Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
由美と美弥子 1601
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 マンションのエントランス前、大きく枝を広げたマロニエの影に入ると、ホッと人心地がついた。
 由美は張り詰めていた背すじを弛め、エントランスを潜った。
 管理人室などは無く、由美がひとりで出入りしても見咎められることは無かった。
 古めかしいエレベーターが、由美を待っていたように1階に降りていた。

 由美は、古いエレベーターが好きだった。
 何が好きかと云うと、匂いだ。
 何の匂いなのだろう……。
 機械油なのか、あるいは金属自体に匂いがあるのかも知れない。
 新しいエレベーターでは、不思議と嗅ぐことが出来なかった。

 渡されている合鍵で美弥子の部屋に入る。
 背中で重い扉が閉じる。
 エアコンを切って出たので、室内は蒸していた。

「ただいま」

 もちろん、返事はない。
 にわかに寂しさが突きあげた。
 美弥子を探すように寝室に入る。
 むろん、誰もいるはずはない。
 薄いカーテンが掛かっているので、部屋は薄暗かった。
 由美はベッドの夏掛け布団を剥ぎ、シーツに身を伏せた。
 美弥子の匂いがした。

「美弥ちゃん……。
 由美、寂しいよ」

 声に出してしまうと、気持ちを抑えられなかった。
 涙が、シーツを濡らした。

「どうしていないの?」

 理不尽な問いかけだとは、自分でもわかっている。
 美弥子のせいではない。
 ひとり残った自分が悪いのだ。
 でも今は、美弥子を恨んでみたかった。

 由美はベッドから身を起こした。
 水色のシーツに、涙の染みが落ちていた。
 水たまりのように見えた。
 ここに身を投げたら、美弥子のもとに行ける……。
 わけもない。

 由美はベッド脇に立ち、部屋を見回す。
 考えてみたら、ここにひとりでいるのは初めてかも知れない。
 今なら、何をしても美弥子に見咎められる心配は無い。
由美と美弥子 1600目次由美と美弥子 1602





コメント一覧
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    • ––––––
      1. Mikiko
    • 2014/10/10 07:29
    • 律「どこよ?」
      み「えーっと。
       予約のメールを、印刷してあったはず。
       あった。
       『ハイパーホテルズパサージュ』」
      律「すごい名前のホテルね。
       それって、ビジネスホテルなの?」
      み「そうだよ」
      爺「あぁ。
       いい宿をお選びですな。
       場所も、青森駅前ですね」
      http://blog-imgs-66.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/2014100418490821b.jpg
      み「さすが、白タク。
       よく知ってるな。
       ひょっとして、契約してる?
       一人送りこんだら、いくらとか」
      爺「してませんがな。
       そういう怪しいホテルじゃありませんよ。
       楽天トラベルアワードを受賞してますから」
      http://blog-imgs-66.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/2014100418490930a.jpg
       ↓2012年、2013年と、『東北エリア ビジネス・シティ部門』で、『お客さまアンケート大賞』を受賞してるホテルです。
      http://travel.rakuten.co.jp/HOTEL/68192/CUSTOM/GW68192101010184336.html
      み「さすが、わたしも見る目があるな」
      律「知らなかったの?」
      み「知りまへんがな」
      律「じゃ、どうしてそこにしたのよ?」
      み「『まっぷる』に広告が載ってた。
       青森駅からも近かったしね」
      律「見る目もへったくれも無いじゃない」
      み「ホームページを見れば、いいホテルかどうか、たいがいわかります」
      http://www.hyperhotel.co.jp/index.php

    • ––––––
      2. Mikiko
    • 2014/10/10 07:30
    • 律「結果オーライのくせに」
      爺「そろそろ、青森市街に入りましたよ」
      み「おー。
       なかなかに都会ではないか」
      http://blog-imgs-66.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201410041849136a2.jpg
      ↑新潟市より都会っぽいです。
      爺「やっぱり、東北新幹線が伸びたのが大きいですね」
      み「でも、青森市って、雪がスゴいよね」
      http://blog-imgs-66.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20141004184933a77.jpg
      爺「県庁所在地では、日本一でしょうね。
       一冬で、8メートル近く降るんですよ」
      み「そんなに!
       ビルごと埋まってしまうではないか」
      http://blog-imgs-66.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20141004184912024.jpg
      ↑ほんとに埋まってしまいそうです。
      爺「これは、累積の降雪量です。
       積雪量じゃありませんよ」
      み「なんだ。
       でも、それにしてもスゴいな」
      http://blog-imgs-66.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20141004184910e93.gif
      ↑新潟市の、4倍以上です。このグラフを見ても、新潟市の降雪量が、近隣地域に比べて少ないのがわかります。
      爺「日本海を渡って来た湿った風が、八甲田山系にぶつかって、麓の青森に大雪を降らせるんです」
      http://blog-imgs-66.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/2014100418493560f.jpg
      ↑青森市街のすぐ背後に聳える八甲田山。
       続きは、次回。

    • ––––––
      3. ハーレクイン
    • 2014/12/30 12:07
    • 〔由美美弥〕1601回
      >エアコンを切って出たので、室内は蒸していた
       つけっぱなしで出れば、戻ったとき涼しいのに(宝田明子)。
      >ここに身を投げたら、美弥子のもとに行ける……
       かなり違うけど、杉浦日向子にそんなのあるよ、由美ちゃん
       
      >今なら、何をしても美弥子に見咎められる心配は無い
       何をするつもりなのだ、由美ちゃん。
       ま、あれしかないと思うが。
      〔東北〕979回
       今夜の宿は「ハイパーホテルズパサージュ」。
       パサージュはともかく、ハイパーって……。
       地図の上!の方に「観光物産館アスパム」ってあるよね。「青森観光物産館」のことだそうですが、アスパムって何じゃい、で調べましたところ……、
       Aomori(青森)
       Sightseeing(観光)
       Products(物産)
       Mansion(館)
      に由来するそうです。
       典型的なお役所ネーミングですな。
      >ひょっとして、契約してる?
      >一人送りこんだら、いくらとか
       滋賀県雄琴のソープ街。
       最寄りの駅はJR湖西線の「おごと温泉駅」ですが、駅から少しあります。で、電車で行った場合はタクシーに乗るのですが、このタクシーが店と契約しており、契約店に客を送りこもうとします。で、好みの店に行くために押し問答になるわけですね。
       雄琴温泉。近頃、ソープは次第に寂れ、通常の温泉宿が息を吹き返しつつあるようです。
       で、ホテルパサージュ外観。
       楽天トラベルアワード受賞はともかく、建物自体はともかく、外壁のカラーは何とかならんか。
       大都会青森市。
       ♪ああ果てしない
        夢を追い続け
        ああいつの日か
        大空かけめぐる……
       歌うはもちろんクリキン、クリスタルキングです。
       しかし海辺の大都会。神戸のようですね。
       ふーん、新潟市の降雪量って、ほんとに少ないんだね。金沢より少ないんや。
       風に飛ばされ、吹き過ぎていくそうですね。
       おー、青森の屋根八甲田山。
       「天は我々を見放した!」は、ご存知、映画『八甲田山』の名台詞。北大路欣也だったかな。
       原作は新田次郎『八甲田山死の彷徨』。
       筒井康隆に『六甲山死の彷徨』というパロがあります。
       いずれにしても、山を見くびると痛い目に遭いますぜ。
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