2014.1.18(土)
み「ここまで来たら、小腹も空くわな。
よし、食べよう。
“天玉蕎麦”」
↑わたしの好物の一つ。ネギを食べるべきか悩みます。残念ながら、『酒田駅』の立ち食いそばも、2011年に滅びたそうです。
食「じゃボクは、“山菜うどん”かな?」
↑このお店の画像が、一番美味しそうでした。早稲田大学大隈講堂脇にある『はせ川』さん。
み「男が、うどんなんか食うな」
食「なんでですか」
み「男は蕎麦。
『てやんでえ、べらぼうめ』とか言いながら、30秒で食う」
↑猫舌の江戸っ子は、どうしてたんでしょうか?
食「食べれませんよ。
熱くて」
み「お冷を入れればいいだろ」
食「薄くなっちゃうじゃないですか」
み「東北の蕎麦は、味が濃いからちょうどいいの」
↑岩手県『北上駅』新幹線改札内。“かき揚天そば”、390円。スープが黒いですね。
食「ほんとかな」
み「はい、続けて。
『酒田』発は?」
食「『酒田』、14:29発。
『新津』、18:29着です」
↑『ばんえつ物語号』は、新津機関区で整備されてます。『ばんえつ物語号』には、C57とD51がいて、この写真のはD51ですね。“貴婦人”と呼ばれるC57に比べ、D51は男っぽく、迫力があるそうです。
み「でたー、『新津』!
われらが鉄道の街。
『新津鉄道資料館』まで、今年、自転車で行ってきた」
↑役場の合同庁舎みたいな建物でした。
食「へー。
近いんですか?」
み「1時間くらいかかったかな」
食「遠いじゃないですか」
み「行ったことある?
『新津鉄道資料館』」
食「残念ながら、無いです」
み「それでも“鉄”か!
“鉄”じゃないわたしが行ってるのに」
食「2回行けば、立派な“鉄”になれますよ」
み「2度と行かなくていい。
ショボすぎ」
↑以下3枚は、わたしが撮ってきた写真です。これは、除雪車だと思います。
『鉄道記念館』は、2013年9月1日から2014年3月いっぱいまで、改修のため休館中です。
改修前の施設を見ておこうと、8月の終わり、年休を取って行ってきました。
わざわざ、このために休んだのではなく……。
なんとなく、週の途中に休みたくなったので。
ほかに用事が無いので、午前中いっぱい使ってチャリで往復してきたのです。
展示物は……。
はっきり言って、お金を取れるレベルでは無かったです(200円取られました)。
30分くらいしか、時間を潰せないと思います。
↑左側の火事装束みたいな人は、何なんでしょう? 襟には“鉄道省”と入ってます。
改修が終わったら、また見に行くかは、思案中。
同じ建物の中での改修なので……。
あまり、期待は出来ません。
評判が良ければ、行ってみます。
↑この展示は、なかなか興味深かったです。ボタンを押すと説明が流れ、パネルのランプが点滅します。
み「『新津』着、何時って言った?」
食「18:29です」
み「『酒田』発は?」
食「14:29ですね」
み「なんで、4時間もかかるわけ?
『酒田』って、隣の山形県だろ?」
食「『酒田 - 新津』間は、166.9キロあります」
み「そんなにあるの!」
↑羽越本線のまともな路線図は、ネット上にまったく存在しませんでした。何をやっとるのか、“鉄”!
食「でも、時速に換算すると、42キロ弱ですから……。
途中で、待ち合わせとかもあるでしょうね」
み「ちょっと待て。
『新津』で18:29分じゃ、この日のうちに徳島までは行けんだろ」
食「もちろんです」
み「断言すな!
宿泊費がかかってしまうではないか」
食「宿泊なんか出来ませんよ。
駅の外に出れないんですから。
諦めます?」
み「ほんとの旅なら、間違いなく『新津』で挫折してる」
食「『新津』で降りたら、乗り越し料金取られますよ」
み「いくら?」
食「7,350円-140円で、7,210円です」
み「やっぱり、続ける」
食「『新津』では、42分の待ち合わせになります」
み「また、待つの~」
食「立ち食いそば、食べますか?」
み「よし。
こうなったら、待ち合わせごとに食べちゃる。
天麩羅は『酒田』で食べたから、こんどはキツネだ」
↑こちらは、『福井駅』の“きつねそば”。350円。やっぱり、関西圏だけあって、出汁の色が薄いです。
食「ボクは、何にしようかな?」
み「ちょっと待て。
何でお前が一緒なわけ?」
食「2人のほうが、気が紛れますよ」
み「ま、それは言えてるか。
1人じゃ、辛すぎるわな。
食ってよし」
↑新津駅には、立ち食いそばは無いようです。代わりに、名物『三色団子』をどうぞ。ごまあん、しろあん、くろあん、三色のハーモニーをご賞味あれ。
食「じゃ、カレーライス」
↑有楽町『新角』のカレー。480円。さすがに、値段もそこそこですね。でも、美味しいそうです。
み「そんなメニューは、無い」
食「『新津』ならあるんじゃないですか?
確か近くに、カレーラーメンが名物ってとこがあったでしょ」
み「それは、『三条』だ」
↑まさか、歌まであるとは知らなんだ。残念ながら、まだ食べたことありません。
み「『新津』とはだいぶ離れてるわい」
食「そうなんですか。
カレーが無ければ、“たぬきうどん”かな」
み「鬱陶しいやつ。
はい、『新津』発は?」
食「『新津』からは、信越本線ですね。
快速『くびき野6号』」
↑新津駅の『くびき野』。これは、17:19発の4号のようです。
み「名前が付いてるような快速じゃ、お金取られるんじゃないの?」
食「指定席だと指定席料金がかかりますが……。
自由席なら、乗車券だけで大丈夫です。
でも、検札はあるかも知れませんよ」
み「どのくらい乗るの?」
食「『新津』、20:11発。
『直江津』、21:53着」
み「まだ新潟県か。
よし、1時間42分、トイレに籠もるぞ」
食「この時間だと、お酒飲んでる人もいるでしょうから……。
トイレに立つ人もいるはずです。
籠ってたりしたら、車掌さんに通報されますよ」
み「うーむ。
運を天に任せるしか無いか」
↑こちらは、グリーン席。これなら、金取るわな。
検索をかけてみたところ……。
検札は無いという情報がありました。
定期券では、指定席に座れないんですが……。
高校生が、平気で指定席に座ってるそうです。
み「『直江津』で、22時前か……。
まだこの日、先があるわけ?」
食「もちろんです。
『直江津』では、29分の待ち合わせになります。
立ち食いそば、食べます?」
み「おぅっ」
律「ぜったい胸焼けするわ」
み「野菜ものが足りとらんよな」
食「『直江津』の立ち食いそばは、食べたことがあります。
あそこのは独特なんですよ。
“食い鉄”の間でも、知られた存在です。
そば、うどんの汁で、黄色い中華麺を食べる『和風中華』が有名です」
↑ネギは冷凍モノではなく、店内で刻んでるそうです。味は……。絶賛する人と、首を傾げる人、二手に別れるようです。
↑動画レポートがありました。どうも、改札の外にあるみたいですね。
律「ますます胸焼けしそうね」
↑安さも魅力! 値段は、十数年変わってないそうです。高校生なら、ぜったいこれだね。
み「野菜ものはないの?」
食「かき揚げなら、野菜ですよ」
み「油を使ってない野菜!」
食「あ、海のそばだから、確か“もずく”はありました」
↑もずくそば。ウズラの卵と天かすが、最初から入ってます。400円。これも名物だそうです。
み「“もずく”は海藻だろ!」
律「海の“もずく”って云うものね」
み「それは、海の“藻屑”!」
食「じゃ、食べずに29分待ちますか?」
み「なんか、切なくなってきた」
律「そうまでして行かなきゃいいのに」
食「ですよね」
み「行く!
次はどこ?」
食「『直江津』、22:22発。
ここからは、北陸本線に入ります。
『富山』、00:15着」
↑北陸新幹線の開業は、2015年春。『富山ー東京』間が、2時間7分で結ばれます。
み「やっと、新潟県を抜けた……。
日付も変わったけど」
食「さて、ここでの接続が、良くありませんね」
み「ぎく。
何分待つんだ?」
食「5時間23分です」
み「どひゃー」
律「これだけあれば、寝れるじゃないの」
↑着る寝袋。ものすごく嵩張りそうな気も……。
律「富山駅なら、待合室があるわよ」
食「目が覚めれば、立ち食いそば屋があります」
↑ホームにありました!
み「また、立ち食いそばなのきゃ!」
食「それじゃ、鱒寿司はどうです?
富山名物です」
↑立ち食いそばと並んでます。
み「野菜は無いの?」
食「山菜そばですね」
↑370円。“立山”の文字入り蒲鉾が決め手です。ナメコも入ってますね。これはおススメかも知れません。
み「便秘になりそうじゃ。
そうだ。
朝は、トイレに行かねば。
ウォシュレットある?」
食「さー。
新幹線の駅舎が出来れば、ありそうですが……。
在来線はどうかな?」
み「便秘確定……」
律「携帯用のウォシュレットを持参すればいいじゃない」
み「なんか、ますます切ない旅じゃ。
ぜったい冬はダメだ。
真っ暗なホームで待つことになる」
↑夜の『富山駅』。ヘタすれば凍死です。
み「『富山』発は、何時だっけ?」
食「5:38です。
4月でも、このくらいの時間だったら、明るくなってきますよ。
夏なら、もう明けきってますね」
↑夜明け間近の『富山駅』(『富山地鉄ホテル』からの眺め)。新潟より都会かも。
み「続けてちょ」
律「めげないわね」
み「夜が明ければ、元気も出るさ。
胸焼けだけど」
食「『富山』、5:38発。
『金沢』、6:33着」
↑金沢駅。かっちょえー。新潟駅なんか、比べ物にならんです。
み「へー。
『富山-金沢』間は、鈍行でも1時間かからないんだね。
『新潟-長岡』間は、1時間15分くらいかかるのに」
↑こうしてみると、確かに近いです。ちなみに、怒ってるのは新潟県知事。新潟県に停車しない新幹線があるということらしいです。別に、いいと思うけどね。
律「新潟は広いって言いたいわけ?」
み「どこへ行くにも、遠くて不便なのじゃ。
『金沢』の待ち合わせは?」
↑なんか、SF映画に出てくるみたいな駅です。
食「23分です。
立ち食いそば、食べますか?」
み「おぅっ。
ホームにある?」
食「もちろんです」
み「じゃ、“月見そば”」
食「お蕎麦屋さんは、改札の外にしかありません」
↑こちらは、改札の外、待合室脇にあるお店の“月見そば”。370円。
食「ホームのは、ラーメン専門なんです」
↑6・7番線ホームにあります。
み「そんな立ち食いそばがあるのか。
食べたことある?」
食「もちろんです。
ここも、和風ラーメンが名物です」
み「いくら?」
食「確か、400円でした」
み「高いではないか」
食「具沢山なんですよ」
↑メンマが美味しそうです。極細麺の茹で上がりに、2分くらいかかるそうです。3分停車とかでは無理ですね。
食「チャーシューが何枚入ってたかな?
あれで400円なら、絶対お値打ちですって」
み「朝飯は、ラーメンか」
律「身体に悪いんじゃないの?」
み「こうなったら、食いだおれじゃい」
律「でも、せっかく『金沢』なんだから……。
何か名物も食べたいわね」
み「改札を出れないだろ」
↑なんと! 有人改札です。駅の外観とは真逆の印象。箱に入ってる駅員さん、久しぶりに見ました。
み「そもそも、『金沢』の名物って何だっけ?」
律「笹かまぼこ?」
み「それは、仙台!」
み「古都金沢の名物が、KIOSKで売ってるとは思えんしな」
食「やっぱり、和風ラーメンにしましょうよ」
み「湯豆腐にする」
↑シンプルで美味しそうです。青いのは、“わけぎ”?
食「何でですか!
あるわけないでしょ。
ていうか、何で湯豆腐なんです?」
み「何となく、茶屋街で出てきそうじゃない」
↑ひがし茶屋街
食「ホームにはありませんよ」
み「案外流行ると思うけどな。
立ち食い湯豆腐」
↑ありました! 京都嵐山にある『嵯峨豆腐 三忠』。いちおうベンチがありますが、混んでれば立ち食いになるようです。
食「流行るわけありません」
み「断言すな」
律「湯豆腐は、座って食べたいわ」
↑フィギュアです。
み「贅沢な。
金沢でいくら取られると思ってるんだ」
律「いくらよ?」
み「百万両」
律「何で、両なの?」
み「金沢と云えば、百万両でしょ」
食「それは、前田家百万石のことですか?」
↑こちらは、2007年のミス。きっともう、良縁に恵まれたんでしょうね。
み「そうとも言う」
食「言いませんって。
両はお金で、石はお米です」
み「百万両と百万石、どっちが多いでしょう?」
食「ちょっとわかりません」
み「百万石に決まっておろうが。
お米の方が、嵩が多いだろ」
食「その“多い”ですか!」
基本的には、1石=1両でいいようです。
1石は、150㎏のお米。
スーパーで買う5㎏で2,000円くらいですから……。
150㎏では、60,000円になります。
100万石だと……。
600億になりますね。
現在、石川県の年間予算は、5,500億円くらいです。
み「KIOSKに交渉してみれ。
湯豆腐を、1人前用意出来ないかと」
食「出来ませんって」
み「諦めるな。
まずは、トライ!」
食「トライしようとする方が異常です」
↑『金沢駅』のKIOSK。いくら古都でも、KIOSKは同じ。
み「そうだ。
一人用の鍋と、ガスコンロを背負っていけばいいんだ」
↑宇宙船みたいです。『ソト(SOTO) 』レギュレーターストーブ ST-310。
み「水は……。
そう言えばさ。
駅って、昔、水飲み台が無かった?」
食「古い写真では……。
ホームに手洗い場みたいなのが、あった気がしますね」
↑こんな形ですが、残されてました。
み「最近は、ぜんぜん見かけないよね」
食「昔、蒸気機関車だったころは……。
顔を洗う必要があったからだと思います」
み「なるほど。
ススで真っ黒になったりするわけか」
↑越後『松之山』の奇祭“むこ投げ”後に行われる“墨塗り”。藁灰と雪を手のひらで混ぜた墨を、誰彼かまわず塗り合います。新婚夫婦もこのとおり。
食「トンネルで窓を締め忘れてたりすると、大変だったようです」
み「てことは……。
蒸気機関車とともに、ホームの手洗い場も滅びたということか。
じゃ、水はどうするかな?」
食「お水なら、自販機で売ってるでしょ。
ミネラルウォーター」
み「もったいない!
日本で水を買うなんて信じられん」
律「じゃ、どうするのよ?」
み「トイレがあるだろ」
律「汚なー」
み「何で!
トイレの水だって、ちゃんとした水道だろ。
ついでに、携帯用ウォシュレットにも補給せねば」
律「まったく食欲が湧かないわね」
み「ダシの昆布は、いくらでも背負ってこれるよな」
↑函館の海で昆布を背負う“ウミアイサ”。
み「問題は……」
食「豆腐ですよ。
どうやって手に入れるんです?」
み「KIOSKで売ってない?」
食「日本中探しても、売ってないと思います」
み「諦めが早い!」
食「こういうのを、常識と言います」
み「じゃ、持参すればいい」
食「『陸奥森田』から、持って乗るんですか?」
み「豆腐なんぞ、軽いもんじゃ」
食「そういう問題じゃない気が……」
み「よし、これで湯豆腐の材料は揃った。
食うぞ」
食「どこで食べるんですか?
コンロに火なんか付けたら、すぐに見咎められて……。
事務所に連れて行かれます」
み「組事務所か?」
↑寺島進さん。好きな俳優さんのひとりです。
食「なんでです。
駅のですよ。
テロリストかと疑われるに決まってます」
み「わたしは、湯豆腐が食べたいだけなのじゃ!」
食「それが異常です。
とにかく、無賃乗車してるわけですからね。
できるだけ大人しくしてなきゃダメですよ。
事務所に連れて行かれたら、ぜったいに『切符を拝見』ということになります」
↑宮脇俊三さん『広尾→枕崎』の片道切符。1978年当時、65,000円。有効期間、68日。
み「くそー。
日陰者は辛いのぅ」
律「ちゃんとお金を払って乗ればいいのよ」
み「それなら、堂々と途中下車して、湯豆腐食べれるだろ」
食「金沢で途中下車するなら……。
B級グルメはどうです?」
み「金沢にも、B級グルメがあるの?」
食「その名も、『ハントンライス』」
↑正直、よほど体調が良いときでないと、食べれそうにありません。
み「なんじゃそりゃ?」
食「オムレツの一種です。
ケチャップで味付けしたバターライスの上に、ふんわりした薄焼き卵を被せてます。
その上に、白身魚のフライが載って、タルタルソースとケチャップがかかってるわけです」
み「それのどこが、『ハントン』なわけ?
豚が半分入ってるのかと思った」
↑マイアミのショッピングモール『ベイサイド・マーケット・プレイス』にて(わたしが撮ったわけじゃありませんが)。
食「そんなの、ボクだって食べきれませんよ。
ハンガリーの“ハン”と、マグロを意味する“トン”をあわせた造語みたいです」
み「なんでハンガリーが出てくるんだ?」
食「ハンガリーの家庭料理が元と言われてるんですが……。
実際には、ハンガリーに、似た料理は無いそうです。
でも、白身魚にタルタルソースをかけて、ご飯と一緒に食べる習慣はあるそうなので……。
これが命名の由来でしょうかね。
とにかく、ボリューム満点です。
レストランの賄い料理が元ですから、美味しさも保証しますよ」
み「野菜は?」
食「付いてません」
み「聞いただけで胸焼けがする。
やっぱ、立ち食いそばにするわ。
『湯豆腐蕎麦』」
食「ありませんって」
↑ありました。でも、あんまり美味しそうじゃありませんね。お蕎麦はやっぱり、ピュアなスープでいただきたいものです。
み「じゃ、もう『金沢』は、いい。
次、行って」
食「スネてどうするんです。
それじゃ、出発しますよ。
『金沢』、6:56発。
『敦賀』、9:53着」
↑良くも悪くも普通の駅です。
み「おー、懐かしの『敦賀』」
律「行ったことあるの?」
み「おまへんがな」
律「じゃ、何で懐かしいのよ?」
み「『日本海航路殺人事件』に出てきたではないか」
律「あ、フェリー乗り場があった所ね」
み「左様です」
み「わたしはいつか、新日本海フェリーで北海道に行きたいのよ」
律「おとといの夜、『秋田』まで乗ったフェリーに、そのまま乗ってれば行けるんでしょ?」
み「そうです。
でも、新潟からは乗りたくない」
律「どうして?」
み「出発が夜中だったでしょうが」
律「夜の11時半だったっけ?」
み「真っ暗な中の出航って、もったいないでしょ」
み「やっぱり、岸壁を離れるところを、潮風に吹かれながら眺めたいわけよ」
↑これは、新潟港を出港する佐渡汽船からの眺め。
律「ほかの時間の便は無いの?」
み「『苫小牧』行きは、この便だけ。
『小樽』行きなら、午前10:30発だから、丁度いいんだけど」
律「なんだ。
それにすればいいじゃない」
み「ところが!
『小樽』着が、朝の4:30なわけ」
み「そんな時間に着いて、どうすんだ!
夏じゃなければ、真っ暗だぞ」
↑日の出を待つ小樽港。夏なら、こんな景色の中での入港となります。
律「『苫小牧』行きは、何時に着くの?」
み「確か、夕方の17:20ころだと思う。
降りたら、真っ直ぐ宿に入って……。
北海道の幸で、一杯やれるってわけ」
↑取りあえず、ホッケ!
律「それは、魅力的ね」
み「だしょー。
だから、ぜひその便で行きたい。
でも、新潟から夜中には乗りたくない」
律「しょうがないじゃないの」
み「方法はある」
律「また、推理もの?」
み「そんなややこしい話じゃないの。
始発の『敦賀』から乗ればいい」
↑『敦賀フェリーターミナル』。バイクの人たちの目的は、北海道でのツーリング。バイクで北海道まで行くのは、大変でしょうからね。
律「『新潟』から北海道に向かうのに……。
わざわざ、『敦賀』まで行くってこと?」
み「左様です」
み「『敦賀』発は、10:00ジャスト。
絶好の出航時間じゃあーりませんか」
↑『敦賀』発は、週1便になってますね。以前は、週3便あったのに。
み「しかし!」
律「何よ?」
み「『新潟』から『敦賀』までは、あまりにも遠いのです」
律「同じ北陸でしょ?」
み「同じ地域に分類されること自体、間違っておる。
チミ、鉄道で検索してみて。
『新潟』から『敦賀』まで。
朝イチに出て、何時に『敦賀』に着けるか」
食「えーっと。
あ、なるほど。
これは不便ですね。
北陸本線で真っ直ぐ向かうより……。
東京まで、新幹線で出た方が早いや。
それでも……。
『新潟』を、6:05発の始発新幹線【Maxとき300号】で出発して……」
食「『東京』着が、8:12か。
8:33発の、新幹線【ひかり505号】に乗り換えて……」
食「『米原』着が、10:45(8:20発の【のぞみ209号】は、『米原』に停まりません)。
ここから、10:59発の特急【しらさぎ5号】に乗って……」
食「『敦賀』着が、11:28。
『敦賀』に10:00に着くのは、とうてい無理ですね。
でも、飛行機を使ったらどうです?
新潟空港からなら、伊丹行きがあるでしょ」
み「やってみ」
食「えーっと。
一番早い便で、『新潟空港』、8:00発か。
『伊丹空港』に着くのが、9:10。
そうか。
これじゃ、『敦賀』に10:00は無理、ということですね」
み「だろ。
『敦賀』から、10:00のフェリーに乗るためには……。
前泊しなきゃならんってこと」
律「普通、しないでしょ」
食「前泊しなくても行けますよ」
み「どうやって?」
食「今回みたいに、夜中じゅう乗ってればいいんです」
み「この便じゃ無理だろ。
『敦賀』、9:53着なんだから」
食「もちろん、鈍行だけじゃ無理ですよ。
でも、新幹線を使えば行けます。
えーっとですね。
まず、『新潟』から、23:38の【ムーンライトえちご】に乗ります」
食「東京の『新宿』着が、翌朝の5:10。
山手線で『品川』まで行き……。
6:00ジャスト発の新幹線【のぞみ99号】に乗ります」
食「でも、これは『米原』に止まらないので……。
『名古屋』で降ります。
7:29ですね。
で、7:32発の【ひかり495号】に乗り換える」
み「3分で乗り換えられるのか?」
食「大丈夫です。
向かい側のホームですし……。
この2本は、接続を取りますから。
もし、【のぞみ99号】が遅れて着いても、待っててくれます」
み「ちょっと待て。
そんなことするなら、『品川』から【ひかり495号】に乗ればいいのではないか?」
食「【ひかり495号】は、『名古屋』始発なんですよ」
み「そんな【ひかり】もあるんだ」
食「で、『米原』着が、7:59。
ここで、8:09の【しらさぎ51号】に乗り換えます」
食「『敦賀』着が、8:39」
↑『敦賀駅』に入る【特急しらさぎ(51号ではありません)】。昆虫系の顔ですね。
食「『敦賀駅』からフェリーターミナルまでは……。
あ、バスで15分です。
出航1時間前に着けますね」
み「いくらかかるの?」
食「16,100円です」
み「高すぎ!」
み「新日本海フェリーだと、『新潟ー敦賀』間はいくら?」
食「一番安い【ツーリストJ】で、5,200円ですね」
↑『しらかば』の【ツーリストJ】。いわゆるひとつの、“2等”です。
み「3倍じゃん」
食「【デラックスA】でも、15,500円ですね」
↑『らいらっく』の【デラックスA】。いわゆるひとつの、“特等”です。
み「高いぞ、JR。
あ、そうだ。
何でJRを使わにゃならんわけ?
フェリーで『敦賀』に行って、折り返してくればいいんじゃん。
ちょうどいい便、ある?」
食「ははは。
ありました。
これはいいですね。
でも、曜日が限られますよ。
『新潟』から『敦賀』に行く便は、日曜だけになります」
み「そのくらいの制約はしかたあるまい。
何時?」
食「『新潟』出航が、16:30。
『敦賀』着が、翌月曜日の朝、5:30です」
み「ちょっと早いが、致し方ない。
この船が折り返すわけだろ」
食「ですね」
み「出航は10:00だけど、乗船手続きは、2時間くらい前から出来るんじゃないかな?
乗れる?」
食「それはわかりませんが」
み「乗れなくても、レストランとかあるでしょ?」
食「えーっと。
レストランは、11:30からしか開きませんね」
↑フェリーターミナルのレストラン『ポン・ドゥ・グラス』の“あんかけ焼そば(850円)”。
食「あ、カフェがあります」
↑カフェの画像がありませんでした。こういうカフェじゃないと思いますが。
食「でも、開店が8:00からです」
み「なんじゃい!
『沼津』食わずで待てと言うのか」
食「『沼津』じゃなくて『敦賀』でしょ」
み「そこらにコンビニとか無いの?」
食「地図を見ると……。
敦賀フェリーターミナルは、港の先っぽに突き出たところですね」
食「ターミナルのほかに、お店は無いでしょう」
み「不便ではないか!」
食「あのですね。
5:30に着いて、その折り返しの10:00に乗る人なんか、誰もいませんよ」
み「やっぱり」
食「でも、行きは『ツーリストJ』にすれば、5,250円で済みますから……。
JR使って前泊するより、はるかに安いですね」
み「よし、それにする」
食「って……。
何でフェリーに乗る話になってるんです?」
み「そうであった!
徳島に行かねばならんのだ。
『敦賀』に着いたところまでだったな」
食「『敦賀』、9:53着」
み「『金沢』発が何時だっけ?」
食「6:56です」
み「3時間もかかるの!」
食「130.7㎞ありますからね。
途中、『福井』で30分くらい待ち合わせがありますが……。
ほかの駅では、ほぼ待ち合わせなしです」
み「北陸は長いってことだな」
食「ですね。
『敦賀』では、おあつらえ向きに、ジャスト30分の待ち時間があります」
み「何の、おあつらえじゃ?」
よし、食べよう。
“天玉蕎麦”」
↑わたしの好物の一つ。ネギを食べるべきか悩みます。残念ながら、『酒田駅』の立ち食いそばも、2011年に滅びたそうです。
食「じゃボクは、“山菜うどん”かな?」
↑このお店の画像が、一番美味しそうでした。早稲田大学大隈講堂脇にある『はせ川』さん。
み「男が、うどんなんか食うな」
食「なんでですか」
み「男は蕎麦。
『てやんでえ、べらぼうめ』とか言いながら、30秒で食う」
↑猫舌の江戸っ子は、どうしてたんでしょうか?
食「食べれませんよ。
熱くて」
み「お冷を入れればいいだろ」
食「薄くなっちゃうじゃないですか」
み「東北の蕎麦は、味が濃いからちょうどいいの」
↑岩手県『北上駅』新幹線改札内。“かき揚天そば”、390円。スープが黒いですね。
食「ほんとかな」
み「はい、続けて。
『酒田』発は?」
食「『酒田』、14:29発。
『新津』、18:29着です」
↑『ばんえつ物語号』は、新津機関区で整備されてます。『ばんえつ物語号』には、C57とD51がいて、この写真のはD51ですね。“貴婦人”と呼ばれるC57に比べ、D51は男っぽく、迫力があるそうです。
み「でたー、『新津』!
われらが鉄道の街。
『新津鉄道資料館』まで、今年、自転車で行ってきた」
↑役場の合同庁舎みたいな建物でした。
食「へー。
近いんですか?」
み「1時間くらいかかったかな」
食「遠いじゃないですか」
み「行ったことある?
『新津鉄道資料館』」
食「残念ながら、無いです」
み「それでも“鉄”か!
“鉄”じゃないわたしが行ってるのに」
食「2回行けば、立派な“鉄”になれますよ」
み「2度と行かなくていい。
ショボすぎ」
↑以下3枚は、わたしが撮ってきた写真です。これは、除雪車だと思います。
『鉄道記念館』は、2013年9月1日から2014年3月いっぱいまで、改修のため休館中です。
改修前の施設を見ておこうと、8月の終わり、年休を取って行ってきました。
わざわざ、このために休んだのではなく……。
なんとなく、週の途中に休みたくなったので。
ほかに用事が無いので、午前中いっぱい使ってチャリで往復してきたのです。
展示物は……。
はっきり言って、お金を取れるレベルでは無かったです(200円取られました)。
30分くらいしか、時間を潰せないと思います。
↑左側の火事装束みたいな人は、何なんでしょう? 襟には“鉄道省”と入ってます。
改修が終わったら、また見に行くかは、思案中。
同じ建物の中での改修なので……。
あまり、期待は出来ません。
評判が良ければ、行ってみます。
↑この展示は、なかなか興味深かったです。ボタンを押すと説明が流れ、パネルのランプが点滅します。
み「『新津』着、何時って言った?」
食「18:29です」
み「『酒田』発は?」
食「14:29ですね」
み「なんで、4時間もかかるわけ?
『酒田』って、隣の山形県だろ?」
食「『酒田 - 新津』間は、166.9キロあります」
み「そんなにあるの!」
↑羽越本線のまともな路線図は、ネット上にまったく存在しませんでした。何をやっとるのか、“鉄”!
食「でも、時速に換算すると、42キロ弱ですから……。
途中で、待ち合わせとかもあるでしょうね」
み「ちょっと待て。
『新津』で18:29分じゃ、この日のうちに徳島までは行けんだろ」
食「もちろんです」
み「断言すな!
宿泊費がかかってしまうではないか」
食「宿泊なんか出来ませんよ。
駅の外に出れないんですから。
諦めます?」
み「ほんとの旅なら、間違いなく『新津』で挫折してる」
食「『新津』で降りたら、乗り越し料金取られますよ」
み「いくら?」
食「7,350円-140円で、7,210円です」
み「やっぱり、続ける」
食「『新津』では、42分の待ち合わせになります」
み「また、待つの~」
食「立ち食いそば、食べますか?」
み「よし。
こうなったら、待ち合わせごとに食べちゃる。
天麩羅は『酒田』で食べたから、こんどはキツネだ」
↑こちらは、『福井駅』の“きつねそば”。350円。やっぱり、関西圏だけあって、出汁の色が薄いです。
食「ボクは、何にしようかな?」
み「ちょっと待て。
何でお前が一緒なわけ?」
食「2人のほうが、気が紛れますよ」
み「ま、それは言えてるか。
1人じゃ、辛すぎるわな。
食ってよし」
↑新津駅には、立ち食いそばは無いようです。代わりに、名物『三色団子』をどうぞ。ごまあん、しろあん、くろあん、三色のハーモニーをご賞味あれ。
食「じゃ、カレーライス」
↑有楽町『新角』のカレー。480円。さすがに、値段もそこそこですね。でも、美味しいそうです。
み「そんなメニューは、無い」
食「『新津』ならあるんじゃないですか?
確か近くに、カレーラーメンが名物ってとこがあったでしょ」
み「それは、『三条』だ」
↑まさか、歌まであるとは知らなんだ。残念ながら、まだ食べたことありません。
み「『新津』とはだいぶ離れてるわい」
食「そうなんですか。
カレーが無ければ、“たぬきうどん”かな」
み「鬱陶しいやつ。
はい、『新津』発は?」
食「『新津』からは、信越本線ですね。
快速『くびき野6号』」
↑新津駅の『くびき野』。これは、17:19発の4号のようです。
み「名前が付いてるような快速じゃ、お金取られるんじゃないの?」
食「指定席だと指定席料金がかかりますが……。
自由席なら、乗車券だけで大丈夫です。
でも、検札はあるかも知れませんよ」
み「どのくらい乗るの?」
食「『新津』、20:11発。
『直江津』、21:53着」
み「まだ新潟県か。
よし、1時間42分、トイレに籠もるぞ」
食「この時間だと、お酒飲んでる人もいるでしょうから……。
トイレに立つ人もいるはずです。
籠ってたりしたら、車掌さんに通報されますよ」
み「うーむ。
運を天に任せるしか無いか」
↑こちらは、グリーン席。これなら、金取るわな。
検索をかけてみたところ……。
検札は無いという情報がありました。
定期券では、指定席に座れないんですが……。
高校生が、平気で指定席に座ってるそうです。
み「『直江津』で、22時前か……。
まだこの日、先があるわけ?」
食「もちろんです。
『直江津』では、29分の待ち合わせになります。
立ち食いそば、食べます?」
み「おぅっ」
律「ぜったい胸焼けするわ」
み「野菜ものが足りとらんよな」
食「『直江津』の立ち食いそばは、食べたことがあります。
あそこのは独特なんですよ。
“食い鉄”の間でも、知られた存在です。
そば、うどんの汁で、黄色い中華麺を食べる『和風中華』が有名です」
↑ネギは冷凍モノではなく、店内で刻んでるそうです。味は……。絶賛する人と、首を傾げる人、二手に別れるようです。
↑動画レポートがありました。どうも、改札の外にあるみたいですね。
律「ますます胸焼けしそうね」
↑安さも魅力! 値段は、十数年変わってないそうです。高校生なら、ぜったいこれだね。
み「野菜ものはないの?」
食「かき揚げなら、野菜ですよ」
み「油を使ってない野菜!」
食「あ、海のそばだから、確か“もずく”はありました」
↑もずくそば。ウズラの卵と天かすが、最初から入ってます。400円。これも名物だそうです。
み「“もずく”は海藻だろ!」
律「海の“もずく”って云うものね」
み「それは、海の“藻屑”!」
食「じゃ、食べずに29分待ちますか?」
み「なんか、切なくなってきた」
律「そうまでして行かなきゃいいのに」
食「ですよね」
み「行く!
次はどこ?」
食「『直江津』、22:22発。
ここからは、北陸本線に入ります。
『富山』、00:15着」
↑北陸新幹線の開業は、2015年春。『富山ー東京』間が、2時間7分で結ばれます。
み「やっと、新潟県を抜けた……。
日付も変わったけど」
食「さて、ここでの接続が、良くありませんね」
み「ぎく。
何分待つんだ?」
食「5時間23分です」
み「どひゃー」
律「これだけあれば、寝れるじゃないの」
↑着る寝袋。ものすごく嵩張りそうな気も……。
律「富山駅なら、待合室があるわよ」
食「目が覚めれば、立ち食いそば屋があります」
↑ホームにありました!
み「また、立ち食いそばなのきゃ!」
食「それじゃ、鱒寿司はどうです?
富山名物です」
↑立ち食いそばと並んでます。
み「野菜は無いの?」
食「山菜そばですね」
↑370円。“立山”の文字入り蒲鉾が決め手です。ナメコも入ってますね。これはおススメかも知れません。
み「便秘になりそうじゃ。
そうだ。
朝は、トイレに行かねば。
ウォシュレットある?」
食「さー。
新幹線の駅舎が出来れば、ありそうですが……。
在来線はどうかな?」
み「便秘確定……」
律「携帯用のウォシュレットを持参すればいいじゃない」
み「なんか、ますます切ない旅じゃ。
ぜったい冬はダメだ。
真っ暗なホームで待つことになる」
↑夜の『富山駅』。ヘタすれば凍死です。
み「『富山』発は、何時だっけ?」
食「5:38です。
4月でも、このくらいの時間だったら、明るくなってきますよ。
夏なら、もう明けきってますね」
↑夜明け間近の『富山駅』(『富山地鉄ホテル』からの眺め)。新潟より都会かも。
み「続けてちょ」
律「めげないわね」
み「夜が明ければ、元気も出るさ。
胸焼けだけど」
食「『富山』、5:38発。
『金沢』、6:33着」
↑金沢駅。かっちょえー。新潟駅なんか、比べ物にならんです。
み「へー。
『富山-金沢』間は、鈍行でも1時間かからないんだね。
『新潟-長岡』間は、1時間15分くらいかかるのに」
↑こうしてみると、確かに近いです。ちなみに、怒ってるのは新潟県知事。新潟県に停車しない新幹線があるということらしいです。別に、いいと思うけどね。
律「新潟は広いって言いたいわけ?」
み「どこへ行くにも、遠くて不便なのじゃ。
『金沢』の待ち合わせは?」
↑なんか、SF映画に出てくるみたいな駅です。
食「23分です。
立ち食いそば、食べますか?」
み「おぅっ。
ホームにある?」
食「もちろんです」
み「じゃ、“月見そば”」
食「お蕎麦屋さんは、改札の外にしかありません」
↑こちらは、改札の外、待合室脇にあるお店の“月見そば”。370円。
食「ホームのは、ラーメン専門なんです」
↑6・7番線ホームにあります。
み「そんな立ち食いそばがあるのか。
食べたことある?」
食「もちろんです。
ここも、和風ラーメンが名物です」
み「いくら?」
食「確か、400円でした」
み「高いではないか」
食「具沢山なんですよ」
↑メンマが美味しそうです。極細麺の茹で上がりに、2分くらいかかるそうです。3分停車とかでは無理ですね。
食「チャーシューが何枚入ってたかな?
あれで400円なら、絶対お値打ちですって」
み「朝飯は、ラーメンか」
律「身体に悪いんじゃないの?」
み「こうなったら、食いだおれじゃい」
律「でも、せっかく『金沢』なんだから……。
何か名物も食べたいわね」
み「改札を出れないだろ」
↑なんと! 有人改札です。駅の外観とは真逆の印象。箱に入ってる駅員さん、久しぶりに見ました。
み「そもそも、『金沢』の名物って何だっけ?」
律「笹かまぼこ?」
み「それは、仙台!」
み「古都金沢の名物が、KIOSKで売ってるとは思えんしな」
食「やっぱり、和風ラーメンにしましょうよ」
み「湯豆腐にする」
↑シンプルで美味しそうです。青いのは、“わけぎ”?
食「何でですか!
あるわけないでしょ。
ていうか、何で湯豆腐なんです?」
み「何となく、茶屋街で出てきそうじゃない」
↑ひがし茶屋街
食「ホームにはありませんよ」
み「案外流行ると思うけどな。
立ち食い湯豆腐」
↑ありました! 京都嵐山にある『嵯峨豆腐 三忠』。いちおうベンチがありますが、混んでれば立ち食いになるようです。
食「流行るわけありません」
み「断言すな」
律「湯豆腐は、座って食べたいわ」
↑フィギュアです。
み「贅沢な。
金沢でいくら取られると思ってるんだ」
律「いくらよ?」
み「百万両」
律「何で、両なの?」
み「金沢と云えば、百万両でしょ」
食「それは、前田家百万石のことですか?」
↑こちらは、2007年のミス。きっともう、良縁に恵まれたんでしょうね。
み「そうとも言う」
食「言いませんって。
両はお金で、石はお米です」
み「百万両と百万石、どっちが多いでしょう?」
食「ちょっとわかりません」
み「百万石に決まっておろうが。
お米の方が、嵩が多いだろ」
食「その“多い”ですか!」
基本的には、1石=1両でいいようです。
1石は、150㎏のお米。
スーパーで買う5㎏で2,000円くらいですから……。
150㎏では、60,000円になります。
100万石だと……。
600億になりますね。
現在、石川県の年間予算は、5,500億円くらいです。
み「KIOSKに交渉してみれ。
湯豆腐を、1人前用意出来ないかと」
食「出来ませんって」
み「諦めるな。
まずは、トライ!」
食「トライしようとする方が異常です」
↑『金沢駅』のKIOSK。いくら古都でも、KIOSKは同じ。
み「そうだ。
一人用の鍋と、ガスコンロを背負っていけばいいんだ」
↑宇宙船みたいです。『ソト(SOTO) 』レギュレーターストーブ ST-310。
み「水は……。
そう言えばさ。
駅って、昔、水飲み台が無かった?」
食「古い写真では……。
ホームに手洗い場みたいなのが、あった気がしますね」
↑こんな形ですが、残されてました。
み「最近は、ぜんぜん見かけないよね」
食「昔、蒸気機関車だったころは……。
顔を洗う必要があったからだと思います」
み「なるほど。
ススで真っ黒になったりするわけか」
↑越後『松之山』の奇祭“むこ投げ”後に行われる“墨塗り”。藁灰と雪を手のひらで混ぜた墨を、誰彼かまわず塗り合います。新婚夫婦もこのとおり。
食「トンネルで窓を締め忘れてたりすると、大変だったようです」
み「てことは……。
蒸気機関車とともに、ホームの手洗い場も滅びたということか。
じゃ、水はどうするかな?」
食「お水なら、自販機で売ってるでしょ。
ミネラルウォーター」
み「もったいない!
日本で水を買うなんて信じられん」
律「じゃ、どうするのよ?」
み「トイレがあるだろ」
律「汚なー」
み「何で!
トイレの水だって、ちゃんとした水道だろ。
ついでに、携帯用ウォシュレットにも補給せねば」
律「まったく食欲が湧かないわね」
み「ダシの昆布は、いくらでも背負ってこれるよな」
↑函館の海で昆布を背負う“ウミアイサ”。
み「問題は……」
食「豆腐ですよ。
どうやって手に入れるんです?」
み「KIOSKで売ってない?」
食「日本中探しても、売ってないと思います」
み「諦めが早い!」
食「こういうのを、常識と言います」
み「じゃ、持参すればいい」
食「『陸奥森田』から、持って乗るんですか?」
み「豆腐なんぞ、軽いもんじゃ」
食「そういう問題じゃない気が……」
み「よし、これで湯豆腐の材料は揃った。
食うぞ」
食「どこで食べるんですか?
コンロに火なんか付けたら、すぐに見咎められて……。
事務所に連れて行かれます」
み「組事務所か?」
↑寺島進さん。好きな俳優さんのひとりです。
食「なんでです。
駅のですよ。
テロリストかと疑われるに決まってます」
み「わたしは、湯豆腐が食べたいだけなのじゃ!」
食「それが異常です。
とにかく、無賃乗車してるわけですからね。
できるだけ大人しくしてなきゃダメですよ。
事務所に連れて行かれたら、ぜったいに『切符を拝見』ということになります」
↑宮脇俊三さん『広尾→枕崎』の片道切符。1978年当時、65,000円。有効期間、68日。
み「くそー。
日陰者は辛いのぅ」
律「ちゃんとお金を払って乗ればいいのよ」
み「それなら、堂々と途中下車して、湯豆腐食べれるだろ」
食「金沢で途中下車するなら……。
B級グルメはどうです?」
み「金沢にも、B級グルメがあるの?」
食「その名も、『ハントンライス』」
↑正直、よほど体調が良いときでないと、食べれそうにありません。
み「なんじゃそりゃ?」
食「オムレツの一種です。
ケチャップで味付けしたバターライスの上に、ふんわりした薄焼き卵を被せてます。
その上に、白身魚のフライが載って、タルタルソースとケチャップがかかってるわけです」
み「それのどこが、『ハントン』なわけ?
豚が半分入ってるのかと思った」
↑マイアミのショッピングモール『ベイサイド・マーケット・プレイス』にて(わたしが撮ったわけじゃありませんが)。
食「そんなの、ボクだって食べきれませんよ。
ハンガリーの“ハン”と、マグロを意味する“トン”をあわせた造語みたいです」
み「なんでハンガリーが出てくるんだ?」
食「ハンガリーの家庭料理が元と言われてるんですが……。
実際には、ハンガリーに、似た料理は無いそうです。
でも、白身魚にタルタルソースをかけて、ご飯と一緒に食べる習慣はあるそうなので……。
これが命名の由来でしょうかね。
とにかく、ボリューム満点です。
レストランの賄い料理が元ですから、美味しさも保証しますよ」
み「野菜は?」
食「付いてません」
み「聞いただけで胸焼けがする。
やっぱ、立ち食いそばにするわ。
『湯豆腐蕎麦』」
食「ありませんって」
↑ありました。でも、あんまり美味しそうじゃありませんね。お蕎麦はやっぱり、ピュアなスープでいただきたいものです。
み「じゃ、もう『金沢』は、いい。
次、行って」
食「スネてどうするんです。
それじゃ、出発しますよ。
『金沢』、6:56発。
『敦賀』、9:53着」
↑良くも悪くも普通の駅です。
み「おー、懐かしの『敦賀』」
律「行ったことあるの?」
み「おまへんがな」
律「じゃ、何で懐かしいのよ?」
み「『日本海航路殺人事件』に出てきたではないか」
律「あ、フェリー乗り場があった所ね」
み「左様です」
み「わたしはいつか、新日本海フェリーで北海道に行きたいのよ」
律「おとといの夜、『秋田』まで乗ったフェリーに、そのまま乗ってれば行けるんでしょ?」
み「そうです。
でも、新潟からは乗りたくない」
律「どうして?」
み「出発が夜中だったでしょうが」
律「夜の11時半だったっけ?」
み「真っ暗な中の出航って、もったいないでしょ」
み「やっぱり、岸壁を離れるところを、潮風に吹かれながら眺めたいわけよ」
↑これは、新潟港を出港する佐渡汽船からの眺め。
律「ほかの時間の便は無いの?」
み「『苫小牧』行きは、この便だけ。
『小樽』行きなら、午前10:30発だから、丁度いいんだけど」
律「なんだ。
それにすればいいじゃない」
み「ところが!
『小樽』着が、朝の4:30なわけ」
み「そんな時間に着いて、どうすんだ!
夏じゃなければ、真っ暗だぞ」
↑日の出を待つ小樽港。夏なら、こんな景色の中での入港となります。
律「『苫小牧』行きは、何時に着くの?」
み「確か、夕方の17:20ころだと思う。
降りたら、真っ直ぐ宿に入って……。
北海道の幸で、一杯やれるってわけ」
↑取りあえず、ホッケ!
律「それは、魅力的ね」
み「だしょー。
だから、ぜひその便で行きたい。
でも、新潟から夜中には乗りたくない」
律「しょうがないじゃないの」
み「方法はある」
律「また、推理もの?」
み「そんなややこしい話じゃないの。
始発の『敦賀』から乗ればいい」
↑『敦賀フェリーターミナル』。バイクの人たちの目的は、北海道でのツーリング。バイクで北海道まで行くのは、大変でしょうからね。
律「『新潟』から北海道に向かうのに……。
わざわざ、『敦賀』まで行くってこと?」
み「左様です」
み「『敦賀』発は、10:00ジャスト。
絶好の出航時間じゃあーりませんか」
↑『敦賀』発は、週1便になってますね。以前は、週3便あったのに。
み「しかし!」
律「何よ?」
み「『新潟』から『敦賀』までは、あまりにも遠いのです」
律「同じ北陸でしょ?」
み「同じ地域に分類されること自体、間違っておる。
チミ、鉄道で検索してみて。
『新潟』から『敦賀』まで。
朝イチに出て、何時に『敦賀』に着けるか」
食「えーっと。
あ、なるほど。
これは不便ですね。
北陸本線で真っ直ぐ向かうより……。
東京まで、新幹線で出た方が早いや。
それでも……。
『新潟』を、6:05発の始発新幹線【Maxとき300号】で出発して……」
食「『東京』着が、8:12か。
8:33発の、新幹線【ひかり505号】に乗り換えて……」
食「『米原』着が、10:45(8:20発の【のぞみ209号】は、『米原』に停まりません)。
ここから、10:59発の特急【しらさぎ5号】に乗って……」
食「『敦賀』着が、11:28。
『敦賀』に10:00に着くのは、とうてい無理ですね。
でも、飛行機を使ったらどうです?
新潟空港からなら、伊丹行きがあるでしょ」
み「やってみ」
食「えーっと。
一番早い便で、『新潟空港』、8:00発か。
『伊丹空港』に着くのが、9:10。
そうか。
これじゃ、『敦賀』に10:00は無理、ということですね」
み「だろ。
『敦賀』から、10:00のフェリーに乗るためには……。
前泊しなきゃならんってこと」
律「普通、しないでしょ」
食「前泊しなくても行けますよ」
み「どうやって?」
食「今回みたいに、夜中じゅう乗ってればいいんです」
み「この便じゃ無理だろ。
『敦賀』、9:53着なんだから」
食「もちろん、鈍行だけじゃ無理ですよ。
でも、新幹線を使えば行けます。
えーっとですね。
まず、『新潟』から、23:38の【ムーンライトえちご】に乗ります」
食「東京の『新宿』着が、翌朝の5:10。
山手線で『品川』まで行き……。
6:00ジャスト発の新幹線【のぞみ99号】に乗ります」
食「でも、これは『米原』に止まらないので……。
『名古屋』で降ります。
7:29ですね。
で、7:32発の【ひかり495号】に乗り換える」
み「3分で乗り換えられるのか?」
食「大丈夫です。
向かい側のホームですし……。
この2本は、接続を取りますから。
もし、【のぞみ99号】が遅れて着いても、待っててくれます」
み「ちょっと待て。
そんなことするなら、『品川』から【ひかり495号】に乗ればいいのではないか?」
食「【ひかり495号】は、『名古屋』始発なんですよ」
み「そんな【ひかり】もあるんだ」
食「で、『米原』着が、7:59。
ここで、8:09の【しらさぎ51号】に乗り換えます」
食「『敦賀』着が、8:39」
↑『敦賀駅』に入る【特急しらさぎ(51号ではありません)】。昆虫系の顔ですね。
食「『敦賀駅』からフェリーターミナルまでは……。
あ、バスで15分です。
出航1時間前に着けますね」
み「いくらかかるの?」
食「16,100円です」
み「高すぎ!」
み「新日本海フェリーだと、『新潟ー敦賀』間はいくら?」
食「一番安い【ツーリストJ】で、5,200円ですね」
↑『しらかば』の【ツーリストJ】。いわゆるひとつの、“2等”です。
み「3倍じゃん」
食「【デラックスA】でも、15,500円ですね」
↑『らいらっく』の【デラックスA】。いわゆるひとつの、“特等”です。
み「高いぞ、JR。
あ、そうだ。
何でJRを使わにゃならんわけ?
フェリーで『敦賀』に行って、折り返してくればいいんじゃん。
ちょうどいい便、ある?」
食「ははは。
ありました。
これはいいですね。
でも、曜日が限られますよ。
『新潟』から『敦賀』に行く便は、日曜だけになります」
み「そのくらいの制約はしかたあるまい。
何時?」
食「『新潟』出航が、16:30。
『敦賀』着が、翌月曜日の朝、5:30です」
み「ちょっと早いが、致し方ない。
この船が折り返すわけだろ」
食「ですね」
み「出航は10:00だけど、乗船手続きは、2時間くらい前から出来るんじゃないかな?
乗れる?」
食「それはわかりませんが」
み「乗れなくても、レストランとかあるでしょ?」
食「えーっと。
レストランは、11:30からしか開きませんね」
↑フェリーターミナルのレストラン『ポン・ドゥ・グラス』の“あんかけ焼そば(850円)”。
食「あ、カフェがあります」
↑カフェの画像がありませんでした。こういうカフェじゃないと思いますが。
食「でも、開店が8:00からです」
み「なんじゃい!
『沼津』食わずで待てと言うのか」
食「『沼津』じゃなくて『敦賀』でしょ」
み「そこらにコンビニとか無いの?」
食「地図を見ると……。
敦賀フェリーターミナルは、港の先っぽに突き出たところですね」
食「ターミナルのほかに、お店は無いでしょう」
み「不便ではないか!」
食「あのですね。
5:30に着いて、その折り返しの10:00に乗る人なんか、誰もいませんよ」
み「やっぱり」
食「でも、行きは『ツーリストJ』にすれば、5,250円で済みますから……。
JR使って前泊するより、はるかに安いですね」
み「よし、それにする」
食「って……。
何でフェリーに乗る話になってるんです?」
み「そうであった!
徳島に行かねばならんのだ。
『敦賀』に着いたところまでだったな」
食「『敦賀』、9:53着」
み「『金沢』発が何時だっけ?」
食「6:56です」
み「3時間もかかるの!」
食「130.7㎞ありますからね。
途中、『福井』で30分くらい待ち合わせがありますが……。
ほかの駅では、ほぼ待ち合わせなしです」
み「北陸は長いってことだな」
食「ですね。
『敦賀』では、おあつらえ向きに、ジャスト30分の待ち時間があります」
み「何の、おあつらえじゃ?」