2012.3.3(土)
「飲み過ぎないでくださいね」
「わかってる」
と言いながら、わかってませんでした……。
生ビールが美味しかったせいもあるけど……。
やっぱり、朝早くから飯盛山まで歩いたせいか……。
疲れが出たのでしょう。
2時間も飲んだら、ほぼ酩酊状態。
由美に抱えられるようにして、ホテルに戻ったことは覚えてるんですが……。
そのままベッドにぶっ倒れたらしいです。
せっかくこの日は、「仲良しカップルプラン」という、せまーいセミダブルベッドのコースを選んだのに……。
夜中に目が覚めると……。
ベッドの向こう側で、由美ちゃんがスヤスヤ眠ってます。
ほんとに、お人形が眠ってるみたいですね。
むらむらしてきました。
そーっと布団をめくります。
浴衣の裾がはだけ、棒のようにまっすぐな脚が伸びてます。
辛抱、たまりません。
そーっと、パンツ下ろしちゃいましょう。
おぉ!
パイパンご開帳。
ロリコン男なら、見ただけで射精しちゃいそうですね。
ふふふ。
ここで、閃きました。
バッグから、あるものを取り出します。
あるものを、ある場所にセット。
ふっふっふ。
「由美!
由美ちゃん、起きて!
「うーん……」
「タイヘンだよ」
寝ぼけたまま寝返りを打とうとする由美を、抱き起こします。
「ほら、タイヘン。
由美ちゃんに、おちんちんが生えちゃった」
「……」
由美のほっぺたを挟んで、股間を見せます。
寝ぼけ眼で、呆然とお股を見ていた由美ちゃんですが……。
「い、いゃぁぁぁ」
魂消るような悲鳴を上げて、跳ね起きました。
「わっはっは。
似合う、似合う」
由美ちゃんのつるつる恥丘には……。
とぼけた顔のチンアナゴくんが、しっかりと吸盤でくっついてました。
◆11月2日(月曜日)【3日目】
頭が痛い……。
二日酔いもありますが……。
ゆうべ由美に、枕でコテンコテンに叩かれたせいでしょう。
「まだ怒ってんの?」
「あたりまえでしょ!」
「罪のないイタズラなのに……」
「センスがヒドすぎです!」
ゆうべは結局、お風呂入りそびれちゃいました。
朝風呂で髪まで洗います。
今日も8時半前に出たいので、速攻で朝食。
朝食はホテル自慢のバイキング。
チェックアウトを済ませ、表に出ると……。
昨日までと打って変わって、今日はちょっと肌寒い。
いわき駅まで歩きます。
8:43発の磐越東線に乗車。
郡山着、10:16。
磐越西線に乗り換えます。
郡山発、10:46。
こんなとこで30分も待つのは業腹ですが……。
仕方ありません。
猪苗代着、11:19です。
猪苗代駅からはバス。
磐梯東都バスが待ってます。
11:25発です。
目的地は裏磐梯。
行ってみたい施設があるんです。
五色沼入口で下車。
11:49です。
その施設は、もう少し先なんですが……。
もうお昼ですからね。
先に腹ごしらえしましょう。
バス停近くに……。
「リストランテ・イルレガーロ」さんがあります。
店内も、明るくて素敵ですね。
パスタランチをいただきます。
食べてる途中から、どんどん店内が混んできました。
12時前に入って正解でした。
紅葉時期の裏磐梯ですからね。
さっさと食べましょう。
わたしは、女同士で昼食を摂るのがあまり好きじゃありません。
今はお昼食べないから、滅多にそんな機会は無いんですが……。
なにが嫌いかって……。
尻が重い!
わたしは、とっとと食べて、とっとと出たいんです。
食べるのも早くて……。
必ず真っ先に食べ終わります。
わたしがコーヒー飲み終えそうなのに、まだ食ってるやつがいる。
もう、イライラしてね。
口の中に、飯突っ込みたくなる。
食べ終わったあとも、いつまでもペチャペチャしゃべってて……。
一向に尻を上げようとしません。
入口に席の空くのを待ってる人がいようが……。
おかまい無しです。
わたしはどーも、オンナのこういう神経には我慢できません。
混んでる店では、黙々と食べて、さっさと出る。
これが人の道だと思うんですが……。
こう考える女性は、残念ながら少ないようです。
わたしたちより遅く座ったサラリーマン連れが、わたしたちより早く腰を上げるのを見て……。
マジでうらやましかったです。
昼飯だけはオトコと食べたいと、心から思います。
とにかく、女と昼飯摂るとイラつくことが多いので……。
いつしか、女同士のランチは敬遠するようになっちゃいました。
さて、さすがわたしの造形した由美ちゃんは……。
席が混み合って来たのを見ると、無駄なおしゃべりもせずに食べ終えてくれました。
表に出ると、12:45分。
「Mikikoさん……。
また、バス停前通り過ぎた……。
イヤな予感がするんですけど」
「大丈夫。
今日は、徒歩15分だよ」
時間があれば……。
この近くには、五色沼自然探勝路ってのがあるんです。
距離も、1時間ちょっとと手頃だし。
探勝路を抜けたところが、物産館のあるバス停というアクセスの良さ。
みなさんには、ぜひお勧めします。
でも、今日はパス。
時間も無いし、11月になると、やっぱりちょっと寒いよね。
てことで、2人はバス道路をテクテクと歩きます。
高原ドライブを楽しむクルマが、けっこう通りますね。
昼食に降りた「五色沼入口」から、2停留所目。
目指す施設が見えてきました。
わたしが見たかったのは……。
「磐梯山噴火記念館」。
そして、その向かいにある……。
「磐梯山3Dワールド」。
以前のコメントで、浅間山の噴火で埋まった鎌原村のお話を書きました。
その後、ヤマタノオロチは溶岩流の象徴ではなかったかというコメントも書きました。
そうです。
わたしは、火山フリークなんですね。
それでは簡単に、磐梯山のプロフィールをご紹介します。
標高は、1,819メートル。
日本百名山の1つです。
安山岩で出来た成層火山。
磐梯山の昔の読み方は、“いわはしやま”。
「梯(はし)」は、ハシゴのことです。
すなわち、磐梯山とは、天に掛かる岩のハシゴという意味なんですね。
おそらく昔は、富士山のような優美な姿をしていたことでしょう。
現在、南側から見た磐梯山が、その姿をとどめてます。
磐梯山の噴火活動が始まったのは、90万年前のこと。
これまでに、5,6回、規模の大きな噴火を起こしてます。
日本で4番目の面積を持つ猪苗代湖が出来たのは、8万年前。
磐梯山から流れ下った火砕流により、川がせき止められたんです。
歴史時代以降では、2度噴火してます。
最初の噴火は、西暦806年。
最澄や空海が、唐に渡ったころですね。
このときの噴火では、50あまりの集落が埋没したとか。
2度目の噴火は、1888年のこと。
今から121年前、明治21年です。
2つの噴火の間には、1,000年の空隙があります。
わたしたちが生きてるうちに、3度目の噴火を見ることはまず無いでしょう。
さて、1888年の7月15日。
この日、朝7時ごろから鳴動が始まりました。
7時半からは、強い地震が断続的に起こります。
そして、7時45分。
ひときわ強い揺れと共に、大音響を伴う噴火が始まりました。
水蒸気爆発です。
山体の帯水層にマグマが貫入すると……。
水は一瞬にして気化し、水蒸気が大量に発生します。
密閉空間の中で内圧が急激に増し、密閉壁が破砕されるわけです。
この水蒸気爆発を伴う噴火が、20回ほど続いたそうです。
爆発音は100キロ先まで聞こえたとか。
そして、最後の1発。
これは、「北に向かって抜けた」と云われてます。
山体の北半分が、吹き飛んだんです。
標高が、165メートル低くなったそうです。
南側から見た磐梯山は「表磐梯」と云われ……。
会津富士と呼ばれる優美な姿を見せています。
それに対し、北側から見た磐梯山は「裏磐梯」と云われ……。
山体崩壊により大きく山肌が欠損した、生々しい姿を見せています。
この欠損部分が、すべて岩屑なだれとなって麓の集落を襲ったのです。
11の集落が埋まり、477人が亡くなりました。
この岩屑なだれが、長瀬川上流の支川を堰き止め……。
檜原湖、小野川湖、秋元湖、五色沼などの湖沼が形成されたわけです(左が噴火前、右が噴火後)。
それでは、「磐梯山噴火記念館」に入ってみましょう。
1988年、磐梯山の噴火100年を記念して開館した施設です。
入口のタイムトンネルを潜ると……。
そこは、1888年の7月15日。
そう、あの大爆発の日です。
大画面と模型、それに床下のボディソニックで、噴火の様子が疑似体験できます。
そのほか、興味深かったのは……。
湖に沈んだ村のお話のコーナー。
今でも湖の水位が下がると、高台にあった神社の鳥居が現れます(写真は檜原湖)。
噴火以外の展示物もあります。
「五色沼の一日」というコーナーでは……。
磐梯山周辺に棲息する動植物を、うさぎのミーちゃんが紹介してくださいます。
この辺りは、日本三大野鳥生息地域と云われてるんです。
さて、最後に……。
ちょっと寒いけど、展望塔に出てみましょう。
天気がいいと、真南に磐梯山、北東に吾妻山、東に安達太良山がみえます。
今日はガスがかかってて、ダメみたいですね。
続いて、道路の反対側にある「磐梯山3Dワールド」に移動。
ソニーが開発した、世界初360度立体映像の常設館です。
上映開始は、毎時0分と30分からなので、タイミングを計って入りましょう。
円筒型のスクリーンは、高さ4.5メートル、周長42メートル。
超大画面に繰り広げられる立体映像の世界。
ここに、1888年の噴火の様子が再現されます。
3Dメガネをかけると、上映が始まりました。
噴火を予知して逃げまどう動物たち。
宙に舞う巨石。
麓の村を襲う火砕流。
360度の映像とサウンドが、噴火をまるで目の前の出来事のように見せてくれます。
飛んでくる巨石を避けようとして、体がビクビク反応しちゃいます。
上映時間は20分。
あっという間でした。
もう1度見たいくらいだけど……。
残念ながら、時間がありません。
でも、由美ちゃんありがとう。
夢中で見て回るわたしに、黙って付き合ってくれました。
こういう施設って、興味のない人はぜんぜん無いだろうから……。
団体行動のときは、存分には見れないと思う。
今日は由美ちゃんのおかげで、丸2時間堪能することができました。
さて、15時をまわったので外に出ましょう。
やっぱり今日は肌寒い。
トレッキングは無理な日だったな。
磐梯山にはガスがかかり、山体崩壊による巨大なカルデラは隠れてます。
雲の中に……。
かつて、“いわはしやま”と呼ばれた優美な姿を想像してみましょう。
あと、わたしが磐梯山を好きなのは……。
この歌の囃子ことばの……。
朝寝、朝酒、朝湯が大好きで♪ってやつね。
この小原庄助さんは、我が理想です。
身上つぶしたって、いいじゃんね。
でも、この程度の道楽でつぶれる身上ってのは……。
大したもんじゃないよなぁ。
なお、この小原庄助という人物……。
いったいどこの誰なのか、よくわからないみたいです。
ますます魅力的ですね。
さて、バスが来ました。
磐梯山噴火記念館前、15:18発。
再び猪苗代駅に戻ります。
旅行もそろそろ終わりですね。
夕暮れの近づく裏磐梯、寂しさが募ります。
車中の2人は、これまでの旅程を噛み締めるように窓の外を見つめます。
猪苗代駅着、15:47。
猪苗代から磐越西線に乗りこみます。
16:22発、「快速あいづライナー3号」。
この列車、よく見てください。
何かに似てませんか?
そう、会津の民芸玩具「赤べこ」ちゃんですね。
会津若松着、16:50。
「急げ!
乗り換えだ。
3分しかない」
「またですか!
って、ちょっと、Mikikoさん!
磐越西線で帰るんじゃないんですか?」
「会津線に乗る」
「またぁ?」
「旅はまだ終わってないぞ」
会津若松発、16:53。
「下りるぞ!」
「もう?
2分しか乗ってないんですけど……。
バスみたい」
となり駅の七日町着、16:55。
「飯盛山で、会津みやげ買いそびれただろ。
最後にお買い物しよう」
駅前の七日町通りは、藩政時代から栄えた通り。
「七」の付く日に市が立ったことから、七日町と呼ばれました。
読みは、「なぬかまち」。
昭和30年ごろまでは、会津随一の賑わいを見せてたとか。
現在も大正浪漫風のお店が軒を連ね、観光名所になってます。
まずは、駅から徒歩2分。
会津絵ろうそくの「ほしばん絵ろうそく店」さんへ。
会津絵ろうそくの歴史は古いです。
今から500年ほど前の宝徳年間に遡ります。
時の領主・芦名盛信が、漆の栽培を奨励したことに始まったといわれてます。
漆の樹液からは、会津漆器が生まれました。
同時に、漆の実から採れた最上質の蝋を使って、ろうそくが作られるようになったのです。
その後、天正年間(1590年ころ)、豊臣秀吉に怖れられた蒲生氏郷が、都を遠く離れた会津に追いやられて来ます。
氏郷が近江から呼び寄せたろうそく職人により、会津ろうそくの品質は更に向上しました。
ちなみに氏郷は、故郷の“近江の若松”にちなんで、ここの地名を“会津の若松”と改めたんですね。
七日町には、「レオ氏郷南蛮館」という資料館もあります。
“レオ”は、氏郷の洗礼名だそうです。
さて、さらに江戸時代に入ると、藩主松平氏が藩の財源として会津ろうそくを活用しました。
結果、会津ろうそくは日本中に行き渡り、その品質の高さが広く知られるようになりました。
このころ、ろうそくに絵を付けることが考案されたそうです。
会津絵ろうそくは、大名や神社仏閣などの御用達となりました。
また庶民の間でも、婚礼などのハレの場で使われるようになります。
婚礼の席で灯される一対の絵ろうそく。
これが、「華燭の典」の語源になったと云われてます。
キャンドルサービスの起源は会津絵ろうそくにあった!、と言ってもいいんじゃないでしょうか?
今売られてる絵ろうそくも、江戸時代と変わらぬ製法で手作りされてます。
柔らかく温かな暖色の炎は、見る者をうっとりとさせます。
菊や牡丹などをあしらった絵柄は、もちろん今でも手描き。
伝統の技が受け継がれてるんですね。
「ほしばん絵ろうそく店」さんは、今のご主人が9代目だとか。
予約すれば、絵付けの体験も出来ます。
ですが今日は、残念ながら時間がありません。
絵ろうそくを一対買って、お店を出ましょう。
ここから2軒、駅の方に戻ると……。
会津木綿の小物を扱う「もめん絲」さんがあります。
会津木綿は、色は地味で素朴ですが、美しい地縞が特徴です。
厚地で大夫なうえ、肌触りが良く、保温性、吸湿性に優れてます。
なので、日常着や野良着として使われてきました。
近年は、着物地としてばかりでなく……。
洋服、エプロン、テーブルクロス、座布団、コースターなどのほか、ハンドバッグや財布、袋物などの民芸品としても利用されています。
会津木綿の歴史も古いです。
寛永4年(1627年)、会津に国替えとなった加藤嘉明が、前領地の伊予松山から織師を招いたのが起源と伝えられてます。
その後、寛永20年(1643年)に会津藩主となった保科正之が、綿花の栽培を奨励し、定着させました。
当時、機織りは、藩士の妻女の内職としても行われてたようです。
会津木綿の生産は、明治末期から大正期に最盛期を迎えます。
しかし、昭和30年代半ば以降、農家の仕事着としての需要が急速に減少。
かつて30軒以上あった機織り場は、現在2軒を残すのみとなりました。
でも、会津木綿の素朴さ、丈夫さを愛する人は今も絶えず、民芸織物として親しまれています。
「もめん絲」さんには、反物や衣類などの定番品もありますが……。
ポプリを詰めたネコやフクロウの置物もあります(下の写真は「'10・るるぶ福島」より)。
余裕があれば、「会津ブランド館」なんかも寄りたいです。
会津漆器や会津味噌など、会津の特産品が置いてあります。
もちろん、地酒もあります。
地酒は、ショットバー「彩」で試飲(有料)してから購入できます。
聞いただけでヨダレが出そうですが……。
この日は残念ながら、時間的にムリ。
さっさと、七日町駅まで戻りましょう。
さて、この「七日町」駅自体が、土産物店なんですね。
「駅Cafe.」というアンテナショップが入ってるんです。
その名のとおり、カフェもあります。
地酒の仕込み水で入れた水出しコーヒーや、地場産フルーツジュースが楽しめます。
シフォンケーキは、評判。
さてもう、17:22分発の会津若松行きが来ました。
着いたのが16:55ですから……。
27分しかありませんでした。
実際には、「ほしばん絵ろうそく店」さんと「もめん絲」さんを覗くだけでやっとでしょう。
会津若松着、17:25。
新潟への帰りは、高速バスです。
会津若松駅前のバスターミナルから、17:45発の便に乗りましょう。
「ばんえつ物語」号で、3時間48分かかった行程ですが……。
高速バスだと、1時間51分。
会津バスと新潟交通のバスが、交互に出てます。
わたしたちが乗った便は、われらが新潟交通。
もう、真っ暗で外が見えないですから……。
互いにもたれて、夢を見ながら帰ります。
新潟駅前着、19:36。
とうとう、終わっちゃいましたね。
しんしんと寂しさが募ります。
「このまま、東京帰る?」
由美ちゃんが、恨めしそうな上目で見つめてきます。
やっぱり、由美ちゃんも寂しいんですよね。
「よし、もう1泊しよう!
わたしにとっては地元だけど……。
由美ちゃんにとっては、まだ旅の途中だよね。
お休みは、明日もう1日ある!
ね?」
「うん!」
「よし!
それじゃ、飲みに行くぞー!」
「なに食べさせてくれるんです?」
「これからの季節、新潟は魚だ。
南蛮エビにノドグロ、お腹いっぱい食べさせてあげる」
「やったぁ!」
「ただし、割り勘ね」
「え~~」
~おしまい~
さてさて、ようやく大団円となった「福島に行こう!」ですが……。
連載が始まったのは、10月25日でした。
きのうの最終回が、11月29日。
途中、「アリウムを植えました」が挟まったとは言え、丸々1ヶ月も続いたことになります。
この旅、たったの2泊3日だったんですよ。
もちろん書き始めたころは、こんな大長編になるとは思ってもいませんでした。
設定した旅行の最終日、11月2日前後には終われるかなと……。
それが、とんでもない大誤算。
こんなことになったのは……。
やっぱり、旅の相棒に由美ちゃんを選んだからでしょうね。
「とりめし」を買うあたりから、会話が弾んじゃって止められなくなったんです。
「紙上旅行倶楽部」、1ヶ月に1回くらいのペースを考えてたんですが……。
そんなことしたら、コメント全部「紙上旅行倶楽部」になっちゃいます。
なので、次回の旅行は、年が明けてからになりそうです。
さて!
それではお楽しみ、旅費精算を行います。
計算は、10月31日に新潟駅を出発してから、11月2日に新潟駅前に降り立つまで。
2人分の金額を算出してみます。
◆10月31日(土曜日)【1日目】コメント308~321
磐越西線「SLばんえつ物語」号に乗車。
この列車は会津若松止まりですが……。
会津若松でわたしたちは、会津鉄道の会津線に乗り継ぎます。
この会津線の起点ですが、実は会津若松から2駅目の西若松なんです。
西若松までは、JRの只見線なんですね(西若松の先で、只見線と会津線に分岐します)。
したがって、新潟からの乗車券は、西若松まで買います。
2,210円です。
これ、会津若松までと同じ料金なんです。
指定席料金が、510円。
「SLばんえつ物語」号は快速扱いなので、特急券も急行券もいりません。
合計で、2,720円。
SLに4時間近く乗ってこの料金です。
ぜったい安いよね。
2人で、5,440円。
途中、日出谷駅で大立ち回りを演じ、「とりめし」をゲット。
700円。
2人で、1,400円。
続いて会津鉄道のトロッコ列車。
乗車券は、西若松から湯野上温泉まで。
820円です。
会津若松から買うと、西若松までのJR料金が加算されて、1,000円になります。
つまり、新潟からのJR乗車券を西若松まで買っておけば、180円安く上げられるわけ。
たった180円の違いですけど、こういう節約は、いかにも「ツウ」って感じで気分がいいです。
でも……。
どこで会津線の切符買うんだろ?
西若松には降りないんだけど……。
湯野上温泉で、乗り越し精算するのかな?
まぁ、いいや。
これプラス、トロッコ整理券が300円。
合計、1,120円。
2人で2,240円。
湯野上温泉駅から大内宿まではタクシー。
ご都合主義でそんなに混まない設定にしたので、2,000円くらい。
渋滞にはまったら、いくらかかるかわかりません。
往復で、4,000円。
大内宿では、「大内宿町並み展示館」に立ち寄りました。
入館料、250円。
2人で500円。
本家叶屋さんで買ったお土産は、例によって旅費に含めません。
湯野上温泉から会津若松まで、電車で戻ります。
今度は2駅分のJR料金が加算されますから、1,000円ですね。
2人で2,000円。
会津若松駅前から東山温泉駅まで、会津バスに乗車。
260円。
2人で520円。
東山温泉でのお宿は、「東山パークホテル新風月」。
「アルコール飲み放題付バイキングプラン、1泊2食付・大人お一人様7,800円コース」を選択。
2人で、15,600円。
この日の合計、27,700円。
2人分で、新潟からの交通費込みですよ。
安い!
松江で泊まった「皆美館」なんか、宿泊料だけで1人34,800円でしたからね。
◆11月1日(日曜日)【2日目】コメント322~327
朝食のバイキングは、宿泊料に込みです。
会津武家屋敷までは、徒歩だからタダ。
武家屋敷の入館料が、850円(けっこう取るね)。
2人で、1,700円。
飯盛山までは、またしても徒歩。
さざえ堂の拝観料が、400円(妥当か)。
2人で、800円。
由美がおイタをしたので、お土産は買いませんでした。
飯盛山から会津若松駅まで、会津バスに乗車。
260円。
2人で、520円。
会津若松駅構内の「一會庵」で昼食。
ざるそば730円、天ざる1,100円。
サッポロビール中瓶1本、500円。
合計で、2,330円。
会津若松からJRに乗車。
郡山、いわきを経て、泉まで。
乗車券、2,940円。
すべて普通列車なので、料金はこれだけです。
2人で、5,880円。
泉駅前から、アクアマリンふくしままでタクシー。
15分くらいでしょう。
2,000円。
アクアマリンふくしまの入館料が、1,600円。
2人で、3,200円。
吸盤チンアナゴは、旅費から除外ね(いくらくらいするんだろ?)。
帰りは、常磐交通バスを利用。
福島銀行小名浜支店前から泉駅まで。
270円。
2人で、540円。
泉からいわきまで、JRの普通列車に乗車。
230円。
2人で、460円。
この日は、「いわきワシントンホテル椿山荘」に宿泊。
「仲良しカップルプラン」を利用。
朝食付きで、“2人”で8,000円(安い!)。
夕食はホテルを出て、「隠れ庵 忍家 いわき駅前店」にて。
ぐるなびによると、平均予算は1人3,500円になってます。
わたしが前後不覚になるほど飲んじゃったから、1人4,000円かな。
2人で8,000円。
ホテル代と同じじゃないか!
この日の合計、33,430円。
夜の居酒屋が、ちょっと痛かったですね。
◆11月2日(月曜日)【3日目】コメント328~332
朝食は、ホテル代に含まれてます。
いわき駅からJRに乗車。
郡山を経由して猪苗代まで。
2,210円。
2人で、4,420円。
郡山から猪苗代の区間は、「快速あいづライナー1号」になります。
この列車、指定席もあります。
指定席に乗れば、もちろん指定料金が必要ですが……。
当然わたしたちは自由席に乗ったので、乗車券だけです。
猪苗代駅前から五色沼入口まで、磐梯東都バスに乗車。
750円。
2人で、1,500円。
「リストランテ・イルレガーロ」で昼食。
パスタランチは、1,580円。
もちろんドリンクはセットで、グラスワインも選べます。
2人で、3,160円。
「磐梯山噴火記念館」と「磐梯山3Dワールド」は、両館共通の割引セットで、1,100円。
バラバラに買うと、記念館600円、3Dワールド800円で、1,400円になっちゃいます。
2人で、2,200円。
磐梯山噴火記念館前から猪苗代駅まで、再び磐梯東都バス。
780円。
2人で、1,560円。
猪苗代駅からJR。
会津若松を経て、只見線の七日町まで。
480円。
猪苗代から乗ったのは、「快速あいづライナー3号」ですが……。
乗車券だけで乗れるってことは、↑に書いたとおりです。
七日町でのお土産は、旅費から除外。
七日町から会津若松まで、只見線を戻ります。
140円。
「えきから時刻表」だと、この区間が会津鉄道の会津線と表示されますが……。
間違いじゃないの?
2人で、280円。
会津若松駅前ターミナルから、高速バスを利用。
会津バスと新潟交通バスが、交互に出てます。
わたしたちが乗った便は、新潟交通。
料金はもちろん同じで、2,000円。
2人で、4,000円。
この日の合計、17,600円。
★集計します。
10月31日(土曜日)【1日目】 27,700円。
11月 1日(日曜日)【2日目】 33,430円。
11月 2日(月曜日)【3日目】 17,600円。
合計は……。
78,730円!
前2回のときは、1日でこれくらい使っちゃいましたよね。
うーん、倹約の甲斐があった。
1人頭、4万円切りました。
ひょっとしてこれなら……。
ほんとに行けるんじゃないか?
では、次回の「紙上旅行倶楽部」、お楽しみに♪
今度は、どこ行こうかな……。
「わかってる」
と言いながら、わかってませんでした……。
生ビールが美味しかったせいもあるけど……。
やっぱり、朝早くから飯盛山まで歩いたせいか……。
疲れが出たのでしょう。
2時間も飲んだら、ほぼ酩酊状態。
由美に抱えられるようにして、ホテルに戻ったことは覚えてるんですが……。
そのままベッドにぶっ倒れたらしいです。
せっかくこの日は、「仲良しカップルプラン」という、せまーいセミダブルベッドのコースを選んだのに……。
夜中に目が覚めると……。
ベッドの向こう側で、由美ちゃんがスヤスヤ眠ってます。
ほんとに、お人形が眠ってるみたいですね。
むらむらしてきました。
そーっと布団をめくります。
浴衣の裾がはだけ、棒のようにまっすぐな脚が伸びてます。
辛抱、たまりません。
そーっと、パンツ下ろしちゃいましょう。
おぉ!
パイパンご開帳。
ロリコン男なら、見ただけで射精しちゃいそうですね。
ふふふ。
ここで、閃きました。
バッグから、あるものを取り出します。
あるものを、ある場所にセット。
ふっふっふ。
「由美!
由美ちゃん、起きて!
「うーん……」
「タイヘンだよ」
寝ぼけたまま寝返りを打とうとする由美を、抱き起こします。
「ほら、タイヘン。
由美ちゃんに、おちんちんが生えちゃった」
「……」
由美のほっぺたを挟んで、股間を見せます。
寝ぼけ眼で、呆然とお股を見ていた由美ちゃんですが……。
「い、いゃぁぁぁ」
魂消るような悲鳴を上げて、跳ね起きました。
「わっはっは。
似合う、似合う」
由美ちゃんのつるつる恥丘には……。
とぼけた顔のチンアナゴくんが、しっかりと吸盤でくっついてました。
◆11月2日(月曜日)【3日目】
頭が痛い……。
二日酔いもありますが……。
ゆうべ由美に、枕でコテンコテンに叩かれたせいでしょう。
「まだ怒ってんの?」
「あたりまえでしょ!」
「罪のないイタズラなのに……」
「センスがヒドすぎです!」
ゆうべは結局、お風呂入りそびれちゃいました。
朝風呂で髪まで洗います。
今日も8時半前に出たいので、速攻で朝食。
朝食はホテル自慢のバイキング。
チェックアウトを済ませ、表に出ると……。
昨日までと打って変わって、今日はちょっと肌寒い。
いわき駅まで歩きます。
8:43発の磐越東線に乗車。
郡山着、10:16。
磐越西線に乗り換えます。
郡山発、10:46。
こんなとこで30分も待つのは業腹ですが……。
仕方ありません。
猪苗代着、11:19です。
猪苗代駅からはバス。
磐梯東都バスが待ってます。
11:25発です。
目的地は裏磐梯。
行ってみたい施設があるんです。
五色沼入口で下車。
11:49です。
その施設は、もう少し先なんですが……。
もうお昼ですからね。
先に腹ごしらえしましょう。
バス停近くに……。
「リストランテ・イルレガーロ」さんがあります。
店内も、明るくて素敵ですね。
パスタランチをいただきます。
食べてる途中から、どんどん店内が混んできました。
12時前に入って正解でした。
紅葉時期の裏磐梯ですからね。
さっさと食べましょう。
わたしは、女同士で昼食を摂るのがあまり好きじゃありません。
今はお昼食べないから、滅多にそんな機会は無いんですが……。
なにが嫌いかって……。
尻が重い!
わたしは、とっとと食べて、とっとと出たいんです。
食べるのも早くて……。
必ず真っ先に食べ終わります。
わたしがコーヒー飲み終えそうなのに、まだ食ってるやつがいる。
もう、イライラしてね。
口の中に、飯突っ込みたくなる。
食べ終わったあとも、いつまでもペチャペチャしゃべってて……。
一向に尻を上げようとしません。
入口に席の空くのを待ってる人がいようが……。
おかまい無しです。
わたしはどーも、オンナのこういう神経には我慢できません。
混んでる店では、黙々と食べて、さっさと出る。
これが人の道だと思うんですが……。
こう考える女性は、残念ながら少ないようです。
わたしたちより遅く座ったサラリーマン連れが、わたしたちより早く腰を上げるのを見て……。
マジでうらやましかったです。
昼飯だけはオトコと食べたいと、心から思います。
とにかく、女と昼飯摂るとイラつくことが多いので……。
いつしか、女同士のランチは敬遠するようになっちゃいました。
さて、さすがわたしの造形した由美ちゃんは……。
席が混み合って来たのを見ると、無駄なおしゃべりもせずに食べ終えてくれました。
表に出ると、12:45分。
「Mikikoさん……。
また、バス停前通り過ぎた……。
イヤな予感がするんですけど」
「大丈夫。
今日は、徒歩15分だよ」
時間があれば……。
この近くには、五色沼自然探勝路ってのがあるんです。
距離も、1時間ちょっとと手頃だし。
探勝路を抜けたところが、物産館のあるバス停というアクセスの良さ。
みなさんには、ぜひお勧めします。
でも、今日はパス。
時間も無いし、11月になると、やっぱりちょっと寒いよね。
てことで、2人はバス道路をテクテクと歩きます。
高原ドライブを楽しむクルマが、けっこう通りますね。
昼食に降りた「五色沼入口」から、2停留所目。
目指す施設が見えてきました。
わたしが見たかったのは……。
「磐梯山噴火記念館」。
そして、その向かいにある……。
「磐梯山3Dワールド」。
以前のコメントで、浅間山の噴火で埋まった鎌原村のお話を書きました。
その後、ヤマタノオロチは溶岩流の象徴ではなかったかというコメントも書きました。
そうです。
わたしは、火山フリークなんですね。
それでは簡単に、磐梯山のプロフィールをご紹介します。
標高は、1,819メートル。
日本百名山の1つです。
安山岩で出来た成層火山。
磐梯山の昔の読み方は、“いわはしやま”。
「梯(はし)」は、ハシゴのことです。
すなわち、磐梯山とは、天に掛かる岩のハシゴという意味なんですね。
おそらく昔は、富士山のような優美な姿をしていたことでしょう。
現在、南側から見た磐梯山が、その姿をとどめてます。
磐梯山の噴火活動が始まったのは、90万年前のこと。
これまでに、5,6回、規模の大きな噴火を起こしてます。
日本で4番目の面積を持つ猪苗代湖が出来たのは、8万年前。
磐梯山から流れ下った火砕流により、川がせき止められたんです。
歴史時代以降では、2度噴火してます。
最初の噴火は、西暦806年。
最澄や空海が、唐に渡ったころですね。
このときの噴火では、50あまりの集落が埋没したとか。
2度目の噴火は、1888年のこと。
今から121年前、明治21年です。
2つの噴火の間には、1,000年の空隙があります。
わたしたちが生きてるうちに、3度目の噴火を見ることはまず無いでしょう。
さて、1888年の7月15日。
この日、朝7時ごろから鳴動が始まりました。
7時半からは、強い地震が断続的に起こります。
そして、7時45分。
ひときわ強い揺れと共に、大音響を伴う噴火が始まりました。
水蒸気爆発です。
山体の帯水層にマグマが貫入すると……。
水は一瞬にして気化し、水蒸気が大量に発生します。
密閉空間の中で内圧が急激に増し、密閉壁が破砕されるわけです。
この水蒸気爆発を伴う噴火が、20回ほど続いたそうです。
爆発音は100キロ先まで聞こえたとか。
そして、最後の1発。
これは、「北に向かって抜けた」と云われてます。
山体の北半分が、吹き飛んだんです。
標高が、165メートル低くなったそうです。
南側から見た磐梯山は「表磐梯」と云われ……。
会津富士と呼ばれる優美な姿を見せています。
それに対し、北側から見た磐梯山は「裏磐梯」と云われ……。
山体崩壊により大きく山肌が欠損した、生々しい姿を見せています。
この欠損部分が、すべて岩屑なだれとなって麓の集落を襲ったのです。
11の集落が埋まり、477人が亡くなりました。
この岩屑なだれが、長瀬川上流の支川を堰き止め……。
檜原湖、小野川湖、秋元湖、五色沼などの湖沼が形成されたわけです(左が噴火前、右が噴火後)。
それでは、「磐梯山噴火記念館」に入ってみましょう。
1988年、磐梯山の噴火100年を記念して開館した施設です。
入口のタイムトンネルを潜ると……。
そこは、1888年の7月15日。
そう、あの大爆発の日です。
大画面と模型、それに床下のボディソニックで、噴火の様子が疑似体験できます。
そのほか、興味深かったのは……。
湖に沈んだ村のお話のコーナー。
今でも湖の水位が下がると、高台にあった神社の鳥居が現れます(写真は檜原湖)。
噴火以外の展示物もあります。
「五色沼の一日」というコーナーでは……。
磐梯山周辺に棲息する動植物を、うさぎのミーちゃんが紹介してくださいます。
この辺りは、日本三大野鳥生息地域と云われてるんです。
さて、最後に……。
ちょっと寒いけど、展望塔に出てみましょう。
天気がいいと、真南に磐梯山、北東に吾妻山、東に安達太良山がみえます。
今日はガスがかかってて、ダメみたいですね。
続いて、道路の反対側にある「磐梯山3Dワールド」に移動。
ソニーが開発した、世界初360度立体映像の常設館です。
上映開始は、毎時0分と30分からなので、タイミングを計って入りましょう。
円筒型のスクリーンは、高さ4.5メートル、周長42メートル。
超大画面に繰り広げられる立体映像の世界。
ここに、1888年の噴火の様子が再現されます。
3Dメガネをかけると、上映が始まりました。
噴火を予知して逃げまどう動物たち。
宙に舞う巨石。
麓の村を襲う火砕流。
360度の映像とサウンドが、噴火をまるで目の前の出来事のように見せてくれます。
飛んでくる巨石を避けようとして、体がビクビク反応しちゃいます。
上映時間は20分。
あっという間でした。
もう1度見たいくらいだけど……。
残念ながら、時間がありません。
でも、由美ちゃんありがとう。
夢中で見て回るわたしに、黙って付き合ってくれました。
こういう施設って、興味のない人はぜんぜん無いだろうから……。
団体行動のときは、存分には見れないと思う。
今日は由美ちゃんのおかげで、丸2時間堪能することができました。
さて、15時をまわったので外に出ましょう。
やっぱり今日は肌寒い。
トレッキングは無理な日だったな。
磐梯山にはガスがかかり、山体崩壊による巨大なカルデラは隠れてます。
雲の中に……。
かつて、“いわはしやま”と呼ばれた優美な姿を想像してみましょう。
あと、わたしが磐梯山を好きなのは……。
この歌の囃子ことばの……。
朝寝、朝酒、朝湯が大好きで♪ってやつね。
この小原庄助さんは、我が理想です。
身上つぶしたって、いいじゃんね。
でも、この程度の道楽でつぶれる身上ってのは……。
大したもんじゃないよなぁ。
なお、この小原庄助という人物……。
いったいどこの誰なのか、よくわからないみたいです。
ますます魅力的ですね。
さて、バスが来ました。
磐梯山噴火記念館前、15:18発。
再び猪苗代駅に戻ります。
旅行もそろそろ終わりですね。
夕暮れの近づく裏磐梯、寂しさが募ります。
車中の2人は、これまでの旅程を噛み締めるように窓の外を見つめます。
猪苗代駅着、15:47。
猪苗代から磐越西線に乗りこみます。
16:22発、「快速あいづライナー3号」。
この列車、よく見てください。
何かに似てませんか?
そう、会津の民芸玩具「赤べこ」ちゃんですね。
会津若松着、16:50。
「急げ!
乗り換えだ。
3分しかない」
「またですか!
って、ちょっと、Mikikoさん!
磐越西線で帰るんじゃないんですか?」
「会津線に乗る」
「またぁ?」
「旅はまだ終わってないぞ」
会津若松発、16:53。
「下りるぞ!」
「もう?
2分しか乗ってないんですけど……。
バスみたい」
となり駅の七日町着、16:55。
「飯盛山で、会津みやげ買いそびれただろ。
最後にお買い物しよう」
駅前の七日町通りは、藩政時代から栄えた通り。
「七」の付く日に市が立ったことから、七日町と呼ばれました。
読みは、「なぬかまち」。
昭和30年ごろまでは、会津随一の賑わいを見せてたとか。
現在も大正浪漫風のお店が軒を連ね、観光名所になってます。
まずは、駅から徒歩2分。
会津絵ろうそくの「ほしばん絵ろうそく店」さんへ。
会津絵ろうそくの歴史は古いです。
今から500年ほど前の宝徳年間に遡ります。
時の領主・芦名盛信が、漆の栽培を奨励したことに始まったといわれてます。
漆の樹液からは、会津漆器が生まれました。
同時に、漆の実から採れた最上質の蝋を使って、ろうそくが作られるようになったのです。
その後、天正年間(1590年ころ)、豊臣秀吉に怖れられた蒲生氏郷が、都を遠く離れた会津に追いやられて来ます。
氏郷が近江から呼び寄せたろうそく職人により、会津ろうそくの品質は更に向上しました。
ちなみに氏郷は、故郷の“近江の若松”にちなんで、ここの地名を“会津の若松”と改めたんですね。
七日町には、「レオ氏郷南蛮館」という資料館もあります。
“レオ”は、氏郷の洗礼名だそうです。
さて、さらに江戸時代に入ると、藩主松平氏が藩の財源として会津ろうそくを活用しました。
結果、会津ろうそくは日本中に行き渡り、その品質の高さが広く知られるようになりました。
このころ、ろうそくに絵を付けることが考案されたそうです。
会津絵ろうそくは、大名や神社仏閣などの御用達となりました。
また庶民の間でも、婚礼などのハレの場で使われるようになります。
婚礼の席で灯される一対の絵ろうそく。
これが、「華燭の典」の語源になったと云われてます。
キャンドルサービスの起源は会津絵ろうそくにあった!、と言ってもいいんじゃないでしょうか?
今売られてる絵ろうそくも、江戸時代と変わらぬ製法で手作りされてます。
柔らかく温かな暖色の炎は、見る者をうっとりとさせます。
菊や牡丹などをあしらった絵柄は、もちろん今でも手描き。
伝統の技が受け継がれてるんですね。
「ほしばん絵ろうそく店」さんは、今のご主人が9代目だとか。
予約すれば、絵付けの体験も出来ます。
ですが今日は、残念ながら時間がありません。
絵ろうそくを一対買って、お店を出ましょう。
ここから2軒、駅の方に戻ると……。
会津木綿の小物を扱う「もめん絲」さんがあります。
会津木綿は、色は地味で素朴ですが、美しい地縞が特徴です。
厚地で大夫なうえ、肌触りが良く、保温性、吸湿性に優れてます。
なので、日常着や野良着として使われてきました。
近年は、着物地としてばかりでなく……。
洋服、エプロン、テーブルクロス、座布団、コースターなどのほか、ハンドバッグや財布、袋物などの民芸品としても利用されています。
会津木綿の歴史も古いです。
寛永4年(1627年)、会津に国替えとなった加藤嘉明が、前領地の伊予松山から織師を招いたのが起源と伝えられてます。
その後、寛永20年(1643年)に会津藩主となった保科正之が、綿花の栽培を奨励し、定着させました。
当時、機織りは、藩士の妻女の内職としても行われてたようです。
会津木綿の生産は、明治末期から大正期に最盛期を迎えます。
しかし、昭和30年代半ば以降、農家の仕事着としての需要が急速に減少。
かつて30軒以上あった機織り場は、現在2軒を残すのみとなりました。
でも、会津木綿の素朴さ、丈夫さを愛する人は今も絶えず、民芸織物として親しまれています。
「もめん絲」さんには、反物や衣類などの定番品もありますが……。
ポプリを詰めたネコやフクロウの置物もあります(下の写真は「'10・るるぶ福島」より)。
余裕があれば、「会津ブランド館」なんかも寄りたいです。
会津漆器や会津味噌など、会津の特産品が置いてあります。
もちろん、地酒もあります。
地酒は、ショットバー「彩」で試飲(有料)してから購入できます。
聞いただけでヨダレが出そうですが……。
この日は残念ながら、時間的にムリ。
さっさと、七日町駅まで戻りましょう。
さて、この「七日町」駅自体が、土産物店なんですね。
「駅Cafe.」というアンテナショップが入ってるんです。
その名のとおり、カフェもあります。
地酒の仕込み水で入れた水出しコーヒーや、地場産フルーツジュースが楽しめます。
シフォンケーキは、評判。
さてもう、17:22分発の会津若松行きが来ました。
着いたのが16:55ですから……。
27分しかありませんでした。
実際には、「ほしばん絵ろうそく店」さんと「もめん絲」さんを覗くだけでやっとでしょう。
会津若松着、17:25。
新潟への帰りは、高速バスです。
会津若松駅前のバスターミナルから、17:45発の便に乗りましょう。
「ばんえつ物語」号で、3時間48分かかった行程ですが……。
高速バスだと、1時間51分。
会津バスと新潟交通のバスが、交互に出てます。
わたしたちが乗った便は、われらが新潟交通。
もう、真っ暗で外が見えないですから……。
互いにもたれて、夢を見ながら帰ります。
新潟駅前着、19:36。
とうとう、終わっちゃいましたね。
しんしんと寂しさが募ります。
「このまま、東京帰る?」
由美ちゃんが、恨めしそうな上目で見つめてきます。
やっぱり、由美ちゃんも寂しいんですよね。
「よし、もう1泊しよう!
わたしにとっては地元だけど……。
由美ちゃんにとっては、まだ旅の途中だよね。
お休みは、明日もう1日ある!
ね?」
「うん!」
「よし!
それじゃ、飲みに行くぞー!」
「なに食べさせてくれるんです?」
「これからの季節、新潟は魚だ。
南蛮エビにノドグロ、お腹いっぱい食べさせてあげる」
「やったぁ!」
「ただし、割り勘ね」
「え~~」
~おしまい~
さてさて、ようやく大団円となった「福島に行こう!」ですが……。
連載が始まったのは、10月25日でした。
きのうの最終回が、11月29日。
途中、「アリウムを植えました」が挟まったとは言え、丸々1ヶ月も続いたことになります。
この旅、たったの2泊3日だったんですよ。
もちろん書き始めたころは、こんな大長編になるとは思ってもいませんでした。
設定した旅行の最終日、11月2日前後には終われるかなと……。
それが、とんでもない大誤算。
こんなことになったのは……。
やっぱり、旅の相棒に由美ちゃんを選んだからでしょうね。
「とりめし」を買うあたりから、会話が弾んじゃって止められなくなったんです。
「紙上旅行倶楽部」、1ヶ月に1回くらいのペースを考えてたんですが……。
そんなことしたら、コメント全部「紙上旅行倶楽部」になっちゃいます。
なので、次回の旅行は、年が明けてからになりそうです。
さて!
それではお楽しみ、旅費精算を行います。
計算は、10月31日に新潟駅を出発してから、11月2日に新潟駅前に降り立つまで。
2人分の金額を算出してみます。
◆10月31日(土曜日)【1日目】コメント308~321
磐越西線「SLばんえつ物語」号に乗車。
この列車は会津若松止まりですが……。
会津若松でわたしたちは、会津鉄道の会津線に乗り継ぎます。
この会津線の起点ですが、実は会津若松から2駅目の西若松なんです。
西若松までは、JRの只見線なんですね(西若松の先で、只見線と会津線に分岐します)。
したがって、新潟からの乗車券は、西若松まで買います。
2,210円です。
これ、会津若松までと同じ料金なんです。
指定席料金が、510円。
「SLばんえつ物語」号は快速扱いなので、特急券も急行券もいりません。
合計で、2,720円。
SLに4時間近く乗ってこの料金です。
ぜったい安いよね。
2人で、5,440円。
途中、日出谷駅で大立ち回りを演じ、「とりめし」をゲット。
700円。
2人で、1,400円。
続いて会津鉄道のトロッコ列車。
乗車券は、西若松から湯野上温泉まで。
820円です。
会津若松から買うと、西若松までのJR料金が加算されて、1,000円になります。
つまり、新潟からのJR乗車券を西若松まで買っておけば、180円安く上げられるわけ。
たった180円の違いですけど、こういう節約は、いかにも「ツウ」って感じで気分がいいです。
でも……。
どこで会津線の切符買うんだろ?
西若松には降りないんだけど……。
湯野上温泉で、乗り越し精算するのかな?
まぁ、いいや。
これプラス、トロッコ整理券が300円。
合計、1,120円。
2人で2,240円。
湯野上温泉駅から大内宿まではタクシー。
ご都合主義でそんなに混まない設定にしたので、2,000円くらい。
渋滞にはまったら、いくらかかるかわかりません。
往復で、4,000円。
大内宿では、「大内宿町並み展示館」に立ち寄りました。
入館料、250円。
2人で500円。
本家叶屋さんで買ったお土産は、例によって旅費に含めません。
湯野上温泉から会津若松まで、電車で戻ります。
今度は2駅分のJR料金が加算されますから、1,000円ですね。
2人で2,000円。
会津若松駅前から東山温泉駅まで、会津バスに乗車。
260円。
2人で520円。
東山温泉でのお宿は、「東山パークホテル新風月」。
「アルコール飲み放題付バイキングプラン、1泊2食付・大人お一人様7,800円コース」を選択。
2人で、15,600円。
この日の合計、27,700円。
2人分で、新潟からの交通費込みですよ。
安い!
松江で泊まった「皆美館」なんか、宿泊料だけで1人34,800円でしたからね。
◆11月1日(日曜日)【2日目】コメント322~327
朝食のバイキングは、宿泊料に込みです。
会津武家屋敷までは、徒歩だからタダ。
武家屋敷の入館料が、850円(けっこう取るね)。
2人で、1,700円。
飯盛山までは、またしても徒歩。
さざえ堂の拝観料が、400円(妥当か)。
2人で、800円。
由美がおイタをしたので、お土産は買いませんでした。
飯盛山から会津若松駅まで、会津バスに乗車。
260円。
2人で、520円。
会津若松駅構内の「一會庵」で昼食。
ざるそば730円、天ざる1,100円。
サッポロビール中瓶1本、500円。
合計で、2,330円。
会津若松からJRに乗車。
郡山、いわきを経て、泉まで。
乗車券、2,940円。
すべて普通列車なので、料金はこれだけです。
2人で、5,880円。
泉駅前から、アクアマリンふくしままでタクシー。
15分くらいでしょう。
2,000円。
アクアマリンふくしまの入館料が、1,600円。
2人で、3,200円。
吸盤チンアナゴは、旅費から除外ね(いくらくらいするんだろ?)。
帰りは、常磐交通バスを利用。
福島銀行小名浜支店前から泉駅まで。
270円。
2人で、540円。
泉からいわきまで、JRの普通列車に乗車。
230円。
2人で、460円。
この日は、「いわきワシントンホテル椿山荘」に宿泊。
「仲良しカップルプラン」を利用。
朝食付きで、“2人”で8,000円(安い!)。
夕食はホテルを出て、「隠れ庵 忍家 いわき駅前店」にて。
ぐるなびによると、平均予算は1人3,500円になってます。
わたしが前後不覚になるほど飲んじゃったから、1人4,000円かな。
2人で8,000円。
ホテル代と同じじゃないか!
この日の合計、33,430円。
夜の居酒屋が、ちょっと痛かったですね。
◆11月2日(月曜日)【3日目】コメント328~332
朝食は、ホテル代に含まれてます。
いわき駅からJRに乗車。
郡山を経由して猪苗代まで。
2,210円。
2人で、4,420円。
郡山から猪苗代の区間は、「快速あいづライナー1号」になります。
この列車、指定席もあります。
指定席に乗れば、もちろん指定料金が必要ですが……。
当然わたしたちは自由席に乗ったので、乗車券だけです。
猪苗代駅前から五色沼入口まで、磐梯東都バスに乗車。
750円。
2人で、1,500円。
「リストランテ・イルレガーロ」で昼食。
パスタランチは、1,580円。
もちろんドリンクはセットで、グラスワインも選べます。
2人で、3,160円。
「磐梯山噴火記念館」と「磐梯山3Dワールド」は、両館共通の割引セットで、1,100円。
バラバラに買うと、記念館600円、3Dワールド800円で、1,400円になっちゃいます。
2人で、2,200円。
磐梯山噴火記念館前から猪苗代駅まで、再び磐梯東都バス。
780円。
2人で、1,560円。
猪苗代駅からJR。
会津若松を経て、只見線の七日町まで。
480円。
猪苗代から乗ったのは、「快速あいづライナー3号」ですが……。
乗車券だけで乗れるってことは、↑に書いたとおりです。
七日町でのお土産は、旅費から除外。
七日町から会津若松まで、只見線を戻ります。
140円。
「えきから時刻表」だと、この区間が会津鉄道の会津線と表示されますが……。
間違いじゃないの?
2人で、280円。
会津若松駅前ターミナルから、高速バスを利用。
会津バスと新潟交通バスが、交互に出てます。
わたしたちが乗った便は、新潟交通。
料金はもちろん同じで、2,000円。
2人で、4,000円。
この日の合計、17,600円。
★集計します。
10月31日(土曜日)【1日目】 27,700円。
11月 1日(日曜日)【2日目】 33,430円。
11月 2日(月曜日)【3日目】 17,600円。
合計は……。
78,730円!
前2回のときは、1日でこれくらい使っちゃいましたよね。
うーん、倹約の甲斐があった。
1人頭、4万円切りました。
ひょっとしてこれなら……。
ほんとに行けるんじゃないか?
では、次回の「紙上旅行倶楽部」、お楽しみに♪
今度は、どこ行こうかな……。
コメント一覧
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1. フェムリバ- 2009/12/06 19:51
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一気に読むと、長い旅だったんだなぁ~と、今更ながら実感しました。
読んでる当時はそんなでも無かったんですけどね。
福島に行こうと思われてる皆さん!
この旅程を参考にすれば、楽しく、かつ旅費を4万円以内に抑えることも可能ですよ~
どんどん参考にしましょう♪
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2. Mikiko- 2009/12/06 20:27
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嬉しい♪
苦労して、まとめ上げた甲斐があったというものです。
一人頭4万円に抑えられたのは……。
隣の県だったからもあるけどね。
でも東京から高速バスだと……。
会津若松まで、片道2,200円で行けるみたいです。
http://blog-imgs-24.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/2009120620192046f.jpg
これからの季節……。
雪景色の大内宿は、一生心に残る風景だと思います。
http://blog-imgs-24.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/2009120620232215d.jpg