2014.6.28(土)
律「ちょっと、フライング!」
み「ガブ。
ガブガブガブ」

律「ちょっと、かぶりついたまま首振って、何してるの」
み「くそ。
まったく噛み切れん。
なんじゃ、この昆布。
ほら、歯型が付いただけ」
律「汚いんだから」
ウ「あ、お客さ~ん。
そのおにぎりは、横からかじったら、ダメです。
千切れませんから。
縦にしてかじってください。
ほら、あのお客さんみたいに」

み「にゃんと。
そんな極意があったのきゃ。
こうやって、縦にね。
しかし……。
微妙にヤラシイ感じが……」

↑女の虚無僧です。
律「ヘンな連想しないの。
早くかじりなさいよ」
み「それじゃ……。
ガブ」

律「目まで剥くことないでしょ。
普通に食べなさいって」
み「となりの客のマネをしたまでじゃ」
律「失礼よ」
み「おー、ちぎれた。
磯の香りが、口いっぱいに広がる」

み「こりゃ、ウマいわ」
律「わたしにも、かじらせてよ」
み「あんたは、麺を独占してるでしょ」
律「じゃ、いいわ。
ちょっとだけ交換よ」
み「待ってました。
しじみラーメン、平らげてくれるわ。
あ、アチチアチ」
↑懐かしの『GOLDFINGER '99』。
律「バーカ。
あんたの舌じゃ、まだ無理よ」

み「くそ。
それを知っての所業か!」
律「じゃ、おにぎり、いただきまーす。
ガブ」
み「ちょっと、何で反対側からかじるのよ」
律「あんたの歯型の付いたとこなんか、かじれますか。
ケチ病菌が伝染るわ」
み「先生の菌の方が強烈だろ!」

律「美味しい。
病院の売店に売ってたら、毎日これでもいいわ。
書きものしながらでも、食べれるし」
↑黙々とおにぎりを食べるリス。しかし……。あまり好物では無かったようです。驚きの結末。
み「ぜんぶ食べないでよ。
半分までだからね」
律「どこが半分だったか、わからないじゃない」
み「あと1センチです」
律「うそ言いなさい。
あと3センチはあるはず」
み「無くなってしまうではないか!」
律「しじみラーメン、食べなさいって」
み「熱くて食えんだろうが。
よし、それなら、しじみごはんを食ってやる」

律「しじみの数を数えてないでしょ。
それ食べたら、あなたの負けだからね」
み「くっそー。
八方ふさがりではないか。
こうなったら、しじみラーメンにお冷を入れてやる」
律「止めなさいって。
その殻入れに少しずつ移せば、食べられるでしょ」
み「くそ。
結局、殻入れで食うのか。
でも、美味しい」
律「こら。
なにげにナルトを取ったじゃないの」

↑なんと! ナルトは、このような形状をしてたのです(知らなんだ)。でもなぜか、ラーメンに載せるナルトは、薄く切った方が美味しいそうです。
ちなみに、渦巻き模様が鳴門の渦潮に見立てられ、“ナルト”と呼ばれることになったとか。

静岡県焼津市で、全消費量の9割が生産されてるそうです。

み「いいでしょ。
1枚くらい」
律「1枚しか無いじゃない」
み「そんなに、ナルトが好きだった?」

↑そういえば、ナルトだけを単独で食べることって、無いですよね。食べるとしたら、わさび醤油か?
律「別に好きじゃないけど、1枚だと話が別よ」
み「いやしい女」
律「うるさい。
わたしは、負けるのが嫌いなの」
み「友だち、出来んぞ」
律「大きなお世話。
ナルトは、勝った人が食べるのよ。
勝利の証に!」

み「虚しくありませんか?」
律「ぜんぜん。
メンマ、何本入ってる?」
み「4本かな」
律「じゃ、それは2本ずつ。
でも、長さが違うかも。
定規持ってる?」
み「常軌を逸して来ましたな」
律「ノギスでもいいんだけど」

み「持っとらんわい!」
律「何事にも徹底するってのが、わたしのモットー」
み「そんなら、おにぎり食べる前に、真ん中にラインを引いておけば良かったのに」

律「あんたが、先にかじっちゃったんじゃないの」
み「もう、半分いったでしょ」
律「はい。
じゃ、交換ね」
み「まだ、麺を食べとらん!」
律「のろのろしてるからよ。
はい、あなたは、このおにぎり」
み「1センチしか残っとらん!」
律「それじゃ、麺をいただきます。
チュルチュルチュル、チュルー」

み「音を出さずに食べるんじゃなかったの!」
律「1度、こうやって食べてみたかったのよ」
み「好き勝手、やってますな。
でも、音立てた方が、ずっと美味しいでしょ」
律「それは、言えてるかもね」
み「昔、江戸っ子が、臨終の間際に言った言葉。
『一度でいいから、汁にどっぷり漬けて蕎麦を食いたかった』」

律「何、それ?」
み「江戸っ子ってのは、汁にほんのちょっとしか、お蕎麦を漬けないのよ。
下の方をちょびっと、1センチくらい漬けて……。
そのまま手繰りこむ」

↑この方は、江戸っ子以上ですね。汁を着けずに直接食ってます。
律「そんなの、美味しくないでしょ」
み「それが粋だったわけよ。
しかも、噛まない」

↑川越素麺は、一本のひも状に長く伸ばして作られてました。もちろん、茹でる前に切り分けるのです。この絵は、それを知らない江戸っ子が、そのまま茹でて食べてる様子。
律「なんで?」
み「知りまへんがな。
ひょっとしたら、“粋”の規範は、歯抜けジジイが作ったのかもね」
律「噛まなきゃ、味わえないでしょうに」
み「喉で味わうのが粋だったんじゃないの。
くちゃくちゃ噛まない。
なにしろ、粋な食べ方の局地ってのが……。
蒸籠に盛った蕎麦が、そのままの形で、胃の中にとぐろを巻くってことだったの」

↑落語『そば清』。落ちは、一種のSFです。
律「消化に悪いわ」
み「消化は関係ないでしょ。
蕎麦なんて練ってあるんだから、それが自然にバラけるじゃないの」

↑蕎麦打ち名人!
律「だから、噛まない?」
み「でんな」
律「そんなのが粋なら、わたしは野暮でけっこう。
チュルチュル~」
み「食べ過ぎでしょ。
残りはわたしの分」
律「まだ熱いわよ」
み「冷めるの待ってたら、食いっぱぐれちまう。
こうなったら、ヤケド覚悟で食う」
律「妙な覚悟しなくても、あげるわよ。
はい、どうぞ」
み「おー、やっと丼から食べられる。
ずいぶん、減ってるけど。
まずは、アサリから」
律「しじみでしょ」
み「あ、そうどした。
やっぱり、身が大きいよな。
新潟のスーパーだと、小指の爪くらいのしかないから」

↑これなら大きい方です。
み「どれどれ。
うむ、滋味じゃ。
あ、ウェイトレスさん。
このしじみって、今日捕れたんですか?」
ウ「違うと思いますよ。
冷凍ものですから」

↑冷凍庫で6ヶ月保存できるそうです。
み「ありゃりゃ。
この細麺は、手打ち?」
ウ「業務用の麺です」

み「なるほど!
やっぱり麺は、手打ちより業務用だよな。
なんか……。
『時そば』みたいになってきましたな」

律「いいじゃないの。
美味しいんだから」
み「だよね。
縮れた細麺に塩味なら、まず外れがないよ。
よし、麺は片付けたから……。
そろそろ、“しじみごはん”対決といく?」

律「これを数えるわけ?」
み「ラーメンのしじみと比べて、ずいぶん小さいよな。
鼻くそくらいのもあるぞ」
律「そういうこと言わないの」
み「ぜんぶ数えると、30分くらいかかるかも」
律「そんな馬鹿なことしてられますか。
何も、ぜんぶ数えることないって。
ある程度のカタマリを、そのおにぎりのお皿に取って……。
その中で勝負すればいいのよ」
み「ほー、さすが博打慣れしてますな。
それじゃ、わたしの箸でいい?
わたしが丁だったよね」
律「偶数なら、Mikiちゃんの勝ち。
奇数なら、わたしね」
み「それなら、こうやって……。
2個入ったカタマリを取ればいいわけだ」
律「いいわけないでしょ、イカサマ女」

↑『いかさま師』/画:ジョルジュ・ド・ラ・トゥール
律「もっと、ごそっと取りなさいよ」
み「このくらいか?」
律「いいわよ」
み「その前に、ちょっと味見」
律「食うな!」
み「おー、これもまた滋味ですな。
ほんのりと磯の香りがして。
江戸前のファーストフードに、『深川めし』ってあるよね。
具は、アサリだけどさ。
あれも、こんな感じかな?」
律「『深川めし』には、お汁がかかってたと思うわ。
お味噌汁」
↓調べてみたら、味噌汁がかかってるのは、『深川丼』と呼ばれてるようです。

↓『深川めし』は、炊き込みご飯みたいです。

み「あ、そうか。
ご飯にアサリを載せて……。
味噌汁をぶっかけたのがルーツなのか。
漁師のまかない飯ってことだよね。
究極のファストフード」
律「一度だけ食べたことがあるけど……。
けっこうなお値段したわよ(参照)」
み「ま、東京で店を構えたら、元を取るのが大変なんでしょ」

↑こういう店なら、タダですが。
↓ちなみに三番瀬は、東京湾奥部最大の面積を誇る干潟です。

律「確かに、借りたら大変だろうけど……。
代々のお店なら、家賃はいらないでしょ」
み「パカモン。
持ち家だったら、固定資産税が馬鹿にならんわい」

律「あ、そうか」
み「こんな値段で食べれるのは、こういう土地の安いところだけ」
律「聞こえるわよ」
み「事実でおます。
“しじみごはん”に、ラーメンのスープ、かけてみようか」

↑話は違いますが、チキンラーメンの炊き込みご飯が美味しいそうです。これは、炊く前の様子。
律「あ、それいいかもね。
名づけて、“しじみめし”」
み「そのまんまでんがな」
律「スープをかけたら、身がほぐれて、数えやすくなるわ」
み「勝負にこだわりますな」
律「当たり前よ。
早く白黒つけましょ」

み「じゃ、カタマリを取ってと。
これくらいでいい?」

律「いいわよ。
あ、どうして、殻入れに入れるのよ」
み「スープをかけるんだから……。
おにぎりの皿じゃ薄いでしょ」
律「あんたがラーメン食べてた器じゃない」
み「毒は持っとらんから安心せい」

↑『アマゾンサンゴヘビモドキ』。毒々しい色ですが、毒は持っていません。毒を持つ種を真似て捕食されにくくすることを“ベイツ型擬態”と呼ぶそうです。
律「それは、あんたが責任持って食べてちょうだいね」
み「ふん。
人を汚いものみたいに言いおって。
じゃ、スープかけてと。
おー、ウマそう。
レンゲで、ひたひたすれば……。
ほれ、しじみづくしのおじや風」

↑“おじや”は、風邪を引いたときくらいしか食べませんが……。妙に幸せになる味です。元気なときは、食べたいと思わないんだけどね。
み「美味しいそう。
一口いただきます」
律「食うな」
み「んまい。
じゃ、しじみを数えましょう。
箸で摘んで、おにぎりの皿に移すよ。
ひとーつ。
小さいなこりゃ。
ふたーつ。
なんか、デイサービスのレクリエーションみたいだね」

み「指先の体操。
みーっつ。
はい、よーっつ。
これにて終了。
よっつは、偶数の丁」

↑男女の一卵性双生児が2組という四つ子。
み「わたしの勝ちでおます」
律「待ちなさいよ。
そこにまだあるじゃないの」
み「どこよ?
これ?
これは砂粒よ」

律「そんな大きな砂粒がありますか。
身のカケラじゃないの」

み「半身以上無ければ、1個と数えません」
律「誰が決めたの」
み「お金だってそうでしょ。
焼けたお札なんか、3分の2以上残ってないと、額面の金額では交換できないのよ」

↑5分の2未満の場合は、1円にもなりません。
律「お札としじみは別でしょ。
それも入れて5つ。
半の勝ちよ」

み「あ、これはわたしの鼻くそだった」
律「鼻に詰めるな!」

↑欲しい気もするが……。おそらく、邪魔。
律「汚い女」
み「〆て、1,130円。
耳を揃えて払ってちょうだい」

↑何だと思います? ヘッドホンの開発に使われる耳型だそうです。ソニーには、これを作る職人がいるとか。
律「やなこった」
み「食い逃げする気?」
律「お金が惜しいんじゃないの」
み「負けたのが悔しいから?
大人げないわね」
律「負けてないでしょ。
鼻にしじみまで詰める、あんたの浅ましさが許せない」
み「鼻くそを鼻の穴に戻して何がわるい」
律「鼻くそを、また鼻に詰める人なんかいません!」
み「ここにいたのじゃ」

み「は、は、はくしょーん!」

↑久々のキャラ弁です。
律「汚い!
鼻から飛んだわよ。
ほら、ここ」
律「あ、やっぱり、しじみじゃないの。
塩味が効いてるから、クシャミが出たのよ。
形だって、どう見ても、3分の2以上、残ってるわ。
これも、1個です」

み「鼻くそまで数えるとは、不届き千万。
成敗してくれる」

律「言い合ってても、ラチが明かないわ。
誰かに、中立の立場で裁いてもらいましょ」

↑正義の女神・テミス
み「なら、予が裁こう」
律「あんたが裁いたら、中立じゃないでしょ」
み「大丈夫。
わたしには今、ある町奉行が乗り移っておる。
さて、その人物とは誰でしょう?」

律「知るもんですか」
み「江戸時代で唯一、町奉行から寺社奉行に出世したお人よ」
律「寺社奉行って、町奉行より偉いの?」
み「偉いというより、格がぜんぜん違ったのです。
町奉行や勘定奉行は、老中配下の旗本職だけど……。
寺社奉行は将軍直属で、譜代大名じゃなきゃなれなかったの」

み「だから普通は、旗本の町奉行が、大名職の寺社奉行になることはあり得なかったわけ」

↑昭和4年に発表された小説だそうです。30本の映画が作られたとか。作者にはいくら入ったのでしょう?
律「その人だけが、なったわけね」
み「左様です。
江戸時代、270年間で、たった1人よ。
よっぽど、将軍に信頼されてたってこと。
でも、旗本じゃ寺社奉行になれないから……。
石高を加増されて、大名格にされてから就任したわけ。
その後、在任中に、本物の大名になってる。
領地をもらって、藩主になったわけ」
律「領地って、江戸の近所?」
み「愛知県の岡崎だったかな」

↑岡崎市の人口は、38万人。大都市ですね。
律「じゃ、参勤交代で、しょっちゅう帰んなきゃならないじゃないの」

↑町民が土下座しなければならなかったのは、御三家の行列だけだったそうです。
み「定府大名と言って、江戸に常住する大名もいたのよ。
老中とかの要職についてる人も、在職中はとうぜん江戸常住。
もちろん、参勤交代は無し。
この人の場合、お城も建てなかった」

↑陣屋だけ建てたそうです。画像は、岡崎市の跡地に復元されたもの。
律「へー。
誰なのよ?」
み「江戸時代の有名な町奉行です。
知ってる人を挙げれば、当たりますよ」
律「知らないわよ。
時代劇なんて見ないもの」
み「日本史の問題です」

律「受験科目じゃなかった」
み「日本人なら、誰でも知ってる人」
律「水戸黄門?」

み「違うわ!
黄門様が町奉行をするかい」
律「桃太郎侍?」

み「舐めとんのか。
あれはフィクションでしょ」
律「わかった!
遠山の金さんよ」

み「やっと、町奉行の名前が出たな。
近づいてきたぞ」
律「平清盛」

↑目がイッてます。
み「思いっきり、遠ざかってるじゃないの」
律「早く言いなさいよ」
み「大岡越前守忠相(えちぜんのかみただすけ)」

律「それって、『暴れん坊将軍』に出てくる人でしょ」

↑将軍たるもの、パソコンスキルも必要です。
律「昔、病院の待合室のテレビでやってたわよ。
フィクションでしょ」
み「『暴れん坊将軍』ってのが、まさしく、大岡忠相を抜擢した、徳川吉宗よ」

律「ふーん。
実在の人物とは思わなかった」
み「でも、寺社奉行になったはいいけど……。
そうとう苦労したみたい。
最初は、ほかの寺社奉行に苛められたり」
律「ほかのって、寺社奉行って、1人じゃないの?」
み「当たり前ですよ。
日本中の寺社を管轄するんだよ。
1人で出来まっか。
4人くらいいたらしい」
律「あとの3人から苛められたの?」
み「そういうこと。
寺社奉行ってのは、譜代大名のエリートコースで……」

み「将来の老中候補の若手が抜擢されるのが普通だったわけ。
なので、忠相以外の寺社奉行は、30代から40代前半くらい。
忠相が寺社奉行になったのは、59歳のときよ」
律「目上の人を苛めたわけ?
許せないわね」
み「当時、目上ってのは、身分が上ってことでしょ。
忠相は、加増されてやっと大名格になったわけだから……。
思い切り、目下よ」
律「苛めって、どんなことされたの?」
み「当時、寺社奉行は、奏者番という役職を兼任してたの。
でも、町奉行上がりの忠相は、奏者番じゃなかった。
で、江戸城には、いろんな職の控えの間ってのがあって……。
そこで、休憩を取ったり、弁当を食べたりしてたわけ。
ところが!
奏者番の控えの間はあったんだけど……。
寺社奉行の控えの間は無かったの」

↑赤矢印のあたりが、奏者番の詰め所『芙蓉の間』。わたしなら、ぜったいに迷子になる自信があります。
律「なんでよ?」
み「だから、寺社奉行は奏者番を兼任してたから……。
奏者番の控えの間を使えばいいわけ。
でも、忠相は兼任してなかったでしょ。
だから、入れてもらえなかったそうよ」

律「かわいそー。
ていうか、陰湿ね」
み「あわれ忠相は、休憩を取る部屋もなく……。
江戸城の廊下をうろうろ歩いてるほかなかったって」

↑江戸城『松の廊下』。時代劇では、庭に面した明るい廊下として描かれますが……。実際は、板戸で閉ざされて暗かったそうです。
律「酷すぎるわ。
そんな連中がエリートで、老中になるなんて」
み「それを知った吉宗が、寺社奉行の控えの間を作ってあげたみたい」
律「苛めた方は、お咎めなしなの?」
み「ま、奏者番の控えの間に、奏者番じゃない人を入れなかったってのは、それなりに筋が通ってるし……」
さてここで、奏者番とは、いったいどういう職なんでしょう。
Wikiから引いてみると……。
『大名・旗本が将軍に拝謁する際、あるいは在国の大名が献上品を使者に持たせて江戸城に派遣した場合に、その氏名と献上品の内容を確認して将軍に報告し、将軍が下賜を行う際にその伝達にあたった。更に大名の転封などの重大な決定や大名家の不幸に際して上使として派遣されたり、徳川将軍家及び御三家の法要において、将軍が参列できない場合の代参を行うこともあった。また、将軍の御前で元服を行う大名・世子に礼儀作法を教える役目も担った』
定員は、20~30名いたそうです。
どう考えても、忙しい職とは思えません。
その内の4名が、寺社奉行を兼任する習いだったようです。
み「譜代大名ってのは、将軍家にとっては、大事な味方だからね。
ま、でも次第に、忠相の人柄や知識が尊敬されて……。
年下の寺社奉行に、頼られるようになっていったって」
律「つくずく、立派な人だったわけね」
み「だよね。
身体も丈夫だったんだと思うよ。
町奉行を長年勤めたのに、長命だったし」

↑晩年でしょうか。毛抜で髭を抜くのが癖だったそうです。
律「何歳まで生きたの?」
み「75かな。
当時としては、立派な長生き。
自分を取り立ててくれた吉宗は……。
忠相の7歳年下だったんだけど、68歳で亡くなってる。
忠相は、吉宗の葬儀担当にも加わってる」

↑享保の改革を推し進めた吉宗は、御霊屋建立禁止令を出しており、自らをも5代綱吉の常憲院霊廟(寛永寺)に合祀させました。
律「辛かったでしょうね」
み「結局、吉宗の葬儀が、最後の公務になったって。
同じ年のうちに、後を追うように亡くなってるわ」
律「うーん。
つくずく立派な人ね。
でもさっき、町奉行を長年勤めたのに長命って言ったじゃない?
あれって、どういう意味?」
み「町奉行って、どうゆうイメージ?」
律「楽な商売なんじゃないの?
南と北で、1ヶ月交代だったんでしょ。
仕事っていったって、お白州で片肌脱いで桜吹雪を見せてればいいんじゃない?」

み「それは、遠山の金さんだけだろ。
しかも、フィクションだし。
あのね。
たしかに、月番制だったけど……。
非番の月は遊んでたわけじゃないのよ。
むしろ、その逆。
当番の月は、訴えを受け付けたり、裁判を行ったりするわけ」

↑日光江戸村です。今度は、ここに行ってこようかな。
み「毎日、江戸城にも登城しなきゃならないし……」

↑登城した主人を家来たちが待つ下馬先の様子。ここでの噂話が『下馬評』と呼ばれるようになりました。
み「大忙しよ。
で、非番の月に、訴状の吟味をして、どういう裁きにするか決めてたわけよ」
律「あらそう。
じゃ、非番の月も休めないわね」
み「むしろ、非番の月の方が大変だったかも。
とにかく、激務中の激務だったらしい。
毎日、夜中まで残業ってのが当たり前。
任期中に亡くなってしまう人も、いたんだって。
明らかに過労死よ」

み「だから、基本的に、任期は2~3年。
ところが!
忠相はなんと、19年も勤めてるの。
就任が40歳で、寺社奉行への異動が59歳」
律「へー、そんなに大変な仕事なんだ」
み「それゆえ、奉行所内に役宅があって、そこに住んでたわけ」

↑『南町奉行所(今の有楽町駅前にありました)』平面図。詳しくは、こちらを。
律「げ。
それって、便利なようでいて……。
まったく、休めないってことじゃない?」
み「だしょうな。
あ、あと、時代劇でよく、奉行所の表に……。
『北町奉行所』とか、表札が出てるでしょ」

↑これも日光江戸村らしいです。
み「あれは、大間違い。
っていうか、ま、映像演出上の方便ね。
奉行所もそうだけど……。
武家の屋敷が、外に表札を出すなんてことは一切なかったの」

↑表札の画像を探してたら、面白いのを見つけました(表札じゃないけど)。凶暴な“ハト”でもいそうです。
律「へー。
でも、おんなじような屋敷が並んでたんだろうから……」

律「迷子になっちゃうじゃない?」

↑日本橋に残る『一石橋迷子しらせ石標』。迷子を捜す方、迷子を保護した方、双方が石標の両側に貼り紙をしたそうです。
み「だから江戸では、地図が発達したのよ。
多色擦りの」

律「なるほどね。
ところで、町奉行ってのは、結局どういう仕事なの。
お白州で裁きをするんだから、裁判官ってことはわかるけど」

み「さらに、警察組織でもあったわけよ」

律「考えようによっては、怖いわね」
み「裁判官、プラス、警視総監、プラス、東京都知事って感じかな」
律「警視総監ってのは、警察で一番偉い人?」

↑『相棒9』より
み「うんにゃ。
警視総監は、警視庁のトップ。
警察のトップは、警察庁長官よ」

↑同じく『相棒9』より。宇津井健さんも、今春亡くなられてしまいました。
律「警視庁って、警察のことでしょ?」
み「警視庁は、東京都の組織よ」

↑いわゆる『桜田門』です。
み「普通の都道府県だったら……。
新潟県警とか、北海道警とか、大阪府警とかでしょ。
でも、東京都警ってのは、無いわよね。
それがすなわち、警視庁よ。
それに対し、警察庁は、国の組織なわけ。
だから、警察のトップは、警察庁長官」

律「ふーん。
長官って、与党の議員がなるんでしょ?」
み「昔はいろんな長官があって、大臣よりちょっと下の小大臣って感じだったけどね。
今、議員さんがなる長官は、官房長官だけよ」

↑ほとんど毎日、テレビに映ります。選挙運動が要らない美味しい役。
み「それに対し、警察庁長官は、純然たる制服組。
自らも警察官なの」
律「階級は?」
み「警察の階級で一番上なのは、警視総監だけど……。
警察庁長官は、唯一、階級のない警察官なの。
でも、警視総監より上なわけよ」
律「なんだか、解脱した雲上人みたいね」
み「ははは。
確かに、その上の地位は無いからね」
ここで余談です。
今の『相棒』のお話。
成宮寛貴演じる甲斐享のお父上を、石坂浩二が演じてますね。

彼の役職は、警察庁次長。
なんか、“次長”って言うと、部長と課長の間みたいなイメージがありますが……。

警察庁次長は、とんでもねー地位です。
警察庁長官の次なんです。
つまりは、“次官”ということ。
次に警察庁長官になる人が着く地位なんです。
階級は警視監で、警視総監の下になりますが……。
次長の方が、年長の場合が多いそうです。
で、警察庁長官になった暁に、警視総監とは地位が逆転し……。
本来の序列に戻るわけです。

み「あ、あと寺社奉行との違いを思い出した。
町奉行には、町奉行所っていう建物があって……。
役宅もそこにくっついてたって言ったでしょ」
律「通勤時間、ゼロってわけよね」
み「でも、寺社奉行所っていう建物は無かったの」
律「そう言えば、時代劇でも聞かないわね。
どうしてたのよ?
お役所がなければ、どこで仕事してたの?」
み「自分の屋敷よ。
譜代大名の上屋敷が、寺社奉行所を兼ねてたってわけ」

↑愛宕山から見た江戸の街
み「ガブ。
ガブガブガブ」

律「ちょっと、かぶりついたまま首振って、何してるの」
み「くそ。
まったく噛み切れん。
なんじゃ、この昆布。
ほら、歯型が付いただけ」
律「汚いんだから」
ウ「あ、お客さ~ん。
そのおにぎりは、横からかじったら、ダメです。
千切れませんから。
縦にしてかじってください。
ほら、あのお客さんみたいに」

み「にゃんと。
そんな極意があったのきゃ。
こうやって、縦にね。
しかし……。
微妙にヤラシイ感じが……」

↑女の虚無僧です。
律「ヘンな連想しないの。
早くかじりなさいよ」
み「それじゃ……。
ガブ」

律「目まで剥くことないでしょ。
普通に食べなさいって」
み「となりの客のマネをしたまでじゃ」
律「失礼よ」
み「おー、ちぎれた。
磯の香りが、口いっぱいに広がる」

み「こりゃ、ウマいわ」
律「わたしにも、かじらせてよ」
み「あんたは、麺を独占してるでしょ」
律「じゃ、いいわ。
ちょっとだけ交換よ」
み「待ってました。
しじみラーメン、平らげてくれるわ。
あ、アチチアチ」
↑懐かしの『GOLDFINGER '99』。
律「バーカ。
あんたの舌じゃ、まだ無理よ」

み「くそ。
それを知っての所業か!」
律「じゃ、おにぎり、いただきまーす。
ガブ」
み「ちょっと、何で反対側からかじるのよ」
律「あんたの歯型の付いたとこなんか、かじれますか。
ケチ病菌が伝染るわ」
み「先生の菌の方が強烈だろ!」

律「美味しい。
病院の売店に売ってたら、毎日これでもいいわ。
書きものしながらでも、食べれるし」
↑黙々とおにぎりを食べるリス。しかし……。あまり好物では無かったようです。驚きの結末。
み「ぜんぶ食べないでよ。
半分までだからね」
律「どこが半分だったか、わからないじゃない」
み「あと1センチです」
律「うそ言いなさい。
あと3センチはあるはず」
み「無くなってしまうではないか!」
律「しじみラーメン、食べなさいって」
み「熱くて食えんだろうが。
よし、それなら、しじみごはんを食ってやる」

律「しじみの数を数えてないでしょ。
それ食べたら、あなたの負けだからね」
み「くっそー。
八方ふさがりではないか。
こうなったら、しじみラーメンにお冷を入れてやる」
律「止めなさいって。
その殻入れに少しずつ移せば、食べられるでしょ」
み「くそ。
結局、殻入れで食うのか。
でも、美味しい」
律「こら。
なにげにナルトを取ったじゃないの」

↑なんと! ナルトは、このような形状をしてたのです(知らなんだ)。でもなぜか、ラーメンに載せるナルトは、薄く切った方が美味しいそうです。
ちなみに、渦巻き模様が鳴門の渦潮に見立てられ、“ナルト”と呼ばれることになったとか。

静岡県焼津市で、全消費量の9割が生産されてるそうです。

み「いいでしょ。
1枚くらい」
律「1枚しか無いじゃない」
み「そんなに、ナルトが好きだった?」

↑そういえば、ナルトだけを単独で食べることって、無いですよね。食べるとしたら、わさび醤油か?
律「別に好きじゃないけど、1枚だと話が別よ」
み「いやしい女」
律「うるさい。
わたしは、負けるのが嫌いなの」
み「友だち、出来んぞ」
律「大きなお世話。
ナルトは、勝った人が食べるのよ。
勝利の証に!」

み「虚しくありませんか?」
律「ぜんぜん。
メンマ、何本入ってる?」
み「4本かな」
律「じゃ、それは2本ずつ。
でも、長さが違うかも。
定規持ってる?」
み「常軌を逸して来ましたな」
律「ノギスでもいいんだけど」

み「持っとらんわい!」
律「何事にも徹底するってのが、わたしのモットー」
み「そんなら、おにぎり食べる前に、真ん中にラインを引いておけば良かったのに」

律「あんたが、先にかじっちゃったんじゃないの」
み「もう、半分いったでしょ」
律「はい。
じゃ、交換ね」
み「まだ、麺を食べとらん!」
律「のろのろしてるからよ。
はい、あなたは、このおにぎり」
み「1センチしか残っとらん!」
律「それじゃ、麺をいただきます。
チュルチュルチュル、チュルー」

み「音を出さずに食べるんじゃなかったの!」
律「1度、こうやって食べてみたかったのよ」
み「好き勝手、やってますな。
でも、音立てた方が、ずっと美味しいでしょ」
律「それは、言えてるかもね」
み「昔、江戸っ子が、臨終の間際に言った言葉。
『一度でいいから、汁にどっぷり漬けて蕎麦を食いたかった』」

律「何、それ?」
み「江戸っ子ってのは、汁にほんのちょっとしか、お蕎麦を漬けないのよ。
下の方をちょびっと、1センチくらい漬けて……。
そのまま手繰りこむ」

↑この方は、江戸っ子以上ですね。汁を着けずに直接食ってます。
律「そんなの、美味しくないでしょ」
み「それが粋だったわけよ。
しかも、噛まない」

↑川越素麺は、一本のひも状に長く伸ばして作られてました。もちろん、茹でる前に切り分けるのです。この絵は、それを知らない江戸っ子が、そのまま茹でて食べてる様子。
律「なんで?」
み「知りまへんがな。
ひょっとしたら、“粋”の規範は、歯抜けジジイが作ったのかもね」
律「噛まなきゃ、味わえないでしょうに」
み「喉で味わうのが粋だったんじゃないの。
くちゃくちゃ噛まない。
なにしろ、粋な食べ方の局地ってのが……。
蒸籠に盛った蕎麦が、そのままの形で、胃の中にとぐろを巻くってことだったの」

↑落語『そば清』。落ちは、一種のSFです。
律「消化に悪いわ」
み「消化は関係ないでしょ。
蕎麦なんて練ってあるんだから、それが自然にバラけるじゃないの」

↑蕎麦打ち名人!
律「だから、噛まない?」
み「でんな」
律「そんなのが粋なら、わたしは野暮でけっこう。
チュルチュル~」
み「食べ過ぎでしょ。
残りはわたしの分」
律「まだ熱いわよ」
み「冷めるの待ってたら、食いっぱぐれちまう。
こうなったら、ヤケド覚悟で食う」
律「妙な覚悟しなくても、あげるわよ。
はい、どうぞ」
み「おー、やっと丼から食べられる。
ずいぶん、減ってるけど。
まずは、アサリから」
律「しじみでしょ」
み「あ、そうどした。
やっぱり、身が大きいよな。
新潟のスーパーだと、小指の爪くらいのしかないから」

↑これなら大きい方です。
み「どれどれ。
うむ、滋味じゃ。
あ、ウェイトレスさん。
このしじみって、今日捕れたんですか?」
ウ「違うと思いますよ。
冷凍ものですから」

↑冷凍庫で6ヶ月保存できるそうです。
み「ありゃりゃ。
この細麺は、手打ち?」
ウ「業務用の麺です」

み「なるほど!
やっぱり麺は、手打ちより業務用だよな。
なんか……。
『時そば』みたいになってきましたな」

律「いいじゃないの。
美味しいんだから」
み「だよね。
縮れた細麺に塩味なら、まず外れがないよ。
よし、麺は片付けたから……。
そろそろ、“しじみごはん”対決といく?」

律「これを数えるわけ?」
み「ラーメンのしじみと比べて、ずいぶん小さいよな。
鼻くそくらいのもあるぞ」
律「そういうこと言わないの」
み「ぜんぶ数えると、30分くらいかかるかも」
律「そんな馬鹿なことしてられますか。
何も、ぜんぶ数えることないって。
ある程度のカタマリを、そのおにぎりのお皿に取って……。
その中で勝負すればいいのよ」
み「ほー、さすが博打慣れしてますな。
それじゃ、わたしの箸でいい?
わたしが丁だったよね」
律「偶数なら、Mikiちゃんの勝ち。
奇数なら、わたしね」
み「それなら、こうやって……。
2個入ったカタマリを取ればいいわけだ」
律「いいわけないでしょ、イカサマ女」

↑『いかさま師』/画:ジョルジュ・ド・ラ・トゥール
律「もっと、ごそっと取りなさいよ」
み「このくらいか?」
律「いいわよ」
み「その前に、ちょっと味見」
律「食うな!」
み「おー、これもまた滋味ですな。
ほんのりと磯の香りがして。
江戸前のファーストフードに、『深川めし』ってあるよね。
具は、アサリだけどさ。
あれも、こんな感じかな?」
律「『深川めし』には、お汁がかかってたと思うわ。
お味噌汁」
↓調べてみたら、味噌汁がかかってるのは、『深川丼』と呼ばれてるようです。

↓『深川めし』は、炊き込みご飯みたいです。

み「あ、そうか。
ご飯にアサリを載せて……。
味噌汁をぶっかけたのがルーツなのか。
漁師のまかない飯ってことだよね。
究極のファストフード」
律「一度だけ食べたことがあるけど……。
けっこうなお値段したわよ(参照)」
み「ま、東京で店を構えたら、元を取るのが大変なんでしょ」

↑こういう店なら、タダですが。
↓ちなみに三番瀬は、東京湾奥部最大の面積を誇る干潟です。

律「確かに、借りたら大変だろうけど……。
代々のお店なら、家賃はいらないでしょ」
み「パカモン。
持ち家だったら、固定資産税が馬鹿にならんわい」

律「あ、そうか」
み「こんな値段で食べれるのは、こういう土地の安いところだけ」
律「聞こえるわよ」
み「事実でおます。
“しじみごはん”に、ラーメンのスープ、かけてみようか」

↑話は違いますが、チキンラーメンの炊き込みご飯が美味しいそうです。これは、炊く前の様子。
律「あ、それいいかもね。
名づけて、“しじみめし”」
み「そのまんまでんがな」
律「スープをかけたら、身がほぐれて、数えやすくなるわ」
み「勝負にこだわりますな」
律「当たり前よ。
早く白黒つけましょ」

み「じゃ、カタマリを取ってと。
これくらいでいい?」

律「いいわよ。
あ、どうして、殻入れに入れるのよ」
み「スープをかけるんだから……。
おにぎりの皿じゃ薄いでしょ」
律「あんたがラーメン食べてた器じゃない」
み「毒は持っとらんから安心せい」

↑『アマゾンサンゴヘビモドキ』。毒々しい色ですが、毒は持っていません。毒を持つ種を真似て捕食されにくくすることを“ベイツ型擬態”と呼ぶそうです。
律「それは、あんたが責任持って食べてちょうだいね」
み「ふん。
人を汚いものみたいに言いおって。
じゃ、スープかけてと。
おー、ウマそう。
レンゲで、ひたひたすれば……。
ほれ、しじみづくしのおじや風」

↑“おじや”は、風邪を引いたときくらいしか食べませんが……。妙に幸せになる味です。元気なときは、食べたいと思わないんだけどね。
み「美味しいそう。
一口いただきます」
律「食うな」
み「んまい。
じゃ、しじみを数えましょう。
箸で摘んで、おにぎりの皿に移すよ。
ひとーつ。
小さいなこりゃ。
ふたーつ。
なんか、デイサービスのレクリエーションみたいだね」

み「指先の体操。
みーっつ。
はい、よーっつ。
これにて終了。
よっつは、偶数の丁」

↑男女の一卵性双生児が2組という四つ子。
み「わたしの勝ちでおます」
律「待ちなさいよ。
そこにまだあるじゃないの」
み「どこよ?
これ?
これは砂粒よ」

律「そんな大きな砂粒がありますか。
身のカケラじゃないの」

み「半身以上無ければ、1個と数えません」
律「誰が決めたの」
み「お金だってそうでしょ。
焼けたお札なんか、3分の2以上残ってないと、額面の金額では交換できないのよ」

↑5分の2未満の場合は、1円にもなりません。
律「お札としじみは別でしょ。
それも入れて5つ。
半の勝ちよ」

み「あ、これはわたしの鼻くそだった」
律「鼻に詰めるな!」

↑欲しい気もするが……。おそらく、邪魔。
律「汚い女」
み「〆て、1,130円。
耳を揃えて払ってちょうだい」

↑何だと思います? ヘッドホンの開発に使われる耳型だそうです。ソニーには、これを作る職人がいるとか。
律「やなこった」
み「食い逃げする気?」
律「お金が惜しいんじゃないの」
み「負けたのが悔しいから?
大人げないわね」
律「負けてないでしょ。
鼻にしじみまで詰める、あんたの浅ましさが許せない」
み「鼻くそを鼻の穴に戻して何がわるい」
律「鼻くそを、また鼻に詰める人なんかいません!」
み「ここにいたのじゃ」

み「は、は、はくしょーん!」

↑久々のキャラ弁です。
律「汚い!
鼻から飛んだわよ。
ほら、ここ」
律「あ、やっぱり、しじみじゃないの。
塩味が効いてるから、クシャミが出たのよ。
形だって、どう見ても、3分の2以上、残ってるわ。
これも、1個です」

み「鼻くそまで数えるとは、不届き千万。
成敗してくれる」

律「言い合ってても、ラチが明かないわ。
誰かに、中立の立場で裁いてもらいましょ」

↑正義の女神・テミス
み「なら、予が裁こう」
律「あんたが裁いたら、中立じゃないでしょ」
み「大丈夫。
わたしには今、ある町奉行が乗り移っておる。
さて、その人物とは誰でしょう?」

律「知るもんですか」
み「江戸時代で唯一、町奉行から寺社奉行に出世したお人よ」
律「寺社奉行って、町奉行より偉いの?」
み「偉いというより、格がぜんぜん違ったのです。
町奉行や勘定奉行は、老中配下の旗本職だけど……。
寺社奉行は将軍直属で、譜代大名じゃなきゃなれなかったの」

み「だから普通は、旗本の町奉行が、大名職の寺社奉行になることはあり得なかったわけ」

↑昭和4年に発表された小説だそうです。30本の映画が作られたとか。作者にはいくら入ったのでしょう?
律「その人だけが、なったわけね」
み「左様です。
江戸時代、270年間で、たった1人よ。
よっぽど、将軍に信頼されてたってこと。
でも、旗本じゃ寺社奉行になれないから……。
石高を加増されて、大名格にされてから就任したわけ。
その後、在任中に、本物の大名になってる。
領地をもらって、藩主になったわけ」
律「領地って、江戸の近所?」
み「愛知県の岡崎だったかな」

↑岡崎市の人口は、38万人。大都市ですね。
律「じゃ、参勤交代で、しょっちゅう帰んなきゃならないじゃないの」

↑町民が土下座しなければならなかったのは、御三家の行列だけだったそうです。
み「定府大名と言って、江戸に常住する大名もいたのよ。
老中とかの要職についてる人も、在職中はとうぜん江戸常住。
もちろん、参勤交代は無し。
この人の場合、お城も建てなかった」

↑陣屋だけ建てたそうです。画像は、岡崎市の跡地に復元されたもの。
律「へー。
誰なのよ?」
み「江戸時代の有名な町奉行です。
知ってる人を挙げれば、当たりますよ」
律「知らないわよ。
時代劇なんて見ないもの」
み「日本史の問題です」

律「受験科目じゃなかった」
み「日本人なら、誰でも知ってる人」
律「水戸黄門?」

み「違うわ!
黄門様が町奉行をするかい」
律「桃太郎侍?」

み「舐めとんのか。
あれはフィクションでしょ」
律「わかった!
遠山の金さんよ」

み「やっと、町奉行の名前が出たな。
近づいてきたぞ」
律「平清盛」

↑目がイッてます。
み「思いっきり、遠ざかってるじゃないの」
律「早く言いなさいよ」
み「大岡越前守忠相(えちぜんのかみただすけ)」

律「それって、『暴れん坊将軍』に出てくる人でしょ」

↑将軍たるもの、パソコンスキルも必要です。
律「昔、病院の待合室のテレビでやってたわよ。
フィクションでしょ」
み「『暴れん坊将軍』ってのが、まさしく、大岡忠相を抜擢した、徳川吉宗よ」

律「ふーん。
実在の人物とは思わなかった」
み「でも、寺社奉行になったはいいけど……。
そうとう苦労したみたい。
最初は、ほかの寺社奉行に苛められたり」
律「ほかのって、寺社奉行って、1人じゃないの?」
み「当たり前ですよ。
日本中の寺社を管轄するんだよ。
1人で出来まっか。
4人くらいいたらしい」
律「あとの3人から苛められたの?」
み「そういうこと。
寺社奉行ってのは、譜代大名のエリートコースで……」

み「将来の老中候補の若手が抜擢されるのが普通だったわけ。
なので、忠相以外の寺社奉行は、30代から40代前半くらい。
忠相が寺社奉行になったのは、59歳のときよ」
律「目上の人を苛めたわけ?
許せないわね」
み「当時、目上ってのは、身分が上ってことでしょ。
忠相は、加増されてやっと大名格になったわけだから……。
思い切り、目下よ」
律「苛めって、どんなことされたの?」
み「当時、寺社奉行は、奏者番という役職を兼任してたの。
でも、町奉行上がりの忠相は、奏者番じゃなかった。
で、江戸城には、いろんな職の控えの間ってのがあって……。
そこで、休憩を取ったり、弁当を食べたりしてたわけ。
ところが!
奏者番の控えの間はあったんだけど……。
寺社奉行の控えの間は無かったの」

↑赤矢印のあたりが、奏者番の詰め所『芙蓉の間』。わたしなら、ぜったいに迷子になる自信があります。
律「なんでよ?」
み「だから、寺社奉行は奏者番を兼任してたから……。
奏者番の控えの間を使えばいいわけ。
でも、忠相は兼任してなかったでしょ。
だから、入れてもらえなかったそうよ」

律「かわいそー。
ていうか、陰湿ね」
み「あわれ忠相は、休憩を取る部屋もなく……。
江戸城の廊下をうろうろ歩いてるほかなかったって」

↑江戸城『松の廊下』。時代劇では、庭に面した明るい廊下として描かれますが……。実際は、板戸で閉ざされて暗かったそうです。
律「酷すぎるわ。
そんな連中がエリートで、老中になるなんて」
み「それを知った吉宗が、寺社奉行の控えの間を作ってあげたみたい」
律「苛めた方は、お咎めなしなの?」
み「ま、奏者番の控えの間に、奏者番じゃない人を入れなかったってのは、それなりに筋が通ってるし……」
さてここで、奏者番とは、いったいどういう職なんでしょう。
Wikiから引いてみると……。
『大名・旗本が将軍に拝謁する際、あるいは在国の大名が献上品を使者に持たせて江戸城に派遣した場合に、その氏名と献上品の内容を確認して将軍に報告し、将軍が下賜を行う際にその伝達にあたった。更に大名の転封などの重大な決定や大名家の不幸に際して上使として派遣されたり、徳川将軍家及び御三家の法要において、将軍が参列できない場合の代参を行うこともあった。また、将軍の御前で元服を行う大名・世子に礼儀作法を教える役目も担った』
定員は、20~30名いたそうです。
どう考えても、忙しい職とは思えません。
その内の4名が、寺社奉行を兼任する習いだったようです。
み「譜代大名ってのは、将軍家にとっては、大事な味方だからね。
ま、でも次第に、忠相の人柄や知識が尊敬されて……。
年下の寺社奉行に、頼られるようになっていったって」
律「つくずく、立派な人だったわけね」
み「だよね。
身体も丈夫だったんだと思うよ。
町奉行を長年勤めたのに、長命だったし」

↑晩年でしょうか。毛抜で髭を抜くのが癖だったそうです。
律「何歳まで生きたの?」
み「75かな。
当時としては、立派な長生き。
自分を取り立ててくれた吉宗は……。
忠相の7歳年下だったんだけど、68歳で亡くなってる。
忠相は、吉宗の葬儀担当にも加わってる」

↑享保の改革を推し進めた吉宗は、御霊屋建立禁止令を出しており、自らをも5代綱吉の常憲院霊廟(寛永寺)に合祀させました。
律「辛かったでしょうね」
み「結局、吉宗の葬儀が、最後の公務になったって。
同じ年のうちに、後を追うように亡くなってるわ」
律「うーん。
つくずく立派な人ね。
でもさっき、町奉行を長年勤めたのに長命って言ったじゃない?
あれって、どういう意味?」
み「町奉行って、どうゆうイメージ?」
律「楽な商売なんじゃないの?
南と北で、1ヶ月交代だったんでしょ。
仕事っていったって、お白州で片肌脱いで桜吹雪を見せてればいいんじゃない?」

み「それは、遠山の金さんだけだろ。
しかも、フィクションだし。
あのね。
たしかに、月番制だったけど……。
非番の月は遊んでたわけじゃないのよ。
むしろ、その逆。
当番の月は、訴えを受け付けたり、裁判を行ったりするわけ」

↑日光江戸村です。今度は、ここに行ってこようかな。
み「毎日、江戸城にも登城しなきゃならないし……」

↑登城した主人を家来たちが待つ下馬先の様子。ここでの噂話が『下馬評』と呼ばれるようになりました。
み「大忙しよ。
で、非番の月に、訴状の吟味をして、どういう裁きにするか決めてたわけよ」
律「あらそう。
じゃ、非番の月も休めないわね」
み「むしろ、非番の月の方が大変だったかも。
とにかく、激務中の激務だったらしい。
毎日、夜中まで残業ってのが当たり前。
任期中に亡くなってしまう人も、いたんだって。
明らかに過労死よ」

み「だから、基本的に、任期は2~3年。
ところが!
忠相はなんと、19年も勤めてるの。
就任が40歳で、寺社奉行への異動が59歳」
律「へー、そんなに大変な仕事なんだ」
み「それゆえ、奉行所内に役宅があって、そこに住んでたわけ」

↑『南町奉行所(今の有楽町駅前にありました)』平面図。詳しくは、こちらを。
律「げ。
それって、便利なようでいて……。
まったく、休めないってことじゃない?」
み「だしょうな。
あ、あと、時代劇でよく、奉行所の表に……。
『北町奉行所』とか、表札が出てるでしょ」

↑これも日光江戸村らしいです。
み「あれは、大間違い。
っていうか、ま、映像演出上の方便ね。
奉行所もそうだけど……。
武家の屋敷が、外に表札を出すなんてことは一切なかったの」

↑表札の画像を探してたら、面白いのを見つけました(表札じゃないけど)。凶暴な“ハト”でもいそうです。
律「へー。
でも、おんなじような屋敷が並んでたんだろうから……」

律「迷子になっちゃうじゃない?」

↑日本橋に残る『一石橋迷子しらせ石標』。迷子を捜す方、迷子を保護した方、双方が石標の両側に貼り紙をしたそうです。
み「だから江戸では、地図が発達したのよ。
多色擦りの」

律「なるほどね。
ところで、町奉行ってのは、結局どういう仕事なの。
お白州で裁きをするんだから、裁判官ってことはわかるけど」

み「さらに、警察組織でもあったわけよ」

律「考えようによっては、怖いわね」
み「裁判官、プラス、警視総監、プラス、東京都知事って感じかな」
律「警視総監ってのは、警察で一番偉い人?」

↑『相棒9』より
み「うんにゃ。
警視総監は、警視庁のトップ。
警察のトップは、警察庁長官よ」

↑同じく『相棒9』より。宇津井健さんも、今春亡くなられてしまいました。
律「警視庁って、警察のことでしょ?」
み「警視庁は、東京都の組織よ」

↑いわゆる『桜田門』です。
み「普通の都道府県だったら……。
新潟県警とか、北海道警とか、大阪府警とかでしょ。
でも、東京都警ってのは、無いわよね。
それがすなわち、警視庁よ。
それに対し、警察庁は、国の組織なわけ。
だから、警察のトップは、警察庁長官」

律「ふーん。
長官って、与党の議員がなるんでしょ?」
み「昔はいろんな長官があって、大臣よりちょっと下の小大臣って感じだったけどね。
今、議員さんがなる長官は、官房長官だけよ」

↑ほとんど毎日、テレビに映ります。選挙運動が要らない美味しい役。
み「それに対し、警察庁長官は、純然たる制服組。
自らも警察官なの」
律「階級は?」
み「警察の階級で一番上なのは、警視総監だけど……。
警察庁長官は、唯一、階級のない警察官なの。
でも、警視総監より上なわけよ」
律「なんだか、解脱した雲上人みたいね」
み「ははは。
確かに、その上の地位は無いからね」
ここで余談です。
今の『相棒』のお話。
成宮寛貴演じる甲斐享のお父上を、石坂浩二が演じてますね。

彼の役職は、警察庁次長。
なんか、“次長”って言うと、部長と課長の間みたいなイメージがありますが……。

警察庁次長は、とんでもねー地位です。
警察庁長官の次なんです。
つまりは、“次官”ということ。
次に警察庁長官になる人が着く地位なんです。
階級は警視監で、警視総監の下になりますが……。
次長の方が、年長の場合が多いそうです。
で、警察庁長官になった暁に、警視総監とは地位が逆転し……。
本来の序列に戻るわけです。

み「あ、あと寺社奉行との違いを思い出した。
町奉行には、町奉行所っていう建物があって……。
役宅もそこにくっついてたって言ったでしょ」
律「通勤時間、ゼロってわけよね」
み「でも、寺社奉行所っていう建物は無かったの」
律「そう言えば、時代劇でも聞かないわね。
どうしてたのよ?
お役所がなければ、どこで仕事してたの?」
み「自分の屋敷よ。
譜代大名の上屋敷が、寺社奉行所を兼ねてたってわけ」

↑愛宕山から見た江戸の街
コメント一覧
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1. ハーレクイン- 2014/06/28 15:50
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前回(86)のご紹介を忘れたようですので、今回は力いっぱいご紹介しましょう。
現場は、津軽鉄道金木駅構内食堂、ぽっぽ家さんの店内です。
●かぶりついたまま首を振る子猫ちゃん。可愛いが、さすが目つきは鋭いのう。
●「若生こんぶおにぎり」横からかじっちゃだめ、縦にかじるのが極意じゃ。
●女虚無僧が吹く尺八。何もいやらしいことはないぞ。
●ガブときますと人形浄瑠璃。
●アチチときますとGOLDFINGER。007とは関係ありません。
●猫舌「み」さん。残念。おにぎりまで奪われました。
●ケチ病菌感染の商人。持ってそうだなあ。
●リスくん。不味いんならとっととやめればええのに。
●殻入れで食っても味は同じラーメン。
●ナルト本体の形状を知らない「み」さん。これはびっくりだわ、ほんなこつ。
●ナルトの名称の由来を知らない「み」さん。びっくりだわ、ほんなこつ。ま、関西のものだからなあ。
●ナルトの9割が焼津市産。これは知らんかったわ、ほんなこつ。
●ナルトの味って……わからんよね。
●麺は、音を立てて食するものです。よいかな、西欧人諸君。
●汁に麺を漬けない江戸っ子。アホですねえ、何が美味いんですかねえ。何が粋なんですかねえ。わたしはどっぷり漬けます。贅六野郎と言われても結構です。
●「局地」は、「極致」でしょうねえ。
●わたしも野暮で結構。蕎麦をそのまま食って何が美味い!
●アッサリ、死んじめえー。
●しじみは、しょせん出汁の元だよな。可哀想だけど。
●はい、しじみごはん対決。何のための対決か、もうわからなくなりました。
●ラ・トゥールの「いかさま師」。名作だそうです。
●深川めし。「めし」というより「おじや」ですな。
●三番瀬砂抜きあさり。やはり魚介類の命は新鮮さです(あやめ)。
●えっ、固定資産税ってそんなにするのか! んじゃ、わたしは借家でええわ。
●チキンラーメンの炊き込みご飯が美味い。どう作るんだろうね。
●名付けてしじみめし。そのまんまでんがなまんがな。
●白黒つける。カラスと鳩ではありません。カラスVS.アルビノカラスだそうです。アルビノの方、弱そうだなあ。
●アマゾンサンゴヘビモドキ。なんちゅう名前や。擬態にはベイツ型とミュラー型があります。どない違うかは本文をご参照下され。
●おじやは病人食。そうでもなかろ、年寄りにも優しいと思うが。わたしのことではないぞ。
●デイサービスのレクリエーション。やったことあるのか「み」さん。
●だからあ、一卵性双生児は必ず同性だって。理由を説明しようか?
●損傷紙幣の交換。5分の2未満は0円。納得できんなあ。
●ハンカチ王子VS.ビッグモアイ。実用性でモアイの勝ち。すまぬ、斎藤君。
●あれ? 1,130円って何の値段だっけ。もうわからんくなったよ。
●「争いは、同じレベルの者同士でしか発生しない!!」はは、そらそうだ。
●ハクション大魔王弁当。美味しそうだなあ。
●正義の女神テミス。持ってる天秤は、もちろん善悪を測るためですね。ようわからんが。
●岡崎市の人口は38万人、大阪市は266万5千人です。
●水戸黄門、桃太郎侍、遠山の金さん、平清盛。正解は、大岡越前守忠相。それにしても、「のかみただすけ」では変換でけへんのか。
●暗い廊下をうろつく忠相。可哀想によう。でも、暗い廊下をうろつく話って、たくさんあるんだよね。
●奏者番。何度読んでもようわかりまへん。
●上野寛永寺は、德川家の菩提寺。
●日光江戸村。金沢の湯湧(ゆわく)温泉には、湯湧江戸村があります。
●実際には激務、町奉行。そんなにお気楽なものではありません。
●おお、明日のジョー。「燃えたよ、燃え尽きた……」
●職住接近、町奉行。休んでる暇はおまへんで。
●表札は出さない江戸の武家屋敷。だから幕末に攻め込んできた薩長軍は、どの屋敷が何なのかわからなくて苦労したらしいよ。
●迷子石に迷子札。きちんと地理を教えていればねえ、江戸の寺子屋。
●警察、都知事に裁判所。なんでもやります町奉行。
●警視庁と警察庁。きちんと区別しましょう。参考資料『相棒』。
●警視総監は警視庁のトップ。つまり東京都の警察組織の最高位ですね。
●警察庁長官は全警察組織のトップ。とんでもない地位です。
●役所はありません、寺社奉行所。頼んますわ、お奉行さま。
はい、というわけでございまして、「み」さん「律」センセのお二人(同行者がいなくなったんだよなあ)。津軽鉄道金木駅、ぽっぽ家さんでの食事が続きます。
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2. Mikiko- 2014/06/28 20:05
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ありがとうございます。
奉行哀史。
しかし、江戸時代の武士は……。
ヒマでしょうがない職の方が多かったようです。
『公人朝夕人(くにんちょうじゃくにん)』とういう役職がありました。
世襲だったようです。
↓Wikiの記載。
『将軍の上洛・参内、日光社参の際、将軍が束帯すがたで排尿をおこないにくいとき、袴の脇から現在のポータブルトイレ、尿瓶(しびん)にあたる銅製の筒(尿筒、しとづつ)をさしこみ、排尿中ささえるのが仕事である。名前の由来は、“朝夕臭い公務を果たす人”ということから』
将軍が上洛したのは、3代家光まででした。
でも4代家綱以降も、『公人朝夕人』という役職だけは残ってます。
生涯、1度も役目を果たすことの無かった人も、いたんではないでしょうか。
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3. ハーレクイン- 2014/06/28 21:26
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尿筒って銅製だったのか。
竹製だと思っていたよ。
でも、いくら臭い公務でも、役職をもらえるだけ有難いと思わんとねえ。
もちろん、重要な役職もたくさんありました。