Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
亜理紗 雪むすめ(第9話)
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『亜理紗 雪むすめ(伝説官能ホラー作品)』 作:Shyrock


第9話:最後の夜


 そしてついに小千谷最後の夜が訪れた。
 夜も更けた頃、いつものように亜理紗がやってきた。
 俊介は募る想いを打ち明けた。

「亜理紗…僕は君を愛してしまった…。できることなら今すぐにでも君を東京に連れて帰りたい」
「まあ、嬉しい……ありがとうございます…俊介さん、私もあなたのことが大好きです。できればいっしょに東京に行きたい……」
「ぜひとも来て欲しい。亜理紗、君さえ了解してくれたら、明日、僕からお母さんを説得するよ」
「いいえ、それは……俊介さんといっしょに行きたいけど、やっぱり行けません……」
「どうして?」
「今は理由をお話できないけど……どうしても無理なんです……」

 亜理紗は表情を曇らせた。

「そうなんだ…きっと深い訳があるんだね。じゃあ今は諦めるよ。でもいつかきっと東京へ来てね。僕も機会を作ってきっと君に会いに来るから……」
「ありがとうございます……俊介さんの気持ち…すごく嬉しいです……」

 亜理紗は嗚咽し一筋の涙が頬を伝った。
 俊介は亜理紗の涙を指で拭ってやり、そっと抱きしめた。
 もしかしたらこれが最後の夜になるかも知れない…と俊介は思った。
 そんな想いを心に秘めながらふたりは愛の契りを結んだ。
 俊介はいつにもまして激しく亜理紗を攻め立てた。
 亜理紗もまたそれに応えるかのように、狂おしいほど悶えた。
 いくつかの体位をこなした後、亜理紗が俊介の上に乗ってきた。
 いつものように亜理紗は俊介の上で妖しく舞い、俊介は下から猛攻撃をかけたが、不思議なことに俊介はいくら動いても身体が温まってこない。
 むしろ異常なほど身体が冷えてくる。

(ううっ…寒い……どうしたんだろう…?)

 しかも奇妙なことに、摩擦することもあり本来結合部の温度は上昇するはずなのに、逆に体温よりも冷たく感じられた。
 いや、そればかりか挿し込まれている亜理紗の器までが恐ろしく冷たいのだ。
 端的に言えば、まるで氷の中にペニスを挿し込んでいるような、そんな想像を絶する感覚に陥った。

(おかしい……どうしてだ……)

 ところが亜理紗の顔を見ると情欲に悶える女そのものの表情であり、昨夜までと何ら変わりがない。

 まもなく亜理紗が絶頂を迎え、少し遅れて俊介もまた亜理紗の中で果ててしまった。
 しばらくすると亜理紗は前かがみになり顔を俊介に近づけた。
 俊介は亜理紗が接吻を求めてきたものだと思っていると…

(ふぅ~………)

 突然亜理紗は俊介に息を吹きかけた。
 その吐息は凍てつくように冷たかった。

「……!!」

 俊介は身体が凍えて次第に動かなくなっていくように感じた。
 亜理紗は涙をにじませながらささやいた。

「俊介さん、私はあなたが好き……あなたを東京に帰したくない……ずっとこのまま……」

 亜理紗はそれだけ話すとはたと言葉を切った。
 そして俊介から離れ涙声で言った。

「できない…できない、私にはとてもできないっ! さようなら…俊介さん……さようなら…ううう……」

 亜理紗は別れの言葉を口走りながら、涙ながらに部屋から出ていってしまった。
 しかも全裸のままで……

 俊介は思いがけない成り行きに呆然としていた。
 いったい亜理紗に何が起こったのか……
 亜理紗が述べた別れの言葉はある程度理解できるが、『私にはとてもできない』と述べたあの一言にはどんな意味が込められていたのだろうか。
 亜理紗が残した不可解な一言に俊介は思い悩んだ。
 果たして彼女は何ができないと言ったのだろうか……
 亜理紗が去った後も凍てつくような戦慄が俊介を支配していた。



 俊介はほとんど眠れないまま10日目の朝を迎えた。
 朝食を運んで来たのはいつもと同じ女将であった。
 そう言えば亜理紗が食事を運んできたことは一度もなかった。
 俊介は亜理紗のことを母親である女将に一度聞いてみたいと思っていたが、とうとう今日まで切り出すことができなかった。と言うのも、まさか「あなたの娘さんと恋に落ちて毎晩床をともにしています」などと言うわけにもいかなかったからだ。
 しかし10日間お世話になったこの旅館とも今日でおさらばだ。
 俊介は思い切って亜理紗のことを尋ねてみることにした。

「女将さん、大変お世話になりました。また機会がありましたらぜひお邪魔させていただきます」
「こちらこそありがとうございました。ぜひまたいらっしゃってください。お待ちしております」
「ところで……」
「はい?」
「あのぅ…娘さんのことですが、昼間は全く見かけないのですが、どちらかに行かれているのでしょうか?」
「え…? 娘…ですか? 娘って私の娘のことですか…?」
「はい、もちろん女将さんの娘さんのことですよ」
「確かに私には娘はいますが…でも今は関西の方に嫁いでしまって、もうこちらにはいないんですよ。昨夜も電話で長話をしてしまいまして。で、その娘が何か……?」
亜理紗 雪むすめ【第8話:騎乗の美少女】目次亜理紗 雪むすめ【第10話:亜理紗の名残】


コメント一覧
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    • ––––––
      1. Mikiko
    • 2017/09/23 08:34
    • 小千谷市
       読みは、“おぢやし”です。
       新潟県の中越地方にあり……。
       広域合併した長岡市に取り囲まれる形になってます。
       面積は、155.19km2。
       新潟県30市町村中、21位です。
       人口は、35,706人(2017年5月推計)。
       30市町村中、17位。
       いわゆる魚沼地域にあり……。
       「豪雪地帯」の中でも「特別豪雪地帯」に指定されています。
       錦鯉の里としても有名。
       中越地震で、大きな被害を受けましたが……。
       見事、復活。
       現在は、外国人バイヤーも詰めかける「錦鯉の聖地」。
       麻織物の小千谷縮も有名です。
       そして食べ物では、へぎそば。
       縮つくりの糊付けに使用された布海苔が、蕎麦のつなぎとして使われてます。
       ↓なので、お蕎麦はほんのりと緑がかってます。
      http://www.hegisoba.com/hegisoba.html
       強い腰と歯触りが特徴。
       一度、ご賞味あれ。

    • ––––––
      2. ハーレクイン
    • 2017/09/23 10:41
    • 騎乗位
       前回(タイトル;騎乗の美少女)書くべきだったのですが……。
       AVなどでは、騎乗位特集なんてのがありますようで、後背位と1,2を争う人気の高い体位ではないでしょうか。
       わたしの好みですが、映像ではカメラ位置はかなり下。そこから女性を見上げる。髪振り乱して顔を左右に振る女性。その口から滴り落ちる涎、絶え入るような喘ぎ声が絶え間なく……。
        時に両腕を上げ、我が両手で両の乳房を揉みしだく女性。あ、いくぅっ!
       実に結構なものです。 

    • ––––––
      3. Mikiko
    • 2017/09/23 12:18
    • 女性に上で自由に動かれて……
       堪えられる男性は、大したものだと思います。
       AV男優だから出来るのでしょう。
       一般男性では、女性より先に昇天してるんじゃないですか。

    • ––––––
      4. ハーレクイン
    • 2017/09/23 16:02
    • 堪える男
       そんなでもないと思います。
       女性の動きも人それぞれ、やはり相性というのがものを云うんじゃないでしょうか。
       まあ、わたしは「三こすり半」ですが。

    • ––––––
      5. Mikiko
    • 2017/09/23 18:23
    • 男性にとっては……
       視覚的刺激というのも、強敵ではないでしょうか。
       騎乗位は、他の体位に比べ、この刺激が強い気がします。
       気を紛らわす必要があります。
       ↓脳内に『ローハイド』のテーマを鳴らすというのも、手かも知れません。
      https://www.youtube.com/watch?v=m6BXvWwAa48

    • ––––––
      6. ハーレクイン
    • 2017/09/23 20:51
    • 騎乗位は……
       女性の喘ぎ悶える姿がもろ見えですが、後背位は背中しか見えません。視覚的には、確かに騎乗位の圧勝ですね。
      それにしても強敵ですか
       「酒と女は男の敵(かたき)」、とか云います。
       「どうぞ敵に巡り合いたい」、と続きますが。
       そうえいば、「敵娼(あいかた)」なんて言葉も。
       どうぞ敵に巡り合いたい……。
      それにしてもしても
       何故『ローハイド』なんだろう。
       ♪ローレン ローレン ローレン……

    • ––––––
      7. 手羽崎 鶏造
    • 2017/09/24 03:08
    • 騎乗位でイク(果てる)かといえば、私は難しい
      と思っています。
      体位のバリエーションとしては有りだと
      思いますが、とどめの体位としては
      ちょっと違うような。
      オトコはお相手の身体のどこかを手で握り掴みながら
      Pをグラインドするわけですが、この体位の場合、
      手はお相手のどこを押さえておるのでしょうかね。
      具体的な所作が欲しいところです。

    • ––––––
      8. Mikiko
    • 2017/09/24 07:51
    • ハーレクインさん&手羽崎鶏造さん
      > ハーレクインさん
       『ローハイド』。
       これは、カウボーイの歌でしょ。
       騎乗位のテーマには、うってつけじゃないですか。
       この場合、自分が乗られてるわけですが。
       話は変わりますが、先日『アナザーストーリー』というドキュメントで……。
       競馬のオグリキャップの話が放送されてました。
       1990年11月のジャパンカップで、11着に沈み……。
       オグリキャップは終わったと言われました。
       その1ヶ月後の有馬記念が、引退レースとなりました。
       騎乗は、武豊。
       なんと、そのレースで勝ったんですね。
       観客が、号泣してました。
       見てて、鳥肌が立ちましたね。
      > 手羽崎鶏造さん。
       AVでは、女性が上下動をしてますが……。
       あれを、日常でやってるカップルはいないでしょう。
       現実的には、密着させての前後動だと思います。
       グラインドを上手にできるのは、タヒチアンダンサーくらいじゃないですか。
       AVでも、騎乗位がフィニッシュというシーンは、まずありません。
       イッたかどうか、わかりづらいですからね。
       むしろ、騎乗素股でのフィニッシュの方が、映像的にはオイシいでしょう。

    • ––––––
      9. Shy
    • 2017/09/24 09:53
    • Mikiko様
      この度はお手を煩わせてしまい申し訳ございませんでした。
      引き続きましてよろしくお願いいたします。
      ところで体位談義に花が咲いていますね。
      楽しく拝読しました。
      視覚用に制作されたAVと現実のセックスが異なるように、
      小説もまた現実のそれと多少は違うかも知れませんね。

    • ––––––
      10. ハーレクイン
    • 2017/09/24 10:25
    • カウボーイ
       なんだ、それだけか。
       馬というより、牛にこだわっちゃったよ。ありゃあ、牛追いの話です。
       ちなみにWikiによりますと……、
      「英語の『ローハイド(Rawhide)』 は、『ロウ(raw、生の)』+『ハイド(hide、皮)』。
       つまり『生皮(きかわ)』『生皮の鞭』『生皮の鞭で打つ』などを意味するが、そこから派生してカウボーイ達のズボンの上から着用する革製のズボンカバーのことを指す言葉でもある」
       だそうです。
       ♪ローレン ローレン ローレン……(ここしか知らん)
      オグリキャップ
       わたしらはハイセイコーですが、競馬は全く知りません。
       武豊騎手の奥さんが佐野量子さん、は知ってます。
       ♪ありがとう友よ
        さらば ハイセイコー~

    • ––––––
      11. Mikiko
    • 2017/09/24 12:34
    • Shyさん&ハーレクインさん
      > Shyさん
       確かに、小説での描写では……。
       あまり複雑な体位だと、関節技の解説みたいになっちゃいますよね。
       読者の想像に任せるという手もありますが。
      > ハーレクインさん
       あの曲は、非常に斬新で、頭に残ります。
       競馬。
       最近は、スター馬(?)が出ませんよね。
       新潟競馬場には、1000メートルの直線コースがあるそうです。
       1度も行ったことがありませんが。
       今度、行ってみるかな。
       赤鉛筆を耳に挟むんですよね。

    • ––––––
      12. ハーレクイン
    • 2017/09/24 14:00
    • ローハイドの曲
       毎回、番組のラストに流れます。
       物語、すったもんだあるも無事に解決。
       さあ行くかってえんで隊長?のフェイバーさんが全員に号令を掛けます。
       「さあ行くぞ! しゅっぱあつ!」
       で、動き出す牛の群れ、被さる♪ローレン ローレン ローレン……。
      競馬
       前コメに書きましたが、競馬・競輪・競艇・オートレース(三競オートと云うそうです)公営ギャンブルはほとんど知りませんし、経験もありません。
       だから、1000メートルの直線コースと言われても、ピンときません。
       >赤鉛筆を耳
       そういうことは皆よく知ってるんだよなあ。無論わたしも知ってますが、ほんとなんですかね。眼鏡をかけた人は挟めないと思います。
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