Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
高知に行こう!(2)
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 「MY遊バス」は、高知駅から、観光スポットを巡りながら桂浜に向かいます。
MY遊バス

 経路は、次のとおり。

高知駅 → 蓮池町 → 県庁前 → 上町1丁目 → 柳原 → 大橋通 → はりまや橋 → 八幡通 → 五台山展望台 → 牧野植物園正門前 → 竹林寺前 → 龍馬記念館前 → 桂浜

 気になる停留所名がありますねー。
 わたしが行きたいのは……。
 もちろん、“牧野植物園”です。
 ここを見たかったので……。
 モネの庭を、泣く泣く諦めたんです。
 いくらなんでも、モネの庭と牧野植物園の連チャンじゃね。
 造園会社の研修旅行じゃないんだから。
 よほど植物好きな相棒でなきゃ、付き合わせられませんよ。
 もちろん、美弥ちゃんは黙って付き合ってくれるでしょうが……。
 わかってるからこそ、そこまでは甘えられません。

 さて、牧野植物園です。
 植物好きにとって、“牧野”は、とても馴染みがある名前なんです。
 図鑑です。
牧野植物図鑑

 この図鑑を執筆したのが、牧野富太郎という人。
 下は、若いころの写真。
 結構イケメンです(氷川系?)。
若き日の牧野富太郎

 歳を取ると、相応の顔に。
壮年の牧野富太郎

 生まれは、文久2年(1862年)。
 江戸時代に生まれた人の図鑑が……。
 今も新刊で発売され、こうしてネットで買えるんです。
 いかに凄い図鑑かわかるでしょ。
 植物研究者にとっては、バイブルのような存在だとか。

 でも、この牧野のおっさん、人間的には、かなりクセのあった人のようです。
 生まれたのは、土佐国佐川村。
 現在の高知県高岡郡佐川町です。
高知県高岡郡佐川町

 裕福な酒屋に生まれました。
 幼いころは寺子屋(!)に学び……。
 明治に入ってから、小学校に入学します。
 が……。
 中退しました。

 つまり、この“牧野理学博士”の学歴は……。
 小学校中退なんです。
 中退した理由は、実に簡単。
 酒屋に生まれたので、学業で身を立てることは考えてなかった、とのこと。

 さて、学校を辞めて、家業に打ちこんだかというと……。
 そうではありませんでした。
 家業は、祖母と番頭にまかせ(両親は早くに亡くなってました)……。
 小さいころから好きだった植物採集や研究に熱中します。
 このへんのとこは、鈴木牧之と対照的ですね。

 “好きこそものの上手なれ”という言葉がありますが……。
 まさにそのとおりで、やがて研究対象は、欧米の植物学にまで拡がっていきます。
 ここまで来ると、専門書籍や、顕微鏡などの機材が必要になります。
 でも、地方では、なかなか手に入りません。

 19歳のときでした。
 ついに牧野青年は、お供2人を伴って上京します。
 お祖母ちゃんが甘かったんでしょうかね。
 小千谷縮を背負って江戸に出た牧之とは、かなり違います。

 22歳のころには、東京帝国大学(現東大)の植物学教室に出入りするようになります。
 25歳では、共同で『植物学雑誌』を創刊。
 26歳では、『日本植物志図扁』を自費刊行。
 27歳では、日本におけるムジナモ(水草)の新発見を報告し、世界的に名を知られるようになります。
 31歳で、東京帝国大学助手。

 しかし、研究や出版に家財をつぎ込んだため……。
 生家は、完全に没落。
 それでも懲りず、妻が始めた料亭の収益まで研究につぎ込みます。
 大学から借り出した資料を返却しなかったり、いろいろと問題も多かったようです。
 官僚的な研究者たちからは、ずいぶんと嫌われたとか……。
 でも、その情熱と業績は、何人も否定できるものではなく……。
 50歳で、東京帝国大学講師。
 65歳で、東大から理学博士の学位を授与されます。

 自ら命名した植物は、2,500種を越えると云われます。
 88歳で、日本学士院会員。
 89歳で、文化功労者。
 昭和32年、自らを“植物の精”と呼んだ人生は、94歳で幕を下ろします。
 死後、従三位に叙され、勲二等旭日重光章、文化勲章を授与されます。
 今では、「植物学の父」と敬われ……。
 誕生日の5月22日は、「植物学の日」に制定されてます。

 まさしく、“好きこそ物の上手なれ”で突っ走った人生。
 酒屋をひとつ潰してしまいましたが……。
 それと引き替えに、世界的な業績が残りました。
 彼が、もし真面目に酒屋の親父になってたら……。
 ……と考えると、背筋が寒くなります。
 彼の業績がすっぽり無くなってたら、日本の植物学はどうなってたんでしょうね。

 さて、その“植物の精”牧野富太郎を記念して作られたのが、高知県立牧野植物園です。
高知県立牧野植物園

 開園は、昭和33年(1958年)。
 高知市郊外、標高146メートルの五台山頂上に拡がってます。
 園地面積は、6ヘクタール。

 実はここ、本当は、もうちょっと後に来たかったんです。
 というのも、4月24日に、新温室がオープンするんですね。
牧野植物園 新温室

 今は、ほぼ完成した建物を、恨めしく見上げるのみです。
 ま、仕方ありません。

 さっそく、中に入りましょう。
 ここでも「MY遊バス」チケットが生きます。
 通常500円の入場料が、400円になります。
 絵金蔵では、500円が450円と、50円引きにしかなりませんでした。
 ところが、牧野植物園では、100円引きです。

 この違いは何かと云うと……。
 団体料金の違い。
 早い話、「MY遊バス」の割引は、一般料金が団体料金になるというものです。
 つまり、絵金蔵と牧野植物園では、一般の入場料は同じでも、団体料金に50円の差があるということ。

 この違いを考察するに……。
 絵金蔵は、そんなに多人数の団体は歓迎しないからじゃないでしょうか?
 大勢が順番に、蔵の穴なんか覗いてたら、大渋滞です。
 その点、植物園なら、いくら大勢来たって大丈夫です。
 修学旅行級の団体さんでも、オッケーです。
 1人入ろうが、20人入ろうが、受け入れる側からしたら、大した違いはない。
 それなら、1人で500円よりも、20人で8,000円の方が、施設としてはずっといいわけです。
 ということで、団体さんいらっしゃ~いという意味で、団体料金が安い!
 ということではないでしょうか?
 ちなみに、何人から「団体」のなのか、という定義ですが……。
 施設によって、まちまちのようです。
 絵金蔵は15人、牧野植物園では20人になってました。

 と、いらん考察をしてしまいましたが……。
 こんなこと考えてる場合じゃないんです。
 時間が、無い!

 植物園前で「MY遊バス」を降りたのが、14:59。
 帰りは、同じくここから、15:59発の「MY遊バス」に乗ります。
 これが最終便になるので、乗り遅れるわけにはいきません。
 もう、1時間切ってます。
 とても全部回りきれるものじゃありません。
 園内には、牧野博士の生涯や業績を紹介する「牧野富太郎記念館」などもありますが……。
牧野富太郎記念館

 残念ながら、見てる時間はありません。
 園地と温室だけ、急いで回りましょう。
 ゆっくりできる人は、園内に、カフェ&レストラン「アンブル」があります。
カフェ&レストラン「アンブル」

 自家製ケーキが人気だとか。
 天気が良ければ、テラス席もありますから、のんびり過ごせそうです。
「アンブル」テラス席

 あー、スケジュール間違ったかな。
 もっとここでゆっくりしたかったな。
 でも、組んじゃったものは、しょうがありません。
 わたしはこういうとき、臨機応変の対応が出来ないんです。
 予定が急に変わったりすると、頭がパニックになる。
 楽しむどころじゃなくなっちゃいます。
 ということで……。
 大急ぎで回りましょう。

「Mikikoさん、そんなに急いで歩かなくても……」
「時間がないの!
 スニーカーなんだから、歩けるでしょ」
「植物園なんて、急いで見て回るものじゃないと思います。
 見残したとこは、また来たときのお楽しみに取っておきましょうよ。
 まだまだ、何度でも来たらいいんですよ」
「そうか……。
 そうだね」

 わたしは、美弥ちゃんの言葉に足を緩めました。
 言うとおりですね。
 植物園なんて、血相変えて見て回るとこじゃありません。
 見残したら、また来ればいいなんて……。
 なんていいこと言ってくれるんでしょう。
 さすが、わたしの作った登場人物だけある。
 作者より、人間が出来とる。

 この牧野植物園は……。
 当然のごとく、植物園であり、庭園ではありません。
 なので、木々の植え方も、自然の風景に似せてあります。
牧野植物園 植え方

 わたしは実を言うと、いわゆる日本庭園は、あまり好きではないんです。
 形のいい松があって、刈り込まれたツツジが連なって、という庭には、正直言って惹かれません。
日本庭園

 それより、ビオトープ風な自然の庭がずっといい。
 イングリッシュガーデンという言葉、聞いたことありませんか?
 自然風な植え込みを主とした庭です。
イングリッシュガーデン

 この牧野植物園は、植物園であって庭ではないので、究極の自然風ガーデンと云えるかも知れません。

 年を取ったら、こんな庭の中で、1日中ベンチに座っていたいですね。
イングリッシュガーデン ベンチ

 さて、時間のようです。
 もちろん、全部は回り切れませんでした。
 でも、それだけ楽しみが残ったってことですよね。
 急いで全部回ったとして、わたしの胸に何が残ったでしょう。
 むしろ、見残したことで、牧野植物園はずっとわたしの胸に留まり続けると思います。
 よし。
 いつかかならず、もう一度高知に来る!
 今度は、絶対に夏。
 モネの庭と牧野植物園で丸一日つぶし、それだけで帰ってもいいじゃない。
 人生に楽しみが増えた感じです。
 頑張るぞ。

 さて、牧野植物園前から、15:59発のバスに乗ります。
 時間のある方は、植物園の隣に「竹林寺」という名刹がありますので、寄ってみられたらいかがでしょうか。
 神亀元年(724年)、行基により開かれたお寺。
 四国霊場31番札所です。
 本堂は重文、再興された五重の塔も見事です。
竹林寺 五重塔

 牧野植物園前を出たバスは、一路、桂浜へ。
 16:21、到着です。
 桂浜までノンストップなので、あっという間でした。

 今日のお宿は、ここ桂浜に取ってあります。
 でも、まだ早いので……。
 「桂浜水族館」を覗いてみましょう。
 桂浜の真ん前にあります。
桂浜水族館

 ここでも、「MY遊バス」チケットが生きます。
 一般入場料1,100円のところ、団体料金の900円で入れます。

 ここでちょっと、「MY遊バス」の収支を計算してみましょう。
 絵金蔵で50円、牧野植物園で100円、桂浜水族館で200円。
 計、350円分割り引かれたわけ。
 チケットは900円でしたので、実質のバス料金は、550円。
 はたして、「高知駅→牧野植物園」+「牧野植物園→桂浜」のバス料金は、いくらなのかということですが……。
 たぶん、550円よりは、ちょっと高いかなという程度だと思います。
 でも、高知駅から、牧野植物園を経由して桂浜に向かう路線バスは無いので……。
 「MY遊バス」を使うしかなかったんですけどね。

 さて、桂浜水族館です。
 水族館の閉館時間は、17:30。
 1時間しかありません。
 これが、“アクアマリンふくしま”だったら、大慌てで見て回らにゃなりませんが……。
 桂浜水族館は、大丈夫。
 規模が小さいので。

 まずは、屋外プールを見て回りましょう。
 もうこの時間では、イルカやアシカのイベントタイムも終わってます。
 ペンギンちゃんがいました。
 淡雪さんを思い出し、パチリ。
桂浜水族館のペンギン

 屋外を一回りしたら、本館に入りましょう。
 中央の大水槽では、アカウミガメとアオウミガメが泳いでます(画像はアカウミガメ)。
桂浜水族館のアカウミガメ

 ここでは、このウミガメたちにエサをやることができます。
桂浜水族館のアカウミガメにエサやり

 わたしたちが水槽に近づいたとたん、カメが寄ってきました。
 異様に人なつこいカメです。
 それもそのはず、ここにいるアカウミガメは、近くの小学校で生まれたんですね。
 一緒に生まれた多くの仲間たちは……。
 桂浜から海に放されましたが……。
 5匹だけが、成長の様子を調べるため、水族館に預けられたのです。
 すなわち、ここにいるアカウミガメは、大海原を知らないというわけ。
 生まれてからずっと、人間からエサをもらってるので、こんなに人なつこいんですね。
 でも、幸運なカメたちですよね。
 ウミガメの生存率は、5,000分の1だとか。
 桂浜に放された多くの仲間たちは、ほとんど死んじゃったでしょう。

 ここにいるアカウミガメは、海を知らないわけですから、小さな水槽の中が全世界。
 広い世界を知らないので、ここが狭いということすら感じてないでしょう。
 このプールで、エサ食い放題で一生過ごせるなら……。
 わたしは、カメに生まれてもよかったと思います。
 長生きできそうですよね。

 あと、この水族館で見ておきたいのは、アカメという魚。
 西日本の太平洋岸だけに分布し、成魚は1メートルを超えます。
 その名のとおり、暗い場所では、目が赤く光ります。
アカメ

 怖そうですね。
 それもそのはず、肉食魚です。
 こんなのに睨まれた小魚は、それだけで失神しちゃうんじゃないでしょうか。
 でも、このアカメを、人間は唐揚げにして食べます。
アカメの唐揚げ

 さて、そろそろ閉館ですね。
 すぐ見終わると思ってたけど、結局小一時間見てしまいました。
 やっぱり、水族館は面白い。
 最後は、マリンストアで何か買おうと思いましたが……。
桂浜水族館 マリンストア

 荷物になりそうなぬいぐるみに心惹かれそうなので……。
 後ろ髪を引かれながら、外に出ます。

 桂浜水族館を出ると、春の日が暮れようとしてました。
 桂浜に出てみましょう。
桂浜

 桂浜は南に向いているので、残念ながら海に陽は落ちません。
桂浜の夕日

 でも、海面が、きらきらとオレンジ色に染まり、綺麗です。

 桂浜は、月の名所として有名。
桂浜にかかる月

 高知市出身の歌人、大町桂月の名は、ここから来てます。
 桂浜にある碑に刻まれた歌は……。

●見よや見よ みな月のみのかつら浜 海のおもよりいづる月かげ

 遠く高知まで来て、夕暮れの桂浜をさすらってるかと思うと……。
 胸がキュンとしてきます。
 美弥ちゃんの片頬に夕日が当たり、灯を点したようです。
 思わず、腕を組んじゃいました。
 もちろん、美弥ちゃんも拒みません。
 拒んだりしたら、何書かれるかわかりませんからね。
 拒まないのをいいことに、片腕に頬を当てて歩きます。

「Mikikoさん、ほら綺麗な石」

 わたしがひとりで盛り上がってるのに恐れをなしたのか、美弥ちゃんが気を逸らすような声を出します。
 でも確かに、その指さす先には、綺麗な石が。
桂浜の五色石

 桂浜は、五色の石でも有名。
 でも、最近はめっきり少なくなったそうです。

「ほんとだ」

 その少ない石が見つけられたのも、何かの運命でしょうか。
 拾った石を美弥ちゃんに見せると……。
桂浜の五色石

「水に濡れると、きっと綺麗ですよ。
 貸してください。
 波打ち際で洗ってきますから」
「ダメ!」
「どうして?」
「この桂浜は、1年を通して遊泳禁止なの。
 何でだか、わかる?」
「え、そうなんですか?
 こんなに綺麗な、砂浜なのに……。
 どうしてです?」
「波打ち際から、突然深くなってるの。
 崖みたいになってるんだって。
 潮の流れも速いらしいし」
「怖いですね」
「静かだと思って、波打ち際で遊んでると……。
 突然、大波が襲うこともあるみたい」
桂浜 遊泳禁止

「地元の人は怖さを知ってるから、誰も泳がないんだけど……。
 観光客の中には、遊泳禁止の札を無視して泳ぐやつがいてね。
 ときどき死ぬんだって。
 死体は潮に流されて、土佐市の宇佐漁港に流れ着くとか……。
 美弥が、ぶくぶくの溺死体になったら、わたしゃ由美に申し開きが立たない」
「そんな、オーバーな。
 波打ち際で、小石を洗うくらいなら大丈夫ですよ」
「ダメ!
 あの波のすぐ向こうが崖になってるかと思うと……。
 怖くて怖くて……。
 小説書きは、想像力が豊かなんだからね」
「そう言えば、Mikikoさん、泳げないんでしたっけ?」
「泳げる!
 足、着きながらだけど」
「それって……。
 泳げるとは言わないんじゃ……」
「いいの!
 だからわたしは……。
 足が着かないところでは、泳がない主義なの」
「主義……、ですか?」
「そうよ!
 だからこの小石は、宿に帰ってからコップに入れて、二人で眺めようね」
「そう言えば、お腹好きましたね。
 宿に入りますか?」
「なんだ、もうロマンチックシーンは、終わりなの?」
「最初から、そんなシーンありませんけど」
「月が出るまで、歩こうよ。
 そして、月の桂浜を……。
 2人して、全裸で走ろう!
 痛てっ。
 何よ、耳なんて引っ張って!
 痛いって!」
「そんなこと、されてたまりますか。
 桂浜は、もう終わり!」

 美弥ちゃんに引きずられるまま、宿へ。

 今日のお宿は、桂浜の真ん前にあります。
 その名も、「国民宿舎 桂浜荘」。
 「国民宿舎」ってのが、いい響きですね~。
 「紙上旅行倶楽部」、初の国民宿舎利用です。
 名称からは、なんとなくボロい昭和の建物が想像されますが……。
 とんでもありません。
 見よ、この偉容。
国民宿舎 桂浜荘

 立地もすごいです。
 浦戸城の跡。
 高知城が出来る前は、ここにお城があったんです。
 お城跡があった高台だけに、眺望は抜群。
桂浜荘の立地
画像真ん中上方、楕円形の建物が「国民宿舎 桂浜荘」

 もちろん、どの部屋からも海を見渡せます。
 当然、展望風呂もあります。
 これで料金が安かったら、さすが「国民宿舎」!
 日本国民で良かった、となるんですが……。
 値段も、それなりに豪華でした。
 もちろん、高級旅館なんかより、遙かに安いですけどね。
 ビジネスホテルの予算では、足が出ちゃいます。
 でも、料理代込みですからね。
 十分、納得できるお値段だと思います。
 ロケーションを考えたら……。
 民間旅館が建ってたら、値段は2倍になってると思います。

 さて、宿に着いたら、もう18時を回ってました。
 お風呂は後にして、荷物だけ置いたら、1F のレストラン「きてみいや」に下りましょう。
桂浜荘「きてみいや」

 なにしろ、ブランチを10時に摂っただけで……。
 絵金蔵から牧野植物園、桂浜水族館まで回って……。
 最後は、桂浜を散策。
 お腹ペコペコです。
 それにこのレストラン、20時までしかやってないんです。
 こういうとこは、いかにも「国民宿舎」ですね。
 宿泊料金は料理代こみなので、食べ損なったらタイヘンです。
 風呂なんか、のんびり入ってられん。

 レストラン「きてみいや」は、宿泊客じゃなくても利用できます。
 料理だけだといくらかというと……。

桂浜ご膳 2,625円
黒潮ご膳 3,675円
龍馬ご膳 4,725円
皿鉢料理 5,250円
いごっそう 6,000円

 わたしたちが予約したのは、「桂浜ご膳」と「龍馬ご膳」。
桂浜荘 料理

 5段階ある値段のうち、一番下と、真ん中です。
 ま、無難なとこでしょ。
 もちろん、美弥ちゃんに、一番安いのを食べさせるわけじゃありませんよ。
 分けあって食べます。

 高知といえば、「皿鉢(さわち)料理」が有名です。
 鰹のタタキなんかが、1皿に豪快に盛りつけられた料理です。
桂浜荘 皿鉢(さわち)料理

 写真を見ても想像できますが……。
 国民宿舎でこの値段だったら、スゴい量の料理が出てくるんじゃないでしょうか?
 たぶん、健啖な男性客を満足させる量なのでは?
 なので、高い料理を余しちゃうともったいないので……。
 安い方を選んだんです(ケチだからではない!)。

 特に、皿鉢料理は……。
 たぶん、刺身類満載の気がしましたので、避けました。
 高知に来て、皿鉢料理を食べないのは、申し訳ないのですが……。
 わたしは、生魚がダメなんです。
 タタキなら食べられると思うんですけど……。
 まぁ、皿鉢料理は生魚だけじゃなく、焼き魚や揚げ物もついてるようですが……。
 といっても、もちろんメインは、お刺身系でしょう。
 お刺身を、2人前美弥ちゃんに食べさしたら……。
 美弥ちゃんが生臭くなっちゃいます。
 てことで、「皿鉢料理」はパス。
 「黒潮ご膳」も、何となく魚メイン風の名称なのでパス。
 というわけで、「桂浜ご膳」と「龍馬ご膳」にしたというわけです。

 さぁ、料理が運ばれてきました。
桂浜荘・料理

 おぉ、やっぱりスゴい豪華です(想像)。
 さっそく、ビールで乾杯。

「うめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
「ヤギみたい」

 ブランチだけの空きっ腹に、生ビールが強烈に染みます。

「美弥ちゃん、このお刺身あげる」
「Mikikoさん、食べないんですか?
 美味しいのに」
「美味しいものは、美弥ちゃんに食べさせたいの。
 そのかわり、そのお肉ちょうだい」
桂浜荘・料理の肉

「あっ」
「なに、その恨めしそうな顔?」
 2切れも取った……。
 3切れしか無かったのに」
「案外、セコいこと言うね」
「うちの母は、太りやすい体質だったから……。
 夕食は質素だったんです。
 こんなお肉、出てきたことない」
「なるほど。
 ロシア系だからね。
 でもそれで、よくそんなに育ったよな。
 好きなだけ食ってたら、2メートルくらいになってたんじゃないか?
 ママに感謝しなきゃな。
 ほら、鰹のタタキもあげるから」
「お肉が欲しかった……」
「そんなに食べたかったんなら……。
 吐き戻してやろうか?」
「いりません!」

 ふふ。
 美弥ちゃんってば、案外幼児性が残ってて、可愛い♪

 さて、ぺちゃんこだったお腹も、いつしか妊婦のように膨らみました。
 料理を堪能したら、お部屋に戻りましょう。
 取ったお部屋は、和室です。
桂浜荘・和室

 もちろん、洋室もありますよ(ツインだけみたいだけど)。
桂浜荘・洋室

 でも、国民宿舎ときたら、やっぱり和室でしょ。
 しかも、この和室、部屋風呂付きです。
 わざわざこんなことを断るのは……。
 つまり、一般的な和室や洋室は、部屋にお風呂が付いてないんです。
 ま、展望風呂があるんだから、普通は部屋風呂なんか使いませんよね。
 部屋に風呂なんか付けない作りの方が、合理的でしょう。

 さて、この風呂付き和室の値段ですが……。
 夕食を別にして、朝食だけ込みの値段を算出すると……。
 2人で16,170円です。
 部屋風呂無しだと、2人で13,650円。
 ビジネスホテルよりは、ちょっとだけ高いですけど……。
 まぁ、納得できるお値段でしょうかね。
 あ、言っておきますけど……。
 部屋風呂ったって、高級旅館の部屋付き露天風呂を想像したらダメですよ。
 ごくフツーの、ユニットバスのお風呂です(と思う)。
 なぜ、わざわざ風呂付きのお部屋にしたからというと……。
 美弥ちゃんを思ってのことです。
 美弥ちゃんが展望風呂に現れたら……。
 ミロのヴィーナス、桂浜に光臨、みたくなっちゃうでしょうからね。
 視線を集めること、確実です。
 それじゃ、可哀想だよね。
 それにもし……。
 お風呂でクリが大きくなったりしたら……(しないか?)。
 ニューハーフに間違われて、通報される恐れもあります。
 福島では、パイパンの由美ちゃんもお風呂に入れなかったし……。
 主人公2人とも、堂々と共同浴場に入れない体にしちゃって……。
 ごめんね……。
 でも、一応本人に確かめてみましょう。
 案外、平気なのかも知れないし。

「美弥、お風呂どうする?
 展望風呂、行ってみる?」
「わたしは、お部屋のでいいです。
 Mikikoさん、ひとりで行ってください」
「そんならわたしも、部屋風呂にする」
「せっかく広いお風呂があるのに、もったいないですよ」
「いいの!
 ここで入る」
「なら、Mikikoさん、先に使ってください」
「一緒に入ろうよ~」
「え”。
 でも、狭そうですよ」
「大丈夫だよ。
 時間もったいないから、2人で入っちゃおう」

 ふふ。
 狭いからいいんでないの。
 密着できて。
 計画通りだぜ。
 展望風呂に一緒に行くなんて言われたら、どうしようかと思った。
 あんな、AV女優も裸で逃げ出すようなのと一緒にいたら……。
 わたしの体が、一層貧弱に見えてしまうではないか。

「お湯出して来るね」

 美弥ちゃんに返事の暇を与えず、お風呂に向かいます。
 期待感から、コックを回す指が震えますね。
お風呂のコック

 美弥ちゃんと……。
 この狭い空間に、2人して全裸で籠もるんですよ。
 考えただけで、下腹が痛くなります。
 うんこ漏れそう……。

 さ、お迎えにいきましょう。

「美弥ちゃん、お湯、もうすぐ一杯になるよ。
 ん?
 誰にメールしてんの?
 由美?」
「ええ。
 やっぱり気が咎めちゃって。
 嘘ついて来たから」
「もう来ちゃったものは、しょうがないじゃない。
 それよか、早く、お風呂入ろうよぉ」
「そうですね。
 由美ちゃんには、許してもらいましょう。
 『おやすみ』、送信……、っと。
 じゃ、入りましょうか。
 ちょっと!
 Mikikoさん!
 もう裸になってるんですか?」
「いけずぅ。
 なかなか気づいてくれないんだから。
 用意いいでしょ。
 お風呂場で脱いでから呼びに来たんだよ」
「なんか悪い予感」
「気のせいよ。
 早く入ろぅって」
「Mikikoさん、お腹ぽっこり出てますよ。
 カエルさんみたい」
「仕方ないだろ。
 食べたばっかりなんだから」
「たしなみ無く食べましたからねぇ」
「人のこと言えんのかよ。
 美弥だって、わたしのお刺身まで完食したじゃん」
「やっぱり、高知のお魚は美味しいもの。
 高知に来て生魚食べられないなんて、ほんともったいないなぁ」
「ま、その分美弥が食べてくれたから、わたしとしては大満足だよ。
 お膳下げにきた仲居さん、嬉しそうだったじゃない。
 お皿が全部空で」
「そうでしたね」
「ちょっと……。
 ひとりだけ全裸でこんなこと話してると、すごいヘンなんだけど。
 早く、入ろうってば。
 寒くなってきた」
「はいはい」

 ようやく素直になってくれました。
 脱衣所に、手を引いて導きます。
 わくわく。

「Mikikoさん……。
 そんなにマジマジ見られてたら、脱ぎにくいですよ」
「気にしないで」
「わたしが、気になるんです!
 後ろ向いてて」
「ええい、この後に及んで、まだそんな小娘みたいなことを!
 わたしが脱がしてやる!」
「ちょっと、止めてください!」
「観念せい!」
「やめてって。
 もう怒った」
「いてててててて。
 う、腕が折れるぅ」
「言っておきますけど、わたし力強いんですよ。
 由美ちゃんのこと、毎晩お姫様だっこして鍛えてますからね」
「放して!」
「ダメです。
 ちょっと、お仕置きします」
「な、何する気?」
「お尻、ペンペンします」
「そ、そんな嬉しい……。
 い、いや、痛そうなこと、止めてちょーだい」
「こっち来て」
「ちょっと。
 服来たまんま、お風呂入るの?」
「お仕置きする側が、裸になってたら変でしょ?」
「ぜんぜんヘンじゃないと思う」
「変です。
 じゃ、わたしが浴椅子に座りますから……。
 Mikikoさんは、わたしの膝の上に……。
 って、もううつ伏せてるんですか。
 早や」
「準備できました」
「調子狂うな」
「続けてください」
「何か、ヘンだけど……。
 それじゃ、いきますよ」

 ペシ。

「何それ?
 気合いが入っとらん!」
「叩かれてる側の言うセリフですか。
 じゃあ、今度こそ、手加減無し」

 パチ。

「う。
 ちょっとだけキタけど……。
 まだまだ甘いな。
 よし、拍車をかけてやるか。
 こっから、手を突っこんで。
 なんだ、この椅子、スケベ椅子じゃないのか」
スケベ椅子

「何です、それ?」
「まぁいぃ。
 パンツの上からだけど……。
 陰核攻撃!
 グリグリグリグリグリグリグリグリ」
「ぎやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。
 よくもやったわね。
 もう許さない!」

 バシッ、バシッ、バシバシバシバシバシバシバシバシ。

「あんぎゃ、あんぎゃ、あんぎゃぁ~。
 あひあひあひあひあひあひあひあひぃぃぃぃぃぃぃぃ」
「あ、おしっこ漏らした。
 なんて子なの」
「大きいのも、漏れそう……」
「そんなことされて、堪るもんですか!
 フタしてやる」

 刹那、肛門に美弥の指が……。

「ぴぎ」

 目の前で、火花が散りました。
 美弥ちゃんの膝の上で、一直線に硬直します。

『おのれ……。
 2本も入れおって……』

 わたしの意識は、春霞のように霧散したのでした。

~つづく~
高知に行こう!(1)目次高知に行こう!(3)




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