2008.5.17(土)
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赤い花、青い花。
黄色い花。
ピンクにオレンジ。
そして白。
様々な色彩の花が、地面を覆い尽くしていた。
しかもその花たちは、ひと所に留まってはいなかった。
二つ並んで、ほかの花々の間をすり抜けて行く一組。
十近く固まって、形を変えながら行進する花の群。
この群の前では、ほかの花たちが道を譲っていた。
もちろん、おびただしい花邑を縫うようにして進む、たった一つの花もあった。
藤村由美は、教室の窓から、キャンパスの広場を見下ろしていた。
この女子大に入学して二ヶ月、季節は梅雨を迎えていた。
由美が見ていた花々は、傘の群だった。
由美は、一人のクラスメイトを待っていた。
窓の外を見下ろしていても、傘の上からその人を見分けることはできそうになかった。
由美は、最後列の席に腰を下ろした。
後方に座れば、授業中、その人の後ろ姿を見ていられるからだ。
つまり、そのクラスメイトとは、隣に座って話が出来るような、そんな仲ではなかったのだ。
「そんな仲ではない」どころか、入学して二ヶ月が経った今でも、まだ一言も言葉を交わしたことがなかった。
チャイムが鳴る間際になって、ようやくその人が現れた。
今でこそ、彼女が教室に入って来ても誰も驚かないが、入学直後のオリエンテーションで、初めて彼女を目にしたときは違った。
もちろん、由美も驚いた一人だった。
最初は講師が入って来たのかと思った。
おそらく他の学生も、そう思ったはずだ。
それほどまでに彼女は大人びて見えた。
ウェーブのかかった豊かな黒髪。
蝋を削り出したような白い肌。
けぶる眉。
かすかに灰色を帯びた瞳。
眉間から起ち上がる高い鼻。
対照形に整った唇。
美貌だった。
しかしそれは、日本的な美しさではなかった。
黒髪に縁取られた相貌には、顕らかに西欧人の混血が現われていた。
真っ直ぐ伸びた長い脚に、170センチ台半ばはあろうかと思われる長身。
モデルのようだった。
しかし彼女は、モデルのような無機質な体型ではなかった。
ぴったりとした服を着ているわけではないのに、豊かな膨らみとくびれは隠しようもなかった。
赤い花、青い花。
黄色い花。
ピンクにオレンジ。
そして白。
様々な色彩の花が、地面を覆い尽くしていた。
しかもその花たちは、ひと所に留まってはいなかった。
二つ並んで、ほかの花々の間をすり抜けて行く一組。
十近く固まって、形を変えながら行進する花の群。
この群の前では、ほかの花たちが道を譲っていた。
もちろん、おびただしい花邑を縫うようにして進む、たった一つの花もあった。
藤村由美は、教室の窓から、キャンパスの広場を見下ろしていた。
この女子大に入学して二ヶ月、季節は梅雨を迎えていた。
由美が見ていた花々は、傘の群だった。
由美は、一人のクラスメイトを待っていた。
窓の外を見下ろしていても、傘の上からその人を見分けることはできそうになかった。
由美は、最後列の席に腰を下ろした。
後方に座れば、授業中、その人の後ろ姿を見ていられるからだ。
つまり、そのクラスメイトとは、隣に座って話が出来るような、そんな仲ではなかったのだ。
「そんな仲ではない」どころか、入学して二ヶ月が経った今でも、まだ一言も言葉を交わしたことがなかった。
チャイムが鳴る間際になって、ようやくその人が現れた。
今でこそ、彼女が教室に入って来ても誰も驚かないが、入学直後のオリエンテーションで、初めて彼女を目にしたときは違った。
もちろん、由美も驚いた一人だった。
最初は講師が入って来たのかと思った。
おそらく他の学生も、そう思ったはずだ。
それほどまでに彼女は大人びて見えた。
ウェーブのかかった豊かな黒髪。
蝋を削り出したような白い肌。
けぶる眉。
かすかに灰色を帯びた瞳。
眉間から起ち上がる高い鼻。
対照形に整った唇。
美貌だった。
しかしそれは、日本的な美しさではなかった。
黒髪に縁取られた相貌には、顕らかに西欧人の混血が現われていた。
真っ直ぐ伸びた長い脚に、170センチ台半ばはあろうかと思われる長身。
モデルのようだった。
しかし彼女は、モデルのような無機質な体型ではなかった。
ぴったりとした服を着ているわけではないのに、豊かな膨らみとくびれは隠しようもなかった。
コメント一覧
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1. Mikiko- 2008/05/18 09:05
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みなさん、はじめまして。
Mikikoといいます。
今日から、自作小説「由美と美弥子」を連載することにしました。
↑にも書いてありますが、18禁のレズビアン小説(しかも変態系)ですので、お気を付けください。
でも、エッチ場面が出てくるのは、もうちょっと先になる予定です。
エッチ場面になるときは、事前に予告しますね。
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2. 裏宙ちゃん- 2009/02/07 16:00
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☆ いいですね。 凄く綺麗で優しい文章。 引き込まれちゃいます。
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3. Mikiko- 2009/02/07 17:05
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また、意表つかれちゃいました。
まさか、第1回にコメントが入るとは……。
とってもうれしいコメントありがとう。
でも、優しいなんて言われたの、初めてだな。
お名前、なんて読んだらいいのかな?
りちゅうちゃん? うらちゅうちゃん?
もひとつ聞いていい?
オンナノコ?