2013.7.23(火)
一旦立ち上がったあやめは、胡坐をかいて床に座る香奈枝の背後に膝をついた。縄を放し、両腕を前に回して抱きしめる。耳に唇を這わせ、口に含んだ。
「ふうん」
「かな、香奈ぁ」
「あやめぇ」
「香奈、今からやる縛りはなあ、初心者にはかなりきついねん。しやから……覚えてるかぁ、香奈。『あやめ5回』」
「覚えてるよぅ。でも、頑張るよ、あたし」
「ほうか。ま、しやから縛る前に、先にご褒美や。可愛がったる」
言うなりあやめは、香奈枝の両の乳房を鷲掴みにする。左右の手の指で乳首を摘まみ、擦り、捻り上げる。
「ひいん」
「香、奈、の、ち、く、び、は、グ、ミ、の、実ぃ」
あやめはリズムを付けるように唱えながら、同じリズムで香奈枝の乳首を摘まみ上げた。
香奈枝は、両腕を高手小手に、両脚を胡坐縛りに縛られている。あやめの指責めに抗する術は全くない。しかし、香奈枝の両腕両脚は、あやめの指と同じリズムで、縛める縄を引きちぎろうとでも云う様に激しく緊張した。もちろん縄が緩むはずもないが、ギシギシと軋む音が出そうであった。
「ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひぃっ」
あやめの片手が香奈枝の股間に伸び、外性器に触れた。クリトリスを押し潰す。
「やあああああ」
乳首を離れたあやめの指が、背後から香奈枝の尻の間に潜り込んだ。的確に肛門を探り当てる。一気に指を押し込んだ。
「くあっ」
香奈枝は、胡坐の姿勢のまま全身で伸びあがろうとした。激しい勢いで、あやめを押しのけるように背後に倒れる。脚を胡坐に組んだまま、床に後頭部を打ち付けた。香奈枝の意識ははじけ飛んだ。
「香奈、香奈……香奈ぁ」
ああ、あやめだ、あやめの声だ。
呼んでる、あたしを呼んでる。
返事しなきゃ。
「ああ、あやめぇ」
「ああ、気ぃついたか、香奈」
「あたし……どうしたの」
「後ろに倒れて頭、打ったんよ。大丈夫かあ」
「え、そうなの」
「悪かったね、うちが支えたらなあかんかったのに」
「ううん、そんなこと」
「香奈、今日はここまでにしとこか。頭打ったし」
「えー、大したことない、大丈夫よお。最後までやろうよう」
「うーん、ほんでもなあ」
「今のは、頭打ったからというより、いったんだよ。気持ちよすぎて」
「ふん。あんた、耳弱いけど、肛門も弱いねえ。指突っこんだ途端にああやもんねえ。凄い勢いやったで」
「もう、やだ、あやめ」
「ほなら再開や」
「うん」
あやめは香奈枝を抱き起し、胡坐の姿勢に戻した。胡坐の脚を固定した縄の続きを手にし、改めて扱く。香奈枝の右横に膝立ちになり、右手に縄を持った。
「ええか、香奈」
「はい、あやめさん、お願いします」
「ええ覚悟や。ま、頑張りぃ」
いうなりあやめは、左手を香奈枝の後頭部にあてがい思い切り下に押し下げた。香奈枝は腰を境に二つ折りになる。ほとんど胸が両脚に付くほどであった。
「ぐぅっ」
香奈枝の口から短い呻きが漏れた。反射的に押し下げる力に抵抗しようとするが、すぐにその抵抗は止んだ。香奈枝は、自分の意志で二つ折りの姿勢を維持する。
「よおし、そのまま、そないしてるんやで」
「は……はい」
香奈枝は返事を絞り出した。その声は少しくぐもっている。
あやめは縄を両手に持ち替え、躙りながら香奈枝の背後に回った。縄を香奈枝の右肩に掛け、さらに背後に回す。
香奈枝の上体が少し浮いた。
「動くな、香奈!」
「はいぃ」
あやめは、高手小手に香奈枝の両腕を固定している結び目の隙間に縄を通し、引いた。改めて香奈枝の上体を押し付けながら、縄を引き絞る。
「ふ……ぐぅ」
呻く香奈枝には構わず、あやめは縄を結び目に絡め、固定した。縄は、香奈枝の胡坐の両脚から右肩、背中まで緩みなく張りつめた。
「どや、香奈」
「ぐふぅ」
「返事もでけんか。ま、そんなもんやろ。しやけど香奈、まだまだこれからやで」
あやめは、縄を引きながら香奈枝の左横を通って香奈枝の正面まで躙った。香奈枝の周りを一周したことになる。縄は、香奈枝の背から伸びて左肩に掛かっている。
あやめはその縄を引き絞り、胡坐縛りの結び目に通し、絡めた。結ぶ。
これで香奈枝は、上体を起こそうとしても出来なくなった。
「どや、香奈。苦しいか」
「ぐふう」
「そうか、そうか。気持ちええか」
「うふう」
「香奈、この縛りかたなあ、海老縛り、ゆうんや」
「えぇ……びぃ?」
「せや、イセエビやクルマエビの海老や。体が二つ折りになったとこがよう似とるやろ」
「あたし……えび……」
「せや、カナエビや。せやけど香奈。海老縛り、まだ完成はしとらんのやで」
あやめの言葉を、香奈枝は遠くに聞いた。
コメント一覧
-
––––––
1. ハーレクイン- 2013/07/23 08:51
-
これもご存じ、海老縛り。
ま、理屈からいうと“海老”なんでしょうが、あまりエビには見えませんねえ。美味しそうなところは同じですが。
海老縛りは、江戸期の拷問の一つ、「海老責め」が起源とされています。縛り方はそっくりですね。ただ、海老責めは拷問ですから、もっとえげつない趣向も凝らします。胡坐に組ませた両脚を釣り上げ、尻だけで体を支えさせる、とか。さらに……、おっとっと、この先は次回を乞うご期待。
海老ときますと、歌舞伎の市川海老蔵。
現海老蔵は11代目。海老蔵は市川家の名跡ですが、市川家の極みは團十郎。襲名するのはいつのことかなあ。
團十郎といいますと、何といっても11代目、現海老蔵の祖父ですね。
10代目海老蔵を経て團十郎を襲名。戦前・戦中、歌舞伎の不遇時代を乗り越えたこの人の人気は凄まじかった。
「海老さま」というのはこの人の代名詞なのだよ。安易に使ってはならぬ、いいかな11代海老蔵よ。
精進されよ。
よっ、成田屋!
-
––––––
2. Mikiko- 2013/07/23 19:54
-
お腹に、肉の段々括れが出来るのも、エビっぽいですよね。
わたしは、あの肉括れが大好きです。
歌舞伎は、まったくわからん。
1度も見に行ったこともありません。
新潟にも、ときどき出張(?)して来るので、母はよく友人と行ってるようです。
わたしは、金もらってもゴメンですね。
あの、異様に高いテンションのセリフを聞くだけで、アホくささ一杯になります。
海老と云えば、名古屋の“エビフリャー”しか思い浮かびませんが……。
“しゃちほこ”ってのは、エビなんですかね?
-
––––––
3. ハーレクイン- 2013/07/23 20:21
-
歌舞伎の良さがわからんか。
様式美の極致ではないか。
こういうもんだと思ってみれば、良さがわかるぞ。お母上に教えを乞うてはどうかの。
ま、わたしも現物は見たことないのだがな(なあんのこっちゃ)。
しゃちほこが何でエビなんだよ。
あれは魚だよ、架空の種類らしいがな。
それに、奴の姿勢は「海老」というより「逆海老」だぞ。
縛りには、逆海老縛りもあります。海老縛りよりさらに厳しいですね。
-
––––––
4. Mikiko- 2013/07/24 07:41
-
↓やっぱりエビではないか。
http://blog-imgs-48.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201307240631068d6.jpg
↓これは、拷問の『海老責め』。
http://blog-imgs-48.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20130724063631e78.jpg
↓これが、『海老縛り』(たぶん)。
http://blog-imgs-48.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201307240738384db.jpg
-
––––––
5. ハーレクイン- 2013/07/24 08:28
-
エビでどんぶりは店の勝手だろ。
天守のてっぺんに乗っとるのは魚だって。
それにしても美味そうに見えんなあ、しゃちほこ丼。もう少しレイアウトに気を配るべきであろう。
ま、名古屋だからな。こんなものか。
拷問の「海老責め」図。
腰巻?を着けたままというのがな、弱いな。
なんか、縄掛けも甘いし。
も少し研鑽されよ。
海老縛り写真。
そのと~~~り。
ただ、縄が少しごちゃついておるな。
も少し細かい配慮をされよ。
女の子は、ええよ。表情に漂う哀愁がええ。
ただ惜しむらくは、両手の指先に、も少し配慮してほしいのう。宝塚歌劇のお姐さん方は、指先の、さらに先の表情にまで気を配るそうだぞ。
精進されよ。
-
––––––
6. Mikiko- 2013/07/24 19:35
-
かつてSM界には、『奇譚クラブ』という雑誌がありました(昭和22年~昭和58年)。
沼正三の『家畜人ヤプー(昭和31年)』、団鬼六の『花と蛇(昭和37年)』などが発表された伝説の雑誌です。
↓前回の“海老縛り”の写真は、その『奇譚クラブ』からの借用なのです。
http://blog.livedoor.jp/mrbunjousyashin/?p=12
ええ度胸、しとるのぅ。
-
––––––
7. ハーレクイン- 2013/07/24 21:46
-
海老縛りの写真は、「奇譚クラブ」の水本茂美さん。
もう、引退されてるのかなあ。
「ええ度胸」
何を今さら。
前コメお題、「精進されよ?」の「?」はどういう意味だあ。
わたしとしては「精進されよ;頑張(がんば)んなはれ」のつもりだが。
ひょっとして、「精進」の意味がわからんのか?
-
––––––
8. Mikiko- 2013/07/25 07:33
-
あーん、精進されよだぁ?
えっらそーに。
どの口が言うんじゃ。
という意味です。
-
––––––
9. ハーレクイン- 2013/07/25 08:34
-
やはりそっちか。
これか。
偉そなこと言うのはこの口か。
ああ?
どんだけのもんじゃ、おのれは。
これか、これか、この口か、エラそげな事ぬかすのは。
(相手の口元の両頬を掴んで左右に引っ張ります)
-
––––––
10. Mikiko- 2013/07/25 19:32
-
そうやって怒られたわけだな。
小憎らしいガキだったんでしょうね。
-
––––––
11. ハーレクイン- 2013/07/25 21:23
-
確かですが、母親に怒られた記憶はあまりありませんね。父親にはよくどつかれましたが。
母親からは「ぼん」と呼ばれてました。ぼんぼん(男児を表す関西俗語)の「ぼん」ですね。「ぼんさん」とか、「こぼんちゃん」とかともいいます。坊や、の変化形でしょうね。
で、母親の、わたしをあやすセリフ。
「ぼんよ、ぼんよ、いつまでぼんよ、ぼんのチンコに毛が生えた」
-
––––––
12. Mikiko- 2013/07/26 07:42
-
お祖母ちゃんが使って、母親が困惑するというパターンが普通なのではないか。
-
––––––
13. ハーレクイン- 2013/07/26 09:48
-
祖母ちゃんとは夏休みに会うだけだったからねえ。
祖母ちゃんは母屋とは別棟の「離れ」に住んでた。
夏休みに行くと、寝るのは必ず離れだったなあ。祖母ちゃんと枕並べて。
わたしのファーストネームは、祖母ちゃんが名付け親なのだよ。