2014.12.21(日)
「なんだ。
じゃ、何の用よ?」
「これから話します。
早く何か取ってきて。
あんまり時間、割けないから」
叔母は、白衣のポケットから千円札を出すと、由美の前に差し出した。
「なんだか、気持ち悪いな」
「パフェなら、500円だから。
あんまり迷わないでね。
時間ないんだから」
由美と美弥子は、注文窓口からアイスコーヒーを持ち帰った。
「あら、そんなのでいいの?」
「はい、お釣り」
「いいわよ。
取っといて」
「やっぱり、気持ち悪い」
「なによ。
普段のわたしが、よほどケチみたいじゃない」
「だって、奢られたことなんてないもの」
「奢ってあげたじゃない。
あなたの、入学祝い」
「あのときだけね。
いいから、早く要件を話して。
時間ないんでしょ」
「あなたたちさ、夏休みの後半、予定入ってる?」
「予定っていうか……」
由美と美弥子は、顔を見合わせた。
2人で過ごすことは決めてあるが、具体的な過ごし方は、まるで考えてなかった。
細かい計画を立てたりするのは、2人とも得意な方ではなかったのだ。
「じゃ、2人で一緒にいられればいいわけね」
「そうだけど。
お金も無いし……」
2人は、アルバイトもしていない。
夏休み前半は、帰省と宿題を片付けるために使ったのだ。
かと言って、遊ぶお金まで親から出してもらうわけにもいかない。
事情を話すと、叔母はテーブルに身を乗り出した。
「今のあなたたちに、うってつけな話があるの。
2人で出来るバイトよ」
「これからバイト初めたら、お金が入るころ、夏休み終わっちゃうよ」
「だから、レジャーが合体したバイトなんだって」
「なんか、すごく怪しいんですけど」
「黙って聞きなさいって。
わたしの高校時代の同級生なんだけど……。
千葉にお嫁に行った子がいるの。
旦那はスキューバダイビングの講師。
早い話、先生と生徒がくっついたわけね。
でも、旦那の実家ってのが、普通の家じゃなかったのよ。
海の近くの民宿」
じゃ、何の用よ?」
「これから話します。
早く何か取ってきて。
あんまり時間、割けないから」
叔母は、白衣のポケットから千円札を出すと、由美の前に差し出した。
「なんだか、気持ち悪いな」
「パフェなら、500円だから。
あんまり迷わないでね。
時間ないんだから」
由美と美弥子は、注文窓口からアイスコーヒーを持ち帰った。
「あら、そんなのでいいの?」
「はい、お釣り」
「いいわよ。
取っといて」
「やっぱり、気持ち悪い」
「なによ。
普段のわたしが、よほどケチみたいじゃない」
「だって、奢られたことなんてないもの」
「奢ってあげたじゃない。
あなたの、入学祝い」
「あのときだけね。
いいから、早く要件を話して。
時間ないんでしょ」
「あなたたちさ、夏休みの後半、予定入ってる?」
「予定っていうか……」
由美と美弥子は、顔を見合わせた。
2人で過ごすことは決めてあるが、具体的な過ごし方は、まるで考えてなかった。
細かい計画を立てたりするのは、2人とも得意な方ではなかったのだ。
「じゃ、2人で一緒にいられればいいわけね」
「そうだけど。
お金も無いし……」
2人は、アルバイトもしていない。
夏休み前半は、帰省と宿題を片付けるために使ったのだ。
かと言って、遊ぶお金まで親から出してもらうわけにもいかない。
事情を話すと、叔母はテーブルに身を乗り出した。
「今のあなたたちに、うってつけな話があるの。
2人で出来るバイトよ」
「これからバイト初めたら、お金が入るころ、夏休み終わっちゃうよ」
「だから、レジャーが合体したバイトなんだって」
「なんか、すごく怪しいんですけど」
「黙って聞きなさいって。
わたしの高校時代の同級生なんだけど……。
千葉にお嫁に行った子がいるの。
旦那はスキューバダイビングの講師。
早い話、先生と生徒がくっついたわけね。
でも、旦那の実家ってのが、普通の家じゃなかったのよ。
海の近くの民宿」
コメント一覧
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1. Mikiko- 2014/12/21 07:54
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律「固有名詞まで出さなくていいでしょ」
み「さらに、使った後の割り箸には、大変にエコな役割があるのです」
律「使った後なんて、捨てるしかないじゃない。
割り箸を使いまわす気?」
http://blog-imgs-60.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20141220090618da9.jpg
み「汚いだろ!
捨てますよ、もちろん。
飲食店で捨てられるときは、生ごみと一緒よね」
律「元は木なんだから、当然でしょ」
み「生ごみは、処理場に送られて、焼却されます」
http://blog-imgs-60.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20141220090612a80.jpg
み「しかし!
生ごみは、大量の水分を含んでるから燃えにくい。
これを燃やすためには、大量の重油が必要なんです」
http://blog-imgs-60.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201412200906138fc.jpg
律「それと割り箸がどう関係するの?」
み「わからんか?
割り箸は、木でしょ?
よく燃えるのよ」
http://blog-imgs-60.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20141220090635b70.jpg
み「早い話、生ごみを燃やす焚き付けになるってこと。
割り箸の混ざった生ごみは、よく燃えるの。
すなわち、重油が少なくて済むってわけ」
http://blog-imgs-60.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20141220090639915.jpg
老「ほー。
それは知りませんでした」
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2. Mikiko- 2014/12/21 07:55
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み「つまりは、飲食店が塗り箸を使ったり……。
あるいは、個人個人がマイ箸を持ちこんだりしても、ちっともエコじゃないってこと。
むしろ、木材の端切れの有効利用を阻害し、化石燃料を大量に消費させているということ」
http://blog-imgs-60.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20141220090616297.jpg
み「どうじゃ。
これだけ言っとけば、『全日本割箸生産組合』から、何か付け届けが来るんではないか?」
http://blog-imgs-60.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201412200906408aa.jpg
↑組合長……。ではありません。
律「そんな組合があるの?」
み「知らんが」
律「割り箸が届くんじゃないの?
百膳くらい」
み「そんなの、百均で買えるだろ!」
http://blog-imgs-60.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201412200906417a3.jpg
律「でも、この話って、前にも聞いたような気がするわ」
み「わたしも途中から、前にも演説した気がしてきた。
お酒ってのは、便利ですのぅ。
何度でも同じ話が出来るし……。
聞く方も忘れてるから、何度でも新しい話として聞ける」
http://blog-imgs-60.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201412200906364cf.gif
律「だから、前にも聞いたこと、覚えてたって」
み「忘れなはれ。
酒の上のことは」
http://blog-imgs-60.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20141220090615cb6.jpg
続きは、次回。
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3. ハーレクイン- 2014/12/21 09:06
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そう思うんなら由美ちゃん。
うかうかと誘いに乗らない方がいいぞ、いくら叔母さんの誘いでも。
なるほど、それで『周旋屋律子』か。
それにしても、千葉の民宿ねえ。千葉はどこかな。外房だろうな。
それにしてもそれにしても、律子叔母さんって、『東北』でもそうだけど、ほいほい人に奢ったりしないんだね。恐れ入谷の鬼子母神。
さらにそれにしても、今は夏休み。全く季節感がないが、ま、これはしょうがないよね。
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4. ハーレクイン- 2014/12/21 09:08
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なるほどー。これは知りませんでした(老「ワシのセリフやがな)。
しかしそれだけなら、木材の切れっ端を生ゴミに混ぜても同じことだと思うが。ま、いったん割り箸として用いるところに意味があるんだろうが。
それにしても、
>生ゴミの水分一滴は石油一滴
血涙の叫びですな。生ゴミは、しっかり水分を切って出しましょう
で、なにぃ、この話は以前にも出てきたあ!?
>聞く方も忘れてる
と言われれば返す言葉はない。入院中じゃないよね。
うーむ、やはり酒はひかえよう。
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5. Mikiko- 2014/12/21 12:42
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アイリスも同様ですな。
割り箸の話。
確かにしてましたが……。
『紙上旅行倶楽部』の中ではありませんでした。
285回(https://mikikosroom.com/archives/2671579.html)、303回(https://mikikosroom.com/archives/2671631.html)、304回(https://mikikosroom.com/archives/2671634.html)でした。
5年以上前のことですから、覚えてなくて当然ですよね。
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6. ハーレクイン- 2014/12/21 16:30
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確かに、アイリスも現在、五山の送り火の翌日、八月十六日。炎熱の京都が舞台です。
ま、フィクションに季節感のある方がおかしいよね。ルポルタージュやないんやから。
で、割箸話が出たのは285回、303回、それと304回ですか。本文ではなく、コメの方ですね。
『由美美弥』本文、285回は第37章「夜のお散歩」。ミサちゃんの野外うんこシーンでした。
ミサちゃんはともかく(ミサ「なんやと、おう、こら)、303回・304回は第41章「黒いローファー」。
おお、懐かしや、黒いローファーの少女。
以前に書きましたがこの章、数多い『由美美弥』の章(現在129章)の中で、わたしにとってはベスト3に入ります。
リリシズムあふれる佳作、美しいシーンです。未読の向きは、是非ご一読を。
『風楡の季節』を書いた時、この「黒いローファー」へのオマージュとして、似たシーンを書きたいと考えたのですが、残念ながら諸般の事情で果たせませんでした。『リュック』第2幕で再挑戦してみるかな。
そういえば、この「黒いローファー」の章も、季節は夏だったなあ。
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7. Mikiko- 2014/12/21 18:37
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また雪が、もさもさ降り始めました。
まさに、夏は遠くになりにけり。
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8. ハーレクイン- 2014/12/21 20:46
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タイミングもずれていますが、
♪麦わら帽子はもう消えた
たんぼの蛙はもう消えた
それでも待ってる夏休み