2014.11.19(水)
少女は、必死にあたりを見回している。
しかし、このポケット状の死角の外へは、踏み出す勇気が無いようだ。
「一発やらせてくれたら、返してやるよ」
「誰が!」
「そんなに大事かい?
処女が」
「うるせー!」
「どうやら、ここには無いらしいね。
一緒に探してやろうか。
園路の方かも知れないね。
2人して、このまま園路まで探しに行くかい?」
「持って来いよ!」
「どうも、語彙に乏しいというか……。
礼儀を知らない子だね。
やっぱり、教育的指導が必要だ。
力づくでヤっちまうかね」
由美の肉体が、1歩踏み出した。
少女は、仰天して身構えた。
無理もない。
太腿の内出血は、赤黒く色を変えている。
痛みの記憶は、まだ生々しいはずだ。
由美の身体は、無造作に踏み出していく。
少女の後ろには、アベリアの繁みが迫っていた。
退路は無かった。
「ちきしょう!」
気合と共に、少女が突っこんできた。
由美の肉体は、まだ構えを取らない。
と……。
少女の姿が、一瞬視界から消えた。
ようやく追いついた視線は、芝生を捉えていた。
少女は、芝生に身を投げ出し、スライディングして来たのだ。
野球のフックスライディングのように、片脚が折り畳まれている。
むろんその脚で、由美の足首を刈るつもりだ。
まともに受けたら、由美の体重では踏みとどまることは不可能だ。
「おっと」
由美の両脚が、跳ねあがった。
両膝を曲げ、空中でスクワットをするポーズだった。
一瞬遅れて、少女の刈り脚が真下を通過した。
空振りした少女の身体は、芝生の上を回りながら滑った。
着地した由美の身体が少女に迫ったとき、少女はまだ身を起こせてなかった。
少女が手の平で芝生を突き放し、背中を見せながら起ちあがった。
しかしそのとき、由美の右脚はすでに空中にあった。
少女が、中腰のまま向き直る。
無防備だった。
しかし、このポケット状の死角の外へは、踏み出す勇気が無いようだ。
「一発やらせてくれたら、返してやるよ」
「誰が!」
「そんなに大事かい?
処女が」
「うるせー!」
「どうやら、ここには無いらしいね。
一緒に探してやろうか。
園路の方かも知れないね。
2人して、このまま園路まで探しに行くかい?」
「持って来いよ!」
「どうも、語彙に乏しいというか……。
礼儀を知らない子だね。
やっぱり、教育的指導が必要だ。
力づくでヤっちまうかね」
由美の肉体が、1歩踏み出した。
少女は、仰天して身構えた。
無理もない。
太腿の内出血は、赤黒く色を変えている。
痛みの記憶は、まだ生々しいはずだ。
由美の身体は、無造作に踏み出していく。
少女の後ろには、アベリアの繁みが迫っていた。
退路は無かった。
「ちきしょう!」
気合と共に、少女が突っこんできた。
由美の肉体は、まだ構えを取らない。
と……。
少女の姿が、一瞬視界から消えた。
ようやく追いついた視線は、芝生を捉えていた。
少女は、芝生に身を投げ出し、スライディングして来たのだ。
野球のフックスライディングのように、片脚が折り畳まれている。
むろんその脚で、由美の足首を刈るつもりだ。
まともに受けたら、由美の体重では踏みとどまることは不可能だ。
「おっと」
由美の両脚が、跳ねあがった。
両膝を曲げ、空中でスクワットをするポーズだった。
一瞬遅れて、少女の刈り脚が真下を通過した。
空振りした少女の身体は、芝生の上を回りながら滑った。
着地した由美の身体が少女に迫ったとき、少女はまだ身を起こせてなかった。
少女が手の平で芝生を突き放し、背中を見せながら起ちあがった。
しかしそのとき、由美の右脚はすでに空中にあった。
少女が、中腰のまま向き直る。
無防備だった。
コメント一覧
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1. Mikiko- 2014/11/19 07:23
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律「どんな目?」
み「お墓参りは、夜、行くわけよ。
提灯ともして。
お墓までの道のりは、田んぼの畦道。
隣の田んぼの畦道にも、お墓に向かう人が連なって、提灯が揺れてる。
それが、人魂が漂ってるみたいに見えるわけ」
http://blog-imgs-61.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201411160941504c9.jpg
↑岐阜県恵那市の『坂折棚田』で行われる『田の神・灯祭り』。
律「幻想的な、いい景色じゃない」
み「わたしも、今見たら、そう思うかも知れないけど……。
子供にとっては、恐ろしい以外になかった。
何の話だっけ?」
老「もう『田酒』が回りましたかな?
農家の人たちは、なぜ、『越乃寒梅』のような淡麗なお酒を好んだのか、というところからです」
み「そうそう。
父の実家は本家なので、お盆なんかには、分家の人がたくさん集まってくる。
座敷は、お寺のお堂みたいに広いからね」
http://blog-imgs-61.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20141116094200eed.jpg
↑実際の父の実家ではありませんが、広さはこんな感じです。父の実家は、庭に面して板敷きの廊下が廻ってました。
み「で、そういう集まりで……。
わたしにとっては誰だかわからないおじさんが、色々話してくれるわけ。
昔の農作業の様子とかね。
わたしの父の兄は、祖父と一緒に、すべての農作業を差配してたわけ。
お昼には、ご飯を食べに戻ってくるんだけど……。
祖父と父の兄は、水代わりに『越乃寒梅』を煽りながら、午後の段取りを話し合ってたんだって。
で、話が決まると、その場に仰向けになって、ガーッと寝てしまう」
http://blog-imgs-61.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20141116094147989.jpg
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2. Mikiko- 2014/11/19 07:24
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み「一眠りして起きると、また田んぼに出て行く。
で、1日の仕事を終えて帰ってくると……。
ひとっ風呂浴びて、今度は本式に腰を据えて飲み出す。
とにかくね、飲む量が半端じゃないのよ。
あっという間に、一升瓶が開いてしまう」
http://blog-imgs-61.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20141116094144a77.jpg
律「あ、わかった。
だから、安い地酒を飲んだってことね」
み「もちろん、それもあるでしょう。
でも、一番の肝は、その味わいよ」
律「どういうこと?」
み「とにかく、大量に飲むわけだから……。
芳醇なお酒なんかだと、舌が飽きてしまうの。
大量に飲み続けるためには、水のようにサラサラしたお酒じゃなきゃダメなわけ」
http://blog-imgs-61.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201411160941491be.jpg
↑千葉県の結婚式で行われる『大杯の儀』。新郎新婦の友人代表一人ずつが、大杯のお酒を一気飲みするのだそうです。
老「なるほど。
味わって飲むお酒じゃなかったということですな」
み「そうそう。
だから、新潟の料亭で、そんな酒は出なかったわけ」
http://blog-imgs-61.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20141116094146d38.jpg
↑新潟市内の有名料亭『行形亭(いきなりや)』。創業は元禄時代。
老「なるほど。
わからんもんですな」
み「だしょ。
この『田酒』ってお酒も美味しいね」
老「『越乃寒梅』と比べていかがですか?」
続きは、次回。
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3. ハーレクイン- 2015/01/23 09:48
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〔由美美弥〕1630回
おお、本格的バトルシーン。
追い詰められ、開き直り、先制攻撃をかける少女。
足から突っこむスライディングタックルか。
ここは双手刈りにしてほしかったが、柔道の心得は無いか、少女よ。
両脚ジャンプで、少女のアタックを軽くかわす由美・女教師。
で、反撃の……蹴りだろうが、待て!次回。
〔東北〕1008回
(なぜにタイトルがダブッとるのだ?)
恵那市の「田の神、灯祭り」
「ともしびまつり」でいいのかなあ。
「み」さんの父上の実家は板敷廊下。
京都東山「ひいらぎ」は畳廊下です(軽い番宣)。
越乃寒梅。
やはり普通酒のようですな。醸造用アルコール添加、いわゆる「アル添酒」です。
友人代表の一気飲みはええけんど、結婚式に黒シャツというのはどうなん。
新潟の料亭「行形亭」。
門構えは立派なようですが、なんがなしチャチな感じも……。