
最悪じゃないですか

み「じゃかっし」
ド「で、後日、結果が送られて来たんでしょ?」
み「簡単な紙の所見と……。
 あと、CD-ROM。
 MRIのデータが入ってた。
 3次元で、いろんな角度から見れるやつ」
3次元で、いろんな角度から見れるやつ
↑わたしのデータではありません。

ド「へー。
 スゴいですね。
 で、見てどうだったんですか?」
み「心臓の3Dなんか見ても、わかるわけないだろ。
 医者じゃないんだから」
ド「なんだ。
 宝の持ち腐れじゃないですか」
み「まぁな」
ド「紙の所見はどうだったんです?」
み「だから、冠動脈硬化で経過観察」
ド「うーん。
 どうなんでしょう。
 微妙ですね」
み「微妙なのよ」
“微妙”のポーズ。上野動物園のウララちゃんです(2009年)。
↑“微妙”のポーズ。上野動物園のウララちゃんです(2009年)。

み「無罪放免では無かったわけよ。
 有罪だけど、執行猶予が付いたって感じかな」
有罪だけど、執行猶予が付いたって感じかな

ド「イヤな感じですね。
 治療とか、してるんですか?」
治療とか、してるんですか?
↑映画です。
み「経過観察なんだから、治療なんかするわけなかろ」
ド「薬も無し?」
み「今のところはね。
 原因はなんだろうね?」
ド「食生活じゃないですか?」
み「脂っこいものが好きなわけじゃないしさ」
脂っこいものが好きなわけじゃないしさ

み「肉だって、あんまり食べない」
5,826キロカロリーのアメリカンドッグだとか
↑5,826キロカロリーのアメリカンドッグだとか。

み「食べる頻度は、日本人の平均値より、ずっと少ないと思う。
 何を気をつければいいのよ?」
ド「運動不足ですかね?」
運動不足ですかね?

み「あんた。
 松田直樹選手は、トレーニング中に倒れたのよ。
 運動してて心筋梗塞になったらどうすんの」
運動してて心筋梗塞になったらどうすんの

ド「じゃ、どうするんですか?」
み「やっぱり、血圧がマズいと思うんだよな」
ド「高いんですか?」
み「健診やクリニックで測ると、一層高いのよ」
ド「ビビりなんじゃないですか?」
ビビりなんじゃないですか?

み「それもあるだろうけどね。
 以前、大腸の内視鏡検査受けるときなんて……。
 検査前の血圧、200近かったからね」
検査前の血圧、200近かったからね

ド「血管、破裂しますよ」
血管、破裂しますよ

み「12月の健診でも、158の93だったかな」
ド「そりゃ高いですね」
み「特に、下が高くなってきた。
 でも、朝、自分で測ると、こんなんじゃないんだよ」
ド「どのくらいなんです?」
み「140の85くらいかな」
ド「それなら、ぎりぎりセーフじゃないですか?」
み「だよね。
 クリニックでは、こないだ『血圧手帳』を渡されてさ」
クリニックでは、こないだ『血圧手帳』を渡されてさ
↑これです。ジジくさ……。

み「毎日の血圧を記入して、次のときに持っていくことになってる」
ド「毎日って、いつごろ測るんです?」
み「朝、起きてすぐと、寝る前」
朝、起きてすぐと、寝る前
↑オムロンの血圧計で測ります。

ド「毎日、ちゃんと測ってますか?」
み「火曜から金曜の朝だけね」
ド「ぜんぜん手抜きじゃないですか」
み「夜は、酒飲んでるから、測るの面倒じゃない」
夜は、酒飲んでるから、測るの面倒じゃない

ド「土曜から月曜の朝は?」
み「二日酔いだから」
二日酔いだから

ド「生活習慣を、根本から見なおした方がいいんじゃないですか?」
生活習慣を、根本から見なおした方がいいんじゃないですか?

み「そうよのぅ。
 ま、暖かくなってからね。
 冬は、熱燗なしじゃ、やっていけんのよ」
冬は、熱燗なしじゃ、やっていけんのよ

ド「まだ冬じゃないでしょ。
 今日は確か、10月10日ですよ」
み「リアルの話をしてるの。
 これは、夢の中じゃない」

↑『みんな夢の中』高田恭子。画像入りの動画は、みんな埋め込み禁止になってました。どうしてこういう意地悪をするんでしょうね。

ド「夢の中だという自覚があるということは……。
 そろそろ覚めるころですね。
 それじゃ、ボクは失礼します」
夏の甲子園では、3試合連続ホームランも記録してます
↑ほんとうにサヨナラしてしまいました。夏の甲子園では、3試合連続ホームランも記録してます。

み「ところで、何しに出てきたわけ?」
ド「文句を言いに来たんですよ。
 何で愚痴を聞かされなきゃならないんだろ」
『愚痴聞き地蔵』。岡山県玉野市におわします。
↑『愚痴聞き地蔵』。岡山県玉野市におわします。

み「チミも気をつけなさい。
 その体型は、心筋梗塞になりやすい」
貧乏で傘が無かったそうです。トタンを傘代わり。あり得んだろ。
↑貧乏で傘が無かったそうです。トタンを傘代わり。あり得んだろ。

ド「体型で決まるわけじゃないでしょ」
み「その体じゃ、MRIに入らないから、検査も出来んぞ」
ド「入りますって。
 じゃ、そろそろ、ボクは行きます」
み「冥界へか?」
冥界へか?

ド「幽霊じゃありませんよ」
み「何か、土産を置いていけ」
ド「持ってませんって。
 そもそも、夢から持ち帰るわけにいかないでしょ」
み「物理的な物ならそうだけどね」
ド「物理的じゃない物って、何があるんです?
 愛とか?」
愛とか?

み「いらんわ」
ド「即答しないでください」
み「わたしが欲しいのは、寿命じゃ」
ド「何年くらい?」
み「300年で手を打たんか?」
ド「バケモノじゃないですか」
み「歴史上には、八百比丘尼というのもいるぞ」
歴史上には、八百比丘尼というのもいるぞ

ド「250年間、寝たきりでもいいですか?」
み「良くないわい!
 元気でピンピン、300年」
元気でピンピン、300年

ド「欲張りすぎですって。
 そもそも、戸籍はどうするんです?」
そもそも、戸籍はどうするんです?

ド「200歳ですなんて、通用しないでしょ」
み「戸籍くらい、買うわい」
ド「どこで売ってるんですか?」
み「コンビニとか?」
コンビニとか?

ド「売ってません」
み「釜ヶ崎の浮浪者から買う」
ド「女性の浮浪者なんて、いますか?」
み「いるよ。
 たぶんだけど」
女性の浮浪者なんて、いますか?
↑これだけ美人なら、稼げる方法はありますけどね。

ド「それじゃ、行きますよ」
み「寿命を置いていけ。
 ついでに戸籍も」
戸籍の相場は、100万~150万だそうです
↑戸籍の相場は、100万~150万だそうです。

ド「持ってませんって。
 そもそも、この夢の中の話って、ものすごい手抜きじゃないですか?」
み「ドキ」
ド「何の下調べも無しに書けるからでしょ」
み「ギク」
ギク

み「今、図書館、休みなのよ。
 蔵書整理だって。
 でもこれが、インチキ臭いんだ。
 蔵書整理って言ってるくせに、真っ暗なんだよ」
こちらは、新潟県小千谷市で開催された『図書館夜のおはなし会』の模様
↑こちらは、新潟県小千谷市で開催された『図書館夜のおはなし会』の模様。

み「何にもしてない」
ド「図書館のせいにしてませんか。
 事前に借りてればいいでしょ」
図書館司書は、なりたかった職業のひとつでした
↑図書館司書は、なりたかった職業のひとつでした。

み「読む時間が無いのよ」
ド「行き帰りの電車があるでしょ」
読む時間が無いのよ

み「なぜ、そこまで知ってる?」
ド「夢の中の登場人物は……。
 夢を見ている人の分身でもあるからです」
み「ウソじゃ!
 分身のほうがデカいではないか」
ド「肉体的な分身じゃありませんよ」
み「幽体離脱か」
幽体離脱
↑『ザ・たっち』(双子)の持ち芸。

ド「それも違います。
 あなたの内面が投影してるんです」
あなたの内面が投影してるんです

み「何で、わたしの内面がドカベンなのじゃ?」
何で、わたしの内面がドカベンなのじゃ?

ド「知りませんって。
 だから、どうして電車の中で資料を読まないんです?」
み「分身なら、知っておるはずでは?」
ド「いらんとこ、突っこまないでください」
み「電車の中では、今、試験勉強をしてるの。
 経理関係の検定試験を受けるんだよ」
経理関係の検定試験を受けるんだよ
↑法人税の試験です。

ド「社命ですか?」
み「うんにゃ。
 自主的に受けておる。
 去年も、2回受けた」
ド「受けるのは誰でもできます。
 結果はどうだったんです?」
み「聞くも野暮よ。
 むろん、2回とも合格じゃ」
むろん、2回とも合格じゃ

ド「スゴいじゃないですか」
み「であろ?
 そして、この2月に、3回めの試験があるの。
 しかし!
 今回は、勉強が進んでないのよ」
今回は、勉強が進んでないのよ

ド「ダメじゃないですか。
 電車の中だけじゃなく、ほかの時間でもやらなくちゃ」
み「ほかの時間は、忙しいの。
 朝は、執筆」
朝は、執筆

み「昼休みは、このコメント書き。
 夜は、晩酌じゃ」
夜は、晩酌じゃ

ド「晩酌をやめて、勉強すべきでしょ」
み「それが分身の言うことか!
 晩酌の楽しみが無かったら、生きていけんわい」
ド「そんな大層なことですか。
 アル中になりますよ」
机の上に、大名行列が見えるそうです
↑机の上に、大名行列が見えるそうです。

み「誰かみたいにか?」
ド「誰かって、誰です?」
み「アル中の届けって、予備校に出さなきゃならんのかね?」
アル中の届けって、予備校に出さなきゃならんのかね?

ド「予備校生なんですか?」
み「アル中の予備校生がいるか!
 そんなの、廃人ではないか。
 予備校の講師じゃ」
予備校の講師じゃ

ド「もっとタチ悪い気がしますが」
み「学校に、『アル中届け』を出さなきゃならんと思う」
学校に、『アル中届け』を出さなきゃならんと思う

ド「そんな届けがあるんですか?」
み「書式は、インターネットからダウンロード出来る。
 学校の教員室には、備え付けの用紙もあるはずじゃ」
学校の教員室には、備え付けの用紙もあるはずじゃ

ド「そんなの出したら、クビでしょ」
み「クビまでは、ならんだろ。
 ただし、額に『酒』と彫られる」
ただし、額に『酒』と彫られる

ド「クビより非道いじゃないですか。
 江戸時代の罪人ですよ」
江戸時代の罪人ですよ

み「似たようなものじゃ」
ド「それじゃ、ボクはそろそろ失礼します」
み「ところで、何しに出てきたのじゃ?」
ド「作者に聞いてください。
 きっと、何の目算もなく出したんです」
み「作者とは、わたしでは無いのか?」
ド「あなたも、登場人物の一人ですよ」
あなたも、登場人物の一人ですよ

み「そうなのか?」
ド「それでは……。
 失礼します」
み「成仏しろよ」
成仏しろよ

ド「死んでませんって。
 それじゃ、お元気で~」
み「おぉ。
 ドカベンが遠ざかっていく。
 頑張れ頑張れドカベン!」
ドカベンが遠ざかっていく

律「ちょっと、いい加減起きなさいよ。
 寝言ばっかり言って」
寝言ばっかり言って

律「何が頑張れなの?」
み「うーん」
律「やっと、目が覚めた?」
み「うわっ」
うわっ

律「何よ?」
み「ドカベンが痩せている!
 癌か?」
東北に行こう!(99)目次【Mikipedia】フェムリバ!




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      1. ハーレクイン
    • 2015/02/07 17:57
    •  連載100回達成、誠におめでとうございます。
       100回といっても総集編で100回だからね。
       通常の連載回数は1063回。
       とんでもない数字です。
       始めてこの企画が始まった『北海道』なんてわずか1回だもんね。総集編もへったくれも無かったわけです。それがなあ、ここまで来るとは。
       ま、確かにすごい記録ですが、他にこんなのやる人もおらんでしょう。そういう意味では「アホ」な記録とも……。
       しかしアホ結構。なまじの「かしこ」よりずっと素晴らしい。いつまでもこの旅が続きますように。青森市から次はどこへ行くのかなあ。
       『東北』の次はどこかなあ。

    • ––––––
      2. Mikiko
    • 2015/02/07 18:56
    •  約750行で、1回分としています。
       100回と云うと、75,000行ということになります。
       原稿用紙にして、3,750枚です。
       無駄な労力という気もしますが……。
       書き苦しんだ覚えは無いので、気分転換の副産物だったと思ってます。
    コメントする   【東北に行こう!(100)】
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