2015.3.30(月)
「契約農家さんの親戚なのよ。
その伝手で、うちにも営業に来るようになって。
だから、無下にも断れないんだけどね」
「向いてないと思います。
今の仕事」
「ほほ。
よっぽど嫌われちゃったわね。
でも、ほんとそうよね。
すれ違っただけで、そんなに嫌われるようじゃ……。
営業マンなんて、無理よね。
ま、本人も、望んでやってる仕事じゃないだろうけど」
「よく、面接を通ったと思います」
「コネよ。
実家が、有力な農家さんなの。
高校のころは、かなり悪かったみたい。
それでも、どうにか卒業すると、東京で就職したんだけど……。
結局、続かなくて帰って来たんだって。
しばらく、ブラブラしてたらしいんだけど……。
見かねたお父さんが、無理やり農協に押しこんだのね」
「農協も災難だわ」
「ほんと、そうよね」
その数日後。
由美はその男を、もう一度見ることになった。
この日、千穂と美弥子は、連れ立って魚市場に買い出しに行っていた。
珍しい魚が上がったと、馴染みの漁師が連絡をくれたと云う。
由美は、魚市場の臭いが苦手だった。
それで、一人別れて、惣菜の仕入れをすることになったのだ。
自転車の前後のカゴ一杯に買物袋を積み、宿に戻ってきた。
荷物を両手に下げ、厨房口に回るため、庭を横切ろうとした。
庭には、物干し台が置かれていた。
その、物干し台の前に、あの男がいたのだ。
玄関で返事が無いので、庭に回ったのだろうか。
男は、由美に背中を見せていた。
後ろを通るときは、声を掛けた方がいいと思ったが……。
物干し台の前に立つ男の仕草が、どうも不自然に感じられた。
今日は、由美たちが着ているジャージに加え、千穂のジーンズも干されていた。
『あ』
思わず、声が出そうになった。
男が、千穂のジーンズに顔を近づけたのだ。
ジーンズを片手で手繰り、頬を擦りつけた。
ジーンズの股間部分だった。
暑いのに、背筋に怖気が走った。
男が、ジーンズを片手で掴んでいるわけは、すぐに判った。
その伝手で、うちにも営業に来るようになって。
だから、無下にも断れないんだけどね」
「向いてないと思います。
今の仕事」
「ほほ。
よっぽど嫌われちゃったわね。
でも、ほんとそうよね。
すれ違っただけで、そんなに嫌われるようじゃ……。
営業マンなんて、無理よね。
ま、本人も、望んでやってる仕事じゃないだろうけど」
「よく、面接を通ったと思います」
「コネよ。
実家が、有力な農家さんなの。
高校のころは、かなり悪かったみたい。
それでも、どうにか卒業すると、東京で就職したんだけど……。
結局、続かなくて帰って来たんだって。
しばらく、ブラブラしてたらしいんだけど……。
見かねたお父さんが、無理やり農協に押しこんだのね」
「農協も災難だわ」
「ほんと、そうよね」
その数日後。
由美はその男を、もう一度見ることになった。
この日、千穂と美弥子は、連れ立って魚市場に買い出しに行っていた。
珍しい魚が上がったと、馴染みの漁師が連絡をくれたと云う。
由美は、魚市場の臭いが苦手だった。
それで、一人別れて、惣菜の仕入れをすることになったのだ。
自転車の前後のカゴ一杯に買物袋を積み、宿に戻ってきた。
荷物を両手に下げ、厨房口に回るため、庭を横切ろうとした。
庭には、物干し台が置かれていた。
その、物干し台の前に、あの男がいたのだ。
玄関で返事が無いので、庭に回ったのだろうか。
男は、由美に背中を見せていた。
後ろを通るときは、声を掛けた方がいいと思ったが……。
物干し台の前に立つ男の仕草が、どうも不自然に感じられた。
今日は、由美たちが着ているジャージに加え、千穂のジーンズも干されていた。
『あ』
思わず、声が出そうになった。
男が、千穂のジーンズに顔を近づけたのだ。
ジーンズを片手で手繰り、頬を擦りつけた。
ジーンズの股間部分だった。
暑いのに、背筋に怖気が走った。
男が、ジーンズを片手で掴んでいるわけは、すぐに判った。
コメント一覧
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1. Mikiko- 2015/03/30 07:27
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み「どひゃー。
たまらんですたい。
それがみんな回虫になったら、あっという間にお腹がパンパンではないか」
http://blog-imgs-74.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201503270508451b8.jpg
↑もちろん、妊婦さんです(妊娠9ヶ月)。
律「当然、そうなれば……。
宿主はあっという間に死んじゃうでしょうね。
それじゃ、回虫にとっても不都合なわけ。
だから、卵は孵化することなく、そのまま糞便として排出されます」
み「ありゃりゃ。
あわれ、水洗トイレの藻屑と消えるわけか」
http://blog-imgs-74.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20150327050908056.jpg
律「今はね。
でも昔は、人糞を肥料にしてたわけでしょ」
http://blog-imgs-37.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/2012031110011272e.jpg
↑『江戸東京博物館』で担げます。もちろん、本物は入ってませんが。
み「江戸時代は、農家の人が、わざわざ江戸に人糞を買いに来たそうだからね。
江戸の人は良いものを食べてるからって。
長屋の共同トイレの汲み取りは、大家の収入になったのよ」
http://blog-imgs-74.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20150327050910642.jpg
↑『深川江戸資料館』。扉が下半分しかありません。完全に顔出しです。もちろん、男女別ではありません。扉の前は、男性も通ります。今とは、羞恥感覚が相当違ってたようです。
律「また、話がズレそうなんですけど」
み「お渡しします」
律「そういう、人糞の付着した食物を食べたり……。
人糞の付いた指を舐めたり」
http://blog-imgs-74.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20150327050849b23.jpg
み「そんなヤツ、おらんだろ!」
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2. Mikiko- 2015/03/30 07:28
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律「昔は、ウォシュレットなんて、無かったのよ。
拭き取りのとき、誤って付着することは、当然あったでしょ。
で、仕事に戻って、大福帳とかを繰る。
ほかの人がその大福帳を使うとき、紙を触った指を舐める」
http://blog-imgs-74.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20150327050848139.jpg
↑相手に与える印象、最悪です。指サックを使いましょう。
み「あちゃー。
あり得ますな」
律「そういう形で、経口感染するわけ」
み「胃液で溶けちゃわないの?」
律「溶けるのは、卵の殻だけ。
で、まんまと外に出た小虫は、すみやかに小腸に移動する」
http://blog-imgs-74.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20150327050847b0b.jpg
↑ムーミンに出てくるニョロニョロです。
み「で、回腸に住み着く」
http://blog-imgs-74.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20150327050911e35.jpg
↑和歌山なら雪も少なく、老後にはいいかも知れません。
律「まだよ。
その段階で成虫になるわけじゃないの。
あるものは、腸壁を食い破って体腔内へ出る」
み「どひー」
http://blog-imgs-74.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/2015032705085137f.jpg
律「あるいは、血管に侵入して、肝臓を経由して肺に到達する」
み「げぼっ」
http://blog-imgs-74.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20150314101730d23.jpg
続きは、次回。
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3. きりしま- 2015/03/30 07:31
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ジーンズ専門のおもらし盗撮のビデオを見たことがあります。
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4. ハーレクイン- 2015/03/30 10:40
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惣菜を「買う」というのはいかがなものか、と。
売ってるのなんて似たり寄ったりのメニューだろうし、 味もねえ。
それに経費も割高になるだろうし。
やはり手間暇かけて、その民宿の「顔」になるほどのものを作れば、客にアピールすると思いますが。当然ホームページに載せるんだよ、画像付きでね。
ま、千穂さんの経営方針(および作者の執筆方針)にケチをつける気は毛頭ありませんが。
あ、普段は一人でやっている千穂さん、そんな時間は無いか。
惣菜はさて置き、問題は“胡乱な男”だよ。
変態かあ。
ま、『由美美弥』の登場人物は全員変態ですが。あ、違うな。「登場する全ての“女性”が変態」でした。
男も、かあ。
これまでの登場人物を、男女合わせ、思いつく限り思い浮かべてみましたが(日本語、変)、ほぼ全員変態でした。変態でなかったのは美弥ちゃん父、くらいかなあ。
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5. ハーレクイン- 2015/03/30 10:49
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“腰に手”なんだね。
「水洗トイレの藻屑」画像。
ポーの『メエルシュトレエムに呑まれて』を思い出したよ。
これを教えてくれたのは、中学のおっさん国語教師だったか、いや理科だったかな。
『アッシャー家』も『モルグ街』も教えてくれたんだから、ポーが好きだったんだろうね、おっさん。
江戸の長屋の厠事情。
扉が下半分だけ。欧米の軍隊トイレみたいだね。
小説では記憶にないですが、漫画では結構出てきます、江戸期の厠。みんな立派な扉つきです。資料を調べとらん、ということだな。
『カムイ伝』(またかい)なんて、非人部落に厠があって、上から下までの扉が付いてました。
あ、違うか。あの厠は、正助くんが人糞、つまり肥料集めのためにわざわざ建てたんだった。普通、非人部落に厠はないよね。
失礼しました、白土せんせ。
>み「そんなヤツ、おらんだろ!」
ここは「そんな奴おれへんやろ~」とカマすべきだな、「み」さん。
または「そんなやつオランダ、ベルギー、ルクセンブルク」とか(ベネルクス三国かい!)。
「指サックを使いましよう」画像。
よく使ったなあ、指サック。模試の採点の時にね。
親指用と、他の指用の二種類のサイズがあってね、文房具棚には、常時3,4個は用意していた。
とにかく枚数が多いからね、大変だったよ、採点。もう二度とやりたくないね。
ニョロニョロくん。
知らんなあ。『ムーミン』って、あんまり見ていないんだよね。主題歌は知ってるけど。
♪ねえムーミン
こっちむいて
はずかしがらないで
モジモジしないで
おねんね ね……
和歌山永住は……、
やめたほうがいいです。
以前に書いたけど、とにかく僻地。
なーんにもない。
あるのは温泉と、白浜のアドベンチャーワールドと、串本の水族館と、太地(たいじ)のクジラ館と、田辺の熊楠記念館と……なんや結構あるなあ。
和歌山。
関西で最も温い土地なのは確かです。
……………………………………………………
裏の空き地のソメイヨシノが、一晩で一気に開花しました。昨日は雨模様で外に出ませんでしたので、昨日から咲き始めていたのかもしれません。
7~8分咲きという所でしょうか。今、軽く花見をしてきました。酒も茶も茶菓子も何にもなしですが……。
桜はいいなあ。『風楡』の冒頭を思い出しました(事あるごとの番宣)。
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6. ミーヤ- 2015/03/30 11:48
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オトコに犯されたらオンナのカラダが汚れてしまうよ 陰茎だけあれば快感は得られるのよ 陰茎だけあればいいの
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7. Mikiko- 2015/03/30 19:48
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> きりしまさん
超ニッチな分野に特化したビデオがあるものですね。
1本にまとめられるだけの映像を、ほんとに盗撮だけで集めてたら……。
一生を費やしてしまうと思います。
完全に“ヤラセ”であると認定いたします。
> ハーレクインさん
この宿のメインは、魚介類です。
これにはもちろん手を抜きません。
“宿の生け簀に泳いでいる”という記述のとおり、新鮮そのものです。
この上さらに惣菜にまで手作りを求めるのなら、「旅館に泊まれ」というだけの話です。
ここは、リーズナブルなお値段で、美味しい魚介を食べられる民宿なのです。
惣菜は、あくまで箸休め。
もちろん、山菜の時期には、採り立てをお出しします。
江戸の厠。
↓上方の厠は、上まで扉があったようです。
http://nikkenkyo.jp/before/4joho/roots/roots.htm
文化的には、上方が上だったからでしょうからね。
“普通、非人部落に厠はない”。
なんで、無いんだ?
差別発言ではないのか?
農村では、肥溜めの上に小屋掛けしたんでないの?
指サック。
今は、可愛いいデザインのがいろいろ出てます。
昔のは、いかにも“事務員”って感じでしたものね。
そう言えば、上腕を覆う腕カバーも、すっかり見なくなりました。
和歌山。
地震が怖いので、住む気はありません。
ラピートは、和歌山に行かないんですよね。
桜。
こちらは蕾ですが、急激に膨らんで来ました。
ピンク色が見えているのもあります。
> ミーヤさん
“陰茎だけあれば”ってのは……。
ナマモノではなく、ディルドゥのことですね。
“ふたなり”ものは、けっこう面白いです。
射精(むろん作りですが)に、勢いがありますから。
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8. ハーレクイン- 2015/03/30 22:12
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そうかのう。
民宿の売りは食事だと思うがのう。
「食」くん(おお、懐かしい)ご紹介の、えーと、お、あれも千葉じゃなかったかあ、民宿。食事が売りだったと記憶しておるが……。
部屋や設備や浴衣やなんかは、それこそ“民”宿。どう考えても“豪華”はあるまい。大分は湯布院の「とくなが荘」ってご存知かな。
それはさて置き、魚は誰が捌くんだろう。どう考えても千穂さんしかおらんよなあ。大丈夫か、ちょっと前まで素人だったんだろ。
なんなら、あやめを貸そうか。
>非人部落に厠はない
すまぬ。ただの推測じゃ。
厠は贅沢かなあ、と思ってのう。
んなものなくても、直接、川ですればええだけのことであろう。
腕カバーが覆うのは上腕ではないでしょう。
広辞苑によりますと……、
【上腕(じょうわん)】肩関節と肘関節との間の部分。上膊。二の腕。
とあります。「二の腕」をもちだすとややこしくなりますが、「肩関節と肘関節との間」といえば紛れはないでしょう。
さらに【上腕二頭筋】という生物用語がありますが、これはいわゆる「力こぶ」を作る筋肉。つまり腕の内側にあって、“肩関節と肘関節を繋いでいる”筋肉の事ですね。
腕カバーが覆うのは「肘関節と手首との間」ですが、この部分を何というかといいますと、これが「腕(うで)」だ、とする記事がありました。曰く……、
「昔は、肩から肘までを『かいな』、肘から手首を『うで』と称したのだが、今はこの二つがごっちゃになって同じもの(肩から手首まで)を意味する名称になった」。
ふうん、ですがどうなんでしょうね。
南海電鉄の特急ラピートは、大阪府南部の泉佐野市から大阪湾に出て、関空に向かいます。和歌山へは行きません。
「ラピート」はドイツ語で「速い」だそうです。
どうでもいいけど、何でもかんでも外国語を名前にするのはやめてほしいものです。
JRの関空特急の名称は「はるか」。ほっとします。
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9. Mikiko- 2015/03/31 07:33
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食事が売りの民宿もある、ということです。
レジャーの拠点として、安く泊まれればいいという需要もあるはず。
実際、宮脇俊三の著作などを読むと……。
海沿いの民宿で、ペナペナのトンカツを食べさせられた愚痴が書かれてたりします。
海沿いの貧しい地域では、新鮮な魚より、ペナペナ肉の方が高級品だったのかも知れません。
“直接、川ですればええ”。
非人には羞恥心が無いと言うわけ?
腕カバーをするのは、前腕でした。
二の腕は、今では上腕になってますが……。
昔は前腕のことだったそうです。
肩から肘が、一の腕。
肘から手首が、二の腕。
だったとか。
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10. ハーレクイン- 2015/03/31 10:43
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ようするに食事(&設備)の良さを取るか、安さを取るか、という話。で、食事を取るなら旅館に泊まれ、ということで、話は元に戻っちゃいました。
『私を旅館に連れてって』は観月ありさ。
「非人は川でしろ」はHQ、
「貧乏人は麦を食え」は池田勇人。
前腕、後腕(そんなのないよ)、上腕、下腕(そんなのないって)、一の腕、二の腕、三の腕(だから、そんなのないって)。♪腕にもいろいろありまして……
それぁ「恋」やがな、『まつの木小唄』。
♪恋にもいろいろありまして
ヒゴイにマゴイは池の鯉
今夜来てねと 甘えても
金もって来いでは 恋じゃない
「腕がらみ」は、肘への関節技。
「猿の腕」は、三つの願いホラーの古典。あ、あれは『手』か。
「ワニの腕立て」は、爆風スランプ『無理だ!』
「腕一本脛一本」、裸一貫男の勝負。
♪腕にもいろいろありまして~……