Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
東北に行こう!(72)
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み「つまりあれか。
 スキーを揃えて立ってるとき……。
 板が前後にずるっと滑って、前後大股開きになったみたいに?」
食「ま、そんなものです。
 格好良く例えれば、ジャンプのテレマーク姿勢ですかね」
格好良く例えれば、ジャンプのテレマーク姿勢ですかね

食「もっとも、かなり短い板じゃなければ、互い違いになるまでは開けませんけど」
み「なんで、ズレてるわけよ?」
食「だから、タブレット交換のためです」
み「まず、そこから説明せい」
食「要は、単線区間で列車をすれ違わせるためのルールなわけです。
 すれ違いが出来るように、複線化した駅が、A駅、B駅、C駅とあるとします」
み「昔、そんな歌があったな」
2012年2月『バラエティー生活笑百科(NHK)』出演時
↑2012年2月『バラエティー生活笑百科(NHK)』出演時。

食「応対してるとまた話がズレるので、続けさせていただきます。
 で、AーB区間、BーC区間を走るためには……。
 その区間の通行手形を持ってなきゃダメなんです」
み「それが、タブレット?」
食「そうです」
タブレットを持つ『ひこにゃん』
↑タブレットを持つ『ひこにゃん』

 ここから、タブレットを用いた列車すれ違いの方法を説明しようとしますが……。
 はなはだ怪しいものです。
 仕組みを説明するサイトはたくさんあったのですが……。
 ひとつとして理解できませんでしたので。
言ってること、わかります? 実はこれ、模型のお話でした。
↑言ってること、わかります? 実はこれ、模型のお話でした。

 こんな状態で説明すべきではないと思いますが……。
 始めてしまったので、このまま進めます。
 間違ってる可能性がありますので、人にはしゃべらないように。

食「A→Bを走ってきた列車は、B駅に止まって……。
 BーC区間の通行手形を待ちます。
 そこへ、B←Cを走ってきた列車が着きます。
 で、互いの通行手形を交換して初めて……。
 さらに先の区間に進入できるわけです。
 わかります?」
江戸時代の通行手形と云うと、木札のようなものと思われがちですが……。実際には書状でした。
↑江戸時代の通行手形と云うと、木札のようなものと思われがちですが……。実際には書状でした。

み「なんとなく。
 でも、相手が来なかったら、ずーっと待ってるわけ?」
でも、相手が来なかったら、ずーっと待ってるわけ?
↑紙風船です。

食「来るようにダイヤが組んであります」
架空の都市に鉄道を走らせ、ダイヤまで作ってる人がいました
↑架空の都市に鉄道を走らせ、ダイヤまで作ってる人がいました(こちら)。

み「あらそう。
 ま、それはわかったことにしよう。
 でも、それと、ホームが互い違いになってることと……」
明知鉄道(旧国鉄・明知線)『岩村駅(岐阜県恵那市)』
↑明知鉄道(旧国鉄・明知線)『岩村駅(岐阜県恵那市)』

み「何か関係あるわけ」
食「大ありです。
 向かい合ってる普通のホームの場合を考えてください。
 上りと下りの列車は、反対方向を向いて止まります」
み「あたりまえじゃ」
食「じゃ、運転席は、ホームのどことどこになります?」
み「運転席がホームにあるか!
 東能代駅じゃあるまいし」
東能代駅の待合室
↑東能代駅の待合室。懐かしいですね~。

食「そうじゃなくてね。
 運転席は、進行方向の一番前になるでしょ」
運転席は、進行方向の一番前になるでしょ

み「わたしをバカだと思ってるな?」
食「思ってませんって。
 つまり、並行したホームの場合……。
 上り下りの運転席は、ホームの両端になっちゃうんです」
み「なっちゃってもいいじゃん」
食「いいじゃんじゃなくて……。
 遠いでしょ。
 タブレット交換するのに」
み「遠いったって、何百メートルも離れてるわけじゃないだろ。
 単線区間の車両なんて短いんだし」
函館駅に入る『北斗星』。12両編成。全長250メートルくらい?
↑函館駅に入る『北斗星』。12両編成。全長250メートルくらい? こんなに長ければ大変でしょう。

み「そもそも、列車ダイヤだって、1時間に1本もないんだから……。
 運転士が亀だって間に合うよ」
タブレット交換のために改造された亀運転士
↑タブレット交換のために改造された亀運転士

食「鉄道全盛期は、少しでも早く交換する必要性があったということです。
 で、上下線の運転席を最短距離にするために……。
 ホームが千鳥に置かれたわけです。
 これによって、運転席同士が、向き合うような位置で停車できます。
 その運転席の停車位置を挟んで、ホームを横断する踏切が作られており……。
 迅速なタブレット交換を可能にしてるんです」
タブレット交換に走る駅員さん(秋田県・由利高原鉄道)
↑タブレット交換に走る駅員さん(秋田県・由利高原鉄道)

食「おわかりですか?」
み「納得いかん。
 乗り換えに、延々と歩かにゃならん駅もあるってのに……」
乗り換えに、延々と歩かにゃならん駅もあるってのに……

食「なんで、運転士だけ楽していいわけ?」
み「だから……。
 楽するためじゃなくてですね。
 より効率的な運行を目的として……」

 現在も、当然、単線区間はたくさん残ってます。
 でも、タブレット交換が行われてる区間は、JRでは無くなってしまったそうです。
 それでは、どうやってすれ違いを行ってるかですが……。
 たぶん、信号とか回路とかで自動でやってるんだと思います。
 興味がおありの方は、Wiki『閉塞(鉄道)』をお読みください。
 わたしは、読んで理解できた箇所が、1行もありませんでした。

律「そう言えば、海岸の景色が変わってますわね」
食「『八森』からはずっと、岩の海岸線でしたが……。
 さっきの『北金ヶ沢』で終わりです」

↑五能線側面展望『千畳敷→鰺ヶ沢』。なんと、『北金ヶ沢駅』で、運転停車してます(5:45くらい)。

食「あ、次の駅を通過します」
み「今、通過した?」
食「通過しました。
 『陸奥柳田駅』です」
『陸奥柳田駅』です

み「ものの見事に、何もない駅だったな。
 名物はあるの?」
食「この駅に関しては……。
 ちょっと思い浮かびません」
臭そうなトイレがあります。ぜひ保存してほしいものです。
↑臭そうなトイレがあります。ぜひ保存してほしいものです。

み「それは気の毒じゃないか。
 何か語れ」
食「と言われても……。
 あ、そうだ。
 この山側に、種里城跡というのがあります」
この山側に、種里城跡というのがあります

食「一ツ森という山の中腹です」
一ツ森という山の中腹です
↑う~ん。行きたくない。

み「どういう城跡?」
食「津軽藩の始祖、大浦光信が、久慈から入府して築いた山城です」
み「いつごろの話よ?」
食「築城は、1491年ですね。
 光信は、津軽統一を志しますが……。
 果たせませんでした。
 1526年、この地で亡くなってます。
 光信の遺志により……。
 甲冑を身につけた立ち姿で埋葬されたそうです」
甲冑を身につけた立ち姿で埋葬されたそうです

み「結局、津軽統一は果たされたわけ?」
食「統一がなったのは、光信から5代後の為信のとき。
 1589年ですね。
 豊臣秀吉から、津軽支配を承認されました。
 光信が種里に入ってから、98年後のことです。
 城跡のすぐ脇に、『光信公の館』という施設が建てられてます」
城跡のすぐ脇に、『光信公の館』という施設が建てられてます
↑『光信公の館』。ほんとにこんな座敷だったんでしょうかね? 15世紀末ですよ。

食「発掘調査の出土品などが展示されてます」
み「うーむ。
 夜に行ったら、ぜったい何か出るな」

食「あ、もうすぐ赤石川を渡ります」
もうすぐ赤石川を渡ります

食「白神山地から北に下る川の中では……。
 最も流域面積の大きい川です」
アマゾン川。流域面積は世界最大。
↑アマゾン川。流域面積は世界最大。

み「それがよくわからん。
 “流域面積”って、どういう面積を云うの?」
律「水面の面積じゃないの?」
み「測りづらいだろ。
 そもそも、どうやって測るんだ?」
律「地図からでいいじゃない」
み「あんなクネクネ曲がってるのを、どうやって測るのよ?」
律「きっと、そういう機械があるのよ。
 『川の面積測り器』」
み「あるかい!」
面積の測定に使われる、プラニメーターという器械
↑面積の測定に使われる、プラニメーターという器械。建設会社時代、測定の手伝いをさせられたことがあります。ぜんぜん、自動じゃありません。線の曲がるポイントごとに、クリックしていきます。

食「流域面積の意味を知ってる方は、案外多くないかも知れませんね」
み「そのエラソーな顔は、ボクは知ってますって言いたいわけ?」
そのエラソーな顔は、ボクは知ってますって言いたいわけ?

食「知ってることは事実です」
み「説明してみい」
食「流域面積ってのは、言ってみれば陣取り合戦なんです」
流域面積ってのは、言ってみれば陣取り合戦なんです

み「なんじゃそれ?」
食「地図上で、ある地点について考えます。
 その地点に雨が降ったら、雨水は最終的にどの川に流れこむか。
 河川Aに流れこむなら、その地点は河川Aの陣地ということです。
 つまりこれが、その河川の“流域にある”ということなんです」
つまりこれが、その河川の“流域にある”ということなんです

食「このように、雨が降ると河川Aに流れこむ地点を地図上で塗りつぶした面積を、河川Aの流域面積と云うんです」
このように、雨が降ると河川Aに流れこむ地点を地図上で塗りつぶした面積を、河川Aの流域面積と云うんです

み「ほー、それは知らなんだ。
 つまり、日本のどの地点を取っても、必ずどれかの川の陣地に入ってるってこと?
 じゃ、日本の川の流域面積をすべて足すと……。
 日本の面積になるわけか」
日本の川の流域面積をすべて足すと、日本の面積になるわけか

食「ところが、そうはいきません」
み「なんでじゃ!」
食「地点によっては、降った雨が、2つの川に流れて行くこともあるからです」
地点によっては、降った雨が、2つの川に流れて行くこともあるからです

み「そういう場合はどうするんだ?
 陣地争いは。
 川同士で合戦するのか?
 これがホントの『川中島の戦い』」
これがホントの『川中島の戦い』

食「それが言いたかったわけですね」
み「続けてよし」
食「川同士で合戦はしません。
 その地点は、2つの川の流域とされるんです」
み「おー、平和的だね。
 人間もそうあってほしいものじゃ」
人間もそうあってほしいものじゃ

食「複数の河川の共有陣地となる地点があるわけですから……。
 日本中の流域面積の総和は、日本の面積を上回るんですよ」
み「ほー。
 これはおもろいことを聞いた」
食「これは、社会科の先生でも、意外と知らないみたいです」
み「本日から、『流域面積初段』を名乗るが良い」
食「そんなもの、名乗ってどうするんです」
み「黒帯を締めて川を渡れるのじゃ」
黒帯を締めて川を渡れるのじゃ
↑弱々しい!

食「いりませんって。
 あ、そんなこと言ってるうちに……。
 ほんとに川を渡りますよ。
 赤石川橋梁です」
赤石川橋梁です

食「久しぶりに長い橋梁になります。
 長さ165メートル。
 追良瀬川橋梁の127メートルよりずっと長いですよ」
み「今まで見た中で一番長い?」
食「いえ。
 一番長いのは、能代の米代川橋梁です。
 516メートルありましたから、別格です」
516メートルありましたから、別格です

み「そんなとこ、渡ったか?」
食「たった2時間前ですよ」
み「何年も経った気がする」
食「バカなこと言ってないで、山側を見てください。
 ほら、谷の奥に、綺麗な形の山が見えるでしょ」
谷の奥に、綺麗な形の山が見えるでしょ

み「おー。
 何山じゃ?」
食「お相撲さんの四股名にもありますよ」
み「曙?」
曙?

食「山じゃないでしょ」
み「武蔵丸?」
武蔵丸?

食「山じゃありませんって」
み「貴乃花?」
貴乃花?

食「例える力士名が古いんじゃないですか?」
み「今はぜんぜん見ないから、わからん。
 でも、“山”が付く相撲取りって、少なくなったよね」
食「ですかね」
み「これは、女の子の名前に“子”が付かなくなったのと同じ現象か?」
食「ま、これも流行りなんでしょうね。
 ほら、はっきり見えましたよ」
み「おー、美麗かな、美麗かな。
 まごうかたなく、火山だな。
 ナントカ富士だろ?」
食「津軽富士です」
津軽富士です

み「相撲取りの名前ねぇ。
 津軽山?」
食「そんな力士、いませんって。
 岩木山です」
岩木山です

み「おー、あのデコッパチくんか。
 無思慮な押し相撲の」
食「それは、失礼ですよ。
 岩木山は青森大学出です」
岩木山は青森大学出です

食「駅を通過します。
 『陸奥赤石駅』です」
『陸奥赤石駅』です
↑夏が似合いそうな駅ですね。

み「ま、良くも悪くも、平均的な駅ですな」
食「評論家みたいですね」
み「おやおや。
 また山を登りはじめたぞ」
食「ここからは、20‰(パーミル)の上り勾配です」
ここからは、20‰(パーミル)の上り勾配です

食「段丘面を登って、次の町には、背後の山から近づきます。
 『深浦』以来の停車駅です」
み「何て駅?」
食「聞いたことあると思いますよ。
 『鰺ヶ沢』です」
み「おー、魚臭そうな名前じゃ」
おー、魚臭そうな名前じゃ
↑美味しそうですね。でも、これ食ってゲロ吐くと、気分は最悪だと思います。

食「『津軽四浦』のひとつになります」
み「『深浦』もそうだったよね。
 あと2つって、どこだっけ?」
食「『深浦』のとき、言いましたよ。
 もう忘れたんですか?」
み「何ヶ月も前の気がする」
食「『青森』と『十三(とさ)』です。
 いずれも、北前船の寄港地として賑わった港です」
み「『鰺ヶ沢』ってことは……。
 当然、鯵が捕れたんだよね」
食「入江にアジの大群が押し寄せ……。
 水面が盛りあがって見えたそうです」
水面が盛りあがって見えたそうです

み「毎日、アジフライか?」
アジフライは、わたしの大好物のひとつ。なんで、あんなに美味しいんでしょう。
↑アジフライは、わたしの大好物のひとつ。なんで、あんなに美味しいんでしょう。

食「アジだけじゃなくて、ニシンやハタハタも大量に捕れたそうです。
 生のままだと出荷が間に合わなくて……。
 ニシンやイワシは、肥料用の魚粕に加工して出荷したそうです」
ニシンやイワシは、肥料用の魚粕に加工して出荷したそうです

み「もったいねー。
 でも、今は廃れちゃったわけでしょ」
食「ま、昔ほどじゃありませんが……。
 漁業が盛んなことに変わりありません。
 ていうか、港は、ほぼ漁港の機能だけになっちゃいましたけど」
港は、ほぼ漁港の機能だけになっちゃいましたけど

み「てことは……。
 昔は、漁港以外の機能もあったわけ?」
食「大ありです。
 さっき、『津軽四浦』のひとつだったって言ったでしょ」
『津軽四浦』のひとつだったって言ったでしょ

食「鰺ヶ沢港は、商港だったんですよ」
鰺ヶ沢港は、商港だったんですよ

食「津軽藩の御用港でしたから。
 港の近くには、年貢米を収める御蔵がありました」
港の近くには、年貢米を収める御蔵がありました

食「年貢米は、西廻り航路で下関を周り……。
 大阪まで運ばれて、そこで売られたわけです」
大阪まで運ばれて、そこで売られたわけです

食「年貢米は、藩の財政の根幹です。
 それだけ重要な港だったってことです。
 もちろん、出るだけじゃなくて、入る船もたくさんいました。
 呉服から、畳表、農具、陶器、さまざまな各地の特産品が荷揚げされました。
 美術品や、上方文化も伝わってきます。
 宝暦年間(1751~1764)には、廻船問屋が12軒も軒を連ねてたそうです」
宝暦年間(1751~1764)には、廻船問屋が12軒も軒を連ねてたそうです

み「なるほそ。
 陸上交通の発達によって……。
 商港としての機能は衰退してしまったってことね。
 ま、新潟もそうだけど……。
 北前船で栄えた港は、多かれ少なかれ、同じ道をたどったというわけだね」
新潟市に残る明治期の廻船問屋『旧小澤家住宅』
↑新潟市に残る明治期の廻船問屋『旧小澤家住宅』

み「じゃ、今は、漁業だけの町?」
鰺ヶ沢漁港から臨む岩木山。絵のように見えますが、写真です。
↑鰺ヶ沢漁港から臨む岩木山。絵のように見えますが、写真です。

食「いえいえ。
 漁業はもちろんですが……。
 最近は、豊かな自然を活かした観光の町です。
 これは、五能線の西海岸に共通したことですが……。
 海と山の観光が、両方楽しめるんです」
み「山が迫ってるからね」
食「そうです。
 同じ町で、海釣りと渓流釣りが、両方出来るんですよ」
赤石川渓流
↑赤石川渓流

食「赤石川渓流の『金アユ』は、特に有名です」
赤石川渓流の『金アユ』は、特に有名です

み「金で出来たアユか?」
山口県の防府天満宮が所蔵する『純金製の鮎』
↑山口県の防府天満宮が所蔵する『純金製の鮎』

食「出来てるわけないでしょ。
 魚体が金色を帯びてるんです。
 アユのほかにも、イワナ、ヤマメの宝庫です」
上が『ヤマメ』で、下が『イワナ』
↑上が『ヤマメ』で、下が『イワナ』。

み「わかった。
 『銀イワナ』に『銅ヤマメ』だな」
札幌オリンピック『70メートル級純ジャンプ』で、日本勢が金銀銅を独占
↑札幌オリンピック『70メートル級純ジャンプ』で、日本勢が金銀銅を独占。

食「そんな都合よくいきませんよ。
 イワナやヤマメは普通の色です。」
み「なんで、アユだけ金色になるわけ?」
食「わかりませんけど……。
 赤石川に含まれる黄鉄鉱が、体内に吸収されるんじゃないかと云われてます」
黄鉄鉱(鉄と硫黄からなる鉱物)
↑黄鉄鉱(鉄と硫黄からなる鉱物)

み「そんなら、アユだけじゃなくて、ほかの魚も金色になるはずでしょ」
食「うーん。
 ひょっとしたら、餌となるコケが関係してるんじゃないですか?
 黄鉄鉱を吸収するのは、コケなのかも知れません」
み「あ、そうか。
 アユだけが、そのコケを食べるってわけか」
アユだけが、そのコケを食べるってわけか

み「イワナやヤマメは、流れてくる虫とかを食べるんだもんね」
イワナやヤマメは、流れてくる虫とかを食べるんだもんね
↑だから、毛鉤で釣れるのです。

み「でも、表面の金色なんて、焼いたらわからんくなるだろ」
表面の金色なんて、焼いたらわからんくなるだろ

食「釣り師だけが知る醍醐味でしょう」
釣り師だけが知る醍醐味でしょう

み「降りて釣ってみるか」
食「残念ながら……。
 解禁は、9月末までです」
み「ありゃそう」
食「釣りは無理でも……。
 トレッキングなんてのはどうです?」
み「山歩き?」
食「イマイチですか?」
み「イマサンくらいだね。
 籠に乗せてくれる?」
籠に乗せてくれる?

食「山道で籠なんて、乗ってる方が大変ですよ。
 大丈夫。
 山道と言っても、遊歩道が整備されてますから」
山道と言っても、遊歩道が整備されてますから

食「足元は安心ですが、遊歩道を囲む林は、ブナの原生林です。
 『ミニ白神』と呼ばれてます」
『ミニ白神』と呼ばれてます

み「イマヨンくらいに下がった」
食「なんでです?」
み「チャチそうじゃん」
食「とんでもない。
 白神山地のうち、世界遺産に登録されてる区域には、人は踏み込むことが出来ないんですよ」
白神山地のうち、世界遺産に登録されてる区域には、人は踏み込むことが出来ないんですよ

食「この『ミニ白神』は、遊歩道を歩きながら、白神の奥地と同様の原生林を楽しめるんです。
 なぜなら!」
み「力が入りすぎなんじゃないの」
食「藩政時代……。
 この辺りは、水源の保全のため、樹木の伐採が厳しく禁じられてたからです。
 なので、樹齢300年以上のブナが、生い繁ってるわけです。
 登録地とほとんど同じ状態の原生林を、目の当たりに出来るんです」
登録地とほとんど同じ状態の原生林を、目の当たりに出来るんです

み「そこまで行くのが大変なんでないの?」
食「駅から、『くろもり館』というトレッキングの拠点施設まで、シャトルバスが出てます」
駅から、『くろもり館』というトレッキングの拠点施設まで、シャトルバスが出てます

食「30分くらいかな」
み「ほー。
 それはお手軽だな」
食「行くなら今ですよ。
 雪が積もった時点で、閉鎖しちゃいますから」
み「いつごろよ?」
食「その年によって違いますけど……。
 早ければ10月中です」
み「やっぱり、そうとう積もるわけ?」
食「翌年のオープンは、ゴールデンウィーク前くらいですかね」
み「半年閉まってるのか」
食「雪解けのブナ林は、ほんとに綺麗らしいです」
雪解けのブナ林は、ほんとに綺麗らしいです
↑2013年5月11日。まだ雪が残ってます。

み「行ってないわけね」
食「寒いのは、イマイチ……」
み「新潟には、その名も『美人林』という有名なブナ林がある」
新潟には、その名も『美人林』という有名なブナ林がある

律「また自慢する」
み「自慢することが、たくさんある県なのじゃ」
食「『美人林』の写真は、ボクも見たことがあります。
 幻想的な風景ですよね」
『美人林』おとぎの森のようです。
↑おとぎの森のようです。

み「えへん」
食「『ミニ白神』からは少し外れますが……。
 鰺ヶ沢にも、ぜひ見ていただきたいブナがあります」
み「美人か?」
食「“マザーツリー”と呼ばれてます」
“マザーツリー”と呼ばれてます

食「樹齢400年」
み「熟女だな」
食「高さ30メートル。
 胸高幹周4.7メートル」
胸高幹周4.7メートル

食「こんなすごい木が、バス停のすぐ側に立ってるんです」
1日2便。乗り遅れたら死にます。
↑1日2便。乗り遅れたら死にます。

み「おー。
 車で行って見てこれるってのはいいね」
ツキノワグマ生息地です。頭から食われます。
↑ツキノワグマ生息地です。頭から食われます。

食「ぜひ、自分の足でも歩いてくださいよ」
み「そのセリフ、そのままチミに返すわ。
 歩いてないだろ?」
食「いつか、歩こうかな、と」
み「今、歩かんかい」
食「リタイアして、ヒマになったら歩きます」
み「その時にはもう、歩けなくなってるかも知れないぞ」
食「嫌なこと言わないでくださいよ」
み「その体型のままだと……。
 痛風か糖尿、どっちかになっておる」
ウガンダさんの命日に集まった予備軍たち。
↑ウガンダさんの命日に集まった予備軍たち。

食「そうならないよう、節制します」
み「おやつに駅弁食ってて、どこが節制じゃ」
おやつに駅弁食ってて、どこが節制じゃ

食「旅行中くらい、見逃してください。
 唯一の楽しみなんですから」
み「いつもは、食ってないとでも言うのか?」
食「おやつに駅弁は食べてません」
み「我慢できるのか?」
食「ハンバーガーを食べてます」
み「何にもならん!」
食「節制の話は、止めときましょう。
 楽しい話題じゃないですから。
 あ、少しだけ歩くのに、最適なスポットがあります」
み「なんじゃい」
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