Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
東北に行こう!(86)
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小「あ、ここに書いてあります。
 駅前に校門はあるんですが……」

↑駅から100メートルのところにある校門。

小「校門から校舎までは、800メートル離れてるそうです」

↑『五農街道』と呼ばれてるようです。

み「どしえー。
 都会じゃありえねーロケーション。
 歩いて10分かかるじゃないの。
 ここで質問。
 遅刻は、どこで判断するんだ?
 校門入ってれば、オーケー?」
律「そんなわけないでしょ。
 校舎まで10分もかかるのに」

↑最終コーナー。五農校では、とても最後まで持ちましぇん。

み「相撲部は、校門から校舎まで、裸足ですり足が基本だな」


律「出きっこないわよ」
み「校舎に着くころには、足の長さが半分にすり減ってたりして」
律「バカバカしい」

 ちなみに、日本一広い高校は……。
 北海道立北海道標茶高校。
 面積は、255ヘクタール(77万1千坪!)。

↑学校の畑。山の向こうも、まだ学校の敷地だそうです。

 通うのは、かなり大変な気も……。
 でも、ご安心!
 ↓立派な寮があります。


 こんな高校生活も、いいですよね。
 生まれ変わったら、通ってみたい。
 こんなんばっかしです。
 あと、余談ですが……。
 わたしが通ってみたかった学校に、東京都立園芸高校があります(世田谷区深沢)。

↑世田谷区の高級住宅街深沢に、東京ドーム2個分の敷地が広がります。北海道はちょっと無理という方には、お勧めです。

 ちなみに、東京都で一番面積が広い高校は……。
 東京都立青梅総合高校。
 都立農林高校と都立青梅東高校が合併して出来ました。
 面積は、ディズニーランドの2倍だそうです。

↑校内のようです。

 さて、五所川原農林ですが……。
 北海道標茶高校に続く、日本で二番目に広い高校だそうです。
 本州一ということですね。
 面積は、52ヘクタール(15万7千坪)。
 ↓校内は『五農の森』と呼ばれており、案内図まであります。


 さて、旅を続けましょう。

律「あ、もう発車した」
み「さらば、五所川原農林。
 おそらくは、生涯で2度と訪れないであろう」

↑『五農校前駅』に掲げられた“農魂”の額。いいですね~。

律「金木から帰るとき、通るでしょ」
み「あ」
律「あ、じゃないわよ。
 頼りないわね。
 斜陽館以外にも、面白いところがあるんじゃないの?」
み「あるのか?」
小「うーん。
 あんまり面白いところがあったという記憶はありません」
み「失敬なヤツ」
小「『津軽三味線会館』というのがありました」

↑例の太宰の“ねぷた”があった所です。右の仁太坊は、幕末から明治・大正・昭和を生きた、津軽三味線の始祖だそうです。津軽三味線って、案外新しかったんですね。

み「おー。
 津軽三味線、聞きそびれたんだよな」
小「『リゾートしらかみ』で、ライブがあるんですよね」


み「そうなのじゃ。
 今ごろ鉄くんは、一人寂しく聞いてるかのぅ」
律「可哀想に」
み「よし。
 鉄の供養に、われわれも聞こうではないか」
律「死に別れたわけじゃないでしょ」
み「もう会えないんだろうから……。
 死んだようなもんよ」


律「ほんとに、冷血な女ね」
み「わたしは、男には厳しいのじゃ。
 その会館でも、ライブやってるの?」
小「ちょっと、検索してみます。
 えーっと。
 ホールがあって、1日4回、ライブが行なわれてるそうです」

↑ここまで股を開く理由は、なんなんでしょうか。

み「ウマくすれば、時間的に当たるかも知れんな。
 やっぱ、本場の津軽三味線を聞いて帰らんとな。
 チミたち、高橋竹山(ちくざん)って知ってる?」
律「知らないわ」
み「三味線弾きよ。
 今は、女性が2代目を名乗ってるんじゃないかな」


律「へー。
 初代は、男性?
 なんだか、引田天功みたいね」

↑素顔が見てみたい!

み「わたしは、初代の方のCD持ってるんだ。
 この人は目が不自由で、ほんとに門付けで食べてたっていう本物よ」


み「北島三郎に、『風雪ながれ旅』って歌があるでしょ」


み「あのモデルが竹山よ」
あのモデルが竹山よ

み「晩年は、ニューヨークなんかにも呼ばれて行ったのよ」


律「へー。
 一流のアーティストじゃない」
み「本人は、自分のことを芸術家だとは思ってなかったでしょうけどね。
 アメリカの観客も、竹山の三味線で心を揺さぶられたみたい」
律「音楽は、言葉よりも通じるのね」
み「わたしにも通じたからね。
 とにかく、竹山の撥音を聞いてると……。
 津軽の地吹雪が見える気がした」
津軽の地吹雪

み「1度、ライブで聞いてみたかったな。
 ニューヨークっ子もたまげたろうね。
 盲目のジイさまが、三味線を弾き始めると……。
 ニューヨークのステージに、地吹雪が吹きすさぶ。
 ニューヨークタイムズが、『名匠と呼ばずして何であろう』って論評してた。
 そうそう。
 公演中の語りで、竹山は面白いことを言ってたわ。
 ここはアメリカだそうだが、自分は目が見えないので、ほんとにそうだかわからない。
 ひょっとしたら、青森の体育館じゃないかって。
 通訳されて、観客も受けてたわ。
 そういうユーモアもあった人」
律「へー。
 面白い人」

 さてさて。
 ここらで、先を急ぎましょう。
 別に急ぐ必要もないのですが……。
 途中の駅に、ネタが無いんです。
 駅名だけ並べていきます。

 『五農校前』を出ると、列車の方向が、東から北に変わります。
『五農校前』を出ると、列車の方向が、東から北に変わります

 次の駅は、『津軽飯詰(いいづめ)』。
『津軽飯詰(いいづめ)』。自販機は、何で駅舎の中に置かないのかね?
↑自販機は、何で駅舎の中に置かないのかね?

 “津軽”が冠されているということは……。
 すなわち、本家『飯詰』駅があるわけです。
 秋田県仙北郡美郷町に、奥羽本線の『飯詰』駅がありました。
 開業は、堂々の明治38年(1905年)。
 『津軽飯詰』の開業は、その25年後になります。

 『津軽飯詰』を出ると、丘陵部の緑の中を北上します。
 次の駅は、『毘沙門』。
『毘沙門』。廃線になったら、あっという間に緑に覆い尽くされるんじゃないでしょうか。
↑自然の脅威を感じます。廃線になったら、あっという間に緑に覆い尽くされるんじゃないでしょうか。両側の林は、地吹雪を防ぐ鉄道林だそうです。

 由緒有りげな駅名です。
 “毘沙門”は、近くの集落名のようです。
 調べれば、ネタがあるんだろうな。

 『毘沙門』の次が、『嘉瀬』。
『嘉瀬駅』。これは、待合室ではありません。
↑これは、待合室ではありません。事務所です。無人駅になる前は、ここで駅員さんが働いてたわけです。こんなとこで、ずーっと働けたら、幸せだよな。

 同じ字を書く『嘉瀬』という集落が、わたしの住んでる区内にもあります。
 何か意味がある地名なんでしょうか。
 そう言えば、加勢大周っていましたよね。
そう言えば、加勢大周っていましたよね

 字は違いますが。
 今、何してるんでしょう。
こんなことがあったんですね。知りませんでした。
↑こんなことがあったんですね。知りませんでした。

 なお、『津軽五所川原』から、ずっと津軽平野を走っていますが……。
 案外、標高があります。
 『津軽五所川原』で、8メートル。
 『十川』、9メートル。
 『五農校前』、15メートル。
 『津軽飯詰』、17メートル。
 『毘沙門』、14メートル。
 『嘉瀬』、13メートル。
 台地なんですかね?

 さて、『嘉瀬』を出ると、列車は盛土された上を走ります。
『嘉瀬』を出ると、列車は盛土された上を走ります

 当然、見晴らしがいいです。


 右は、津軽半島の脊梁をなす梵珠山地。
右は、津軽半島の脊梁をなす梵珠山地

 山地と言っても、せいぜい600メートルくらい。
 穏やかな峰々です。
梵珠山。標高は、468メートル。
↑梵珠山。標高は、468メートル。

 左は、どこまでも続く水田。
左は、どこまでも続く水田

 そして、金木川にかかる橋梁の向こうに……。
 2人の目的地、『金木』の町が見えてきました。

↑10:00ころから、金木の町が見えてきます。

み「おー、久しぶりに町並みが見える」
小「金木の町です」
律「なんか、あっけなかったわね」
み「たった20分だからね。
 チミも降りない?」
律「そうよ。
 そうしましょうよ。
 終点なんか行ったって、なんにもないわよ」
み「見てきたようなこと言いますな」
律「だって、この先で本州が終わりなんでしょ」
確かに、本州のどん詰まりです。<br>
↑確かに、本州のどん詰まりです。

小「何もないのは、わかってますから。
 でも、そこまで行くことに意味があるんです」
み「ほー。
 言うではないか。
 ま、仕方ない。
 旅は、出会いと別れ。
 まさに人生の縮図ですな」
まさに人生の縮図ですな

律「あんたの別れ方は、ときにえげつないけどね」
み「縁があれば、またどこかで会えるであろう。
 津軽鉄道が潰れたら、電話するからな。
 一千万、耳をそろえて払ってちょうだい」
一千万じゃ、買えません。なぜにこんなに高いのか。
↑一千万じゃ、買えません。なぜにこんなに高いのか。

小「大丈夫です。
 ボクが毎年乗りに来ますから。
 ぜったい、潰れません」
律「ほら、早く降りないと、出ちゃうわよ」
み「おー、そうじゃ。
 鈴虫の声に送られて……。
 『金木』の駅に降り立つか。
 わたしは今、津軽を旅をしてるんじゃのぅ」
わたしは今、津軽を旅をしてるんじゃのぅ

律「早くしろ!」
早くしろ!

み「さらばじゃー」
小「お元気で」
律「ボクもねー」

 さて、改札を出たら、さっそく『ぽっぽ家』さんに向かいましょう。
改札を出たら、さっそく『ぽっぽ家』さんに向かいましょう

律「新しい駅ね」
『金木駅』。外観はこんな感じ。2003年に出来ました。バリケードは、車を停めさせないため?<br>
↑外観はこんな感じ。2003年に出来ました。バリケードは、車を停めさせないため?

 ↓ちなみに、旧駅舎はこんな感じでした。
『金木駅』旧駅舎。『駅食堂』ってのがいいですよね。
↑『駅食堂』ってのがいいですよね。

み「ま、風情は無いけど……。
 食事をするには、綺麗な方がいいよな」
『金木駅』駅舎内
↑駅舎内

み「風情のある駅は、くみ取りの臭いとかしそうだからね」
こんな恐るべきトイレもありましたね(五能線『松神駅』)
↑こんな恐るべきトイレもありましたね(五能線『松神駅』)。

律「そういうこと言わないの」

 さて、お店に入りましょう。
 広々してますね。
金木駅『ぽっぽ家』。広々してますね。

み「さっきの小鉄、昼時にはここが満杯になるとか言ってたよな」
律「スゴい人気店ね。
 でも、今日は比較的空いてるわね」
み「平日は、高校生と作業員で一杯だって言ってたからね」
律「あ、今日は日曜日か」
み「今日のお客は、観光客がほとんどじゃないの?」
律「見晴らしのいい店ね」
『ぽっぽ家』の窓から撮られた写真です
↑『ぽっぽ家』の窓から撮られた写真です。

み「駅の周りが、ぐるっと見渡せるな。
 ま、見渡して大したものは無いけど」
金木駅から見た、五所川原方面。晴れてれば、岩木山が見えるのでしょうね。
↑金木駅から見た、五所川原方面。晴れてれば、岩木山が見えるのでしょうね。

律「さて、何にしようか」
み「まずは、“しじみラーメン”でしょ。
 750円。
 さすが、一番高いね」
まずは、“しじみラーメン”でしょ

律「わたしもそれにしようかな」
み「おんなじもの注文してどうするのよ。
 別なのを頼んで、半分こでしょ」
律「あ、昨日もそうだったわね」
秋田市民市場『しな蕎麦 伊藤』で食べた“ラーメン”と“そのまんま冷やし”
↑覚えてます? 秋田市民市場『しな蕎麦 伊藤』で食べた“ラーメン”と“そのまんま冷やし”。

み「それが、2人旅のいいところ。
 一度しか食べられない場所で、2種類の味を楽しめるわけだ」
律「3人なら、3種類じゃない。
 あの鉄さんがいたら、3人だったのに」
み「死んだ子の歳を数えるでない」
律「死んでないでしょ」
み「案外、ああいうのが趣味なんじゃないの?」
案外、ああいうのが趣味なんじゃないの?

律「それとこれとは別の話」
み「さて、もうひとつ、何にする?」
律「“ぽっぽラーメン”って何だろ?」
み「醤油だからダメ」
律「醤油味も、美味しいわよ」
み「“ぽっぽラーメン”は、たぶん石炭が入ってる」
クッキーが載ってるかも?
↑クッキーが載ってるかも?

律「そんなわけないでしょ」
み「一番安いから、たぶん、普通のラーメンだよ」
律「それじゃ、その下の“煮干しラーメン”」
み「それも、醤油でしょ」
律「“ぽっぽラーメン”と値段が同じよ。
 これも、普通のラーメン?」
み「同じラーメンを、名前を変えて並べてどうするの」
律「わかった。
 煮干しが載ってるのよ」
煮干しが載ってるのよ
↑ほんとに煮干しが載ってるラーメンは、ほとんど見あたりませんでした。こちらは、東京立川の『煮干しらーめん青樹』さんの“こってり煮干しらーめん”¥750。人気店だそうです。

み「そんなの、猫しか食わんわ」
そんなの、猫しか食わんわ

み「煮干しは、スープの出汁でしょ」
煮干しは、スープの出汁でしょ」

律「そう言えば小鉄くん、津軽のラーメンは煮干し出汁って言ってたわね」
津軽のラーメンは煮干し出汁って言ってたわね
↑『東京ラーメンショー』にて。

律「でもそれなら、ぜんぶのラーメンが煮干出汁ってことでしょ。
 どうしてこれだけ、“煮干しラーメン”なわけ?」
み「知らんわい」
律「やっぱり、煮干しが載ってるんじゃないの?」
み「そんなん食べたら、痛風になります」
煮干しには、プリン体が多く含まれます
↑煮干しには、プリン体が多く含まれます。

律「女性は、痛風にならないわよ」
み「とにかく、醤油味はパスね」
律「じゃ、この“味噌ラーメン”?」
み「イマイチ、ご当地もの的じゃない気がするな」
『ぽっぽ家』の“味噌ラーメン”
↑画像を探してみたら、これが大当たり。すげー美味しそうでした。

律「そしたら、その下にあるうどんやお蕎麦は?」
その下にあるうどんやお蕎麦は?

み「これは、値段からして……。
 立ち食いの店で出るのと、ほぼ同じだと思う(載せられる画像は、ほとんどありませんでした。観光客は、注文しないんでしょうね)」
律「じゃ、どうするのよ?」
み「麺類以外は、どう?」
律「親子丼に玉子丼、チャーハン」
親子丼に玉子丼、チャーハン

み「玉子丼ってのは、親子丼から鶏肉を抜いただけだな。
 値段からして」
律「あ、“しじみ定食”があるじゃない。
 しじみご飯に、しじみ汁、お新香が付いて……。
 680円」
み「“しじみラーメン”を食べるのに、しじみ汁まではいらんでしょ。
 塩分摂り過ぎ」
みそ汁は、案外少ないですね。やっぱり、ラーメンやお蕎麦では、汁を残した方がいいみたいですね。
↑みそ汁は、案外少ないですね。やっぱり、ラーメンやお蕎麦では、汁を残した方がいいみたいですね。

律「じゃ、どうするっていうのよ!」
み「“しじみごはん”だけってのがあるでしょ。
 200円。
 でもこれだと、お茶碗1杯くらいかな。
 よし、“若生こんぶおにぎり”ってのも付けよう。
 180円。
 合計、1,130円。
 一人あたま、565円になります」
律「そんな細かいの、持ってないわよ」
み「先生は、1,000円でいいです」
律「そしてら、あんたは130円じゃないの!」
み「気にするでない」
律「Suica、使えないかしら?」
JR東日本で導入されている乗車カード。新潟では、バスにも乗れて便利です。
↑JR東日本で導入されている乗車カード。新潟では、バスにも乗れて便利です。

み「券売機も無かったのに、使えるわけないだろ」
券売機も無かったのに、使えるわけないだろ

律「じゃ、クレジットカードで」
じゃ、クレジットカードで

み「使えないっつーの」
律「じゃ、ツケで」
み「一見客に、ツケが利くか!
 どうしてこう、ケチかね」
どうしてこう、ケチかね

律「どっちが!
 あんたが1,000円出せばいいでしょ」
み「よーし。
 そしたら、“しじみラーメン”は全部いただくからね。
 先生には、“しじみごはん”のしじみを3粒と、若生こんぶを1平方センチだな」
律「130円なら、もっとあるでしょ!
 “しじみごはん”が200円なんだから、130円は65%じゃないの。
 半分以上よ」
ウ「あの~。
 お決まりでしょうか?」
たぶん、こんなウェイトレスは来ません
↑たぶん、こんなウェイトレスは来ません。

み「あ、すみません。
 注文は決まってるんですが……。
 ちょっと割り勘の件で折衝中でして」
ちょっと割り勘の件で折衝中でして

律「注文だけしちゃいなさいよ」
み「さいですな。
 えーっとですね。
 “しじみラーメン”をひとつ。
 あと、“しじみごはん”と“若生こんぶおにぎり”をひとつずつ」
ウ「承りました。
 あ、このこんぶの名前ですけど……。
 “わこう”じゃなくて、“わかおい”って読むんですよ」
み「へー」
律「なんか縁起が良さそうね」
ウ「薄くて柔らかい。1年ものの昆布のことです」
こちらは、羅臼昆布ですね。“若生(わかおい)”は、全国的な言い方のようです。
↑こちらは、羅臼昆布ですね。“若生(わかおい)”は、全国的な言い方のようです。

み「食べたら、若返れるかな?」
律「無理です」
『長崎ハウステンボス』で売ってるそうです。中身は、麦焼酎。
↑『長崎ハウステンボス』で売ってるそうです。中身は、麦焼酎。

み「あ、そ。
 ところで、Suica、使えます?」
ウ「は?
 スイカはございませんけど」
“スイカアート”だそうです。芸術か、悪趣味か?
↑“スイカアート”だそうです。芸術か、悪趣味か?

み「ふむ。
 存在すら知られてないみたいですな。
 あ、注文は以上でお願いします」
ウ「はい、ありがとうございます」

律「割り勘はどうするのよ?」
み「先生の奢り」
『奢り』。金沢市にあります。
↑金沢市にあります。

律「お断り」
み「ほんとにケチなんだから。
 じゃ、立て替えといて」
律「あんたが立て替えればいいでしょ」
み「あにゃたね。
 お金で友だちなくすと思うよ」
律「友だちより、お金が大事」
友だちより、お金が大事

み「あちゃー。
 すかたない。
 それじゃ、わたしがお立て替えしましょう」
律「何書いてるの?」
み「借用書」
借用書

み「利息は、10分で1割になります」
律「ヤミ金よりヒドいじゃないの!」
み「よーし。
 じゃ、いっそのこと、賭けにしない?
 負けたほうが、綺麗さっぱり払う」
律「どんな賭けよ?」
み「“しじみラーメン”に、しじみがいくつ入ってるか?」
“しじみラーメン”に、しじみがいくつ入ってるか?

み「奇数と偶数を当てるわけ。
 丁半博打ね」
丁半博打ね

律「そんなの数えてたら、ラーメンが伸びちゃうでしょ」
み「そしたら……。
 とりあえず、麺だけ食べちゃって、“しじみごはん”で勝負しよう。
 丁半、どっち?」
律「よし、丁!」
み「丁、入りました。
 半方ないか?、半方ないか?」
半方ないか?、半方ないか?

律「あんたしかいないでしょ」
み「じゃ、わたしも丁」
律「それじゃ、勝負にならないわよ」
み「わたしは、丁が、超好きなの」
律「洒落のつもり?」
み「ていうか、半は、半端とか半ちくとか、あまりいい語感がしないじゃない」
律「じゃ、わたしが半でいいわよ。
 でもあんた、『半七捕物帳』が好きだったんじゃないの?」
でもあんた、『半七捕物帳』が好きだったんじゃないの?

み「あ。
 じゃ、わたしも半」
律「だから、2人が半じゃ、勝負にならないでしょ。
 そんなら、わたしは丁に戻すわ」
み「うーん。
 丁も捨てがたい。
 そしたら、丁半両建て!」
律「ダメに決まってるでしょ。
 そもそも、そんなことして何の意味があるのよ」
み「ぜったいに負けないではないか」
律「勝負には負けなくても……。
 テラ銭を取られるから、確実に損よ」
テラ銭を取られるから、確実に損よ

み「詳しいですな。
 やってたんじゃないの?」
律「昔、医局でちょっと……」
やってたんじゃないの?

み「ケシカラン医者!
 警察に通報せねば」
律「もう時効よ。
 じゃ、わたしが丁で、あんたが半で決まりね」
み「どうしてそう、勝負したがるかね?」
律「あんたが言ったんでしょ。
 博打で決めようって」
み「そうでした?」
ウ「お待ちどうさまでした」
み「おー、来た来た」
ウ「こちら、“しじみラーメン”になります」
こちら、“しじみラーメン”になります

律「へー。
 綺麗なラーメン」
み「あ、真ん中に置いてください。
 あ、すごい。
 気を利かせてくれて、ありがとうございます。
 分け皿まで用意していただいて」
ウ「あ、こちらは、しじみの殻入れです」
こちらは、しじみの殻入れです

み「ありゃりゃ」
ウ「あと、こちらが“しじみごはん”と……」
こちらが“しじみごはん”と……

ウ「“若生こんぶおにぎり”になります」
“若生こんぶおにぎり”になります

律「これ、すごいわね」
み「想像を越えたものが来ましたな」
想像を越えたものが来ましたな
↑この大きさを見よ!

律「緑色の春巻きって感じ?」
み「太りすぎた芋虫って感じ」
こいつらは芋虫ではなく、モリゾーとキッコロという森の精だそうです(『愛・地球博』の公式キャラ)
↑こいつらは芋虫ではなく、モリゾーとキッコロという森の精だそうです(『愛・地球博』の公式キャラ)。

律「そういうこと言わないの」
み「じゃ、勝負は後回しにして……。
 とりあえず、ラーメンからね。
 しじみのほかのトッピングは……。
 ワカメ、メンマ、ナルト」
ワカメ、メンマ、ナルト

律「あと、サヤエンドウね。
 シンプルだけど、彩りが綺麗ね。
 じゃ、わたしからいただきます」
み「ちょっと、丼ごと持っていかないでよ」
律「持ってこなきゃ食べれないでしょ」
み「真ん中に置いて、両側から食べればいいじゃない」
子供なら許せますが、大人のカップルがやってた日にゃ……
↑子供なら許せますが、大人のカップルがやってた日にゃ……。

律「そんな馬鹿な真似、出来ますか。
 ほら、その分け皿取って」
み「これは、しじみの殻入れです」
律「いいから」
み「なんでわたしが、殻入れで食わにゃならんのだ!」
律「味は一緒でしょ。
 はい、これがあなたの分」
み「麺が、3本しか入っとらん!」
これは、毛が3本
↑これは、毛が3本。

律「冗談よ」
み「あんたの場合、冗談に聞こえんわい」
律「猫舌なんでしょ。
 少しずつ、冷ましながら食べた方がいいじゃないの」
少しずつ、冷ましながら食べた方がいいじゃないの

み「おー。
 そういう、優しい心根であったか。
 って、今、思いついただろ」
律「はい、20本くらい入ったわよ」
はい、20本くらい入ったわよ

律「スープも、レンゲに3杯」
スープも、レンゲに3杯

律「どうぞ、召し上がれ」
み「具が入っとらん!」
律「まぁ、贅沢な人。
 それじゃ、はい、しじみをふたつあげます」
み「身が入っとらん!」
律「いいじゃない。
 どうせ、殻入れなんだから」
どうせ、殻入れなんだから

み「ここまで性悪だとは思わなんだ」
律「小さい入れ物なんだから、そんなに入らないでしょ。
 空になったら、どんどん足してあげるわよ。
 ほら、もう冷めたんじゃない」
み「よし。
 ずるずる~。
 はい、おかわり」
律「あんたね。
 わんこそばじゃないんだから」
わんこそばじゃないんだから

律「もっと味わって食べなさいよ」
み「味わえるほど入ってないわい」
律「じゃ、わたしが味わってあげる」
み「なんじゃそりゃ」
律「もぐもぐ。
 ほんと、さっぱりしたラーメン。
 これなら、二日酔いの朝にもいけるわ」
み「あんたね。
 もっと美味しそうに食べなさいよ。
 何でそう、もさもさ手繰るわけ」
律「音が立つじゃないの」
パリジェンヌのラーメンの食べ方。こんなして食べて、ウマいのか? スープが絡まんではないか。
↑パリジェンヌのラーメンの食べ方。こんなして食べて、ウマいのか? スープが絡まんではないか。

み「日本の麺は、音を立てて食べるの!
 汁が3メートルくらい飛んでいいの」
汁が3メートルくらい飛んでいいの

律「指導教授から、教えられたのよ。
 学会で向こうに行く機会もあるから……。
 普段から、音を立てずに食べる練習をしておきなさいって。
 どんなに優秀な医者でも、食事マナーが不調法だと尊敬されないんだって」
江田島海軍兵学校では、テーブルマナーの授業があったそうです
↑江田島海軍兵学校では、テーブルマナーの授業があったそうです。

み「アメリカで、ラーメンを食わなきゃいいだろ。
 ほら、小鉢が空だって言ってるでしょ。
 早くよそって」
律「鉢を叩かないで!
 下品な人ね。
 はい、じゃ、もう7本」
み「数えるな!」
律「ほら、入ったわよ」
み「具が入っとらん!」
律「溢れるでしょ。
 それ食べたら入れてあげる」
み「よーし。
 見ちょれ。
 これが、ジャパニーズラーメンマナーじゃ。
 ず、ず、ずびずびずびずび」
これで、汁飛びを防ぎましょう
↑これで、汁飛びを防ぎましょう。

み「ぷふぁ~」
わたしも、鍋のまま食べたことはありますが……。こういう蓋の使い方は思いつきませんでした。脱帽。
↑わたしも、鍋のまま食べたことはありますが……。こういう蓋の使い方は思いつきませんでした。脱帽。

律「お下品。
 絶対、あんたとは海外旅行しません」
み「外国なんか、行きとうないわい。
 迷子になったら大変じゃ」
わたしは、中学校からの帰り道で迷子になったことがあります。マジに泣きそうでした。
↑わたしは、中学校からの帰り道で迷子になったことがあります。マジに泣きそうでした。

律「アメリカじゃね、日本人が食事を始めると……。
 レストランの天井が落ちるって言われてるのよ。
 大音響で食べるから」
み「大げさな。
 単なるアメリカンジョークでしょ。
 早く、具を入れて。
 具は半分ずつだからね」
具は半分ずつだからね

律「ナルトは1枚しか無いわよ。
 半分にする?」
み「そんなみみっちい真似しなくていいわい。
 ナルトは、先生にあげます。
 その代わり、しじみを全部ちょうだい」
その代わり、しじみを全部ちょうだい

律「馬鹿いいなさい。
 しじみは、肝臓の友よ」
しじみは、肝臓の友よ

律「メンマなら、1本あげます」
み「いい加減、疲れない?」
律「そんなら、わたしがいただきます。
 つるつる~」
つるつる~

み「なぜ、そうなる!
 しかも、音立ててるし」
律「あー、美味しい。
 滋味だわ。
 肝臓に効いてるって感じ」
肝臓に効いてるって感じ

み「早く、よこせ」
律「もう少し味わったら、丼ごとあげるわよ」
み「空になるではないか!
 くそ。
 それなら、わたしはこのおにぎりをいただきます」
それなら、わたしはこのおにぎりをいただきます
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