2014.2.8(土)
食「食べるでしょ?
立ち食いそば」
残念ながら、ホームには無いようです。
でも、改札を出た外の待合室にありました。
『気比そば あまの』。
越前は、そば処なんだそうです。
蕎麦の作付面積では、全国3位だとか(2011年)。
↑越前そばは、冬でも冷たい汁で食べるそうです。これは“おろしそば(400円)”。
ちなみに、作付面積の1位は北海道。
ダントツです。
2位は、山形県でした。
新潟県は、10位。
ベスト10に、西日本の府県は1つも入ってません。
なので、福井の3位は、ちょっと意外な感じがします。
み「金沢で食べたろ!」
食「あれは、ラーメンです。
それに、3時間も鈍行に揺られてたら、お腹空きますって」
み「胸焼けする」
食「この後、しばらく食べれませんよ」
み「まだ乗るの~」
食「当たり前でしょ。
四国まで行くんですから。
食べますね?」
み「帰りたい。
フェリーに乗る」
食「間に合いませんって。
『敦賀』着が、9:53ですよ。
フェリーは、10:00出港でしょ」
み「くそ。
丸1日待たなきゃならんのか」
食「1日じゃありませんよ。
『敦賀』発の『新潟』行きは、週1便しかありません。
1週間、待ちますか?
『敦賀』までの乗り越し料金も払わなきゃなりませんよ」
み「……。
このまま汽車に乗る」
↑『孤独』ポール・デルヴォー。わたしの好きな画家のひとり。
食「よろしい。
それじゃ、進めますよ」
み「何で、そんなに生き生きしてるのじゃ?」
食「だって、こんなにずーっと鉄道に乗ってられるんですよ。
楽しくないわけないです」
み「すでに苦行じゃ」
↑子供にとっては苦行だと思います(『鳥海山国際禅堂』/秋田県由利本荘市)。
食「行きますよ。
『敦賀』からは、新快速になります。
『敦賀』、10:23発。
北陸本線は、琵琶湖の東側を回って、『米原』まで行きますが……」
「『米原』なら、さっき行ったではないか」
「あれは、『敦賀』発10:00のフェリーに乗るって検索だったでしょ」
「あ、そうか。
ごっちゃになってた」
「この新快速は、『米原』に向かわず……。
『近江塩津』から、琵琶湖の西側を回る湖西線に入ります。
↑湖西線。『近江塩津駅(滋賀県長浜市)』~『山科駅(京都府京都市山科区)』まで。74.1km。駅数、21。
「10:39ころですね」
↑『近江塩津駅』。不思議な駅です。駅舎の上に線路が通ってるのでしょうか?
み「『近江塩津』って、滋賀県?」
食「そうです。
『近江塩津』を10:40に発車し……。
湖西線の終点『山科』、11:53着」
↑『山科駅』。突然、都会になりました。
食「京都府に入りましたよ」
み「お昼どきだけど、まだ腹は空かんな」
食「食べてるヒマなんて、ありませんって。
このまま乗り続けますから」
み「終点じゃないのけ?」
食「湖西線の終点は『山科』ですが……。
『山科』止まりになる列車は1本もありません」
み「この列車は、どこまで行くわけ?」
食「『大阪』を経由して、さらに『播州赤穂』まで行きます」
↑内蔵助の向かって左隣が、堀部安兵衛(越後『新発田藩』の生まれ)。「高田馬場の決闘」の18人斬りで名を挙げ(実際に斬ったのは、3人だったようです)、浅野家家臣・堀部金丸が熱望して、婿養子にしました。
み「うーむ。
まさか、『敦賀』から『播州赤穂』まで乗り換えなしに行ける列車があるとは思わなんだ」
食「しかも、快速とはいえ、普通列車ですからね」
み「『大阪』の通過は何時ころ?」
食「12:28着です」
み「『敦賀』が、何時発だっけ?」
食「10:23です」
み「快速で2時間で、『大阪』に着くのか。
新潟から『敦賀』の遠さを思えば……。
やっぱり『敦賀』は、完全に関西圏だよな」
↑経済産業省の管轄分けでは、福井は近畿圏に組みこまれてます。この方が現実的ですよね。
食「続けます。
『山科』、11:53発。
それでは、ここで問題です」
↑竹内海南江さん。『世界・ふしぎ発見!』と云えばこの人。出演回数251回は、ダントツの一位。
み「なんじゃい!」
食「この後、この列車は……。
『京都』『新大阪』『大阪』『神戸』『明石』『姫路』など、著名な駅を通過していきます。
で、路線なんですが……。
これらの駅のどこかで、東海道本線から山陽本線に切り替わるんです。
さて、その駅はどこでしょう?」
み「うーむ。
東海道五拾三次は、『京都』までだよね」
↑終点の京都『三条大橋』。なお、53番目の宿場は、京都ではなく、『大津宿』です。53番目の宿場を立って、終点の京都に着いたということです。
食「『京都』でいいですか?」
み「待て!
『京都』が、“山陽”本線の起点とは考えにくいだろ。
『姫路』も除外だな。
“東海道”本線が、『姫路』まで伸びてるはずがない」
↑国宝『姫路城』は、現在修理中。あの天守閣が見られるのは、平成27年3月になります。
食「じゃ、あとは4択ですね。
ずばり、どこ?」
み「ふっふっふ。
迷ったふりをしてやったが……。
これは、チョーたやすいではないか」
食「ほー。
大きく出ましたね」
み「よいかね。
東海道新幹線は、『東京』から『新大阪』までだ。
で、山陽新幹線は、『新大阪』から『博多』までだろ。
自ずと答えは出てるじゃないの。
ずばり、『新大阪』じゃ」
食「あのですね。
『新大阪』は、東海道新幹線の開業に伴って作られた駅ですよ」
↑開業当時(1964年)の『新大阪駅』。今より未来的な感じがしますね。
食「東海道本線と山陽本線は、その前からあるでしょ」
み「おのれ、罠にかけたな」
食「そんなつもり、ありませんって。
まさか、こんな引っかかり方するなんて、思ってもいませんでした」
律「自分で張った縄に引っかかった感じね」
み「やかましい!
問題が卑怯だったので、今のは無し」
食「回答者の方が卑怯だと思いますけど」
み「えーい、黙れ。
改めて、答えを言うぞ。
『新大阪』が出来る前なら、『大阪』に決まっておる。
はい、正解」
食「ブ、ブー」
み「何で!」
食「正解は、『神戸』なんです」
↑このチェックのスーツは、市販品なんでしょうか?
食「意外でしょ」
み「くっそー」
食「でも、『神戸』で分岐する路線も無いですし……。
東海道本線と山陽本線は、そのまま真っすぐ繋がってます。
『神戸』を起終点とする列車も、ほとんどありません。
なので、『大阪』から『姫路』までは、一般的に『神戸線』と呼ばれてます。
駅の電光掲示板でも、『神戸線』が使われてます」
↑わーい、遅れてるぅ♪
み「ウンチクはいいから、さっさと次行って」
律「すぐ拗ねるんだから」
食「続けますよ。
『姫路』を過ぎて5つめの駅です。
『相生』、13:53着」
↑乗車人員は、日に4,000人を超えます。
み「もう岡山県?」
食「いえ。
まだ、兵庫県です。
相互の“相”に、“生”きると書きます」
み「縁起のいい駅名だな」
食「ですね。
『敦賀』以来の停車駅です」
み「下りていいんだな」
食「下りなきゃダメです。
さてと。
待ち時間は、33分ありますよ」
み「ちょっと長いけど……。
昼間だから、寂しくもなかろう」
食「立ち食いそば、食べますか?」
み「おぅ。
いつ以来だ?」
食「『敦賀』で10時でしたから、ちょうどいいです」
み「4時間しか経っておらんぞ」
食「蕎麦なんて、4時間もあれば消えて無くなります」
み「恐るべきやつ」
残念ながら、『相生駅』に、立ち食いそばは無いようです。
このあたりは、すでに“うどん圏”でしょうね。
食「じゃ、続けますよ。
『相生』、14:26発。
ここからは、久々に各駅停車です。
『岡山』、15:31着」
↑大都会ですねー。新潟駅はあまりにもショボイので、立派な駅を見ると羨ましくなります。
み「おー。
ついに『岡山』まで来た。
『岡山』は、気になる土地なのじゃ。
行ったことはもちろん、通ったことさえないけど」
食「どうして気になるんです?」
み「まず、わたしが好きな、内田百閒や吉行淳之介が、岡山に縁がある。
百閒は、東大に入るまで、ずーっと岡山だしね」
み「吉行も、生まれが岡山だったと思う」
↑いい男ですよね。
み「だから、2人の随筆を読んでると、よく岡山が出てくるんだよ」
食「温暖で、住むにはいい所ですよ」
み「それよ。
それが、大いに魅力」
食「でも、海沿いは、津波が怖いんじゃないですか?」
み「ま、東南海とか南海地震が起きたら、そうとう揺れるだろうね」
↑東大名誉教授の測量学者・村井俊治氏は、この春(2014年)までに起こる可能性があると言ってます。
み「でも、瀬戸内海だから、津波はそれほどのことは無いんでないの?
心配なら、内陸に住めばいい。
岡山の山間部は、地震の確率が、そうとう低いと思う」
↑岡山県北部、めっちゃ低そうです。
み「『新見市』ってあるでしょ?」
食「よく知ってますね」
み「調べたのじゃ」
食「伯備線が通ってますし、姫新線の起点駅です。
芸備線も乗り入れてます」
み「伯備線って、どこからどこまで?」
食「鳥取県の『伯耆大山』から、岡山県の『倉敷』までです」
み「『岡山』から『新見』は、遠いんだっけ?」
食「吉備線の終点の『総社』から、伯備線に乗り換えて行けます」
食「直通列車も、けっこうあるみたいですね。
【特急やくも】なら、1時間くらいでしょう」
み「岡山まで出れば、大阪や広島だって遠くないでしょ?」
食「ちょっと、新見市のホームページを見ましょう。
アクセスのページをクリックして……。
出ました」
↑お粗末な図です。白丸の都市名すら描いてありません。このページも、トップページからはアクセスできません。
食「岡山から新幹線を使うことにすれば……。
大阪も広島も、新見からは2時間です。
大阪からは、高速バスもありますね。
こちらは、3時間半ですが」
み「便利じゃろ?
盆地だから、津波の心配は一切ないし」
食「ま、津波はありませんね。
山地ですから。
面積も広いですね」
み「どのくらい?」
食「793.27km2です」
↑岡山県内の市町村面積では、真庭市が1位(828.43km2)、新見市が2位、岡山市が3位(789.92km2)。
み「げ。
新潟市より広いじゃん(新潟市は、726.10km2)。
人口は?」
食「3万3千人です」
み「少な!」
食「仕方ないですよ。
ほとんどが山ですから。
総面積の86.3%が森林です。
耕地は、わずか45.78km2だそうです」
み「そこに人が住んでるわけね」
食「新見盆地と呼ばれてます。
そこを流れる高梁川の流域に開けた町みたいです。
あ、町全体の写真がありました。
ほら」
み「おー。
まさしく、絵に描いたような盆地だな」
食「夏は暑いでしょうね」
み「確かに……」
食「内陸だから、冬は寒いんじゃないかな。
スキー場もありますよ」
↑『いぶきの里スキー場』。現在、積雪は、120㎝くらいのようです。
み「ぎく」
律「新潟と一緒じゃないの」
み「でも、津波だけは、絶対来ないだろ」
食「ま、それだけは、大丈夫でしょうね」
み「な」
食「でも……。
この写真を見ると……。
大雨が降ったら、周りの山が崩れないかな?
海の津波は来なくても、山津波がありそうですよ」
み「山際じゃなくて、この真ん中あたりに住めばいいだろ」
食「高梁川が流れてますね。
岡山県では、最大の流域面積を誇る川です。
氾濫するんじゃないかな?」
↑『新見駅』前を流れる高梁川。やっぱり、山が近いと、景色に風情がありますよね。
み「嫌なことばかり言いおって。
でも、地震の心配だけは少ないだろ」
食「どうですかね。
市の防災ページを開いてみましょう。
おー」
み「なんじゃ、その嬉しそうな顔は?」
食「じゃ、まずは、海溝型の地震から。
南海トラフを震源とする南海、東南海地震ですね」
食「マグニチュードは、8.6と想定されてます」
み「デカいな……」
食「こんなのが来たら、太平洋沿岸域は壊滅でしょう」
み「『新見』ではどうなの?」
食「最大震度は、5強が想定されてます」
み「なんだ、その程度か」
律「5強なんて、そうとう強いんじゃない?」
み「でも、家は潰れないだろ?」
食「ちょっと調べてみます。
そうですね。
5強だと……。
戸が外れたり、開閉できなくなるということはあるみたいですけどね。
あ、耐震性の低い木造住宅では、壁や柱が壊れることもあるようです」
み「でも、潰れないわな」
食「傾いたりするのは、6弱からですね」
食「6強になると、耐震性の低い木造住宅は倒壊するようです」
食「7になると、耐震性の高い建物でも、大きく破壊されます」
食「家電製品が、宙を飛ぶそうですから」
み「5強なら、命の心配は無い。
やっぱり、安全な場所じゃ」
食「今のは、海溝型地震の想定です」
食「地震には、内陸型もあるでしょ」
↑右上図の断層に描かれた黒矢印は、方向が逆ではないか?
み「いわゆる、直下型というやつだな」
食「『新見市』を囲むように、断層帯が走ってますね」
み「ぎく」
食「そのうち、鳥取県西部地震が想定される断層帯は……。
『新見市』まで伸びてますね」
み「その地震、マグニチュードは?」
食「7.3が想定されてます」
律「さっきの8.6より、ずいぶん小さいわね」
み「8.6ってのが、異常な数値なの。
関東大震災でも、7.9だったの」
↑震災直後の映像が発見されました。
み「7.3は、1964年の新潟地震とほぼ同じ。
新潟地震では……。
橋桁が落ちたり、アパートが横倒しになったりしてる」
み「その地震が起きたとき、『新見市』の震度は?」
食「最大震度は、7が想定されてます」
み「どひゃー。
7は厳しい。
たとえ命は助かっても、生活基盤は壊滅じゃ」
律「やっぱり、危険な場所じゃないの」
み「そんなこと言ったら、日本に安全な土地なんて無いでしょ。
山と高梁川の真ん中あたりで、平屋建てに住めば大丈夫でないの?」
み「やっぱり、老後に住みたい土地のひとつに変わりはない」
律「そんなに気に入ったんなら……。
今、ここで降りて住み着いたら?」
↑『大内宿町並み展示館』。こんな老後もいいかも。奥の小便器みたいなのは何でしょう?
み「まだ老後じゃないわい!
四国を目の前にして、リタイヤでけるか」
食「話、進めますか?」
み「進め一億火の玉だ」
↑これは、人魂。
食「一億じゃないでしょ」
律「一人よね」
み「金なら、一億くれ」
↑この程度。重さは、約10㎏だそうです。
食「何の話ですか」
み「日本人が、1人1円寄付してくれれば、一億なのに」
食「そんな義理はありません」
↑こちらで買えます。
み「義理はなくても、善意がほしい」
↑『相生市』には、善意があるようです。
食「話、進めますよ。
いよいよ、四国に渡りますからね」
律「立ち食いそばは食べないんですか?
『岡山』なら、絶対にありますよ」
食「ですね。
11分の待ち合わせですから、ホームにあれば大丈夫です」
↑ありました! しかも、瀬戸大橋線のホームです。
み「猫舌には、11分は厳しいぞ」
食「間に合わなかったら、置いていきます」
み「冷たい蕎麦はないのか?
『弥助そばや』の“冷がけ”」
↑なつかすぃ~。この画像を掲載したのは、844回でした。2011年11月14日のこと。
食「『岡山』では、難しいと思います」
↑“ぶっかけ”というのは、冷たい汁なんでしょうか? “ざる”もあります。
み「『岡山』名物と云えば、桃だな。
桃が入ってれば、少しは冷めるかも知れん。
桃蕎麦一丁!」
食「ありませんって。
さて、『岡山』発は、15:42。
この瀬戸大橋線快速には、愛称が付いてます。
【マリンライナー 43号】ですね」
↑やっぱり、普通電車とは少し格が違います。
み「ぎく。
検札があるか?」
食「あるかもしれませんよ」
み「また、トイレに籠もるか」
食「ま、無いことにしましょう」
指定席とグリーン席では、検札があるようです。
↑グリーン席。こりゃ、検札もあるわな。
自由席なら、ほぼ大丈夫みたいです。
み「これで、瀬戸大橋を渡るわけだな?」
↑瀬戸大橋を渡る【マリンライナー】。あんまり外を見たくないですね。
食「そうです」
み「しかし……。
【マリンライナー】って名前も、少しは捻れよって気がするな」
食「たとえば、どんな名前?」
み「『瀬戸大橋』を渡るんだから……。
そのまんま、『瀬戸の花嫁』でいいじゃん」
↑実際、【マリンライナー】の駅メロとして使われてます。『カマタマーレ讃岐(2014年、J2昇格!)』の応援歌でもあるそうです。
食「あぁ、それもいいかも知れませんね」
み「だろ?」
食「さて、そうこうするうち……。
ようやく四国に渡りました。
『高松』、16:37着です」
↑『高松駅』。立派ですねー。『新潟駅』なんて、比べ物にならんです。情けない。
み「おー、『高松』と云えば、讃岐の国。
バリバリの“うどん圏”だな」
↑腰の強さが持ち味。
食「美味しいですよね。
喉越しがいいし。
地元の人は、噛まないんですよ。
一度、本場のお店に寄ったことがありますが……。
格好良かったな。
“三玉”って注文して、あっという間に啜り込むんです。
で、“ごっそさん”と一言残し、風のように去る」
↑うーん。食べ比べてみたい。
み「無銭飲食か?」
食「お金はちゃんと払ってますよ。
とにかく、颯爽としてました」
み「一緒に食べたくない」
食「それは、向こうも同じでしょう」
み「蕎麦もそうだけど……。
どうして地元民って、噛まないのかね?」
食「さー。
いずれにしろ、粉を練ったものですから……。
噛まなくても、消化には関係無いんじゃないですか?」
↑吉原食糧㈱。明治35年創業。NHK「プロジェクトX」でも取りあげられた会社です。
み「そんなもんか?」
律「『高松』なら、立ち食いうどんがあるんじゃない?」
み「かもね。
『丸亀製麺』があるかも」
↑一度、食べてみたいと思うのですが……。並んでまで食べる気にはなれん。
食「あ、『丸亀製麺』って、会社名じゃ無いんですよ。
『夢庵』とかと一緒で、チェーン店の名前なんです」
み「会社名は?」
食「トリドール」
み「うどん屋が横文字使うな」
食「やってるのは、うどん屋だけじゃありませんから。
本社は確か、神戸の三宮にあります」
み「香川県の『丸亀市』じゃないの?」
↑丸亀市街と飯野山(讃岐富士)。いい形の山ですね。この画像は、現存する丸亀城から撮影されたもの。丸亀市は、瀬戸内海に臨む城下町。人口11万人。うちわの生産量では、全国の9割を占めるそうです。
↑丸亀城の周りに広がる市街(ヘリからの画像)。丸亀城は、1660年築造の天守が残ってます(国の重要文化財)。
食「ちょっと、店舗検索してみましょう。
ははぁ。
『丸亀市』には、店舗は無いみたいです。
香川県内では、高松市内に4店舗あるだけですね」
み「虚偽表示じゃないか」
食「そこまでは、言えないでしょう。
食べたことあります?」
み「わが町にもある。
でも、入ったことは無い。
わたしは、お昼を食べる習慣が無いのでね」
食「どうして食べないんです?」
み「時間と金の節約じゃ」
食「もったいない。
食べる喜びの、3分の1を捨ててるんですよ」
み「チミの場合、分母が3じゃないだろ」
食「ま……。
5から6でしょうか」
律「『高松』での待ち時間は、どれくらい?」
み「先生、うどんが食べたいの?」
律「当然よ。
せっかく讃岐まで来たんですから」
食「13分ですね。
ホームにあれば、十分大丈夫です」
↑その名も『連絡船うどん』。駅外からも、駅内からも入れるようです。でも、改札の外でしょうね。宇高連絡船で評判だった味を受け継いだお店だそうです。
み「熱いと無理じゃ」
律「お冷を入れればいいじゃない」
み「本場まで来て、そんな食べ方したくないわい」
食「本場なら、冷たい食べ方もあるんじゃないかな?」
↑『丸亀製麺』のメニュー。冷たいうどんもありました。夏は良さげですね。
食「ま、食べたことにして……。
先を急ぎましょう。
いよいよ、終点が近づいて来ました。
『高松』からは、高徳線に入ります」
↑文字通り、『高松』と『徳島』を結ぶ路線です。
食「『高松』、16:50発。
『徳島』、19:13着」
↑『徳島駅』。南国ムード満点。
み「おー、一気に『徳島』か。
それにしても……。
2時間23分もかかるんだな」
食「ですね。
74.5㎞しかありませんからね。
たしか、湖西線もそのくらいだったよな。
どれどれ……。
あ、ありました。
湖西線の『近江塩津ー山科』間が74.1㎞ですから、ほぼ同じです」
食「さっき検索した新快速は、湖西線を1時間13分で走ってます」
み「高徳線は、なんでそんなにかかるわけ?」
食「待ち合わせがあるんでしょうね。
湖西線と違って、単線ですから。
ちょっと、時刻表を見てみましょう。
ありゃりゃ。
『引田』で5分停車するくらいで……。
あとはみんな、1分以内ですね」
み「じゃ、なんでだ?」
食「やっぱり、非電化だからでしょうか。
湖西線は、全線電化されてますから」
↑新潟でも、この色の電車が走ってます。
み「トップスピードが違う?」
食「と思いますが……。
ありゃ?
どちらの路線も、最高速度は130㎞です」
み「なら、なんでこんなに時間が違うんだ?」
食「うーん」
み「あ、湖西線のは、快速だったからじゃないの?」
食「それです!
普通電車の時間を、見てみましょう。
『近江塩津』の駅時刻表を開いて……。
えーっと、ほとんどが新快速ですね。
普通電車は、みんな『近江今津』止まりですよ。
あ、あったあった。
19:36発が、京都行きでした。
『山科』着が、20:59。
あれ?
それでも、1時間23分です」
み「なんでじゃ?」
食「うーん。
やっぱり、駅数かな。
湖西線が、21なのに対し……。
高徳線は、29です。
気動車は加速性能が良くないから」
み「それだけで、1時間も違うか?」
食「さ、そろそろ、次に行きましょう」
み「誤魔化しおって(『高徳線の噂』。高徳線が遅い秘密が書かれてるかもしれません)」
食「さて、どうします?
『徳島』では、41分の待ち合わせになります」
み「阿波踊りを見る」
食「見れませんって。
改札を出られないんですから」
み「ホームで踊ってないか?」
食「踊ってません。
諦めて、うどんを食べましょう」
み「食べたばっかりだろ!」
食「2時間半経ってます。
食べるチャンスは、これが最後ですよ。
41分もあるんだから、十分噛み締めて食べられます」
↑ありました!
み「いったい、何回食べたんだ?」
律「立ち食いそばの旅だったわね」
食「さて、名残惜しいですが……。
出発しますか。
『徳島』からは、いよいよ牟岐線に入ります。
『徳島』、19:54発。
そしてついに……。
『中田(ちゅうでん)』、20:11着!」
み「着いたー!」
律「長かったわね」
み「長すぎ。
長いにもほどがある。
どれだけかかった?」
食「『陸奥森田』を出発したのが、前日の6:16ですから……。
37時間と55分です」
み「降りるぞ。
たぶん、切符、ヨレヨレになってるな」
食「なんでです?
一度も出してないでしょ?」
み「唯一の拠り所だろ。
ずっと握りしめてたに決まってる」
律「そんな小心者が、こんな旅しなきゃいいのに」
み「『中田(ちゅうでん)駅』は、無人駅だよな?」
食「そうです」
み「自動改札機も無いよな?」
食「無いと思われます」
↑明らかに、無いっぽいです。
み「てことは、改札の箱に、切符を投げこめば……。
何の問題もなく、改札を出れるわけだな?」
食「ですね」
律「あら、そんなにあっけないの?
それなら、『中田』行きの切符じゃなくても……。
入場券でも良かったじゃないの」
み「パカモン。
それでは犯罪ではないか!」
律「あんたのやってることも、十分、犯罪でしょ」
み「いや、わたしに悪気は無かったのじゃ。
わたしは、元々『中田(ちゅうでん)』までの切符を買おうとしたのに……。
『陸奥森田駅』の業務受託員が、間違って、『中田(なかた)』までの切符を渡したの」
食「間違うわけないでしょ。
“ちゅうでん”と“なかた”じゃ、発音が全然違うんだから」
み「そのときわたしは、風邪を引いており……。
声が出なかった」
↑こんなマスク、どこで売ってるんでしょう?
み「で、行き先を書いた紙を渡したわけ。
『中田まで』って」
食「ま、それなら、間違いなく隣駅までの切符が出されるでしょうね」
み「だろ、だろ」
食「でも、金額が全然違うでしょ。
『陸奥森田』から『中田(ちゅうでん)』だと、乗車券だけでも、15,150円ですよ。
140円だったら、ヘンに思うでしょ」
み「ま、青森から徳島までで140円とは、ずいぶん安いと感じたがな。
でも、世間に疎いわたしは、そんなものかと思ったのじゃ」
律「ずうずうしい女」
み「つまり、間違った切符を買ってしまったわけね。
『陸奥森田駅』の販売員が……。
“隣の『中田(なかた)駅』ですか、それとも、徳島県の『中田(ちゅうでん)駅』ですか”って確認しなかったのが悪い」
食「普通、聞きませんよ。
隣に同名の駅があれば。
そもそも、徳島県に同じ字を書く駅があるなんて、知らないんじゃないですか?
委託販売なんですから」
み「販売員がそれを知らないってのは……。
明らかに、委託者のミスです。
筆談で『中田駅』と書いて注文する客には……。
必ず、“隣の『中田(なかた)駅』ですか、それとも、徳島県の『中田(ちゅうでん)駅』ですか”と聞くよう、申し渡しておくべき。
とにかく、わたしは善意の第三者です」
律「善意じゃないでしょ」
み「いずれにしろ、入場券じゃ真っ黒々だけど……。
ちゃんと、『中田』と書いた切符を持ってるわけだからね。
『えー、この切符でいいと思ってました』で、なんとかなるでしょ」
食「咎められれば、なんとかなるわけありません。
乗り越し料金の精算を求められます。
差額の15,010円、お支払いください」
み「断る」
食「断れませんって」
み「でも、『中田(ちゅうでん)駅』に着いてしまえば、咎められる心配なんて、無いでしょ。
駅員がいないわけだから」
み「さーて、37時間ぶりに改札の外に出れるわけだ。
外の空気を吸うぞ」
律「出て、どうするのよ」
み「どうするって……。
そんなことまで考えて無いわい」
↑『中田(ちゅうでん)駅』前。住宅街ですね。小松島線の廃線跡が遊歩道になっており、歩いて行くと小松島港に出れるそうです(1.9㎞)。
律「そこに住み着くつもりが無いんなら……。
帰らなきゃならないでしょ」
み「ぎく」
立ち食いそば」
残念ながら、ホームには無いようです。
でも、改札を出た外の待合室にありました。
『気比そば あまの』。
越前は、そば処なんだそうです。
蕎麦の作付面積では、全国3位だとか(2011年)。
↑越前そばは、冬でも冷たい汁で食べるそうです。これは“おろしそば(400円)”。
ちなみに、作付面積の1位は北海道。
ダントツです。
2位は、山形県でした。
新潟県は、10位。
ベスト10に、西日本の府県は1つも入ってません。
なので、福井の3位は、ちょっと意外な感じがします。
み「金沢で食べたろ!」
食「あれは、ラーメンです。
それに、3時間も鈍行に揺られてたら、お腹空きますって」
み「胸焼けする」
食「この後、しばらく食べれませんよ」
み「まだ乗るの~」
食「当たり前でしょ。
四国まで行くんですから。
食べますね?」
み「帰りたい。
フェリーに乗る」
食「間に合いませんって。
『敦賀』着が、9:53ですよ。
フェリーは、10:00出港でしょ」
み「くそ。
丸1日待たなきゃならんのか」
食「1日じゃありませんよ。
『敦賀』発の『新潟』行きは、週1便しかありません。
1週間、待ちますか?
『敦賀』までの乗り越し料金も払わなきゃなりませんよ」
み「……。
このまま汽車に乗る」
↑『孤独』ポール・デルヴォー。わたしの好きな画家のひとり。
食「よろしい。
それじゃ、進めますよ」
み「何で、そんなに生き生きしてるのじゃ?」
食「だって、こんなにずーっと鉄道に乗ってられるんですよ。
楽しくないわけないです」
み「すでに苦行じゃ」
↑子供にとっては苦行だと思います(『鳥海山国際禅堂』/秋田県由利本荘市)。
食「行きますよ。
『敦賀』からは、新快速になります。
『敦賀』、10:23発。
北陸本線は、琵琶湖の東側を回って、『米原』まで行きますが……」
「『米原』なら、さっき行ったではないか」
「あれは、『敦賀』発10:00のフェリーに乗るって検索だったでしょ」
「あ、そうか。
ごっちゃになってた」
「この新快速は、『米原』に向かわず……。
『近江塩津』から、琵琶湖の西側を回る湖西線に入ります。
↑湖西線。『近江塩津駅(滋賀県長浜市)』~『山科駅(京都府京都市山科区)』まで。74.1km。駅数、21。
「10:39ころですね」
↑『近江塩津駅』。不思議な駅です。駅舎の上に線路が通ってるのでしょうか?
み「『近江塩津』って、滋賀県?」
食「そうです。
『近江塩津』を10:40に発車し……。
湖西線の終点『山科』、11:53着」
↑『山科駅』。突然、都会になりました。
食「京都府に入りましたよ」
み「お昼どきだけど、まだ腹は空かんな」
食「食べてるヒマなんて、ありませんって。
このまま乗り続けますから」
み「終点じゃないのけ?」
食「湖西線の終点は『山科』ですが……。
『山科』止まりになる列車は1本もありません」
み「この列車は、どこまで行くわけ?」
食「『大阪』を経由して、さらに『播州赤穂』まで行きます」
↑内蔵助の向かって左隣が、堀部安兵衛(越後『新発田藩』の生まれ)。「高田馬場の決闘」の18人斬りで名を挙げ(実際に斬ったのは、3人だったようです)、浅野家家臣・堀部金丸が熱望して、婿養子にしました。
み「うーむ。
まさか、『敦賀』から『播州赤穂』まで乗り換えなしに行ける列車があるとは思わなんだ」
食「しかも、快速とはいえ、普通列車ですからね」
み「『大阪』の通過は何時ころ?」
食「12:28着です」
み「『敦賀』が、何時発だっけ?」
食「10:23です」
み「快速で2時間で、『大阪』に着くのか。
新潟から『敦賀』の遠さを思えば……。
やっぱり『敦賀』は、完全に関西圏だよな」
↑経済産業省の管轄分けでは、福井は近畿圏に組みこまれてます。この方が現実的ですよね。
食「続けます。
『山科』、11:53発。
それでは、ここで問題です」
↑竹内海南江さん。『世界・ふしぎ発見!』と云えばこの人。出演回数251回は、ダントツの一位。
み「なんじゃい!」
食「この後、この列車は……。
『京都』『新大阪』『大阪』『神戸』『明石』『姫路』など、著名な駅を通過していきます。
で、路線なんですが……。
これらの駅のどこかで、東海道本線から山陽本線に切り替わるんです。
さて、その駅はどこでしょう?」
み「うーむ。
東海道五拾三次は、『京都』までだよね」
↑終点の京都『三条大橋』。なお、53番目の宿場は、京都ではなく、『大津宿』です。53番目の宿場を立って、終点の京都に着いたということです。
食「『京都』でいいですか?」
み「待て!
『京都』が、“山陽”本線の起点とは考えにくいだろ。
『姫路』も除外だな。
“東海道”本線が、『姫路』まで伸びてるはずがない」
↑国宝『姫路城』は、現在修理中。あの天守閣が見られるのは、平成27年3月になります。
食「じゃ、あとは4択ですね。
ずばり、どこ?」
み「ふっふっふ。
迷ったふりをしてやったが……。
これは、チョーたやすいではないか」
食「ほー。
大きく出ましたね」
み「よいかね。
東海道新幹線は、『東京』から『新大阪』までだ。
で、山陽新幹線は、『新大阪』から『博多』までだろ。
自ずと答えは出てるじゃないの。
ずばり、『新大阪』じゃ」
食「あのですね。
『新大阪』は、東海道新幹線の開業に伴って作られた駅ですよ」
↑開業当時(1964年)の『新大阪駅』。今より未来的な感じがしますね。
食「東海道本線と山陽本線は、その前からあるでしょ」
み「おのれ、罠にかけたな」
食「そんなつもり、ありませんって。
まさか、こんな引っかかり方するなんて、思ってもいませんでした」
律「自分で張った縄に引っかかった感じね」
み「やかましい!
問題が卑怯だったので、今のは無し」
食「回答者の方が卑怯だと思いますけど」
み「えーい、黙れ。
改めて、答えを言うぞ。
『新大阪』が出来る前なら、『大阪』に決まっておる。
はい、正解」
食「ブ、ブー」
み「何で!」
食「正解は、『神戸』なんです」
↑このチェックのスーツは、市販品なんでしょうか?
食「意外でしょ」
み「くっそー」
食「でも、『神戸』で分岐する路線も無いですし……。
東海道本線と山陽本線は、そのまま真っすぐ繋がってます。
『神戸』を起終点とする列車も、ほとんどありません。
なので、『大阪』から『姫路』までは、一般的に『神戸線』と呼ばれてます。
駅の電光掲示板でも、『神戸線』が使われてます」
↑わーい、遅れてるぅ♪
み「ウンチクはいいから、さっさと次行って」
律「すぐ拗ねるんだから」
食「続けますよ。
『姫路』を過ぎて5つめの駅です。
『相生』、13:53着」
↑乗車人員は、日に4,000人を超えます。
み「もう岡山県?」
食「いえ。
まだ、兵庫県です。
相互の“相”に、“生”きると書きます」
み「縁起のいい駅名だな」
食「ですね。
『敦賀』以来の停車駅です」
み「下りていいんだな」
食「下りなきゃダメです。
さてと。
待ち時間は、33分ありますよ」
み「ちょっと長いけど……。
昼間だから、寂しくもなかろう」
食「立ち食いそば、食べますか?」
み「おぅ。
いつ以来だ?」
食「『敦賀』で10時でしたから、ちょうどいいです」
み「4時間しか経っておらんぞ」
食「蕎麦なんて、4時間もあれば消えて無くなります」
み「恐るべきやつ」
残念ながら、『相生駅』に、立ち食いそばは無いようです。
このあたりは、すでに“うどん圏”でしょうね。
食「じゃ、続けますよ。
『相生』、14:26発。
ここからは、久々に各駅停車です。
『岡山』、15:31着」
↑大都会ですねー。新潟駅はあまりにもショボイので、立派な駅を見ると羨ましくなります。
み「おー。
ついに『岡山』まで来た。
『岡山』は、気になる土地なのじゃ。
行ったことはもちろん、通ったことさえないけど」
食「どうして気になるんです?」
み「まず、わたしが好きな、内田百閒や吉行淳之介が、岡山に縁がある。
百閒は、東大に入るまで、ずーっと岡山だしね」
み「吉行も、生まれが岡山だったと思う」
↑いい男ですよね。
み「だから、2人の随筆を読んでると、よく岡山が出てくるんだよ」
食「温暖で、住むにはいい所ですよ」
み「それよ。
それが、大いに魅力」
食「でも、海沿いは、津波が怖いんじゃないですか?」
み「ま、東南海とか南海地震が起きたら、そうとう揺れるだろうね」
↑東大名誉教授の測量学者・村井俊治氏は、この春(2014年)までに起こる可能性があると言ってます。
み「でも、瀬戸内海だから、津波はそれほどのことは無いんでないの?
心配なら、内陸に住めばいい。
岡山の山間部は、地震の確率が、そうとう低いと思う」
↑岡山県北部、めっちゃ低そうです。
み「『新見市』ってあるでしょ?」
食「よく知ってますね」
み「調べたのじゃ」
食「伯備線が通ってますし、姫新線の起点駅です。
芸備線も乗り入れてます」
み「伯備線って、どこからどこまで?」
食「鳥取県の『伯耆大山』から、岡山県の『倉敷』までです」
み「『岡山』から『新見』は、遠いんだっけ?」
食「吉備線の終点の『総社』から、伯備線に乗り換えて行けます」
食「直通列車も、けっこうあるみたいですね。
【特急やくも】なら、1時間くらいでしょう」
み「岡山まで出れば、大阪や広島だって遠くないでしょ?」
食「ちょっと、新見市のホームページを見ましょう。
アクセスのページをクリックして……。
出ました」
↑お粗末な図です。白丸の都市名すら描いてありません。このページも、トップページからはアクセスできません。
食「岡山から新幹線を使うことにすれば……。
大阪も広島も、新見からは2時間です。
大阪からは、高速バスもありますね。
こちらは、3時間半ですが」
み「便利じゃろ?
盆地だから、津波の心配は一切ないし」
食「ま、津波はありませんね。
山地ですから。
面積も広いですね」
み「どのくらい?」
食「793.27km2です」
↑岡山県内の市町村面積では、真庭市が1位(828.43km2)、新見市が2位、岡山市が3位(789.92km2)。
み「げ。
新潟市より広いじゃん(新潟市は、726.10km2)。
人口は?」
食「3万3千人です」
み「少な!」
食「仕方ないですよ。
ほとんどが山ですから。
総面積の86.3%が森林です。
耕地は、わずか45.78km2だそうです」
み「そこに人が住んでるわけね」
食「新見盆地と呼ばれてます。
そこを流れる高梁川の流域に開けた町みたいです。
あ、町全体の写真がありました。
ほら」
み「おー。
まさしく、絵に描いたような盆地だな」
食「夏は暑いでしょうね」
み「確かに……」
食「内陸だから、冬は寒いんじゃないかな。
スキー場もありますよ」
↑『いぶきの里スキー場』。現在、積雪は、120㎝くらいのようです。
み「ぎく」
律「新潟と一緒じゃないの」
み「でも、津波だけは、絶対来ないだろ」
食「ま、それだけは、大丈夫でしょうね」
み「な」
食「でも……。
この写真を見ると……。
大雨が降ったら、周りの山が崩れないかな?
海の津波は来なくても、山津波がありそうですよ」
み「山際じゃなくて、この真ん中あたりに住めばいいだろ」
食「高梁川が流れてますね。
岡山県では、最大の流域面積を誇る川です。
氾濫するんじゃないかな?」
↑『新見駅』前を流れる高梁川。やっぱり、山が近いと、景色に風情がありますよね。
み「嫌なことばかり言いおって。
でも、地震の心配だけは少ないだろ」
食「どうですかね。
市の防災ページを開いてみましょう。
おー」
み「なんじゃ、その嬉しそうな顔は?」
食「じゃ、まずは、海溝型の地震から。
南海トラフを震源とする南海、東南海地震ですね」
食「マグニチュードは、8.6と想定されてます」
み「デカいな……」
食「こんなのが来たら、太平洋沿岸域は壊滅でしょう」
み「『新見』ではどうなの?」
食「最大震度は、5強が想定されてます」
み「なんだ、その程度か」
律「5強なんて、そうとう強いんじゃない?」
み「でも、家は潰れないだろ?」
食「ちょっと調べてみます。
そうですね。
5強だと……。
戸が外れたり、開閉できなくなるということはあるみたいですけどね。
あ、耐震性の低い木造住宅では、壁や柱が壊れることもあるようです」
み「でも、潰れないわな」
食「傾いたりするのは、6弱からですね」
食「6強になると、耐震性の低い木造住宅は倒壊するようです」
食「7になると、耐震性の高い建物でも、大きく破壊されます」
食「家電製品が、宙を飛ぶそうですから」
み「5強なら、命の心配は無い。
やっぱり、安全な場所じゃ」
食「今のは、海溝型地震の想定です」
食「地震には、内陸型もあるでしょ」
↑右上図の断層に描かれた黒矢印は、方向が逆ではないか?
み「いわゆる、直下型というやつだな」
食「『新見市』を囲むように、断層帯が走ってますね」
み「ぎく」
食「そのうち、鳥取県西部地震が想定される断層帯は……。
『新見市』まで伸びてますね」
み「その地震、マグニチュードは?」
食「7.3が想定されてます」
律「さっきの8.6より、ずいぶん小さいわね」
み「8.6ってのが、異常な数値なの。
関東大震災でも、7.9だったの」
↑震災直後の映像が発見されました。
み「7.3は、1964年の新潟地震とほぼ同じ。
新潟地震では……。
橋桁が落ちたり、アパートが横倒しになったりしてる」
み「その地震が起きたとき、『新見市』の震度は?」
食「最大震度は、7が想定されてます」
み「どひゃー。
7は厳しい。
たとえ命は助かっても、生活基盤は壊滅じゃ」
律「やっぱり、危険な場所じゃないの」
み「そんなこと言ったら、日本に安全な土地なんて無いでしょ。
山と高梁川の真ん中あたりで、平屋建てに住めば大丈夫でないの?」
み「やっぱり、老後に住みたい土地のひとつに変わりはない」
律「そんなに気に入ったんなら……。
今、ここで降りて住み着いたら?」
↑『大内宿町並み展示館』。こんな老後もいいかも。奥の小便器みたいなのは何でしょう?
み「まだ老後じゃないわい!
四国を目の前にして、リタイヤでけるか」
食「話、進めますか?」
み「進め一億火の玉だ」
↑これは、人魂。
食「一億じゃないでしょ」
律「一人よね」
み「金なら、一億くれ」
↑この程度。重さは、約10㎏だそうです。
食「何の話ですか」
み「日本人が、1人1円寄付してくれれば、一億なのに」
食「そんな義理はありません」
↑こちらで買えます。
み「義理はなくても、善意がほしい」
↑『相生市』には、善意があるようです。
食「話、進めますよ。
いよいよ、四国に渡りますからね」
律「立ち食いそばは食べないんですか?
『岡山』なら、絶対にありますよ」
食「ですね。
11分の待ち合わせですから、ホームにあれば大丈夫です」
↑ありました! しかも、瀬戸大橋線のホームです。
み「猫舌には、11分は厳しいぞ」
食「間に合わなかったら、置いていきます」
み「冷たい蕎麦はないのか?
『弥助そばや』の“冷がけ”」
↑なつかすぃ~。この画像を掲載したのは、844回でした。2011年11月14日のこと。
食「『岡山』では、難しいと思います」
↑“ぶっかけ”というのは、冷たい汁なんでしょうか? “ざる”もあります。
み「『岡山』名物と云えば、桃だな。
桃が入ってれば、少しは冷めるかも知れん。
桃蕎麦一丁!」
食「ありませんって。
さて、『岡山』発は、15:42。
この瀬戸大橋線快速には、愛称が付いてます。
【マリンライナー 43号】ですね」
↑やっぱり、普通電車とは少し格が違います。
み「ぎく。
検札があるか?」
食「あるかもしれませんよ」
み「また、トイレに籠もるか」
食「ま、無いことにしましょう」
指定席とグリーン席では、検札があるようです。
↑グリーン席。こりゃ、検札もあるわな。
自由席なら、ほぼ大丈夫みたいです。
み「これで、瀬戸大橋を渡るわけだな?」
↑瀬戸大橋を渡る【マリンライナー】。あんまり外を見たくないですね。
食「そうです」
み「しかし……。
【マリンライナー】って名前も、少しは捻れよって気がするな」
食「たとえば、どんな名前?」
み「『瀬戸大橋』を渡るんだから……。
そのまんま、『瀬戸の花嫁』でいいじゃん」
↑実際、【マリンライナー】の駅メロとして使われてます。『カマタマーレ讃岐(2014年、J2昇格!)』の応援歌でもあるそうです。
食「あぁ、それもいいかも知れませんね」
み「だろ?」
食「さて、そうこうするうち……。
ようやく四国に渡りました。
『高松』、16:37着です」
↑『高松駅』。立派ですねー。『新潟駅』なんて、比べ物にならんです。情けない。
み「おー、『高松』と云えば、讃岐の国。
バリバリの“うどん圏”だな」
↑腰の強さが持ち味。
食「美味しいですよね。
喉越しがいいし。
地元の人は、噛まないんですよ。
一度、本場のお店に寄ったことがありますが……。
格好良かったな。
“三玉”って注文して、あっという間に啜り込むんです。
で、“ごっそさん”と一言残し、風のように去る」
↑うーん。食べ比べてみたい。
み「無銭飲食か?」
食「お金はちゃんと払ってますよ。
とにかく、颯爽としてました」
み「一緒に食べたくない」
食「それは、向こうも同じでしょう」
み「蕎麦もそうだけど……。
どうして地元民って、噛まないのかね?」
食「さー。
いずれにしろ、粉を練ったものですから……。
噛まなくても、消化には関係無いんじゃないですか?」
↑吉原食糧㈱。明治35年創業。NHK「プロジェクトX」でも取りあげられた会社です。
み「そんなもんか?」
律「『高松』なら、立ち食いうどんがあるんじゃない?」
み「かもね。
『丸亀製麺』があるかも」
↑一度、食べてみたいと思うのですが……。並んでまで食べる気にはなれん。
食「あ、『丸亀製麺』って、会社名じゃ無いんですよ。
『夢庵』とかと一緒で、チェーン店の名前なんです」
み「会社名は?」
食「トリドール」
み「うどん屋が横文字使うな」
食「やってるのは、うどん屋だけじゃありませんから。
本社は確か、神戸の三宮にあります」
み「香川県の『丸亀市』じゃないの?」
↑丸亀市街と飯野山(讃岐富士)。いい形の山ですね。この画像は、現存する丸亀城から撮影されたもの。丸亀市は、瀬戸内海に臨む城下町。人口11万人。うちわの生産量では、全国の9割を占めるそうです。
↑丸亀城の周りに広がる市街(ヘリからの画像)。丸亀城は、1660年築造の天守が残ってます(国の重要文化財)。
食「ちょっと、店舗検索してみましょう。
ははぁ。
『丸亀市』には、店舗は無いみたいです。
香川県内では、高松市内に4店舗あるだけですね」
み「虚偽表示じゃないか」
食「そこまでは、言えないでしょう。
食べたことあります?」
み「わが町にもある。
でも、入ったことは無い。
わたしは、お昼を食べる習慣が無いのでね」
食「どうして食べないんです?」
み「時間と金の節約じゃ」
食「もったいない。
食べる喜びの、3分の1を捨ててるんですよ」
み「チミの場合、分母が3じゃないだろ」
食「ま……。
5から6でしょうか」
律「『高松』での待ち時間は、どれくらい?」
み「先生、うどんが食べたいの?」
律「当然よ。
せっかく讃岐まで来たんですから」
食「13分ですね。
ホームにあれば、十分大丈夫です」
↑その名も『連絡船うどん』。駅外からも、駅内からも入れるようです。でも、改札の外でしょうね。宇高連絡船で評判だった味を受け継いだお店だそうです。
み「熱いと無理じゃ」
律「お冷を入れればいいじゃない」
み「本場まで来て、そんな食べ方したくないわい」
食「本場なら、冷たい食べ方もあるんじゃないかな?」
↑『丸亀製麺』のメニュー。冷たいうどんもありました。夏は良さげですね。
食「ま、食べたことにして……。
先を急ぎましょう。
いよいよ、終点が近づいて来ました。
『高松』からは、高徳線に入ります」
↑文字通り、『高松』と『徳島』を結ぶ路線です。
食「『高松』、16:50発。
『徳島』、19:13着」
↑『徳島駅』。南国ムード満点。
み「おー、一気に『徳島』か。
それにしても……。
2時間23分もかかるんだな」
食「ですね。
74.5㎞しかありませんからね。
たしか、湖西線もそのくらいだったよな。
どれどれ……。
あ、ありました。
湖西線の『近江塩津ー山科』間が74.1㎞ですから、ほぼ同じです」
食「さっき検索した新快速は、湖西線を1時間13分で走ってます」
み「高徳線は、なんでそんなにかかるわけ?」
食「待ち合わせがあるんでしょうね。
湖西線と違って、単線ですから。
ちょっと、時刻表を見てみましょう。
ありゃりゃ。
『引田』で5分停車するくらいで……。
あとはみんな、1分以内ですね」
み「じゃ、なんでだ?」
食「やっぱり、非電化だからでしょうか。
湖西線は、全線電化されてますから」
↑新潟でも、この色の電車が走ってます。
み「トップスピードが違う?」
食「と思いますが……。
ありゃ?
どちらの路線も、最高速度は130㎞です」
み「なら、なんでこんなに時間が違うんだ?」
食「うーん」
み「あ、湖西線のは、快速だったからじゃないの?」
食「それです!
普通電車の時間を、見てみましょう。
『近江塩津』の駅時刻表を開いて……。
えーっと、ほとんどが新快速ですね。
普通電車は、みんな『近江今津』止まりですよ。
あ、あったあった。
19:36発が、京都行きでした。
『山科』着が、20:59。
あれ?
それでも、1時間23分です」
み「なんでじゃ?」
食「うーん。
やっぱり、駅数かな。
湖西線が、21なのに対し……。
高徳線は、29です。
気動車は加速性能が良くないから」
み「それだけで、1時間も違うか?」
食「さ、そろそろ、次に行きましょう」
み「誤魔化しおって(『高徳線の噂』。高徳線が遅い秘密が書かれてるかもしれません)」
食「さて、どうします?
『徳島』では、41分の待ち合わせになります」
み「阿波踊りを見る」
食「見れませんって。
改札を出られないんですから」
み「ホームで踊ってないか?」
食「踊ってません。
諦めて、うどんを食べましょう」
み「食べたばっかりだろ!」
食「2時間半経ってます。
食べるチャンスは、これが最後ですよ。
41分もあるんだから、十分噛み締めて食べられます」
↑ありました!
み「いったい、何回食べたんだ?」
律「立ち食いそばの旅だったわね」
食「さて、名残惜しいですが……。
出発しますか。
『徳島』からは、いよいよ牟岐線に入ります。
『徳島』、19:54発。
そしてついに……。
『中田(ちゅうでん)』、20:11着!」
み「着いたー!」
律「長かったわね」
み「長すぎ。
長いにもほどがある。
どれだけかかった?」
食「『陸奥森田』を出発したのが、前日の6:16ですから……。
37時間と55分です」
み「降りるぞ。
たぶん、切符、ヨレヨレになってるな」
食「なんでです?
一度も出してないでしょ?」
み「唯一の拠り所だろ。
ずっと握りしめてたに決まってる」
律「そんな小心者が、こんな旅しなきゃいいのに」
み「『中田(ちゅうでん)駅』は、無人駅だよな?」
食「そうです」
み「自動改札機も無いよな?」
食「無いと思われます」
↑明らかに、無いっぽいです。
み「てことは、改札の箱に、切符を投げこめば……。
何の問題もなく、改札を出れるわけだな?」
食「ですね」
律「あら、そんなにあっけないの?
それなら、『中田』行きの切符じゃなくても……。
入場券でも良かったじゃないの」
み「パカモン。
それでは犯罪ではないか!」
律「あんたのやってることも、十分、犯罪でしょ」
み「いや、わたしに悪気は無かったのじゃ。
わたしは、元々『中田(ちゅうでん)』までの切符を買おうとしたのに……。
『陸奥森田駅』の業務受託員が、間違って、『中田(なかた)』までの切符を渡したの」
食「間違うわけないでしょ。
“ちゅうでん”と“なかた”じゃ、発音が全然違うんだから」
み「そのときわたしは、風邪を引いており……。
声が出なかった」
↑こんなマスク、どこで売ってるんでしょう?
み「で、行き先を書いた紙を渡したわけ。
『中田まで』って」
食「ま、それなら、間違いなく隣駅までの切符が出されるでしょうね」
み「だろ、だろ」
食「でも、金額が全然違うでしょ。
『陸奥森田』から『中田(ちゅうでん)』だと、乗車券だけでも、15,150円ですよ。
140円だったら、ヘンに思うでしょ」
み「ま、青森から徳島までで140円とは、ずいぶん安いと感じたがな。
でも、世間に疎いわたしは、そんなものかと思ったのじゃ」
律「ずうずうしい女」
み「つまり、間違った切符を買ってしまったわけね。
『陸奥森田駅』の販売員が……。
“隣の『中田(なかた)駅』ですか、それとも、徳島県の『中田(ちゅうでん)駅』ですか”って確認しなかったのが悪い」
食「普通、聞きませんよ。
隣に同名の駅があれば。
そもそも、徳島県に同じ字を書く駅があるなんて、知らないんじゃないですか?
委託販売なんですから」
み「販売員がそれを知らないってのは……。
明らかに、委託者のミスです。
筆談で『中田駅』と書いて注文する客には……。
必ず、“隣の『中田(なかた)駅』ですか、それとも、徳島県の『中田(ちゅうでん)駅』ですか”と聞くよう、申し渡しておくべき。
とにかく、わたしは善意の第三者です」
律「善意じゃないでしょ」
み「いずれにしろ、入場券じゃ真っ黒々だけど……。
ちゃんと、『中田』と書いた切符を持ってるわけだからね。
『えー、この切符でいいと思ってました』で、なんとかなるでしょ」
食「咎められれば、なんとかなるわけありません。
乗り越し料金の精算を求められます。
差額の15,010円、お支払いください」
み「断る」
食「断れませんって」
み「でも、『中田(ちゅうでん)駅』に着いてしまえば、咎められる心配なんて、無いでしょ。
駅員がいないわけだから」
み「さーて、37時間ぶりに改札の外に出れるわけだ。
外の空気を吸うぞ」
律「出て、どうするのよ」
み「どうするって……。
そんなことまで考えて無いわい」
↑『中田(ちゅうでん)駅』前。住宅街ですね。小松島線の廃線跡が遊歩道になっており、歩いて行くと小松島港に出れるそうです(1.9㎞)。
律「そこに住み着くつもりが無いんなら……。
帰らなきゃならないでしょ」
み「ぎく」