2013.2.2(土)
■3.ケモノ
「ハット!ハット!ハット!」
QBのオーウェンは繰り出されたボールを受け取り、味方へパスするために身構えた。
次の動作に移る矢先、視野の端から黒い影が自分へ迫ってくるのが見えた。
あっという間に目の前に立ちふさがり大きくなった黒い影の中に闘志に燃える目を見た。
「QBサック!」
叫んで目が覚めた。
フィールドにいると思っていたが夢だったのだろうか。
ぼんやりと周りを見渡した。
自分の部屋ではないことはすぐに気が付いた。
どこか無機質な印象与える部屋で微かに薬品の香りが漂っていたからだ。
ここはどこだろうと思い起き上がろうと頭を動かしたとたん激痛が走った。
うめき声をあげベッドに倒れ込んだ。
いったい自分に何が起きたのだろうか。
ふとベッドの傍らにブロンドヘアーの頭が見えた。
ベッドに投げ出された白い手は見覚えがあった。
そうレイラだった。
気配を感じたのか目をこすりながら自分の方へ顔を向けた。
眠そうな目が一気に大きく見開いた。
「オ、オーウェン。気が付いたのね。良かった。今、ナースを呼ぶわ」
彼女はナースコールを押しながら
「このまま、あなたが永遠に眠り続けたら私どうしようかと思ったわ」
彼女は目にいっぱいの涙を溜めて彼の手を握りしめて笑顔で伝えた。
安堵している彼女を見つめながらオーウェンは記憶を探っていた。
ヘッドコーチのスミス・アンダーソンはにがにがしく両腕を組みながら彼らの試合ぶりを見ていた。
このところの選手たち、特にオーウェンとサミーの動きがなってないことにいら立っていた。
彼らの歯車がかみ合っていなくミスが多すぎて親善試合とはいえ格下のチームに押されていたからだ。
彼は二人を呼んだ。
「オーウェン! 何をやっている! 今までの君らしくない。
このまま、あのようなプレーをし続ければ交代させなければならない」
スミスはオーウェンを睨みつけた後サミーに顔を向けた。
「サミュエル・ターナー。
鋼のサミー。個人的な感情はフィールド内に持ち込むべきではない!
プレーのことだけを専念しろ! 分かったな?!
分かったならば、さっさとフィールドに戻り観客を喜ばせろ!」
二人は並んでフィールドに戻り始めたが、お互いに無口であった。
オーウェンはチアリーダーたちの中心にいるポンポンを持ち両腕を胸に引き寄せ心配そうに自分を見ているレイラが目に留まった。
一方それを横目でその様子を見ていたサミーはムカムカし、そっぽを向いた。
そんな二人の後姿を見ていたスミスは頭を振りながら、この二人をどうするか思案していた。
ヘッドコーチの説教が功を奏したのか、みるみる追い上げチームの勝利は確実となりスミスはこれが我々チームの実力だと鼻息が荒くなった頃に、それが起こった。
ボールを受け取ったオーウェンがパスを投げる際、彼が顔を向けた方向にレイラ達がいたのだ。
運悪くサミーが見てしまい怒りが沸き起こった瞬間に彼の横をすり抜けオーウェンに突進していった相手チームの選手がいた。
オーウェンは彼に強烈にタックルされ地面に叩き付けられ気絶してしまった。
実際にはオーウェンは彼女たちの前にいた選手に向けパスするつもりであったがサミーの目にはそうは映らなかった。
「オーウェンさん。御気分はどうですか?
痛いところはありますか?」
とても優しそうなナースが微笑みながら彼に尋ねた。
彼はここが病室だということが分かった。
「はい。大丈夫ですが少し頭が痛いです」
と笑顔で彼は答えた。
正直、頭が割れるように痛かったが、今後のためにここは我慢して答えた方がいいだろうと考えての答えだった。
「分かりました。今、ドクターをお呼びしますから」
そう言ってカルテを持ったナースがドアの外へ出て行った。
ドクターという言葉を聞いてレイラは気を利かしたのだろう。
「私まだ、ご飯食べていなかったの。安心したからお腹空いちゃったから帰るわね。
明日も来るから何かほしいものがあったら教えて」
笑顔の彼女に彼は首を横に振った。
頭を動かす自体が痛かったが彼女の前では務めて笑顔を絶やさなかった。
彼女とすれ違いざまにドクターがナースを従えて入ってきた。
ドクターはレントゲンの写真や検査表を見たのち彼に伝えた。
「オーウェンさん。あくまでも仮定ですが一般の人が同じ状況下に置かれた場合、首の骨は確実に折れていたでしょう。
やはりフットボール選手は鍛えられているので、あのような無理な体勢で転倒しても別段、異常は起きない造りとなっているのでしょう。驚きです」
それを聞いたオーウェンは安心した。
もし、このまま選手生命を断ってしまったら自分には何も残らないからだ。
だがドクターの次の言葉で愕然とした。
「私もあなたのチームのファンで心苦しいのですが言わせてください。
当分の間は軽い運動や練習は認めますがハードな試合に出ることは認めません。
経過を見て判断しますので了承してください。よろしいでしょうか」
やんわりと伝えているが、はっきりとした命令調であった。
彼は黙ってうなずきながら彼の思いは失意の底にあった。
これまでの練習や試合のすべては次のトーナメント戦へ向けての布石と言っても過言ではなかったからだ。
あの出来事から3週間が過ぎた。
彼は基礎体力とボールのキャッチやパスのトレーニングを、退院したその日から今日まで休むことのなく続けた。
何が何でもトーナメント戦へ必ず出ると思いを込めて。
その成果がでたのか病院では試合に出てもよいという太鼓判をもらって自分のアパートへ向けて車を走らせていた。
アパートの前に見覚えがある人物が立っていた。
ブロンドの長い髪をそよ風になびかせ満面の笑顔で彼を待ち受けていた。
そうレイラだった。
3週間の間、彼女からのデートの誘いや自らも甘い快楽に身を沈めたいという欲望を振り切ってトレーニングに励んでいた。
今日は病院からのいい返事で気を良くしたのか彼からレイラに連絡をしていたのだ。
彼女は彼が車から降りるなり、彼に向かって飛び込んできて激しく彼を抱きしめた。
「アー、オーウェン! 会いたかったわ。3週間の間じゅう、さみしくて死にそうだったわ」
お互いに軽いキスをして彼は彼女の肩に腕を廻しゆっくりと階段を上って行った。
彼の心に一抹の不安を抱えて・・。
彼女は彼の部屋に入るなり、彼をベッドに押し倒した。
彼女はこの日は積極的だった。
はぎ取るように彼の衣服を脱がし、ズボンは両方の裾を持ち、思いっきり引っ張りあげ脱がし部屋の隅に放り投げた。
同じようにブリーフも両手で脱がし彼の唇にむしゃぶりついてきた。
彼は彼女のデイープキスの激しさに圧倒されつつもその成り行きを楽しんでいた。
彼女は、やおら唇から自分の唇を離すと彼の興奮し勃起したコックへ向かい一気に口に含み、しゃぶり始めた。
彼女は頭と右手を上下に動かし彼に快楽を与え続けた。
ぐいぐいと彼女の動作がコックに快感を与えている。
彼は歯を食いしばり、それに耐えている。
彼女はコックを咥えたまま、その様子を見ていたが、「ツッパッ!」と音とともにコックから唇を離すと彼女は彼の上にまたがり、彼のコックを右手に持ちゆっくりと腰を下ろしながらプッシーへあてがった。
コックの先端がプッシーの熱いトンネルの入り口に当たったのを感じた彼女は腰を一気に落とした。
「アウ~~」
コックは彼女の下腹部に完全に隠れた。
顔を上にあげ彼女がコックの存在をプッシーで確かめている。
それから彼女は腰を上下に動かし始めた。
ベッドが軋んでいる
「ギッシ、ギッシ、ギッシ、ギッシ」
それとともに彼女の口から喘ぎ声が漏れ始めた
「アッウ、アッウ、ハ―、ハ―、スーゥ、スーゥ、アッウ、アッウ」
彼女は自分の乳房へ両手を伸ばし揉み始めている。
「アーレイラ! 凄いよ!」
彼女の上下する恍惚とした顔を下から見上げ彼は叫んだ。
どんどん彼女の上下運動が早くなってきた。
彼は「レイラ! すぐ・・だ。・・ウッ」という声とともに彼女は彼の胸に倒れ込み、
彼の口に舌を入れながら下腹部を前後に動かし続け彼の熱いほとばしりを秘部の奥に感じとった。
その時に彼女は果てた。
ピクリピクリと動く彼女を抱きながら、お互いの位置を入れ替えた彼はコックを引き抜くと彼女をうつぶせにした。
彼女の腰を持ち上げ後ろからプッシー目がけコックを再び宛がい一気に押し込んだ。
「ウッググググ」
彼女がシーツに顔を埋めた姿勢から声が漏れた。
彼は彼女の腰に手を添えて激しくピストン運動を始めた。
彼女の尻と彼の下腹部が打ち合う音が部屋中鳴り響いた。
「パンパンパンパンパン」
彼は彼女の背中を見ながら懸命に腰を動かし快感が襲ってくるのを待った。
ふと棚を見るとサミーの笑顔の写真に目が合った。
彼は次第にサミーの顔を見ながら憎しみと友情と色々な感情が入り混じった複雑な心境を持たせ腰を動かす状態へと移り変わっていた。
彼が腰へ添えている手に強い力が加わったことに痛さを感じたものの、彼女はそれが次第に快楽に感じられるようになった。
そのことに驚きながらも、繰り出される動きに深い快感に襲われ意識が薄れかかっていた。
彼の動きが急ピッチに早くなってきた。
彼女の熱いトンネルの奥に彼の膨れ上がったコックの先端が突き当たるたびに彼女は快楽の深い沼地へ引き込まれていった。
「ウオー!」
彼は雄叫びをあげ果てた。
「ア~、ウッ、ウッ、ハァ~・・」
彼女は内臓が飛び出すほどと思われる大きな口を開け、よだれを流していた。
白目をむいて彼女は果てていた。
彼はついに果てる最後まで写真に写し出されたサミーの目から目を離さずにいた。
そのあと彼は彼女の背中に顔を乗せしばらくの間、サミーのことを考え込んでいた。
彼の問題から目をそらさず、サミーと一度二人きりで試合や今後の二人の関係のことで話し合いをしなければならないことは明白だったからだ。
「オーウェン、すごかったわ。久しぶりに燃えちゃったわ」
と背中の中から彼女の声が聞こえた。
「そうだね。レイラ。よかったよ」
と答え横顔になった彼女の口元に彼はキスをした。そして彼女へ伝えた。
「今後の試合の為に特別の練習メニューをこなしたいと思うし、試合に全神経を集中させたいから、試合が終わるまでデートは中止しようと思う。分かってくれるよね。レイラ」
彼女も本当はデートを楽しみにしていたけれど、レイラもチアリーダーの強化練習をしたかったので彼の話を快諾し彼女は歩いて家に帰ることにした。
次に会うときに彼とのセックスがどれだけ楽しめるか想像し微笑みながら・・。
そしてレイラにとって過酷な運命の日が訪れようとしていた。
コメント一覧
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1. ハーレクイン- 2013/02/02 18:39
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まずはお尋ね二点
1.前回『パーティ』Ⅱの最期にある、メール一件。あれはどうなったんですかあ。
2.今回の「QBサック」って何者? それともアメフト用語かなあ。それとも私の読み落としか。
で、またもお得意のヒキ。
今回ラスト「レイラにとって過酷な運命の日が訪れようとしていた。」
うーむ。
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2. Mikiko- 2013/02/02 19:49
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あまり深く読みこまないことです。
QBサックは、わたしでもわかったぞ。
QBが、相手守備陣にとっ捕まることでしょ。
ラインバッカーというゴリラのような大男が、QBサックの専門職だったと思います。
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3. マッチロック- 2013/02/02 20:22
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ハーレクインさん
メールの件はお楽しみと言いたいところですが・・
もう少し読んでからということで・・
「QBサック」はMikikoさんの言うとおりでアメフト用語です。
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4. ハーレクイン- 2013/02/02 21:40
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なるほろー。
QBをsack(略奪)するわけやね。
エロ界で“サック”というと、どうしてもsuck(吸う、しゃぶる)なんだよね。女の子の顔にちんちん突きつけて「サック・ミー(しゃぶってくれ)。
QBをしゃぶってどないすんねん、と思ってしまった。ま、レイラちゃんはしゃぶってるわけだが。
(大丈夫か、入試は〔南香奈枝〕)
>マッチロックさん
メールもも少し先ですか。
ほんとに、ヒキの名人だな。