Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
東北に行こう!(74)
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み「所要時間は?」
食「21時間22分。
 うち、乗車時間が、15時間18分。
 待ち時間、6時間4分。
 『鹿児島中央』の待ち時間が、5時間7分ですから……。
 それ以外の接続は、かなりいいですよ」
み「で、乗車券が23,000円ね」
食「そうです」
み「ちょっと待て。
 『リゾートしらかみ』や新幹線は、特急券とかがかかるだろ」
食「ご明察。
 『リゾートしらかみ』で、510円。
 新幹線は合計で、18,570円。
 合計、19,080円。
 乗車券を合わせると、42,080円になります」
乗車券を合わせると、42,080円になります

み「それも、10枚綴りで仕入れにゃならんわけ?」
食「ですね」
み「始める前から倒産じゃ!」
食「簡易委託駅ってのは、ほぼボランティア活動と云ってもいいでしょうね」
み「簡易郵便局とは、大違いだ」
食「あ、そうそう。
 この鰺ケ沢駅ですが……。
 冬期間だけ、『五所川原駅』の駅員さんが1人、配置されます」
み「何のために?」
食「もちろん、除雪ですよ」
駅員さんの腰が引けて見えるのは、ここが、横浜市の『たまプラーザ駅』だからです
↑駅員さんの腰が引けて見えるのは、ここが、横浜市の『たまプラーザ駅』だからです。

み「1人で、あの駅全部、除雪するわけ?
 死んじまうぞ。
 ホームだけだって、大変じゃん」
雪の『鰺ヶ沢駅』
↑雪の『鰺ヶ沢駅』

食「当然、出来る範囲ってことですよ。
 ホームは、改札に近い部分だけかも知れませんね。
 でも、小型の除雪機くらいは、あるんじゃないですか?」
新潟では、ホームセンターで売ってます
↑新潟では、ホームセンターで売ってます。

み「屋根に除雪機は上げられんだろ」
北海道では、屋根に除雪機を上げてる人がいました。後ろのクレーンで吊ったんでしょうね。
↑北海道には、上げてる人がいました。後ろのクレーンで吊ったんでしょうね。

食「あの屋根は、1人じゃ無理ですよ。
 基本的に、積もりっぱなしじゃないですか」
基本的に、積もりっぱなしじゃないですか

み「潰れるんじゃないか?」
食「ここらは、海っぱたですから……。
 風は強いでしょうけど、雪はそれほど積もらないんじゃないかな」
1985年の『鰺ヶ沢駅』
1985年の『鰺ヶ沢駅』

み「五所川原駅員のためにも、そう祈りたいものじゃ」
『湯沢駅(秋田県湯沢市)』除雪機は必需品のようです
↑これは『湯沢駅(秋田県湯沢市)』の様子。やっぱり、除雪機は必需品のようです。ここは直営駅ですので、JR東日本の駅員さんですね。

律「あら、ほんと。
 海が見えなくなっちゃった」

↑【側面展望/鰺ケ沢⇒陸奥森田】2:30くらいに見える海が最後のようです。

食「ここからは、水田地帯を東へ向かいます。
 まもなく、『鳴沢駅』を通過します。
 この駅も、まもなく建て替えられる予定ですので……。
 これが、見納めです。
 はい、通過します」
2010年当時の『鳴沢駅』駅舎
↑2010年当時の駅舎。

み「五能線の駅って、なぜか夏が似合いそうだよね」
律「というより、冬は寂しすぎるんじゃない?」
冬の驫木駅。寂すぃ~。
↑冬の驫木駅。寂すぃ~。

み「それは言えてる。
 無人駅?」
食「もちろんです」
み「除雪要員は?」
食「いるわけありません」

 なお、建て替えられた『鳴沢駅』は……。
 ↓例によって、公衆トイレ化してしまいました。
建て替えられた『鳴沢駅』
↑寂寞感を禁じ得ません。

食「ここからは、右側の席の方が眺めがいいです。
 遮るものなく、岩木山が見えますから」
み「立った方がいいか?」
立った方がいいか?

食「立たなくても見えますって」
み「おー、見えた、見えた」
『鳴沢駅』付近から見た岩木山
↑『鳴沢駅』付近から見た岩木山の画像がありました。撮影されたのは、“鉄”ではなく、チャリダーの方です(こちら)。

食「『鳴沢駅』を過ぎると、鰺ヶ沢町ともお別れです」
み「今度は、なに町だ?」
食「町じゃなくて、市です。
 青森県に入って、初めての市ですね。
 『つがる市』になります」
『つがる市』になります

食「“つがる”は、ひらがな表記です」
み「最近、そういうところが増えてきたよね」
食「青森県では、『むつ市』『おいらせ町』がそうですね」
青森県では、『むつ市』『おいらせ町』がそうですね

み「『おいらせ町』ってのは、奥入瀬川の?」
食「そうです」
奥入瀬川の下流域に拓けた町です
↑奥入瀬川の下流域に拓けた町です。

み「ま、ある程度有名とは云え……。
 読み間違えられる可能性はあるか。
 “陸奥(むつ)”も、そうかな」
食「実は『むつ市』は、日本で最初のひらがなの市なんです」
『むつ市』は、日本で最初のひらがなの市なんです

み「ほー。
 最初って、いつごろ?
 平安時代とか?」
食「そんなわけないでしょ。
 昭和30年代だったと思います」
み「“思います”ではいかんではないか。
 検索してみよ」
食「ほんとに、何で最初からタブレットを出してなかったんだろ」
み「それは、言わいでもよい」
食「あ、ありました。
 昭和35年8月1日です」
み「ほー。
 けっこう昔だな。
 50年前か。
 でも、何事も、日本で最初ってのには意義がある。
 どういう経緯で、ひらがなの市名になったわけ?」
食「前年の昭和34年9月1日に、下北郡の『田名部町(たなぶまち)』と『大湊町(おおみなとまち)』が合併してます。
 で、最初に付いた市名が、『大湊田名部市(おおみなとたなぶし)』」
み「長すぎだろ!」
食「当時、日本一長い市名だったそうです」
『いちき串木野市』のほか、『かすみがうら市』および『つくばみらい市』の6文字
↑現在は、『いちき串木野市』のほか、『かすみがうら市』および『つくばみらい市』の6文字。

み「日本初とか、日本一長いとか……。
 まさか、下北半島でそんなことになってるとは思わなんだ」
下北半島といえば、サルしか思いつきませんでした
↑下北半島といえば、サルしか思いつきませんでした。

食「市名で『大湊』を先にする代わりに、役場は『田名部』に置くという取り決めだったそうです」
み「ありがちじゃのぅ」
食「ところが、新市民からブーイングが起きた。
 市名が長すぎて、住所を書くのが面倒くさいって」
み「わはは。
 漢字5文字は、キツいわな。
 冬は、特にそうだろうね。
 手がかじかんでる時に……。
 こんなに漢字が並んでたら、腹立つわ」
食「で、なんというか、極端に走ったわけですね。
 というわけで、『むつ市』の誕生」
『むつ市』の誕生

み「東北人によくあることじゃ。
 てことは、“陸奥”をひらがなにしたのは……。
 読みが難しいからではなく、書くとき簡単だから?」
食「それもあるかも知れませんね。
 経緯から言って。
 でも、“陸奥(むつ)”自体、漢字や読みにも転遷があったみたいですね」
み「最初は、どんな字を書いてたわけ?」
食「後のほうの“奥”はそのままなんですけどね。
 “陸”は、道路の“道”でした」
み「読みは?」
食「そのまんま、“道奥(みちのおく)”です」
み「それが詰まって“みちのく”になったわけね」
食「そうらしいです」
み「じゃ、どうして“道”が“陸”に変わったんだ?」
食「それが、はっきりしないようです」
み「はっきりせい!」
食「無理言わないでくださいよ。
 ただ、『常陸国』ってありますでしょ。
 ここに、“陸”が使われてます」
み「わかった。
 常陸の奥ってことか」
常陸の奥ってことか

食「あるいは、“陸”自体、“道”と同じ使われ方をしてたのかも知れません」
み「ま、漢字が“陸奥”になったのはいいとして……。
 この読みが、どうして“みちのく”から“むつ”に変わったんだ?」
『戦艦陸奥』。昭和18年6月8日、謎の爆発により山口県柱島沖で沈没。
↑『戦艦陸奥』。昭和18年6月8日、謎の爆発により山口県柱島沖で沈没。

食「2説あるそうです。
 “陸”って字は、漢数字の“六”の正字でしょ」
み「領収書を書くとき、“六”は“陸”だな」
領収書を書くとき、“六”は“陸”だな

み「でもそれが何で、“むつ”になるんだ?」
食「わかりませんか?
 “暮六つ”とか言うでしょ?」
長崎の飲み屋のようです。“暮六つ”は、日没に当たります。
↑長崎の飲み屋のようです。“暮六つ”は、日没に当たります。

み「“むっつ”の“むつ”か!
 単なるダジャレじゃないか。
 誰がこんな阿呆な説を唱えたわけ?」
食「本居宣長ですよ」
本居宣長
↑『敷島の大和心を人問はば朝日に匂ふ山桜花』で有名。神風特攻隊の部隊名『敷島隊』『大和隊』『朝日隊』『山桜隊』は、ここから採られました。

み「あらそう。
 けっこうビッグネームだったわね。
 もう一つの説は?」
食「東北弁です」
東北弁です

み「どういうこと?」
食「“みちのく”が訛って、“むつのく”になった」
み「はぁ。
 これまた力が抜ける説だのぅ。
 今度は誰じゃ?」
食「保田光則と云う人のようです」
み「知り合いか?」
食「知りませんよ。
 江戸時代後期の国学者みたいです。
 仙台藩士ですね」
み「でも、どっちの説も……。
 “陸奥(みちのく)”の後ろ半分、“奥(のく)”が発音されなくなったことを言ってないではないか」
食「ま、省略されたんじゃないですか」
み「国名なんか、そんな簡単に省略されないだろ。
 “にいがた”を、“にい”なんて言っても、誰もわからん」
食「“陸奥国(みちのくのくに)”が縮まって、“むつのくに”になったんじゃないですか。
 そうなると、“陸奥”で“むつ”と読むことになります」
み「どうもすっきりせん」
食「言葉の変遷なんて、そんなもんですよ」
み「あっさり片付けおって。
 ま、とりあえず“むつ市”はいいとしても……。
 “つがる市”の“津軽”は、読み間違えようがないだろうが」
“つがる市”の“津軽”は、読み間違えようがないだろうが

食「確かに。
 漢字の『津軽市』には、近隣市町村から、異論が出たのかも知れませんね。
 津軽地方の中心地みたいな感じになりますから」
津軽地方の中心地みたいな感じになりますから

み「新潟でも、銀行の名前が変わるとき、そういう問題が出たな」
律「また、新潟の話?」
み「良いではないか。
 新潟には昔、『新潟相互銀行』って銀行があったの」
新潟には昔、『新潟相互銀行』って銀行があったの
↑新潟県阿賀野市に残る琺瑯看板(2009年の画像)。

み「で、法律が変わったか何かで、『相互銀行』って種別が無くなった」
律「そう云えばあったわね。
 『相互銀行』って」
『相互銀行』って
↑これまた良い味わい(上2枚とも、こちらのページから拝借)。
律「何で無くなっちゃったの?」
み「はい、チミ」
食「何で、ぼくなんです?」
み「そういう役割なのだ」
食「知りませんよ」
み「タブレットで調べればいいではないか」
食「あ、そうか。
 今まで、何でそうしなかったんだろ?
 ぼく、不自然なまでに物知りでしたよね」
み「作者が、今ごろ気づいたのじゃ。
 遡って書き直すことは叶わぬゆえ……。
 このまま続けよとの神の思し召しじゃ。
 はい、さっさと検索」
食「えーっと。
 Wikiでいいですか?」
み「ウィッキーさんでもよい」
食「ありませんよ、そんなの。
 えーっと。
 昭和26年に、『相互銀行法』が出来て……。
 無尽会社が免許を受け、相互銀行になったそうです」
み「むじん君がそのころからいたのか?」
むじん君がそのころからいたのか?

食「字が違いますって。
 “むじん”の“じん”は、尽くすの方です」
み「無尽とは、何ぞや?」
食「調べますから、ちょっと待ってください。
 『無尽とは日本の金融の一形態である。複数の個人や法人等が“講”等の組織に加盟して、一定又は変動した金品を定期又は不定期に“講”等に対して払い込み、利息の額で競合う競りや抽選によって金品の給付を受ける』だそうです」
み「ようわからんが、ものすごくいかがわしい臭いがする。
 ねずみ講でねえの?」
ねずみ講でねえの?

食「『無尽講(むじんこう)』とか、『頼母子講(たのもしこう)』とも呼ばれたようです」
『無尽講(むじんこう)』とか、『頼母子講(たのもしこう)』とも呼ばれたようです

食「始まったのは、鎌倉時代ですね。
 これが発展して会社にまでなったのが、無尽会社だそうです」
み「それが、相互銀行になったわけね」
律「で、その『新潟相互銀行』が、どうしたのよ?」
み「相互銀行が普通銀行になるということで……」
相互銀行が普通銀行になるということで……

み「『新潟相互銀行』は、“相互”を取って、『新潟銀行』に改名しようとした。
 ここに、ほかの銀行から待ったがかかったわけ」
律「何で?」
み「『新潟銀行』って名称になったら……。
 新潟県の中心銀行みたいな響きがあるでしょ?」
律「そうじゃないわけ?」
み「新潟県に本店がある銀行で、一番大きいのは……。
 『第四銀行(だいしぎんこう)』」
旧第四銀行住吉町支店(昭和2年竣工)。『新潟市歴史博物館』に移築復元されてます。
↑旧第四銀行住吉町支店(昭和2年竣工)。『新潟市歴史博物館』に移築復元されてます。

律「“だいし”って、どんな字を書くの?」
み「『第四(だいよん)』と書いて、“だいし”と読むわけ。
 第四の行員も、県外の銀行に電話するときは、“新潟の第四(だいよん)銀行”ですって云うらしいよ。
 ただ“だいよんぎんこう”と云うと、新潟の銀行に聞こえないし……。
 “だいしぎんこう”じゃ、文字が連想できない」
律「でも、何で“だいよん”じゃなくて、“だいし”になったの?」
み「知りません。
 “だいし”の方が言いやすかったからじゃないの」
律「大して変わらないと思うけど。
 で、『新潟相互銀行』はどうなったのよ?」
み「県内には、もうひとつの相互銀行、『大光相互銀行』があったんだけど……。
 こっちは、あっさり『大光銀行』になってる」
律「『新潟相互銀行』は、あっさりなれなかったわけね」
み「『第四銀行』『北越銀行』に次ぐ、3番手の銀行だったからね。
 『新潟銀行』になることを、ほかの銀行が承知しなかったらしい」
律「承知されないと、なれないわけ?」
み「無理やりしちゃったら、やっぱり関係が悪くなるでしょ。
 消耗戦になったら、体力の劣る銀行は不利だし……。
 やっぱ、共存共栄的な互換関係は崩したくなかったんじゃないの?」
律「で、結局、どうなったのよ?
 名前は?」
み「『新潟中央銀行』になった」
『新潟中央銀行』になった

律「なんか、恨みがましい名前ね」
み「どうして企業や学校って、“中央”とか“第一”とか付けたがるのかね?」
食「ま、そのエリアの一番手だというイメージを出したいんじゃないですか?」
み「逆に、チャチい感じがするんだけど」
律「で、その後、『新潟中央銀行』は、新潟の中央銀行になったの?」
み「潰れました」
『新潟中央銀行』は、潰れました

律「あらまぁ。
 名前が悪かったから?」
み「頭取が悪かったらしい。
 元々、同族会社でね。
 ワンマン経営。
 バブル期の乱脈融資が原因。
 ゴルフ場とか、テーマパーク」
律「テーマパークって?」
み「『新潟ロシア村』」
新潟ロシア村

み「『柏崎トルコ文化村』」
柏崎トルコ文化村

み「あと、まだあったよな。
 検索してみ」
「ありました。
 『富士ガリバー王国』」
富士ガリバー王国
↑真ん中に、ガリバーが寝てます。

食「“オセアニア構想”と称してたそうです」
み「大バカものだよ。
 『新潟ロシア村』は放置されたまま廃墟になって……。
 逆に、心霊スポットとして有名になってる」
『新潟ロシア村』は放置されたまま廃墟になって……
こちらに画像がたくさんあります。

食「『新潟中央銀行』は……。
 『新潟ロシア村』に30億、『柏崎トルコ文化村』には70億も融資してたようですね」
み「『柏崎トルコ文化村』は、確か柏崎市が買い取ったと思う」
食「あ、書いてあります。
 整理回収機構から、1億5千万で買い取ったそうです」
み「70億注ぎこんだ施設が、1億5千万だよ」
食「柏崎市が、入場料無料で再オープンしたようですが……」
『トルコ』が雪で閉鎖! やっぱ、構想自体に無理があります。
↑『トルコ』が雪で閉鎖! やっぱ、構想自体に無理があります。

食「中越地震の被害を受け、入乗客が激減。
 再閉鎖されたそうです」
律「ここも廃墟?」
食「ですね。
 『富士ガリバー王国』も、そうみたいです」
『富士ガリバー王国』も、そうみたいです
↑死んでるようにしか見えません。

み「『新潟中央銀行』の本店は更地にされて……。
 今は、新潟国際情報大学のキャンパスが建ってる。
 一部は、小さい公園になって、鳩たちの憩いの場だね」
跡地に作られた、『柾谷小路ゆうあい公園』
↑跡地に作られた、『柾谷小路ゆうあい公園』

律「祇園精舎の鐘の声……」
み「まさしく、そんな感じ」
律「でも、どっから銀行の話になったの?」
み「忘れた」
食「漢字の『津軽市』だと……。
 津軽地方の中心地みたいな感じになるってことからです」
津軽地方の中心地みたいな感じになるってことからです

み「あ、それそれ。
 でも、“津軽”って漢字も、当て字っぽいよね。
 アイヌ語かな?」
食「北海道に、遠軽町(えんがるちょう)ってありますね」
北海道に、遠軽町(えんがるちょう)ってありますね
↑どこからも遠い!

み「アイヌ語だろ?
 引いてみ」
食「ありました。
 見晴らしのいい高台を表す『インカルシ』が語源のようです」
遠軽町を見下ろす『瞰望岩』。まさに、“見晴らしのいい高台”そのものです。
↑遠軽町を見下ろす『瞰望岩』。まさに、“見晴らしのいい高台”そのものです。

み「“つがる”の“かる”も一緒か?」
食「そのものズバリ、“tukari”というアイヌ語がありますね」
み「意味は?」
食「“手前”という意味のようです。
 北海道の手前の地ということで、“tukari”と呼ばれたとか」
北海道『白神岬』から見た津軽半島。
↑北海道『白神岬』から見た津軽半島。

み「説は、それだけ?」
食「日本語の“漬かる”から来てるという説もありました。
 津軽平野は低湿地ですからね。
 沼や溜池が点在します」
『ベンセ湿原(つがる市木造館岡野崎地内)』
↑『ベンセ湿原(つがる市木造館岡野崎地内)』

み「ちと苦しいのぅ」
食「あと、遠軽町の“かる”と一緒で……。
 “崖”の意味だとか」
み「崖なんてあるの?」
食「竜飛崎の方なら、あるんじゃないですか?」
『竜飛崎』は、まさしく“崖”です
↑『竜飛崎』は、まさしく“崖”です。

み「アイヌの人が、北海道から見たら……。
 海に突き出た崖に見えるってことか」
食「どうやら、定説は無いようです」
み「ふーん」
食「あれ?
 “つがる”に、別の漢字がありました」
み「どんな字?」
食「東西の“東”、日本の“日”に、“流”れる。
 で、“東日流”」
同じ表記の会社がありました
↑同じ表記の会社がありました。

み「読めんだろ」
食「『東日流外三郡誌(つがるそとさんぐんし)』という古書がありますね」
『東日流外三郡誌(つがるそとさんぐんし)』という古書がありますね

み「あ、それ、どっかで聞いたことがある。
 高橋克彦の小説だったかな?」
食「そうですね。
 『竜の柩』に引用されてるようです」
『竜の柩』に引用されてるようです
↑面白いです。ぜひご一読を!

み「トンデモ本の一種だったんじゃない?」
食「偽書というのが、定説化してるみたいですね」
偽書というのが、定説化してるみたいですね

み「発見したって人が、インチキ親父だったんじゃなかった?」
食「五所川原市の和田喜八郎という人ですね。
 天井裏から落ちてきたと言ってたそうです。
 でも、和田の家は茅葺きで、天井裏は無かったとか」
和田の家は茅葺きで、天井裏は無かったとか
↑実際の和田家ではありません。

み「初っ端からインチキじゃん。
 どんな本よ?」
食「古代の津軽には、独自の文明が栄えていたという内容です。
 遮光器土偶の姿をした「荒覇吐(アラハバキ)」神も登場します」
遮光器土偶の姿をした「荒覇吐(アラハバキ)」神も登場します

食「『十三湊(とさみなと)』に首都が置かれ……」
『十三湊(とさみなと)』に首都が置かれ……

食「中国、朝鮮、東南アジアはもちろん、アラビアやヨーロッパとも交易してたとか。
 カトリック教会まであったそうです」
み「いつごろの話よ?」
食「古代から、14世紀までですね。
 1340年ころの大津波で、十三湊は壊滅的被害を受け……。
 政権が崩壊したそうです」
み「その津波ってのは、実際にあったわけ?」
食「痕跡は見つからなかったみたいですね」
み「結局、その和田喜三郎って人が捏造した文書ってこと?」
食「それが定説になってるようです。
 文書の中に、『光年』だとか、『冥王星』だとか……。
 20世紀に入ってからの天文用語が使われてるそうですし」
み「カンペキに偽物じゃん」
食「でも、1980年代から90年代にかけては、ブームになったみたいです。
 岡本太郎も信奉してたそうです」
岡本太郎も信奉してたそうです

み「うーむ。
 余計に胡散臭い」
食「高橋克彦原作のNHK大河ドラマ『炎立つ』では……」
高橋克彦原作のNHK大河ドラマ『炎立つ』では……

食「この文書の歴史観が取り込まれてたそうです」
み「そうだったのか。
 逆に、見てみたかったな
 いつごろの放送?」
食「平成5年ですね。
 1993年」
み「うーむ。
 20年近く前か。
 再放送は……。
 しそうも無いのぅ」
食「『東日流外三郡誌』のほかにも……。
 『竹内文書』なんていう奇書もあったようですよ」
『竹内文書』なんていう奇書もあったようですよ

み「あ、それ聞いたことある。
 高橋克彦も書いてたな」
食「『竜の柩』ですね。
 しかし津軽って、伝記物が似合いますよね」
み「どっかに、キリストの墓があったんじゃないの?」
食「ほんとですか?
 ちょっと、引いてみましょう。
 あ、ありました。
 津軽と云うより、南部でしょうかね?
 十和田湖の方です。
 新郷村(しんごうむら)」
新郷村(しんごうむら)

み「もっと、キリストっぽい名前の村じゃなかった?」
食「昔は、戸来村(へらいむら)と云ったようです」
恐るべき名物が!
↑恐るべき名物が!

み「それそれ。
 “ヘブライ”から来てるって云われてるんだよね」
“ヘブライ”から来てるって云われてるんだよね

律「キリストの墓って、どういうこと?
 ゴルゴダの丘で磔になったんでしょ?」
ゴルゴダの丘で磔になったんでしょ?

み「それは、実は、キリストではなかった!」
律「じゃ、誰なのよ?」
食「キリストの双子の弟です」
キリストの双子の弟です

食「名前は、イスキリですね」
律「バカバカしい」
食「そういうことが、『竹内文書』に書いてあるわけです」
そういうことが、『竹内文書』に書いてあるわけです
↑こーゆー文字で書かれてます。

み「キリストの遺言があったんじゃなかった?」
食「あ、ありました。
 『イスキリス・クリスマスの遺言』」
律「何それ?」
み「だから、それがキリストだって」
食「またの名を、福の神。
 あるいは、八戸太郎天空神」
み「わははは」
八戸太郎天空神
↑末裔が経営か?!

食「で、キリストの遺言として……。
 『五色人(いついろひと)へ遣わし文』という文書が残ってるそうです」
律「“いついろひと”って何です?」
食「漢字で書くと、五つの色の人。
 なんでも昔は、5色の人種が存在してたそうです。
 黄人(きびと)は、日本人を含むアジア人。
 赤人(あかびと)は、インディアンなど。
 青人(あおびと)は、肌が青白いんですが……。
 現在、純血種はいないそうです」
青人(あおびと)は、肌が青白いんですが、こーゆー人たちでしょうか?
↑こーゆー人たちでしょうか?

食「黒人(くろびと)は、アフリカ系で……。
 白人(しろびと)が、いわゆる白人」
阿蘇『幣立神宮(へいたてじんぐう)』に伝わる“五色人面”
↑阿蘇『幣立神宮(へいたてじんぐう)』に伝わる“五色人面”。詳しくはこちら

み「それってさ。
 五色不動に似てるよね」
食「色は一緒ですね」
律「何よそれ?」
み「知らないの?
 目黒とか目白は知ってるでしょ?」
律「当たり前よ」
み「あそこには、お不動さんがあるの。
 目黒不動に目白不動。
 で、もちろん……。
 目赤不動、目青不動、目黄不動ってのもあったわけ」
律「そんなの、どこにあったのよ?」
み「はい、検索」
食「↓こちらです」
江戸の五色不動

み「四神の色も同じだよね。
 東の青龍(せいりゅう)、南の朱雀(すざく)、西の白虎(びゃっこ)、北の玄武(げんぶ)。
 朱雀は赤、玄武が黒」
東の青龍(せいりゅう)、南の朱雀(すざく)、西の白虎(びゃっこ)、北の玄武(げんぶ)
↑怪獣でんな。

律「1つ足りないじゃないの。
 えーっと、黄色ね」
み「黄色は中央ね。
 黄龍(おうりゅう)」
中国山西省大同市『九龍壁』に描かれた黄龍
↑中国山西省大同市『九龍壁』に描かれた黄龍。

律「黄色が一番偉いみたいね」
み「黄色ってのは、すなわち金色なわけよ」
黄色ってのは、すなわち金色なわけよ

律「じゃ、金龍にすればいいのに」
み「金龍だと、ラーメン屋になっちゃうだろ」
金龍だと、ラーメン屋になっちゃうだろ
↑金というより、緑っぽいですね。

律「バカバカしい」
み「いいの。
 そういう本なんだから」
律「その本がまた、天井裏から落ちて来たの?」
み「縁の下じゃなかった?」
縁の下じゃなかった?
↑こういうところに挟まった人がいたそうです。

食「皇祖皇太神宮天津教(あまつきょう)という、新興宗教の教祖の家から出たみたいですね」
皇祖皇太神宮天津教(あまつきょう)という、新興宗教の教祖の家から出たみたいですね
↑茨城県に本宮を置き、現在も活動中。

み「インチキくさい臭いがプンプンする。
 いいねー、そういうの。
 ほれ、キリスト話の続き、続き」
食「キリストは、21歳のとき、日本に渡り……。
 12年間、修行を積んだそうです」
12年間、修行を積んだそうです

律「どうして、日本で修行するの?」
み「問うではない!
 あるがままを、受け入れるのじゃ」
食「来たのは、キリストだけじゃないそうです。
 モーゼも来てます」
モーゼも来てます

み「いらっしゃーい!」
食「で、天皇がモーゼに十戒を授けた」
で、天皇がモーゼに十戒を授けた

み「ありがたやー」
食「ところが、モーゼが授けられた十戒は、表十戒で……。
 さらに、真十戒、裏十戒もあったそうです」
真十戒、裏十戒もあったそうです

律「忍術じゃあるまいし」
食「モーゼの墓も、石川県の宝達志水町(ほうだつしみずちょう)にあるそうです」
モーゼの墓も、石川県の宝達志水町(ほうだつしみずちょう)にあるそうです
↑レポートはこちら

食「ユダヤの民衆をイスラエルへ導いた後、シナイ山に登ったモーゼは……。
 天浮船(あめのうきふね/文字通り、空飛ぶ船)に乗り、能登宝達山に辿り着いたそうです。
 その後、583歳までを宝達山で過ごし、死後は三ッ子塚に埋葬されたとか」

↑動画レポートもありました。

律「受け入れがたいわ」
食「釈迦も来てますね」
寝釈迦。『富士ガリバー王国』に通じるものが……。
↑ミャンマーの旧首都ヤンゴンにある寝釈迦。『富士ガリバー王国』に通じるものが……。

み「し、死ぬ~」
食「とりあえず、続けていいですか?」
み「まかす」
食「じゃ、キリストの経歴を続けます。
 日本で、12年間修行を積んだキリストは……。
 33歳でユダヤに帰り、伝道を始めます。
 でも、受け入れられず、とうとう捉えられ、磔刑に処されようとした、その時!」
とうとう捉えられ、磔刑に処されようとした、その時!

み「ベンベン!」
食「バチ音はいいです。
 『平家物語』じゃないんですから」
『平家物語』じゃないんですから
↑『高松平家物語歴史館』の琵琶法師ロボット。詳しくはこちら

み「それからどうした!」
食「それを救ったのが、双子の弟、イスキリです。
 兄と入れ替わり、十字架の露と果てたのです」
兄と入れ替わり、十字架の露と果てたのです

律「どうやって入れ替わったのよ?」
み「問うでない!」
律「納得いかないわ」
み「それからどうした!」
食「磔から逃れたキリストは、再び日本に戻ります」
律「どうして戻るの~?」
み「問うでないというに!」
食「で、この戸来村に住み、106歳の長寿を全うした」
戸来村に住み、106歳の長寿を全うした

律「なんか、納得いかないわね。
 弟さんが可哀想じゃないのよ」
食「ま、キリストもそう思ったんでしょうね。
 で、遺言を残し……。
 キリストの墓の隣に、イスキリの墓も作られてます」
これがキリストの墓だ!
↑これがキリストの墓だ!

律「胡散臭すぎる話」
食「このキリストの墓の近くに、ピラミッドもあるようです」
運転中、知らずにこれを見た人は、自分の正気を疑うでしょう
↑運転中、知らずにこれを見た人は、自分の正気を疑うでしょう。

律「何でもあればいいわけ?」
み「エデンの園もあったんじゃなかった?」
食「『迷ヶ平(まよがたい)』ですね」
ここにも餅の名物が!
↑ここにも餅の名物が!

み「アダムとイブが食べたリンゴは……」
アダムとイブが食べたリンゴは……

み「青森リンゴだったのじゃ!」
青森リンゴだったのじゃ!

律「呆れた話」
食「ついでに云うと……。
 この新郷村からほど近くのところに、例の『おいらせ町』があるんですが……。
 なんと、そこにには、自由の女神もあるんです。
 4分の1サイズのようですが」
『おいらせ町』4分の1サイズの自由の女神。縮尺が変!
↑縮尺が変!

み「うーむ。
 青森、恐るべし」
東北に行こう!(73)目次【Mikipedia】フェムリバ!




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