2013.6.2(日)
「わたしが拭きます」
「お客さまに、そんなことさせられないわ。
びしょ濡れにしちゃったのは、わたしのせいなんだし。
無駄な仕事は、作らなきゃいいのよ。
濡れた服、ここで脱いじゃいましょ。
絞って籠に入れれば大丈夫よ」
由美に口を挟むいとまも与えず、夫人はワンピをたくしあげると、頭から抜き取った。
現れたのは、真っ白い妊婦の裸体だった。
むろん、ブラとショーツは着けている。
そのベージュの下着が色濃く見えるほど、夫人の肌は白かった。
「ふふ。
大きいでしょ、お腹。
動くのよ」
夫人は、自らの腹部を愛おしそうに撫でた。
一瞬、張り詰めた皮膚を透いて、赤ん坊の目が動いたように思えた。
「触ってみて」
由美はためらったが、触れないのはかえって非礼ではないかと思い直し、手を伸ばした。
夫人の腹部は、思いのほか暖かかった。
妊娠線も無く、綺麗なお腹だ。
「動かない?
恥ずかしがってるのかな、この子」
夫人は、柔らかく微笑んだ。
すでに、母の顔になっていた。
「あなたも脱いじゃって。
ほら、スカートから雫が落ちてる」
夫人はワンピを束ねると、宙で捻った。
布地から沁み出た雨水が、ウッドデッキに落ちる。
由美の衣服が、同じほど水を吸っているのは明白だった。
自分だけ濡れた着衣のまま、室内に入るわけにはいかないだろう。
初対面の相手を前に、下着姿になるのは憚られたが……。
その相手が、すでにその姿になっているのだ。
しかも、大きなお腹を晒して。
ためらってはいけない気がした。
由美は、夫人の目を見ないようにしながら、サイドファスナーを下ろした。
「あ」
水を吸って重くなったスカートが、由美の指を擦り抜け、デッキに落ちた。
まさか、穿き直すわけにはいかない。
由美は、スカートを跨ぎ越し、それを拾いあげようとした。
しかし、由美の指が届く前に、スカートは宙に持ちあがった。
夫人だった。
「お客さまに、そんなことさせられないわ。
びしょ濡れにしちゃったのは、わたしのせいなんだし。
無駄な仕事は、作らなきゃいいのよ。
濡れた服、ここで脱いじゃいましょ。
絞って籠に入れれば大丈夫よ」
由美に口を挟むいとまも与えず、夫人はワンピをたくしあげると、頭から抜き取った。
現れたのは、真っ白い妊婦の裸体だった。
むろん、ブラとショーツは着けている。
そのベージュの下着が色濃く見えるほど、夫人の肌は白かった。
「ふふ。
大きいでしょ、お腹。
動くのよ」
夫人は、自らの腹部を愛おしそうに撫でた。
一瞬、張り詰めた皮膚を透いて、赤ん坊の目が動いたように思えた。
「触ってみて」
由美はためらったが、触れないのはかえって非礼ではないかと思い直し、手を伸ばした。
夫人の腹部は、思いのほか暖かかった。
妊娠線も無く、綺麗なお腹だ。
「動かない?
恥ずかしがってるのかな、この子」
夫人は、柔らかく微笑んだ。
すでに、母の顔になっていた。
「あなたも脱いじゃって。
ほら、スカートから雫が落ちてる」
夫人はワンピを束ねると、宙で捻った。
布地から沁み出た雨水が、ウッドデッキに落ちる。
由美の衣服が、同じほど水を吸っているのは明白だった。
自分だけ濡れた着衣のまま、室内に入るわけにはいかないだろう。
初対面の相手を前に、下着姿になるのは憚られたが……。
その相手が、すでにその姿になっているのだ。
しかも、大きなお腹を晒して。
ためらってはいけない気がした。
由美は、夫人の目を見ないようにしながら、サイドファスナーを下ろした。
「あ」
水を吸って重くなったスカートが、由美の指を擦り抜け、デッキに落ちた。
まさか、穿き直すわけにはいかない。
由美は、スカートを跨ぎ越し、それを拾いあげようとした。
しかし、由美の指が届く前に、スカートは宙に持ちあがった。
夫人だった。
コメント一覧
-
––––––
1. Mikiko- 2013/06/02 07:27
-
み「お祝いごとに招かれたら、持ってくるのが常識でしょ」
律「じゃ、ちょっとだけあげましょうか。
祝儀袋、無い?」
み「相手先で調達するな!
もらう側が用意しておくわけないだろ」
律「気が利かないわね。
じゃ、これでいいわ」
み「ティッシュにくるむな!
おひねりか」
http://blog-imgs-48.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20130601101318584.jpg
律「はい。
お駄賃」
み「ふんとにもう。
って。
なんじゃこりゃー!!
30円じゃないか!」
http://blog-imgs-48.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/2013060110131516b.jpg
↑タバスコで磨くと、ピカピカになるそうです。『還元』という作用によるものだとか。
律「小銭が、それしか無くて」
み「何で小銭なのよ!
札でしょ、普通。
札なの!」
http://blog-imgs-48.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20130601101316590.jpg
律「小銭がないのに、札があるわけないでしょ」
http://blog-imgs-53.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201207201938263bb.jpg
み「古典的なネタを……。
医者が30円しか持ってないわけないだろ」
律「みんなカードだから」
http://blog-imgs-48.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/2013060110131720f.jpg
-
––––––
2. Mikiko- 2013/06/02 07:28
-
み「ウソこけ。
もっと持ってるだろ。
財布、見せてみい」
律「ガーッ」
み「寝たふりするな!」
http://blog-imgs-48.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20130601101349bfe.jpg
律「バレた?」
み「立って寝てるじゃないか」
http://blog-imgs-48.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/2013060110134831a.jpg
律「うるさい女ね。
出世払いにして」
み「わたしよりずっと出世してるでしょ」
律「課長になったら」
http://blog-imgs-48.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20130519191829448.jpg
み「医者に課長なんてあるの?」
律「あるわけないでしょ」
み「払わんつもりじゃないか」
律「とにかく、細かいことゴチャゴチャ言わない。
何があるかな……。
あ、ワインが入ってる」
http://blog-imgs-48.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/2013060110131757e.jpg
↑5リットル入り。
み「ダメー。
フルボトルじゃないか。
栓抜いたら、全額払わにゃならんでしょ」
律「当たり前じゃない。
ワインじゃなくたって、みんなそうよ。
大丈夫。
一口ずつ飲み比べたりしないから。
開けた壜は、責任を持って飲み切ります」
http://blog-imgs-48.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201306011013162fb.jpg
↑こちらは、3リットル入ります。
というわけで……。
続きは、次回。
-
––––––
3. ハーレクイン- 2013/06/02 08:43
-
なんか「脱ぐのが当然」という気にさせられてしまうなあ。倉沢夫人の振る舞い。
やすやすとのせられる由美ちゃん。相手のペースにのせられるのは美弥ちゃんの得意技なんだけどなあ。やはり主演コンビ、似てるなあ。
『由美美弥』今日の名シーン。
>一瞬、張り詰めた皮膚を透いて、赤ん坊の目が動いたように思えた
-
––––––
4. ハーレクイン- 2013/06/02 08:48
-
一年生、じゃなくて十円玉(それほどピカピカでもないと思うが)。
「還元」は「酸化」の逆ですね(詳しくは知らんで)。
>律「小銭がないのに、札があるわけない
ほう、これはネタなのか。しかも古典とな。
ふむ、知らなんだ。
寝たふりは、えーと、誰だっけ。
この手の人は多いからなあ。
立って寝る、という話があったなあ、何だっけ。
あ、ちゃうわ。こんな風にくるまれて、固定されて……という話だった。なんのためにって、もちろん安全のためだよ。
スペースシャトルとかの話ではないぞ。
こんなでかボトル、冷蔵庫に入るのかあ、律子せんせ。
3リットル入りのでかグラス。これは水栽培か金魚鉢用だな。
♪大きいことはいいことだ
-
––––––
5. Mikiko- 2013/06/02 12:33
-
10坪御殿のお方でしょ。
巨大ワイングラスは……。
↓レンタルできます。
http://www5a.biglobe.ne.jp/~tsujiyo/bigwineglass.htm
割ったら、いくら弁償するんでしょうね?
↓本日の「ばんえつ物語号」。
http://blog-imgs-48.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20130602123126a5e.jpg
例によって、イマイチです。
ちょっと飽きてきた。
-
––––––
6. ハーレクイン- 2013/06/02 16:54
-
小説の話だ。
それに立って寝るのではない、寝て寝るのだ(なあにを言っておるか)。
わたしが得意なのは、机にうつぶせ寝だな。朝まで寝たことあります。
でかグラスの弁償代。
貸出料金が(ワインとセットだが)3,500円だからなあ。
10倍で35,000円(ゼロはちゃんと揃っとるな)。うーん、もっと取られるかな。
「ばんえつ」撮影物語。
一度遠出して、どこかヌケのいいところで撮ってみるというのはどうだろう。でもそれだと、あまり綺麗すぎて絵葉書みたいになってしまうかな。
いや、そこまでの技術はまだないか。
-
––––––
7. Mikiko- 2013/06/02 19:25
-
朝まで寝たら、顔が歪んでるんじゃないか?
例によって、『まちかど情報室』ですが……。
↓机でのうつぶせ寝用枕(?)が紹介されてました。
http://blog-imgs-48.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/2013060217083307f.jpg
わたしの得意技は、うなだれ寝です。
図書館の椅子で10分寝ると、ぜんぜん違います。
「ばんえつ物語号」は……。
わたしの街を走ってるところを撮りたいのだ。
上からだと、どうしても架線が邪魔になるよな。
下から狙ってみるか。
-
––––––
8. ハーレクイン- 2013/06/02 21:39
-
この世に無いものなんてないんじゃないか、と思えてきますね。
わたしの枕は自分の腕(肘と手首の間)です。
なるほど。
よく考えたら、自分の住む街をSLが走るなんて幸せだよなあ。
>上からだと、どうしても架線が邪魔になるよな。
>下から狙ってみるか。
今まで気づかんというのがおかしいぞ、と。
-
––––––
9. Mikiko- 2013/06/03 06:32
-
↓こんな枕もあります。
http://blog-imgs-48.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201306030630584dc.jpg
SL写真家。
巨匠への道を、1歩1歩あゆんでるところじゃ。
-
––––––
10. ハーレクイン- 2013/06/03 11:08
-
机で寝る人って多いんだなあ。
SL写真家ねえ。
わたしも天体写真家を目指してみるかな。
ゆうべ、どういうわけか『ミネソタの卵売り』が聞きたくなってYou Tubeを漁ってたら、とんでもないバンドを見つけました。
「アモーレ猪熊と若気の至り」
リーダーのアモーレ猪熊さん(女性です)はなんと、あの伝説の(といっても、まだ活動中)ロックバンド、「誰がカバやねんロックンロールショー」のメンバーだそうです。凄い。
で、「アモーレ猪熊と若気の至り」さん。
ギター&ボーカル(猪熊)、テナーサックス、ソプラノサックス、パーカッションというユニークな編成。パーカッションのみ男性です。
コミックバンドかな、と思って聞いていたら、腕もなかなかのものです(エラそな言いかた)。
一度聞いて見なはれ、「アモーレ猪熊と若気の至り」の『ミネソタの卵売り』。
♪コッコッコッコーコケッコー コッコッコッコーコケッコー
ぅわったっし~はミネソタの卵売りぃ~
-
––––––
11. Mikiko- 2013/06/03 19:39
-
まず、望遠鏡を買わねばならんぞ。
「アモーレ猪熊と若気の至り」。
↓これですね。
http://www.youtube.com/watch?v=cdhJeA5oDZA
『88カフェ食堂開店8周年記念イベント』とあります。
8周年の時は、うちもでも呼ぼうか。
-
––––––
12. ハーレクイン- 2013/06/03 21:39
-
誰でもそない思うやろ。
ざーんねんでした。
望遠鏡無し、カメラだけでも天体写真は撮れるんだよ~ん。
三脚にカメラのっけて空(もちろん夜空)に向ける。向ける方向は好き好きだ
シャッターを押す(レリーズを使ったほうがいいな)。
これだけ。
あとは適当な時間(5分だろうが1時間だろうが)ほっといて、おもむろにシャッターを閉じる。
あとで画像を見てみな。
壮大な星の動き、言い換えれば地球の動きを、カメラが捉えているはずじゃ。
「アモーレ猪熊と若気の至り」
Mikiko’s Room 8周年記念に登場!
お賑やかに参りまショー。
-
––––––
13. Mikiko- 2013/06/04 07:27
-
シャッターを開きっぱなしにできるデジカメがあるってことか。
電池が保つのかね?
-
––––––
14. ハーレクイン- 2013/06/04 09:37
-
電池のことも知りませんが、アナカメ!ではシャッターを機械的に押し続ける必要があります。だから、レリーズにはストッパーが付いてます。
ということはレリーズ使用が必須だな。忘れておったわい。
-
––––––
15. Mikiko- 2013/06/04 19:38
-
一眼レフのデジカメなら出来るようです。
コンパクトデジカメでは無理みたいですね。
-
––––––
16. ハーレクイン- 2013/06/04 21:24
-
コンパクトデジカメでは、解放撮影は出来ぬ、と。
ふむ。
10万円かあ。
天体写真家への道は遠いなあ。
-
––––––
17. ハーレクイン- 2013/06/04 22:04
-
「解放」ではなく「開放」ですな。
依って件の如し(おい、意味わからんぞ)。