2008.7.16(水)
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3年前の春。
美弥子が、北陸の私立女子高に入学して間もない頃だった。
美弥子はその容貌から、新しい環境のもとでは必ず注目を浴びた。
しばらくは好奇の目に耐えながら、周囲が時間と共に自分に慣れてくれるのを待つしかなかった。
女子高に入学したその頃も、幾度目かの試練の時を過ごしていた。
休み時間など、美弥子を見るために、ほかのクラスの生徒や上級生までもが教室を覗きに来た。
美弥子はストレスから、重い便秘に苦しむようになっていた。
何しろトイレにまで付いて来る生徒がいるので、催しそうになったとしても、学校のトイレで排便することなどできなかった。
やがて、スカートのフックが苦しくなった。
もう限界だった。
ある日の昼休み、美弥子は思いあまって保健室を訪ねた。
保健室の主である養護教諭は、黒縁の眼鏡を掛け常に白衣を着た、小柄な女性だった。
この女教師は保健の授業も受け持っていたので、保健室に初めて入る美弥子も顔を知っていた。
無造作に束ねた黒髪に、化粧気の無い肌。
面が貼りついているような、表情に乏しい顔だった。
口紅だけが、不釣り合いに赤かった。
歳は、三十前後だろうか。
女教師は美弥子を椅子に座らせると、その外見とは裏腹な優しい声で尋ねた。
「どうしました?」
美弥子は、恥ずかしさも忘れて便秘の苦しみを訴えた。
黙って聞いていた女教師は、美弥子の訴えが終わると静かに口を開いた。
「それは苦しかったわね。
それじゃ、もうここで出しちゃいましょう」
そう言って女教師が指差した先には、細長い扉があった。
この保健室には、ベッドの傍らにトイレが備わっていたのだ。
保健室の常連の生徒がこのトイレのことを話しているのを、美弥子も聞いたことがあった。
ベッドの生徒が外にまで用足しに行かずに済むようにという配慮と、生徒の吐瀉物などを処理する用途から、設けられたトイレだそうだ。
トイレの扉に目をやりながら、美弥子は女教師の言葉に困惑していた。
そんなに簡単に出ないから、こうして苦しんでいるのではないか。
戸惑う美弥子を涼しい顔で見ながら、女教師はこう告げた。
「お浣腸しましょう」
3年前の春。
美弥子が、北陸の私立女子高に入学して間もない頃だった。
美弥子はその容貌から、新しい環境のもとでは必ず注目を浴びた。
しばらくは好奇の目に耐えながら、周囲が時間と共に自分に慣れてくれるのを待つしかなかった。
女子高に入学したその頃も、幾度目かの試練の時を過ごしていた。
休み時間など、美弥子を見るために、ほかのクラスの生徒や上級生までもが教室を覗きに来た。
美弥子はストレスから、重い便秘に苦しむようになっていた。
何しろトイレにまで付いて来る生徒がいるので、催しそうになったとしても、学校のトイレで排便することなどできなかった。
やがて、スカートのフックが苦しくなった。
もう限界だった。
ある日の昼休み、美弥子は思いあまって保健室を訪ねた。
保健室の主である養護教諭は、黒縁の眼鏡を掛け常に白衣を着た、小柄な女性だった。
この女教師は保健の授業も受け持っていたので、保健室に初めて入る美弥子も顔を知っていた。
無造作に束ねた黒髪に、化粧気の無い肌。
面が貼りついているような、表情に乏しい顔だった。
口紅だけが、不釣り合いに赤かった。
歳は、三十前後だろうか。
女教師は美弥子を椅子に座らせると、その外見とは裏腹な優しい声で尋ねた。
「どうしました?」
美弥子は、恥ずかしさも忘れて便秘の苦しみを訴えた。
黙って聞いていた女教師は、美弥子の訴えが終わると静かに口を開いた。
「それは苦しかったわね。
それじゃ、もうここで出しちゃいましょう」
そう言って女教師が指差した先には、細長い扉があった。
この保健室には、ベッドの傍らにトイレが備わっていたのだ。
保健室の常連の生徒がこのトイレのことを話しているのを、美弥子も聞いたことがあった。
ベッドの生徒が外にまで用足しに行かずに済むようにという配慮と、生徒の吐瀉物などを処理する用途から、設けられたトイレだそうだ。
トイレの扉に目をやりながら、美弥子は女教師の言葉に困惑していた。
そんなに簡単に出ないから、こうして苦しんでいるのではないか。
戸惑う美弥子を涼しい顔で見ながら、女教師はこう告げた。
「お浣腸しましょう」