2012.9.20(木)
京の都、五条大橋のたもとに面した名代の料亭。大広間に三十余名の家臣が居並ぶ中、君主松浦信勝はその上座に重々しく腰を下ろした。
伊織たちが江戸を旅立って以来、早やひと月を過ぎた昼下がりである。
「皆の者、ここまで大儀であった。主だった家臣のその方達にここまで同行させたのは他でもない。国許で申し渡した通り、わしが世継ぎと頼んだ羅紗姫をここで出迎えるためじゃ。」
座敷の中は水を打ったように静まり返って主君の言葉に耳を傾けている。
「わしの不徳の末にこのようなお家騒動の不始末となり、皆には詫びる言葉も無い・・。」
悲哀を浮かべて見回す信勝の風情に、さすがに家臣達から機嫌を取る軽口も出なかった
「これを機に一からご政道に立ち返り、姫を迎えた上は皆と手を取り合って国の為に励みたいと思っておる・・・。
もし羅紗姫が世継ぎとなる運命にあれば、途中の消息からしてここ数日の内にこの京の都にたどり着くはずじゃ。」
あらためて家臣を見回すと、信勝は一際声を高めて続けた。
「天下の大通り、この家の前に高々と当家の旗を掲げるのじゃ。たとえ遠くからでも、我々がここで待っておる事が分かるようにな。」
息を呑んだ家臣達を見つめながら、おもむろに信勝は立ち上がった。
“紆余曲折を経たこの度の一件。世継ぎはその定めにある者が自ずとたどり着けるもの・・。ただ、今はそれを助けることが出来るのは伊織、お前だけじゃ。頼んだぞ・・・。”
大津、六角寺山門の楼閣。次第に夜も深まって、時折フクロウの不気味な声が闇にこだまする。
縄で縛られ猿轡を噛んだお美代を物入れに押し込むと、水月はゆらゆらと蝋燭の灯が揺れる板の間へと入って行った。
「とうとう、お前と私だけになってしもうたのう・・・。」
低い女の声が物憂げに響いた。蝋燭の陰影を映しながら、美夜叉は板張りの間の中程に坐している。
微かに瞳を輝かせながら、水月はその脇にかしずいた。
炎に揺らめく細面が、今宵はその妖しい美しさを一際引き立たせ、あたかも古来数百年を経た古寺の怪さえ引き寄せるかのようである。
「明朝二人は参りますでしょうか・・・?」
水月の問いかけに、美夜叉はうっすらとその目を開けて答える。
「ふむ、きっと参る。」
水月は何かに耐える様にその顔を伏せた。
「どうした・・・? 相手はあの若侍一人、考えずとも勝負は目に見えている。」
何か水月に不自然な空気を感じた美夜叉は続けた。
「今まで何度もこうして相手を葬ってきたではないか。役目を終えてお方様に取り入れば、仲間はまた増やせばよい・・。」
「お頭さま・・・。」
水月はふと顔を上げると、美夜叉の目を見てつぶやいた。
美夜叉はその顔を見て微かにほほ笑んだ。しかし同時に、水月の眼に何かしら思いつめた感じを受けたのも確かだった。
「何じゃ水月・・・、お前のそのような顔は久しぶりに見たぞ。まるで初めて役目を共にした時のような・・・。まあよい・・、これへ参れ。」
美夜叉は傍へにじり寄った水月の身体を、斜にその胸の中へ抱き寄せた。
「初めてお役目で人を殺めた時、お前は私の胸の中でぶるぶると震えておった・・・。そしてその後、私の身体と一つになり、喜びに狂うた・・・。何もかも忘れて・・・・。」
その言葉を聞きながら、水月は美夜叉の身体の温かみを感じた。
そして何故か頬を伝い始めた涙を隠すように、美夜叉のふくよかな胸にその顔を押しあてたのである。
「ああ・・可愛い・・、水月・・・。お前だけは私から離れないでおくれ。」
美夜叉の呟きは頭領の仮面を捨てて、たおやかな女の吐息と化していた。
水月の着物の胸元に柔らかな美夜叉の右手が滑り込んでいく。
さらしに巻かれた微かな胸の膨らみをしばらく撫でた後、片脱ぎにその襟元を押し開いた。
両肩を白く光らせた水月の後ろへ回ると、美夜叉は後れ毛に煙るうなじに唇を這わせながら細身に巻き付いたさらしを解いていく。
徐々にさらしがずり下がって、水月の小ぶりだが形のよい乳房が現れた。
美夜叉はゆっくりと立ち上がって、水月の裸体を見つめながら己の着物を脱ぎ捨てていく。白い背中の肌に、長い黒髪が腰まで垂れ落ちて濡れたような艶を放った。
美夜叉は水月に正対するように腰を下ろした。
じっと見つめ合いながらにじり寄る膝が交差したかと思うと、互いの揺れる胸の膨らみが寄り添った。
その柔らかみが押し合うと同時に、朱の唇がぬめる様に重なり合った。
唇を重ねながら美夜叉の黒い瞳に射抜かれて、水月はゆっくりとその悲しげな瞳を閉じた。
「はぁ、水月・・・、ああたまらぬ・・・。」
うつ伏せでうねる美夜叉の豊満な身体に、上から水月のしなやかな裸体が絡んでいる。
白絹のような背中の肌を水月の唇と舌が這い回り、右手は後ろからお尻の膨らみの間に潜り込んでゆるゆると蠢いていた。
細く長い水月の指は濡れそぼった潤みの中で遊ぶかと思うと、菊の皺を数える
様に爪でなぞり、さらには待ちわびて強張った突起を愛想なくなぶるのである。
「あ、はあ~、水月う~~・・。」
美夜叉の脇腹の柔らかい肉がぶるぶると震えた。水月は輝くような白い歯でその震える脇腹の肉を甘噛みしていく。
「あくうっ・・!」
美夜叉の背中から足先にかけてぶるっとわななきが走った。
水月は脇腹からうなじまで舐め上がると、左手で美夜叉の顎を引き寄せる。
首筋を反らして振り向く美夜叉の唇に、水月の唇が揉み込むように吸い付いた。
唇を奪いながら、水月の長い右手が易々と美夜叉のお尻の狭間に潜り込み、その指が露を押し出しながら熱いものにぬめり込んでいく。
「んふっ、ふんんん~!」
美夜叉は水月の求めに、唇を塞がれたまま乙女の様に切なげな鼻息を漏らした。
自分の熱く疼いている潤みの中で、しなやかな指が蠢き始めるのを感じる。
中指が中で動きを速めながら、外で遊んでいた人差し指が敏感なしこりをぷりぷりと弄ってきた。
「ぐっふううんっ!」
唇を貪られながら、美夜叉は堪らず水月の頬に熱い鼻息を吹きかけた。
下から廻って来た左手で乳房を鷲掴みにされ、きつく抱き寄せられる。
水月の右手が狂おしく動いて、身が打ち震える様な極みに誘い始めた。
うつ伏せのまま、美夜叉は必死で右手を水月のものに伸ばした。しかし背の高い水月には、その指は微かに淡い繊毛に届くのがやっとであった。
「んぐっ・・・、ぷはっ! だめっ! まだだめっ!!」
美夜叉はやっと唇を振りほどいてそう叫ぶと、太腿を閉じ腰を振って水月の右手から逃れた。
仕方なく動きを止めた水月に、美夜叉は身をくねらせて抱きついていく。
絡まりあった二つの白い女体は、そのまま板張りの上に転がった。
耳たぶを噛むようにして美夜叉は恨みがましい囁きを吐いた。
「はあ・・・、意地の悪い。わたし一人が果てそうに・・・。」
「お頭さま・・・。」
何故かいつも以上に情念を燃え立たせた水月の瞳を見つめながら、美夜叉はゆっくりと水月のものに触れていった。
果たしてそこは、美夜叉を攻めながらもうしとどに濡れそぼっていたのだ。
「水月・・・。」
板張りの上で横向きに抱き合いながら、二人は改めて唇を重ね合った。
美夜叉のふくよかな指が水月の潤みと突起を撫でると、水月の細身にぶるっと
震えが走った。
もう4本の指に万遍なく絡まるほど、その部分は次々と露を溢れさせてくる。
「お前、もうこのようにして・・・。可愛いひゃちゅ・・んん。」
唇を合わせながら美夜叉は囁いた。
そして下腹を探ってくる水月の左手を、今度は自ら股を開いて迎え入れたのである。
しなやかな指が繊毛をかき分けて熱い潤みに沈み込んで来た。
「ふうう~~ん・・・、水月・・・。」
美夜叉は左手でしっかりと水月の身体を抱きしめた。
ぽってりとした人差し指と中指を水月の濡れたものへぬめり込ませる。
二本の指をゆるゆると蠢かせながら、同時に手の平の膨らみで敏感な突起を揉み込んでいく。
「ああぐ・・・、お頭様・・・・ああ・・・。」
水月の下半身が、一見何かを嫌がる様にうねった。しかし嫌がっている訳ではないことは、美夜叉の首筋に片手でしがみ付き、その右手を求める様に腰のくびれを振っている事でも明らかであった。
「あはあっ、お頭様っ・・・!」
水月は熱い吐息でそう叫ぶと、激しく美夜叉のものも求めていった。
長い指が濡れた繊毛もろとも花芯に潜り込んでいく。
「あううう~~っ・・・。」
思わず潜り込んで来た指を締め付けた後、美夜叉が身体の力を緩めたとたん、菊の蕾に細い小指がぬめり込んで来た。
「んくうう~っ・・・。」
美夜叉は身を反り上げて霜降りの身体に痙攣を走らせた。
ふた所をえぐりながら、なおも水月は親指で敏感なしこりを撫でさすり始める。
「あっう~っ!・・・・ああっいいっ!」
身体が力み返って、美夜叉は喘ぎと共に水月から攻められている潤みから恥ずかしい音さえ出てしまった。
反りかえった豊かな胸の膨らみの先を、揺さぶる様に水月の唇に吸い取られる。
見た目にも弾き立った朱色の乳首が、濡れ光りながら桃色の舌に舐め叩かれている。
「あうあ~、水月! どうして今宵はこのように・・・、あううう~、もう堪らぬ!」
水月は美夜叉の乳首を吸い離すと、左手で美夜叉を追い上げながら身体を重ねていった。
美夜叉は夢うつつのまま水月の首に両手を回すと深く唇を重ねる。同時にもう極みに向かうその身体は、腰のくびれから下を煽るように振り立て始めていた。
水月は美夜叉が自分の指を食いしばり始めるのを感じると、唇を離して囁いた。
「はあ、美夜叉さま・・・。どこまでも私と共に居てくださいますか・・・?」
全身を水月に委ねながら、美夜叉は呻くが如くに答える。
「ああ・・、水月・・。いつまでも一緒じゃとも・・・、さあ、水月、一緒に。」
美夜叉は手を伸ばして水月に触れようとする。しかしその姿勢では背の高い水月に美夜叉の指は十分触れることが出来なかった。
その間にも水月の指が激しく苛めてきて、美夜叉は眉を寄せて泣き声を上げた。
「ああっ、水月! もう果てそうじゃっ!」
その声に水月は身をずり上げて、美夜叉の指に自分のものを与えた。
喉の渇いた獣の様に美夜叉の指が繊毛を掻き分けたと同時に、水月の女も堰を切って熱い涙を溢れさせた。
「あぁ・・、お頭さまっ!」
切ない声を上げて、水月は美夜叉の唇に貪り付く。途端に桃色の舌は美夜叉に吸い出されて、その口の中で甘い露にまみれて溶けた。
「んふう~、んふっ・・・。」
互いの指が忙しなく相手を極みに追い上げつつ、絡んだ二人の身体に細かい振動が走っている。
首を振って互いの唇を貪りながら、切羽詰まった唸りと鼻息だけが楼閣の中に響いた。
美夜叉が耐え切れぬように水月の唇を振り切ると、喉の奥から唸りを上げた。
「あ・・・、おおお~、お~っ! はっ、果てるっ! 水月うっ、果てるううっ!!」
狂おしく腰を振り立てながら、両足の間に食い込んだ水月の左手にとどめを刺され続ける。
次の瞬間、美夜叉の身体がくねり返った。
「あはああ~っ・・・・・!!!」
絶息する様な声を絞り出すと、覆いかぶさる水月の身体を跳ね上げて美夜叉の身体に極みの痙攣が走った。
強張って反り上がったふくよかな裸身は、なおも時折小さく弾けていた。
水月は熱いものに指を食いしばられたまま、乱れた黒髪を美夜叉のうなじに埋めてその極みの身体を抱きしめていた。
コメント一覧
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1. ハーレクイン- 2012/09/20 17:00
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丹波の国の藩主は「中川」信勝ではないのか(続元禄二十三)。
いつ“松浦”に変わったんや。
>「わしの不徳の末にこのようなお家騒動の不始末となり、皆には詫びる言葉も無い」
せやでー“松浦”の殿サン。公儀に知られたら、間違いなくお取り潰しやで。しっかりしなはれやー。
うーむ。
美夜叉、水月の絡みは二度目、いや三度目だったかなあ。
さすがの迫力。
前回のコメで「忍者に果たし状は似合わぬ」と書いたが、よう考えたらお静姉さんと菊ちゃんの戦いなんだよなあ。
ということは、あの果たし状は水月が書いた、ということか。
後ろからバッサリやるような真似はせぬ。このような仕儀になったのも一つの定め。かくなるうえは、正々堂々、剣で決着をつけようではないか、
てなところかな。
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2. Mikiko- 2012/09/20 19:43
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殿様の名字まで覚えてましたね。
どっちかが芸名なんじゃないの?
松浦が出てきたのは……。
『続元禄二十七』のハーレクインさんのコメント。
松浦作用姫伝説のお話でした。
しかし……。
名代の料亭で出迎えとは、豪勢ですね。
無事に着いたら、どんちゃん騒ぎに移行するつもりか?
ノブカツ殿、ほんとに反省してる?
大津宿。
東海道五十三次、最後の宿場。
現在の滋賀県大津市。
関西の地理に疎いわたしには、滋賀県大津市と三重県津市がごっちゃになります。
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3. ハーレクイン- 2012/09/21 06:57
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やはり寝ちまったか。
昨夜は急なお誘いの飲み会でのう。
夕刻から飲んでおったがさあ、お開きは何時だったろう。全く記憶にない。
まあ、美味い酒だったからいいんでないかい。
松浦はともかく、「中川」さんについてはコメしたからのう。一度書いた文字は忘れぬわ。
香奈枝「どおだ、まいったか」
陽子「まいったか、と言われれば、
完敗です、と答えるしかありませんね」
香奈枝「そうかそうか、よしよし」
しかし……大津市と津市がごっちゃって、70km近く離れとるぞ。
それに津は伊勢街道だし、大津は言わずと知れた東海道だし。
さては……字面だけで覚えておるな。
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4. Mikiko- 2012/09/21 07:55
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無くすってのは、怖いですよね。
手や衣服に、血は着いてませんでしたか?
ひょっとしたら、誰かを殺してきたかも知れませんよ。
あるいは……。
自分が死んでたりして。
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5. ハーレクイン- 2012/09/21 11:01
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えーと、
「自分が死んでるのに気付かない」って話はいっぱいあるけど、これはどや。
あの、『ダイ・ハード』シリーズのブルース・ウィリス主演、『シックス・センス』
傑作や!って、ネタばらししてええのかなあ。
まだ見てない人、ごめん。
それにしてもブルースを“ウィルス”は、やめてくれ。黴菌やないんやから。
ウ・ィ・リ・ス!!
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6. Mikiko- 2012/09/21 20:31
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わたしも見ました。
まだ、WOWOWの契約をしてたころだったかな。
あのラストには、あっと驚きましたね。
思いもしなかった。











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