2012.3.3(土)
刑『ちなみに、焼き魚は何ですか?』
犯『干物みたいでしたね』

刑『干物!
プリン体が多いじゃありませんか!』

犯『よく覚えておられましたね』
刑『刑事の記憶力を侮ってはいけません』

刑『焼き魚と卵焼きがAセットということは……。
もう一方はBセットと読みましたが、いかがです?』

犯『当たり前ですよ』
刑『なぜです?
先入観を持っちゃいけませんぞ。
Aの次がBとは、決して限らない。
わたしは結婚前……。
Bを飛ばしてCをしようとして、女房に殴られました』

犯『何の話をしてるんです?』
刑『ささやかな思い出話です。
あのころの女房は、可愛かったもんです。
触っただけで、エビみたいに反応しましてね』

犯『後ろ向きに逃げるんですか?』

刑『例えです!
話が進まんじゃないですか』
犯『刑事さんのせいだと思いますが』
刑『それは不本意ですが……。
それなら、話を進めましょう。
Bセットのメインディッシュは?』

犯『ハムの入った目玉焼きです』
刑『それを世間では、ハムエッグと云うんじゃありませんか?』

犯『そうだと思います』
刑『それならなぜ、そう言わなかったんです?』
犯『Aセットが、焼き魚と卵焼きですから……。
Bセットも、主たる具材が2種類あることを伝えたかったんです』

刑『なるほど。
それなら、ハムと目玉焼きを別にすればいいんじゃないですか?』

犯『ハムと卵があったら、普通、ハムエッグにするでしょう』
刑『なるほど。
それではなぜ、干物と卵焼きは一緒にならないのか?』

犯『どうやって、一緒に出来るんですか?
話を進めましょうよ。
これは、ぜったい引き伸ばしだって、読者も思ってますよ』

刑『引き伸ばしじゃないんですか?』
犯『そうでしょうけど……』
刑『まぁ、いいです。
そこには、あえて触れないことにしましょう。
ところで、ハムには、プリン体が多いんですか?』

↑プリンを食べるハムくん
犯『これが、以外なことに……。
少ないんですよ』

刑『ほー。
卵は、どちらにも付いてますな。
プリン体は……?』

↑プリン体のイメージ
犯『卵、お好きですか?』
刑『プリン体が多かったら……。
泣いちゃうかも知れません』

犯『安心してください。
鶏卵に含まれるプリン体は、極めて少ないです』

刑『よっしゃー!』

↑元祖ガッツポーズ
犯『何も、ガッツポーズまでしなくても』
刑『てことは……。
ハムエッグは、無敵じゃないですか』

刑『痛風気味の人は、ぜったいBセットにするべきですな』

↑このメニューは珍しいんじゃないでしょうか? 伊賀SAにあるそうです。
犯『ま、そんな選び方をしてる人がいるかどうかは、疑問ですが』
刑『オカズはそれだけですか?』
犯『これだけじゃ、寂しいでしょ』

犯『AとBは、メインディッシュが違ってるだけで……。
あとのオカズは一緒です』
刑『ほー。
何が付きますか?』
犯『ご飯のほかは、具だくさんの味噌汁』

↑例によってイメージ
刑『当然ですな』
犯『納豆、のり、漬物』

刑『おー、納豆が付くんですか。
それはいい』

犯『あと、小鉢が2品付きます』

↑イメージなり
刑『そんなに付くんですか?
洋定食より、ずっといいじゃありませんか』
犯『実際、洋定食を頼んでる人は、ほとんどいないようでしたよ』
刑『そうでしょう、そうでしょう』

犯『そろそろ、朝食の話は切り上げませんか?
読者に怒られますよ』

刑『そうですな。
おっと。
そうはいきませんぞ』

犯『なんですか?』
刑『卵は、卵焼きか目玉焼き、どっちかになるわけでしょ?』

↑卵焼きと目玉焼きが同時に写った画像は、ほとんどありませんでした。やっぱり、どっちかになるんでしょうね。
犯『そうなりますね』
刑『生卵を食べたい人は、どうするんです?』

犯『食べれないと思います』
刑『それは、残念極まりない。
ぜひ、生卵のCセットを作って欲しい』

犯『わたしに言わないでください』
刑『ただし、温泉卵のセットは不要です』

犯『なぜです?』
刑『わたしが嫌いだからです』
犯『案外、自分勝手ですね』
刑『家では、可愛い暴君です』

犯『はぁ』
刑『じゃ、“ゆ~らんど”でかかったお金は……。
入浴料の600円プラス、朝食代の630円で……。
合計、1,230円ということですか』
犯『ですね』
刑『足は……』

犯『出ません』
刑『はは。
こういうのを、手も足も出ないと云うんでしょうか』

↑本人は、けっこう気に入ってるようです。
刑『フェリーで浮いたお金は、5,000円くらいでしたな。
5,000-1,230=……。
パチパチパチ、と』

↑珠が多過ぎないか? 頭にかかってる白いのはなんじゃ?
刑『3,770円也』
犯『御明算』

犯『でも、その日の朝食代は、どんな交通機関を使っても必要なわけですから……。
追加料金に入れるのは、ヘンですよ』
刑『あ、そうか……。
いや、待てよ』

刑『ひょっとして……。
根本が違ってるんじゃないですかぁ?』

犯『また、顔が邪悪なんですけど』

刑『フェリーの“ステートB”が、7,700円。
これに対し、JRを利用した場合……。
さっきメモしてあります』

刑『さっそく、役に立ちました。
特急料金を入れて、6,510円になります。
いいですね?』

犯『けっこうです』
刑『これに、前泊のホテル代を足して、12,700円だと……。
ちょうど、5,000円浮くわけでんな?』

犯『なんで関西弁になるんです?』
刑『ソロバン弾きながらお金の話をしてたら……。
浪速の商人が乗り移ってしまいました』

犯『いらない芸はしなくていいです』

犯『結局、何が言いたいんです?』
刑『つまり、ホテル代を……。
「12,700円(フェリー代7,700円+浮かせる5,000円)-6,510円(JR料金)」で見積もってるわけです。
今、計算しますよ。
パチパチパチ、と。
どうです。
御覧ください』
犯『使いこんだソロバンですね』

刑『金額を読んでください』
犯『六千百九十円也』
刑『それが、ホテル代になります』

犯『そんなもんでしょ』
刑『ビジネスホテルを使えば、ということでしょ』

犯『だから、何が言いたいんです?』
刑『あなた、“ゆ~らんど”は、宿泊も出来るとおっしゃいませんでした?』
犯『あ、言いました』
刑『でしょ。
そしてその料金は……。
ズバリ!』

↑ヘタですけど……。パパが息子のために作ったお弁当です(泣かせるぜ)。左は野口さんだとか(どこが……)。
刑『ビジネスホテルより安いでしょう!』
犯『うーん。
参ったな』

刑『ふぉっふぉっふぉっ』

犯『何でバルタン星人になるんです?』
刑『人は嬉しいと……。
バルタン星人になるものですよ』

犯『初耳です』
刑『さ、言ったんさい。
ユーランドホテル八橋の宿泊料金は、いくらですか?』

犯『バス・トイレ付きの部屋で……。
4,950円です』

刑『ほー。
だいぶ下がったじゃありませんか。
しかし今、わざわざバス・トイレ付きと断ったということは……。
付いてない部屋もあるんでしょ?
大浴場があるんだから……』

刑『お風呂なんて無くてもいいですよね』
犯『バス・トイレ無しの部屋は……。
3,900円です』
刑『ほーれみなさい、ほーれみなさい。
大幅に下がったじゃありませんか。
もう一声、ありませんか?』

犯『カプセル宿泊コースがあります』

刑『よっしゃー!』

犯『ドヤ顔は止めてください』

刑『さっさとおっしゃってください。
カプセルは、いくらですか?』
犯『2,980円です』

刑『なんですとー』

刑『ついに2,000円台ですか。
これは、もう一声ありそうですな。
キリキリ白状してください』

犯『仮眠室宿泊コースがあります』

刑『ずっきゅーん!!』

犯『はしゃぎ過ぎじゃありませんか』
刑『9回裏、逆転満塁ホームランです』

刑『さー、言ったんさい言ったんさい。
仮眠室は、いくらですか?』

犯『2,100円です』
刑『お、惜しい!
もう一声!
もう一声ありませんか?』
犯『魚市場みたいですね』

犯『宿泊コースは、これだけですが……。
もっと安く過ごせる方法はあります』
刑『それを聞きたい。
わたしはそれを、心から聞きたい』

犯『入浴で、“ゆったりコース”というのがあります。
このコースだと、24時間滞在できるんです。
2階の休憩室が利用できますから……。
寝ようと思えば寝れますね』

刑『そのコースの値段を、こっそりわたしに教えてください』

犯『なんで、こっそりなんですか?』
刑『大きい声で聞くと、倒れそうな予感がします』

犯『1,300円です。
大丈夫ですか?』
刑『今、くらっと来ました』

刑『てことはてことは……。
見積もったホテル代、6,190円ってのは……。
まーったく根拠をなさなくなったわけですよ。
前泊をしても、実際にかかる値段は……。
JR料金の、6,510円、プラス1,300円。
すなわち、7,810円。
フェリーの7,700円とは、わずか110円の違いじゃないですか!』

刑『110円浮かせるためにフェリーに乗ったというのは……。
理由として、弱すぎますな。
市中引き回しの上、ハリツケ獄門決定!』

犯『勝手に決定しないでくださいよ』

刑『この期に及んで、まだ言い逃れしようなんて……。
男らしくありませんぞ』

犯『だから……。
わたしがフェリーの“エステート”にした理由を言ったでしょ』

刑『何でしたっけ?』

↑こんな顔されたら、食えんわな。
犯『トボケないでください。
雑魚寝の“ツーリスト”じゃ、眠れない恐れがあるって言ったはずです』

犯『だから、ユーランドホテルでも、休憩室や仮眠室で寝るなんて、考えられませんよ』

犯『そもそも、そんなとこで寝れるくらいなら……。
フェリーで、“ツーリストJ”を選んでます。
料金、覚えてますか?
4,000円ですよ』

犯『根本から違って来るでしょ』

刑『そうでしたっけ?』

犯『都合の悪いことだけ忘れるんだから』
刑『それでも、カプセルなら寝れますよね』

犯『ま、寝るだけなら大丈夫でしょう』
刑『2,980円でしたな。
それなら、JR料金の6,510円を足して……。
9,490円。
フェリーの7,700円とは、1,790円差になります。
このくらいの差で、わざわざフェリーに乗りますか?』
犯『それだけじゃ、済みませんよ。
カプセルには、お風呂が付いてないんだから。
別に、3時間の入浴コースが、600円かかります』

↑露天風呂もあります(屋根があるけど)。サウナの後は最高だそうです。
刑『込みじゃ、無いんですか!』
犯『泊まりは、泊まりだけの値段です』
刑『うーむ。
それじゃ、もう600円出しましょう。
差は、2,390円。
わたしなら、断然JRですな』

刑『いい日旅立ち!』

犯『旅行なら、わたしもそうしたかも知れません。
でも、仕事終わってから、JRに乗ろうとすると……。
秋田行きの最終が、新潟発18:48分の“いなほ11号”になります』

↑わたしは、向かって右の電車にたまーに乗ることがありまして、窓から“いなほ”車中を観察してます。指定席はガラガラですが、自由席は、満席に近いこともあります。通勤に使ってる感じの人は、少ないです。みなさん、お弁当を食べてます。
犯『これは酒田止まりですから、そこから羽越本線に乗り換えて……。
秋田に着くのは、23:03分。
仕事終わってから、4時間も電車に揺られて、こんな時間に着いたんじゃ……。
疲れが翌朝に残っちゃいますよ』

↑なぜ彼はここを選んだのか?
刑『いいじゃないですか。
仕事終わってからじゃなくたって。
前日の午後から乗りましょうよ。
わたしが許可します』

犯『いや、刑事さんに許可されても。
あの夜は、取引先との接待が入ってたんですよ』

↑新潟古町の花街
犯『ま、二次会は勘弁してもらいましたけど。
だから、フェリー以外の選択肢はありませんでした』

↑洗濯子
刑『さっきまで、そんなこと言ってなかったじゃないですか』

犯『刑事さんが、お金の比較ばかりしてるから……。
それに付き合ったまでです』
刑『わたしのせいなんですか』
犯『そこまでは言ってません。
でもとにかく!
わたしがフェリーに乗ったのには、ちゃんとした理由があったと言うことです』

犯『フェリーで人に会わなかったのは……。
寝ることに専念してたからです』

犯『身だしなみは、翌朝、フェリーを下りてから整えられますから』
刑『なるほど。
うまいこと考えましたな』
犯『出張術とでも言いましょうかね』

刑『となると……。
翌朝下船するまで、ずっとお部屋で?』

↑“あざれあ”のステートB
犯『ですね。
朝方、トイレに行きましたけど……。
秋田で下りる人は少ないみたいで、誰とも会いませんでした』

↑これは、“すずらん(敦賀ー苫小牧・直行便)”の廊下
刑『ステートには、トイレも付いてないんですか?』
犯『トイレがあるのも、デラックスとスイートだけですね』

↑“しらかば”デラックスルームのバス・トイレ(リニューアルされてるかも知れません。現在は、すべてシャワートイレだそうです)
刑『そうなると……。
あなたがフェリーに乗ったことは、まったく証明できなくなりますぞ』
犯『秋田港に、チケットの半券がまだ保管されてると思いますけど』

刑『半券?』
犯『下船のとき、それを渡して下りるわけです。
わたしの指紋が付いてるはずです』

刑『おぉ。
なるほど。
それは一つのデータですな』

↑コンピューターの吐き出した紙テープを読む南部博士(ガッチャマン)。昔のマンガではよくあったシーンで、お茶の水博士も得意だったようです。
犯『データじゃなくて、証拠でしょ?』

刑『さっそく調べさせます』

犯『じゃ、もういいですか?』
刑『もう少しお願いします。
あなたも、何度も来られるよりいいでしょ。
手短かにしますから』

↑これは、“手長足長”という妖怪
犯『刑事さんの手短かは、大いに信用出来ないなぁ』
刑『ここからが、手短かバージョンになります。
あなたが素直に白状してくれれば、もっと手短に出来るんですが』

犯『やってないことは、白状できませんよ』
刑『では、手短にいきますぞ。
新潟秋田間をフェリーが航行してる間……。
あなたが乗ってたことを証明してくれる人はいない。
こういう結論でいいですね』

↑ロンのケツで、ケツロン
犯『ずいぶんと乱暴な結論じゃないですか』

刑『手短かバージョンです』
犯『困ったなぁ。
あ、そうだ』

犯『どうして忘れてたんだろ』
刑『何か思い出しました?』

犯『刑事さんのお陰です。
考えれば出てくるもんですね』
刑『何をひねり出しました?』

犯『人聞きが悪いな。
思い出したんです。
あの夜は、ちょっと飲み過ぎて……。
船酔いが心配だったんです』

刑『フロントで、時化の具合を聞いたんでしたな』

犯『廊下を歩いてるときは、大丈夫だと思ったんですが……。
狭い部屋に入ったら、急に回って来たんです』

犯『布団に入ってみたんですが、ベッドが動いてる気がして』

刑『ラブホみたいですな』

刑『で、それでどうしたんです?』
犯『酔い止めがあれば、もらおうと思ったんですが……。
もう浴衣に着替えてるし、フロントに行くのも億劫でね』

犯『ダメ元で、フロントに電話してみたんです。
酔い止め薬が無いかって』

↑国内市販薬では最強だそうです。
刑『ありましたか?』
犯『ありました。
もう浴衣に着替えてることを話したら……。
部屋まで持ってきてくれると言ってくれました』
刑『医薬品は、薬剤師がいないと販売できませんぞ』

犯『売るんじゃなくて、分けてくれるんだからいいでしょ』
刑『で、持ってきてもらったわけですな?』
犯『ええ。
でも、待ってる間に、体が船の揺れに慣れたみたいで……。
そのまま眠れそうでした。
酔い止めなんて飲んで、翌朝が辛いとイヤだなと思ったんで……』

犯『せっかく持ってきてくれた薬ですが、よく謝って、帰ってもらいました』

刑『ほー。
相手の好意を無にしないためには……。
一応受け取って、飲まないでおくという選択肢もあると思いますが』

犯『確かにそうですね。
でも、そのときは思いつきませんでしたよ。
とにかく、フロントの女性に聞いてください』

犯『こんな出来事があったら、忘れっこ無いでしょ』
+++++++++++++++++++++++++++++++++++
み「ということで、とりあえずこのシーンは終わりね」

律・食「長が!」

↑「大したもん蛇まつり(新潟県関川村)」。蛇の長さは、82.8メートル。
み「フェリーや健康ランドのシステムが、よーくわかったでしょ。
単に情報を書き並べるより、推理ドラマ仕立てにしたほうが……」

み「読者も、興味を持って読んでくれるってものよ」

み「ひょっとして……。
わたしって、天才?」

律「聞かされる身にとっては、天災だわ」

み「どういう意味?」
律「“てんさい”の字が違うってこと。
あんたの場合、忘れたころにやってくる“天災”」
み「失敬なヤツ」
律「そもそも、フェリーのシーンなんて、もう終わってるでしょ」

み「2年前にね」
律「何それ?」
み「とにかく、連載も2年がかりになると、いろいろ変わっちゃうのよ。
ここからは、わたしのひとりごとだから、聞き流してちょうだい」

み「今回、この推理ドラマを書き始めたとき……。
もう一度、新日本海フェリーのサイトを見なおしたわけ」

み「そしたら、船室の呼び名が変わっちゃってたわけよ(参照)。
わたしに何の断りもなく」
律「普通、断らないでしょ」
み「連載してる身にもなってちょうだい。
『リゾートしらかみ』の時刻表も変わっちゃってるし」

律「2年前の設定なら、当時の情報でいいんじゃないの」
み「わたしは、新鮮な情報を載せたいの。
♪とれたてピ~チピチ」
律「♪かに料理」

み「ありがとうございます」
食「お言葉ですが……。
♪とれとれピ~チピチです」
み「そんなことは、どーでもいいの!
それにね……。
本音を言うと、2年前の情報を集める方が、よっぽど大変。
ホームページなんかは、最新情報になってるわけだからさ」
律「なるほど」
み「時刻表の検索ひとつ取ってもそうよ。
2年前の時刻表でなんて、検索できないでしょ」

↑2年前は、こんな時刻表でしたね
み「だから、ここでドサクサに紛れて断っておきますが……。
これからの『東北に行こう!』で、時刻表とかの交通機関の情報は……。
その時点での最新のものを掲載します。
皆さまに最新の情報をお伝えしたいという、わたしの心根を汲んで……。
矛盾については、どうぞ、スルーしてやってください」

律「言い訳にしか聞こえな~い」

み「黙らっしゃい」

み「それでは、刑事ドラマ、続けます」

律「まだ続くの!」
み「当たり前でしょ。
これから容疑者の供述について、裏取り捜査よ」

み「“犯”さんは、フェリーに乗ったというアリバイを、主張してる。
フェリーに乗った理由も、一応はもっともらしい。
あとは証言ね」

み「本人は、フロント嬢に酔い止め薬を頼んだら……」

み「部屋まで持ってきてくれたと言ってる。
当然、裏を取りに行かなきゃなりません」

み「フェリー会社に、当日のフロント嬢がどこにいるか聞くと……。
当然のごとく、フェリー上で勤務してる」

み「でも幸い、苫小牧発の南行便に乗ってて……。
秋田に着くのが、翌朝の7:45分」

み「出港が、9:00分だから、その間でしか話を聞けない。
勤務が忙しく、船を下りるわけにいかないとのことなので……。
刑事の方で、フェリー船内に出向いて、事情を聞くことになったわけ」
律「電話で聞けばいいんじゃないの?」

み「アンケートじゃあるまいし……」

み「電話で事情を聞く刑事がおるか!」

律「いないの?」
み「いないのって……。
刑事ドラマで、そんなシーン、出てこないでしょうが。
刑事が電話かけて……。
『あなた、昨日の夜10時ころ、どこにいました』なんて聞いてないでしょ」

律「そうなの?」
み「そうなの!」
犯『干物みたいでしたね』

刑『干物!
プリン体が多いじゃありませんか!』

犯『よく覚えておられましたね』
刑『刑事の記憶力を侮ってはいけません』

刑『焼き魚と卵焼きがAセットということは……。
もう一方はBセットと読みましたが、いかがです?』

犯『当たり前ですよ』
刑『なぜです?
先入観を持っちゃいけませんぞ。
Aの次がBとは、決して限らない。
わたしは結婚前……。
Bを飛ばしてCをしようとして、女房に殴られました』

犯『何の話をしてるんです?』
刑『ささやかな思い出話です。
あのころの女房は、可愛かったもんです。
触っただけで、エビみたいに反応しましてね』

犯『後ろ向きに逃げるんですか?』

刑『例えです!
話が進まんじゃないですか』
犯『刑事さんのせいだと思いますが』
刑『それは不本意ですが……。
それなら、話を進めましょう。
Bセットのメインディッシュは?』

犯『ハムの入った目玉焼きです』
刑『それを世間では、ハムエッグと云うんじゃありませんか?』

犯『そうだと思います』
刑『それならなぜ、そう言わなかったんです?』
犯『Aセットが、焼き魚と卵焼きですから……。
Bセットも、主たる具材が2種類あることを伝えたかったんです』

刑『なるほど。
それなら、ハムと目玉焼きを別にすればいいんじゃないですか?』

犯『ハムと卵があったら、普通、ハムエッグにするでしょう』
刑『なるほど。
それではなぜ、干物と卵焼きは一緒にならないのか?』

犯『どうやって、一緒に出来るんですか?
話を進めましょうよ。
これは、ぜったい引き伸ばしだって、読者も思ってますよ』

刑『引き伸ばしじゃないんですか?』
犯『そうでしょうけど……』
刑『まぁ、いいです。
そこには、あえて触れないことにしましょう。
ところで、ハムには、プリン体が多いんですか?』

↑プリンを食べるハムくん
犯『これが、以外なことに……。
少ないんですよ』

刑『ほー。
卵は、どちらにも付いてますな。
プリン体は……?』

↑プリン体のイメージ
犯『卵、お好きですか?』
刑『プリン体が多かったら……。
泣いちゃうかも知れません』

犯『安心してください。
鶏卵に含まれるプリン体は、極めて少ないです』

刑『よっしゃー!』

↑元祖ガッツポーズ
犯『何も、ガッツポーズまでしなくても』
刑『てことは……。
ハムエッグは、無敵じゃないですか』

刑『痛風気味の人は、ぜったいBセットにするべきですな』

↑このメニューは珍しいんじゃないでしょうか? 伊賀SAにあるそうです。
犯『ま、そんな選び方をしてる人がいるかどうかは、疑問ですが』
刑『オカズはそれだけですか?』
犯『これだけじゃ、寂しいでしょ』

犯『AとBは、メインディッシュが違ってるだけで……。
あとのオカズは一緒です』
刑『ほー。
何が付きますか?』
犯『ご飯のほかは、具だくさんの味噌汁』

↑例によってイメージ
刑『当然ですな』
犯『納豆、のり、漬物』

刑『おー、納豆が付くんですか。
それはいい』

犯『あと、小鉢が2品付きます』

↑イメージなり
刑『そんなに付くんですか?
洋定食より、ずっといいじゃありませんか』
犯『実際、洋定食を頼んでる人は、ほとんどいないようでしたよ』
刑『そうでしょう、そうでしょう』

犯『そろそろ、朝食の話は切り上げませんか?
読者に怒られますよ』

刑『そうですな。
おっと。
そうはいきませんぞ』

犯『なんですか?』
刑『卵は、卵焼きか目玉焼き、どっちかになるわけでしょ?』

↑卵焼きと目玉焼きが同時に写った画像は、ほとんどありませんでした。やっぱり、どっちかになるんでしょうね。
犯『そうなりますね』
刑『生卵を食べたい人は、どうするんです?』

犯『食べれないと思います』
刑『それは、残念極まりない。
ぜひ、生卵のCセットを作って欲しい』

犯『わたしに言わないでください』
刑『ただし、温泉卵のセットは不要です』

犯『なぜです?』
刑『わたしが嫌いだからです』
犯『案外、自分勝手ですね』
刑『家では、可愛い暴君です』

犯『はぁ』
刑『じゃ、“ゆ~らんど”でかかったお金は……。
入浴料の600円プラス、朝食代の630円で……。
合計、1,230円ということですか』
犯『ですね』
刑『足は……』

犯『出ません』
刑『はは。
こういうのを、手も足も出ないと云うんでしょうか』

↑本人は、けっこう気に入ってるようです。
刑『フェリーで浮いたお金は、5,000円くらいでしたな。
5,000-1,230=……。
パチパチパチ、と』

↑珠が多過ぎないか? 頭にかかってる白いのはなんじゃ?
刑『3,770円也』
犯『御明算』

犯『でも、その日の朝食代は、どんな交通機関を使っても必要なわけですから……。
追加料金に入れるのは、ヘンですよ』
刑『あ、そうか……。
いや、待てよ』

刑『ひょっとして……。
根本が違ってるんじゃないですかぁ?』

犯『また、顔が邪悪なんですけど』

刑『フェリーの“ステートB”が、7,700円。
これに対し、JRを利用した場合……。
さっきメモしてあります』

刑『さっそく、役に立ちました。
特急料金を入れて、6,510円になります。
いいですね?』

犯『けっこうです』
刑『これに、前泊のホテル代を足して、12,700円だと……。
ちょうど、5,000円浮くわけでんな?』

犯『なんで関西弁になるんです?』
刑『ソロバン弾きながらお金の話をしてたら……。
浪速の商人が乗り移ってしまいました』

犯『いらない芸はしなくていいです』

犯『結局、何が言いたいんです?』
刑『つまり、ホテル代を……。
「12,700円(フェリー代7,700円+浮かせる5,000円)-6,510円(JR料金)」で見積もってるわけです。
今、計算しますよ。
パチパチパチ、と。
どうです。
御覧ください』
犯『使いこんだソロバンですね』

刑『金額を読んでください』
犯『六千百九十円也』
刑『それが、ホテル代になります』

犯『そんなもんでしょ』
刑『ビジネスホテルを使えば、ということでしょ』

犯『だから、何が言いたいんです?』
刑『あなた、“ゆ~らんど”は、宿泊も出来るとおっしゃいませんでした?』
犯『あ、言いました』
刑『でしょ。
そしてその料金は……。
ズバリ!』

↑ヘタですけど……。パパが息子のために作ったお弁当です(泣かせるぜ)。左は野口さんだとか(どこが……)。
刑『ビジネスホテルより安いでしょう!』
犯『うーん。
参ったな』

刑『ふぉっふぉっふぉっ』

犯『何でバルタン星人になるんです?』
刑『人は嬉しいと……。
バルタン星人になるものですよ』

犯『初耳です』
刑『さ、言ったんさい。
ユーランドホテル八橋の宿泊料金は、いくらですか?』

犯『バス・トイレ付きの部屋で……。
4,950円です』

刑『ほー。
だいぶ下がったじゃありませんか。
しかし今、わざわざバス・トイレ付きと断ったということは……。
付いてない部屋もあるんでしょ?
大浴場があるんだから……』

刑『お風呂なんて無くてもいいですよね』
犯『バス・トイレ無しの部屋は……。
3,900円です』
刑『ほーれみなさい、ほーれみなさい。
大幅に下がったじゃありませんか。
もう一声、ありませんか?』

犯『カプセル宿泊コースがあります』

刑『よっしゃー!』

犯『ドヤ顔は止めてください』

刑『さっさとおっしゃってください。
カプセルは、いくらですか?』
犯『2,980円です』

刑『なんですとー』

刑『ついに2,000円台ですか。
これは、もう一声ありそうですな。
キリキリ白状してください』

犯『仮眠室宿泊コースがあります』

刑『ずっきゅーん!!』

犯『はしゃぎ過ぎじゃありませんか』
刑『9回裏、逆転満塁ホームランです』

刑『さー、言ったんさい言ったんさい。
仮眠室は、いくらですか?』

犯『2,100円です』
刑『お、惜しい!
もう一声!
もう一声ありませんか?』
犯『魚市場みたいですね』

犯『宿泊コースは、これだけですが……。
もっと安く過ごせる方法はあります』
刑『それを聞きたい。
わたしはそれを、心から聞きたい』

犯『入浴で、“ゆったりコース”というのがあります。
このコースだと、24時間滞在できるんです。
2階の休憩室が利用できますから……。
寝ようと思えば寝れますね』

刑『そのコースの値段を、こっそりわたしに教えてください』

犯『なんで、こっそりなんですか?』
刑『大きい声で聞くと、倒れそうな予感がします』

犯『1,300円です。
大丈夫ですか?』
刑『今、くらっと来ました』

刑『てことはてことは……。
見積もったホテル代、6,190円ってのは……。
まーったく根拠をなさなくなったわけですよ。
前泊をしても、実際にかかる値段は……。
JR料金の、6,510円、プラス1,300円。
すなわち、7,810円。
フェリーの7,700円とは、わずか110円の違いじゃないですか!』

刑『110円浮かせるためにフェリーに乗ったというのは……。
理由として、弱すぎますな。
市中引き回しの上、ハリツケ獄門決定!』

犯『勝手に決定しないでくださいよ』

刑『この期に及んで、まだ言い逃れしようなんて……。
男らしくありませんぞ』

犯『だから……。
わたしがフェリーの“エステート”にした理由を言ったでしょ』

刑『何でしたっけ?』

↑こんな顔されたら、食えんわな。
犯『トボケないでください。
雑魚寝の“ツーリスト”じゃ、眠れない恐れがあるって言ったはずです』

犯『だから、ユーランドホテルでも、休憩室や仮眠室で寝るなんて、考えられませんよ』

犯『そもそも、そんなとこで寝れるくらいなら……。
フェリーで、“ツーリストJ”を選んでます。
料金、覚えてますか?
4,000円ですよ』

犯『根本から違って来るでしょ』

刑『そうでしたっけ?』

犯『都合の悪いことだけ忘れるんだから』
刑『それでも、カプセルなら寝れますよね』

犯『ま、寝るだけなら大丈夫でしょう』
刑『2,980円でしたな。
それなら、JR料金の6,510円を足して……。
9,490円。
フェリーの7,700円とは、1,790円差になります。
このくらいの差で、わざわざフェリーに乗りますか?』
犯『それだけじゃ、済みませんよ。
カプセルには、お風呂が付いてないんだから。
別に、3時間の入浴コースが、600円かかります』

↑露天風呂もあります(屋根があるけど)。サウナの後は最高だそうです。
刑『込みじゃ、無いんですか!』
犯『泊まりは、泊まりだけの値段です』
刑『うーむ。
それじゃ、もう600円出しましょう。
差は、2,390円。
わたしなら、断然JRですな』

刑『いい日旅立ち!』

犯『旅行なら、わたしもそうしたかも知れません。
でも、仕事終わってから、JRに乗ろうとすると……。
秋田行きの最終が、新潟発18:48分の“いなほ11号”になります』

↑わたしは、向かって右の電車にたまーに乗ることがありまして、窓から“いなほ”車中を観察してます。指定席はガラガラですが、自由席は、満席に近いこともあります。通勤に使ってる感じの人は、少ないです。みなさん、お弁当を食べてます。
犯『これは酒田止まりですから、そこから羽越本線に乗り換えて……。
秋田に着くのは、23:03分。
仕事終わってから、4時間も電車に揺られて、こんな時間に着いたんじゃ……。
疲れが翌朝に残っちゃいますよ』

↑なぜ彼はここを選んだのか?
刑『いいじゃないですか。
仕事終わってからじゃなくたって。
前日の午後から乗りましょうよ。
わたしが許可します』

犯『いや、刑事さんに許可されても。
あの夜は、取引先との接待が入ってたんですよ』

↑新潟古町の花街
犯『ま、二次会は勘弁してもらいましたけど。
だから、フェリー以外の選択肢はありませんでした』

↑洗濯子
刑『さっきまで、そんなこと言ってなかったじゃないですか』

犯『刑事さんが、お金の比較ばかりしてるから……。
それに付き合ったまでです』
刑『わたしのせいなんですか』
犯『そこまでは言ってません。
でもとにかく!
わたしがフェリーに乗ったのには、ちゃんとした理由があったと言うことです』

犯『フェリーで人に会わなかったのは……。
寝ることに専念してたからです』

犯『身だしなみは、翌朝、フェリーを下りてから整えられますから』
刑『なるほど。
うまいこと考えましたな』
犯『出張術とでも言いましょうかね』

刑『となると……。
翌朝下船するまで、ずっとお部屋で?』

↑“あざれあ”のステートB
犯『ですね。
朝方、トイレに行きましたけど……。
秋田で下りる人は少ないみたいで、誰とも会いませんでした』

↑これは、“すずらん(敦賀ー苫小牧・直行便)”の廊下
刑『ステートには、トイレも付いてないんですか?』
犯『トイレがあるのも、デラックスとスイートだけですね』

↑“しらかば”デラックスルームのバス・トイレ(リニューアルされてるかも知れません。現在は、すべてシャワートイレだそうです)
刑『そうなると……。
あなたがフェリーに乗ったことは、まったく証明できなくなりますぞ』
犯『秋田港に、チケットの半券がまだ保管されてると思いますけど』

刑『半券?』
犯『下船のとき、それを渡して下りるわけです。
わたしの指紋が付いてるはずです』

刑『おぉ。
なるほど。
それは一つのデータですな』

↑コンピューターの吐き出した紙テープを読む南部博士(ガッチャマン)。昔のマンガではよくあったシーンで、お茶の水博士も得意だったようです。
犯『データじゃなくて、証拠でしょ?』

刑『さっそく調べさせます』

犯『じゃ、もういいですか?』
刑『もう少しお願いします。
あなたも、何度も来られるよりいいでしょ。
手短かにしますから』

↑これは、“手長足長”という妖怪
犯『刑事さんの手短かは、大いに信用出来ないなぁ』
刑『ここからが、手短かバージョンになります。
あなたが素直に白状してくれれば、もっと手短に出来るんですが』

犯『やってないことは、白状できませんよ』
刑『では、手短にいきますぞ。
新潟秋田間をフェリーが航行してる間……。
あなたが乗ってたことを証明してくれる人はいない。
こういう結論でいいですね』

↑ロンのケツで、ケツロン
犯『ずいぶんと乱暴な結論じゃないですか』

刑『手短かバージョンです』
犯『困ったなぁ。
あ、そうだ』

犯『どうして忘れてたんだろ』
刑『何か思い出しました?』

犯『刑事さんのお陰です。
考えれば出てくるもんですね』
刑『何をひねり出しました?』

犯『人聞きが悪いな。
思い出したんです。
あの夜は、ちょっと飲み過ぎて……。
船酔いが心配だったんです』

刑『フロントで、時化の具合を聞いたんでしたな』

犯『廊下を歩いてるときは、大丈夫だと思ったんですが……。
狭い部屋に入ったら、急に回って来たんです』

犯『布団に入ってみたんですが、ベッドが動いてる気がして』

刑『ラブホみたいですな』

刑『で、それでどうしたんです?』
犯『酔い止めがあれば、もらおうと思ったんですが……。
もう浴衣に着替えてるし、フロントに行くのも億劫でね』

犯『ダメ元で、フロントに電話してみたんです。
酔い止め薬が無いかって』

↑国内市販薬では最強だそうです。
刑『ありましたか?』
犯『ありました。
もう浴衣に着替えてることを話したら……。
部屋まで持ってきてくれると言ってくれました』
刑『医薬品は、薬剤師がいないと販売できませんぞ』

犯『売るんじゃなくて、分けてくれるんだからいいでしょ』
刑『で、持ってきてもらったわけですな?』
犯『ええ。
でも、待ってる間に、体が船の揺れに慣れたみたいで……。
そのまま眠れそうでした。
酔い止めなんて飲んで、翌朝が辛いとイヤだなと思ったんで……』

犯『せっかく持ってきてくれた薬ですが、よく謝って、帰ってもらいました』

刑『ほー。
相手の好意を無にしないためには……。
一応受け取って、飲まないでおくという選択肢もあると思いますが』

犯『確かにそうですね。
でも、そのときは思いつきませんでしたよ。
とにかく、フロントの女性に聞いてください』

犯『こんな出来事があったら、忘れっこ無いでしょ』
+++++++++++++++++++++++++++++++++++
み「ということで、とりあえずこのシーンは終わりね」

律・食「長が!」

↑「大したもん蛇まつり(新潟県関川村)」。蛇の長さは、82.8メートル。
み「フェリーや健康ランドのシステムが、よーくわかったでしょ。
単に情報を書き並べるより、推理ドラマ仕立てにしたほうが……」

み「読者も、興味を持って読んでくれるってものよ」

み「ひょっとして……。
わたしって、天才?」

律「聞かされる身にとっては、天災だわ」

み「どういう意味?」
律「“てんさい”の字が違うってこと。
あんたの場合、忘れたころにやってくる“天災”」
み「失敬なヤツ」
律「そもそも、フェリーのシーンなんて、もう終わってるでしょ」

み「2年前にね」
律「何それ?」
み「とにかく、連載も2年がかりになると、いろいろ変わっちゃうのよ。
ここからは、わたしのひとりごとだから、聞き流してちょうだい」

み「今回、この推理ドラマを書き始めたとき……。
もう一度、新日本海フェリーのサイトを見なおしたわけ」

み「そしたら、船室の呼び名が変わっちゃってたわけよ(参照)。
わたしに何の断りもなく」
律「普通、断らないでしょ」
み「連載してる身にもなってちょうだい。
『リゾートしらかみ』の時刻表も変わっちゃってるし」

律「2年前の設定なら、当時の情報でいいんじゃないの」
み「わたしは、新鮮な情報を載せたいの。
♪とれたてピ~チピチ」
律「♪かに料理」

み「ありがとうございます」
食「お言葉ですが……。
♪とれとれピ~チピチです」
み「そんなことは、どーでもいいの!
それにね……。
本音を言うと、2年前の情報を集める方が、よっぽど大変。
ホームページなんかは、最新情報になってるわけだからさ」
律「なるほど」
み「時刻表の検索ひとつ取ってもそうよ。
2年前の時刻表でなんて、検索できないでしょ」

↑2年前は、こんな時刻表でしたね
み「だから、ここでドサクサに紛れて断っておきますが……。
これからの『東北に行こう!』で、時刻表とかの交通機関の情報は……。
その時点での最新のものを掲載します。
皆さまに最新の情報をお伝えしたいという、わたしの心根を汲んで……。
矛盾については、どうぞ、スルーしてやってください」

律「言い訳にしか聞こえな~い」

み「黙らっしゃい」

み「それでは、刑事ドラマ、続けます」

律「まだ続くの!」
み「当たり前でしょ。
これから容疑者の供述について、裏取り捜査よ」

み「“犯”さんは、フェリーに乗ったというアリバイを、主張してる。
フェリーに乗った理由も、一応はもっともらしい。
あとは証言ね」

み「本人は、フロント嬢に酔い止め薬を頼んだら……」

み「部屋まで持ってきてくれたと言ってる。
当然、裏を取りに行かなきゃなりません」

み「フェリー会社に、当日のフロント嬢がどこにいるか聞くと……。
当然のごとく、フェリー上で勤務してる」

み「でも幸い、苫小牧発の南行便に乗ってて……。
秋田に着くのが、翌朝の7:45分」

み「出港が、9:00分だから、その間でしか話を聞けない。
勤務が忙しく、船を下りるわけにいかないとのことなので……。
刑事の方で、フェリー船内に出向いて、事情を聞くことになったわけ」
律「電話で聞けばいいんじゃないの?」

み「アンケートじゃあるまいし……」

み「電話で事情を聞く刑事がおるか!」

律「いないの?」
み「いないのって……。
刑事ドラマで、そんなシーン、出てこないでしょうが。
刑事が電話かけて……。
『あなた、昨日の夜10時ころ、どこにいました』なんて聞いてないでしょ」

律「そうなの?」
み「そうなの!」