2012.3.3(土)
駐車場に駆けこむと、ちょうどお客さんを降ろしたタクシーがありました。
前にも書いたように、大内宿には宿屋もあります(写真は、蔵造りの民宿「本家扇屋」さん)。
16時半近くなって着くお客さんは、きっとお泊まりですよね。
わたしたちは、運良くその帰り車に転げこむことができました。
って……、都合良すぎるよな……。
みなさんは、もっと余裕ある旅程を組みましょう!
「びっくりすたなや。
いきなり転げこんで来てからに。
何事だべ?(すいません。福島弁がわかりません。これは、タクシーの運転手さんのセリフのつもりです)」
「はぁはぁ。
湯野上温泉駅まで……。
16:46の会津若松行きに乗ります。
間に合いますよね?」
「まだ、25分もあるでねえか。
大余裕だべ。
10分で着くだからな。
普段は……」
「ぎく。
今日は、普段の日……ですよね?」
「うんにゃ。
今日は、年に何日もねえ普段でねえ日だ。
紅葉時期の4連休の初日でねえか。
春のゴールデンウィークと並んで、東西の横綱だべ」
「普段でねえ場合……。
どのくらいかかるんですか?」
「今日中に着かんかも知れん」
「そんな!」
「というのは、冗談だがの。
それでも、下手すりゃ3時間かかることもあるでな。
歩いた方が、はるかに早いわな」
「歩くと……。
どれくらいかかります?」
「まぁ、1時間ちょっとじゃろな」
「それじゃ間に合わないじゃないですか」
「あんたら、走って行ったらどうかね?
さっきはえらい勢いで走って来たでねえか」
「走ったら……、20分で着きますか?」
「自転車より速く走れれば、着くじゃろ」
「そんなぁ……」
「ははは。
安心しなされ。
ほれ、もう駅が見えてきた」
どうやら、この運ちゃんにからかわれてたようで……。
湯野上温泉駅で、なんとか会津若松行きに乗ることができました。
さっき、トロッコ列車で来たばかりの会津線を戻ります。
もちろん帰りの車両は、トロッコ列車ではなく普通の電車です。
同じ線を使って出発地に戻っちゃうってのは、芸の無い旅程ですが……。
どうも、会津若松に帰らないと、その後のアクセスが良くないんです。
会津若松着、17:25です。
「もう外、真っ暗ですね。
今日のお泊まりは、会津若松ですか?」
「うんにゃ」
「Mikikoさん……。
さっきの運転手さんが、乗り移ってますよ……」
「わたしは影響を受けやすいの!
ほら、急ぐぞ!
もうバスが出る」
「また、急ぐのぉ」
泣き言を言う由美を引きずって、駅前のバスターミナルへ。
会津バスが並んでます。
目指すは、17:30発。
5分あれば、乗り継ぎ可能でしょう。
たぶん……。
ま、これを外しても、18:00発がありますから。
「はぁはぁ。
なんとか乗れた……」
「もうわたし、急ぐのいやですから」
「大丈夫。
あとは宿に着くだけだから」
「ところで、どこに行くんです?」
「バス停の標識見て、気づかなかった?」
「そんな余裕、あるわけないじゃないですか」
「それなら教えて進ぜよう。
これから行く先は……。
「行き先は?」
「会津の奥座敷!
★゚・*:.。.:*・゜東山温泉 ゚・*:.。.:*・゚★」
「なんじゃ、その無表情は?」
「知らないんだもの」
「東山温泉も知らんのか!」
「知りません」
「威張って言うな。
東山温泉は、今から1,300年前、名僧行基によって発見された名湯じゃ。
山形県の湯野浜温泉、上山温泉と並び、奥羽三楽郷に数えられておる。
竹久夢二や与謝野晶子などの文人にも、こよなく愛された湯の街なのじゃ」
「カンペ見ながらしゃべらないでください」
さて、あれほど苦労して乗ったバスですが……。
わずか15分の乗車で到着しました。
東山温泉駅で降車します。
駅と云っても、鉄道が通っているわけではなく……。
ただのバス停です。
今日のお宿は、バス停から徒歩10分。
「また歩くの……」
「文句言わない!」
ようやく本日の終点、「東山パークホテル新風月」に到着。
前2回の「紙上旅行倶楽部」では……。
露天風呂付き客室にこだわったせいで……。
目の玉の飛び出るような宿代を払ってきました。
今回は、露天風呂付きはきっぱりと諦め……。
リーズナブル路線。
と言っても、もちろん露天風呂付き大浴場があります。
さっそくお風呂に直行……。
しようと思ったら……。
「わたし行かない……」
「どうして!」
「恥ずかしいもの」
紅葉時期なので、お客さんがたくさんいます。
お風呂も混んでるでしょう。
パイパンの由美ちゃんは、入りづらいでしょうね。
やっぱり……。
奮発して、露天風呂付きの客室にすれば良かったか……。
「わたしが、ずっと前に立って隠してあげる」
「そんなことしたら、よけい目立つでしょ。
Mikikoさん、ひとりで行ってきてください。
わたしは、お部屋でシャワー浴びます。
大丈夫。
慣れてますから、こういうの」
ゴメンよぉ。
わたしが、パイパンなんて設定にしたせいだね。
沈んだわたしの肩を、由美ちゃんが押してくれました。
申し訳ないので……。
家にいるときのようなカラスの行水で、部屋に戻ります。
お風呂でシャワーを使う音が聞こえてます。
思いっきり扉を開けると……(↓新風月のバスルームではありません)。
「きゃぁぁぁ!!」
由美ちゃんが胸を抱えてうずくまりました。
尖ったお尻に萌えます!
たまらずチン入しようとしたわたしですが……。
「うひゃぁ!」
シャワーをぶっかけられました。
ふふふ。
後でたっぷり可愛がってくれる……。
「さ、ご飯食べに行くぞ」
まだふくれてる由美を連れて、レストラン「花鳥風月」へ。
「え?
これって……」
「そう。
大内宿で、飲食を禁じたわけが、わかっただろ?
今日の夕食は……。
★゚・*:.。.:*・゜アルコール飲み放題付バイキングプラン ゚・*:.。.:*・゚★」
「うわー、美味しそう♪
これなら、好きなのだけ選んで食べれるから、すっごいお得かも」
「うんうん。
アルコール飲み放題だし」
「セーブしてくださいよ」
「夜のお楽しみのためにか?」
「あんたは、オヤジか!」
う~。
食い過ぎた……。
妊婦のようになっちゃいました。
由美ちゃんに、背中を押されて部屋に戻ります。
書き忘れてたけど……。
お部屋は和室です。
ホームページでは、「眺望難あり」なんて注意書きがあったけど……。
暗くなってから着いて、朝早く出るんだから……。
ぜんぜん問題なしです。
お部屋には、もう布団が敷いてありました。
「ふっふっふ。
由美。
やっと2人っきりになれたな……。
さ、こっちへ来い」
「いや~。
美弥ちゃん、助けてぇ~」
「と言いながら……。
なぜ、ひとりでくるくる回ってるんだ?」
「帯、解かれてるとこ」
「案外ノリがいいじゃないか。
そんなら遠慮無く、賞味してくれよう」
以下、描写自粛。
1時間経過。
「はぁはぁ。
もうダメ……」
「Mikikoさん、何回イッたんですか?」
「わかんない……」
味わい尽くすつもりが……。
骨の髄までしゃぶられてしまった。
美弥子と連日やってるだけあって……。
異常に上手い……。
後で、ストリップ劇場にでも行ってやろうかと思ってたんだけど……。
余力、ゼロです。
欲も得もなく、眠りにつきます。
◆11月1日(日曜日)【2日目】
「Mikikoさん、目覚めました?」
「もう起きてたの?」
「さっき起きて、思い切ってお風呂に行ってきました。
やっぱり、大きいお風呂は気持ちいいですね」
「人、いなかった?」
「少しいましたけど、混んでなかったから平気。
Mikikoさんも、朝ご飯の前に入って来たら?」
「おー、もう7時過ぎてる。
それじゃ、ひとっ風呂浴びてきますか」
朝食は、7時半から。
もちろん、バイキングです。
また妊婦になりそうなほど詰め込みたい気分を、ぐっと我慢。
今日は日程の都合で、お昼が早いんです。
ご飯2膳で、箸を置きましょう。
8時15分、チェックアウト。
「あれ?
バス停通り過ぎちゃうんですか?」
「バスの便が悪いんだよ。
歩くぞ」
「えー。
またぁ」
「文句言うな。
15分くらいだよ」
ほどなく、本日最初の目的地に到着。
会津武家屋敷です。
そう言えば、松江でも武家屋敷に行きましたね(277のコメント参照)。
あっちは、本物の武家屋敷を公開したものでした。
それに対し、会津の武家屋敷は、一種のミュージアムパークです。
敷地は、7,000坪。
中心となる家老屋敷は、幕末の家老・西郷頼母の邸宅を、忠実に復元したものです。
全部で38部屋あるそうです。
掃除のこと考えると、気が遠くなりますが……。
もちろん、女中さんがいっぱいいたんでしょうね。
実はわたし、この武家屋敷、実際に行ったことあるんです。
新潟から会津は……。
磐越西線で行くと、4時間近くかかっちゃいますけど……。
磐越自動車道を使えば、2時間かかりません。
ちょっとしたドライブの距離なので……。
何年前か前の春に、ひとりでクルマ運転して行ってきたんです。
そのときは、高速ではなく国道49号線を使いました。
会津の町は、花盛りの季節。
沿道には、桐とタニウツギ。
山の斜面には藤。
そして武家屋敷には、大手鞠が咲いてたのを覚えてます。
さて。
1度行ったことがあるところへ……。
なぜ、もう1度立ち寄るかと言うと……。
気に入っちゃったんですね。
なにがって?
それは……。
人形です。
武家屋敷の各部屋は、当時の暮らしぶりを再現するため……。
生活調度が配され……。
加えて、人形が置かれてるんです。
人形っていうか、マネキンですよね。
これがいいのよ。
妙に無表情なとこが、異様に萌えます。
開館時刻の8:30と同時に入館したので……。
まだ、ほとんど人がいません。
「由美ちゃん……。
人が来ないか、そこで見てて……」
「なんでです?」
「お人形見てたら、我慢できなくなった。
ここで、オナニーする」
「ちょ、ちょっと!
ダメです!
ぜったいダメ!」
「いいじゃない。
素っ裸になんかならないからさ」
「なられてたまりますか!」
「痛い、痛い!
耳なんか引っ張らないでよ!」
「退場!」
とうとう、館の外まで引きずり出されてしまいました。
「意地悪!」
「当たり前でしょ。
信じらんない。
さ、次はどこに行くんです?
人形のあるとこはダメですよ」
「くそー。
次は、飯盛山に行く」
「人形、ありませんよね?」
「ないわい!」
せっかく盛り上がった気分に水を差され、すこぶる機嫌が悪い。
時計を見ると、9時15分。
それでも、武家屋敷には45分くらい居たんだな。
「ちょっと、Mikikoさん。
バス停前、通り過ぎちゃいましたよ」
「だから、午前中は、バスの連絡が悪いの」
「じゃぁ、どうやって行くんです?」
「歩くに決まっとろうが」
「なんだ。
飯盛山って、この近くなんですね」
「あんまり、近くではない」
「え?
なんか嫌な予感……。
どのくらい歩くんです?」
「ま……。
軽く30分くらいかな?」
「うそ!」
「30分くらいなんだ!
いい腹ごなしだろ!」
ぶーぶー言う由美を引きずり、ようやく飯盛山に到着。
9時45分です。
山と言っても、標高は314メートルしかないので……。
登山するわけじゃありません。
頂上までのエスカレーターまで備わってます(有料:250円)。
もちろん若い衆は、階段で上りましょう。
飯盛山と言えば……。
もちろん、白虎隊ですね。
戊辰戦争のおり……。
旧幕府軍の白虎隊20名は……。
新政府軍に押され、飯盛山に追い詰められました。
16,7歳の若者たちです。
彼らが、ようようのことで崖をよじ登り……。
振り返ると……。
市中が黒煙に包まれてました。
「若松城が燃えている!」
そう思った彼らは……。
「もはやこれまで……」
と、白刃で互いの胸を突き合ったのです(無惨……)。
20名の内、たったひとりだけ生き残りました。
この飯沼貞吉の証言で、白虎隊の悲劇が伝えられることとなったのです。
実際には、若松城は燃えてなかったんですね。
追い詰められた少年たちが見た、あまりにも悲しい錯覚でした。
ここで、ウンチクをひとつ。
会津藩には、白虎隊のほかに、玄武隊、青龍隊、朱雀隊もあったんです。
それぞれの隊の違いはと言うと……。
単に年齢ですね。
玄武隊が最年長で、50歳以上。
青龍隊が、36歳から49歳。
朱雀隊が、18歳から35歳。
白虎隊が、15歳から17歳。
さて、付け焼き刃の知識を披瀝しておりますが……。
わたしは歴女では無いので……。
正直、幕末に詳しいわけじゃありません。
なので、白虎隊の話はこれでおしまい。
そんなら、なぜ飯盛山に来たかというと……。
1カ所だけ、ぜひ見ておきたい建物があったんです。
飯盛山は、小学校の修学旅行で来てるんだけど……。
そんときに見た記憶がありません。
わたしが見たかったのは、さざえ堂と云う建物です。
「サザエさん」とは、なんの関係もありません。
この「さざえ堂」が建てられたのは、寛政8年(1796年)。
11代将軍、家斉のころですね。
正式名称は「円通三匝堂(えんつうさんそうどう)」と云うそうです。
飯盛山にあった正宗寺の住職、郁堂(いくどう)が考案しました。
外見は、そんなに不思議な感じがしませんが……。
中に入ると、不可思議千万。
堂の高さは、16.5メートルですが……。
階段はありません。
どうやって上るかというと……。
螺旋状のスロープです。
「さざえ」の名前がついた理由、わかりました?
つまり、内部がさざえの殻の中に似てるからなんです。
しかもこのスロープ、不思議なんですよ。
上りと下りのスロープが、まったく別の通路になってるんです。
スロープを一回転半して天辺までのぼると、そのまま下りのスロープにつながります。
で、一回転半して下まで下りる。
すなわち、スロープは一筆書きみたいに繋がってて……。
上る人と下る人が、すれ違わないんですね。
わたしの大好きな作家、高橋克彦さんの作品に、「星の塔」という短編があります。
この中に、「さざえ堂」がちらっと出てきます。
高橋さんの小説なので、当然SF風味の作品です。
ほんとに……。
このお堂を上がって下りると、別の世界に出てしまいそうです。
ちなみにこの「さざえ堂」ですが……。
建築デザイン誌「Casa BRUTUS」の「建築家が選ぶ日本建築人気番付」で、東の横綱に称されてます。
さて、「さざえ堂」さえ見れば……。
もう満足です。
ふもとに下りましょう。
ふもとには、お土産屋さんが並んでます。
バスの時間までは、もう少し間があるので、お土産でも見ましょうか。
うーむ。
小学校の修学旅行を思い出しますね。
男子どもはここで、「白虎刀」を買ってました。
もちろん、鞘から刃からみんな白木で出来たおもちゃです。
のちに鶴ヶ城で、バカ男子どもに取り囲まれ……。
「白虎刀」で滅多切りにされたことは、以前に書きました(263のコメント参照)。
わたしの頭に刃を当てて、ギコギコと引くやつまでいた。
お土産、急激に購入意欲がなくなりました。
「Mikikoさん!」
呼ばれて振り返ると、額に衝撃が……。
「白虎刀」で、真っ向から切られてました。
「ギコギコ」
「引くな!」
バカ女を引きずり、「飯盛山下」バス停へ。
「まだ、お土産買ってないぃぃぃ」
「買わんでいい!」
ようやく、10:34のバスが来ました。
バスの行き先は、会津若松駅。
きのう、会津若松に着いて……。
大内宿を見た後、会津若松に戻り……。
そして翌日、東山温泉から飯盛山を経て、またもや会津若松に戻ります。
つくずく芸のない旅程ですが……。
どうも、会津若松を起点にしないと、繋がらないんです。
会津若松駅前、11:05着です。
これから乗る列車は、12:02の発車。
小一時間あります。
朝ご飯も早かったし……。
飯盛山に登って、お腹もこなれたので……。
ここで、昼食を済ませてしまいましょう。
駅の構内に「一會庵(いちえあん)」という食堂があります。
前に載せた、会津若松駅の構内図を再掲します。
改札を出て、右手ですね(図では下)。
お腹がこなれたと言っても、ご飯ものはちょっと……。
やっぱり、お蕎麦でしょうね。
「ざるそば(上)」と「天ざる(下)」を頼みました。
もちろん、天ぷらは分け合って食べます。
それと、ビール1本。
なぜかラベルは、野口英世でした。
「午前中から飲むんですか!」
「駅の食堂で、昼前からビールを飲む。
まさしく、旅行の醍醐味じゃないか」
「1本だけですよ。
おしっこ近いんだから」
「はいはい」
しかし……。
ビールと天ざるって、完璧にオヤジだよね。
さて、ビールでノドを潤した2人は……。
12:02発の磐越西線・郡山行きに乗りこみます。
何の変哲もない普通電車です。
郡山着、13:15。
ここで、磐越東線・いわき行きに乗り継ぎます。
これも普通電車。
発車は、13:18。
あまりにも接続が良すぎて、逆に心配ですけど……。
たとえ郡山着が遅れたとしても、発車は待ってくれるはずです。
いわき着、14:52。
ここから、常磐線に乗り換えます。
いわき発、15:12。
普通電車です。
この電車の前、15:08発のスーパー日立46号にも乗れますけど……。
3駅しか乗らないのに、特急券がもったいないからパス。
到着も7分しか違わないし。
さて、3駅目の泉で降ります。
15:26。
駅前からは、タクシー。
行き先は……。
「アクアマリンふくしま!」
運転手さんに行き先を告げると、由美が肘で脇腹をつつきます。
「何なんです、そこ?」
「水族館だよ」
「えー。
水族館見るために、3時間半も電車乗ったんですか?」
「そのとおり」
「『アクアマリンふくしま』は……。
新潟市の『マリンピア日本海』と、友好提携水族館になっておるのだ。
福島県に来たからには、表敬訪問せにゃなるまい」
「市長でもないのに……。
提携水族館なら、新潟市民は割引なんですか?」
「それは……。
ない。
しかし、『マリンピア日本海』の年間入館パスポートを持ってれば、300円割引になる」
「Mikikoさん、持ってるんですか?」
「持ってるわけないだろ。
3,500円もするんだ。
でも、1回の入館料が1,500円だから……。
年3回行けば、元が取れるんだよ」
「友達同士で使い回せば?」
「ダーメ。
バスポートだから、顔写真入りなの。
本人しか使えません」
ちなみに、泉駅からのアクセスですが……。
もっと早い時間なら、直行のシャトルバスがあります。
ところが、最終が13:18。
もちろん、普通の路線バスもあります。
でも、接続が悪くて、16:07まで便がありません。
てことで、タクシーを使うしかないわけ。
入館前に……。
「アクアマリンふくしま」がある、いわき市の小名浜についてひとこと。
小名浜は、太平洋に臨む漁港です。
福島県の最南端にあり、すぐ南は茨城県。
関東と東北の境目ですね。
わたしは昔、理科年表の気温データを眺めるのが好きだったんですが……。
一番住みやすいとこはどこかなーなんて、調べてたわけ。
目に留まったのが、小名浜でした。
ここは、日本中で住むのに一番快適な地域じゃないでしょうか?
太平洋側だから、冬は毎日晴天。
冬の朝晩はさすがに冷えるけど、昼間は十分暖かい。
夏は、沖を寒流が流れ下るので涼しい。
夏の気温を、東京と比べてみてください。
クールビズなんて不要ですよね。
つまり、冬暖かく夏涼しい。
避寒も避暑も不要。
一年中快適に暮らせる土地ってわけです。
さて、2人を乗せたタクシーは……。
大内宿のように渋滞にも遭わず、無事アクアマリンふくしまに到着しました。
15分くらいでしたね。
カッコいー!
入館料を払って中にはいると、15:45を回ったところ。
閉館は17:30。
閉館ちょっと前には出なきゃならないから……。
正味、1時間半。
よーし、楽しむぞ!
まずは、「潮目の海」。
小名浜沖では、親潮(寒流)と黒潮(暖流)がぶつかるんです。
従って、魚の宝庫。
その2つの潮流がぶつかるところを表現した水槽が、「潮目の海」。
2つの水槽の間に、三角形のトンネルが造ってあります。
2つあわせて水量2,050トンの水量は、ド迫力。
と言っても、2,050トンがどれくらいの水量かって、わかりませんよね。
小学校にある25メートルプールで計算してみましょう。
長さ25メートル、幅15メートル、深さ1.2メートルとすると……。
25×15×1.2=450立方メートル。
水は1立方メートルが1トンですから、すなわち450トン。
つまり「潮目の海」の水槽は、小学校プールの4.5倍ってことです。
さて続いては、「珊瑚礁の海」。
なぜ、福島に「珊瑚礁の海」なんだ……。
って、ギモンもありますが……。
それは、置いといて。
ここには、わたしのお目当てちゃんがいるんです。
それは……。
コイツ!
きゃわいぃぃ!
その名も、チンアナゴ。
砂から顔を出して、流れてくる動物プランクトンなんかを食べます。
びっくりすると、砂の中に引っこんじゃいます。
この形状から連想するに……。
チンアナゴのチンは……。
間違いなく、男性の「チン」だとお思いでしょうが……。
違うんですね。
犬の狆から来てるんです。
顔が似てるからだそうです。
そうきゃなー?
この顔から犬の狆を連想するってのは、かなり特殊な人間ではないか?
やっぱり、どう考えても……。
オトコの「チン」……。
「Mikikoさん!
いつまで見てるんです!
そんなに時間無いんでしょ?
また、大内宿みたいになるとイヤですからね!」
うぅ。
未練が残る……。
やっぱ、1時間半じゃ堪能しきれないよな……。
「そうだ!
お土産買わなくちゃ!」
売店に直行。
「これ、買うぅ!」
「ダメですっ!
こんなでっかい抱き枕かかえて、どうやって旅行続けるんです!」
「由美のけち!」
「けちで結構」
「じゃ、これ」
「なんです、これ?」
「ただの飾り物だよ。
吸盤が付いてるだろ。
これで、テーブルとかに立てるの」
「立ててどうするんです?」
「とりあえず立てるの!
とにかく、チンは立てなきゃダメなの!
これ、何かに似てない?」
「何かって?」
「とぼけちゃって……。
ディルドゥだよ。
吸盤で、テーブルとかにくっつけて使うやつがあるだろ」
「信じらんない!
そんなの、想像してたんですか」
「そだよ。
このチンアナゴからディルドゥ想像するのは……。
ごく健全な連想力だと思う」
「思いません」
さて、なごり尽きませんが……。
もう閉館の17:30が近づいてきました。
閉館5分前には出ましょう。
一番近くのバス停、福島銀行小名浜支店前まで、歩いて10分もかかります。
行きは、早く着きたいからタクシー使ったけど……。
帰りはバス。
17:36、ほぼ時間どおりにバスが来ました。
泉駅着、17:50です。
ここから、常磐線に乗ります。
泉発、18:19。
この日の宿をどこにしようか迷いました。
泉の隣の駅は、湯本駅。
ここには、いわき湯本温泉があります。
道後温泉、有馬温泉と並び、日本三古湯のひとつにあげられる、由緒ある温泉です。
「フラガール」で有名になった、「スパリゾートハワイアンズ」もある。
もう1日あったら、遊んでみたいけど……。
泣く泣くカット。
それに、いわき湯本温泉には……。
安い宿が、あんまり無いみたいなんです。
前2回の個室露天風呂路線だったら……。
間違いなく、ここに泊まったでしょうね。
でも今回は、節約旅行なので……。
パス。
いわきまで戻って泊まることにしました。
いわき着、18:35。
今日のお宿は、駅から徒歩7分。
お宿と言っても、ビジネスホテルです。
「いわきワシントンホテル」さん。
" alt="いわきワシントンホテル">
ここの、「仲良しカップルプラン」というコースを選びました。
朝食付きで、8,000円です。
これ、1人分の値段じゃありません。
2人で、朝食が付いて、8,000円なんです。
ホテルには、夕食が食べられるレストランは無いので……。
食べに出ましょう。
お部屋に荷物だけ下ろしたら、そのまま外出。
もう、19:00近いです。
お昼も早かったし、お腹ペコペコですね。
こんなときは、居酒屋に限る!
というわけで、選んだお店は「隠れ庵 忍家 いわき駅前店」
ホテルからは、徒歩5分。
~つづく~
前にも書いたように、大内宿には宿屋もあります(写真は、蔵造りの民宿「本家扇屋」さん)。
16時半近くなって着くお客さんは、きっとお泊まりですよね。
わたしたちは、運良くその帰り車に転げこむことができました。
って……、都合良すぎるよな……。
みなさんは、もっと余裕ある旅程を組みましょう!
「びっくりすたなや。
いきなり転げこんで来てからに。
何事だべ?(すいません。福島弁がわかりません。これは、タクシーの運転手さんのセリフのつもりです)」
「はぁはぁ。
湯野上温泉駅まで……。
16:46の会津若松行きに乗ります。
間に合いますよね?」
「まだ、25分もあるでねえか。
大余裕だべ。
10分で着くだからな。
普段は……」
「ぎく。
今日は、普段の日……ですよね?」
「うんにゃ。
今日は、年に何日もねえ普段でねえ日だ。
紅葉時期の4連休の初日でねえか。
春のゴールデンウィークと並んで、東西の横綱だべ」
「普段でねえ場合……。
どのくらいかかるんですか?」
「今日中に着かんかも知れん」
「そんな!」
「というのは、冗談だがの。
それでも、下手すりゃ3時間かかることもあるでな。
歩いた方が、はるかに早いわな」
「歩くと……。
どれくらいかかります?」
「まぁ、1時間ちょっとじゃろな」
「それじゃ間に合わないじゃないですか」
「あんたら、走って行ったらどうかね?
さっきはえらい勢いで走って来たでねえか」
「走ったら……、20分で着きますか?」
「自転車より速く走れれば、着くじゃろ」
「そんなぁ……」
「ははは。
安心しなされ。
ほれ、もう駅が見えてきた」
どうやら、この運ちゃんにからかわれてたようで……。
湯野上温泉駅で、なんとか会津若松行きに乗ることができました。
さっき、トロッコ列車で来たばかりの会津線を戻ります。
もちろん帰りの車両は、トロッコ列車ではなく普通の電車です。
同じ線を使って出発地に戻っちゃうってのは、芸の無い旅程ですが……。
どうも、会津若松に帰らないと、その後のアクセスが良くないんです。
会津若松着、17:25です。
「もう外、真っ暗ですね。
今日のお泊まりは、会津若松ですか?」
「うんにゃ」
「Mikikoさん……。
さっきの運転手さんが、乗り移ってますよ……」
「わたしは影響を受けやすいの!
ほら、急ぐぞ!
もうバスが出る」
「また、急ぐのぉ」
泣き言を言う由美を引きずって、駅前のバスターミナルへ。
会津バスが並んでます。
目指すは、17:30発。
5分あれば、乗り継ぎ可能でしょう。
たぶん……。
ま、これを外しても、18:00発がありますから。
「はぁはぁ。
なんとか乗れた……」
「もうわたし、急ぐのいやですから」
「大丈夫。
あとは宿に着くだけだから」
「ところで、どこに行くんです?」
「バス停の標識見て、気づかなかった?」
「そんな余裕、あるわけないじゃないですか」
「それなら教えて進ぜよう。
これから行く先は……。
「行き先は?」
「会津の奥座敷!
★゚・*:.。.:*・゜東山温泉 ゚・*:.。.:*・゚★」
「なんじゃ、その無表情は?」
「知らないんだもの」
「東山温泉も知らんのか!」
「知りません」
「威張って言うな。
東山温泉は、今から1,300年前、名僧行基によって発見された名湯じゃ。
山形県の湯野浜温泉、上山温泉と並び、奥羽三楽郷に数えられておる。
竹久夢二や与謝野晶子などの文人にも、こよなく愛された湯の街なのじゃ」
「カンペ見ながらしゃべらないでください」
さて、あれほど苦労して乗ったバスですが……。
わずか15分の乗車で到着しました。
東山温泉駅で降車します。
駅と云っても、鉄道が通っているわけではなく……。
ただのバス停です。
今日のお宿は、バス停から徒歩10分。
「また歩くの……」
「文句言わない!」
ようやく本日の終点、「東山パークホテル新風月」に到着。
前2回の「紙上旅行倶楽部」では……。
露天風呂付き客室にこだわったせいで……。
目の玉の飛び出るような宿代を払ってきました。
今回は、露天風呂付きはきっぱりと諦め……。
リーズナブル路線。
と言っても、もちろん露天風呂付き大浴場があります。
さっそくお風呂に直行……。
しようと思ったら……。
「わたし行かない……」
「どうして!」
「恥ずかしいもの」
紅葉時期なので、お客さんがたくさんいます。
お風呂も混んでるでしょう。
パイパンの由美ちゃんは、入りづらいでしょうね。
やっぱり……。
奮発して、露天風呂付きの客室にすれば良かったか……。
「わたしが、ずっと前に立って隠してあげる」
「そんなことしたら、よけい目立つでしょ。
Mikikoさん、ひとりで行ってきてください。
わたしは、お部屋でシャワー浴びます。
大丈夫。
慣れてますから、こういうの」
ゴメンよぉ。
わたしが、パイパンなんて設定にしたせいだね。
沈んだわたしの肩を、由美ちゃんが押してくれました。
申し訳ないので……。
家にいるときのようなカラスの行水で、部屋に戻ります。
お風呂でシャワーを使う音が聞こえてます。
思いっきり扉を開けると……(↓新風月のバスルームではありません)。
「きゃぁぁぁ!!」
由美ちゃんが胸を抱えてうずくまりました。
尖ったお尻に萌えます!
たまらずチン入しようとしたわたしですが……。
「うひゃぁ!」
シャワーをぶっかけられました。
ふふふ。
後でたっぷり可愛がってくれる……。
「さ、ご飯食べに行くぞ」
まだふくれてる由美を連れて、レストラン「花鳥風月」へ。
「え?
これって……」
「そう。
大内宿で、飲食を禁じたわけが、わかっただろ?
今日の夕食は……。
★゚・*:.。.:*・゜アルコール飲み放題付バイキングプラン ゚・*:.。.:*・゚★」
「うわー、美味しそう♪
これなら、好きなのだけ選んで食べれるから、すっごいお得かも」
「うんうん。
アルコール飲み放題だし」
「セーブしてくださいよ」
「夜のお楽しみのためにか?」
「あんたは、オヤジか!」
う~。
食い過ぎた……。
妊婦のようになっちゃいました。
由美ちゃんに、背中を押されて部屋に戻ります。
書き忘れてたけど……。
お部屋は和室です。
ホームページでは、「眺望難あり」なんて注意書きがあったけど……。
暗くなってから着いて、朝早く出るんだから……。
ぜんぜん問題なしです。
お部屋には、もう布団が敷いてありました。
「ふっふっふ。
由美。
やっと2人っきりになれたな……。
さ、こっちへ来い」
「いや~。
美弥ちゃん、助けてぇ~」
「と言いながら……。
なぜ、ひとりでくるくる回ってるんだ?」
「帯、解かれてるとこ」
「案外ノリがいいじゃないか。
そんなら遠慮無く、賞味してくれよう」
以下、描写自粛。
1時間経過。
「はぁはぁ。
もうダメ……」
「Mikikoさん、何回イッたんですか?」
「わかんない……」
味わい尽くすつもりが……。
骨の髄までしゃぶられてしまった。
美弥子と連日やってるだけあって……。
異常に上手い……。
後で、ストリップ劇場にでも行ってやろうかと思ってたんだけど……。
余力、ゼロです。
欲も得もなく、眠りにつきます。
◆11月1日(日曜日)【2日目】
「Mikikoさん、目覚めました?」
「もう起きてたの?」
「さっき起きて、思い切ってお風呂に行ってきました。
やっぱり、大きいお風呂は気持ちいいですね」
「人、いなかった?」
「少しいましたけど、混んでなかったから平気。
Mikikoさんも、朝ご飯の前に入って来たら?」
「おー、もう7時過ぎてる。
それじゃ、ひとっ風呂浴びてきますか」
朝食は、7時半から。
もちろん、バイキングです。
また妊婦になりそうなほど詰め込みたい気分を、ぐっと我慢。
今日は日程の都合で、お昼が早いんです。
ご飯2膳で、箸を置きましょう。
8時15分、チェックアウト。
「あれ?
バス停通り過ぎちゃうんですか?」
「バスの便が悪いんだよ。
歩くぞ」
「えー。
またぁ」
「文句言うな。
15分くらいだよ」
ほどなく、本日最初の目的地に到着。
会津武家屋敷です。
そう言えば、松江でも武家屋敷に行きましたね(277のコメント参照)。
あっちは、本物の武家屋敷を公開したものでした。
それに対し、会津の武家屋敷は、一種のミュージアムパークです。
敷地は、7,000坪。
中心となる家老屋敷は、幕末の家老・西郷頼母の邸宅を、忠実に復元したものです。
全部で38部屋あるそうです。
掃除のこと考えると、気が遠くなりますが……。
もちろん、女中さんがいっぱいいたんでしょうね。
実はわたし、この武家屋敷、実際に行ったことあるんです。
新潟から会津は……。
磐越西線で行くと、4時間近くかかっちゃいますけど……。
磐越自動車道を使えば、2時間かかりません。
ちょっとしたドライブの距離なので……。
何年前か前の春に、ひとりでクルマ運転して行ってきたんです。
そのときは、高速ではなく国道49号線を使いました。
会津の町は、花盛りの季節。
沿道には、桐とタニウツギ。
山の斜面には藤。
そして武家屋敷には、大手鞠が咲いてたのを覚えてます。
さて。
1度行ったことがあるところへ……。
なぜ、もう1度立ち寄るかと言うと……。
気に入っちゃったんですね。
なにがって?
それは……。
人形です。
武家屋敷の各部屋は、当時の暮らしぶりを再現するため……。
生活調度が配され……。
加えて、人形が置かれてるんです。
人形っていうか、マネキンですよね。
これがいいのよ。
妙に無表情なとこが、異様に萌えます。
開館時刻の8:30と同時に入館したので……。
まだ、ほとんど人がいません。
「由美ちゃん……。
人が来ないか、そこで見てて……」
「なんでです?」
「お人形見てたら、我慢できなくなった。
ここで、オナニーする」
「ちょ、ちょっと!
ダメです!
ぜったいダメ!」
「いいじゃない。
素っ裸になんかならないからさ」
「なられてたまりますか!」
「痛い、痛い!
耳なんか引っ張らないでよ!」
「退場!」
とうとう、館の外まで引きずり出されてしまいました。
「意地悪!」
「当たり前でしょ。
信じらんない。
さ、次はどこに行くんです?
人形のあるとこはダメですよ」
「くそー。
次は、飯盛山に行く」
「人形、ありませんよね?」
「ないわい!」
せっかく盛り上がった気分に水を差され、すこぶる機嫌が悪い。
時計を見ると、9時15分。
それでも、武家屋敷には45分くらい居たんだな。
「ちょっと、Mikikoさん。
バス停前、通り過ぎちゃいましたよ」
「だから、午前中は、バスの連絡が悪いの」
「じゃぁ、どうやって行くんです?」
「歩くに決まっとろうが」
「なんだ。
飯盛山って、この近くなんですね」
「あんまり、近くではない」
「え?
なんか嫌な予感……。
どのくらい歩くんです?」
「ま……。
軽く30分くらいかな?」
「うそ!」
「30分くらいなんだ!
いい腹ごなしだろ!」
ぶーぶー言う由美を引きずり、ようやく飯盛山に到着。
9時45分です。
山と言っても、標高は314メートルしかないので……。
登山するわけじゃありません。
頂上までのエスカレーターまで備わってます(有料:250円)。
もちろん若い衆は、階段で上りましょう。
飯盛山と言えば……。
もちろん、白虎隊ですね。
戊辰戦争のおり……。
旧幕府軍の白虎隊20名は……。
新政府軍に押され、飯盛山に追い詰められました。
16,7歳の若者たちです。
彼らが、ようようのことで崖をよじ登り……。
振り返ると……。
市中が黒煙に包まれてました。
「若松城が燃えている!」
そう思った彼らは……。
「もはやこれまで……」
と、白刃で互いの胸を突き合ったのです(無惨……)。
20名の内、たったひとりだけ生き残りました。
この飯沼貞吉の証言で、白虎隊の悲劇が伝えられることとなったのです。
実際には、若松城は燃えてなかったんですね。
追い詰められた少年たちが見た、あまりにも悲しい錯覚でした。
ここで、ウンチクをひとつ。
会津藩には、白虎隊のほかに、玄武隊、青龍隊、朱雀隊もあったんです。
それぞれの隊の違いはと言うと……。
単に年齢ですね。
玄武隊が最年長で、50歳以上。
青龍隊が、36歳から49歳。
朱雀隊が、18歳から35歳。
白虎隊が、15歳から17歳。
さて、付け焼き刃の知識を披瀝しておりますが……。
わたしは歴女では無いので……。
正直、幕末に詳しいわけじゃありません。
なので、白虎隊の話はこれでおしまい。
そんなら、なぜ飯盛山に来たかというと……。
1カ所だけ、ぜひ見ておきたい建物があったんです。
飯盛山は、小学校の修学旅行で来てるんだけど……。
そんときに見た記憶がありません。
わたしが見たかったのは、さざえ堂と云う建物です。
「サザエさん」とは、なんの関係もありません。
この「さざえ堂」が建てられたのは、寛政8年(1796年)。
11代将軍、家斉のころですね。
正式名称は「円通三匝堂(えんつうさんそうどう)」と云うそうです。
飯盛山にあった正宗寺の住職、郁堂(いくどう)が考案しました。
外見は、そんなに不思議な感じがしませんが……。
中に入ると、不可思議千万。
堂の高さは、16.5メートルですが……。
階段はありません。
どうやって上るかというと……。
螺旋状のスロープです。
「さざえ」の名前がついた理由、わかりました?
つまり、内部がさざえの殻の中に似てるからなんです。
しかもこのスロープ、不思議なんですよ。
上りと下りのスロープが、まったく別の通路になってるんです。
スロープを一回転半して天辺までのぼると、そのまま下りのスロープにつながります。
で、一回転半して下まで下りる。
すなわち、スロープは一筆書きみたいに繋がってて……。
上る人と下る人が、すれ違わないんですね。
わたしの大好きな作家、高橋克彦さんの作品に、「星の塔」という短編があります。
この中に、「さざえ堂」がちらっと出てきます。
高橋さんの小説なので、当然SF風味の作品です。
ほんとに……。
このお堂を上がって下りると、別の世界に出てしまいそうです。
ちなみにこの「さざえ堂」ですが……。
建築デザイン誌「Casa BRUTUS」の「建築家が選ぶ日本建築人気番付」で、東の横綱に称されてます。
さて、「さざえ堂」さえ見れば……。
もう満足です。
ふもとに下りましょう。
ふもとには、お土産屋さんが並んでます。
バスの時間までは、もう少し間があるので、お土産でも見ましょうか。
うーむ。
小学校の修学旅行を思い出しますね。
男子どもはここで、「白虎刀」を買ってました。
もちろん、鞘から刃からみんな白木で出来たおもちゃです。
のちに鶴ヶ城で、バカ男子どもに取り囲まれ……。
「白虎刀」で滅多切りにされたことは、以前に書きました(263のコメント参照)。
わたしの頭に刃を当てて、ギコギコと引くやつまでいた。
お土産、急激に購入意欲がなくなりました。
「Mikikoさん!」
呼ばれて振り返ると、額に衝撃が……。
「白虎刀」で、真っ向から切られてました。
「ギコギコ」
「引くな!」
バカ女を引きずり、「飯盛山下」バス停へ。
「まだ、お土産買ってないぃぃぃ」
「買わんでいい!」
ようやく、10:34のバスが来ました。
バスの行き先は、会津若松駅。
きのう、会津若松に着いて……。
大内宿を見た後、会津若松に戻り……。
そして翌日、東山温泉から飯盛山を経て、またもや会津若松に戻ります。
つくずく芸のない旅程ですが……。
どうも、会津若松を起点にしないと、繋がらないんです。
会津若松駅前、11:05着です。
これから乗る列車は、12:02の発車。
小一時間あります。
朝ご飯も早かったし……。
飯盛山に登って、お腹もこなれたので……。
ここで、昼食を済ませてしまいましょう。
駅の構内に「一會庵(いちえあん)」という食堂があります。
前に載せた、会津若松駅の構内図を再掲します。
改札を出て、右手ですね(図では下)。
お腹がこなれたと言っても、ご飯ものはちょっと……。
やっぱり、お蕎麦でしょうね。
「ざるそば(上)」と「天ざる(下)」を頼みました。
もちろん、天ぷらは分け合って食べます。
それと、ビール1本。
なぜかラベルは、野口英世でした。
「午前中から飲むんですか!」
「駅の食堂で、昼前からビールを飲む。
まさしく、旅行の醍醐味じゃないか」
「1本だけですよ。
おしっこ近いんだから」
「はいはい」
しかし……。
ビールと天ざるって、完璧にオヤジだよね。
さて、ビールでノドを潤した2人は……。
12:02発の磐越西線・郡山行きに乗りこみます。
何の変哲もない普通電車です。
郡山着、13:15。
ここで、磐越東線・いわき行きに乗り継ぎます。
これも普通電車。
発車は、13:18。
あまりにも接続が良すぎて、逆に心配ですけど……。
たとえ郡山着が遅れたとしても、発車は待ってくれるはずです。
いわき着、14:52。
ここから、常磐線に乗り換えます。
いわき発、15:12。
普通電車です。
この電車の前、15:08発のスーパー日立46号にも乗れますけど……。
3駅しか乗らないのに、特急券がもったいないからパス。
到着も7分しか違わないし。
さて、3駅目の泉で降ります。
15:26。
駅前からは、タクシー。
行き先は……。
「アクアマリンふくしま!」
運転手さんに行き先を告げると、由美が肘で脇腹をつつきます。
「何なんです、そこ?」
「水族館だよ」
「えー。
水族館見るために、3時間半も電車乗ったんですか?」
「そのとおり」
「『アクアマリンふくしま』は……。
新潟市の『マリンピア日本海』と、友好提携水族館になっておるのだ。
福島県に来たからには、表敬訪問せにゃなるまい」
「市長でもないのに……。
提携水族館なら、新潟市民は割引なんですか?」
「それは……。
ない。
しかし、『マリンピア日本海』の年間入館パスポートを持ってれば、300円割引になる」
「Mikikoさん、持ってるんですか?」
「持ってるわけないだろ。
3,500円もするんだ。
でも、1回の入館料が1,500円だから……。
年3回行けば、元が取れるんだよ」
「友達同士で使い回せば?」
「ダーメ。
バスポートだから、顔写真入りなの。
本人しか使えません」
ちなみに、泉駅からのアクセスですが……。
もっと早い時間なら、直行のシャトルバスがあります。
ところが、最終が13:18。
もちろん、普通の路線バスもあります。
でも、接続が悪くて、16:07まで便がありません。
てことで、タクシーを使うしかないわけ。
入館前に……。
「アクアマリンふくしま」がある、いわき市の小名浜についてひとこと。
小名浜は、太平洋に臨む漁港です。
福島県の最南端にあり、すぐ南は茨城県。
関東と東北の境目ですね。
わたしは昔、理科年表の気温データを眺めるのが好きだったんですが……。
一番住みやすいとこはどこかなーなんて、調べてたわけ。
目に留まったのが、小名浜でした。
ここは、日本中で住むのに一番快適な地域じゃないでしょうか?
太平洋側だから、冬は毎日晴天。
冬の朝晩はさすがに冷えるけど、昼間は十分暖かい。
夏は、沖を寒流が流れ下るので涼しい。
夏の気温を、東京と比べてみてください。
クールビズなんて不要ですよね。
つまり、冬暖かく夏涼しい。
避寒も避暑も不要。
一年中快適に暮らせる土地ってわけです。
さて、2人を乗せたタクシーは……。
大内宿のように渋滞にも遭わず、無事アクアマリンふくしまに到着しました。
15分くらいでしたね。
カッコいー!
入館料を払って中にはいると、15:45を回ったところ。
閉館は17:30。
閉館ちょっと前には出なきゃならないから……。
正味、1時間半。
よーし、楽しむぞ!
まずは、「潮目の海」。
小名浜沖では、親潮(寒流)と黒潮(暖流)がぶつかるんです。
従って、魚の宝庫。
その2つの潮流がぶつかるところを表現した水槽が、「潮目の海」。
2つの水槽の間に、三角形のトンネルが造ってあります。
2つあわせて水量2,050トンの水量は、ド迫力。
と言っても、2,050トンがどれくらいの水量かって、わかりませんよね。
小学校にある25メートルプールで計算してみましょう。
長さ25メートル、幅15メートル、深さ1.2メートルとすると……。
25×15×1.2=450立方メートル。
水は1立方メートルが1トンですから、すなわち450トン。
つまり「潮目の海」の水槽は、小学校プールの4.5倍ってことです。
さて続いては、「珊瑚礁の海」。
なぜ、福島に「珊瑚礁の海」なんだ……。
って、ギモンもありますが……。
それは、置いといて。
ここには、わたしのお目当てちゃんがいるんです。
それは……。
コイツ!
きゃわいぃぃ!
その名も、チンアナゴ。
砂から顔を出して、流れてくる動物プランクトンなんかを食べます。
びっくりすると、砂の中に引っこんじゃいます。
この形状から連想するに……。
チンアナゴのチンは……。
間違いなく、男性の「チン」だとお思いでしょうが……。
違うんですね。
犬の狆から来てるんです。
顔が似てるからだそうです。
そうきゃなー?
この顔から犬の狆を連想するってのは、かなり特殊な人間ではないか?
やっぱり、どう考えても……。
オトコの「チン」……。
「Mikikoさん!
いつまで見てるんです!
そんなに時間無いんでしょ?
また、大内宿みたいになるとイヤですからね!」
うぅ。
未練が残る……。
やっぱ、1時間半じゃ堪能しきれないよな……。
「そうだ!
お土産買わなくちゃ!」
売店に直行。
「これ、買うぅ!」
「ダメですっ!
こんなでっかい抱き枕かかえて、どうやって旅行続けるんです!」
「由美のけち!」
「けちで結構」
「じゃ、これ」
「なんです、これ?」
「ただの飾り物だよ。
吸盤が付いてるだろ。
これで、テーブルとかに立てるの」
「立ててどうするんです?」
「とりあえず立てるの!
とにかく、チンは立てなきゃダメなの!
これ、何かに似てない?」
「何かって?」
「とぼけちゃって……。
ディルドゥだよ。
吸盤で、テーブルとかにくっつけて使うやつがあるだろ」
「信じらんない!
そんなの、想像してたんですか」
「そだよ。
このチンアナゴからディルドゥ想像するのは……。
ごく健全な連想力だと思う」
「思いません」
さて、なごり尽きませんが……。
もう閉館の17:30が近づいてきました。
閉館5分前には出ましょう。
一番近くのバス停、福島銀行小名浜支店前まで、歩いて10分もかかります。
行きは、早く着きたいからタクシー使ったけど……。
帰りはバス。
17:36、ほぼ時間どおりにバスが来ました。
泉駅着、17:50です。
ここから、常磐線に乗ります。
泉発、18:19。
この日の宿をどこにしようか迷いました。
泉の隣の駅は、湯本駅。
ここには、いわき湯本温泉があります。
道後温泉、有馬温泉と並び、日本三古湯のひとつにあげられる、由緒ある温泉です。
「フラガール」で有名になった、「スパリゾートハワイアンズ」もある。
もう1日あったら、遊んでみたいけど……。
泣く泣くカット。
それに、いわき湯本温泉には……。
安い宿が、あんまり無いみたいなんです。
前2回の個室露天風呂路線だったら……。
間違いなく、ここに泊まったでしょうね。
でも今回は、節約旅行なので……。
パス。
いわきまで戻って泊まることにしました。
いわき着、18:35。
今日のお宿は、駅から徒歩7分。
お宿と言っても、ビジネスホテルです。
「いわきワシントンホテル」さん。
" alt="いわきワシントンホテル">
ここの、「仲良しカップルプラン」というコースを選びました。
朝食付きで、8,000円です。
これ、1人分の値段じゃありません。
2人で、朝食が付いて、8,000円なんです。
ホテルには、夕食が食べられるレストランは無いので……。
食べに出ましょう。
お部屋に荷物だけ下ろしたら、そのまま外出。
もう、19:00近いです。
お昼も早かったし、お腹ペコペコですね。
こんなときは、居酒屋に限る!
というわけで、選んだお店は「隠れ庵 忍家 いわき駅前店」
ホテルからは、徒歩5分。
~つづく~