2012.3.24(土)
教授室の内部は、思ったよりも広かったが、やはり古い造りだった。
天井が高い。
キャンパスに面した広い窓は、縦横に組み合わされた桟が、ガラスを区画していた。
窓枠の下には、造り付けらしいオイルヒーター。
むろん、この季節は使われていないが。
「暑いわね」
女教授は、壁のエアコンスイッチを操作していた。
「この部屋、効きが悪いのよ。
教授会で、授業に出てる間は止めておきましょうなんて決まったものだから、仕方ないけど。
おー、暑つ。
汗っかきには堪らないわ」
そう言いながら女教授は、スーツの袖を抜いた。
応接ソファーに投げられた上着は、鮮やかな煉瓦色だった。
着るには勇気のいる色調だったが、女教授は見事に着こなしていた。
と言っても、女教授がモデルのようなプロポーションというわけでは無い。
むしろ、逆だった。
前述のとおり、背丈は美弥子の肩ほどしかない。
150センチを少し超える程度だろう。
古いモノクロ写真で見るような、純日本人的体型だった。
括れの乏しい胴体。
張り出した尻。
太くて短い足。
しかしそのフォルムが、煉瓦色のスカートスーツに妙に似合っていた。
はまっている、という感じなのだ。
もちろん、女教授の年齢から来る貫禄もあるだろう。
幾つくらいだろうか?
40代であることは間違いのないところだろうが、下一桁の数字までは想像がつかなかった。
純日本人的骨格に、年齢相応の脂肪が載っていた。
その体型に、ややきつめのスーツをまとった姿は、むしろ……。
市民運動上がりの区議会議員。
あるいは、民事で駆けまわる庶民派弁護士。
そんな印象を、見るものに抱かせた。
何でも相談できそうな気さくな雰囲気が、学生にも人気だった。
「座ってちょうだい」
女教授は、自らソファーに腰掛けながら、美弥子を促した。
女教授が座ったのは、スーツの上着を投げた、3人掛けのソファーだった。
突っ立ったままの美弥子に、女教授は相対するソファーを指差した。
美弥子は、重いバッグを抱えたまま、一人掛けの座面に腰を下ろした。
天井が高い。
キャンパスに面した広い窓は、縦横に組み合わされた桟が、ガラスを区画していた。
窓枠の下には、造り付けらしいオイルヒーター。
むろん、この季節は使われていないが。
「暑いわね」
女教授は、壁のエアコンスイッチを操作していた。
「この部屋、効きが悪いのよ。
教授会で、授業に出てる間は止めておきましょうなんて決まったものだから、仕方ないけど。
おー、暑つ。
汗っかきには堪らないわ」
そう言いながら女教授は、スーツの袖を抜いた。
応接ソファーに投げられた上着は、鮮やかな煉瓦色だった。
着るには勇気のいる色調だったが、女教授は見事に着こなしていた。
と言っても、女教授がモデルのようなプロポーションというわけでは無い。
むしろ、逆だった。
前述のとおり、背丈は美弥子の肩ほどしかない。
150センチを少し超える程度だろう。
古いモノクロ写真で見るような、純日本人的体型だった。
括れの乏しい胴体。
張り出した尻。
太くて短い足。
しかしそのフォルムが、煉瓦色のスカートスーツに妙に似合っていた。
はまっている、という感じなのだ。
もちろん、女教授の年齢から来る貫禄もあるだろう。
幾つくらいだろうか?
40代であることは間違いのないところだろうが、下一桁の数字までは想像がつかなかった。
純日本人的骨格に、年齢相応の脂肪が載っていた。
その体型に、ややきつめのスーツをまとった姿は、むしろ……。
市民運動上がりの区議会議員。
あるいは、民事で駆けまわる庶民派弁護士。
そんな印象を、見るものに抱かせた。
何でも相談できそうな気さくな雰囲気が、学生にも人気だった。
「座ってちょうだい」
女教授は、自らソファーに腰掛けながら、美弥子を促した。
女教授が座ったのは、スーツの上着を投げた、3人掛けのソファーだった。
突っ立ったままの美弥子に、女教授は相対するソファーを指差した。
美弥子は、重いバッグを抱えたまま、一人掛けの座面に腰を下ろした。
コメント一覧
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1. Mikiko- 2012/03/24 07:29
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食「旅情がそそられますよね。
でも、一時期、『信濃追分』という駅名が変えられそうになったんですよ」
み「どうして?」
食「別荘分譲のためですよ」
http://blog-imgs-37.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201203201628577cf.jpg
食「不動産屋が画策して、『西軽井沢』にしようとしたんです」
み「とんでもねー話だ」
食「結局、地元住民や別荘住民の反対で実現されませんでした」
み「良識の勝利だね。
でも、確か『沓掛』は変えられちゃったんだよね」
http://blog-imgs-37.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201203201628001e9.jpg
↑木曾街道六拾九次『沓掛』(渓斎英泉画)
食「ですね。
『中軽井沢』になっちゃいました」
http://blog-imgs-37.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20120320162842c63.jpg
み「どのあたりの駅?」
食「『信濃追分』の隣ですよ。
ひとつ『軽井沢』寄り。
って言うか……。
『軽井沢』から、一駅目です」
http://blog-imgs-37.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20120320162802f98.jpg
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2. Mikiko- 2012/03/24 07:29
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み「なるほど。
それじゃ、別荘地だわ。
いつごろ?」
食「昭和31年ですね」
http://blog-imgs-37.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20120324080225f2a.jpg
み「案外早いね。
終戦から10年じゃない」
http://blog-imgs-37.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20120320162842ef7.jpg
み「そんなころ、別荘持てる人なんかいたの?」
食「朝鮮戦争の特需がありましたからね」
http://blog-imgs-37.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/2012032016285793a.jpg
↑米軍戦車の修理工場(東京・昭和25年)
食「あれで儲けた人が、別荘持ったんじゃないかな」
http://blog-imgs-37.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20120320162802fe2.jpg
↑ホステス600人の大キャバレー出現(大阪・昭和26年)
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3. Mikiko- 2012/03/24 07:31
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み「なるほど。
戦争景気か。
でも、もったいないよなぁ。
『沓掛』なんて、いい名前だったのに。
知らない?
歌にあるでしょ。
『沓掛時次郎』」
http://blog-imgs-37.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20120320162801647.jpg
律「誰?」
み「誰って……。
渡世人よ。
股旅物」
律「ネコが好きな?」
http://blog-imgs-37.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201203201628024b3.jpg
み「違うにゃ!
縞の合羽に三度笠!」
http://blog-imgs-37.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20120320162843ae8.jpg
律「あぁ、わかった。
氷川きよしの歌ね」
http://blog-imgs-37.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20120320162841b24.jpg
み「違う!」
律「えー、違わないわよ」
続きは、次回。
P.S. 本日は、終日会社です。その代わり、月曜日にお休みしますよん。
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4. ハーレクイン- 2012/03/24 08:02
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紺色やないのか。
ふむ。
40代。
印象は区議会議員、弁護士。
体型は少し違うようですがこの女教授、女教師を思わせる雰囲気では。
まさか……。
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5. ハーレクイン- 2012/03/24 08:29
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そうか、「中軽井沢」は元は「沓掛」だったのか。
なんとのう。
へー、英泉が木曾街道(中山道)を描いてるんや。
この人の春画は凄いよ。
戦後10年の女の子たちの服装。
小学校時代の我が姉・妹の服装だなあ。
これで「ゴム飛び」とかしてたんだよね。
朝鮮戦争かあ。
わけのわからん戦争だったなあ(知らんけど)。
今の朝鮮半島の現状の原点はこれなんだよね。
沓掛時次郎。こいつのパロが『てなもんや三度笠』の「あんかけの時次郎」。
「俺がこんなに強いのも、あたり前田のクラッカー」
♪雲と一緒にあの山越えて~
ゆけば街道は日本晴れ~
知恵は珍念、力は茂兵衛、顔の長いは時次郎~
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6. Mikiko- 2012/03/24 20:17
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あんかけの時次郎が、沓掛時次郎のパロだったとは、初めて知りました。
ちょっと蛇足の解説。
沓掛時次郎は、実在の人物ではありません。
劇作家・長谷川伸の戯曲『沓掛時次郎(1928年/昭和3年)』で描かれる主人公です。
8回も映画化されてますが、一番新しいので、1966年(昭和41年)。
半世紀近く前ですね。
時次郎役は、中村錦之助(後の萬屋錦之介)でした。
長谷川信が亡くなったのは、昭和38年。
『沓掛』が『中軽井沢』に変えられたとき……。
どう思ったんでしょうね。
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7. ハーレクイン- 2012/03/24 21:14
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やっちゃったかなあ。
削除します。
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8. Mikiko- 2012/03/24 22:27
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これ以上、掘り下げるつもりはござんせん。
どうぞ、勝手になすっておくんなせい。
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9. ハーレクイン- 2012/03/24 22:56
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氷川きよしは、そうでもないんじゃあござんせんか。
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10. Mikiko- 2012/03/24 23:02
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男色じゃござんせんか。
あっしは、掘り下げる道具を持ち合わせておりません。
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11. ハーレクイン- 2012/03/24 23:14
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んじゃ、今回の二人のやり取り↓は何なんだ。
>律「あぁ、わかった。
氷川きよしの歌ね」
>み「違う!」
>律「えー、違わないわよ」
ま、今日は夜も遅い。
削除したコメについては、明日、様子を見て処遇を考えよう。
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12. Mikiko- 2012/03/25 07:22
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あそこで切れてたら……。
次回は、氷川きよしの話題になりそうだよね。
でも、あれは……。
等分に切り分けてたら、たまたまあそこが区切りになったというだけのこと。
前フリってわけじゃないのだ。
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13. ハーレクイン- 2012/03/25 10:51
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今日(この時点から見れば明日)のコメ、要するに938回の旅行記に、氷川きよしも橋幸夫もしっかり出ておるではないか。ふんとにもう。
この時点で削除コメを投稿してれば、明らかにフライングだった。
削除コメは明日938回に、今から投稿します(時制が破綻しておる)。