Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
由美と美弥子 1461
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 母が突きあげた両足の先で、10本の指が花開いた。
 真夏の燭台のようだった。
 わたしが、再び母の顔に視線を戻したとき……。
 母の双眸からは、瞳が失われてた。
 真っ白に見開かれた眼球が、天井を睨みつけてる。
 その顔の傍らに突っ伏した父の頭が、横ざまに倒れた。
 父の顔が見えた。
 剥き拡げられた眼球に、やはり瞳は無かった。
 顎が外れたみたいな口蓋から、舌がこぼれてた。
 その舌先だけが、父の肉体から逃げ出そうとでもするように、ヘラヘラと動いてた。
 一瞬、2人が死んだんじゃないかと思ったけど……。
 重なった2人の腹部は、長距離走を終えた直後みたいに起伏してた。

 終わったのだということが、そのときのわたしにもわかった。
 わたしは、舞台を覗く襖の隙間を、そっと閉じた。
 起ちあがると、ふらついた。
 定まらない脚元のまま、玄関に向かう。
 何をしようとしてるのか、自分でもわからなかった。
 内奥から突きあげる異様な衝動が、わたしを歩ませてた。
 サンダルを突っかけ、表に出る。
 舗装されてない真っ白な道に、陽炎が揺れてた。
 わたしは、白い道を駈け出した。
 道路が上下に弾んで見えた。
 どれくらい走ったろう。
 とうとう息が切れ、足が止まった。
 途端に汗が吹き出す。

 そこは、さっきまで身を潜めてた共同墓地だった。
 椎の木の日陰がある。
 わたしは迷うことなく、樹の下を目指した。
 日盛りの墓地には、誰の姿も無かった。
 蝉の声だけが降り注いでた。
 椎の木の下には、雨に洗い出された根が、蛇のようにうねってた。
 枝葉を透いた木漏れ日が、戯れながら踊ってる。
 わたしは、2本の太い根の間に座り、背中を幹に預けた。
 椎の木に、背中から抱かれる姿勢だった。
 弾んでた息が、ようやく静まってきた。
 でも、汗が止まらない。
由美と美弥子 1460目次由美と美弥子 1462





コメント一覧
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    • ––––––
      1. Mikiko
    • 2014/03/28 07:25
    • み「そもそも、終点まで何分かかるの?」
      小「45分です」
      み「なんだ、そんなもんか。
       でも、往復したら、1時間半だよな。
       退屈しない?」
      小「行きと帰りで、反対側の窓を見れば、ぜんぜん退屈しません。
       景色自体は、そんなに絶景ってわけじゃないですけどね。
       ずっと、津軽平野ですから」
      http://blog-imgs-69.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/2014032119465834e.jpg
      ↑津軽鉄道の車窓から。ずっとこんな景色が続くんだと思います。
      み「そういう慣れた口調で言うということは……。
       初めて来たわけじゃないわね」
      小「4回目です。
       やっぱり、小学生がここまで来るのはタイヘンです。
       早く大人になりたいです」
      み「大人になったら、大人料金がかかるではないか」
      小「でも、会社に勤めて、お給料がもらえるでしょ。
       そしたら、毎月来るんだけど」
      み「ぱかもん。
       新入社員が、青森に毎月来れるほどの給料もらえるかい」
      小「入ってすぐは無理でも、頑張って偉くなればいいでしょ」
      http://blog-imgs-69.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20140321194655368.jpg
      み「またチミは、世の中舐めてますね。
       そんなに簡単に出世でけるか!」
      小「大丈夫です。
       ボク、東大に入りますから」
      み「また……。
       言っちゃってくれちゃってるじゃないの。
       “とうだい”って、足摺岬にある灯台?」
      http://blog-imgs-69.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201403211946562ce.jpg

    • ––––––
      2. Mikiko
    • 2014/03/28 07:26
    • 小「違います。
       本郷です」
      http://blog-imgs-69.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201403211947000b4.jpg
      小「教養課程は、駒場ですけど」
      み「先生。
       ほっぺたつねってもいい?」
      律「よしなさいって。
       でも、東大出た人が入るような会社だと……。
       お金があっても、お休み取れないかもよ」
      小「どうしてですか?
       有給休暇は、労働者の権利です」
      http://blog-imgs-69.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201403211947015b9.jpg
      み「ばっきゃもーん!
       そう簡単にはいかんのじゃ。
       誰も有給を取らないような会社で……。
       自分だけ取るってのは、ものすごく気まずいの。
       残業だって、そうよ。
       自分の仕事を片付けたから、とっとと帰ると……。
       なんで、残ってる人の仕事を手伝わないんだとか言われる」
      律「それはちょっと、ヒドいわね」
      み「だよねだよね。
       結局、仕事を効率化して、早くこなせるようになると……。
       ほかの仕事まで押し付けられるってことになるんだよ。
       とろとろ仕事して、残業代稼いでるヤツが一杯いる!」
      http://blog-imgs-48.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/2013060704562181a.jpg
      み「ま、旅先で、こういう話は止めよう。
       滅入ってくる」
      http://www.youtube.com/watch?v=dWUI0v3C5Ok
      ↑『メーデーの歌』。なぜか、運動会でよく聞きました。
       続きは、次回。

    • ––––––
      3. ハーレクイン
    • 2014/03/28 10:53
    • 山田さんご夫妻。
      しかし、奥さんはともかく、旦那まで失神するかね。
      しかも、「舌がへらへら」って……。
      「重なった二人の腹部」って、まだ奥さんの上に乗っているのか、旦那。奥さん重たがりまっせ。
      で、椎の木に抱かれて何するんだろうね、典ちゃん。若き日の山田せんせ。
      もちろん、あれしかなかろう。

    • ––––––
      4. ハーレクイン
    • 2014/03/28 10:57
    • それはそうだな、ボクちゃん。
      津軽鉄道だ、ちがいない。
      それにしてもこのボクちゃん、どっから来たんだろうね。
      まさか東京とかではあるまいな。小学生にそんな贅沢、わたしが許しても天が許さんぞ。
      足摺岬ってどこじゃい、で地図を見ちゃいましたよ。
      いや、高知県だってのはわかるんだけど、室戸岬もあるから、すぐどっちかわからなくなるんだよ。
      室戸岬で思い出すのは、昭和36年(1961年)の「第二室戸台風」。
      室戸岬に上陸した後、関西を直撃。瞬間最大風速、なんと84.5m/s、大阪でも33.3m/s、各地に甚大な被害をもたらしました。大阪市でも高潮による浸水がありました。
      わたしが小学生の時です。
      おー赤門。
      東大の象徴にして、国の重要文化財。かつては国宝でした。
      左右にちらっと見えるのは番所ですが、別に番人はいないと思います。
      労働者ねえ。そういえば、♪聞け万国の労働者……ってのがあるなあ
      ありゃ、UPしてはるのか、で覗いてみたら早くも停止になっていました。
      それにしても「み」さんの残業話。
      まさに、血涙の叫びだね。

    • ––––––
      5. Mikiko
    • 2014/03/28 20:30
    •  このイメージ、好きですねー。
       ワニガメの擬餌状体がモデルです。
       足摺岬で思いつくのは……。
      ●やれ打つな蝿が手をする足をする
       蝿はフケツですが……。
       蚊のように、人に直接害を与えないのは、認めてもいいところです。
       路上からウンチが無くなった今、彼らはどうやって子孫をつないでいるのでしょうか。
       東大赤門。
       加賀藩前田家上屋敷の門でした。

    • ––––––
      6. ハーレクイン
    • 2014/03/28 22:03
    • 懐かしいですね。
      足摺岬が、なぜ蝿なんだろうと一瞬思ってしまった。
      一茶「……足をする」ですね。
      蝿の食物は、ウンチだけではなく、生ゴミや動物の死体なども食べるそうです。養鶏場で大発生したこともあるとか
      直接害を与えなくても、不愉快であることは確かです。
      「ザ・フライ」は、蝿に変身した男が主人公のホラー映画。気持ち悪かったなあ。

    • ––––––
      7. Mikiko
    • 2014/03/29 08:40
    •  怖がられる存在ではなく、嫌われる存在であるわけですね。
       いじめの構造に似てますが……。
       蝿の場合、病気を媒介したりもするわけですから、仕方ないでしょう。
       ウジ虫は、釣り餌として売られてるようです。
       よく触れるよな。
       それを食う方もどうかしてるが。

    • ––––––
      8. ハーレクイン
    • 2014/03/29 10:25
    • 蝿の食べる物はもっと様々にあるそうです。
      中には、ヒトの眼球に取り付いて、涙を啜る蝿もあるとか。こうなると、直接の害だよね。
      例によってWikiで読んだんだけど、気持ち悪くなってきたよ。
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