2010.5.1(土)
これは、第439回から第440回までのコメント欄で連載した、「『アイスランドのお話』(Ⅰ~Ⅱ」)」を、『Mikikoのひとりごと』として、1本にまとめたものです。
前回、お断りしたとおり……。
「大分に行こう!」を一時中断し、特別情報番組をお送りします。
先週までは、ニュースの度に耳にしてた国。
アイスランドのお話。
アイスランドで火山が噴火するのは……。
別に珍しいことではありません。
アイスランドってのは、日本と同じく火山国なんです。
前回の「大分に行こう!」で書いたように……。
別府の龍巻地獄のような間欠泉も、たくさんあります。
ていうか、アイスランドこそ、間欠泉の本場なんです。
間欠泉は、英語で“Geyser(ゲイシール)”と云います。
このゲイシールってのは、アイスランドにある地名なんです。
そこに、有名な間欠泉があって……。
ゲイシールが、ゲイシールを意味する言葉になったってわけ。
この成り立ちって、「津波」と似てますよね。
津波を現す英語を知ってますか?
それは、“Tsunami”。
すなわち、“Tsunami”は、世界中で通じる言葉なんです。
先ほど言いましたように、遠く離れたアイスランドと日本には……。
火山国という共通点があります。
わたしは火山フリークなので、アイスランドに関する本も読みました。
お勧めは、岩波ジュニア新書の、「地震と火山の島国 -極北アイスランドで考えたこと-(島村英紀 著)」。
岩波ジュニア新書には、さまざまな分野の、とっても面白い入門書がたくさんあります。
大きな書店に行かれたときなど、書棚を眺めてみてください。
読みたくなる本が、きっと見つかると思います。
さて、そのアイスランドですが……。
どこにあるか、ご存じですか?
今回の噴火騒ぎで、そうとう認知度は上がったと思いますけど。
アイスランドがあるのは、ヨーロッパの北西。
北大西洋上。
スカンジナビア半島って、聞いたことあるでしょ?
懐かしい地名ですね。
高校の地理で習ったっけかな?
スカンジナビア半島には、ノルウェーとスウェーデンが載ってます。
このスカンジナビア半島の西の沖に浮かぶ島が、アイスランド。
孤島です。
大きさは、北海道と四国を合わせたくらい。
北緯65度線が、島の中央を横断してます。
高緯度ですね。
国土の一部は、北極圏にかかってます。
夏は白夜、冬は綺麗なオーロラが夜空を覆います。
首都のレイキャビックは、北緯64度8分。
世界でもっとも北にある首都です。
それでは、アイスランドは……。
名前の通り、氷の島なのでしょうか?
確かに、地表の10%は氷河に覆われてますが……。
びっくりするほど……。
寒くないんです。
ひとつは、この島を包むようにメキシコ湾流が流れ上がって来てること。
そして、もうひとつが……。
火山です。
地熱が高いんですね。
スカンジナビア半島で、アイスランドと同緯度の地域は……。
冬の最低気温の平均は、氷点下20度にもなります。
ところが、アイスランドでは……。
氷点下2度くらいなんですね。
これは、ちょっと驚くべき数字です。
ちなみに、札幌の月別気温を見てください。
冬の最低気温は、札幌の方がはるかに低いことがわかります。
氷点下2度ってのは、日本で云えば、仙台あたりになるんです。
仙台は、北緯38度16分。
レイキャビックは、北緯64度8分です。
日本の北方、北緯64度あたりは……。
シベリアです。
このように、冬は比較的暖かいんですが……。
夏は寒いです。
8月の最高気温も、14度。
東京なら、3月ころの気温。
ちなみに、レイキャビックの史上最高気温は……。
24度だそうです。
夏が寒いわけは、まさしく高緯度にあるからです。
夏至の昼間でも、太陽は斜めから射し……。
長い影が出来ます。
陽の光が弱いんですね。
それでも、夏は夏。
この国の人は……。
夏の光を浴びるため……。
10数度の戸外で、水着で日光浴をするそうです。
さて、アイスランドは、日本と同じ火山国ですが……。
実は、日本とアイスランドでは……。
火山の出来る仕組みが、真逆なんです。
日本ってのは、海洋プレートが地中深く潜り込む場所にあたります。
これを、海溝と云います。
太平洋プレートとフィリピン海プレートが……。
日本列島が載る、北米プレートとユーラシアプレートの下に潜り込んでいるんです。
プレートは、地下深部に潜ると、解けてマグマとなります。
このマグマが上昇し、地表に噴出する際に出来るのが、火山です。
アイスランドのある場所は……。
プレートが潜り込む場所ではなく、プレートが生まれる場所にあたります。
これを、海嶺と云います。
海嶺という名のとおり、火山のほとんどが海中にあります。
深海を延々と、野球ボールの縫い目のように連なってます。
地下深くから、マントルが上昇してくる場所です。
マントルは上昇するにつれ融解し、マグマとなります。
火山は、野球ボールの縫い目から、マグマが噴き出すところ。
噴き出したマグマは、冷え固まってプレートになります。
出来たプレートは、ベルトコンベアのように送られて行きます。
人の爪が伸びるらいの速度です。
そして、何億年か後、海溝まで到達すると……。
再び、地中に帰っていくわけです。
これが、プレートの一生。
アイスランドが載ってるのは、大西洋中央海嶺と云います。
大西洋プレートが生まれる場所です。
その大山脈の、とりわけ高い頂上が海から出た場所が……。
アイスランドなんです。
海底からの高さは、6,000メートル。
つまりアイスランドは、6,000メートルの火山の頂上にあたるわけです。
てことは、当然……。
温泉の宝庫!
温泉地でない場所はありません。
アイスランドの人口は、30万人程度ですが……。
ほぼ全戸に温泉が引かれてるそうです。
しかも、たいていの家には、温室が備わってるとか。
オオオニバスも、ひょっとしたらあるかも……。
つまり、国全体が別府状態なんですね。
実は……。
アイスランドは、住んでみたい場所のひとつでした。
大温室を作って、その中に住みたかったんです。
問題は……、冬です。
そんなに寒くないとはいえ、1日数時間しか日が昇りません。
なので、人工照明を付けなきゃなりません。
でも、アイスランドは地熱発電が進んでて、電気代も安いので大丈夫。
野菜なんかも温室で作れば、半分自給自足できますよね。
なんだか、SFで読んだスペースコロニーみたいでしょ?
ちょっと尻切れトンボですが……。
これで、特別情報番組を終わります。
次回からは再び、「大分に行こう!」をお楽しみください。
前回、お断りしたとおり……。
「大分に行こう!」を一時中断し、特別情報番組をお送りします。
先週までは、ニュースの度に耳にしてた国。
アイスランドのお話。
アイスランドで火山が噴火するのは……。
別に珍しいことではありません。
アイスランドってのは、日本と同じく火山国なんです。
前回の「大分に行こう!」で書いたように……。
別府の龍巻地獄のような間欠泉も、たくさんあります。
ていうか、アイスランドこそ、間欠泉の本場なんです。
間欠泉は、英語で“Geyser(ゲイシール)”と云います。
このゲイシールってのは、アイスランドにある地名なんです。
そこに、有名な間欠泉があって……。
ゲイシールが、ゲイシールを意味する言葉になったってわけ。
この成り立ちって、「津波」と似てますよね。
津波を現す英語を知ってますか?
それは、“Tsunami”。
すなわち、“Tsunami”は、世界中で通じる言葉なんです。
先ほど言いましたように、遠く離れたアイスランドと日本には……。
火山国という共通点があります。
わたしは火山フリークなので、アイスランドに関する本も読みました。
お勧めは、岩波ジュニア新書の、「地震と火山の島国 -極北アイスランドで考えたこと-(島村英紀 著)」。
岩波ジュニア新書には、さまざまな分野の、とっても面白い入門書がたくさんあります。
大きな書店に行かれたときなど、書棚を眺めてみてください。
読みたくなる本が、きっと見つかると思います。
さて、そのアイスランドですが……。
どこにあるか、ご存じですか?
今回の噴火騒ぎで、そうとう認知度は上がったと思いますけど。
アイスランドがあるのは、ヨーロッパの北西。
北大西洋上。
スカンジナビア半島って、聞いたことあるでしょ?
懐かしい地名ですね。
高校の地理で習ったっけかな?
スカンジナビア半島には、ノルウェーとスウェーデンが載ってます。
このスカンジナビア半島の西の沖に浮かぶ島が、アイスランド。
孤島です。
大きさは、北海道と四国を合わせたくらい。
北緯65度線が、島の中央を横断してます。
高緯度ですね。
国土の一部は、北極圏にかかってます。
夏は白夜、冬は綺麗なオーロラが夜空を覆います。
首都のレイキャビックは、北緯64度8分。
世界でもっとも北にある首都です。
それでは、アイスランドは……。
名前の通り、氷の島なのでしょうか?
確かに、地表の10%は氷河に覆われてますが……。
びっくりするほど……。
寒くないんです。
ひとつは、この島を包むようにメキシコ湾流が流れ上がって来てること。
そして、もうひとつが……。
火山です。
地熱が高いんですね。
スカンジナビア半島で、アイスランドと同緯度の地域は……。
冬の最低気温の平均は、氷点下20度にもなります。
ところが、アイスランドでは……。
氷点下2度くらいなんですね。
これは、ちょっと驚くべき数字です。
ちなみに、札幌の月別気温を見てください。
冬の最低気温は、札幌の方がはるかに低いことがわかります。
氷点下2度ってのは、日本で云えば、仙台あたりになるんです。
仙台は、北緯38度16分。
レイキャビックは、北緯64度8分です。
日本の北方、北緯64度あたりは……。
シベリアです。
このように、冬は比較的暖かいんですが……。
夏は寒いです。
8月の最高気温も、14度。
東京なら、3月ころの気温。
ちなみに、レイキャビックの史上最高気温は……。
24度だそうです。
夏が寒いわけは、まさしく高緯度にあるからです。
夏至の昼間でも、太陽は斜めから射し……。
長い影が出来ます。
陽の光が弱いんですね。
それでも、夏は夏。
この国の人は……。
夏の光を浴びるため……。
10数度の戸外で、水着で日光浴をするそうです。
さて、アイスランドは、日本と同じ火山国ですが……。
実は、日本とアイスランドでは……。
火山の出来る仕組みが、真逆なんです。
日本ってのは、海洋プレートが地中深く潜り込む場所にあたります。
これを、海溝と云います。
太平洋プレートとフィリピン海プレートが……。
日本列島が載る、北米プレートとユーラシアプレートの下に潜り込んでいるんです。
プレートは、地下深部に潜ると、解けてマグマとなります。
このマグマが上昇し、地表に噴出する際に出来るのが、火山です。
アイスランドのある場所は……。
プレートが潜り込む場所ではなく、プレートが生まれる場所にあたります。
これを、海嶺と云います。
海嶺という名のとおり、火山のほとんどが海中にあります。
深海を延々と、野球ボールの縫い目のように連なってます。
地下深くから、マントルが上昇してくる場所です。
マントルは上昇するにつれ融解し、マグマとなります。
火山は、野球ボールの縫い目から、マグマが噴き出すところ。
噴き出したマグマは、冷え固まってプレートになります。
出来たプレートは、ベルトコンベアのように送られて行きます。
人の爪が伸びるらいの速度です。
そして、何億年か後、海溝まで到達すると……。
再び、地中に帰っていくわけです。
これが、プレートの一生。
アイスランドが載ってるのは、大西洋中央海嶺と云います。
大西洋プレートが生まれる場所です。
その大山脈の、とりわけ高い頂上が海から出た場所が……。
アイスランドなんです。
海底からの高さは、6,000メートル。
つまりアイスランドは、6,000メートルの火山の頂上にあたるわけです。
てことは、当然……。
温泉の宝庫!
温泉地でない場所はありません。
アイスランドの人口は、30万人程度ですが……。
ほぼ全戸に温泉が引かれてるそうです。
しかも、たいていの家には、温室が備わってるとか。
オオオニバスも、ひょっとしたらあるかも……。
つまり、国全体が別府状態なんですね。
実は……。
アイスランドは、住んでみたい場所のひとつでした。
大温室を作って、その中に住みたかったんです。
問題は……、冬です。
そんなに寒くないとはいえ、1日数時間しか日が昇りません。
なので、人工照明を付けなきゃなりません。
でも、アイスランドは地熱発電が進んでて、電気代も安いので大丈夫。
野菜なんかも温室で作れば、半分自給自足できますよね。
なんだか、SFで読んだスペースコロニーみたいでしょ?
ちょっと尻切れトンボですが……。
これで、特別情報番組を終わります。
次回からは再び、「大分に行こう!」をお楽しみください。
コメント一覧
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1. フェムリバ- 2010/05/09 18:06
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一番ゲッツ♪
読み返してみると、アイスランドって凄い場所にありますよね(6000メートルの火山の頂上)。
地面の下を想像すると怖いけど、表面上は温泉天国。
地球って、絶妙なバランスで成り立ってますね~
ミキコ様、興味深いお話、ありがとうございます♪
再び楽しむ事ができました♪
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2. Mikiko- 2010/05/09 21:17
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再び激しくなってるみたいですね。
氷河があるので、水蒸気爆発が起きるんだよね。
ヨーロッパでは、また飛行機が飛べなくなってるようです。
その上……。
ギリシャが破綻しかけてるし。
どうなっちゃうんでしょうね、EU。