2012.3.3(土)
これは、第274回から第284回までのコメント欄で連載した、「出雲に行こう!(Ⅰ~ⅩⅠ)」を、『紙上旅行倶楽部』の1本としてまとめたものです。
ファイルが大きくなるので、(Ⅰ)と(Ⅱ)に分割しました。
なお、題名を、「島根に行こう!」に改めました。
突然ですが!
ヤマタノオロチのお話を書いてたら……。
出雲に行ってみたくなっちゃいました。
みなさんもそうですよね。
ね!
というわけでみなさん、出雲に行きましょう♪
またかよ(怒)! 二番煎じ(憤)!
などの声も聞こえそうですが……。
こうなったら、全都道府県を制覇してやろうかと思っております。
47都道府県中、今回はまだ2回目ですっ!
47番煎じまで行きますからね。
覚悟してちょうだい。
ほとんど巡礼です。
さて。
8月の北海道旅行で、有給休暇たくさん使っちゃったけど……。
今月は、5連休があるんだぜ。
お休み使わなくても行けるんだ。
というわけで、9月19日の土曜日を出発日とします。
同行してくれるのは、今回も愛しの全美貞ちゃん♪
さて、どうやって行くかですが……。
前回の北海道旅行で書いたとおり、新潟から北陸方面へは交通の便が悪いんです。
山陰は、さらにその先ですからね。
新潟から敦賀まで、フェリーを使おうかなとも考えましたが……。
その先のこと思うと……。
日本海沿いに山陰まで行くのは、かなりの忍耐を要するようです。
かと言って、行きに飛行機使うのは味気ないですよね。
ある程度時間かけて着かないと、遠くまで来たって感じがしないじゃん。
ということで今回は、東京回りにしました。
利用するのは鉄道です。
なお、今回の旅行記では……。
臨場感をお伝えするため、前回よりも写真を多用するつもりでおります。
しかしながら、使用する写真はすべて、許可を得ずに無断で転載させていただくものです。
撮影者のみなさん、ごめんなさい!
そして、ありがとう。
さて、写真多用について大きな問題点がひとつ。
FC2の制約により、ひとつのコメントには5つまでしかURLが書けないのです。
したがって、頻繁にコメントを改めることになるかと思います。
前回は、コメントを改めるとき、断り書きを入れてましたが……。
今回は、煩雑になるので入れないことにします。
その代わり、コメントが分かれる場合には、タイトルに「1/3」とかのインデックスを付けます。
「1/3」であれば、コメントが3つに分かれてて、これはそのうちの1つめですよ、って意味です。
以上、お含み置きくださいね。
では、始まり始まり。
◆9月19日(土曜日)【1日目】
今日は、出雲紀行への出発日ですが……。
前日は金曜日。
前夜祭と称し、大いに飲んじゃいました。
その祟りで、今朝は頭が痛いです。
でも今日は、ゆっくり起きても大丈夫なんです。
お昼食べてから、のんびりと出発しましょう。
さて、全美貞と2人、新潟駅に向かいます。
乗るのは、14:46発「Maxとき330号」(ヘンな顔)。
2階席が取れました。
2階席
車中。
前日、旅行への興奮と荒淫で寝付けなかった2人は……。
窓外の景色を見ることもなく、眠りこけてしまいます。
実際、上越新幹線の景色って、あんまり面白くないんです。
景色の良い山越えのあたりは、みんなトンネルの中ですから。
景色が見えるのは、新潟平野と関東平野の平らなとこばっかし。
新潟平野は、刈り入れの終わった田圃が広がってます。
都会の人は、こういう風景も楽しめるのかも知れないけど……。
田舎暮らしのわたしは、見飽きてますからねー。
トンネルを出ると高崎で、あとは関東平野の市街地が続きます。
さて、眠りこけてる間に、東京に着いちゃいました。
17:00。
ここで、山陰行きに乗り換えるかと思いきや……。
2人は、悠然と八重洲北口を出てしまいます。
ここから歩いて、4分。
目的地に到着です。
着いたのは、「居食屋 和民 八重洲店」!
17:00開店なので、まだ始まったばっかりですね。
え?
なんで居酒屋なんか入るかって?
もちろん、夕食を摂るためです。
でも、今夜は東京泊まりじゃありませんよ。
そんな悠長な旅程は組んでません。
出雲へは、夜行で行くんです。
東京駅発は、22:00。
出発時間まで5時間近くあります。
こんな間のある時刻に着いたのは……。
もちろん、わざとです。
出雲旅行を祝って、夜行に乗る前に気勢をあげようという魂胆です。
前夜祭に続き、2日続けての祝杯ですが……。
土曜日なので、サラリーマンもあんまりいなくて、いい感じです。
さて。
21時を回りました。
そろそろ腰を上げましょう。
もちろん、2次会は無しです。
東京駅に戻ります。
2人が乗るのは、「寝台特急サンライズ出雲」。
9番線ホームに、すでに入線してました。
出雲までの直行便です。
でもこの「サンライズ出雲」、カシオペアみたいな豪華列車じゃありません。
ビジネスユースが主体。
なので、2人で泊まれる部屋は、「サンライズツイン」の1種類しかありません。
まぁ、酔っぱらいの寝る部屋ですから、贅沢はいりませんね。
5時間近く飲んでたので、部屋がぐるぐる回ってます。
22:00、「寝台特急サンライズ出雲」は、滑るように東京駅を離れました。
わたしたち2人も、夢の中へ出発。
◆9月20日(日曜日)【2日目】
目が醒めると、もう外は明るくなってました。
夕べは、酔いつぶれてベッドにぶっ倒れましたが……。
22時過ぎの就寝でしたからね。
睡眠は十分。
まだ眠りこけてる全美貞をたたき起こします。
うっかりすると、朝食を摂りはぐれてしまうからです。
「サンライズ出雲」に食堂車はありません。
もちろん、ルームサービスなんかも無し。
朝食はどうやって摂るかと言うと……。
岡山から販売員が乗って来て、新見までの区間で、お弁当やサンドイッチを販売するんです。
岡山が、6:33。
新見が、7:42。
1時間しかありません。
この時間中に買わないと、降りるまで腹ぺこで我慢することになります。
お弁当は二日酔いの胃には重たいので、サンドイッチにしましょう。
さて。
朝食をお腹に詰めこんだら、身だしなみです。
神の国に降りるんですからね。
身を清めなきゃ。
なにしろ夕べは、朦朧としたまま化粧落としただけで、バタンキューでしたからね。
と言っても、部屋にお風呂なんか付いてません。
フェリーのスイートとは大違い。
部屋の外に、共同のシャワー室があるだけ。
このシャワーも、自由に使えるわけじゃありませんよ。
給水タンクに限りがありますからね。
シャワーカードというのが販売されてて、20枚限定なんです。
これは夕べのうちに、車掌さんから買っておきました。
1枚300円です。
お湯が出るのは6分間。
でも、日頃からカラスの行水のわたしには、十分な時間でした。
さて、速攻で化粧を済ませると、9:58、終点の出雲市駅に到着です。
出雲に着いたら……。
まずは、何を置いても行かなきゃならないのが……。
出雲大社!
一畑電車で行きましょう。
電鉄出雲市駅から、北松江線に乗ります。
10:15、発車。
4駅目の川跡駅で、大社線に乗り換え。
出雲大社着、10:47。
さすが、神々の総本山。
何もかも巨大です。
参拝を終え、再び大鳥居まで戻ったら……。
古代出雲大社模型展示館「雲太」に寄りましょう。
古代出雲大社の、10分の1模型が展示されてます。
こういうの見ると、わくわくしますよね。
タイムマシンがあったら、絶対見に行きたいとこのひとつです。
古代出雲大社の高さは、48メートルあったそうです。
14階建てビルに相当する高さですよ。
階段の長さは、109メートル。
前に、子供向けのSF小説を書きたかったって言いましたけど……。
この階段こそは!
古代出雲王国の粒子加速器だった、なんてアイデアも考えました。
ロマンに浸りながらも……。
お腹が空きました。
今朝はサンドイッチだけでしたからね。
出雲に来たんだから、お昼はもちろん「出雲そば」を食べましょう。
大鳥居のそばに、「やしろや」さんがあります。
何を食っていいのかわからんので、「特製割子そば」というのを注文しました。
さて、お腹を満たしたら、もうひと勉強。
「やしろや」さんの向かいに、「古代出雲歴史博物館」があります。
上の画像は、荒神谷遺跡から出土した銅剣(後方)と、加茂岩倉遺跡から出土した銅鐸。
この銅鐸ってやつがまた、想像をかき立てますよね。
ほんとに、何のために作られたんでしょう。
さて、出雲大社にもご挨拶もしたし、十二分に堪能しましたね。
一畑電車で戻りましょう。
出雲大社前駅、14:01、出発です。
今度は川跡駅で乗り換えず、そのまま宍道湖の北を周り、松江に向かいます。
15:02、松江しんじ湖温泉駅着。
宿に入るにはまだ早い時間です。
足を伸ばして、松江城を目指しましょう。
バスで4~5分くらいの距離なので、歩いて行きます。
ちょっと寄り道したいから。
それは……。
月照寺!
ここには、面白いものがあるんですよ。
↓これ、これ!
さすがのロシアのディルドゥも、この亀さまには負ける……。
大亀頭を前に、大いに盛り上がる2人です。
さて、松江城に向かいましょう。
松江と言えば……。
もちろん、小泉八雲です。
さっきの大亀も、八雲が「夜な夜な松江を徘徊する」と随筆に書いてます。
目指すは、「小泉八雲記念館」。
松江城を囲む堀沿いにあります。
となりには、「小泉八雲旧居」があります。
「庭のある侍の屋敷に住みたい」と、八雲自ら希望して借りた家。
八雲はここで、奥さんのセツさんと新婚時代を過ごしました。
旧居を出て堀沿いをさらに歩くと、「武家屋敷」があります。
「小泉八雲記念館」や「武家屋敷」が並ぶ堀沿いの道は、「塩見縄手」と呼ばれてます。
「塩見縄手」は江戸時代の侍町の通りで、「日本の道100選」にも定められてます。
「縄手」とは、まっすぐな長い道を云うらしいです。
新潟みたいな港町では、道が真っ直ぐなのは当たり前ですけど……。
城下町の道筋は、外敵の侵入を防ぐために、鈎の手になってたりしますからね。
真っ直ぐな道が珍しいので、わざわざ「縄手」なんて呼びかたをしたんでしょうか?
ほんと、城下町っていいですよね。
わたしは、城下町の雰囲気が大好きなんです。
新潟みたいな港町は、スコーンと空が開けてる感じで、なんだか落ち着きません。
その点城下町は、箱庭みたいにチマチマっとまとまってる感じが、わたしの肌身に合うんでしょうね。
さて、どうやら縄手道も尽き、バスが来たようです。
17:28、「北堀町」バス停から一畑バスに乗車、「松江大橋北詰」で降ります。
所要時間6分。
今夜の宿は、バス停から徒歩2分のところにあります。
宍道湖から流れ出る大橋川のたもと。
「皆美館」さんです。
島崎藤村が愛したお宿とか。
庭園は、アメリカの専門誌「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」でも紹介されてます。
わたしたちが泊まるのは、展望露天風呂の付いた4Fのお部屋。
仲居さんが帰るや否や、さっそく飛びこむ2人です。
「月舞」コースのお料理です。
さて、宍道湖の夜も更けました。
お布団に潜りこむことにしましょう。
お楽しみはこれからですよ♪
2人だけの夜が、更けていきます……。
◆9月21日(月曜日)【3日目】
気持ちのいい目覚めです。
朝食前に、もうひとっ風呂浴びましょう。
さて。
朝食は、お楽しみ♪
皆美館名物の「鯛めし」が選べるんです。
ご飯に載った鯛のそぼろに、秘伝のだし汁をかけていただきます。
うまい!(たぶん)
名残惜しいですけど、9時にはチェックアウトしましょう。
皆美館を出て北に1分ほど歩くと、京橋川に行きあたります。
この川は、松江城の外堀にあたります。
行きあたったところが、松江堀川遊覧船の「カラコロ広場発着場」です。
ちなみに、この「カラコロ広場」ってのは……。
小泉八雲の文章から付けられた名称だとか。
八雲は、松江大橋を渡る下駄の音色に、いたく心を引かれたようです。
今朝はまず、この発着場から遊覧船に乗ることにしましょう。
「ぐるっと松江堀川めぐり」。
9:00が始発で、15分間隔で出てます。
所要時間は、約50分。
松江城のお堀をめぐる遊覧船の旅、出発進行!
季節がバラバラだけど、ご容赦くださいね。
花時期の写真しか置いてなかったんです。
でも、いい景色ですよね。
松江は、わたしの憧れの町のひとつ。
お城があって、堀が巡ってて……。
新潟に、お城は無いけど……。
かつては、堀がありました。
市中には、縦横に堀割が張り巡らされ……。
堀は、信濃川と繋がってました。
野菜などの荷を積んだ小舟が、信濃川から堀に入り、市中を忙しげに行き交ってたそうです。
でも大正時代、信濃川の水が大河津分水で海に分流されるようになり……。
新潟市を流れる信濃川の水位が下がると……。
堀の水はよどむようになります。
やがて、運搬手段も、船から自動車に替わっていき……。
どぶ川のようになった堀は、厄介者にされるようになりました。
そして、昭和30年代の終わり。
新潟国体を前に、すべての堀が埋められ、道路にされました。
1本残らずです。
新潟人には、こういった思いっきりの良さ、みたいなとこがあるんですよね。
港町の気風なんでしょうかね。
新しもの好きで、変化を厭いません。
なので、新潟にはあんまり古いものが残ってないんです。
古いものは、あっさりと捨て去られて来たんですね。
でも最近、やっぱり堀は良かったって言う人も出てきたみたいで……。
堀割を復活させよう、なんて運動も起きてるようです。
実際、信濃川の水が豊かだったころは、ほんとにいい風景だったみたいなんです。
堀割を、信濃川から迷いこんだ鮭の群が、背びれを立てて泳いでいたとか……。
偶然にも、今年は新潟に、2度目の国体が巡ってきます。
45年ぶりのこと。
45年前の国体は、堀割りを埋める契機となったイベントでした。
こうして松江の堀をめぐっていると、胸の中にも波が立つような気がします。
松江みたいに今でも堀割が残ってる町には、DNAが揺さぶられるんでしょうかね。
堀を埋めてしまった悔恨みたいなのが、わたしの胸にも疼くんでしょうか。
身体の中には、まだ堀割が流れてるのかも知れません。
そんな気持ちを慰める、50分の船旅です。
塩見縄手が右に見えてきました。
遊覧船は、きのう歩いたコースとは逆周りに内堀をめぐります。
さて50分後、もとの「カラコロ広場」に到着。
これで松江を離れますので、お土産を買っていきましょう。
「めのうの店 川島」さんが、すぐ目の前(夜の写真しか無かった)。
明治10年創業の老舗です。
わたしが選んだのは、「勾玉ストラップ」と「紅水晶のうさぎ」。
うさぎは、わたしの干支なんです。
ピンクのうさぎなんて、何かいいこと起こりそうじゃありませんか。
お土産買ったら、昨日出雲からのバスを降りた、松江しんじ湖温泉駅まで歩きましょう。
15分弱かな。
でも、今日は電車には乗りません。
駅前で、一畑バスを待ちます。
11:51、発車。
目指すは、須我神社。
ちょうどお昼どきになっちゃいましたね。
でも、須我神社付近には、食事の摂れるお店が無いようです。
で、バスを、ひと停留所前の「こも沢」で降ります。
時計を見ると、12:36。
ここに、「手打ちそば 海潮路」さんがあります。
変わった店です。
まず、営業日。
月曜から木曜まで休み。
つまり営業は、週末の3日間だけ。
営業時間も、11時から14時までの5時間だけ。
しかも!
メニューは2品のみ!
やる気あんのか……。
まぁ、ほかに店が無いんだからしょうがありません。
え?
今日は月曜だって?
それは大丈夫。
祝祭日はやってるんです。
多少は、商売っ気もあるみたい……。
さて、メニューの2品ですが。
「割子そば(左)」と「釜揚げそば(右)」です。
どちらも800円。
2者択一。
ひとりで来たら、運命の選択に迷うかも知れませんが……。
2人だから簡単。
両方注文して、半分ずつ食べればいいんですから。
ところで、そもそも……。
「割子そば」と「釜揚げそば」って何なんでしょう?
新潟では聞かない名称です。
どうやら、出雲独特の食べ方みたいですね。
「割子そば」は、重なった丸い漆器に、そばが盛られて出てきます。
三段重ねで一人前らしいです。
一見、盛りそばですよね。
でも、そばつゆの入った徳利はありますが、猪口が見あたりません。
どうするかというと……。
漆器の上から、直接そばつゆをかけるんですね。
そばつゆは味の濃い店が多いので、かけ過ぎないようごちういとのこと。
漆器の一番上を食べたら、そばつゆを二段目に移します。
だんだんつゆが薄まって、いい感じになるんでしょうかね?
ちなみに、漆器が丸い理由は……。
四角だと角が洗いにくいからだそうです。
納得。
一方、「釜揚げそば」は……。
丼にそばが入って、そば湯が注がれて出てきます。
そこへ、そばつゆと薬味をお好みでかけて食べます。
味の濃さとか、自分で調整できるからいいですね。
早い話が、「もり」と「かけ」の違いだよな。
~つづく~
ファイルが大きくなるので、(Ⅰ)と(Ⅱ)に分割しました。
なお、題名を、「島根に行こう!」に改めました。
突然ですが!
ヤマタノオロチのお話を書いてたら……。
出雲に行ってみたくなっちゃいました。
みなさんもそうですよね。
ね!
というわけでみなさん、出雲に行きましょう♪
またかよ(怒)! 二番煎じ(憤)!
などの声も聞こえそうですが……。
こうなったら、全都道府県を制覇してやろうかと思っております。
47都道府県中、今回はまだ2回目ですっ!
47番煎じまで行きますからね。
覚悟してちょうだい。
ほとんど巡礼です。
さて。
8月の北海道旅行で、有給休暇たくさん使っちゃったけど……。
今月は、5連休があるんだぜ。
お休み使わなくても行けるんだ。
というわけで、9月19日の土曜日を出発日とします。
同行してくれるのは、今回も愛しの全美貞ちゃん♪
さて、どうやって行くかですが……。
前回の北海道旅行で書いたとおり、新潟から北陸方面へは交通の便が悪いんです。
山陰は、さらにその先ですからね。
新潟から敦賀まで、フェリーを使おうかなとも考えましたが……。
その先のこと思うと……。
日本海沿いに山陰まで行くのは、かなりの忍耐を要するようです。
かと言って、行きに飛行機使うのは味気ないですよね。
ある程度時間かけて着かないと、遠くまで来たって感じがしないじゃん。
ということで今回は、東京回りにしました。
利用するのは鉄道です。
なお、今回の旅行記では……。
臨場感をお伝えするため、前回よりも写真を多用するつもりでおります。
しかしながら、使用する写真はすべて、許可を得ずに無断で転載させていただくものです。
撮影者のみなさん、ごめんなさい!
そして、ありがとう。
さて、写真多用について大きな問題点がひとつ。
FC2の制約により、ひとつのコメントには5つまでしかURLが書けないのです。
したがって、頻繁にコメントを改めることになるかと思います。
前回は、コメントを改めるとき、断り書きを入れてましたが……。
今回は、煩雑になるので入れないことにします。
その代わり、コメントが分かれる場合には、タイトルに「1/3」とかのインデックスを付けます。
「1/3」であれば、コメントが3つに分かれてて、これはそのうちの1つめですよ、って意味です。
以上、お含み置きくださいね。
では、始まり始まり。
◆9月19日(土曜日)【1日目】
今日は、出雲紀行への出発日ですが……。
前日は金曜日。
前夜祭と称し、大いに飲んじゃいました。
その祟りで、今朝は頭が痛いです。
でも今日は、ゆっくり起きても大丈夫なんです。
お昼食べてから、のんびりと出発しましょう。
さて、全美貞と2人、新潟駅に向かいます。
乗るのは、14:46発「Maxとき330号」(ヘンな顔)。
2階席が取れました。
2階席
車中。
前日、旅行への興奮と荒淫で寝付けなかった2人は……。
窓外の景色を見ることもなく、眠りこけてしまいます。
実際、上越新幹線の景色って、あんまり面白くないんです。
景色の良い山越えのあたりは、みんなトンネルの中ですから。
景色が見えるのは、新潟平野と関東平野の平らなとこばっかし。
新潟平野は、刈り入れの終わった田圃が広がってます。
都会の人は、こういう風景も楽しめるのかも知れないけど……。
田舎暮らしのわたしは、見飽きてますからねー。
トンネルを出ると高崎で、あとは関東平野の市街地が続きます。
さて、眠りこけてる間に、東京に着いちゃいました。
17:00。
ここで、山陰行きに乗り換えるかと思いきや……。
2人は、悠然と八重洲北口を出てしまいます。
ここから歩いて、4分。
目的地に到着です。
着いたのは、「居食屋 和民 八重洲店」!
17:00開店なので、まだ始まったばっかりですね。
え?
なんで居酒屋なんか入るかって?
もちろん、夕食を摂るためです。
でも、今夜は東京泊まりじゃありませんよ。
そんな悠長な旅程は組んでません。
出雲へは、夜行で行くんです。
東京駅発は、22:00。
出発時間まで5時間近くあります。
こんな間のある時刻に着いたのは……。
もちろん、わざとです。
出雲旅行を祝って、夜行に乗る前に気勢をあげようという魂胆です。
前夜祭に続き、2日続けての祝杯ですが……。
土曜日なので、サラリーマンもあんまりいなくて、いい感じです。
さて。
21時を回りました。
そろそろ腰を上げましょう。
もちろん、2次会は無しです。
東京駅に戻ります。
2人が乗るのは、「寝台特急サンライズ出雲」。
9番線ホームに、すでに入線してました。
出雲までの直行便です。
でもこの「サンライズ出雲」、カシオペアみたいな豪華列車じゃありません。
ビジネスユースが主体。
なので、2人で泊まれる部屋は、「サンライズツイン」の1種類しかありません。
まぁ、酔っぱらいの寝る部屋ですから、贅沢はいりませんね。
5時間近く飲んでたので、部屋がぐるぐる回ってます。
22:00、「寝台特急サンライズ出雲」は、滑るように東京駅を離れました。
わたしたち2人も、夢の中へ出発。
◆9月20日(日曜日)【2日目】
目が醒めると、もう外は明るくなってました。
夕べは、酔いつぶれてベッドにぶっ倒れましたが……。
22時過ぎの就寝でしたからね。
睡眠は十分。
まだ眠りこけてる全美貞をたたき起こします。
うっかりすると、朝食を摂りはぐれてしまうからです。
「サンライズ出雲」に食堂車はありません。
もちろん、ルームサービスなんかも無し。
朝食はどうやって摂るかと言うと……。
岡山から販売員が乗って来て、新見までの区間で、お弁当やサンドイッチを販売するんです。
岡山が、6:33。
新見が、7:42。
1時間しかありません。
この時間中に買わないと、降りるまで腹ぺこで我慢することになります。
お弁当は二日酔いの胃には重たいので、サンドイッチにしましょう。
さて。
朝食をお腹に詰めこんだら、身だしなみです。
神の国に降りるんですからね。
身を清めなきゃ。
なにしろ夕べは、朦朧としたまま化粧落としただけで、バタンキューでしたからね。
と言っても、部屋にお風呂なんか付いてません。
フェリーのスイートとは大違い。
部屋の外に、共同のシャワー室があるだけ。
このシャワーも、自由に使えるわけじゃありませんよ。
給水タンクに限りがありますからね。
シャワーカードというのが販売されてて、20枚限定なんです。
これは夕べのうちに、車掌さんから買っておきました。
1枚300円です。
お湯が出るのは6分間。
でも、日頃からカラスの行水のわたしには、十分な時間でした。
さて、速攻で化粧を済ませると、9:58、終点の出雲市駅に到着です。
出雲に着いたら……。
まずは、何を置いても行かなきゃならないのが……。
出雲大社!
一畑電車で行きましょう。
電鉄出雲市駅から、北松江線に乗ります。
10:15、発車。
4駅目の川跡駅で、大社線に乗り換え。
出雲大社着、10:47。
さすが、神々の総本山。
何もかも巨大です。
参拝を終え、再び大鳥居まで戻ったら……。
古代出雲大社模型展示館「雲太」に寄りましょう。
古代出雲大社の、10分の1模型が展示されてます。
こういうの見ると、わくわくしますよね。
タイムマシンがあったら、絶対見に行きたいとこのひとつです。
古代出雲大社の高さは、48メートルあったそうです。
14階建てビルに相当する高さですよ。
階段の長さは、109メートル。
前に、子供向けのSF小説を書きたかったって言いましたけど……。
この階段こそは!
古代出雲王国の粒子加速器だった、なんてアイデアも考えました。
ロマンに浸りながらも……。
お腹が空きました。
今朝はサンドイッチだけでしたからね。
出雲に来たんだから、お昼はもちろん「出雲そば」を食べましょう。
大鳥居のそばに、「やしろや」さんがあります。
何を食っていいのかわからんので、「特製割子そば」というのを注文しました。
さて、お腹を満たしたら、もうひと勉強。
「やしろや」さんの向かいに、「古代出雲歴史博物館」があります。
上の画像は、荒神谷遺跡から出土した銅剣(後方)と、加茂岩倉遺跡から出土した銅鐸。
この銅鐸ってやつがまた、想像をかき立てますよね。
ほんとに、何のために作られたんでしょう。
さて、出雲大社にもご挨拶もしたし、十二分に堪能しましたね。
一畑電車で戻りましょう。
出雲大社前駅、14:01、出発です。
今度は川跡駅で乗り換えず、そのまま宍道湖の北を周り、松江に向かいます。
15:02、松江しんじ湖温泉駅着。
宿に入るにはまだ早い時間です。
足を伸ばして、松江城を目指しましょう。
バスで4~5分くらいの距離なので、歩いて行きます。
ちょっと寄り道したいから。
それは……。
月照寺!
ここには、面白いものがあるんですよ。
↓これ、これ!
さすがのロシアのディルドゥも、この亀さまには負ける……。
大亀頭を前に、大いに盛り上がる2人です。
さて、松江城に向かいましょう。
松江と言えば……。
もちろん、小泉八雲です。
さっきの大亀も、八雲が「夜な夜な松江を徘徊する」と随筆に書いてます。
目指すは、「小泉八雲記念館」。
松江城を囲む堀沿いにあります。
となりには、「小泉八雲旧居」があります。
「庭のある侍の屋敷に住みたい」と、八雲自ら希望して借りた家。
八雲はここで、奥さんのセツさんと新婚時代を過ごしました。
旧居を出て堀沿いをさらに歩くと、「武家屋敷」があります。
「小泉八雲記念館」や「武家屋敷」が並ぶ堀沿いの道は、「塩見縄手」と呼ばれてます。
「塩見縄手」は江戸時代の侍町の通りで、「日本の道100選」にも定められてます。
「縄手」とは、まっすぐな長い道を云うらしいです。
新潟みたいな港町では、道が真っ直ぐなのは当たり前ですけど……。
城下町の道筋は、外敵の侵入を防ぐために、鈎の手になってたりしますからね。
真っ直ぐな道が珍しいので、わざわざ「縄手」なんて呼びかたをしたんでしょうか?
ほんと、城下町っていいですよね。
わたしは、城下町の雰囲気が大好きなんです。
新潟みたいな港町は、スコーンと空が開けてる感じで、なんだか落ち着きません。
その点城下町は、箱庭みたいにチマチマっとまとまってる感じが、わたしの肌身に合うんでしょうね。
さて、どうやら縄手道も尽き、バスが来たようです。
17:28、「北堀町」バス停から一畑バスに乗車、「松江大橋北詰」で降ります。
所要時間6分。
今夜の宿は、バス停から徒歩2分のところにあります。
宍道湖から流れ出る大橋川のたもと。
「皆美館」さんです。
島崎藤村が愛したお宿とか。
庭園は、アメリカの専門誌「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」でも紹介されてます。
わたしたちが泊まるのは、展望露天風呂の付いた4Fのお部屋。
仲居さんが帰るや否や、さっそく飛びこむ2人です。
「月舞」コースのお料理です。
さて、宍道湖の夜も更けました。
お布団に潜りこむことにしましょう。
お楽しみはこれからですよ♪
2人だけの夜が、更けていきます……。
◆9月21日(月曜日)【3日目】
気持ちのいい目覚めです。
朝食前に、もうひとっ風呂浴びましょう。
さて。
朝食は、お楽しみ♪
皆美館名物の「鯛めし」が選べるんです。
ご飯に載った鯛のそぼろに、秘伝のだし汁をかけていただきます。
うまい!(たぶん)
名残惜しいですけど、9時にはチェックアウトしましょう。
皆美館を出て北に1分ほど歩くと、京橋川に行きあたります。
この川は、松江城の外堀にあたります。
行きあたったところが、松江堀川遊覧船の「カラコロ広場発着場」です。
ちなみに、この「カラコロ広場」ってのは……。
小泉八雲の文章から付けられた名称だとか。
八雲は、松江大橋を渡る下駄の音色に、いたく心を引かれたようです。
今朝はまず、この発着場から遊覧船に乗ることにしましょう。
「ぐるっと松江堀川めぐり」。
9:00が始発で、15分間隔で出てます。
所要時間は、約50分。
松江城のお堀をめぐる遊覧船の旅、出発進行!
季節がバラバラだけど、ご容赦くださいね。
花時期の写真しか置いてなかったんです。
でも、いい景色ですよね。
松江は、わたしの憧れの町のひとつ。
お城があって、堀が巡ってて……。
新潟に、お城は無いけど……。
かつては、堀がありました。
市中には、縦横に堀割が張り巡らされ……。
堀は、信濃川と繋がってました。
野菜などの荷を積んだ小舟が、信濃川から堀に入り、市中を忙しげに行き交ってたそうです。
でも大正時代、信濃川の水が大河津分水で海に分流されるようになり……。
新潟市を流れる信濃川の水位が下がると……。
堀の水はよどむようになります。
やがて、運搬手段も、船から自動車に替わっていき……。
どぶ川のようになった堀は、厄介者にされるようになりました。
そして、昭和30年代の終わり。
新潟国体を前に、すべての堀が埋められ、道路にされました。
1本残らずです。
新潟人には、こういった思いっきりの良さ、みたいなとこがあるんですよね。
港町の気風なんでしょうかね。
新しもの好きで、変化を厭いません。
なので、新潟にはあんまり古いものが残ってないんです。
古いものは、あっさりと捨て去られて来たんですね。
でも最近、やっぱり堀は良かったって言う人も出てきたみたいで……。
堀割を復活させよう、なんて運動も起きてるようです。
実際、信濃川の水が豊かだったころは、ほんとにいい風景だったみたいなんです。
堀割を、信濃川から迷いこんだ鮭の群が、背びれを立てて泳いでいたとか……。
偶然にも、今年は新潟に、2度目の国体が巡ってきます。
45年ぶりのこと。
45年前の国体は、堀割りを埋める契機となったイベントでした。
こうして松江の堀をめぐっていると、胸の中にも波が立つような気がします。
松江みたいに今でも堀割が残ってる町には、DNAが揺さぶられるんでしょうかね。
堀を埋めてしまった悔恨みたいなのが、わたしの胸にも疼くんでしょうか。
身体の中には、まだ堀割が流れてるのかも知れません。
そんな気持ちを慰める、50分の船旅です。
塩見縄手が右に見えてきました。
遊覧船は、きのう歩いたコースとは逆周りに内堀をめぐります。
さて50分後、もとの「カラコロ広場」に到着。
これで松江を離れますので、お土産を買っていきましょう。
「めのうの店 川島」さんが、すぐ目の前(夜の写真しか無かった)。
明治10年創業の老舗です。
わたしが選んだのは、「勾玉ストラップ」と「紅水晶のうさぎ」。
うさぎは、わたしの干支なんです。
ピンクのうさぎなんて、何かいいこと起こりそうじゃありませんか。
お土産買ったら、昨日出雲からのバスを降りた、松江しんじ湖温泉駅まで歩きましょう。
15分弱かな。
でも、今日は電車には乗りません。
駅前で、一畑バスを待ちます。
11:51、発車。
目指すは、須我神社。
ちょうどお昼どきになっちゃいましたね。
でも、須我神社付近には、食事の摂れるお店が無いようです。
で、バスを、ひと停留所前の「こも沢」で降ります。
時計を見ると、12:36。
ここに、「手打ちそば 海潮路」さんがあります。
変わった店です。
まず、営業日。
月曜から木曜まで休み。
つまり営業は、週末の3日間だけ。
営業時間も、11時から14時までの5時間だけ。
しかも!
メニューは2品のみ!
やる気あんのか……。
まぁ、ほかに店が無いんだからしょうがありません。
え?
今日は月曜だって?
それは大丈夫。
祝祭日はやってるんです。
多少は、商売っ気もあるみたい……。
さて、メニューの2品ですが。
「割子そば(左)」と「釜揚げそば(右)」です。
どちらも800円。
2者択一。
ひとりで来たら、運命の選択に迷うかも知れませんが……。
2人だから簡単。
両方注文して、半分ずつ食べればいいんですから。
ところで、そもそも……。
「割子そば」と「釜揚げそば」って何なんでしょう?
新潟では聞かない名称です。
どうやら、出雲独特の食べ方みたいですね。
「割子そば」は、重なった丸い漆器に、そばが盛られて出てきます。
三段重ねで一人前らしいです。
一見、盛りそばですよね。
でも、そばつゆの入った徳利はありますが、猪口が見あたりません。
どうするかというと……。
漆器の上から、直接そばつゆをかけるんですね。
そばつゆは味の濃い店が多いので、かけ過ぎないようごちういとのこと。
漆器の一番上を食べたら、そばつゆを二段目に移します。
だんだんつゆが薄まって、いい感じになるんでしょうかね?
ちなみに、漆器が丸い理由は……。
四角だと角が洗いにくいからだそうです。
納得。
一方、「釜揚げそば」は……。
丼にそばが入って、そば湯が注がれて出てきます。
そこへ、そばつゆと薬味をお好みでかけて食べます。
味の濃さとか、自分で調整できるからいいですね。
早い話が、「もり」と「かけ」の違いだよな。
~つづく~