2013.11.30(土)
食「でも、新郷村には……。
マジで、異文化を持ちこまないと説明のつかない伝承もあるようです」
み「どんな?」
食「典型的なのが、『ナニャドヤラー』ですね」
↑“火の用心”と何の関係が……。
み「なんじゃ、それ?」
食「祭りで歌われるそうです。
『ナニャドヤラー、ナニャドナサレノ』とか」
み「どういう意味?」
食「日本語とは接点がありません。
でも、ヘブライ語にすると、意味が通じるそうです」
み「どんな意味?」
食「お前に聖名を誉め讃えん。
お前に毛人を掃討し」
み「さっぱり通じんではないか。
“もうじん”って、なんじゃい?」
食「アイヌのことみたいです」
み「うーむ。
確かに毛深そうではあるが」
食「あと、“青森ねぶた”の掛け声に……」
食「“ラッセラー”ってあるでしょ?」
み「“ねぶた”の周りで、跳ね回るときの声だね」
食「跳人(はねと)と云うそうですね。
“ラッセラー”は、ヘブライ語にすると、“動かせ”の意味になるそうです」
↑2012年8月2日『青森ねぶた祭』。
み「ほー。
それは興味深い」
食「さらに、『弘前ねぷた』の“ヤーヤードゥ”は……」
み「ちょっと、タンマ」
食「なんです?」
み「青森は、“ねぶた”で……。
弘前は、“ねぷた”なわけ?」
食「厳密な区別はないようです。
祭りの通称がそうなってるだけで……。
実際には、両方使われてるみたいです」
み「そもそも、語源は何なの?
寝てるブタ?」
み「そんなら、目の前にいるけど」
食「誰のことですか!
起きてますよ」
み「わかってるではないか」
食「語源は、“眠むた”だそうです」
み「“眠たい祭り”ってこと?
あんな跳ねまわって、眠たいわけないだろ」
食「逆ですよ。
昼が長く、過酷な農作業が続く夏場に……。
睡魔を追い払うため、灯ろうを川や海に流した習慣があるそうです。
これを、“ねむり流し”と言ったとか」
み「なるほど。
眠気を追い払う祭りか。
それで跳ねまわってるのかね?」
食「ま、絶対に眠たくはならない祭りですね」
み「で、その『弘前ねぷた』の掛け声が何だって?」
食「“ヤーヤードゥ”です」
食「これは、ヘブライ語に直すと……。
そのものズバリ、“エホバ(ヤハウェ)を讃えよ”になるそうです」
み「おー。
すげー」
食「で、新郷村ですけどね。
異文化を匂わせる風習も残ってます。
生まれた子を初めて外に出すとき……。
額に墨で十字を書くそうです」
↑新郷村『キリストの里伝承館』の展示物
み「キリスト教徒じゃなくても?」
食「はい。
足がしびれたときも……」
「額に十字を書くそうです」
↑“おでこに唾”は、聞いたことがあります。
み「今度、やってみよう」
食「極めつけは……。
キリストの墓がある敷地の所有者、沢口家に伝わる家紋です」
食「『桔梗紋』と呼ばれてますが……。
これが、ユダヤの紋章である六芒星、いわゆる『ダビデの星』とそっくりなんです」
み「ひょえー」
食「戸来小学校の校章も、『ダビデの星』を象った、いわゆる“籠目”だそうです」
↑戸来小学校の校章画像は、なぜか見つかりませんでした。こちらの画像は、徳島県海部(かいべ)郡海陽町立海部小学校の校章です。
み「おー。
かっちょいーではないか」
食「新郷村では、毎年6月、『キリスト祭り』が開催されてるそうですね。
あ、画像入りの記事がありました。
なぜか、神主が祝詞を捧げてますね」
律「どうしてよ?」
み「問うでない!」
食「『ナニャドヤラ』を踊りながら、墓の周りを回ったりしてます」
詳しくは、こちらをどうぞ。
珍スポットハンターの女性によるレポート→こちら。
↓動画もありました。歌詞は、どう考えても日本語ではありません。
み「うーむ。
青森、恐るべし」
食「でも、ボクも旅してて感じるんですが……。
青森や秋田では、外人っぽい顔立ちの人に会うんですよ」
↑1953年(昭和28年)、木村伊兵衛撮影(モデルさんではありません。大曲の田んぼで農作業をしてた人だそうです)
食「一見、ハーフみたいなんですが……。
しゃべると、完璧な東北弁だったりして」
み「縄文人ってのが、いわゆる“濃い面”だったんでしょ」
↑『テルマエ・ロマエ』の阿部寛。
み「で、それに取って代わった弥生人は……。
いわゆる、引目鉤鼻のおたふく顔」
食「あ、Wikiの『キリストの墓』のところで、面白いデータが載ってます。
東京大学の先生が、世界34カ国でヒトポリオーマウイルスの分布を調査したそうです。
で、ヨーロッパに集中しているEUタイプのウイルスが……。
なんと、日本海側の秋田中心でも分布してたそうです」
み「ほー」
食「本来、白人にしか無いはずのウィルスだそうです」
み「てことは?」
食「秋田を中心とする東北の人の先祖には……。
白人がいたということです」
↑昭和27年、大野源二郎撮影。女優さんにしか見えませんが……。田植えをしてた女性だそうです。
食「あ、もうひとつ、面白いデータがあります。
わさお関連ですね」
み「なんじゃい」
食「秋田犬は、他の日本犬と違い……。
ヨーロッパ犬と同じ血液型を持つそうです」
み「わさおだけは、そうは見えんが」
食「ヨーロッパから、犬を連れた白人が来てたんじゃないでしょうか?」
↑外人さんのサイズには、このくらいの大きさの犬が合うんでしょうかね。
み「うーむ。
そう言えば……。
東北弁って、フランス語の発音に似てるよな」
律「あ、それ、CMで見た」
み「いったい、どっからキリストの話題になったんだ?」
食「忘却の彼方です」
律「わたし、覚えてる。
津軽に別の書き方があるって話からよ」
み「それだ!
そこから、『東日流外三郡誌(つがるそとさんぐんし)』に脱線したんだ」
食「脱線は禁句です」
み「よし、そろそろ、先を急ごうではないか。
さっき、どこの駅を過ぎたんだっけ?」
食「『鳴沢駅』ですね」
み「そろそろ次の駅だろ?」
食「次は、『越水駅』です。
おかしいなぁ」
み「何が?」
食「『鳴沢ー越水』間は、4分くらいのはずなんですが……。
ボクたち、何分しゃべってました?」
み「良いではないか。
この列車には、融通無碍な時間が流れておるのじゃ」
食「『越水』、通過します」
↑反対方向からの画像かも知れません。
み「あ、跨線橋がある」
食「でも、ホームは、1面1線ですね」
み「何も跨線橋作らなくても、踏切でいいだろうに」
食「踏切だと、除雪が難しいんじゃないですか?
無人駅ですから」
み「なるほど。
“こしみず”ってのは、“小さい清水”?」
食「違います。
“水”を“越”えると書きます。
低湿地らしい地名ですよ。
ほら、溜池が点在してるでしょ」
↑つがる市『出来島大堤』
律「岩木山、綺麗ね」
食「遮るものがありませんからね。
リンゴ畑と岩木山は……。
五能線、撮影ポイントのひとつです」
食「さてそろそろ、次の停車駅が近づきました」
み「なに駅じゃ?」
食「『陸奥森田』です」
み「ふむ。
元祖の『森田駅』はどこ?」
食「北陸本線です。
『福井駅』の隣ですね」
み「快速が停まるってことは、『陸奥森田』も、少しは大きい駅?」
食「今は、1面1線の単式ホームですが……。
昔は、2面2線の相対式ホームでした。
旧下り線は使われなくなってますが、ホームと線路は今も残ってます」
み「何か、侘しげな光景が目に浮かぶのぅ。
もちろん、無人駅?」
食「いえ。
簡易委託駅です。
改札もするみたいですね」
み「駅前商店が?」
食「いえ。
この駅は、『つがる地球村』というテーマパークの最寄り駅なんですよ」
食「つがる市が60%を出資する、『つがる地球村 株式会社』という三セクが運営してます。
この会社が、駅の業務を受託してるんだと思います」
み「『ウェスパ椿山』みたいな施設?」
食「ですね。
宿泊もできますし。
洋風ホテルはもちろん……」
食「独立したコテージから……」
食「オートキャンプ場まであります」
み「インドア派もアウトドア派もオッケーってわけか。
いくらじゃい?」
食「ホームページに、料金表がありました。
ホテルは、ツインの洋室で、1人5,775円ですね」
み「ふむ。
結構な値段だな。
シティホテル並みじゃん」
食「でも、値段には、温泉の入浴料が含まれてますから」
み「温泉はいくら?」
食「500円ですね」
み「ほー。
てことは、実質、5,275円ってわけか。
食事は?」
食「隣接するレストランで摂ることになります」
食「朝食は、1,050円ですね」
み「高い!」
↑朝食の画像が見つかりませんでした。これは、昼食バイキング(1,000円)。たぶん、朝食もバイキングだと思います。焼き海苔に納豆では、元が取れん! 朝から気合が必要です。
み「夕食は?」
食「3,000円、4,000円、5,000円のコースがあります」
↑『アワビ・海鮮コース』。これが5,000円か? お酒は別注文なんでしょうね。明らかに、宿泊費より高くつきます。
食「あ、中庭でバーベキューが出来ますよ」
食「5月から9月までの夏場だけですけど。
1人前1,500円ですね」
み「飲み放題?」
食「飲み物は別でしょ」
み「ふーん。
いずれにしろ、夏場のバーベキューは、パスだな」
食「どうして?」
み「蚊が、山ほどいるに決まっておる」
み「蚊にとっての、飲み放題じゃないのか?
ホテルは、もっと安い部屋は無いの?
布団部屋とか」
↑布団部屋で事に及ぶ男女。
食「和室ならあります。
8畳間なら、1人4,200円ですね」
み「ふーん。
もう一息ってとこだな。
コテージは幾ら?」
食「こっちの方が高いですよ。
独立した建物なんですから。
2人用で、1棟あたり、12,600円です」
み「高い!
1人頭、6,300円じゃないか。
ホテルより高くちゃ、話にならんぞ」
食「何の話ですか?」
み「いいから!
一番安いとこで幾ら?」
食「6人用で、1棟あたり、22,050円です。
1人あたり、3,675円ですね」
↑リビングのソファーベッドで2人、2人用の寝室が2つ。
み「おー、ようやくこなれてきたではないか。
そこに、10人で泊まれば……。
一人頭、2,205円だ」
食「定員オーバーの場合は、1人あたり3,150円の超過料金が発生します」
み「発生すな!」
↑すべてのコテージに、個室露天風呂が備わってます。
食「オートキャンプ場なら、ずっと安いですよ」
食「入場料が、1人630円。
プラス、区画の使用料ですね。
1番安い区画は、525円ですよ。
2人で利用した場合、630円×2+525円ですから、1,785円になります。
この区画には、電源がありませんけど」
み「電源が無いと、どうなるわけ?」
食「さー。
電化製品が使えないんじゃないですか?」
み「キャンプに、電化製品を持って来るのか?
掃除機とか?」
食「持って来るわけないです。
でも、車のエンジンかけっぱなしにしておくわけにもいかないでしょ」
↑街灯は、区画ごとにあるわけじゃないようです。
食「そうなると、電源はあった方が便利だと思いますよ」
↑手前の棒杭ではなく、後方のボックスがACソケット。
み「電源があるといくら?」
食「2,625円です」
み「うーむ。
1人頭、プラス630円だから……。
3,255円。
コテージと大して変わらんではないか。
虫もいるしな」
↑これと似たものを、庭仕事用に持ってます。でも、これでは酒が飲めんではないか!
食「オートキャンプ場は、ペットもオーケーだそうです」
↑テーブルに載ってるのは、キャバリアくん。車はフォードのエクスプローラー。アウトドアしてますね。
食「ま、人だけで泊まるんなら、コテージがいいですよね」
↑全てのコテージにキッチンが付いてます。電子レンジ、冷蔵庫、炊飯器、電気ポット、鍋類などのほか、人数分の食器類もすべて揃ってます。こんなとこに滞在して、執筆したいものです。
み「日帰りでも利用も出来るの?」
食「えーと、ありました。
これは、割安ですよ。
大広間なら、4時間いても525円です」
み「大広間に4時間もいてどうする!
個室は無いのか?」
食「あ、和室の個室がありますね」
↑残念ながら、『つがる地球村』の画像ではありません。
食「4時間で、1,050円です。
入浴料が別途、300円かかるようです」
み「それでも、1,350円か。
2人で、2,700円だろ。
ぜったい、ラブホ代わりに使ってるヤツがいるぞ」
食「カップルなら、泊まるんじゃないですか?」
み「カップルではない!」
律「アベック?」
み「死語だろ。
どう違うんじゃ?」
律「なら、誰なのよ」
み「夫婦者じゃ」
律「どうして、夫婦がわざわざそんなことしに来るのよ?」
み「親夫婦と同居してるだろうから……」
み「大っぴらには、やれないの」
律「家が広ければ大丈夫でしょ?」
み「日本家屋ってのは、ちょっくら広くたって聞こえ放題だって」
律「そんなら、ここでも聞こえるんじゃないの?
和室なんだから」
み「赤の他人になら、聞こえてもいいの。
親だから恥ずかしいの」
律「そんなもんなの?」
み「そんなもんです。
なんなら、和室で張りこんでみるか?
声が聞こえるか」
律「わざわざそんなことしに行くのは、あんたくらいよ」
み「作家に好奇心は不可欠です」
律「あんたの場合、単なる出歯亀でしょ」
み「声を聞くだけなら、犯罪じゃありませーん」
律「あんたなら、録音するでしょ」
み「勝手に聞こえた音を録音するんなら、犯罪じゃないでしょ」
↑集音器なのに、なんで目に当ててるんだ? ターゲットに照準を合わせるためか?
律「やっぱり、するんじゃない」
食「そういうカップルは、コテージを使うんじゃないですか?」
み「日帰りでも使えるのか?」
食「1人、1,575円です」
み「安い!
これも、4時間?」
食「ですね」
み「泊まるといくらだっけ?」
食「2人用の棟で、12,600円です」
み「それって、2人分の値段?」
食「そうです」
み「泊まりだと、何時から何時までいられるの」
食「えーっと。
ありました。
チェックインが、午後2時から。
チェックアウトが、午前11時ですね」
み「1時間あたり、いくら?」
食「えーっと。
21時間滞在できることになりますから……。
1時間あたり、600円です。
1人、300円になりますね」
み「4時間あたりだと、1,200円か。
なるほど。
泊まったほうが、微妙に安いな。
でも、4時間で1,575円ってのは、大サービスじゃないの?」
食「泊まりの予約が入ってないときだけ貸すんじゃないですか?
遊ばせておくより、いいわけでしょ」
み「なるへそ。
ぜひとも、コテージを利用する2人連れをチェックしたいものじゃ。
出来れば、インタビューも」
律「何を聞くのよ?」
み「今、なさいましたかって」
律「殴られるわよ」
み「『つがる地球村』近くに住む夫婦者は幸せじゃ。
住宅事情に悩む若夫婦は、ぜひ移住を検討してみてほしい」
↑たぶん、まわりには何もないと思われます。
律「そんな理由で移住するわけないでしょ。
職が無いわよ」
み「厳しいですなぁ。
『陸奥森田駅』の改札は?」
食「すでに充足しております」
み「ちぇ。
あとは、どんな施設があるの?」
食「子供向けの遊具や、スポーツ施設なんかがメインみたいですね。
『チャイルド・ウッド』っていうスライダーが人気だそうです」
食「スポーツでは……。
テニスコート」
食「パターゴルフ場」
食「バスケットコートなどがあるようです」
み「こんなところまで来て、バスケットするか?」
食「あ、相撲場までありました」
み「さすが、青森」
食「まだ売り物がありますよ。
野外円形劇場です」
食「古代ローマのコロシアムをモデルに作られたそうです」
み「今度は、ローマか!
何に使われるわけ?」
食「普通に、コンサートとかでしょ」
み「『テルマエ・ロマエ』のロケが出来ないか?」
食「あぁ。
いいかも知れないですね。
岩木山が、ヴェスヴィオ火山に見えるかも知れません」
み「『テルマエ・ロマエ』と云えば、風呂じゃな。
円形劇場があるんなら、ローマ風呂もあるんじゃないの?」
食「普通のお風呂だと思いますよ」
↑普通です。
み「お風呂だけだと、いくらだっけ?」
食「500円です」
み「東京の銭湯より高いではないか」
食「温泉施設ですから」
み「いっそのこと、ローマでまとめればいいのに。
地球村なんて、漠然とした名前にしないで……。
『つがるローマ村』」
食「なんだか……。
『新潟ロシア村』を連想しますが」
み「今、どれくらい人が入ってるんだ?
廃墟になった方が、人が大勢来るかも知れんぞ」
食「縁起でもない。
Wikiで、『陸奥森田駅』の乗車人数を見てみましょう」
↑なかなか他にない色彩です。誰が色を決めたんでしょう?
み「えーっと。
あー。
やっぱり、減ってはいますね。
2000年は、1日平均138人の乗車人員でしたが……。
ここのところ、100人を割ってます。
でも、平日も均して100人なんですから……。
休みの日なんか、けっこう賑わうんじゃないですか?」
み「『鰺ケ沢駅』ってどのくらい?」
食「300人くらいでした」
み「あの駅は、通勤通学でけっこう使われるでしょ?」
食「ですね」
↑『鰺ケ沢駅』。混雑した画像は、1枚もありませんでした。これは、『くまげら』が入ってきたところ。右の人たちは、サイクリストのようです。
み「ここで100人は大したもんだよ。
五能線を乗り継ぎながら……。
『アオーネ白神十二湖』、『ウェスパ椿山』、『つがる地球村』に連泊するってのはどうだ?」
食「いいですね。
ぜひやってみたいです」
み「新婚旅行はそれにしなさい」
律「お嫁さん、逃げちゃうわよ」
み「大丈夫。
こんなのと結婚するんだから、変わり者に決まっておる」
↑たぶん、こんな。
食「いちいち失礼です」
み「さて、『陸奥森田駅』は、これくらいかな。
あ、大事なこと忘れてた」
律「何よ?」
み「日帰り温泉」
律「今、やったじゃない」
み「ああいうリゾートじゃなくてさ。
地元民が利用する、安いやつ。
ほれ、検索。
あ、スゴいギャグを思いついた!
『陸奥森田』を検索するから……。
森田検索!」
律「25点ね」
み「何で!」
食「あ、ありました。
『おらほの湯』」
み「おー。
イカニモなネーミング。
まさしく、お役所センスだね。
入浴料金、いくら?」
食「例によって……。
安いですよ」
み「いくらなんだよ!」
食「320円です」
み「子供料金でねえの?」
食「いえ。
大人です」
み「営業時間が短いとか?」
食「朝7時から、夜の9時までやってますね」
み「燃料代の元取れるのか?」
食「温泉ですよ。
沸かす必要ないじゃないですか」
み「あ、そうか。
それでもなー。
休憩所とかは無いんだろ?」
食「さすがに個室は無いみたいですけどね。
大広間はあります」
↑これは、実際の大広間です。
み「わかった。
そこの利用料が、150円くらいなんだ」
食「鋭いですね。
大広間込みで、500円ですから……。
180円増しです」
み「どんなもんだい」
食「あ、でも、持ち込みが可ですね。
お弁当持って、寛いでいく人も多いらしいです」
み「ほんとかよ」
食「地域の交流の場になってるみたいです」
み「いい施設だね。
避難所とかに最高なんじゃないの?
温泉付き。
わたしなら、毎日避難してもいい。
パソコン、使える?」
↑広い和室でパソコンの画像は、ほとんどありませんでした。
食「そこまでは無理でしょう」
み「惜しいのぅ。
使えたら、住んでもいいのに」
食「迷惑です」
み「あらそ。
パソコン使えない大広間なら、こっちからお断りでい。
お風呂だけなら、320円ぽっきりなんでしょ。
1ヶ月で、たったの9,600円じゃん」
食「第1と第3月曜が休みですね」
み「なら、8,960円だ。
これならさ、風呂なしのアパート借りて、ここに通った方が得かもね」
律「今どき、そんなアパートあるの?」
み「たぶん、あります。
トイレは、ボットン便所」
律「あり得ないわ」
み「ある!
駅のトイレにあっただろ」
↑恐怖の『松神駅』。
律「そんなアパート、借り手が無いわよ」
み「アパートっていうか、戸建ての長屋みたいなのなら、あるって」
↑どこだと思います? なんと! 東京都港区元麻布です。
み「うちの近所にも、わたしが生まれる前からの長屋があるもの。
トイレの外に、カラカラ回る煙突みたいなのが付いてる」
↑ベンチレーターと云うようです。
み「ま、長屋だから、風呂もあるだろうけどさ。
でも、ガス使って、自分とこで棺桶みたいな風呂沸かすより……。
320円の温泉に行ったほうが、ぜったいにいいよ」
律「棺桶みたいなお風呂って何よ?
そんな長細いお風呂なの?」
↑酵素風呂だそうです。左端の女の子が、妙に可愛い。詳しくはこちら。
み「“桶”って言ったでしょ。
昔の棺桶ってのは、まさしく桶の形をしてたの」
↑江戸時代の棺桶。
み「天秤棒にぶら下げて、前後から担いだのよ」
↑「安政箇労痢(ころり)流行記」の口絵にある「荼毘室(やきば)混雑の図」。
律「どうやって入れるの?」
み「体育座りみたいにして入ってる」
み「いわゆる、屈葬ってやつだね」
み「栃木の那須に親戚がいるんだけど……。
一度、母親の名代で、法事に行ったことがあるんだ。
山の中でね。
お墓は、山の斜面にあるの。
で、そこは、そんな昔じゃないころまで、土葬だったんだって」
み「山の斜面で土地が少ないから、長々と寝るお棺には入れない。
みんな、桶だったそうよ。
見晴らしのいい場所でね。
那須の山々が綺麗に見える。
なんか、何世代もの人たちが……。
同じ体育座りをして、同じ風景を見てるような気がしたわ」
律「ふーん。
でも、亡くなるときも、体育座りなの?」
み「なわけないでしょ」
律「お布団に寝てるわけよね?」
み「病気で死ねば、当然そうでしょうね」
律「一直線に伸びた亡骸を、桶に詰めるなんて、大変よ。
死後硬直があるんだから」
↑生きてます。
み「死んだらすぐ入れるんじゃないの?」
律「そんなわけにいかないでしょ。
桶に入れた状態で、お通夜とお葬式するわけ?」
↑秩父の奇祭『ジャランポン祭り』。詳しくは、こちら。
み「あ、そうか。
そんなに早く、固まるもの?」
律「ガチガチだと思う」
マジで、異文化を持ちこまないと説明のつかない伝承もあるようです」
み「どんな?」
食「典型的なのが、『ナニャドヤラー』ですね」
↑“火の用心”と何の関係が……。
み「なんじゃ、それ?」
食「祭りで歌われるそうです。
『ナニャドヤラー、ナニャドナサレノ』とか」
み「どういう意味?」
食「日本語とは接点がありません。
でも、ヘブライ語にすると、意味が通じるそうです」
み「どんな意味?」
食「お前に聖名を誉め讃えん。
お前に毛人を掃討し」
み「さっぱり通じんではないか。
“もうじん”って、なんじゃい?」
食「アイヌのことみたいです」
み「うーむ。
確かに毛深そうではあるが」
食「あと、“青森ねぶた”の掛け声に……」
食「“ラッセラー”ってあるでしょ?」
み「“ねぶた”の周りで、跳ね回るときの声だね」
食「跳人(はねと)と云うそうですね。
“ラッセラー”は、ヘブライ語にすると、“動かせ”の意味になるそうです」
↑2012年8月2日『青森ねぶた祭』。
み「ほー。
それは興味深い」
食「さらに、『弘前ねぷた』の“ヤーヤードゥ”は……」
み「ちょっと、タンマ」
食「なんです?」
み「青森は、“ねぶた”で……。
弘前は、“ねぷた”なわけ?」
食「厳密な区別はないようです。
祭りの通称がそうなってるだけで……。
実際には、両方使われてるみたいです」
み「そもそも、語源は何なの?
寝てるブタ?」
み「そんなら、目の前にいるけど」
食「誰のことですか!
起きてますよ」
み「わかってるではないか」
食「語源は、“眠むた”だそうです」
み「“眠たい祭り”ってこと?
あんな跳ねまわって、眠たいわけないだろ」
食「逆ですよ。
昼が長く、過酷な農作業が続く夏場に……。
睡魔を追い払うため、灯ろうを川や海に流した習慣があるそうです。
これを、“ねむり流し”と言ったとか」
み「なるほど。
眠気を追い払う祭りか。
それで跳ねまわってるのかね?」
食「ま、絶対に眠たくはならない祭りですね」
み「で、その『弘前ねぷた』の掛け声が何だって?」
食「“ヤーヤードゥ”です」
食「これは、ヘブライ語に直すと……。
そのものズバリ、“エホバ(ヤハウェ)を讃えよ”になるそうです」
み「おー。
すげー」
食「で、新郷村ですけどね。
異文化を匂わせる風習も残ってます。
生まれた子を初めて外に出すとき……。
額に墨で十字を書くそうです」
↑新郷村『キリストの里伝承館』の展示物
み「キリスト教徒じゃなくても?」
食「はい。
足がしびれたときも……」
「額に十字を書くそうです」
↑“おでこに唾”は、聞いたことがあります。
み「今度、やってみよう」
食「極めつけは……。
キリストの墓がある敷地の所有者、沢口家に伝わる家紋です」
食「『桔梗紋』と呼ばれてますが……。
これが、ユダヤの紋章である六芒星、いわゆる『ダビデの星』とそっくりなんです」
み「ひょえー」
食「戸来小学校の校章も、『ダビデの星』を象った、いわゆる“籠目”だそうです」
↑戸来小学校の校章画像は、なぜか見つかりませんでした。こちらの画像は、徳島県海部(かいべ)郡海陽町立海部小学校の校章です。
み「おー。
かっちょいーではないか」
食「新郷村では、毎年6月、『キリスト祭り』が開催されてるそうですね。
あ、画像入りの記事がありました。
なぜか、神主が祝詞を捧げてますね」
律「どうしてよ?」
み「問うでない!」
食「『ナニャドヤラ』を踊りながら、墓の周りを回ったりしてます」
詳しくは、こちらをどうぞ。
珍スポットハンターの女性によるレポート→こちら。
↓動画もありました。歌詞は、どう考えても日本語ではありません。
み「うーむ。
青森、恐るべし」
食「でも、ボクも旅してて感じるんですが……。
青森や秋田では、外人っぽい顔立ちの人に会うんですよ」
↑1953年(昭和28年)、木村伊兵衛撮影(モデルさんではありません。大曲の田んぼで農作業をしてた人だそうです)
食「一見、ハーフみたいなんですが……。
しゃべると、完璧な東北弁だったりして」
み「縄文人ってのが、いわゆる“濃い面”だったんでしょ」
↑『テルマエ・ロマエ』の阿部寛。
み「で、それに取って代わった弥生人は……。
いわゆる、引目鉤鼻のおたふく顔」
食「あ、Wikiの『キリストの墓』のところで、面白いデータが載ってます。
東京大学の先生が、世界34カ国でヒトポリオーマウイルスの分布を調査したそうです。
で、ヨーロッパに集中しているEUタイプのウイルスが……。
なんと、日本海側の秋田中心でも分布してたそうです」
み「ほー」
食「本来、白人にしか無いはずのウィルスだそうです」
み「てことは?」
食「秋田を中心とする東北の人の先祖には……。
白人がいたということです」
↑昭和27年、大野源二郎撮影。女優さんにしか見えませんが……。田植えをしてた女性だそうです。
食「あ、もうひとつ、面白いデータがあります。
わさお関連ですね」
み「なんじゃい」
食「秋田犬は、他の日本犬と違い……。
ヨーロッパ犬と同じ血液型を持つそうです」
み「わさおだけは、そうは見えんが」
食「ヨーロッパから、犬を連れた白人が来てたんじゃないでしょうか?」
↑外人さんのサイズには、このくらいの大きさの犬が合うんでしょうかね。
み「うーむ。
そう言えば……。
東北弁って、フランス語の発音に似てるよな」
律「あ、それ、CMで見た」
み「いったい、どっからキリストの話題になったんだ?」
食「忘却の彼方です」
律「わたし、覚えてる。
津軽に別の書き方があるって話からよ」
み「それだ!
そこから、『東日流外三郡誌(つがるそとさんぐんし)』に脱線したんだ」
食「脱線は禁句です」
み「よし、そろそろ、先を急ごうではないか。
さっき、どこの駅を過ぎたんだっけ?」
食「『鳴沢駅』ですね」
み「そろそろ次の駅だろ?」
食「次は、『越水駅』です。
おかしいなぁ」
み「何が?」
食「『鳴沢ー越水』間は、4分くらいのはずなんですが……。
ボクたち、何分しゃべってました?」
み「良いではないか。
この列車には、融通無碍な時間が流れておるのじゃ」
食「『越水』、通過します」
↑反対方向からの画像かも知れません。
み「あ、跨線橋がある」
食「でも、ホームは、1面1線ですね」
み「何も跨線橋作らなくても、踏切でいいだろうに」
食「踏切だと、除雪が難しいんじゃないですか?
無人駅ですから」
み「なるほど。
“こしみず”ってのは、“小さい清水”?」
食「違います。
“水”を“越”えると書きます。
低湿地らしい地名ですよ。
ほら、溜池が点在してるでしょ」
↑つがる市『出来島大堤』
律「岩木山、綺麗ね」
食「遮るものがありませんからね。
リンゴ畑と岩木山は……。
五能線、撮影ポイントのひとつです」
食「さてそろそろ、次の停車駅が近づきました」
み「なに駅じゃ?」
食「『陸奥森田』です」
み「ふむ。
元祖の『森田駅』はどこ?」
食「北陸本線です。
『福井駅』の隣ですね」
み「快速が停まるってことは、『陸奥森田』も、少しは大きい駅?」
食「今は、1面1線の単式ホームですが……。
昔は、2面2線の相対式ホームでした。
旧下り線は使われなくなってますが、ホームと線路は今も残ってます」
み「何か、侘しげな光景が目に浮かぶのぅ。
もちろん、無人駅?」
食「いえ。
簡易委託駅です。
改札もするみたいですね」
み「駅前商店が?」
食「いえ。
この駅は、『つがる地球村』というテーマパークの最寄り駅なんですよ」
食「つがる市が60%を出資する、『つがる地球村 株式会社』という三セクが運営してます。
この会社が、駅の業務を受託してるんだと思います」
み「『ウェスパ椿山』みたいな施設?」
食「ですね。
宿泊もできますし。
洋風ホテルはもちろん……」
食「独立したコテージから……」
食「オートキャンプ場まであります」
み「インドア派もアウトドア派もオッケーってわけか。
いくらじゃい?」
食「ホームページに、料金表がありました。
ホテルは、ツインの洋室で、1人5,775円ですね」
み「ふむ。
結構な値段だな。
シティホテル並みじゃん」
食「でも、値段には、温泉の入浴料が含まれてますから」
み「温泉はいくら?」
食「500円ですね」
み「ほー。
てことは、実質、5,275円ってわけか。
食事は?」
食「隣接するレストランで摂ることになります」
食「朝食は、1,050円ですね」
み「高い!」
↑朝食の画像が見つかりませんでした。これは、昼食バイキング(1,000円)。たぶん、朝食もバイキングだと思います。焼き海苔に納豆では、元が取れん! 朝から気合が必要です。
み「夕食は?」
食「3,000円、4,000円、5,000円のコースがあります」
↑『アワビ・海鮮コース』。これが5,000円か? お酒は別注文なんでしょうね。明らかに、宿泊費より高くつきます。
食「あ、中庭でバーベキューが出来ますよ」
食「5月から9月までの夏場だけですけど。
1人前1,500円ですね」
み「飲み放題?」
食「飲み物は別でしょ」
み「ふーん。
いずれにしろ、夏場のバーベキューは、パスだな」
食「どうして?」
み「蚊が、山ほどいるに決まっておる」
み「蚊にとっての、飲み放題じゃないのか?
ホテルは、もっと安い部屋は無いの?
布団部屋とか」
↑布団部屋で事に及ぶ男女。
食「和室ならあります。
8畳間なら、1人4,200円ですね」
み「ふーん。
もう一息ってとこだな。
コテージは幾ら?」
食「こっちの方が高いですよ。
独立した建物なんですから。
2人用で、1棟あたり、12,600円です」
み「高い!
1人頭、6,300円じゃないか。
ホテルより高くちゃ、話にならんぞ」
食「何の話ですか?」
み「いいから!
一番安いとこで幾ら?」
食「6人用で、1棟あたり、22,050円です。
1人あたり、3,675円ですね」
↑リビングのソファーベッドで2人、2人用の寝室が2つ。
み「おー、ようやくこなれてきたではないか。
そこに、10人で泊まれば……。
一人頭、2,205円だ」
食「定員オーバーの場合は、1人あたり3,150円の超過料金が発生します」
み「発生すな!」
↑すべてのコテージに、個室露天風呂が備わってます。
食「オートキャンプ場なら、ずっと安いですよ」
食「入場料が、1人630円。
プラス、区画の使用料ですね。
1番安い区画は、525円ですよ。
2人で利用した場合、630円×2+525円ですから、1,785円になります。
この区画には、電源がありませんけど」
み「電源が無いと、どうなるわけ?」
食「さー。
電化製品が使えないんじゃないですか?」
み「キャンプに、電化製品を持って来るのか?
掃除機とか?」
食「持って来るわけないです。
でも、車のエンジンかけっぱなしにしておくわけにもいかないでしょ」
↑街灯は、区画ごとにあるわけじゃないようです。
食「そうなると、電源はあった方が便利だと思いますよ」
↑手前の棒杭ではなく、後方のボックスがACソケット。
み「電源があるといくら?」
食「2,625円です」
み「うーむ。
1人頭、プラス630円だから……。
3,255円。
コテージと大して変わらんではないか。
虫もいるしな」
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↑これと似たものを、庭仕事用に持ってます。でも、これでは酒が飲めんではないか!
食「オートキャンプ場は、ペットもオーケーだそうです」
↑テーブルに載ってるのは、キャバリアくん。車はフォードのエクスプローラー。アウトドアしてますね。
食「ま、人だけで泊まるんなら、コテージがいいですよね」
↑全てのコテージにキッチンが付いてます。電子レンジ、冷蔵庫、炊飯器、電気ポット、鍋類などのほか、人数分の食器類もすべて揃ってます。こんなとこに滞在して、執筆したいものです。
み「日帰りでも利用も出来るの?」
食「えーと、ありました。
これは、割安ですよ。
大広間なら、4時間いても525円です」
み「大広間に4時間もいてどうする!
個室は無いのか?」
食「あ、和室の個室がありますね」
↑残念ながら、『つがる地球村』の画像ではありません。
食「4時間で、1,050円です。
入浴料が別途、300円かかるようです」
み「それでも、1,350円か。
2人で、2,700円だろ。
ぜったい、ラブホ代わりに使ってるヤツがいるぞ」
食「カップルなら、泊まるんじゃないですか?」
み「カップルではない!」
律「アベック?」
み「死語だろ。
どう違うんじゃ?」
律「なら、誰なのよ」
み「夫婦者じゃ」
律「どうして、夫婦がわざわざそんなことしに来るのよ?」
み「親夫婦と同居してるだろうから……」
み「大っぴらには、やれないの」
律「家が広ければ大丈夫でしょ?」
み「日本家屋ってのは、ちょっくら広くたって聞こえ放題だって」
律「そんなら、ここでも聞こえるんじゃないの?
和室なんだから」
み「赤の他人になら、聞こえてもいいの。
親だから恥ずかしいの」
律「そんなもんなの?」
み「そんなもんです。
なんなら、和室で張りこんでみるか?
声が聞こえるか」
律「わざわざそんなことしに行くのは、あんたくらいよ」
み「作家に好奇心は不可欠です」
律「あんたの場合、単なる出歯亀でしょ」
み「声を聞くだけなら、犯罪じゃありませーん」
律「あんたなら、録音するでしょ」
み「勝手に聞こえた音を録音するんなら、犯罪じゃないでしょ」
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↑集音器なのに、なんで目に当ててるんだ? ターゲットに照準を合わせるためか?
律「やっぱり、するんじゃない」
食「そういうカップルは、コテージを使うんじゃないですか?」
み「日帰りでも使えるのか?」
食「1人、1,575円です」
み「安い!
これも、4時間?」
食「ですね」
み「泊まるといくらだっけ?」
食「2人用の棟で、12,600円です」
み「それって、2人分の値段?」
食「そうです」
み「泊まりだと、何時から何時までいられるの」
食「えーっと。
ありました。
チェックインが、午後2時から。
チェックアウトが、午前11時ですね」
み「1時間あたり、いくら?」
食「えーっと。
21時間滞在できることになりますから……。
1時間あたり、600円です。
1人、300円になりますね」
み「4時間あたりだと、1,200円か。
なるほど。
泊まったほうが、微妙に安いな。
でも、4時間で1,575円ってのは、大サービスじゃないの?」
食「泊まりの予約が入ってないときだけ貸すんじゃないですか?
遊ばせておくより、いいわけでしょ」
み「なるへそ。
ぜひとも、コテージを利用する2人連れをチェックしたいものじゃ。
出来れば、インタビューも」
律「何を聞くのよ?」
み「今、なさいましたかって」
律「殴られるわよ」
み「『つがる地球村』近くに住む夫婦者は幸せじゃ。
住宅事情に悩む若夫婦は、ぜひ移住を検討してみてほしい」
↑たぶん、まわりには何もないと思われます。
律「そんな理由で移住するわけないでしょ。
職が無いわよ」
み「厳しいですなぁ。
『陸奥森田駅』の改札は?」
食「すでに充足しております」
み「ちぇ。
あとは、どんな施設があるの?」
食「子供向けの遊具や、スポーツ施設なんかがメインみたいですね。
『チャイルド・ウッド』っていうスライダーが人気だそうです」
食「スポーツでは……。
テニスコート」
食「パターゴルフ場」
食「バスケットコートなどがあるようです」
み「こんなところまで来て、バスケットするか?」
食「あ、相撲場までありました」
み「さすが、青森」
食「まだ売り物がありますよ。
野外円形劇場です」
食「古代ローマのコロシアムをモデルに作られたそうです」
み「今度は、ローマか!
何に使われるわけ?」
食「普通に、コンサートとかでしょ」
み「『テルマエ・ロマエ』のロケが出来ないか?」
食「あぁ。
いいかも知れないですね。
岩木山が、ヴェスヴィオ火山に見えるかも知れません」
み「『テルマエ・ロマエ』と云えば、風呂じゃな。
円形劇場があるんなら、ローマ風呂もあるんじゃないの?」
食「普通のお風呂だと思いますよ」
↑普通です。
み「お風呂だけだと、いくらだっけ?」
食「500円です」
み「東京の銭湯より高いではないか」
食「温泉施設ですから」
み「いっそのこと、ローマでまとめればいいのに。
地球村なんて、漠然とした名前にしないで……。
『つがるローマ村』」
食「なんだか……。
『新潟ロシア村』を連想しますが」
み「今、どれくらい人が入ってるんだ?
廃墟になった方が、人が大勢来るかも知れんぞ」
食「縁起でもない。
Wikiで、『陸奥森田駅』の乗車人数を見てみましょう」
↑なかなか他にない色彩です。誰が色を決めたんでしょう?
み「えーっと。
あー。
やっぱり、減ってはいますね。
2000年は、1日平均138人の乗車人員でしたが……。
ここのところ、100人を割ってます。
でも、平日も均して100人なんですから……。
休みの日なんか、けっこう賑わうんじゃないですか?」
み「『鰺ケ沢駅』ってどのくらい?」
食「300人くらいでした」
み「あの駅は、通勤通学でけっこう使われるでしょ?」
食「ですね」
↑『鰺ケ沢駅』。混雑した画像は、1枚もありませんでした。これは、『くまげら』が入ってきたところ。右の人たちは、サイクリストのようです。
み「ここで100人は大したもんだよ。
五能線を乗り継ぎながら……。
『アオーネ白神十二湖』、『ウェスパ椿山』、『つがる地球村』に連泊するってのはどうだ?」
食「いいですね。
ぜひやってみたいです」
み「新婚旅行はそれにしなさい」
律「お嫁さん、逃げちゃうわよ」
み「大丈夫。
こんなのと結婚するんだから、変わり者に決まっておる」
↑たぶん、こんな。
食「いちいち失礼です」
み「さて、『陸奥森田駅』は、これくらいかな。
あ、大事なこと忘れてた」
律「何よ?」
み「日帰り温泉」
律「今、やったじゃない」
み「ああいうリゾートじゃなくてさ。
地元民が利用する、安いやつ。
ほれ、検索。
あ、スゴいギャグを思いついた!
『陸奥森田』を検索するから……。
森田検索!」
律「25点ね」
み「何で!」
食「あ、ありました。
『おらほの湯』」
み「おー。
イカニモなネーミング。
まさしく、お役所センスだね。
入浴料金、いくら?」
食「例によって……。
安いですよ」
み「いくらなんだよ!」
食「320円です」
み「子供料金でねえの?」
食「いえ。
大人です」
み「営業時間が短いとか?」
食「朝7時から、夜の9時までやってますね」
み「燃料代の元取れるのか?」
食「温泉ですよ。
沸かす必要ないじゃないですか」
み「あ、そうか。
それでもなー。
休憩所とかは無いんだろ?」
食「さすがに個室は無いみたいですけどね。
大広間はあります」
↑これは、実際の大広間です。
み「わかった。
そこの利用料が、150円くらいなんだ」
食「鋭いですね。
大広間込みで、500円ですから……。
180円増しです」
み「どんなもんだい」
食「あ、でも、持ち込みが可ですね。
お弁当持って、寛いでいく人も多いらしいです」
み「ほんとかよ」
食「地域の交流の場になってるみたいです」
み「いい施設だね。
避難所とかに最高なんじゃないの?
温泉付き。
わたしなら、毎日避難してもいい。
パソコン、使える?」
↑広い和室でパソコンの画像は、ほとんどありませんでした。
食「そこまでは無理でしょう」
み「惜しいのぅ。
使えたら、住んでもいいのに」
食「迷惑です」
み「あらそ。
パソコン使えない大広間なら、こっちからお断りでい。
お風呂だけなら、320円ぽっきりなんでしょ。
1ヶ月で、たったの9,600円じゃん」
食「第1と第3月曜が休みですね」
み「なら、8,960円だ。
これならさ、風呂なしのアパート借りて、ここに通った方が得かもね」
律「今どき、そんなアパートあるの?」
み「たぶん、あります。
トイレは、ボットン便所」
律「あり得ないわ」
み「ある!
駅のトイレにあっただろ」
↑恐怖の『松神駅』。
律「そんなアパート、借り手が無いわよ」
み「アパートっていうか、戸建ての長屋みたいなのなら、あるって」
↑どこだと思います? なんと! 東京都港区元麻布です。
み「うちの近所にも、わたしが生まれる前からの長屋があるもの。
トイレの外に、カラカラ回る煙突みたいなのが付いてる」
↑ベンチレーターと云うようです。
み「ま、長屋だから、風呂もあるだろうけどさ。
でも、ガス使って、自分とこで棺桶みたいな風呂沸かすより……。
320円の温泉に行ったほうが、ぜったいにいいよ」
律「棺桶みたいなお風呂って何よ?
そんな長細いお風呂なの?」
↑酵素風呂だそうです。左端の女の子が、妙に可愛い。詳しくはこちら。
み「“桶”って言ったでしょ。
昔の棺桶ってのは、まさしく桶の形をしてたの」
↑江戸時代の棺桶。
み「天秤棒にぶら下げて、前後から担いだのよ」
↑「安政箇労痢(ころり)流行記」の口絵にある「荼毘室(やきば)混雑の図」。
律「どうやって入れるの?」
み「体育座りみたいにして入ってる」
み「いわゆる、屈葬ってやつだね」
み「栃木の那須に親戚がいるんだけど……。
一度、母親の名代で、法事に行ったことがあるんだ。
山の中でね。
お墓は、山の斜面にあるの。
で、そこは、そんな昔じゃないころまで、土葬だったんだって」
み「山の斜面で土地が少ないから、長々と寝るお棺には入れない。
みんな、桶だったそうよ。
見晴らしのいい場所でね。
那須の山々が綺麗に見える。
なんか、何世代もの人たちが……。
同じ体育座りをして、同じ風景を見てるような気がしたわ」
律「ふーん。
でも、亡くなるときも、体育座りなの?」
み「なわけないでしょ」
律「お布団に寝てるわけよね?」
み「病気で死ねば、当然そうでしょうね」
律「一直線に伸びた亡骸を、桶に詰めるなんて、大変よ。
死後硬直があるんだから」
↑生きてます。
み「死んだらすぐ入れるんじゃないの?」
律「そんなわけにいかないでしょ。
桶に入れた状態で、お通夜とお葬式するわけ?」
↑秩父の奇祭『ジャランポン祭り』。詳しくは、こちら。
み「あ、そうか。
そんなに早く、固まるもの?」
律「ガチガチだと思う」