2011.8.31(水)
「あがががが」
顎が、外れたように落ちていた。
細い三日月の視界に、空が見えた。
瞳が、上瞼に隠れようとしているのだ。
しかし、その姿勢では、心地良い喪神に凭れることは叶わなかった。
たちまちバランスを崩し、美弥子は前にのめった。
「あっ」
相臀から両手を前に回し、身体を支えようとしたが……。
両手の平が突いたのは、精液の塊だった。
ジェル状の粘性を保ってはいたが、むろん美弥子の身体を受け止めるまでの応力は無い。
美弥子の両腕は、精液を突き抜いた。
「あぁっ」
後ろから、美里が支えようとしたようだったが……。
間に合わなかった。
美弥子は、顔面から精液に突っ伏した。
栗の花が、脳内に散華する。
美弥子は、両腕を真下に突き出した。
もちろん、地面に手を突くためだった。
しかし、その瞬間は訪れなかった。
美弥子の身体は、精液に抱き止められていた。
中空に浮くように、両脚が地面を離れた。
片脚が遅れて離れたせいか、左右のバランスが崩れたようだ。
美弥子の身体は反転し、顔が上を向いた。
目を見開いても、スライム状の精液が視界を閉ざしていた。
しかし、明るかった。
陽の光が、真上からあたっているようだ。
精液は、固まりかけの寒天のように、キラキラと輝いていた。
不思議と息苦しくなかった。
美弥子は、全身の緊張を解いた。
精液の揺りかごに、身を委ねる。
心臓の鼓動だけが聞こえた。
自分の心音のはずだが……。
遠くから聞こえるようにも思えた。
懐かしい響きだった。
そうか……。
ここはきっと、母の胎内に似ているのだ。
美弥子は、微睡むように目を閉じようとした。
その時、視界を何かがよぎった。
美弥子は、もう一度目を見開いた。
細い糸状のものが、無数に蠢いていた。
精液の中を、尾を振って泳いでいる。
明らかに生きていた。
答えは、ひとつしか見つからない。
精子だ。
顎が、外れたように落ちていた。
細い三日月の視界に、空が見えた。
瞳が、上瞼に隠れようとしているのだ。
しかし、その姿勢では、心地良い喪神に凭れることは叶わなかった。
たちまちバランスを崩し、美弥子は前にのめった。
「あっ」
相臀から両手を前に回し、身体を支えようとしたが……。
両手の平が突いたのは、精液の塊だった。
ジェル状の粘性を保ってはいたが、むろん美弥子の身体を受け止めるまでの応力は無い。
美弥子の両腕は、精液を突き抜いた。
「あぁっ」
後ろから、美里が支えようとしたようだったが……。
間に合わなかった。
美弥子は、顔面から精液に突っ伏した。
栗の花が、脳内に散華する。
美弥子は、両腕を真下に突き出した。
もちろん、地面に手を突くためだった。
しかし、その瞬間は訪れなかった。
美弥子の身体は、精液に抱き止められていた。
中空に浮くように、両脚が地面を離れた。
片脚が遅れて離れたせいか、左右のバランスが崩れたようだ。
美弥子の身体は反転し、顔が上を向いた。
目を見開いても、スライム状の精液が視界を閉ざしていた。
しかし、明るかった。
陽の光が、真上からあたっているようだ。
精液は、固まりかけの寒天のように、キラキラと輝いていた。
不思議と息苦しくなかった。
美弥子は、全身の緊張を解いた。
精液の揺りかごに、身を委ねる。
心臓の鼓動だけが聞こえた。
自分の心音のはずだが……。
遠くから聞こえるようにも思えた。
懐かしい響きだった。
そうか……。
ここはきっと、母の胎内に似ているのだ。
美弥子は、微睡むように目を閉じようとした。
その時、視界を何かがよぎった。
美弥子は、もう一度目を見開いた。
細い糸状のものが、無数に蠢いていた。
精液の中を、尾を振って泳いでいる。
明らかに生きていた。
答えは、ひとつしか見つからない。
精子だ。
コメント一覧
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1. Mikiko- 2011/08/31 07:35
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み「今はさ……。
ひとつの家に、大人の人数分だけ車があって……」
http://blog-imgs-34.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201108272023548d1.gif
み「家の車庫から車に乗れば、どこにでも行けるわけだよね」
律「新潟は、典型的な車社会なわけね」
み「車を持たなきゃ、生きて行けないね。
免許が無ければ、就職も出来ない」
http://blog-imgs-34.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20110827202327040.jpg
み「町中の商店街は、ことごとくシャッター通りで……」
http://blog-imgs-34.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20110827202328503.jpg
み「お店は、郊外の大型スーパーだけになっちゃったからね」
http://blog-imgs-34.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20110827202328428.jpg
↑イオン新潟南
律「運転できないお年寄りとかは、どうすんの?」
み「わたしの住んでるあたりだと……。
区が、大型スーパーを通るバスを運行してる」
http://blog-imgs-34.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201108272023559b4.jpg
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2. Mikiko- 2011/08/31 07:36
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み「それでもまだ、江戸時代から続く露天市もあるし……」
http://blog-imgs-34.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201108272023264a3.jpg
み「農家の人が毎朝行商に来るから、比較的便利なんだよ」
律「あ、知ってる。
トラック乗って来て、お店開くのよね」
http://blog-imgs-34.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20110827202327e41.jpg
み「あれは、八百屋さんとかがやってるんでしょ?」
律「違うの?」
み「農家の人が、朝採った野菜を軽トラに積んで来て……。
一軒一軒、売って回るのよ」
http://blog-imgs-34.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/2011082720232656e.jpg
律「そりゃ、便利だわ」
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3. Mikiko- 2011/08/31 07:36
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み「また、脱線したな。
何の話だっけ?」
律「車社会」
み「それそれ。
江戸時代って、今と似てたんだよ。
家の裏から舟に乗れば……。
どこにでも行けたんだから。
行こうと思えば、信濃川から海にだって出れたわけだからね」
律「舟社会ね」
み「はは。
上手いこと言う。
つまり当時は……。
川が、道路の役目をしてたってわけよ」
http://blog-imgs-34.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20110827202353a23.jpg
↑ベトナムです
律「それで……。
重量物を運搬するには、舟が一番便利だったってことね」
み「そう」
律「で、“肥やし舟”が存在したってわけか。
お百姓さんが集めてたのよね。
収集料金って、どのくらいだったんだろ?」
み「いくらだと思う?」
律「うーん」
み「今の“うーん”は、洒落のつもり?」
律「違うわよ。
そうね……。
一両くらい?」
http://blog-imgs-34.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201108272023539c8.jpg
み「阿呆か!
ほら、マスミンが笑ってるわよ」
http://blog-imgs-34.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201108272023557a7.jpg
続きは、次回。
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4. ハーレクイン- 2011/08/31 09:43
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精液の海を漂う美弥子……。
シュールで美しい情景だなあ。
由美美弥
今日の名言
>>そうか……。
>>ここはきっと、母の胎内に似ているのだ。
胎児の頃の記憶があるという人がいる、という話がありました。
ほんまかなあ、と思いますが、いやいや、あってもおかしくない、とも思います。
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5. ハーレクイン- 2011/08/31 10:22
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「区が、大型スーパーを通るバスを運行」かあ。
大阪市には、通常の市バス以外に、きめ細かく地域内を運行し、特にお年寄りが役所や病院、買い物に行くのに便利なように、という似たような発想の公営バスが運行されています。料金はどこまで乗っても100円。普通の市バスの半額です。
その車体の色から「赤バス」と称しています。
発想はいいのですが、住民には不評、乗車率は低いようで、よくカラで走っています。
なぜ不評なのか。
運行頻度が低いのと、“きめ細かく運行”が災いして、むちゃくちゃ時間がかかる、というのが原因です。
発想はよかったんだけどね。うまくいかんよなあ。
運行頻度を上げるほどの予算はないだろうし、“きめ細かく”をやめたら、そもそも何のための「赤バス」や、ということになってしまうしねえ。
うまくいかんよなあ。そのうち廃止になるんやないかな。
「農家の人が、朝採った野菜を軽トラに積んで来て……。一軒一軒、売って回るのよ」
江戸期の行商、棒手振りと同じだな。
新潟って、ほんとに「水の都」だったんだなあ。
かつては、近郊の大量輸送に最も適した交通機関、舟。
トラックが出現し、舟の役割が終わったとき、「水の都」の繁栄は過去の夢になったのだな、新潟は。
大阪もな。八百八橋(はっぴゃくやはし)は、過去の夢だ。
●露と落ち露と消えにし我が身かな浪速のことは夢のまた夢(秀吉)
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6. Mikiko- 2011/08/31 19:43
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昨年の大雪のとき、区バスに乗りました。
JRも新潟交通のバスも、まったく動いてなかったので。
なぜ、区バスが動いてたかというと……。
市民病院行きの経路だったからです。
病院を通る経路は、優先して除雪されるんですね。
で、市民病院から、新潟駅行きに乗り替えるというウルトラCを思いついたわけです。
しかし……。
乗ってしばらくして、大後悔。
とにかく、部落の細道のようなとこに、ことごとく入っていくわけです。
乗ってる身としては、同じところをグルグル回ってるようにしか思えない。
直線で行けば、15分くらいの距離を……。
1時間半くらいかかったんじゃないでしょうか?
ほかにまったく移動手段が無い人でなければ、ぜったいに乗らないでしょうね。
この日、会社に着いたのは……。
午後2時を回ってからでした。
明治11年に新潟を訪れたイザベラ・バード(紀行作家)は……。
新潟の堀割を“運河”と呼び、賞賛したそうです。
信濃川から迷いこんだ鮭が、背びれを立てて泳いでいたとか。
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7. ハーレクイン- 2011/08/31 19:56
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裏夏実、登場人物が一人増えてしまった。
おかげで山場が一つ増えた。
ま、これは今日一気に書き上げたので問題ないのだが……。
今日1日で12枚書いたよ。書けば書けるもんだな。
まだ、書けそうな気がする。
それはともかく、先に行ってまた同じようなことになったらどうしよう。いつまでも終わらんくなる。
今回だって、夏実が、登場人物(半分創作)の思いを受け入れなかったことから派生し、新たな人物の登場になったのだ。
ま、幸い、おかげで裏夏実、初の濡れ場が書けたがの。
うーむ。
登場人物が勝手に動き出す、とはこういうことなのかなあ。
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8. Mikiko- 2011/08/31 20:08
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わたしは、1日に12枚も書いたことなんか無いもの。
「いつまでも終わらんくなる」ってのは……。
まさに、「由美美弥」書いてるわたしと一緒。
そういうもんです。
しかし……。
やっと、初の濡れ場って……。
今まで、何書いてたんだ?
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9. ハーレクイン- 2011/08/31 20:28
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何書いてたって言われても……。
夏実って誰だあ、ということだな。
可愛い子だなあ。
んでもって、登場人物すべてが愛おしいなあ。
書くって、こういうことなんだな。
今までも書いたことはあるんだがな。
主人公が無機質のものばかりだったからなあ。
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10. Mikiko- 2011/09/01 07:45
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いろいろやっかいです。
わたしもそうなんだけどね。
本来、作者ってのは神様で……。
はるかな高みから糸を垂らし、登場人物を操る存在であるべき。
で、無慈悲な試練や不幸を仕掛けて、登場人物を虐めたりするわけだ。
でも、愛しくなると、可哀想なことが出来なくなっちゃうんだよね。
ま、プロ作家じゃないんだから……。
好きなように書きましょうよ。
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11. ハーレクイン- 2011/09/01 09:26
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以下、Wikiからの抜粋。
1831-1904
英国の女性紀行作家。
1878年(明治11年)、東京-日光-新潟-北海道、また神戸-京都-伊勢-大阪を旅し「日本奥地紀行」などを著述。
バード曰く、
「世界中で日本ほど婦人が危険にも無作法な目にも合わず、まったく安全に旅行できる国はない……」
う~ん、今はどうかな。
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12. ハーレクイン- 2011/09/01 10:01
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今、思い返してみれば、私の作家(?)としてのデビュー(?!)は高校生の時。
同級生に、半ば無理やり読ませたSFもどきの、2枚にも満たない小品でした。
読者(?)の評価はなんもなし。
初めて読者がついた(!)のは浪人生の時。
大阪の淀屋橋、というか中之島というか、に大阪府立中之島図書館があります。
府立図書館のメインは東大阪市に移転してしまいましたが、かつてはこの中之島が、大阪府のメイン図書館でした。
(『星に生まれたもの』を見よ!)
んで、ここの自習室が大阪の受験生の自習室のメッカだったんですね。
勉強もせんのに、ここの自習室に通っていれば、なんとなく勉強しているような錯覚に陥ったのです。
そういう意味で、中之島、というのは受験生の聖地でした。
んで、ここのトイレの個室の壁に書いたのだよ。エロ小説を。
さあ、何枚分くらいあったろうのう。
山場だけ、主人公の造形もへったくれもなし。
ただただ「ああん、いいわ、気持ちいいわ、いくいくいく」なあんてのを書いただけなのだが。なんと、読者がついたのだよ。
翌日その個室に入ると、私の作品(!)の脇に「続きを書け!」との“作者へのお便り”が。
いやあ、嬉しかったよ。あの喜びは「書く」経験のない人にはわからぬだろうなあ。
んで、書きましたよ、もちろん。Part2を。
枚数からいうとpart1の倍はあったかなあ。
んで、さらに翌日、ドキドキわくわくしながら件の個室に入りますと……すべてはペンキで塗りつぶされて消されておりました。“作者へのお便り”も含めてのう。
む、無念じゃ。
さらに書き込む気力もなく、悄然と図書館を引き上げたのを覚えております。
(んったく、受験生が勉強もせんと……)
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13. Mikiko- 2011/09/01 19:57
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そんな経験があったなら……。
どうして、エロ文道に進まなかったのかね。
ひょっとしたら今ごろ、大家になってたかも知れないのに。
わたしの若いころは、自意識過剰のカタマリで……。
エロ小説なぞ、よう書けませんでした。
考えてみれば……。
素人には、トイレの壁くらいしか発表の場が無かったんだよな。
まさか、自作を自由に発表できる時代が来るとは……。
誰も考えもしなかったでしょうね。
今、トイレの落書なんて、無くなったんじゃないか?
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14. ハーレクイン- 2011/09/01 20:26
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学者さんになりたかったのだよ。
あの、白衣。
あれが着たくて着たくてのう。
しかし考えてみれば、学生時代はピンク映画館に入り浸り、愛読書は団鬼六と千草忠夫。
どう考えても学者さんになれるわけはない。
せいぜい予備校の講師だな(わはは)。
うーむ。
道を間違ったかのう。
ま、しかし。
人生は一度だけだ。
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15. Mikiko- 2011/09/02 06:28
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お茶の水博士になりたかったわけか。
http://blog-imgs-34.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/2011090206270962f.jpg
でも、もしなってたとしても……。
アトムじゃなくて……。
ダッチワイフを造ってたかもね。
http://blog-imgs-34.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20110902062709107.jpg
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16. ハーレクイン- 2011/09/02 08:57
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第1次南極越冬隊が実際にダッチワイフを持って行ったかどうかは、いまだに謎に包まれているようですが……。
小松左京『復活の日』
全世界が新種ウィルスにより死に絶え、極寒の南極大陸の各国観測隊のみが生き延びた世界……。
わずかな女性隊員が、男性隊員全員を相手にする、というシステムが出来上がった。
もちろん女性全員の同意を得たうえで。
次世代の子供をつくる、という目的も踏まえて……。
それでも、男性隊員一人当たり、数か月に1度しか機会はない。我慢できん奴はどうするのだ。
そこに、最高責任者(名前忘れた)の檄が轟く。
曰く、
「マスでもかいてろ!!」
それにしても、画像の「特殊用途愛玩人形」。
むっちゃ可愛いじゃねえか。