2013.1.24(木)
転勤族です。
夫の仕事の都合で田舎の貸家住まいを始めましたが、
近所の奥様方とのお付き合いに苦労しています。
息子(11歳)のサッカークラブのお付き合いで悩んでいます。
お母さん同士でお友達ができるのはうれしいのですが、
だんだん仲良しグループがいくつか出来上がって・・・。
パート先でとてもいいお友達ができました。家庭の悩み(主に姑のこと)も親身になって相談に乗ってくれるんです。
先日、一泊で温泉旅行に誘われました。
夫も日頃の私の苦労を思って快く送り出してくれそうなのですが、私には少し気になることがあるのです・・・。
今年で歳も30を越え、世間では小学生のいいお母さんで通っている主婦です。
でもそんな私に、秘密が出来てしまいました。
ある人から愛されることに、堪らない喜びを覚えてしまったのです。
その人は女の人です。
今では、それがずっと昔から、
待ち望んでいた事の様な気さえするのです。
「身体の涙」作:八十八十郎(はちじゅう はちじゅうろう)
(1)
副島優美が奈緒子と出会ったのは4月下旬、息子の小学校区バザーでのことだった。
初めて会場設営の班長に選ばれた優美は、慣れない事に右往左往して、気忙しいのを通り越して泣きたいような気分だった。
そんな時何かと親切に手伝ってくれたのが、イベント会社から派遣されていた沢田奈緒子であった。
その時は自分と同世代の人と思った程度だったが、優美には彼女がとても頼もしく思え、まさに地獄に仏という感じさえしたのである。
「すみません・・・さん、ここでチケットを並べといてください。お願いしますね。それから・・・さんは、班長と一緒に名簿のチェックをお願いできますか?」
プロである奈緒子には当たり前の事かもしれなかったが、彼女はてきぱきと段取りを考え、おとなしい優美の代わりに奥さん連中に指示してくれたのだった。
廻りに人がいなくなると、髪ふり乱した優美に奈緒子は笑顔を向けた。
「みなさんお喋りばっかりで、ちっとも動いてくれませんよね。うふふ、でもどこもそんなもんなんですよ。気にしないで、今日は私がお手伝いしますから。」
「あ、ほんとに有難うございます。助かります。」
風で舞い上がりそうな肩までのストレートヘアを押えながら、優美は奈緒子の笑顔を見つめた。
バザーを終えて後片付けをしている頃には、二人はもうすっかり打ち解けた雰囲気になっていた。
バザーも時間が経つにつれてあくせく動き回る事も少なくなり、特に最後の一時間は椅子に座って話をしていることがほとんどであった。
奈緒子は独身で、優美よりひとつ年上の32歳。
ミドルヘアーをきっちりと後ろに引き詰めて、紺色のブレザーとパンツのビジネススーツを着こなしていた。
話し方や立ち居振る舞いには洗練された雰囲気があり、家庭で子育てに追われている優美には眩しいくらいの女性に感じられた。
学生時代は陸上競技をやっていたとのこと。
顔立ちは若い頃の岩下志麻に似た感じで、化粧品のCMに出て来そうなオリエンタル美人である。
優美は“どうしてこんな人が独身・・?”とその時は思った。
「今日は本当に有難うございました、何から何までお世話になってしまって。本当は沢田さん、納品の確認に来られただけだったんでしょう?」
「いいえ、いいんですよ。私、時間ありましたし。」
奈緒子は涼やかな笑みを浮かべて答えた。
「本当? それにあの奥さんたち、あの・・・、貴女の事で少し嫌な感じでおしゃべりしてたみたいで・・・。嫌な思いをされただろうなあって、私を手伝われたせいで・・・。」
優美は話しながら奈緒子の顔を見ることが出来なかった。
「まあ! そんなこと気にしないで。あたし仕事では慣れちゃってますから。」
奈緒子は優美の気遣いにかえって驚いた様子で答えた。
優美はおずおずと顔を上げて奈緒子の顔を見た。奈緒子は優しげな笑顔を優美に向けている。
「それに副島さん、うふふ・・・ごめんなさい、最初は泣きそうな顔してらっしゃったから・・。」
「ああ恥ずかしい。でも私・・・、本当にそう。あの、よかったら何かお礼がしたいんですけど、お食事かなにか・・・。」
「もう本当に何もお気になさらないで。お気持ちだけで嬉しいです。・・・でも本当にお食事一緒に出来たらうれしいかな。・・あはは、冗談です。」
「本当! じゃあ是非今度ご馳走させて。お友達になってくれたらうれしいです。」
「まあ、うれしい。じゃあ今度、お宅に遊びに行ってもいいかしら。ケーキでも買って行きます。わたし平日にお休みを取ることになってますから、二三日前にお電話して、ご都合がよければお邪魔していい?」
「本当に遠慮しないで。一緒にお昼を食べて、お茶でも飲みましょう? 子供が帰って来るまでは、静かでゆっくり出来るからちょうどいいわ。」
優美はいつになく積極的な自分に驚いていた。
その時はお友達になれたら嬉しいと、素直にそう思ったのである。
自分に無い魅力を持った彼女にある種の憧れもあったし、そんな彼女の自分に対する優しさも嬉しかった。
そして何より、そのまま別れてしまうのは何だか寂しい気持ちがしたのである。
それからの数日間、優美は初めて友達が遊びに来る子供の様に、わくわくした気持ちで奈緒子からの電話を待ったのだった。
つづく
夫の仕事の都合で田舎の貸家住まいを始めましたが、
近所の奥様方とのお付き合いに苦労しています。
(29歳主婦)
息子(11歳)のサッカークラブのお付き合いで悩んでいます。
お母さん同士でお友達ができるのはうれしいのですが、
だんだん仲良しグループがいくつか出来上がって・・・。
(36歳会社員)
パート先でとてもいいお友達ができました。家庭の悩み(主に姑のこと)も親身になって相談に乗ってくれるんです。
先日、一泊で温泉旅行に誘われました。
夫も日頃の私の苦労を思って快く送り出してくれそうなのですが、私には少し気になることがあるのです・・・。
(27歳パート主婦)
今年で歳も30を越え、世間では小学生のいいお母さんで通っている主婦です。
でもそんな私に、秘密が出来てしまいました。
ある人から愛されることに、堪らない喜びを覚えてしまったのです。
その人は女の人です。
今では、それがずっと昔から、
待ち望んでいた事の様な気さえするのです。
(31歳主婦)
副島優美が奈緒子と出会ったのは4月下旬、息子の小学校区バザーでのことだった。
初めて会場設営の班長に選ばれた優美は、慣れない事に右往左往して、気忙しいのを通り越して泣きたいような気分だった。
そんな時何かと親切に手伝ってくれたのが、イベント会社から派遣されていた沢田奈緒子であった。
その時は自分と同世代の人と思った程度だったが、優美には彼女がとても頼もしく思え、まさに地獄に仏という感じさえしたのである。
「すみません・・・さん、ここでチケットを並べといてください。お願いしますね。それから・・・さんは、班長と一緒に名簿のチェックをお願いできますか?」
プロである奈緒子には当たり前の事かもしれなかったが、彼女はてきぱきと段取りを考え、おとなしい優美の代わりに奥さん連中に指示してくれたのだった。
廻りに人がいなくなると、髪ふり乱した優美に奈緒子は笑顔を向けた。
「みなさんお喋りばっかりで、ちっとも動いてくれませんよね。うふふ、でもどこもそんなもんなんですよ。気にしないで、今日は私がお手伝いしますから。」
「あ、ほんとに有難うございます。助かります。」
風で舞い上がりそうな肩までのストレートヘアを押えながら、優美は奈緒子の笑顔を見つめた。
バザーを終えて後片付けをしている頃には、二人はもうすっかり打ち解けた雰囲気になっていた。
バザーも時間が経つにつれてあくせく動き回る事も少なくなり、特に最後の一時間は椅子に座って話をしていることがほとんどであった。
奈緒子は独身で、優美よりひとつ年上の32歳。
ミドルヘアーをきっちりと後ろに引き詰めて、紺色のブレザーとパンツのビジネススーツを着こなしていた。
話し方や立ち居振る舞いには洗練された雰囲気があり、家庭で子育てに追われている優美には眩しいくらいの女性に感じられた。
学生時代は陸上競技をやっていたとのこと。
顔立ちは若い頃の岩下志麻に似た感じで、化粧品のCMに出て来そうなオリエンタル美人である。
優美は“どうしてこんな人が独身・・?”とその時は思った。
「今日は本当に有難うございました、何から何までお世話になってしまって。本当は沢田さん、納品の確認に来られただけだったんでしょう?」
「いいえ、いいんですよ。私、時間ありましたし。」
奈緒子は涼やかな笑みを浮かべて答えた。
「本当? それにあの奥さんたち、あの・・・、貴女の事で少し嫌な感じでおしゃべりしてたみたいで・・・。嫌な思いをされただろうなあって、私を手伝われたせいで・・・。」
優美は話しながら奈緒子の顔を見ることが出来なかった。
「まあ! そんなこと気にしないで。あたし仕事では慣れちゃってますから。」
奈緒子は優美の気遣いにかえって驚いた様子で答えた。
優美はおずおずと顔を上げて奈緒子の顔を見た。奈緒子は優しげな笑顔を優美に向けている。
「それに副島さん、うふふ・・・ごめんなさい、最初は泣きそうな顔してらっしゃったから・・。」
「ああ恥ずかしい。でも私・・・、本当にそう。あの、よかったら何かお礼がしたいんですけど、お食事かなにか・・・。」
「もう本当に何もお気になさらないで。お気持ちだけで嬉しいです。・・・でも本当にお食事一緒に出来たらうれしいかな。・・あはは、冗談です。」
「本当! じゃあ是非今度ご馳走させて。お友達になってくれたらうれしいです。」
「まあ、うれしい。じゃあ今度、お宅に遊びに行ってもいいかしら。ケーキでも買って行きます。わたし平日にお休みを取ることになってますから、二三日前にお電話して、ご都合がよければお邪魔していい?」
「本当に遠慮しないで。一緒にお昼を食べて、お茶でも飲みましょう? 子供が帰って来るまでは、静かでゆっくり出来るからちょうどいいわ。」
優美はいつになく積極的な自分に驚いていた。
その時はお友達になれたら嬉しいと、素直にそう思ったのである。
自分に無い魅力を持った彼女にある種の憧れもあったし、そんな彼女の自分に対する優しさも嬉しかった。
そして何より、そのまま別れてしまうのは何だか寂しい気持ちがしたのである。
それからの数日間、優美は初めて友達が遊びに来る子供の様に、わくわくした気持ちで奈緒子からの電話を待ったのだった。
つづく
コメント一覧
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1. ハーレクイン- 2013/01/24 08:23
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『海辺の光景』は終わったんだった。
で、新作は『身体の涙』。
微妙にエロそうで、微妙にアンバランスな、不思議なタイトルですねえ。
出だしの、4人の匿名希望さんの独白は、どう本文につながるのでしょうか。3人がアラサー、お一人だけアラフォーですが、さて……。
で、とりあえずは優美さんと奈緒子さん(奈緒美さんかと思った)の物語。どう展開するのでしょうか。次回の舞台は、おそらく優美さんの自宅。子供が帰って来るし、ちょっとやりづらいよね。
(やるって、何をや)
ま、それはともかく、優美さんの名字、副島は、「そえじま」でいいんだよね。「ふくしま」の読みもあるようですが……。
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2. Mikiko- 2013/01/24 20:28
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バザーの会場設営ねぇ。
考えただけで、憂鬱になりますね。
なまじ、積極的な姿勢を見せたりすると……。
ひとりだけ浮いたり、役職に祭りあげられたりするんだろうね。
ほかの奥様方も、まったくやる気がないわけじゃなく、副島ママが可哀想だと思いつつ……。
手を出せないでいたんだと思う。
そんな中、味方になってくれた奈緒子さんは……。
大げさじゃなく、“恩人”だったでしょうね。
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3. ハーレクイン- 2013/01/24 22:35
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例によってWikiより引用。
……………………………………………………
【バザー】バザール(bazaar、市場)と同義だが、その内容は異なる。
学校や教会の資金調達のために、自らにとっては不用品ではあるが、金銭的価値が有る物を持ち寄って競売にかけ、販売益を学校・教会に寄付するというもの。
同様の活動は世界各地で行われるが、「不用品を持ち寄って、その売り上げをなにか慈善活動に」という発想は共通している。
学校では、PTAの役員会の中にバザー担当の係(これだな、優美さんがやらされたのは)が置かれ、地域の各戸から一品寄付などと称して集められた寄付の品物が売られたりする。
……………………………………………………
ふむ。
奥様方の思惑も含め、わたしなどには全く想像できない世界です。
イギリスの作家、ヒルダ・ルイスに『飛ぶ船』という作品があります。
ま、童話ということなんですが、大人が読んでも十分に楽しめます。初めて読んだのは小学生の時だったかなあ。
その後、大人になってからですが再度読みたくなって、買っちゃいました。
この中に、教会のバザー(あ、舞台は英国です、一応)についての面白いエピソードがありますが、内容の説明まで踏み込まないと説明不可能ですので(日本語、変)、いずれ改めて。
面白いよ。
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4. Mikiko- 2013/01/25 07:48
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面白そうですね。
児童書として発刊されており、書名は『とぶ船』のようです。
図書館にあるみたいなので、今度借りてみます。
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5. ハーレクイン- 2013/01/25 11:17
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確かに『とぶ船』でした。
ほんとに面白いよ。損はさせませんって、お客さん。
一度、読んどうみ(京都語;読んでみなさい)。
協会のバザー、のキーワードは「マチルダ」です。
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6. M- 2013/01/25 22:16
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レズビアン小説サイト「微熱兆候」の頃から、ビビさんのファンです。
身体の涙、いよいよスタートしましたね。
なんとなくリメイク版という気がして、これから巻き起こる愛の劇場をとても楽しみにしています。
前回までの「海辺の光景」も楽しく読ませていただきました。
これからも頑張ってください!
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7. ビビ&八十郎- 2013/06/10 21:24
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今頃ご返事して、大変恐縮しております。
出だしはオリジナルとまったく違ってます。(苦笑)
途中何かとひねくってしまうので、
リメイク版とおっしゃれば、まあ、遠からずであります。
少しでも楽しんで頂けるところがあればよいのですが、
あたたかい書き込みをいただき、
本当に有難うございました。











![[官能小説] 熟女の園](https://livedoor.blogimg.jp/mikikosroom2008/imgs/3/e/3e07a9c3.gif)





































































































