2013.4.27(土)
■14.エピローグ
レイラとタチアナの共同生活という同棲が、父デビッドの許しを得て一年が過ぎようとしていた。
レイラは大学を卒業後、プロのチアリーダーを目指していたが、あの忌まわしい出来事がトラウマになって思った以上に体が動かず、輝かしい今までの業績は捨て去りタチアナ(ソフィア社長の意向もあって)の勧めでソフィアの会社の社員として働き始めていた。
その社長ことソフィア・エバンスの消息はタイへ夫を看病に行った数か月後、夫バーナードは看病むなしく他界し、そのことを忘れるようにタイに留まって支店を立ち上げることだけを使命に動き回り本国には戻らずにいた。
噂では現地の性転換した女性を愛人として家に招き入れ、愛を育んでいるらしく両性の感性を重ね持つ彼女にソフィアはこの上ない喜びを見出し夢中になっているとも聞かされた。
ただ、そんなソフィアも一方ではレイラとのあの日の交わりは忘れられないようでレイラに定期的に連絡はしているようだ。
その証拠に、大学卒業旅行先にタイを選んだのも偶然ではないことはタチアナも分かっていたが追及はしなかった。
ソフィアの娘サラ・エバンスは父が他界して間もなく本国に舞い戻っていたが、タチアナとの同棲の事を知ったらしくレイラの前には一度も姿を見せていなかった。
隣町のアパートで誰かと生活を共にしているとの目撃があったが事実は定かではなかった。
サラの気持ちが自分に向けられていたことに気が付いたがお互いの為と距離を置くことにした。
ただ一抹のさみしさが残ったが、タチアナとの愛や仕事の忙しさがそれを打ち消してくれていた。
彼女の直属の上司は言わずと知れたタチアナで仕事中はレイラに対しても容赦はしなかった。
「レイラさん! この書類は何? もう一度書き直して!」
「はい、承知しました。ボス」
仕事中ではタチアナに対して顔色替えず素直に指示に従った。
だが、家に帰りベッドの上になると立場は逆転となり、タチアナは猫の様に従順になり、レイラは男たちの様に振る舞った。
レイラはタチアナの為にアダルトグッズ店にある物を購入しに行った。
当初はネット販売で購入をと思っていたが、現物を手に取り感触を確かめるために直接店へ足を運ぶことにした。
数か月前まで考えられない彼女の行動であった。
「いらっしゃいませ」
女性店員が出迎えた。意外だった。
男性がそれも太った中年の店員が無愛想で出迎えると思っていたからだ。
レイラはチアリーダーをやめて数か月も過ぎていたが、やはり著名人であることは否めなくサングラスをしての入店だった。
店内は女性や女性同士のカップルが思いの外多く、レイラはその中に溶け込んでいた。
店内を見て回った彼女は、あるショーケースの前で立ち止まった。
彼女はあるものを手に取り見つめた。
(これだわ、彼女に似合っている)
これを使った二人の痴態を想像するだけで股間に熱い物が噴出してくるように思えた。
「これ、頂くわ。……それとラッピングしてくださること出来ます?」
「はい、出来ますわ・恋人にプレゼントですか?」
「まあ、そんなところね」
レイラはサングラスの奥から女性店員を品定めしていた。
(彼女いい体をしている。……きっと客の中には彼女に言いよる人もいそうだわ)
「ありがとうございました。それからこれは当店の名刺です。ご希望の商品があればご用意できますのでよろしくお願いします。またのご来店をお持ちしています」
店を出た後に名刺を見ると下の方に“裏を見て”と書かれていたので、なにげなく見たらメッセージが書かれていた。
“レイラさん、よろしければデートに付き合ってください。あなたの熱烈なファンより”
と書かれており携帯番号も記入されていた。
こんな店の店員にまでアプローチされるとは思いもよらなかったが、自分はいつの間にか女性から声を掛けられることが多くなったと今改めて思った。
(この人は後で連絡してみようかしら。……彼女、美味しそうだし……)
クスリと笑って小箱を脇に抱えタチアナが待つ家へ向かった。
「タチアナ、誕生日おめでとう。これプレゼントよ」
あの品物はタチアナへの誕生日プレゼントだった。
レイラは赤いリボンが結んである箱をタチアナへ渡した。
「ありがとう! うれしい! 開けていい?」
こぼれんばかりに笑顔を見せたタチアナにレイラは頷いた。
急いでリボンを解き、箱を開けて見たタチアナはレイラとその品物を交互に見て驚いた様子だったが、その用途を理解するに及んで、うっとりした顔になった。
この光景を見てレイラはあの日のことをフラッシュバックの様に思い出した。
オーウェンの男のシンボルを初めて見た時と同じ光景が目の前で行われていたからだ。
オーウェン・マイヤーズは大学卒業後、プロに転向し輝かしい成績を上げていたが、ある事件が起きて以来、成績がガタ落ちしスタメンから外されていた。その事件というのは『鋼のサミー』ことサミュエル・ターナーが情夫との三角関係のもつれによりスラム街の路地裏で射殺体として発見されるという痛ましい事件だった。
TVのある番組で、彼は一人では人の八割の働きしか出来ないのが、二人だと4人相当の働きがあったからこそ今まで活躍できたのだが、片割れを失ってしまった今ではベンチを温めているだけの用無しになってしまったと解説者が言っていた。それをぼんやりと見ていたレイラは何の感情も見せなかった。
「レイラ、これを使ってほしいです」
目をキラキラ輝かしてレイラにタチアナは懇願した。
「いいわ、だったら早く寝室に行って裸になってベッドで待っていて」
「はい」
あっという間に寝室へ行くと衣服を脱ぎ去ったタチアナはベッドの上でレイラを待ち構えた。
レイラは箱から品物を取り出すとあらため、その品物を手に取り見つめた。
それの片側は女性器にぴったり合う様にデザインされたものでベルトなしで装着できるようになっており、反対側は男性のシンボルを模写したものであった。
興奮し愛液が溢れ出ていたので思いのほか、すんなりと入った。
双頭ディルド。
レイラはアダルトグッズ店でこれを見つけ、購入したのだった。購入する際、色もこだわった。肌色や黒色といったものは彼らを思い出させたので嫌悪し、タチアナにはこれがふさわしいと透明のクリスタルディルドにした。
「ガチャッ」
ドアを開けて入ってきたレイラの姿を見たタチアナは目を大きく見開くと、思わず自分の胸と秘部へ手を伸ばした。
その姿はまるでレイラ自身から生えているように見え、そのクリスタルのシンボルからは放たれる光がタチアナの顔に七色の光を映し出していた。
レイラはベッドに上がると仁王立ちになりタチアナを見下ろした。
タチアナは吸い寄せられるように彼女に近づき、ディルドを両手に挟み込み舌で先端を舐めはじめた。
ディルドからの微妙な振動がレイラの中心部へと伝わり、まるで自分の一部を刺激されているような錯覚にとらわれた。
(感じるわ。……すごい!)
タチアナはディルドを口に含むと顔を前後に揺らし始めた。
ディルドを押されるたびに強い刺激がレイラを襲った。
「アウ、アウ、アウ、ア~」
レイラの両手はタチアナの頭に添えられ動きを調整し始めていた。
「もっと、もっと! 強く動かして!」
タチアナはディルドを男性のコックをしゃぶるように動きを早くした。
「いい……いいわ! タチアナ! 行くわ! アウ、あう、ア~~」
レイラはぐったりし、しゃがみ込んだ。
タチアナが咥えていたディルドの先端から彼女の唾液がしたたり落ちていていた。
「タチアナ、うつ伏せになって腰を上げて」
「はい……。ア~~~」
これからされることを想像するだけでタチアナは感じていた。
レイラはひざをつくとヒップの割れ目を見つめた。
「もう、ぐっしょりと濡れているわ、よっぽどこれに飢えているみたいね」
「ハ、早く……」
「“早く”じゃないでしょ!」
「ハ、早く……。してください……」
ニヤリと笑みを浮かべたレイラはタチアナの腰に手を添えた。
「ア~~、レイラが私を……」
レイラは先端を割れ目に当てると一気に腰を突き出した。
「ウグッ、ハァ~」
先端が奥に突きあたった瞬間、レイラのプッシーに快感が突き抜けた。
「アゥ、アアア~」
(な、なんという快感なの……)
少し腰を押してみた。
「アッ、ア~~」
「アウ、アウ」
二人同時に声を上げた。
レイラは腰の動きを徐々に早くしていった。
ピストン運動を続けるうちにレイラは異常な感覚に襲われた。
タチアナの白い背中に自分を重ね、まるで自分自身が己を犯しているような錯覚を感じたのだ。
(これ……。病み付きになりそう……。アウ~)
「あ~~、イイ~、もっと強く。……もっと早く。…………もっと私を犯して! ……ア~~~」
「タチアナ、あなたはまだ、イってはダメよ……。私が先……。ア~」
レイラは小刻みに体を震えるとタイアナの背中に上半身を委ねた。
暫らくして、レイラは再び腰を揺り動かし始めた。
「さあ、あなたがイク番よ、思うぞんぶん快感を与えるわ!」
先ほど以上にレイラは腰を強く揺り動かした。
「ツッパン! ツッパン! ツッパン!」
「アウ、アウ、アウ、す、すごい! す、すごい! もっと、もっと、突いて、突いて!」
レイラは懸命に突きまくった。しだいに己自身にも快感が沸き起こった。
「レ、レイラ! あなたが好きよ! 好きよ! 愛しています! ア~~、もうすぐ~~ア~~」
タチアナが絶頂を迎えると同時にレイラも二度目の絶頂を味わった。
レイラはタチアナとの生活には満足し、幸せを感じていたがある思いを募らせていた。
それはある人との交わりを秘かに願い望んでいたことであった。
出来ればタイアナと共にその人を愛したいとも思っていて、日々追うごとにその思いは強くなるばかりであった。
そんなレイラの姿の変化を感じていたタチアナは彼女の思いがどのようなものであるのかを悟っているようであった。
そんな日が続いたある日、レイラの望みが実現することになった。
タチアナが手配したのか、その人物が望んできたことは分からなかったが二人のいる寝室のドアを開け音もなく忍び寄る影があった。
レイラはタチアナの股間に顔を埋め、いやらしい音を立てながらプッシーを舐めていた。
人影は彼女たちの痴態を見つめながら徐々に音もなく近づきながら衣服を脱ぎ去ると、全裸になって彼女達へと足を運んで行った。
通りすがりに台の上にあった双頭クリスタルディルドを手に取り見つめると、影になった顔から白い歯が覗いた。
その人物はディルドの片側を自分自身に差し入れると二人が絡みあうベッドへと近づいた。
「レイラ、もっと愛して。……舐めて、吸ってアウッ、素敵……アッ!」
タチアナは間接照明から灯される明かりの中に人物を見つけると、驚いて思わずレイラの頭を太腿で締め付けた。
唖然とするタチアナにその人物は口元に人差し指を充て、声を出すなと目配せをした。
彼女はその人物が全裸で股間からディルドが突き出しているのを見て、この先の行動を知り彼女を見つめた。
レイラは顔を埋めながらもタチアナの体の変化に気が付いた。
レイラの腰にあてがわれた両手に彼女は驚いたが、手のぬくもりにあの人を思い出させ嗚咽を漏らし始めた。
彼女はその人が現れたことを知り、プッシーを舐めながら感動で涙を流していたのだ。
ゆっくりとヒップの間をディルドが分け入り熱いトンネルの入り口へと進むのが感じられた。
「レイラ、あなたが好きよ」
背後で聞き覚えのある声がした。
「う、嬉しい。……来てくれたのね。……この日を待っていたわ……」
その人物は腰をゆっくりと力強く前へ突き出した。
ディルドが本来の鞘に収まったようにレイラのプッシーの中へ姿が完全に消え失せた。
「ア~、あなたを感じるわ」
「ア~、素敵よ、3人で愛し合うのよ」
その人物はレイラの腰に手を添えながら仰け反り、腰を突き出すたびに3人の妖精たちの肉体と粘液が奏でる音と喘ぎ声が部屋中に響き渡った。
コメント一覧
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1. ハーレクイン- 2013/04/27 21:17
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終わっちゃったか。まだまだいくらでも続けられると思うが、一旦終わるとするとこのタイミングかな、という気も。
ともあれ、お疲れ様でしたマッチロックさん。
回数はともかく、1回の分量がただ事ではなかった『パーティ』。たっぷり読ませて頂きました。
しかも、アラビア語やロシア語がRPGのように飛び交う博識ぶりに加え、怪しげな日本語。
うーむ、いったい何者? マッチロック。
これを伺うのは野暮なのかもしれませんが、ラストシーンの妖精達の宴。三人目の妖精はヴェロニカしかないと思うのですが、よろしいでしょうか。
次回作、期待しております。
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2. Mikiko- 2013/04/28 07:50
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ご苦労であった!
文章には少々難がありましたが……。
それを苦にさせない、描写力、馬力は大したものでした。
正直言って、想像してたものより遥かに良かったです。
まず、これだけの量を書けるというのが偉い。
最終回は……。
実は、ⅩⅢ、ⅩⅣ、ⅩⅤが合わさって1話だったんです。
でも、あまりにも長いので……。
わたしの方で勝手に、3話に分けさせていただきました。
次回作も、ぜひお願いします。
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3. ハーレクイン- 2013/04/28 09:47
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ははあ、それでか。
目次画面での、最終回の回数番号がⅩⅤじやなくⅩⅣになってまっせ。
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4. Mikiko- 2013/04/28 10:20
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直しました!
画竜点睛を欠いてましたね。
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5. ハーレクイン- 2013/04/28 14:11
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つっこむべきだったな。携帯投稿は目の前しか見えないからなあ。
画竜点睛を欠いたな。