2014.5.17(土)
律「お花見くらい、ちゃんと切符買って来ればいいの」
小「そうですよ」
み「JRと津軽鉄道の半分だけじゃ、さほどお得感が無いではないか」
小「バスも乗れるんですよ」
み「そうなの?
それを早く言いなさい」
小「さっき、言いましたけど」
み「相手が聞いてなかったら、言ったことにならんぞ」
律「なに威張ってんのよ。
聞いてない方が悪いでしょ」
み「じゃ、先生聞いてた?」
律「聞いてないけど」
み「同じじゃない」
律「違うわよ。
わたしは威張ってないもの」
み「まぁいい。
バスは、どこまで乗れるんだ?
東京までとか?」
↑弘南バスのパンダ号。5,000円だそうです。JRより、そうとうお得です。
小「乗れるわけ無いです。
2,000円なんですよ」
み「新潟までは?」
小「あり得ませんって。
第一、高速道も繋がってないじゃないですか」
み「よく知ってるな」
小「地図見るの、大好きですから」
み「将来は、不動産屋だな」
小「とにかく!
乗れるバスは、弘南バスだけです」
み「聞いたことないぞ」
小「弘前のバス会社です。
弘南鉄道っていう鉄道もあるんですよ。
もちろん、この鉄道もフリーパスで乗れます」
↑『いなかぜ』。いかにも、ど田舎を走りますという名前だの。
み「弘南バスに掛けあって、新潟まで行ってもらえんか」
小「行けませんって。
弘前市内でも、十分楽しめますよ」
み「ま、それは否定せんがな。
弘前は城下町だろ」
小「綺麗なお城があります」
み「みあのお城って、再建された建物なのか?
ちょっと、スマホで引いてみ」
小「えーっと。
慶長16年に築城され……。
天守や櫓、城門、水濠などが当時のまま残る全国的に希少な城だそうです」
み「慶長16年って、いつだ?
エラく古くない?」
小「1611年だそうです」
み「どしえー。
400年前じゃん。
弘前城のサクラは、全国的に有名だよな」
小「よく知ってますね」
み「当たり前じゃ。
しかし、サクラとお城って、どうしてあんなに似合うかね」
律「新潟にもあるの?」
み「高田城のサクラが有名だよ。
夜桜のライトアップもやってる」
み「サクラは散りざまがいさぎいいから……。
武士道に通じるところがあるのかも」
↑ちーっと、鼻持ちならん気配がしますね。肥たご、頭からかけちゃろか。
み「敷島のぉ~」
↑そういう銘柄のタバコもありました。
律「何よ、いきなり唸りだして」
み「知らんのか?
有名な和歌。
『敷島の大和心を人問わば朝日に匂う山桜花』」
律「誰の歌?」
み「有名な人です」
律「蝉丸?」
↑なんじゃ、この歌は。人を舐めとんのか!
み「違うわい!
なんで蝉丸なんじゃ」
律「その人しか知らないもの。
変な名前だから覚えてた」
み「本居宣長です」
律「森永製菓の人?」
↑キョロちゃんの着ぐるみ。異様です。
み「日本史を舐めとんのか!
有名な国学者だろ。
神風特別攻撃隊は知ってる?」
律「なんでいきなり、そこに話が飛ぶの?
特攻隊でしょ?」
み「左様。
その攻撃隊の名前が、この本居宣長の歌を元に……。
『敷島隊』『大和隊』『朝日隊』『山桜隊』と名付けられたわけだ」
↑『永遠のゼロ』。見たい映画の一つです。
律「悲惨よね」
み「散るためだけに付けられた名前ってこと」
律「こういう話、やめない?」
み「そもそも何で、特攻隊の話をしてるんだ?」
律「自分で始めたんでしょ」
小「サクラは、散り際がいさぎいいからって」
み「あ、そっからか。
お城には、どうしてサクラが似合うかって話だったな。
わたしにとってのお城は、鶴ヶ城なんだよね」
律「新潟にそんなお城があるの?」
み「新潟じゃござんせん。
会津若松です」
律「なんで、福島県のお城なわけ?」
み「新潟市の小学校では、会津に修学旅行に行くところが多かったの」
↑こちらは、長岡市内の小学校です。
み「今は、佐渡に変わったみたいだけどね」
↑どちらの小学校か、書いてませんでした。でも、救命胴衣を着けなくて大丈夫なの? わたしなら絶対、乗船拒否ですね。
律「何で変わったの?」
み「さー。
やっぱり、同じ県内に金を落とせという方針なんじゃないの?」
律「セコい話」
み「まぁな。
しかし、会津の修学旅行には、いい思い出がないんだよな」
律「おねしょしたとか?」
み「するかい!
小6だぞ。
でも、生理現象ではあったな」
律「まさか……。
大きい方?」
み「せんわい!
ゲロです。
ゲロゲロ」
律「拾い食いでもしたんでしょ」
み「犬じゃないっての!」
↑拾い食い防止用の口輪。いろんなアイテムがあるものです。
み「バスに酔ったんです」
↑心配されると、よけいに気持ち悪くなります。ほっといてと言いたかった。
み「会津の方って、山道なわけよ。
観光バスは、クラクションじゃなくて……。
サスペンションが効いてるから、ふわふわ揺れるわけ。
もう、完全KOだったわ」
律「それは、お気の毒」
み「飯盛山の駐車場で、やっとバスを降りられて……。
真っ青な幽霊みたいな顔で、土産物を買った」
み「駐車場に戻ったんだけど、またバスに乗るのかと思うと……。
恐怖に近い感情を覚えた。
そんなとき、土産物を買った男子に取り囲まれたわけ」
律「何でよ?」
み「わたしは、アイドル並みに人気があったから」
↑こういう囲まれかたもあります。
律「ウソおっしゃい」
み「わかる?」
律「誰でもわかるわ」
み「失敬なやつ。
男子はみんな、土産物の刀を買ってたわけ。
刃はもちろん、鞘から鍔から……。
ぜんぶバルサみたいな白木で出来た、ちゃちな刀よ」
↑これです!
み「それでも、木刀と違って、ちゃんと鞘から刃が抜けるのよ」
み「で、バカ男子どもは、腰のベルトに鞘を差して、全員抜刀してるわけ」
み「取り囲まれて、メッタ斬りにされました」
律「わはは」
み「ま、痛くはないんだけどね。
痛いほどの力で当てたら、間違いなく刃のほうが折れるから。
中には、わたしの頭に刃をあてて、ギコギコのこぎりみたいに引くヤツまでいた」
↑葛飾北斎/富嶽三十六景『遠江山中(一部)』
み「腹立たしい思い出です」
律「あんたらしいわ」
み「あ。
土産物屋と修学旅行で、思い出した話がある。
これは、わたしの体験じゃないんだけどね。
テレビで誰かがしゃべってたんだっけかな?
場所は日光だったか、どこだったか忘れたけど、やっぱり時代劇っぽい観光地」
↑日光江戸村
み「そこには、日本各地から、高校の修学旅行が来るわけよ。
ところが、ガラの悪い高校同士が顔を合わせると、たいがい喧嘩になるわけ」
み「あるとき、神社の境内かどこかで果たし合いをやることになったんだって。
両校とも、味方を集めるために、土産物屋を覗いてた生徒たちに伝令が走った。
で、聞きつけた生徒たちは、現場に駆けつけるわけだけど……。
旅先なので、何の得物も持ってない。
空手で飛びこんでは危ないと思い、あたりを見回すと……。
土産物屋に木刀が売ってた」
み「よしこれだってんで、次々と木刀を買って、現場に走って行ったわけ。
でも、木刀の在庫がそんなにはなかったのよ。
最後のひとりの前で、売り切れ。
買いそびれた生徒は困った。
自分だけ素手じゃ、危ない。
で、木刀代わりに何かないかと、土産物屋を見回した。
武器になりそうなのは、ひとつしか無かった。
何だと思う?」
律「さー」
み「十手よ」
み「で、果たし合いの神社に、十手を持って駆けつけたわけ。
現場では、両校、木刀を構えて睨み合ってた。
その真ん中に、十手を持って飛びこんだわけね」
み「あわれ、その生徒は……。
『ふざけた野郎だ』と、敵からも味方からもボコボコにされたとさ。
ま、おかげで果たし合いの方は流れてしまったらしいけどね。
この十手男の話は、両校で長く語り継がれたそうよ」
律「どうして、そういうバカ話ばっかり知ってるのかしら」
み「語り部と呼んでくれ」
律「あんたがおばあさんになったら、そこら中の子供つかまえて、法螺話ばっかりしてるかもね」
み「そういうバアさんもいいもんだのぅ。
ところで、お腹空かない?」
律「着くの何時?」
み「発車が12時35分だったから……。
金木に着くと、1時近くだな」
小「金木着は、12:56分です」
み「うむ。
斜陽館に行く前に、腹ごしらえだな。
チミ、『金木駅』近辺でいいお店知らない?」
小「ちょっと調べてみます。
えーっと、ラーメンなんかはどうです?」
み「おー、いいね。
夕食を美味しく食べたいから……。
お昼は、ヘビーじゃない方がいい」
小「金木観光物産館に、『はな』ってお店がありますね」
↑メニューは豊富なようです。
小「『太宰らうめん』が名物みたいです」
↑緑はみじん切りの万能ネギ、黒はワカメです。
み「なんじゃそれ?」
小「根曲がり竹が入ってるそうです」
み「竹なんか、噛めないではないか」
小「もちろん、タケノコですよ」
み「それを早くいいなさい」
律「普通、わかるわよ」
み「丼の真ん中から、タケノコがドカーンと抜き出てるとか?」
小「この写真で見ると、人の指くらいのタケノコです。
ちょうど、5本入ってますし」
み「キミの悪い例えをすな」
↑そう思ってみると、骸骨の指にも……。
小「場所も、斜陽館のすぐ近くですよ」
↑赤文字は、郷土料理が食べられるお店です。
み「斜陽館って、どうやって行くの?」
小「バスも出てるみたいですけど……。
駅から歩いても、7分です」
↑斜陽館の起し絵。家の前で、太宰がバスを待ってますね。
み「おー、近いではないか。
ところで、『太宰らうめん』のスープは、塩?」
小「醤油スープですね」
↑『太宰らうめん』は、新青森駅でも食べられます。実はこちら、新青森駅のお食事処『めぇ』さんの画像です。
み「醤油はなぁ。
イマイチじゃのぅ」
律「美味しいじゃないの」
み「塩はないのけ?」
小「あ、塩ラーメンなら……。
金木駅の2階にある『ぽっぽ家』さんがお勧めです」
み「駅の2階か。
そりゃ重宝じゃ」
小「塩味の“しじみラーメン”が名物です」
み「それだ!
十三湖まで行かなくても、食べれるんでないか。
でも、駅にあるってことは、立ち食い?」
小「いえ。
ちゃんと席がありますよ。
結構大きいみたいです。
画像を見ると、テーブルが10くらい並んでますね」
↑あんまり風情はありません。
み「ほー。
ま、駅の2階なら、だだっ広いだろうからね。
座れないことは無さそうだな」
小「大丈夫とは思いますけど……。
お昼どきは、満席の日もあるそうです」
み「休みの日?」
小「いえ。
平日ですね。
高校生とか、作業員みたいな人で一杯だって書いてあります」
み「ほー。
ジモティーで賑わってるということは、コスパがいい証拠だな。
よし、ここに決め」
小「ぜひ、“しじみラーメン”を食べて来てください」
小「煮干しスープとの相性がばっちりなんだそうです」
み「その歳で、ラーメンの方も通なのか?」
小「お父さんが好きなんです。
ここのも食べたことあるって。
いちいちウンチクを垂れるんで、ちょっとうるさいですけど」
み「ま、聞いてやりなさいって。
津軽のラーメンの特徴はなに?」
「煮干しスープと縮れた細麺です」
↑縮れ具合、良し!
み「おー。
細麺好きなのよ。
でも、縮れた細麺って、インスタントラーメンみたいだな。
自分とこで打ってるの?」
小「お父さんは、業務用の麺だって言ってました」
み「ま、いいわい。
こだわり過ぎのラーメン屋ってのは、あんまり好きでない」
小「美味しかったそうですよ。
あっさりしてて」
み「小学生が、あっさり味を褒めてどうする。
でも、わたしはラーメンのスープを残さない主義なので……」
み「あっさりなのは好都合じゃ」
律「スープは残しなさい。
血圧に悪いわよ」
み「ラーメンなんか、年に何回も食べないんだから……。
たまに食べるときくらい、飲ませていただきます。
スープを飲み干すのは、学生時代に染み付いたサガなのじゃ」
律「何でそんなサガが身につくのよ」
み「貧乏だったからね。
夕食が、袋ラーメン半個なんてこともあったの」
↑これが好きどした。
み「普通に食べたら、お腹一杯にならないでしょ。
だから、小鍋いっぱいのお湯で煮るのよ」
↑さすがに、ここまで大鍋ではござらんかった。
み「でもって、スープをぜんぶ飲み干す。
たっぷんたっぷんだけど、空腹感は無くなる」
み「その勢いで寝てしまうわけ。
夜中におしっこに起きると、お腹ぺっちゃんこになるけどね」
律「呆れた。
アルバイトとか、してなかったの?」
み「働くくらいなら……。
お腹空いてた方がいい」
律「ただの怠け者ね」
み「1度、ダイレクトメール配りのバイトをしたことがあるけど……。
あれには、参った」
律「どうして?」
み「量が半端じゃないわけ」
み「わたしが担当させられたのは、足立区の住宅街だったんだけど……。
小さい家がびっしり並んでて、往生しました。
団地なんかでは、ドアのポストに入れるよう指示されてたけど……」
み「とてもじゃないけど、そんなことしれられまへん。
エントランスの集合ポストに投げ込みよ」
律「契約違反じゃないの」
み「発注会社だって、いちいちチェックなんかできませんがな。
とにかく、1日歩きづめだから、ヘトヘト。
それが、2日あったの。
よっぽど1日で止めようと思ったけど……。
バイト代は2日目に払われるから、休めばタダ働きよ。
もう、2日目の夕方は、足が進まなくなった。
80過ぎのジイさまに追い越される始末」
律「情けない」
み「働くより、腹空かして寝てる方がマシだと、つくずく思ったね」
律「ボク、こんな人の真似しちゃダメよ」
小「はい」
み「即答すな!」
律「あ、ほんとだ。
田んぼばっかりになってきた」
み「秋の津軽平野を走ってるんだなぁ」
律「しみじみするわね」
み「真冬はここを、地吹雪が通うわけだ」
み「住みたない!」
律「ほんと、大変な暮らしよね」
み「あ、停車だ」
小「『五農校前』です」
み「バス停みたいな駅名だな。
五農校って、五所川原農林?」
小「そうです」
↑校舎はわりとモダンです。
み「インパクトのある高校名として、間違いなくベスト5に入るね。
正攻法のインパクトだな。
中には、とんでもねー名前の高校もあるからね」
律「どんな?」
み「スマホで引いてみ。
キーワードは、“変わった学校名”
どう?」
小「スゴいのがありますね」
み「どんな?」
小「これ、何て読むんですか?」
み「見せてみ。
ほー。
こりゃスゴい。
『聖隷クリストファー高校』」
↑ほんとうにあります。
律「どこにあるの?、そんな学校」
み「浜松だって。
うなぎ、食っていいのかな?」
↑『うなぎの骨の唐揚げ』。東京にいたころ、スーパーの惣菜で、ときどき買いました。
律「知らないわよ」
み「あとは……。
マジか、これ。
『聖母の騎士高校』」
↑しつこいようですが、実在します。
律「漫画の話じゃないの?」
み「長崎の男子校だよ。
学生寮があるみたい。
なんか、アブネー世界なんじゃないの?」
律「ほかには?」
み「『咲くやこの花高校』」
律「何それ?」
み「これは、公立だよ。
大阪市立の中高一貫校だって」
律「何で、そんな名前になったの?」
み「古今和歌集に、『難波津に咲くやこの花冬ごもり今は春べと咲くやこの花』って歌があるそうな」
み「この歌が元みたい。
学校が此花区にあるってことかららしい」
律「大胆な名前、付けたわね」
み「ま、普通をよしとしないという発想は評価できる。
大阪の公立には、妙なのがあるみたいだね。
『枚方なぎさ高校』」
み「こちらは、堂々の府立高校」
律「なんで、なぎさなの?」
み「片平なぎさの出身校じゃ……」
み「ないよな」
律「海辺にあるのかしら?」
み「地図見ると……。
淀川沿いだけど、河口からはかなり遡ってるな」
律「男子は、入りづらいんじゃないの?」
み「男子柔道部とかは、なかなか厳しいだろうな。
相手の高校が、ばかうけだろ」
↑新潟市北区『新潟せんべい王国』にあります。
律「まだあるの?」
み「和歌山の県立高校で、スゴいのがあったぞ。
その名も、『耐久高等学校』」
み「ル・マンかよ!」
律「知事が付けたのかしら?」
み「これは逆に、歴史が超古い学校だね。
創設が、嘉永5年」
律「いつなの、それ?」
み「1852年。
その時できたのが、『耐久舎』っていう稽古場なんだとか」
律「ほかは?
一気にいっちゃって」
み「『サイエンスフロンティア高校(横浜市立)』。
『プール学院高校(大阪私立)』。
『六甲アイランド高校(神戸市立)』。
『幸福の科学学園(滋賀私立)』。
『聖心ウルスラ学園(宮崎私立)』。
『大阪ビジネスフロンティア高校(大阪市立)』。
『アレセイア湘南高校(神奈川私立)』。
キてますねー。
でもよく考えたら、『PL学園』なんてのもその先駆だよな」
↑最近、ご無沙汰ですね。
律「中学のとき、『ピエール学園』って言ってた子がいたわね」
↑ムッシュ・ピエールだそうです(マジシャン)。知らん……。
み「先生じゃないの?」
律「違います」
み「ま、これらに比べたら……。
五所川原農林ってのは、まさに正攻法のインパクトだね」
↑やっぱり、やることが違います。
み「相撲が強いんだろ?」
小「お父さんが読んでる漫画にあったような……」
み「それ、『うっちゃれ五所瓦』じゃないの?」
小「たぶんそうです」
み「高校は、五所川原農林なんだっけ?」
小「さー」
↑武蔵山高校です。
み「チミ、津軽鉄道に入社するんなら、五所川原農林に入りなさい」
律「東大に入れないじゃないの」
み「失敬な。
五所川原農林をバカにするのか」
↑全校田植え大会の様子。5学科対抗戦だそうです。良かですなぁ。
律「バカにしてないけど……。
実業学校からは無理でしょ」
↑萌えます! 足の太さが、なんともいえず良かです!
み「相撲で推薦入学すればいい」
律「東大に相撲で入れっこないでしょ」
↑なんと、体育会の相撲部がありました。
み「野球は?」
律「野球もダメ。
スポーツ入学の枠があるんなら、六大学野球であんなに敗けてばかりいないわ」
↑現在、72連敗中。
み「なんで、六大学には2部が無いのかね?」
律「大学が6つしか無いからでしょ」
み「東都大学リーグとかは、2部もあるじゃない」
↑なんと、4部まであります。4部には、一橋大と東工大が入ってます。東大もここに入れば、超高偏差値リーグが出来るんでないの?
律「六大学じゃ無いからでしょ」
み「お茶の水女子大を入れれば……」
↑初代学長。
み「東大も勝てるんじゃないか?」
律「そうとうバカにしてるわね」
み「チミ、野球できる?」
小「キャッチボールくらいなら」
み「そんなんで、東大のエースになれるか!」
小「別に、なろうと思ってませんけど」
み「じゃ、やっぱり相撲にするか。
毎日、チャンコ、10杯食え」
↑暑苦しい!
小「食べれませんよ」
み「じゃ、鈴虫食え」
↑虫寿司だそうです。ネタは、キイロスズメバチ、ジョロウグモ、ヘビトンボ、サクラケムシ、マダゴキ、ツムギアリ、ベニガラスズメ、アブラゼミ。興味のある方は、こちらを。
小「何でですか」
律「酔っ払ってるんじゃないの?
あ、わかった。
この先のこと、何にも調べてないから……。
実のあるネタが書けないんでしょ」
み「ギク!」
↑意味不明。少々疲れております。
み「とりあえず、チミ、五所川原農林をスマホで引いてみなさい。
いつ頃できた学校なの?」
↑しつこいようですが、実に良かです。
小「えーっと。
1902年ですね。
明治35年」
み「古いではないか。
創立100周年、過ぎてるし。
相撲、強いだろ?」
小「確かに……。
インターハイで、何回も優勝してます」
↑男のフンドシ画像は載せたくないので。素晴らしきおみ足。
み「OBで、関取もいるんじゃない?」
小「出羽の花という人が、番付が一番上みたいですね。
関脇になってます」
↑大相撲カードだそうです。いろんなものがあるものです。
み「知らん。
いつ頃の人?」
小「さー。
書いてません」
み「江戸時代か?」
律「そんなわけないでしょ。
明治に出来た学校なのに」
み「ほかには?」
小「将司」
み「知らん。
どんな字だ?」
小「将軍の“将”に、行司の“司”です」
み「それって、名前じゃないの?」
小「四股名だと思います(読みは、“まさつかさ”でした)」
↑八百長事件で引退してました。
み「ほかには?
ずらずらーっといっちゃて」
小「あとは、北勝岩と誉富士です」
み「“きたかついわ”って、どんな字よ?」
小「方角の“北”に、勝ち負けの“勝”。
あとは、岩波書店の“岩”です」
み「岩波書店ってのは、嫌味だな」
小「何でです?
ボク、ジュニア新書、大好きですよ」
み「おー、あれはいい本じゃな。
何冊か読んだ」
律「あんたの子供のころからあったの?」
み「いや。
読んだのは、大人になってから。
入門書としては、わたしの頭脳にぴったんこなのじゃ」
↑これは読んだことが無かった。面白そうです。
律「なるほど」
み「しかしチミ、その力士は、たぶん読み方が違うぞ」
小「どう読むんですか?」
み「たぶんそれ、北勝海(ほくとうみ)の部屋の力士じゃないの?」
み「たぶん、北勝岩(ほくといわ)だと思う」
小「へー。
よく知ってますね」
み「相撲は、昔好きだった」
律「今は?」
み「モンゴルだらけで見る気にならん」
律「差別発言じゃないの」
み「もうひとりも、たぶん読み方が違ってるぞ。
さっき、何て言った?」
小「誉富士(よふじ)です」
み「そんな名前、行事が呼びにくくてしょうがないだろ」
↑ラリアットをくらい、土俵下に飛ばされる木村庄三郎。病院に搬送されましたが、幸い無事だったそうです。
み「どんな漢字書くんだ?」
小「名誉の“誉(よ)”に、富士山の“富士”です」
み「それでは、“誉富士(ほまれふじ)”ではないか」
小「へー。
これ、“ほまれ”って読むんですか」
み「チミは、東大受ける前に、漢字検定を受けなさい。
新潟には、『越の誉』というお酒もある」
み「しかし、インターハイで何度も優勝してる割には、有名力士が少ないな。
あ、そうか。
わかった!」
律「どうわかったのよ?」
み「プロになる人は、たいてい、中学卒業で入門するのよ。
だから、高校に行く人は少ないんだ」
律「なんだ、そんなこと」
み「『五農校前』ってことは、駅前に学校があるんだろ?」
小「みたいです」
み「ぜんぜん、校舎らしきものが見えんではないか?」
↑あたりに何もない気配マンマンです。でも、どうして駅の基礎まで石垣なんでしょうね?
小「そうですよ」
み「JRと津軽鉄道の半分だけじゃ、さほどお得感が無いではないか」
小「バスも乗れるんですよ」
み「そうなの?
それを早く言いなさい」
小「さっき、言いましたけど」
み「相手が聞いてなかったら、言ったことにならんぞ」
律「なに威張ってんのよ。
聞いてない方が悪いでしょ」
み「じゃ、先生聞いてた?」
律「聞いてないけど」
み「同じじゃない」
律「違うわよ。
わたしは威張ってないもの」
み「まぁいい。
バスは、どこまで乗れるんだ?
東京までとか?」
↑弘南バスのパンダ号。5,000円だそうです。JRより、そうとうお得です。
小「乗れるわけ無いです。
2,000円なんですよ」
み「新潟までは?」
小「あり得ませんって。
第一、高速道も繋がってないじゃないですか」
み「よく知ってるな」
小「地図見るの、大好きですから」
み「将来は、不動産屋だな」
小「とにかく!
乗れるバスは、弘南バスだけです」
み「聞いたことないぞ」
小「弘前のバス会社です。
弘南鉄道っていう鉄道もあるんですよ。
もちろん、この鉄道もフリーパスで乗れます」
↑『いなかぜ』。いかにも、ど田舎を走りますという名前だの。
み「弘南バスに掛けあって、新潟まで行ってもらえんか」
小「行けませんって。
弘前市内でも、十分楽しめますよ」
み「ま、それは否定せんがな。
弘前は城下町だろ」
小「綺麗なお城があります」
み「みあのお城って、再建された建物なのか?
ちょっと、スマホで引いてみ」
小「えーっと。
慶長16年に築城され……。
天守や櫓、城門、水濠などが当時のまま残る全国的に希少な城だそうです」
み「慶長16年って、いつだ?
エラく古くない?」
小「1611年だそうです」
み「どしえー。
400年前じゃん。
弘前城のサクラは、全国的に有名だよな」
小「よく知ってますね」
み「当たり前じゃ。
しかし、サクラとお城って、どうしてあんなに似合うかね」
律「新潟にもあるの?」
み「高田城のサクラが有名だよ。
夜桜のライトアップもやってる」
み「サクラは散りざまがいさぎいいから……。
武士道に通じるところがあるのかも」
↑ちーっと、鼻持ちならん気配がしますね。肥たご、頭からかけちゃろか。
み「敷島のぉ~」
↑そういう銘柄のタバコもありました。
律「何よ、いきなり唸りだして」
み「知らんのか?
有名な和歌。
『敷島の大和心を人問わば朝日に匂う山桜花』」
律「誰の歌?」
み「有名な人です」
律「蝉丸?」
↑なんじゃ、この歌は。人を舐めとんのか!
み「違うわい!
なんで蝉丸なんじゃ」
律「その人しか知らないもの。
変な名前だから覚えてた」
み「本居宣長です」
律「森永製菓の人?」
↑キョロちゃんの着ぐるみ。異様です。
み「日本史を舐めとんのか!
有名な国学者だろ。
神風特別攻撃隊は知ってる?」
律「なんでいきなり、そこに話が飛ぶの?
特攻隊でしょ?」
み「左様。
その攻撃隊の名前が、この本居宣長の歌を元に……。
『敷島隊』『大和隊』『朝日隊』『山桜隊』と名付けられたわけだ」
↑『永遠のゼロ』。見たい映画の一つです。
律「悲惨よね」
み「散るためだけに付けられた名前ってこと」
律「こういう話、やめない?」
み「そもそも何で、特攻隊の話をしてるんだ?」
律「自分で始めたんでしょ」
小「サクラは、散り際がいさぎいいからって」
み「あ、そっからか。
お城には、どうしてサクラが似合うかって話だったな。
わたしにとってのお城は、鶴ヶ城なんだよね」
律「新潟にそんなお城があるの?」
み「新潟じゃござんせん。
会津若松です」
律「なんで、福島県のお城なわけ?」
み「新潟市の小学校では、会津に修学旅行に行くところが多かったの」
↑こちらは、長岡市内の小学校です。
み「今は、佐渡に変わったみたいだけどね」
↑どちらの小学校か、書いてませんでした。でも、救命胴衣を着けなくて大丈夫なの? わたしなら絶対、乗船拒否ですね。
律「何で変わったの?」
み「さー。
やっぱり、同じ県内に金を落とせという方針なんじゃないの?」
律「セコい話」
み「まぁな。
しかし、会津の修学旅行には、いい思い出がないんだよな」
律「おねしょしたとか?」
み「するかい!
小6だぞ。
でも、生理現象ではあったな」
律「まさか……。
大きい方?」
み「せんわい!
ゲロです。
ゲロゲロ」
律「拾い食いでもしたんでしょ」
み「犬じゃないっての!」
↑拾い食い防止用の口輪。いろんなアイテムがあるものです。
み「バスに酔ったんです」
↑心配されると、よけいに気持ち悪くなります。ほっといてと言いたかった。
み「会津の方って、山道なわけよ。
観光バスは、クラクションじゃなくて……。
サスペンションが効いてるから、ふわふわ揺れるわけ。
もう、完全KOだったわ」
律「それは、お気の毒」
み「飯盛山の駐車場で、やっとバスを降りられて……。
真っ青な幽霊みたいな顔で、土産物を買った」
み「駐車場に戻ったんだけど、またバスに乗るのかと思うと……。
恐怖に近い感情を覚えた。
そんなとき、土産物を買った男子に取り囲まれたわけ」
律「何でよ?」
み「わたしは、アイドル並みに人気があったから」
↑こういう囲まれかたもあります。
律「ウソおっしゃい」
み「わかる?」
律「誰でもわかるわ」
み「失敬なやつ。
男子はみんな、土産物の刀を買ってたわけ。
刃はもちろん、鞘から鍔から……。
ぜんぶバルサみたいな白木で出来た、ちゃちな刀よ」
↑これです!
み「それでも、木刀と違って、ちゃんと鞘から刃が抜けるのよ」
み「で、バカ男子どもは、腰のベルトに鞘を差して、全員抜刀してるわけ」
み「取り囲まれて、メッタ斬りにされました」
律「わはは」
み「ま、痛くはないんだけどね。
痛いほどの力で当てたら、間違いなく刃のほうが折れるから。
中には、わたしの頭に刃をあてて、ギコギコのこぎりみたいに引くヤツまでいた」
↑葛飾北斎/富嶽三十六景『遠江山中(一部)』
み「腹立たしい思い出です」
律「あんたらしいわ」
み「あ。
土産物屋と修学旅行で、思い出した話がある。
これは、わたしの体験じゃないんだけどね。
テレビで誰かがしゃべってたんだっけかな?
場所は日光だったか、どこだったか忘れたけど、やっぱり時代劇っぽい観光地」
↑日光江戸村
み「そこには、日本各地から、高校の修学旅行が来るわけよ。
ところが、ガラの悪い高校同士が顔を合わせると、たいがい喧嘩になるわけ」
み「あるとき、神社の境内かどこかで果たし合いをやることになったんだって。
両校とも、味方を集めるために、土産物屋を覗いてた生徒たちに伝令が走った。
で、聞きつけた生徒たちは、現場に駆けつけるわけだけど……。
旅先なので、何の得物も持ってない。
空手で飛びこんでは危ないと思い、あたりを見回すと……。
土産物屋に木刀が売ってた」
み「よしこれだってんで、次々と木刀を買って、現場に走って行ったわけ。
でも、木刀の在庫がそんなにはなかったのよ。
最後のひとりの前で、売り切れ。
買いそびれた生徒は困った。
自分だけ素手じゃ、危ない。
で、木刀代わりに何かないかと、土産物屋を見回した。
武器になりそうなのは、ひとつしか無かった。
何だと思う?」
律「さー」
み「十手よ」
み「で、果たし合いの神社に、十手を持って駆けつけたわけ。
現場では、両校、木刀を構えて睨み合ってた。
その真ん中に、十手を持って飛びこんだわけね」
み「あわれ、その生徒は……。
『ふざけた野郎だ』と、敵からも味方からもボコボコにされたとさ。
ま、おかげで果たし合いの方は流れてしまったらしいけどね。
この十手男の話は、両校で長く語り継がれたそうよ」
律「どうして、そういうバカ話ばっかり知ってるのかしら」
み「語り部と呼んでくれ」
律「あんたがおばあさんになったら、そこら中の子供つかまえて、法螺話ばっかりしてるかもね」
み「そういうバアさんもいいもんだのぅ。
ところで、お腹空かない?」
律「着くの何時?」
み「発車が12時35分だったから……。
金木に着くと、1時近くだな」
小「金木着は、12:56分です」
み「うむ。
斜陽館に行く前に、腹ごしらえだな。
チミ、『金木駅』近辺でいいお店知らない?」
小「ちょっと調べてみます。
えーっと、ラーメンなんかはどうです?」
み「おー、いいね。
夕食を美味しく食べたいから……。
お昼は、ヘビーじゃない方がいい」
小「金木観光物産館に、『はな』ってお店がありますね」
↑メニューは豊富なようです。
小「『太宰らうめん』が名物みたいです」
↑緑はみじん切りの万能ネギ、黒はワカメです。
み「なんじゃそれ?」
小「根曲がり竹が入ってるそうです」
み「竹なんか、噛めないではないか」
小「もちろん、タケノコですよ」
み「それを早くいいなさい」
律「普通、わかるわよ」
み「丼の真ん中から、タケノコがドカーンと抜き出てるとか?」
小「この写真で見ると、人の指くらいのタケノコです。
ちょうど、5本入ってますし」
み「キミの悪い例えをすな」
↑そう思ってみると、骸骨の指にも……。
小「場所も、斜陽館のすぐ近くですよ」
↑赤文字は、郷土料理が食べられるお店です。
み「斜陽館って、どうやって行くの?」
小「バスも出てるみたいですけど……。
駅から歩いても、7分です」
↑斜陽館の起し絵。家の前で、太宰がバスを待ってますね。
み「おー、近いではないか。
ところで、『太宰らうめん』のスープは、塩?」
小「醤油スープですね」
↑『太宰らうめん』は、新青森駅でも食べられます。実はこちら、新青森駅のお食事処『めぇ』さんの画像です。
み「醤油はなぁ。
イマイチじゃのぅ」
律「美味しいじゃないの」
み「塩はないのけ?」
小「あ、塩ラーメンなら……。
金木駅の2階にある『ぽっぽ家』さんがお勧めです」
み「駅の2階か。
そりゃ重宝じゃ」
小「塩味の“しじみラーメン”が名物です」
み「それだ!
十三湖まで行かなくても、食べれるんでないか。
でも、駅にあるってことは、立ち食い?」
小「いえ。
ちゃんと席がありますよ。
結構大きいみたいです。
画像を見ると、テーブルが10くらい並んでますね」
↑あんまり風情はありません。
み「ほー。
ま、駅の2階なら、だだっ広いだろうからね。
座れないことは無さそうだな」
小「大丈夫とは思いますけど……。
お昼どきは、満席の日もあるそうです」
み「休みの日?」
小「いえ。
平日ですね。
高校生とか、作業員みたいな人で一杯だって書いてあります」
み「ほー。
ジモティーで賑わってるということは、コスパがいい証拠だな。
よし、ここに決め」
小「ぜひ、“しじみラーメン”を食べて来てください」
小「煮干しスープとの相性がばっちりなんだそうです」
み「その歳で、ラーメンの方も通なのか?」
小「お父さんが好きなんです。
ここのも食べたことあるって。
いちいちウンチクを垂れるんで、ちょっとうるさいですけど」
み「ま、聞いてやりなさいって。
津軽のラーメンの特徴はなに?」
「煮干しスープと縮れた細麺です」
↑縮れ具合、良し!
み「おー。
細麺好きなのよ。
でも、縮れた細麺って、インスタントラーメンみたいだな。
自分とこで打ってるの?」
小「お父さんは、業務用の麺だって言ってました」
み「ま、いいわい。
こだわり過ぎのラーメン屋ってのは、あんまり好きでない」
小「美味しかったそうですよ。
あっさりしてて」
み「小学生が、あっさり味を褒めてどうする。
でも、わたしはラーメンのスープを残さない主義なので……」
み「あっさりなのは好都合じゃ」
律「スープは残しなさい。
血圧に悪いわよ」
み「ラーメンなんか、年に何回も食べないんだから……。
たまに食べるときくらい、飲ませていただきます。
スープを飲み干すのは、学生時代に染み付いたサガなのじゃ」
律「何でそんなサガが身につくのよ」
み「貧乏だったからね。
夕食が、袋ラーメン半個なんてこともあったの」
↑これが好きどした。
み「普通に食べたら、お腹一杯にならないでしょ。
だから、小鍋いっぱいのお湯で煮るのよ」
↑さすがに、ここまで大鍋ではござらんかった。
み「でもって、スープをぜんぶ飲み干す。
たっぷんたっぷんだけど、空腹感は無くなる」
み「その勢いで寝てしまうわけ。
夜中におしっこに起きると、お腹ぺっちゃんこになるけどね」
律「呆れた。
アルバイトとか、してなかったの?」
み「働くくらいなら……。
お腹空いてた方がいい」
律「ただの怠け者ね」
み「1度、ダイレクトメール配りのバイトをしたことがあるけど……。
あれには、参った」
律「どうして?」
み「量が半端じゃないわけ」
み「わたしが担当させられたのは、足立区の住宅街だったんだけど……。
小さい家がびっしり並んでて、往生しました。
団地なんかでは、ドアのポストに入れるよう指示されてたけど……」
み「とてもじゃないけど、そんなことしれられまへん。
エントランスの集合ポストに投げ込みよ」
律「契約違反じゃないの」
み「発注会社だって、いちいちチェックなんかできませんがな。
とにかく、1日歩きづめだから、ヘトヘト。
それが、2日あったの。
よっぽど1日で止めようと思ったけど……。
バイト代は2日目に払われるから、休めばタダ働きよ。
もう、2日目の夕方は、足が進まなくなった。
80過ぎのジイさまに追い越される始末」
律「情けない」
み「働くより、腹空かして寝てる方がマシだと、つくずく思ったね」
律「ボク、こんな人の真似しちゃダメよ」
小「はい」
み「即答すな!」
律「あ、ほんとだ。
田んぼばっかりになってきた」
み「秋の津軽平野を走ってるんだなぁ」
律「しみじみするわね」
み「真冬はここを、地吹雪が通うわけだ」
み「住みたない!」
律「ほんと、大変な暮らしよね」
み「あ、停車だ」
小「『五農校前』です」
み「バス停みたいな駅名だな。
五農校って、五所川原農林?」
小「そうです」
↑校舎はわりとモダンです。
み「インパクトのある高校名として、間違いなくベスト5に入るね。
正攻法のインパクトだな。
中には、とんでもねー名前の高校もあるからね」
律「どんな?」
み「スマホで引いてみ。
キーワードは、“変わった学校名”
どう?」
小「スゴいのがありますね」
み「どんな?」
小「これ、何て読むんですか?」
み「見せてみ。
ほー。
こりゃスゴい。
『聖隷クリストファー高校』」
↑ほんとうにあります。
律「どこにあるの?、そんな学校」
み「浜松だって。
うなぎ、食っていいのかな?」
↑『うなぎの骨の唐揚げ』。東京にいたころ、スーパーの惣菜で、ときどき買いました。
律「知らないわよ」
み「あとは……。
マジか、これ。
『聖母の騎士高校』」
↑しつこいようですが、実在します。
律「漫画の話じゃないの?」
み「長崎の男子校だよ。
学生寮があるみたい。
なんか、アブネー世界なんじゃないの?」
律「ほかには?」
み「『咲くやこの花高校』」
律「何それ?」
み「これは、公立だよ。
大阪市立の中高一貫校だって」
律「何で、そんな名前になったの?」
み「古今和歌集に、『難波津に咲くやこの花冬ごもり今は春べと咲くやこの花』って歌があるそうな」
み「この歌が元みたい。
学校が此花区にあるってことかららしい」
律「大胆な名前、付けたわね」
み「ま、普通をよしとしないという発想は評価できる。
大阪の公立には、妙なのがあるみたいだね。
『枚方なぎさ高校』」
み「こちらは、堂々の府立高校」
律「なんで、なぎさなの?」
み「片平なぎさの出身校じゃ……」
み「ないよな」
律「海辺にあるのかしら?」
み「地図見ると……。
淀川沿いだけど、河口からはかなり遡ってるな」
律「男子は、入りづらいんじゃないの?」
み「男子柔道部とかは、なかなか厳しいだろうな。
相手の高校が、ばかうけだろ」
↑新潟市北区『新潟せんべい王国』にあります。
律「まだあるの?」
み「和歌山の県立高校で、スゴいのがあったぞ。
その名も、『耐久高等学校』」
み「ル・マンかよ!」
律「知事が付けたのかしら?」
み「これは逆に、歴史が超古い学校だね。
創設が、嘉永5年」
律「いつなの、それ?」
み「1852年。
その時できたのが、『耐久舎』っていう稽古場なんだとか」
律「ほかは?
一気にいっちゃって」
み「『サイエンスフロンティア高校(横浜市立)』。
『プール学院高校(大阪私立)』。
『六甲アイランド高校(神戸市立)』。
『幸福の科学学園(滋賀私立)』。
『聖心ウルスラ学園(宮崎私立)』。
『大阪ビジネスフロンティア高校(大阪市立)』。
『アレセイア湘南高校(神奈川私立)』。
キてますねー。
でもよく考えたら、『PL学園』なんてのもその先駆だよな」
↑最近、ご無沙汰ですね。
律「中学のとき、『ピエール学園』って言ってた子がいたわね」
↑ムッシュ・ピエールだそうです(マジシャン)。知らん……。
み「先生じゃないの?」
律「違います」
み「ま、これらに比べたら……。
五所川原農林ってのは、まさに正攻法のインパクトだね」
↑やっぱり、やることが違います。
み「相撲が強いんだろ?」
小「お父さんが読んでる漫画にあったような……」
み「それ、『うっちゃれ五所瓦』じゃないの?」
小「たぶんそうです」
み「高校は、五所川原農林なんだっけ?」
小「さー」
↑武蔵山高校です。
み「チミ、津軽鉄道に入社するんなら、五所川原農林に入りなさい」
律「東大に入れないじゃないの」
み「失敬な。
五所川原農林をバカにするのか」
↑全校田植え大会の様子。5学科対抗戦だそうです。良かですなぁ。
律「バカにしてないけど……。
実業学校からは無理でしょ」
↑萌えます! 足の太さが、なんともいえず良かです!
み「相撲で推薦入学すればいい」
律「東大に相撲で入れっこないでしょ」
↑なんと、体育会の相撲部がありました。
み「野球は?」
律「野球もダメ。
スポーツ入学の枠があるんなら、六大学野球であんなに敗けてばかりいないわ」
↑現在、72連敗中。
み「なんで、六大学には2部が無いのかね?」
律「大学が6つしか無いからでしょ」
み「東都大学リーグとかは、2部もあるじゃない」
↑なんと、4部まであります。4部には、一橋大と東工大が入ってます。東大もここに入れば、超高偏差値リーグが出来るんでないの?
律「六大学じゃ無いからでしょ」
み「お茶の水女子大を入れれば……」
↑初代学長。
み「東大も勝てるんじゃないか?」
律「そうとうバカにしてるわね」
み「チミ、野球できる?」
小「キャッチボールくらいなら」
み「そんなんで、東大のエースになれるか!」
小「別に、なろうと思ってませんけど」
み「じゃ、やっぱり相撲にするか。
毎日、チャンコ、10杯食え」
↑暑苦しい!
小「食べれませんよ」
み「じゃ、鈴虫食え」
↑虫寿司だそうです。ネタは、キイロスズメバチ、ジョロウグモ、ヘビトンボ、サクラケムシ、マダゴキ、ツムギアリ、ベニガラスズメ、アブラゼミ。興味のある方は、こちらを。
小「何でですか」
律「酔っ払ってるんじゃないの?
あ、わかった。
この先のこと、何にも調べてないから……。
実のあるネタが書けないんでしょ」
み「ギク!」
↑意味不明。少々疲れております。
み「とりあえず、チミ、五所川原農林をスマホで引いてみなさい。
いつ頃できた学校なの?」
↑しつこいようですが、実に良かです。
小「えーっと。
1902年ですね。
明治35年」
み「古いではないか。
創立100周年、過ぎてるし。
相撲、強いだろ?」
小「確かに……。
インターハイで、何回も優勝してます」
↑男のフンドシ画像は載せたくないので。素晴らしきおみ足。
み「OBで、関取もいるんじゃない?」
小「出羽の花という人が、番付が一番上みたいですね。
関脇になってます」
↑大相撲カードだそうです。いろんなものがあるものです。
み「知らん。
いつ頃の人?」
小「さー。
書いてません」
み「江戸時代か?」
律「そんなわけないでしょ。
明治に出来た学校なのに」
み「ほかには?」
小「将司」
み「知らん。
どんな字だ?」
小「将軍の“将”に、行司の“司”です」
み「それって、名前じゃないの?」
小「四股名だと思います(読みは、“まさつかさ”でした)」
↑八百長事件で引退してました。
み「ほかには?
ずらずらーっといっちゃて」
小「あとは、北勝岩と誉富士です」
み「“きたかついわ”って、どんな字よ?」
小「方角の“北”に、勝ち負けの“勝”。
あとは、岩波書店の“岩”です」
み「岩波書店ってのは、嫌味だな」
小「何でです?
ボク、ジュニア新書、大好きですよ」
み「おー、あれはいい本じゃな。
何冊か読んだ」
律「あんたの子供のころからあったの?」
み「いや。
読んだのは、大人になってから。
入門書としては、わたしの頭脳にぴったんこなのじゃ」
↑これは読んだことが無かった。面白そうです。
律「なるほど」
み「しかしチミ、その力士は、たぶん読み方が違うぞ」
小「どう読むんですか?」
み「たぶんそれ、北勝海(ほくとうみ)の部屋の力士じゃないの?」
み「たぶん、北勝岩(ほくといわ)だと思う」
小「へー。
よく知ってますね」
み「相撲は、昔好きだった」
律「今は?」
み「モンゴルだらけで見る気にならん」
律「差別発言じゃないの」
み「もうひとりも、たぶん読み方が違ってるぞ。
さっき、何て言った?」
小「誉富士(よふじ)です」
み「そんな名前、行事が呼びにくくてしょうがないだろ」
↑ラリアットをくらい、土俵下に飛ばされる木村庄三郎。病院に搬送されましたが、幸い無事だったそうです。
み「どんな漢字書くんだ?」
小「名誉の“誉(よ)”に、富士山の“富士”です」
み「それでは、“誉富士(ほまれふじ)”ではないか」
小「へー。
これ、“ほまれ”って読むんですか」
み「チミは、東大受ける前に、漢字検定を受けなさい。
新潟には、『越の誉』というお酒もある」
み「しかし、インターハイで何度も優勝してる割には、有名力士が少ないな。
あ、そうか。
わかった!」
律「どうわかったのよ?」
み「プロになる人は、たいてい、中学卒業で入門するのよ。
だから、高校に行く人は少ないんだ」
律「なんだ、そんなこと」
み「『五農校前』ってことは、駅前に学校があるんだろ?」
小「みたいです」
み「ぜんぜん、校舎らしきものが見えんではないか?」
↑あたりに何もない気配マンマンです。でも、どうして駅の基礎まで石垣なんでしょうね?