Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
連載1000回記念 特別番組(Ⅰ)
コメント一覧へジャンプ    コメント投稿へジャンプ
 これは、第1000回から第1014回までのコメント欄で連載した、「『★゚・*:.。.:*・゜連載1000回記念 特別番組 ゚・*:.。.:*・゚★』(1~15)」を、『Mikikoのひとりごと』として、1本にまとめたものです。

 みなさん!
 2012年6月20日。
 特別な日がやってきました。

 4月ころだったでしょうか……。
 卓上カレンダーの日付に、連載回を書きこみました。
 で、6月20日の特別な日には、大きな丸を付けておきました。
6月20日の特別な日には、大きな丸

 そしてとうとう、その日がやってきたわけです。
 「由美と美弥子」、連載1000回。
 本日到達しました。
 丸4年とひと月。
 感慨ひとしおです。

 4年前……。
 50回続いたことに、自分で驚いてたことを鮮明に思い出します。
 50回記念として、「エロ本を拾った話」を書いたくらいですからね。
 100回記念では、「わたしがエロ小説を書き始めたわけ」で、連載を始めたきっかけについて書きました。
 とにかく、エロ小説を書くのは、初めてのことで……。
 最初のころは、そーゆー小説を書いてる自分を、受け入れることに苦労してました。
 200回を数えるころになると……。
 巡航速度に乗ったと云うか……。
 200,300という数字が、到達点では無く、通過点に過ぎないことが、実感できるようになりました。
 それでもどこかで、飽きてしまうんじゃないかって思いもあったんですよね。
 とにかく、これまでの人生、物事が長続きした試しが無いんです。
 熱しやすく冷めやすい、という典型でしたから。
 これまでにも、マイブームは幾度も起こりました。
 ブームの最中は、生涯の目的を見つけたような熱狂の渦のなかで……。
 生活費までも、つぎ込んだものです。
 でも、やまない嵐が無いように……。
 すべてのブームは、消え去りました。
 まさに、あの熱狂は何だったんだと思うほど……。
 綺麗さっぱりと。
 ですから、このブログの運営も……。
 いつかは熱が冷めるんじゃないかと、心の片隅で危惧してました。
 でも、不思議な事に……。
 火が消える気配が無いんです。
 もちろん、星飛雄馬みたいに、目の中が燃えてるような状態じゃありません。
星飛雄馬みたいに、目の中が燃えてるような状態じゃありません

 そういう燃え方をした火は、必ず消えるものですし。
 わたしの中の火は、もっと静かなものです。
 行灯みたいな感じでしょうか。
 薄い火皿に灯る炎。
 木綿の灯心が菜種油を吸いあげ、小さな明かりを灯してます。
木綿の灯心が菜種油を吸いあげ、小さな明かりを灯してます

 でも、火皿の油は、いっこうに減らない。
 つきせぬ明かりが、小さく揺らめいてる。
 こんな感じです。
 これからも、この炎を守りつつ……。
 静かに、ゆっくりと……。
 でも確実に、歩んでいきたいと思います。

「ということで!
 堅苦しい挨拶は、これくらいにしましょうね。
 この特別番組では、ゲストとして、『由美美弥』を4年間支えてくれた女優陣に登場いただき……。
 作者であるわたくしと、対談の場を設けてみようかと思っております。
 今、楽屋には、女優陣が控えてるはずなんですが……。
 おかしなことは始めてないでしょうね。
 ちょっと心配ですが。
 さて、まずは一人目。
 もちろん、『由美美弥』主演女優のひとり!
 藤村由美さんです。
 どうぞ~。
 ……。
 ちょっと、誰も出てこないじゃないの。
 由美ちゃん!
 何してるのよ。
 対談相手が出てこないんじゃ、漫談しなきゃならないじゃないの。
 由美ちゃ~ん。
 由美さ~ん。
 3番テーブル、3番テーブル」

「すみませ~ん」
「やっと出てきた」
「遅くなりました」
「袖で控えててもらわないと、困るじゃないの。
 ひとりじゃ、間が持たないわよ」
「十分、持たせられると思いますけど」
「何してたのよ?」
「久しぶりに顔合わせた人とかいて、盛りあがってたんです」
「ふーん。
 楽しそうだね。
 楽屋で対談しようか」
「収集つかなくなると思いますよ」
「それもそうだ。
 さてと。
 何から話すかね」
「それはそうと、Mikikoさん。
 わたしの出番、ずいぶんとご無沙汰じゃないですか」
「だよね。
 いつ出たっけ」
「高原の貸別荘が最後です」
「あー。
 あの場面か。
 野外デッキ」
野外デッキ

「そうです」
「思い出したくない場面だ」
「なんで!」
「あの場面書いてて……。
 煮詰まっちゃったんだよね。
 やっぱ、4人同時に動かすのって、難しいわ」
「香純さんの弟、リビングで倒れたままでしたよね」
「そうだっけ?」
「あの人、あの後、どうなったんですか?」
「知らない」
「もう。
 ほんと、無責任なんだから。
 書きっぱなしでいいんですか」
「出てきて、いきなり責めないでよ」
「わたしの次の出番って、いつです?」
「それは……。
 神様もわからんだろうね」
「今のお話、書き終えて無いんですか?」
「そうなんだよ。
 写真に物語を付けるのって、ほんとタイヘンなんだから」
「写真?
 どういうことです?」
「だから……。
 今『由美美弥』で連載してるシリーズは、『緊縛新聞』さんにも掲載されるわけ」
緊縛新聞

「聞いてませんけど」
「あ……。
 言ってなかった?」
「どうしてそういうこと、黙ってるんです?」
「実は……。
 向こうの都合で、連載開始が1ヶ月先送りになっちゃったのよ。
 本来なら、6月8日から載る予定だったから……。
 1000回記念のときは、みんな知ってるはずだったわけ」
「6月8日?
 そんなアナウンス、ありました?」
「してない。
 なんとなく、妙な勘が働いてね。
 6月8日には、載らないんじゃないかって感じがしたわけ。
 で、黙ってたら……。
 案の定、載らなかった」
「相変わらず、悪い予感だけは働くんですね」
「だよね」
「で、いつから掲載になるんですか?」
「7月6日だって」
「今度は、悪い勘は働かないんですか?」
「ま、2度続けて載らなかったら……。
 それはそれでネタに出来るじゃん」
「凹みませんね。
 じゃ、今度のシリーズも、写真に物語を付けるわけですね」
「そうそう。
 それがタイヘンなのよ。
 写真の場面に持っていくまでのストーリーを……。
 独自に作らなきゃならないわけだからさ。
 写真がリアリティを持つかどうかは、その作業にかかってると云ってもいい」
リアリティ

「大事な作業なんだから」
「ふーん。
 でもそれって、作家として当り前の仕事でしょ」
「まぁね。
 考えるのは楽しいんだよ。
 でも、実際に書くのはタイヘンなんだから。
 どうしても、説明的になっちゃうし」
「長引きそうなんですか?」
「ちょっとねー」
「わたしも出してくださいよ」
「無理言わないでよ。
 3年前の美里の学校に、なんであんたが出てくるの」
「美弥ちゃんだって出てるじゃないですか」
「あれは……。
 美里の聞き役としてでしょ。
 プロローグの」
「わたしもそれでいいです」
「もう、出番終わっちゃったよ」
「途中で、わたしが訪ねて来るってのは?
 そもそも、あの場面ってどこなんです?
 美弥ちゃんのマンション?」
「そのつもりだけど」
「どうして、美弥ちゃんのマンションに、ミサちゃんが上がりこんでお茶飲んでるんです?」
お茶飲んでる

「そこまで考えてないわよ」
「リアリティがどうのって言ってませんでした?」
「それは……。
 あれよ。
 焦点のリアリティを際立たせるためには……。
 周りは、ぼかした方がいいわけ。
 わかる?
 対象にフォーカスが合って……。
 背景はぼやけてるって写真、見たことない?」
背景はぼやけてるって写真

「それ……。
 今、思いついたでしょ?」
「ま……、ね。
 とにかく、あんたの出番は無しってことで」
「納得出来ない」
「『放課後のむこうがわⅡ』が終わったら……。
 出番になるから。
 そもそも、女教授のシーンの次は……。
 由美ちゃんのシーンの予定だったの。
 そこへ、『放課後のむこうがわⅡ』が割りこんじゃったのよ」
「そもそも、そこがおかしいじゃないですか。
 最初の『放課後のむこうがわ』は……。
 書き下ろしで『緊縛新聞』さんに載せたんでしょ」
「ぎく」
「どうして、『放課後のむこうがわⅡ』は、『由美美弥』と同時掲載なんです?」
「『放課後のむこうがわ』のときは……。
 書きためたストックがあったから、書き下ろしができたの。
 『放課後のむこうがわ』を書いてる時は……。
 『由美美弥』の執筆は、休んでたわけ。
 で、あの連載で、ストックがすっからかんに減っちゃったわけ。
 わたしのキャパじゃ、2本同時に執筆するなんてムリなのよ」
「1日、何時間書いてるんです?」
「小説は……。
 1時間弱かな」
「それって、短く無いですか?」
「ぎく」
「こないだ、“Cool Japan”見てたら、少女漫画家の自宅訪問レポートがあったんです」
Cool Japan

「渋い番組見てるわね。
 漫画家がテーマだったの?」
「テーマは、『漫画』です。
 その中で、漫画家訪問のレポートがあったんです。
 そしたら、その漫画家の女性、1日15時間描いてるって言ってました。
 ちょっと!
 聞いてます?
 急に携帯いじったりしないでください」
「その人、専業漫画家でしょ?」
「当たり前じゃないですか。
 15時間のほかに働けるわけないでしょ」
「わたしも、専業作家だったら……」
「できます?」
「ま、ちょっと15時間は難しいかも知れないけど……」
「じゃ、どのくらいですか」
「2時間くらいなら……」
「呆れた。
 専業なんですよ。
 1日、2時間しか働かないってことじゃないですか」
「もちろん、『東北に行こう!』の執筆は、この時間のほかにするよ」
「当たり前でしょ」
「だいたいね。
 1日15時間ってのは、異常よ。
 そんな生活、長続きするわけないって。
 女工哀史じゃないんだから。
 朝8時から始めたとして、ぶっ続けでも夜の11時だよ。
 途中、2時間くらいは休憩取るだろうから……。
 実質、終わるのは、夜中の1時ってことでしょ。
 翌朝の執筆開始まで、7時間しかないじゃない。
 おちおち、酒も飲めない」
「そのくらい、やれません?」
「やれまへん」
「躊躇なく言わないでください」
「そんな生活してたら、遠からず腰を痛めるか、脱腸になるわ」
「なんで、脱腸なんです?」
「15時間も座ってれば、お腹にガスが溜まるわよ。
 オナラしようとしても、座ってるから素直に出ない。
 出場所を間違って、脱腸になるわけ」
「呆れた」
「ま、漫画家ってのは、人気商売だからね。
 たぶん、死ぬほど忙しい人と、まったくヒマな人と、両極端なんじゃない?
 1日7~8時間描いて、楽しい人生送ってる人なんていないのよ」
「で、つまり、『放課後のむこうがわⅡ』が書き下ろしに出来なかった理由は……」
「忙しくて」
「違うでしょ。
 1日、1時間しか書かないからでしょ」
「あなたね、そう責め立てますけど……。
 フルタイムで働いてる人が、1時間捻出するってのは、タイヘンなのよ」
「何時間寝てるんです?」
「7時間くらい」
「寝過ぎ」
「何で!
 これでも、昔は8時間だったのを縮めたのよ」
「Mikikoさんの歳なら、5時間くらいで大丈夫なんじゃないですか」
「わたしの歳って、何だよ。
 いくつになっても、寝たいものは寝たいの。
 睡眠不足だと、気力が無くなるんだよ。
 テンション下がりまくりの、モチベーションゼロ状態」
「何か、端で聞いてるだけで、ナマケモノが伝染しそうだわ」
「とにかく、2本同時に書くのはムリだからって……。
 『緊縛新聞』さんには、同時掲載の条件を飲んでもらったわけ」
「交渉したんですか?」
「やみげんさんがね。
 わたしは、やみげんさんに、こっちの条件を伝えただけ」
「呆れた。
 断られたらどうするつもりだったんです?」
「『緊縛新聞』さんの掲載を諦めるだけよ」
「意地ってものが無いんですか?」
「だって、出来ないも~ん」
「ほんとにもう。
 でも、同時掲載なんてして、大丈夫なんですか?」
「何が?」
「だって、あちらでは、杉浦先生の綺麗な写真が付いて掲載されるわけでしょ」
「うん。
 先生、今回の連載用に、写真を焼き直して下さるんだって」
「焼き直しって……。
 デジタルじゃないんですか?」
「やみげんさん曰く……。
 『色を調整し直すこと』じゃないかって言ってた。
 でも先生から、『焼き直しするから、使う写真を教えてくれ』って言ってきたんだって。
 やみげんさん経由で、わたしの手元には、もう膨大な量の写真データが届いてた」
「えー。
 杉浦先生のファンにしたら、垂涎のコレクションなんじゃないですか?」
「だよねー。
 それをタダで見れるんだから、果報者だよ。
 で、その宝の山から、使いたい写真を選んで、やみげんさんに伝えてるわけ」
「Mikikoさんが選ぶんですか」
「そだよ」
「何か、すっごいエラそうなんですけど」
「まぁな。
 これも、人徳じゃのー。
 わたしは呆然としてるだけで、何もかも人がやってくれる」
「でも、今掲載されてるシーンに使える写真なんてあるんですか?」
「知らない」
「何それ」
「杉浦先生から送ってもらった写真には、今のプロローグ部分で使えるのは無いんだ。
 佳境のばっかしだから。
 で、やみげんさんに、『プロローグが長引いて、写真が使えない回が続くんですけど』って訴えたわけ。
 そしたらやみげんさんが……。
 前作の画像から選んで、イメージとして当てこんでくださるって」
「ほんとに、いいご身分だわ」
「そう言えば、さっき何かイチャモン付けかけたじゃない。
 同時掲載で大丈夫かとか」
「そうそう。
 読者はみんな、『緊縛新聞』さんに読みに行っちゃうんじゃないですか?
 写真付きで掲載されるんだから。
 そしたらここ、閑古鳥ですよ」
「ま……。
 そういう怖れも、無きにしも非ずではあるが……。
 大丈夫。
 『東北に行こう!』は、こっちでしか読めないんだし」
「あれって、読者付いてるんです?」
「嫌なこと言うわね。
 あんただって出たじゃない」
「福島の回ね。
 もうちょっと遠いとこ行きたかったな。
 連載回数も短かったし。
 今回の律子おばちゃんとの『東北』は、ちょっと展開遅すぎですよ。
 それに、写真ばっかりで、文章スカスカ」
「ぎく」
「水増しだと思います」
「身も蓋もないわね。
 もうちょっと、婉曲に言えない?」
「少々、お水増しではないでしょうか」
「丁寧に言ってるだけだろ!
 何だよ、お水増しって」
「とにかく、『緊縛新聞』さんに同じ連載したら……。
 お客さん、取られちゃうんじゃないですか?」
「大丈夫。
 商売じゃないんだから。
 相乗効果こそあれ、お客さんを取られるなんてことにはならないよ」
「楽天的ですね」
「ま、な。
 こういう性格じゃなきゃ、同じ小説を1000回も書けないってこと」
「自分で言うなって感じ」
「ところで、あんた、何しに出てきたの?」
「Mikikoさんが呼んだんでしょ!
 1000回記念の挨拶に」
「あ、そうか。
 で、済んだんだっけ?
 挨拶」
「まだしてませんって」
「何でしないのよ」
「Mikikoさんと話してると、どんどん話題がずれてくんだもん」
「どうやら、『東北に行こう!』方式が、身に染みて来たな」
「泥縄式ってやつですね」
「ちょっと使い方が違うんじゃないか。
 例えるなら、臨機応変だろ」
「大いに使い方が違うと思います。
 それじゃ、えーっと。
 挨拶ですね。
 改まると、難しいな」
「何でよ。
 素直に、感謝の言葉を述べればいいわけでしょ」
「あ、そうですね。
 読者のみなさん!
 ここまで読んで下さって、ほんとにありがとうございます。
 故人も、草葉の陰で喜んでると思います」
Mikikoの墓

「誰が故人じゃ!
 そもそも、まず例を言わなきゃならないのは、わたしに対してでしょ」
「えー。
 読者を差し置いてですか」
「だって、そもそもわたしがいなかったら……。
 読者の前にも出れなかったわけだし」
「それはそうですけど」
「照れなくてもいいじゃない」
「照れてません。
 何か、言うのがヤなだけです」
「なにおっ」
「登場人物が多すぎて、出番が少ないし……。
 『由美と美弥子』って云いながら……。
 それぞれ別に出てばっかりでしょ。
 もっと2人だけの場面を作ってくださいよ」
「『高原列車』みたいな?」
「ああいうのも、たまには面白いけど……。
 やっぱ、お部屋で2人っきりが落ち着くかな。
 そうだ。
 『高原列車』の旅から帰って……。
 2人がくつろぐ場面、書いてくださいよ」
「お茶飲みながら、『やっぱり、家が一番ね~』って?」
「そうそう」
「そんなの、小説になるか!」
「いいじゃないですか。
 そういう日常を描くのも」
「あぁ。
 私小説のエロバージョンか。
 そういうのも、オモロそうだね。
 前例はあるのかな?」
「知りませんけど。
 ところで、そろそろ美弥子ちゃんも呼びません?」
「あ、来てたんだっけ」
「楽屋で待ってますよ」
「呼んできて」
「ちょっと行ってきます」
「ふー。
 しかし、ほんとにみなさん、ありがとうございます。
 ヘンな話……。
 わたし、いつ死んでも、ある程度は納得できるかもって思いでいます。
 閻魔様に、『お前は何をやらかして来たのだ』と問われても……」
閻魔様に、『お前は何をやらかして来たのだ』と問われても

「『へい、エロ小説を1000回ほど書きやして……』とかね。
 案外、サバサバ答えられるんじゃないかな。
 でも、まだちょっと死ぬには早いですよね。
 もうちょっと、飲み足りない。
 もちろん、小説もまだ書きたいし。
 出来れば、HQ氏くらいまでは生きて……。
 『由美美弥』書きながら、ぽっくり逝きたいもんですね。
 って、話がどんどん縁起悪い方に行くな。
 あいつら、遅すぎるぞ。
 ちょっと!
 2人とも、何してんのよ!」
由「すみませーん」
弥「お待たせしました」
み「……」
由「どうしたんです?」
み「あんたら、何、その格好?」
由「何って、カクテルドレスですよ」
カクテルドレス

由「綺麗でしょ?
 サテンですから。
 あ、喫茶店のことじゃありませんよ」
み「わかっとるわい!
 何でそんな格好をしてるのかと聞いておる」
由「美弥ちゃんが、お祝いの席なんだから……。
 やっぱり、ちゃんとした方がいいって」
み「貸衣装?」
由「誂えちゃいましたぁ。
 わたしは貸衣装でも大丈夫だけど……。
 美弥ちゃんのがねー」
み「確かに」
由「女装用の店ならあるかもって言ったら……。
 すっごく怒って」
弥「当たり前です。
 女装用の衣装なんて、ウェストがブカブカに決まってます」
み「そういう問題か?
 でも、ほんとに腰、細いね。
 無理してない?」
弥「してません」
み「ほんとにぃ?
 すっごいコルセット嵌めてるんじゃないの?
 星飛雄馬みたいな」
由「カクテルドレス養成ギブス?」
み「それそれ」
カクテルドレス養成ギブス

み「屈むと、はち切れるんじゃないか?」
弥「痛たっ。
 摘まないでください」
み「摘めなかった。
 ぱっつぱつじゃないの。
 何にも食べれないよ。
 って、そういう話じゃなくて……。
 何で主賓を差し置いて、そういう格好するのかって言ってるの!
 平服でいらしてくださいって、案内状に書いといたでしょ」
由「案内状なんて、貰ってませんけど」
み「ま、出してないんだから、貰ってないんだろうけど」
由「わけわかんない」
み「わからんのは、お前らだ。
 わたしが平服なのは、わかってるでしょ。
 何で自分らだけ着替えるわけ!」
由「だって、この格好で来たらさすがに目立つから……。
 持ってきて着替えたんですよ」
み「そういう問題じゃないでしょ!
 何で主賓より目立つ格好するわけ!」
弥「あ、Mikikoさんもどうぞ。
 着替えてください」
み「持って来て無いもの」
弥「どうしてです?
 こんな大事な席なのに」
み「あんたにそう言われると……。
 何だか自分が悪いような気がしてくるけど」
弥「だって。
 テレビで、女流作家さんの出版記念パーティーとか見ると……。
 みなさん、気飾ってらっしゃいますよ」
み「確かにそうだけどさ」
由「ドレスに自信が無かったら……。
 着物にすればいいんですよ」
み「誰が自信無いって?」
由「あるんですか?」
み「さすがに、ミニドレスは着れんと思うが……」
由「それは、無謀すぎです」
み「うるさい!
 カクテルドレスくらいなら着れるわい。
 持ってないけど」
由「やっぱり、着物のほうが無難だと思うけどな」
着物のほうが無難だと思うけどな
↑これは、無難とは言えまへん。

み「無難、って言うな。
 しっかし……。
 よくもまぁ、そんな派手なドレス、誂えたね。
 奇術師の襲名披露じゃないんだから」
由「失礼ですね。
 若さの特権です」
み「確かに、美弥子はそうだね。
 今しか着れないわ」
弥「どうしてです?」
み「あんた、年取ったら太るよ。
 あちらの血が混じってるんだから。
 ビア樽みたいになるって」
ビア樽みたいになるって

弥「なりません!」
み「成りたくて成った人はいないの。
 でも、みんな成っちゃうんだな」
弥「嫌なこと、言わないでくださいよ」
み「ふふ。
 書こうと思ったら、何でも書けるんだぜ。
 年取って……。
 ビア樽とスルメ干しみたいになった『由美美弥』」
ビア樽とスルメ干しみたいになった『由美美弥』

み「書いちゃろか」
由「そんなの、誰も読みませんって。
 あ、美弥ちゃん、せっかくだから、挨拶しなよ。
 主演女優のひとりとして」
弥「えー。
 考えてない」
み「考えてたら厚かましすぎだわ」
由「平服の人は、脇に退いてて下さい」
み「このアマ!」
由「大丈夫。
 わたしが隣に立っててあげるから」
弥「ありがと。
 それでは……。
 みなさん。
 ……、ダメ。
 すっごい緊張する」
由「大丈夫だから。
 頑張って」
弥「本日は……。
 本日は、わたしたちのリサイタルにお越しいただいて……」
由「美弥ちゃん……。
 ちょっと違う」
弥「え?
 わたし、何て言った?」
由「Mikikoさん、だらしないですよ。
 舞台に引っくり返ったりして」
舞台に引っくり返ったりして

み「……。
 いきなり、カウンターくらった」
いきなり、カウンターくらった

み「あんた、よく平気だね」
由「慣れてますから。
 美弥ちゃん、今の調子でいいから」
み「良くないだろ!」
弥「本日は、わたしたち2人のために、このような場を設けていただき……」
み「くぉら!
 わたしのためだろ!」
由・弥「まことにありがとうございます」
み「無視するな!」
由「さて、挨拶も終わったし。
 帰ろうか」
弥「うん」

※(Ⅱ)に続きます。
尋常性乾癬/その後(Ⅲ)目次連載1000回記念 特別番組(Ⅱ)





コメント一覧
コメント投稿へジャンプ    ページトップへ
    コメントする   【連載1000回記念 特別番組(Ⅰ)】
コメント一覧へジャンプ    ページトップへ


Comment:本文 絵文字  ※入力できるのは、全角で800字までです。

↓お帰りのさいには↓
愛のワンクリ お願いします
新しいウィンドウは開きません

相互リンクサイトのみなさま(Ⅰ)
熟女・おばさんの性体験談 新・SM小説書庫2 問答無用の吸血鬼R18 知佳の美貌録
熟女と人妻エロンガ 官能文書わーるど 未知の星 Japanese-wifeblog
赤星直也のエロ小説 愛と官能の美学 [官能小説] 熟女の園 只野課長の調教日記
電脳女学園 西園寺京太郎のSM官能小説 都会の鳥 変態小説

相互リンクサイトのみなさま(Ⅱ)
人妻の浮気話 艶みるく 人に言えない秘密の性愛話 ちょっとHな小説 Playing Archives
Mikiko's Roomの仮設テント 女性のための官能小説 性小説 潤文学ブログ 官能の本棚
HAKASEの第二読み物ブログ ぺたの横書き かおるの体験・妄想 黒い教室
被虐願望 性転換・TS・女体化劇場 羞恥の風 女の陰影
女性のH体験告白集 むね☆きゅんファンサイト 週刊リビドー あおいつぼみ 葵蕾
最低のオリ 魔法の鍵 恥ずかしがりたがり。 官能的なエロ小説

相互リンクサイトのみなさま(Ⅲ)
SMX工房 淫芯 お姫様倶楽部.com 被支配中毒
出羽健書蔵庫 かめべや 女教師と遊ぼう 平成な美少女ライトノベル
禁断の体験 エッチな告白集 おとなの淫文ファイル エッチのあとさき 恥と屈辱の交差点 潤文学
ましゅまろくらぶ 空想地帯 恍惚團 ~ドライ・オーガズムの深淵~ Angel Pussy 週刊創作官能小説
ろま中男3 渡硝子の性感快楽駆け込み寺 漂浪の果てに アダルト検索一発サーチ

快感小説 SM・お仕置き小説ブログ 官能秘宝園 制服美少女快楽地獄
秘密のエッチ体験談まとめ 18's Summer 淫鬼の棲む地下室 被虐のハイパーヒロインズ
ひめ魅、ゴコロ。 おしっこ我慢NAVI 妄想ココット ライトHノベルの部屋
レズ画像・きれいな画像倉庫 riccia 調教倶楽部 ちょっとHなおとなのための…
緊縛新聞 Eros'Entertainment オシッコオモラシオムツシーン収集所 エピソードセックス
マルガリテの部屋 アダルト官能小説快楽機姦研究所 渋谷子宮 RE:BIRTH 羞恥集
黒塚工房 プライド 女性作家専門官能小説 官能小説 レイプ嗜好
人妻!人妻!人妻! wombatの官能小説 黒イ都 羊頭狗肉
ひよこの家 美里のオナニー日記 エロショッカー軍団 相互リンク、募集してます!
★相互リンク募集中!(メールしてね)★

ランキング/画像・動画(1~10)
シンプルアダルト動画サーチ 人気ブログランキング
にほんブログ村 ライブドアブログ
官能小説アンテナ エログちゃんねる
官能文章アンテナ アダルトブログランキング


ランキング/画像・動画(11~30)
GL Search Adult Novels Search オンライン小説検索・R小説の栞 おたりんく
△Top