2015.5.9(土)
千穂は、脱衣室に身を滑りこませた。
扉が閉まらないように押さえながら、由美と美弥子を手招いた。
仕方なく、2人も中に身を移す。
脱衣室には、木枠で区画されたロッカーが造り付けられていた。
蓋は付いていない。
区画のひとつずつに、大きな籠が入っている。
しかし、見渡した限り、2人の衣類は見あたらなかった。
おそらく、隅にある洗濯機にすべて放りこんだのだろう。
由美の脳裏には、2人が洗濯機の前で全裸になるシーンが浮かんでいた。
異様な昂ぶりを覚えた。
「ここに来た口実ができたわ」
千穂が小声で囁いた。
由美と美弥子は顔を見合わせ、疑問符を目に浮かべた。
「バスタオルよ。
玄関から真っ直ぐ来たから、バスタオルが無いわ」
この宿では、バスタオルは部屋に用意されている。
宿泊客は、それを持って浴場に向かう仕組みだ。
「バスタオルを持ってきたことにすればいい」
「3人でですか?」
「じゃ、わたし、取ってきます」
美弥子が応え、身を翻えそうとした。
「大丈夫。
お客さまには知らせてないけど、お風呂場にも予備があるの」
千穂は、脱衣場の壁に歩み寄った。
壁の一部は、一見わからないが、引き戸の収納になっていた。
千穂が開くと、中にはタオル類が納められていた。
千穂は、クリーム色のバスタオルを2枚、取り出した。
「じゃ、行ってみましょう」
千穂は片腕にタオルを抱え、もう一方の手で、浴室の扉を指さした。
足音を盗みつつ、3人は扉近くまで身を移した。
耳を澄ます。
聞こえてきた。
扉が閉まらないように押さえながら、由美と美弥子を手招いた。
仕方なく、2人も中に身を移す。
脱衣室には、木枠で区画されたロッカーが造り付けられていた。
蓋は付いていない。
区画のひとつずつに、大きな籠が入っている。
しかし、見渡した限り、2人の衣類は見あたらなかった。
おそらく、隅にある洗濯機にすべて放りこんだのだろう。
由美の脳裏には、2人が洗濯機の前で全裸になるシーンが浮かんでいた。
異様な昂ぶりを覚えた。
「ここに来た口実ができたわ」
千穂が小声で囁いた。
由美と美弥子は顔を見合わせ、疑問符を目に浮かべた。
「バスタオルよ。
玄関から真っ直ぐ来たから、バスタオルが無いわ」
この宿では、バスタオルは部屋に用意されている。
宿泊客は、それを持って浴場に向かう仕組みだ。
「バスタオルを持ってきたことにすればいい」
「3人でですか?」
「じゃ、わたし、取ってきます」
美弥子が応え、身を翻えそうとした。
「大丈夫。
お客さまには知らせてないけど、お風呂場にも予備があるの」
千穂は、脱衣場の壁に歩み寄った。
壁の一部は、一見わからないが、引き戸の収納になっていた。
千穂が開くと、中にはタオル類が納められていた。
千穂は、クリーム色のバスタオルを2枚、取り出した。
「じゃ、行ってみましょう」
千穂は片腕にタオルを抱え、もう一方の手で、浴室の扉を指さした。
足音を盗みつつ、3人は扉近くまで身を移した。
耳を澄ます。
聞こえてきた。
コメント一覧
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1. Mikiko- 2015/05/09 07:26
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み「それは、後になってわかったこと。
あのときは、ピンポン鳴らすのが最善の選択です」
http://blog-imgs-74.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20150505083058073.jpg
↑『うみへいくピン・ポン・バス(竹下文子・作/鈴木まもる・絵)』
律「口で言うのが、最善とは思えませんけど」
み「これが、正しい意味での、『旅の恥はかき捨て』です。
知らない土地で遠慮したり恥ずかしがってたら……。
大間違いをしでかして、旅が台無しになることもあるでしょ」
http://blog-imgs-74.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20150505083115da6.jpg
↑“スーパーなんとか”と覚えてると、間違いかねません。
み「『聞くは一時の恥』とも云います。
旅の道中では、恥ずかしがらずに、わからないことはどんどん聞くこと。
これこそが、『旅の恥はかき捨て』の真の意味なのです」
http://blog-imgs-74.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20150505083119b4c.jpg
↑“○○○○”は、伏せ字にしなければならない単語だったそうです。この女性は宮古島出身で、その単語を知らなかったとか。
律「あなたに格言の説教をされようとは、思わなかったわ」
み「おー、ここが夢にまで見た『三内丸山遺跡』か」
http://blog-imgs-74.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20150505083114f14.jpg
律「ほんとに見たの?」
み「多少、脚色があります」
律「スゴい、近代的な施設ね」
http://blog-imgs-74.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/2015050508311759e.jpg
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2. Mikiko- 2015/05/09 07:27
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律「入館料って、いくらかしら?」
み「この施設の規模と、金がかかってそうな箱物からして……。
1,000円はくだらないと見た。
わたし、子供料金で入れないかな?」
律「ダメに決まってるでしょ。
夢にまで見た施設に入るのに、1,000円くらいケチらないの」
み「1,000円をケチらない人は、1,000円に泣く。
1,000円もあれば、2食、食べれるではないか」
http://blog-imgs-74.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20150505083059dbc.jpg
↑新宿のようです。毎日これだと、健康的にどんなものでしょう?
律「でも、ほんと、それらしいカウンターが見当たらないわね。
ゲートも無いし」
み「侵入するか?
よし、ここから匍匐前進」
http://blog-imgs-46.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201102250726142ab.jpg
律「怪しすぎでしょ。
一人でやって」
み「旅の恥はかき捨てではないか」
律「さっきと意味が違うじゃない」
小「あれ?
お姉さんたち……」
み「誰じゃ?」
律「まぁ、懐かしい。
昨日の鉄道少年じゃないの」
http://blog-imgs-74.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20150505083057602.jpg
み「懐かしいって、半日前ですがな」
律「何だか、何ヶ月も会わなかった気がするわ」
み「何しろこの旅には……」
律「“融通無碍な時間が流れてるから”、でしょ?」
http://blog-imgs-47.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20131109193922614.jpg
続きは、次回。
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3. ハーレクイン- 2015/05/09 11:26
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ここでヒキですかい、姐さん。
ま、どうヒクか。
いかに次回も読んでいただくか。
ここが連載物のホシですがのう。
読まされる方はイラっときますがま、これはしょうがない。
幸い今日は土曜日。
一日待てば日曜日。
明日はまた明日の回が来るのだ。
「Tommorow is another day」
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4. ハーレクイン- 2015/05/09 12:42
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続きは……「聞かぬは末代の恥」
ガッコのせんせに教わりました。
わからんことは遠慮せんと質問せえ、ということですね。
へえ、美弥子、じゃなくて宮古では言わんのや「0000」。
で、誰か教えてくれたのかね。
で、三内丸山遺跡。
なんか……イメージ崩れますなあ。
「聞くと見るとは大違い」
「百聞は一見に如かず」
「一を聞いて十を知る(かなり違うぞ)」
「さあさ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい(おい!)」
まあ、この建物が遺跡という訳では無し(あたりまえ)、それっぽい建物(どんなんや)にする必要も無し、遺跡さえきちんと管理してあればそれでいいのでしょうが、ねえ。
>み「1,000円をケチらない人は……
意味不明。わざとか。
ま、「み」さんだからな。
>驚きの500円ランチ!!
主要な客層は学生と見た。
学生の食事は、味は二の次三の次。
ポイントは「量」と「値段」です。“多かろう安かろう”ですね。
思い出すなあ、学生んときの定食屋の「ナス味噌炒め定食」。味も良かったです。
おおおー、なつかしの「小」くん。
まだ青森をうろうろしとったのか。津軽鉄道を往復してさっさと帰京したと思ってたよ。いやあ、懐かしいなあ。
かつての登場人物との再会は「紙上旅行倶楽部」初じゃないか。
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5. ハーレクイン- 2015/05/09 12:48
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書き忘れました。
いや、書いてたんだけど、貼り付けるときに漏れちゃったんですね。↓以下、本文です。
ま、文を読んでいないので何も言えませんが(言うとるやないか)、絵はどうでしょうねえ。「海へ行くんだ、もうすぐ海なんだ」という輝かしい昂揚感のようなものがも一つ、のように見えます。もう少し光を取り入れても良かったのでは。
勝手なことを言ってごめんなさい、鈴木まもるさん。
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6. Mikiko- 2015/05/09 19:36
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EXCELで行数を計算させ、ほぼ機械的に切り出してます。
もちろん、数行の前後調整はしますが……。
わざと引っ張ろうなどという恣意的な意図は、まったくございません。
宮古では使わない言葉。
絵を見ると、隣におっさんが立ってます。
つまり、このおっさんが囁いたわけですね。
「姉ちゃん、○○○○せえへんか」
で、その言葉を知らなかった女性が、大声で尋ね返したというわけです。
おっさんは、身を翻して逃げていったとか。
今の学生は、昼飯に500円も使うんか!
学食なら、300円くらいで食べれるだろ。
「小」くんと別れたのは、昨日の午後のことです。
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7. ハーレクイン- 2015/05/09 20:46
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つまりこの絵は、ある宮古島出身女性の体験談というわけですね。
昼飯に500円“も”
たしかにねえ。
わたしらの頃の学食のメニューは、100円くらいだったと思います。
>「小」くんと別れたのは、昨日の午後のこと
実際には『由美美弥』1501回、『東北』883回。
2014年5月23日(金)のことです。
ほぼ一年前ですね。
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8. Mikiko- 2015/05/10 08:12
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わたしは今、あまりにお腹が空くと集中力が無くなるで……。
バナナを1本、お昼に食べてます。
1食、30円くらいですね。
1年前!
そんな、ありえんだろと思って調べてみたら……。
まさしく、そうでした。
あれから、1年……。
その間、いったい何を書いて来たのでしょう。
われながら、呆然とします。
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9. ハーレクイン- 2015/05/10 11:30
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あゝ おまへはなにをして来たのだ……
じゃなくて、いっぱい書いて来はりましたやん。
『太宰記念館』、『津軽あすなろライン(含、湖殺人事件)』、『六兵衛』さんでの大宴会。んで、『ホテルパサージュ』での妄想……。
詳しいことをいちいち書いとったら書けないので書きませんが……(日本語、変)。
ちなみに、わたしはこの間、ほとんど入院中でした。
あゝ おまへはなにをして来たのだ……
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10. Mikiko- 2015/05/10 12:24
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いろいろ書いたような気もしますが。
でも、1年ですよ。
週5回の連載ですから……。
1年では、260回。
よくもまぁ……。
大したネタでも無いのに、これだけ書けましたわな。
これこそが、わたしの最大の才能なのかも。
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11. ハーレクイン- 2015/05/10 15:51
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「自分の書いたもの、何で覚えてはれへんのやろ、Miki姐さん」と思っていました。
ところが近ごろ私も、以前のシチュや、登場人物の台詞を思い出せなくなりました。で、調べるんですがまあ手間のかかること。「こんなことなら章立てをしとくんだったなあ」ですが後の祭り、は祇園祭。葵祭は5月15日。
現在、ヒマを見つけて自分の原稿に章題を付けて行ってます。
(何を言いたいんや)
要するに、自分の書いたものでも多量になると忘れちゃう、という、まあ、当たり前と言えば当たり前のことでんがなまんがな。
ま、わたしの場合は健忘症ですがね。ひょっとしてアルツハイマーだったりして。
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12. Mikiko- 2015/05/10 18:11
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毎週毎週、投稿済みの箇所を読み返し、推敲してたものです。
今はもう、過去の投稿分を読み返すことは、まったくありません。
これでいいのだと思ってます。
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13. ハーレクイン- 2015/05/11 23:07
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>毎週毎週、投稿済みの箇所を読み返し、推敲……
わたしも現在やっています。
推敲しても修正は出来ないんだけどね。
投稿前の推敲は、もちろん入念にやっています。それでもミスは無くなりません。で、投稿後に推敲……と。
過去分の読み返しも未だにやっています。といっても、わたしの書いた量なんて微々たるものなんですがね。
自分で書いたものを読むって……楽しいなあ。一種のオナニー?
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14. Mikiko- 2015/05/12 07:25
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連絡をいただければ、わたしの方で対応いたします。
こちらでは、数分で済む作業です。
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15. ハーレクイン- 2015/05/12 10:58
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お忙しいのに……なんて優しい管理人さんや。ううっ(涙)。
それではお言葉に甘えまして……と言いたいところですが、結構あるんですね、これが。
もう一度整理しまして、改めてご連絡させていただきます。その節は、よろしくお願い申し上げます。