2014.10.26(日)
小柄な少女の腕が二の腕に回っていたが、肘から先は自由だった。
由美は、手に持ったチューハイを、大柄な少女にトスした。
投げつけられた缶なら、おそらく避けていただろう。
しかし、ちょうど取りごろな懐に入ってくる缶を、反射的に少女は受け取ろうとした。
両手の平が、上を向いた。
由美は、後ろから抱きついている少女の腕を、一瞬で振り払った。
左脚を大きく踏み出すと同時に、右脚を振りあげる。
由美の脛が、空中の缶を蹴りあげた。
爪先は、大柄な少女が広げた手の平の間に潜りこんでいた。
「ぐげ」
少女の鳩尾に食いこんだ爪先を抜き下ろし、大きく捻りながら地面に着く。
同時に、左脚を真後ろに向けて回し振る。
手応えがあった。
「あぎゃ」
脚に続いて上体が後ろを向くと、小柄な少女の身体は“く”の字に折れていた。
由美の左脚の甲が、少女の脇腹に入っていた。
少女は、上体を“く”の字に曲げたまま、大手を振って2,3歩あゆんだ。
レジ袋の缶が、耳障りな音を立てる。
少女は怒ったような顔のまま、アベリアの繁みに頭から突っこんだ。
地面に落ちたレジ袋から缶が零れ、園路を転がる。
少女は、2つの小さな足裏を揃え、すでに動かなかった。
ふくら脛だけが、小刻みに痙攣している。
由美は、大柄な少女に向き直った。
少女は、まだ立っていた。
両手の平は、缶を受け取る形のまま、上を向いて開かれていた。
ロングワンピースの腹部は、由美の足先を象るように窪んだままだ。
由美が蹴りあげた缶が、ようやく地面に落ちた。
土舗装の園路を転がり……。
大柄な少女の爪先に当たって、止まった。
保たれていたバランスが、それで崩れたようだ。
少女の身体が、大見得を切るように揺らぐと……。
そのまま、朽木のごとく真後ろに倒れた。
反動で、両脚が高々と宙に持ちあがる。
ワンピースの裾が、脚の付根まで捲れた。
天を蹴りあげた踵が、放物線を描いて地面に落ちた。
ワンピースの裾は、腹まで捲れあがっていた。
由美は、手に持ったチューハイを、大柄な少女にトスした。
投げつけられた缶なら、おそらく避けていただろう。
しかし、ちょうど取りごろな懐に入ってくる缶を、反射的に少女は受け取ろうとした。
両手の平が、上を向いた。
由美は、後ろから抱きついている少女の腕を、一瞬で振り払った。
左脚を大きく踏み出すと同時に、右脚を振りあげる。
由美の脛が、空中の缶を蹴りあげた。
爪先は、大柄な少女が広げた手の平の間に潜りこんでいた。
「ぐげ」
少女の鳩尾に食いこんだ爪先を抜き下ろし、大きく捻りながら地面に着く。
同時に、左脚を真後ろに向けて回し振る。
手応えがあった。
「あぎゃ」
脚に続いて上体が後ろを向くと、小柄な少女の身体は“く”の字に折れていた。
由美の左脚の甲が、少女の脇腹に入っていた。
少女は、上体を“く”の字に曲げたまま、大手を振って2,3歩あゆんだ。
レジ袋の缶が、耳障りな音を立てる。
少女は怒ったような顔のまま、アベリアの繁みに頭から突っこんだ。
地面に落ちたレジ袋から缶が零れ、園路を転がる。
少女は、2つの小さな足裏を揃え、すでに動かなかった。
ふくら脛だけが、小刻みに痙攣している。
由美は、大柄な少女に向き直った。
少女は、まだ立っていた。
両手の平は、缶を受け取る形のまま、上を向いて開かれていた。
ロングワンピースの腹部は、由美の足先を象るように窪んだままだ。
由美が蹴りあげた缶が、ようやく地面に落ちた。
土舗装の園路を転がり……。
大柄な少女の爪先に当たって、止まった。
保たれていたバランスが、それで崩れたようだ。
少女の身体が、大見得を切るように揺らぐと……。
そのまま、朽木のごとく真後ろに倒れた。
反動で、両脚が高々と宙に持ちあがる。
ワンピースの裾が、脚の付根まで捲れた。
天を蹴りあげた踵が、放物線を描いて地面に落ちた。
ワンピースの裾は、腹まで捲れあがっていた。
コメント一覧
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1. Mikiko- 2014/10/26 06:55
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み「お肉は違うでしょ」
律「どう違うっての?」
み「三つ星レストランで出してる牛の肉って……。
野生の牛じゃないじゃない」
http://blog-imgs-66.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/2014101918563925f.jpg
↑鹿児島県口之島に生息する野生の牛。和牛の原種だそうです。
律「そんなの当たり前でしょ。
酪農家の人が、特別にこだわって育てた牛じゃないの」
http://blog-imgs-66.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20141019185638fcb.jpg
み「何で、野生じゃないのよ?」
律「野生の牛なんて、栄養が悪くて痩せてたり……。
筋張ってたりするんじゃないの。
霜降り牛なんて、特別な育て方するわけでしょ」
http://blog-imgs-66.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/2014101918563453e.jpg
み「ビールを飲ませるとか言うわよね」
http://blog-imgs-66.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20141019185616a68.jpg
律「そうそう。
そうやって、味を良くしてるわけよ」
み「つまり……。
天然ものより、養殖ものの方が美味しいってことでしょ」
律「養殖って何よ?」
み「人が育ててるわけでしょ。
養殖じゃないの。
なのにどうして、魚は、養殖より天然の方が珍重されるの?」
律「わたしに聞かないでちょうだい」
み「たらふく食べて、のんびり育った魚のほうが、ぜったい美味しいと思うな」
http://blog-imgs-66.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20141019185641e4b.jpg
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2. Mikiko- 2014/10/26 06:56
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律「そうかしら。
大洋を泳ぎまわってる魚のほうが、美味しいと思うけど」
み「だから!
さっき先生は、野生の牛は栄養が悪くて筋張ってるとか言ったでしょ」
http://blog-imgs-66.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20141019185619a4e.jpg
み「おんなじことじゃないの。
海の生存競争の厳しさは、陸上以上だと思うぞ」
律「知らないわよ。
でも、天然ものより養殖が高かったら、絶対納得出来ないと思う」
み「つまりは、それなんだよ」
律「何よ?」
み「早い話、日本人は“天然もの”という語感に弱いんですよ」
http://blog-imgs-66.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201410191856369a0.jpg
み「“天然もの”と聞いただけで、味覚と臭覚が魔法にかかるの。
それだけ」
律「そうかしら」
み「そうです。
だから、“高い寿司=美味い”なんて等式は成り立たないの。
高いのは、家賃とかの原価が高いだけじゃないの」
律「そうかしら。
一度、医療機器メーカーの人に連れられて、高級寿司店で食べたけど……。
もう、うっとりするくらい美味しかったわ」
み「それって、収賄じゃないすか?」
http://blog-imgs-66.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201410191856178d8.jpg
律「違うわよ!」
続きは、次回。
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3. ハーレクイン- 2015/01/09 14:36
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〔由美美弥〕1613回
由美ちゃんの先制攻撃。
右の回し蹴りに左の後ろ蹴り。
たまらず倒れ伏す小柄な少女&大柄な少女。
残念ながら名前はもらえないようです。
〔東北〕991回
鹿児島県口之島の野生牛。
そのつもりで見ると精悍そうな感じも。
口之島は、屋久島の南西100㎞ほどにあります。
筋っぽい野生牛の肉。
霜降りではありません。ビールを飲んでいないからなあ、野生牛。
「天然もの」に弱い日本人。
養殖業者さんも大変だよ。
「収賄」に弱い「律」センセ。
「律」よ、おぬしもワルじゃのう。ぐふぐふぐふふふふ。