2008.10.29(水)
「やっとお目覚めかい」
女教師の声がした。
回転椅子の軋む方を振り返ると、女教師が起ち上がったところだった。
まだ、全裸のままだ。
女教師はベッドの脇まで来ると、美弥子の尻に触れた。
美弥子の尻が小さく跳ねた。
冷たい指だった。
冷たい指が尻を這う。
その指は美弥子に、幼いころ見た蚕という生き物を思い出させた。
両親に連れられて行った信州旅行だった。
養蚕場で、生きた蚕に触れた。
手の平に載せられたのだ。
不思議と気持ち悪さは感じなかった。
しかし、冷たいのには驚いた。
冷たい腹を蠢かせ、蚕は手の平を這った。
女教師の指は、その冷たい芋虫のように美弥子の尻を這っていた。
「あきれた女だよ、おまえも。
こんな格好にされるまで、まったく気がつかないんだからさ。
あの椅子からベッドに移すだけでも、一仕事だったよ。
美弥子。
おまえ、六十キロ以上あるだろ。
その乳房だけで、三、四キロはあるみたいだからねえ」
そう言いながら、女教師は美弥子の顔を覗きこんだ。
美弥子は思わず顔を背けた。
「何だい、その顔。
そうかい。
臭うのかい。
臭いかい。
はっ。
自分の小便の臭いじゃないか」
女教師は、美弥子の尿を顔面に浴びたまま、まだ顔も洗っていないのだ。
「ここから下ろしてください」
「バカ言うんじゃないよ。
せっかく苦労して上げたものを、簡単に下ろしてたまるもんかね。
おまえには、罰を与えなきゃならないんだよ」
「何の罰ですか?」
「何の罰か!
あきれかえるね、おまえには。
もう少し、慎みのある子だと思ってたんだけどね。
とんだ見込み違いだったらしい。
自分がさっき、どんなざまで気を遣ったか、覚えてないとは言わせないよ」
女教師の声がした。
回転椅子の軋む方を振り返ると、女教師が起ち上がったところだった。
まだ、全裸のままだ。
女教師はベッドの脇まで来ると、美弥子の尻に触れた。
美弥子の尻が小さく跳ねた。
冷たい指だった。
冷たい指が尻を這う。
その指は美弥子に、幼いころ見た蚕という生き物を思い出させた。
両親に連れられて行った信州旅行だった。
養蚕場で、生きた蚕に触れた。
手の平に載せられたのだ。
不思議と気持ち悪さは感じなかった。
しかし、冷たいのには驚いた。
冷たい腹を蠢かせ、蚕は手の平を這った。
女教師の指は、その冷たい芋虫のように美弥子の尻を這っていた。
「あきれた女だよ、おまえも。
こんな格好にされるまで、まったく気がつかないんだからさ。
あの椅子からベッドに移すだけでも、一仕事だったよ。
美弥子。
おまえ、六十キロ以上あるだろ。
その乳房だけで、三、四キロはあるみたいだからねえ」
そう言いながら、女教師は美弥子の顔を覗きこんだ。
美弥子は思わず顔を背けた。
「何だい、その顔。
そうかい。
臭うのかい。
臭いかい。
はっ。
自分の小便の臭いじゃないか」
女教師は、美弥子の尿を顔面に浴びたまま、まだ顔も洗っていないのだ。
「ここから下ろしてください」
「バカ言うんじゃないよ。
せっかく苦労して上げたものを、簡単に下ろしてたまるもんかね。
おまえには、罰を与えなきゃならないんだよ」
「何の罰ですか?」
「何の罰か!
あきれかえるね、おまえには。
もう少し、慎みのある子だと思ってたんだけどね。
とんだ見込み違いだったらしい。
自分がさっき、どんなざまで気を遣ったか、覚えてないとは言わせないよ」
コメント一覧
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1. Mikiko- 2008/10/29 07:21
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わたしは、蚕に触ったことがありません(絶対、触れんと思う)。
どころか、たぶん見たこともない。
生きた蚕が冷たいというのは、何かの本で読みました。
とても印象に残ってます。
以来わたしの頭の中で、「蚕=冷たい」という図式ができてしまったようです。
生きながらも冷たいという命。
なんだか胸が痛くなりますね。
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2. miri- 2008/10/30 23:54
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蚕が冷たいの始めて知りました。
なのに織られると暖かくなるのは、
何だか不思議ですね。
あらら、またもやいいとこで終わるのですね。
mikikoさん、楽しみながら読者を焦らせていますね。
まあ、いいけど・・・。
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3. Mikiko- 2008/10/31 07:29
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蚕も不思議な生き物ですが……。
あんな芋虫が吐いたものを身に纏うのですから、人間って、もっと不思議ですよね。
わたしの小説がいつもいいとこで終わるのは、お客さまにまた来ていただくための重要なテクニックです♪