2017.5.30(火)
恭子(のりこ)の下半身が軽く緊張した。その両脚、両の太腿に力が入り、両腿の内側が密着する。恭子の両膝は軽く折れ、その腰が少し落ちた。
恭子は、日常の生活で床に座すときは胡座(こざ、あぐら)である。恭子以外の皇族の女性も胡座である。いや、宮中の全ての女官、役婦の座法はすべて胡座であった。そのため、女性の衣装の上半身は単衣を幾重かに重ねるが、下半身は広くゆったりと作られた袴である。でなければ、ひょっとしたはずみに股間の秘部が覗けてしまわないものでもない。無論、恭子の年齢では比較的簡素な衣装であるが、下半身に袴を着するのは他の女房衆と変わることは無かった。
つまり、普段の生活で、いわゆる正座に座ることは恭子にはめったにない。宮中の神殿に礼拝する時くらいであろうか。当然の事であるが、胡座の姿勢では左右の太腿が触れ合うことは無い。
だが今、恭子(のりこ)の左右の太腿は固く密着していた。水も漏らさぬ、というほどではないが、いずれにしても恭子自身は、その下半身の様相などは自覚していなかった。恭子の上半身も、下半身と同様、自覚のないままではあるが硬くこわばっていた。
恭子は自覚のないままその全身を緊張させ、兵部の室内を覗き続けた。室内で今何が行われているのか。よくは理解できないが、何か公にはできないこと。余人に知られてはならないこと。秘事、秘め事、隠し事……。そんな言葉が恭子の脳裏を行き過ぎた。
恭子は、その全身を目と耳に変えた。室内の薄暗がりに瞳を凝らし、漏れ聞こえる微かな声に耳を澄ませた。恭子は知らず、息を詰めていた。
笹津由は、兵部に乳首を嬲られ、ろくに息も継げない。剥き出しの喉を天に向けたまま、喘ぐように声を絞り出した。
「ひょ、ひょう、ぶ……」
兵部は応えない。
「ひょうぶ……どのぉ」
兵部は返答の代わりに、一段と激しく、笹津由の乳首を舐(ねぶ)り上げた。
「おひい」
笹津由の喉が、兵部の口の動きに応えて鳴った。
半ば怨ずる様な笹津由の喘ぎが聞こえているのかいないのか、兵部は、笹津由の乳首への口唇愛撫を止めない。
(このままでは……)
と考えたか、笹津由の両手が上がり、兵部の両の蟀谷(こめかみ)を左右から挟み付けた。その両手で合図を送るよう、笹津由は兵部の頭部を軽く左右に揺さぶった。
兵部は軽く口を開き、笹津由の乳首から口を外した。阿吽の呼吸であった。
兵部の唇と笹津由の乳首を繋ぎ、兵部の未練の印か、唾液の筋が長く糸を引いた。
「兵部殿」
「何じゃ、笹津由。今少し……」
「兵部殿、今しばらく乳は……お立ちあれ、兵部殿」
「立て、と……」
それだけで笹津由の意図を察したか、兵部は敷き栲(しきたえ;敷布団)を踏んで立ち上がった。
向き合った笹津由は、変わらず膝立ち。その笹津由の眼前に、兵部の男の股間があった。兵部の男は、天を突いて屹立していた。
(おお)
恭子は息を呑んだ。
(なんと……)
恭子(のりこ)は、兵部の男根を垣間見たことがある。幾年前の事であったか、二人きり、裏庭の隅で遊んでいた時の事である。ゆばり(尿)を催した兵部が厠まで待てぬ、ゆばりせむ、とて傍らの草むらに入ったのだ。
来てはならぬ、と兵部は恭子を後に残したが、恭子は素知らぬ風で付いて行った。兵部も無理に恭子を追うことはせず、袴の裾をたくし上げて男根を摘み出した。そして、さすがに恭子には背を向けて、兵部はゆばり(尿)を放ったのだ。
恭子は、兵部の背後から覗き込んだ。それ以前から恭子は、男のその器官については見知っていた。いつ、どこで、どのようにして……は、記憶になかったが、いつか知っていたことであった。だが、さすがにその物を間近で見るのは初めての事であった。が、その時は、このようなものか、くらいにしか思わなかった恭子であった。
だが、しかし……。
(何と兵部さま、かような……)
室内の二人に気付かれてはならぬ。その思いで恭子(のりこ)は固く口を噤んだ。がしかし、そうでなくても恭子の声は出なかったであろう。それほど、今垣間見る兵部の男根は、幼い頃のそれとは似ても似つかぬ、猛々しいとしか言えぬ様相であった。
兵部の男根。その先端は、薄桃色の肉塊であった。径一寸は優にあろう。何の液か、まさかゆばり(尿)ではあるまいが、と恭子に思わせ、肉塊は濡れ濡れと、御簾の隙から室内に差し込む日の光に照り映え、光っていた。そして、内部に漲る圧力の故か、肉塊ははち切れんばかりに張り詰めていた。
先端の肉塊に続く肉茎は長さ五寸か、六寸はあろうか。まさに天を突き上げていた。隆(りゅう)と反り返るその様は、引き絞られた強弓を思わせた。そして、肉茎の表面には、たっぷりと体液を蓄えた蚯蚓の如き太い脈が幾筋も盛り上がり、のたうっていた。
兵部の面貌は、未だ少年を思わせる童顔である。だがその男根は、百戦錬磨の強者を思わせるものであった。その落差は恭子の目を眩ませた。
(あ……)
恭子(のりこ)はそのとき、固く合わせた自らの両腿を意識した。熱かった。熱いのは腿ではなかった。熱いのは腿の最上部であった。二本に分かたれた両脚・両腿の合わさるところ。陰部とも、秘部とも称され、日常の会話では無き物のように扱われる所。しかし、厳然と我が身に、いや女であれば誰しもの身に必ず存在するところ。
恭子の秘部は熱かった。その内に滾るものを秘めた恭子の秘部は燃えていた。
(おお)
恭子は、我が身の内、我が身の中心から燃える液が滲み出るのを感じた。出口は両腿の合わせ目、秘部のさらに中心であった。
(気の……せいか)
(いや……)
恭子は、確かに我が身の内から、秘部の内に秘められた熱い液が漏れ出るのを感じた。
(おおお)
(これは……)
恭子(のりこ)の膝は更に折れ、その腰は引ける。
きつく合わさる恭子の両腿。二本の腿の合わさる谷筋を、滲み漏れ出た恭子の女の液が伝い、流れ、零れ落ちて行く。恭子は更にきつく両腿を合わせたが、その恭子をあざ笑うように熱い液の流れは止まらなかった。
(おおおお)
(濡れる)
(濡れる……)
(熱い……)
恭子は、袴の上から片手を股間に押し当てた。しかし、いくら抑えようとて、絶え間なく滲み零れ出る熱い液を押し留めることは出来ないことであった。
「おおっ」
恭子は、自らの心中の声に呼応するような切迫した声を室内から聞いた。
敷き栲(しきたえ;敷布団)の上に仁王立ちになった兵部の上げる声であった。
「おおお、ささ、つゆ……」
笹津由は。兵部の硬く張り詰めた肉の茎を両手に捉えていた。その片手は、茎の先端の肉塊に天蓋宛(さなが)らさながらに被さる。兵部の肉塊は、被さる笹津由の掌からはみ出さんばかりであった。
笹津由の今一方の手は茎の中ほどを鷲掴んだ。笹津由は兵部の肉茎に縄掛けるよう、その手の拇指と他の四指を絡めた。が、兵部の肉茎の太さは笹津由の掌に余る。拇指と他の四指の先端どうしが突き合わさることは無かった。
まさに、笹津由の“手に余る”兵部の男根、肉の茎であった。
「はああああ」
声を漏らしたのは笹津由であった。
「ひょうぶ、どの」
「おう、ささつゆ」
笹津由は、両手をゆるゆると動かし、兵部の肉茎全体を愛しげに撫で摩る。兵部に呼び掛ける。
笹津由は、両手と言葉で兵部を愛撫した。
「相も変わらぬ、逞しきお体」
「おう」
「ほんに、硬きこと」
「おおう」
「長きこと」
「おおお」
「太きこと」
「おおおお」
「熱きこと」
笹津由は、己が手にする兵部の男根に顔を寄せた。愛しげに頬で撫で摩る。
「何と逞しき、この……」
「ささつゆ、疾(と)く……」
「もう……もうわたくしは」
「おおおう、ささ、つゆっ」
「たまりませぬ」
言うなり笹津由は大きく口を開き、兵部の肉茎の先端、張り詰める肉塊を咥え込んだ。
コメント一覧
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1. エロ話の命HQ- 2017/05/30 08:59
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覗き見恭子
なんともお行儀の悪いことです。仮にも皇女の振る舞いとは、とても思えませんが、これはまあ「個性」「持ち味」というものなのでしょう。
いずれ斎王に選定される予定(確定)の恭子姫。そしてその斎王精進潔斎の場、野宮神社で事に及ぼうと。「別れの一発」をやらかそうという恭子です。その若い頃のいわば「春のめざめ」、そして「これくらいのことはやってたやろ話」がこれから始まります。よろしくお付き合い下さい
しかし、そんな淫乱斎王、とても現実のものとは思えん。
まあ、そこはそれはお話ですから、じゃなくてなんとおっしゃるウサギさん。
史上ただ一人(たぶん)まさにその野宮神社で事に及び死刑、じゃなくて解任された斎王がいたそうです。まあ、わたしの調査ですからも一つあてにはなりませんが、いかにもありそうなことではありませんか。わたし、こういう方、大好きです。
あ、ただしこの恭子一件。その史実?をパクったわけではありません。書き始めた後で気付いたんですね。まさに事実は小説よりも奇なり、でしょうか。
ともあれ、若き日の恭子エッチ話。
前座話は兵部-笹津由。まずはおフェラ、フェラチオシーンから。ご賞味ください。
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2. Mikiko- 2017/05/30 19:47
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胡座は……
このころの女性の座り方のひとつだったでしょう。
正座は、室町以降だそうです。
しかも、茶の湯の席での座り方だったので、女性は関係なかったみたいです。
平安時代、胡座より一般的だったのは、立て膝だったようです。
立ててない方の脚は、胡座の形です。
当時の着物は、どんな座り方をしても脚が見えない、ゆったりした作りだったそうです。
正座という座り方が広まったのは、江戸以降でしょう。
武家社会ですね。
江戸城では……。
将軍を前にした大名は、額を畳に擦り付ける土下座姿勢を取らなくてはなりません。
胡座をかいてたら、そんな低頭は出来ませんよ。
つまり正座は、土下座するための座り方だったわけです。
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3. 女性服飾史研究家HQ- 2017/05/30 21:53
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立膝片胡坐
てな云い方なのかどうかは知りませんが……韓国、と言いますか韓半島の時代もので見かけます。と言っても、小説でも映像でもなく、漫画ですが。
ということは、平安期の女性の座り方は大陸起源。それが半島を経て(または大陸から直に)伝わったと、こういうことでしょうか。まあ、こういうのは座り方だけじゃないでしょうけど。
覗き見恭子
はともかく、兵部と笹津由はあっさり全裸にしちゃいました。まあ、兵部はどうでもいいのですが、笹津由はじっくり丁寧に脱がせたかったのです。が、当時の、特に宮中の女性の服装など、ほとんどわかりませんので、涙を呑むしかなかったわけです。
この時代の話をまた書く機会があれば、じっくり調べて脱がせたいものだと考えております。
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4. Mikiko- 2017/05/31 07:24
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韓国では……
↓現代女性も、立て膝座りが一般的だそうです。
https://twitter.com/okada014/status/707435012749193221
一般的というか、正しい作法のようですね。
この座り方を、嫌韓のネタにしているサイトもありました。
バカとしか云いようがありません。
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5. エロのソナタHQ- 2017/05/31 09:43
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↑どこかで見たような……
バカは放っといて……
じゃあ、韓国女性はスカートは穿かないんですかね。
見えちゃうじゃろに、と書いたとたんに思い出しました。
垣間見た某韓国ドラマのヒロイン、ロングスカートを愛用していました。ただし、肝心の?座るシーンは無かったようです。
そういえば、韓国ドラマはほとんど見ません。
火付け役になった『なんちゃらソナタ』も見たこと無し。幾度か再放映をやったし、パチンコ台にまでなった(何の関係が)のになあ。
むろん嫌韓というわけではなく、違和感ありまくりなんですね。役者さんの風貌はどない見てもうちらと一緒。で、当たり前ですが、しゃべるセリフは韓国語で字幕付き。この落差がね。
しかし、仮にも映画Freakを自称(詐称?)するわたくし。これはまずかろう。で、汚名返上で何か見ようと思うんですが、面白いの、ありますかね。わたしの主なジャンルは、SFとホラーなんですが。
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6. Mikiko- 2017/05/31 18:51
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韓流ドラマ
わたしも、見たことありません。
韓流だから見ないわけではなく、連続ドラマというものを見る習慣がないのです。
見るのは、単発の2時間ドラマだけですね。
2時間ドラマの韓流版があれば、見るかどうかですが……。
ちと難しい。
お酒を飲みながらなので、字幕は面倒くさくて無理ですね。
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7. お楽しみは……HQ- 2017/06/01 03:36
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↑これからだ
世界初のトーキーとされる『ジャズシンガー』の名セリフ
和田誠が、これをパクって映画エッセイを書きました
字幕がダメ
じゃあ、洋画もダメなんですか。
まあ「吹き替え」というのがありますが、あれはどうもね。
わたしは字幕もの一本それまで、です
そういえば「洋画のセリフが聞き取れるようになります」とかなんとかという、英会話教室のキャッチがありました。
ほんまかね。生?の会話は、そんな生易しいものではないと思いますが。
わたしが聞き取れるセリフは「Oh,Yea」くらいです。
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8. Mikiko- 2017/06/01 07:39
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洋画
とんと見なくなりました。
確かに「吹き替え」は、ちょっとね。
テレビショッピングを思い出してしまいます。
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9. 『映画に行こう』HQ- 2017/06/01 09:08
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↑作詞・作曲・歌唱:陽水です
こんなのあるの、知りませんでした
せっかくですから、出だしだけ↓ご紹介
♪今日はひどいから
雨もひどいから
街のネオンを
くぐりぬけて
映画に行くのさ
SFやミステリーの世界へ……
陽水おじさんもSF好きのようです。
映画を見よう
2年ほど前に録画してほっぽっといた『2001年宇宙の旅』。
昨夜、ようやく見ました。
ていうか、眠くて途中で中断、寝ちゃいましたので、今夜続きから見ます。
初めて見たのは学生の頃でしたか。親父と、梅田の映画館でした。途中でわけわからなくなっちゃいましたので、今回はしっかり見たいと思います(そない、いれこまいでも)。
1968年製作という古いハリウッド映画(その後ノヴェライズ)ですが、当時、2001年には人類は宇宙に進出しているだろう、と考えられてたんですかね。
「事実は小説よりも奇なり」とはいかなかったようです。