Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
東北に行こう!(124)
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律「あ、電車の中……」
実際の大湊線の車中です
↑実際の大湊線の車中です。乗車率は悪くないようです。

客「電車ではなく、気動車です」
律「どうやって下りるの?
 窓から?」
み「まだ寝ぼけてるな。
 次の『下北駅』で下りるんです」
律「下仁田?
 何でそんなところにいるの?」
土壌環境のせいか、下仁田以外では育たないそうです
↑こんな太いんですね。土壌環境のせいか、下仁田以外では育たないそうです。

み「下仁田は群馬だろ!
 下北です。
 青森の下北半島」
思ってた以上に、柄の部分が細いです
↑衛星写真。思ってた以上に、柄の部分が細いです。

律「何でそんなところにいるの?」
み「脳が膿んでおる。
 とにかく、次の駅で下りるんです」
客「お名残り惜しいです」
み「あなたとは、今生のお別れですな」
早くリタイヤして、朝ドラを見る生活がしたい
↑『とと姉ちゃん』の場面のようです。早くリタイヤして、朝ドラを見る生活がしたい。

客「寂しいこと言わないでくださいよ。
 名刺を差しあげますから、気が向いたら連絡してください」
み「向かんと思うが」
客「そう言わずに。
 どうぞ」
切符風名刺のサンプル
↑切符風名刺のサンプル

み「なんじゃこの肩書き。
 『鉄道研究家』?」
客「仕方ないでしょ。
 会社は退職しましたから」
退職しましたから

み「名前だけにすればいいでしょ」
客「あまりにも余白だらけで、スカスカになっちゃうんですよ」
み「名前をデカデカと刷ればいいではないか。
 勘亭文字かなんかで」
客「それじゃ、千社札ですよ」
それじゃ、千社札ですよ
↑ほんとに作ってる人がいました。

み「『鉄道研究家』って、何か資格持ってるの?
 鉄道学部を出たとか」
客「そんな学部はありませんよ」
こんなキラキラ学部が増えてます
↑最近は、こんなキラキラ学部が増えてます。就活に不利だとか。

み「自由に名乗っていいわけ?」
客「学問は自由です」
『学問のすゝめ』の冒頭
↑ご存じ、『学問のすゝめ』の冒頭。なんだか、お寺で聞く『修証義』に似てます。

み「まぁ、いい。
 いただいておいて……。
 詐欺をするときに使わせてもらう」
詐欺をするときに使わせてもらう

客「やめてください。
 あ、先生もどうぞ」
要らない名刺の使い方
↑要らない名刺の使い方。

律「いただきます」
み「『下北駅』のバス乗り場って知ってる?
 けっこう、タイトなのよ。
 えーっと、この汽車が駅に着くのが、13:53分でしょ。
 バスの発車が、14:05分」
客「12分もあるじゃないですか。
 この列車も遅れてませんし、余裕ですよ。
 這ってでも間に合います」
み「なんで駅で這わなきゃならんのじゃ!
 トカゲじゃあるまいし」
リードをつけて、お散歩中
↑リードをつけて、お散歩中。福岡市の大濠公園だそうです。

客「駅を出て、すぐ左がバス乗り場です。
 どちらに行かれるんですか?」
み「それは秘密です」
鳥取のようです
↑鳥取のようです。

み「先生を驚かせたいから」
律「何よそれ。
 ヘンなところに連れて行かないでよね」
み「立派なところです」
客「下北駅は、2009(平成21)年に新駅舎になってます。
 綺麗な駅ですよ。
 風情は無くなっちゃいましたが」
下北駅旧駅舎
↑旧駅舎です。いい雰囲気です。

み「風情云々は、旅行者の勝手な言い草です。
 地元民にとっては、綺麗で新しい方がいいに決まってる」
客「あと、下北交通のバスはICカードが使えませんから」
Suicaのペンギンくん
↑Suicaのペンギンくん。名前は無いようです。わたしは、Suicaの定期券を使ってます。バスにも乗れて、実に便利!

み「貨幣が流通してないのか?」
物々交換の図
↑物々交換の図。

客「声が大きいですって。
 現金は使えます」
み「あたりまえじゃ。
 物納でバスに乗るんじゃ、面倒でしょうがない」
物納乗車の図
↑物納乗車の図。

み「使える現金は、日本国のものか?
 まさか、石のお金じゃあるまいな」

↑『はじめ人間ギャートルズ』

客「いい加減にしないと、ホントに怒られますよ。
 ほら、もう停まります。
 荷物持ちましたか?
 忘れ物はないですか?」
み「あ、これを忘れるとこだった」


客「それはわたしのバッグです」
み「おー、それは失敬。
 似てるので間違えるところじゃった」
客「これに似た鞄は、まずありません」
み「冗談じゃ。
 世話になったな。
 あの世でまた会いましょう」


客「そんなこと言わないでくださいよ」
律「お世話になりました」

律「あの人、手を振ってるわよ」
み「あかんべーをしてやるか」
律「やめなさいよ。
 別れって、寂しいものね」
み「ほとんど寝てたくせに」


律「ま、そうだけど」
み「発車した」

↑『下北駅』を発車する『大湊』行き快速(2007年の画像です)。

み「やっぱり、非電化はいいね。
 架線が無くて、空がスカーンと開けてるし。
 六角精児バンドの『ディーゼル』が聞きたくなった」


律「知らない」
み「同意は、期待してません」
律「あー、見えなくなっちゃった」
み「もらった名刺、捨てるか」
律「そんなこと言わないの。
 せめて、帰るまでは持ってなきゃ」
み「ははは。
 帰ったら捨てるわけね」
律「そうは言ってないわよ。
 早く行きましょ。
 時間、そんなにないんでしょ」
み「単線は、跨線橋が要らないから、乗り降りには便利だよね。
 上りも下りも、必ず改札側のホームだから」
上りも下りも、必ず改札側のホームだから

律「言ってることが、よくわからない」
み「説明省略。
 おー、シンプルな駅。
 改札から出口が見える。
 迷う可能性、ゼロじゃ」
出入り口は、風除室(ふうじょしつ)になってます
↑出入り口は、風除室(ふうじょしつ)になってますね。

 ↓反対側、ホーム方向を見た画像。
ホーム方向を見た画像

 一番左に、みどりの窓口が見えます。
 その向こうの開口部が、改札です。

み「ほんとに這って行けそうだな」
テレビから這い出る貞子
↑テレビから這い出る貞子。

律「やってみたら。
 写真撮ってあげるわよ」
み「3,000円くれたら、這う」
タモリさんのイグアナ
↑タモリさんのイグアナ。なかなか厳しい姿勢ですよね。歳を取ったら難しいでしょう。

律「ホントに、矜持ってものが無いのかしら」

 駅前に出ました。
駅前に出ました

 ↓2階部分のように見えるのは、吹き抜けの塔屋(とうや)です。
2階部分のように見えるのは、吹き抜けの塔屋(とうや)

 暖房効率、悪いんでないの?

み「おー、普通の町ではないか」
律「どんな町だと思ったのよ」
み「猿と人が半々に歩いてる」
タイです
↑タイです。猿の方が多いですね。

律「新潟も変わらないんじゃないの」
み「失敬な!
 80万都市ですぞ」
80万都市ですぞ
↑また来ないかな。

律「全国的に、それを知ってる人は、ごく少数だと思うわ」
み「印象の薄い都市であることは確かでしょうが」
印象の薄い都市

み「ま、新潟の話はいいです。
 しかし、地方の小さな市の駅前って、どこも同じ感じになっちゃったね」
律「そんなにあちこち行ってないでしょうが」
み「『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』で見てます」
背後の建物は、館山駅
↑『館山→会津若松』編。背後の建物は、館山駅。南国チックですね。

律「ほんとに小さくて可愛い駅舎ね」
み「ま、新しくなるのは良いことです。
 バスは、あれだな」
上屋がかかってるところがバス乗り場

律「ほんとに這って行けたわね」
ほんとに這って行けたわね

律「行き先、見てもいいわよね」
み「どうぞ、見てください」
律「へー」
恐れ入ったか

み「恐れ入ったか」
律「別に恐れ入りませんけどね。
 ここから、バスで行けるのね」
み「見よ、この行き先表示。
 おそらく、日本中のバスの中で……。
 もっともインパクトのある表示じゃろう」
もっともインパクトのある行き先表示

律「ま、確かに。
 でも、こんな綺麗なバスで行けるってのが意外だった」
み「バスで行かなきゃ、なんで行くんじゃ」
律「白い杖付いて、鈴を鳴らしながら、険しい山道を登っていくってイメージね」
白い杖付いて、鈴を鳴らしながら、険しい山道を登っていくってイメージ

み「それじゃ、イタコの婆さんが来れんじゃろ」
律「イタコさんは、恐山に住んでるんじゃないの?」
「潮来花嫁さん」。転覆したら、惨事でしょうね。
↑こちらは、“イタコ”違いの「潮来花嫁さん」。転覆したら、惨事でしょうね。

み「通いです。
 青森あたりから来るみたいよ。
 しかも、夏と秋の例祭のときだけ」
律「あらそうなの。
 秋の例祭っていつよ?」
み「確か、おとといの土曜日から、振替休日の今日までじゃないかな」
律「それで、こんなに盛況なのか」
み「でやんしょうね」

 ここまで書いて、『下北駅』発のバスの時刻表を改めて確認したところ……。
 わたしが調べた時と違ってました。
 調べたのは多分、2011年ころだと思います。
 この『東北に行こう!』の連載が始まったのは、2010年10月8日。
 この時点から、恐山へのコースを考えてたとは思えませんが……。
 それでも、翌年くらいには、おぼろな展望を持ったはず。
 てことは、6年も前になります。
 これだけ経ってしまえば、ダイヤも変わりますわな。
 6年前の『下北駅』発の発車時刻は、14:05分でした。
 それが今は、14:00分と、5分繰り上がってました。
『下北駅』発のバスの時刻表
↑“※臨”は、『リゾートあすなろ下北号』が運行される日のみの運転(月2回くらい)。

 でも、大湊線の『下北駅』到着時刻は変わっておらず、今も13:53分でした。
 つまり、6年前は12分あった乗り継ぎ時間が……。
 今は、7分になってるわけです。
 ま、駅の構造を考えれば……。
 ホームに下りてから階段もなく、真っ直ぐ駅舎を抜けて左を向けば、すぐにバス停です。
 列車が定刻に着いていれば、焦る必要もないでしょう。
 問題は、列車が遅れたとき。
 でも、雪は関係ありません。
 なぜなら、11月から4月いっぱい、恐山は閉山になるからです。
11月から4月いっぱい、恐山は閉山

 ま、それ以外の時期でも、列車が遅れることはあるでしょうが……。
 おそらく、そんなとき、バスは待ってくれてるはずです。
 客を乗せずに空荷で発車したんじゃ、運賃収入ゼロですから。

 さて、バスに乗りこみましょう。
バスに乗りこみましょう

律「座れて良かったわね」
2015年8月30日(日)11:10分(現在は11:15分)発の恐山行きバス車内
↑2015年8月30日(日)11:10分(現在は11:15分)発の恐山行きバス車内。

み「確かに。
 山道を、40分立ちっぱなしじゃ、厳しいわな。
 途中で降りる客は、ほとんどいないだろうし」
律「乗客に、イタコさんはいないみたいね」
み「当たり前です。
 イタコは、朝一番に向かってるはず。
 開山時間は、朝6時だからね」
律「でも、ほんと普通の町って感じよね。
 恐山っぽくないわ」

 ↓『下北駅』を出発する恐山行きバス。

↑ガラガラですね。

み「ここはまだ恐山ではないわ」
律「そりゃそうだけど、それなりの雰囲気があるのかと思った」
み「駅からそんな雰囲気だったら、うっとうしくてならんでしょ」

律「あっという間に家が見えなくなった。
 山に分け入ってく感じ」
山に分け入ってく感じ

み「当たり前でしょ。
 恐山は、山なんだから。
 逆に、下北駅の裏側は、もうすぐに港です。
 つまり、海抜ゼロメートル」
下北駅の裏側は、もうすぐに港です

律「これは、立ってたら辛かったわね」
み「酔いそうじゃ」
酔いそうじゃ

律「止めてよね」
み「天玉そばが出るかも」
青森駅『八甲田』の天玉そば
↑青森駅『八甲田』の天玉そば。かき揚げがデカい!

律「ぜったいに止めて。
 次で降りなさい」
み「冗談でゲスよ」

 下北駅を発車して、約30分、山の中でバスが停まります。
下北駅を発車して、約30分、山の中でバスが停まります

律「どうしたのかしら?
 ここが恐山?」
み「車内放送は、『冷水(ひやみず)』だった」
車内放送は、『冷水(ひやみず)』だった

み「年寄りだけ降りるのかな?
 “年寄りの冷や水”」
年寄りの冷や水

律「みんな降りてくわよ。
 若い人も。
 あの、すみません」
乗「はい」
律「みなさん、どうされたんですか?」
乗「湧き水を飲みに降りるんですよ。
 その間、バスは停まっててくれてます」
律「名水なんですね」
乗「“1杯飲めば10年若返り、2杯飲めば20年、3杯飲めば死ぬまで若返る”と云われてます」
冷水説明板

み「にゃにゃにゃんと!
 1杯、いくらです?」
乗「湧き水ですから、タダですよ」
み「どうせタダなら、飲んでみる価値はある」
律「“タダより高い物は無し”とも云うわよ」
み「確かに。
“死ぬまで若返る”って、どゆことだ?
 消えて無くなるんでないの?」
律「4杯飲んだら死ぬとか」
4杯飲んだら死ぬとか

み「ほんまきゃー!
 しかし、20年若返るのは魅力じゃ。
 2杯飲まねば」
2杯飲まねば

み「降りるぞ」
律「わたしも」
み「あんたはもう、若がえらんでよろしい」
律「なんでよ!」
み「厚かましいヤツ」
律「あれね」
地蔵があるのが、微妙な雰囲気ですな

み「地蔵があるのが、微妙な雰囲気ですな」
律「こんこんと湧いてるわね」
こんこんと湧いてる

み「水道引いてるんじゃあるまいな」
律「そういうことを言うと、バチが当たるわよ」
み「お、前が空いた。
 わたしが汲んでやる」
わたしが汲んでやる

み「ほれ、飲め」
律「自分で汲んだのは、自分で飲めばいいでしょ」
み「どうぞ、レディファーストです」
これが無意識に出来ないと、アメリカ人にはなれません
↑これが無意識に出来ないと、アメリカ人にはなれません。

律「あんたは、レディじゃないわけね」
み「とりあえず、今日のところは」
律「早い話、わたしに毒味させようということでしょ。
 みなさん、美味しそうに飲んでらっしゃるじゃない」
み「人とは限らん」
人とは限らん

律「ヘンなこと、言わないでちょうだい。
 飲むから、柄杓、離しなさいよ。
 お相撲じゃないんだから」
お相撲じゃないんだから

み「飲んだら、ごっつぁんですって言えよ」
ごっつぁんです
↑#12は、気にしないように。

律「うーん。
 ま、こんなものでしょう。
 普通の水だわ」
み「どうやら大丈夫そうだな。
 柄杓、柄杓」
アルマイトの柄杓
↑アルマイトの柄杓。口を付けると、金臭いんですよね。でも、木製よりは清潔でしょう。

律「もう1杯飲まなきゃ。
 20年、20年」
20年、20年

み「浅ましいヤツ」
律「でも、バスのない昔は、今来た山道を、みんな歩いて登ってきたのよね。
 ここまで登って、この湧き水を飲んだら、さぞかし生き返る思いがしたでしょうね」
冷水説明板
↑然り。

律「はい、柄杓」
み「3杯目は飲まないのか?」
律「何ごとも、ほどほどに」
何ごとも、ほどほどに
↑然り。

み「人生、ギャンブルでしょ」
人生、ギャンブルでしょ

律「じゃ、あなた飲みなさいよ」
み「ところで、1杯って、どのくらいな分量なわけ?」
律「柄杓、1杯でしょうが」
み「入れる分量がまちまちでしょ。
 “もっきり”で、1杯?」
“もっきり”で、1杯?

律「なによそれ?」
み「酒飲みのくせに、知らんのか。
 居酒屋なんかで、コップに日本酒が注がれるでしょ。
 そのとき、縁ぎりぎりっていうか……。
 表面張力で、縁から盛りあがってるくらいの注ぎ方を、“もっきり”って言うわけ」
もっきり

律「零れるじゃないの」
み「コップは、枡の袴を穿いてるの。
 零れたお酒は、枡が受けてくれる。
 で、一口目は、盛りあがってるグラスの縁に、口で迎えにいくわけ。
 そのときは必ず、ひょっとこの顔をしなければならぬ」
“ひょっとこ”の語源は、“火男”
↑“ひょっとこ”の語源は、“火男”。かまどに火を付けるときの顔です。

律「なんでよ!」
み「口をとんがらせなきゃ、飲めないでしょ。
 さらにその際、“おっとっとっと”と言わねばならぬ」
“おっとっとっと”と言ってはいけません
↑このときは、“おっとっとっと”と言ってはいけません。

律「馬鹿馬鹿しい。
 早く飲みなさいよ。
 バスが出ちゃうわよ」
み「じゃ、“もっきり”で3杯。
 よーし、入ったな」
律「零れてるじゃないの」
手で飲むんすか!
↑手で飲むんすか! 一度もしたことないぞ。

み「袴が無いんだから、仕方ないでしょ。
 いいかね、チミ。
 顔から迎えに行くのじゃ。
 おっとっとっと」
ひょっとこの顔をしてないので「NG」
↑ひょっとこの顔をしてないので「NG」。

律「どうしてこう、恥ずかしいことが出来るのかしら。
 早く飲みなさいって」
み「飲みでがある」
律「当たり前でしょ。
 柄杓の縁まで入れて飲んでる人なんかいないわよ」
み「うーい。
 飲んだぞ。
 これが酒だったら、泥酔間違いなし」
泥酔間違いなし

律「あと2杯、飲むんでしょ」
み「の、飲めましぇん」
の、飲めましぇん

み「腹が、がぶがぶじゃ」
律「じゃ、1杯で止めときなさい」
み「ならん!
 10年しか若返らないではないか」
律「ほら、バスがクラクション、鳴らしてる」
バスがクラクション、鳴らしてる

み「くそ!
 せめて、もう1杯。
 がぶ、がぶ」
ビールなら、いくらでも飲めるのが不思議です
↑ビールなら、いくらでも飲めるのが不思議です。

律「ほとんど、餓鬼道ね。
 地獄行き決定だわ」
地獄行き決定

み「の、飲み干したぞ」
律「ほら、早く」
み「ゆ、揺らすな。
 喉から出る」
スターリンのようです
↑スターリンのようです。

律「すみませーん。
 遅くなりました。
 ほら、早く乗りなさい」
み「ふー。
 間に合った」
間に合った

律「わたしたちを待ってくれてたのよ。
 ほんとに恥ずかしいんだから」
み「腹の中が、ちゃっぽんちゃっぽん言ってる。
 少し、出すかな」
律「止めなさい!
 出したら、窓から捨てるわよ」
ほんとうにそうでした
↑ほんとうにそうでした(今は違うと思いますが)。

み「あんたには、情けというものが無いのか」
来てみりゃ八丈は情け嶋
↑良いネーミングです。〽沖で見たときゃ鬼島とみたが来てみりゃ八丈は情け嶋。

律「あんたは、情けないの一言よ」
水牛の群れに囲まれ、木の上に逃げるライオン
↑水牛の群れに囲まれ、木の上に逃げるライオン。情けない。

律「とにかく、我慢しなさい。
 ほら、可愛い橋がある。
 綺麗ね。
 太鼓橋だわ」
太鼓橋

律「亀戸天神にあるのとそっくり。
 藤の花が見事なのよね」
藤の花が見事なのよね

律「この橋も有名なんでしょ?」
み「だしょうな。
 三途の川にかかる太鼓橋です」
三途の川にかかる太鼓橋

 ↓恐るべき立て看板を発見。
ここでまむしに噛まれたら、三途の川を渡ったっきり

 ここでまむしに噛まれたら、三途の川を渡ったっきりになるんでしょうね。

律「三途の川を、バスで過ぎたわけ?」
み「左様じゃ」
三途の川を、バスで過ぎたわけ?
↑金属製の手すりがバス道路だと思います。カラスは出来すぎですね。

み「すでにここは、あの世の領域なのじゃ」
すでにここは、あの世の領域なのじゃ

律「どうしてそういう口調になるのよ」
み「イタコが乗り移った」
このフィギュア、わたしの枕元におわします
↑このフィギュア、わたしの枕元におわします。

律「気持ちの悪い」
み「イタコのテーマソングを歌う」
律「そんなの、あるわけないでしょ」
み「〽イタコぉの伊太郎、ちょっと見な~れば~」


律「バシ!」
バシ!

み「叩くこと無いやろ」
律「不謹慎すぎ。
 天罰が下るわよ」
天罰が下る

み「降車ボタンを押さねば」
バスマニアに育つこと必定
↑バスマニアに育つこと必定。

律「終点なんだから、停まるに決まってるでしょ」
み「そんな、いい加減なことではいかん。
 こういうところでは、何ごとも手順が大事なのじゃ」

 ピンポ~ン。
ピンポーン

み「げ、押された」
律「前の方で、子供が押したのよ。
 ほら、お母さんに怒られてる。
 まったく同レベルなんだから」
まったく同レベルなんだから

み「くそ。
 よくもわたしのボタンを押したな」
よくもわたしのボタンを押したな

み「ああいうガキは、賽の河原で石積みをさせねばならん」
線路に積むな!
↑線路に積むな!

律「バカ言ってないで。
 ほら、降りるわよ」
み「ごめんなすって。
 ちょっくらごめんなすって」
ちょっくらごめんなすって

律「人を追い抜かなくたっていいでしょ」
み「気が急く」
律「ほんとに恥ずかしいんだから。
 運転手さん、いかほど?」
いかほど?

み「タコほど」
タコほど

律「バシ」
み「叩くな!」
運「お客さん、『下北駅』からですね?」
み「うんにゃ。
 『冷水』からです」
運「『冷水』で降りたじゃないですか」
律「バカ言わないの。
 『下北駅』からです」
『下北駅』からです

運「800円になります」
800円になります

み「2人で?」
運「ひとりです」
み「先生、2人分出しといて。
 細かいの、無いから」
律「無いわけないでしょ。
 天玉そば食べたとき、ジャラジャラ言わせてたじゃないの」
人の財布を覗きおって

み「人の財布を覗きおって」
律「早く払いなさい。
 後ろが詰まってるんだから」
み「負かりませんよね?」
律「負かりません」
み「びた一文?」
律「早くしなさい!」
早くしなさい!

み「痛て!
 だから、叩くなって言ってるでしょ」
律「蹴ってるのよ」
み「よけい悪いわ。
 脳障害が出たらどうするんじゃ!」
律「すでに出てるでしょ」
み「にゃに!」
律「ほら、脚元に気をつけなさいよ。
 あんたみたいな罰当たりは、ステップから転げ落ちかねないんだから」
ステップから転げ落ちかねない

み「いちいち、やかましい女じゃ。
 よっこらしょっと」
律「そういう掛け声はやめなさい」
み「よし、無事降り立ったぞ。
 この一歩は小さいが、人類にとっては大きな一歩である」
律「何それ?」
み「人類で初めて月面に降り立った、アームストロング船長の言葉じゃ」
人類で初めて月面に降り立った、アームストロング船長

律「関係ないじゃない。
 でも、お天気で良かったわね」
み「確かに。
 これで雨降りだったら、やってられんわな。
 あの門が入口だな」
あの門が入口だな

み「さ、行くぞ」
婆「これ、そこのお二人。
 お待ちなさい」
み「待てとお止めなされしは、拙者がことでござるかな……」
待てとお止めなされしは、拙者がことでござるかな
↑幡随院長兵衛に「お若えの、お待ちなせえやし」と呼び止められた白井権八のセリフ。

み「で、出た。
 だ、奪衣婆(だつえば)!」
奪衣婆(だつえば)
↑三途の川の渡し賃(六文)を持たずに来た亡者の衣服を剥ぎ取る鬼婆。

婆「誰が奪衣婆じゃ!
 そこの受付で、入山料を払いなされ」
そこの受付で、入山料を払いなされ

婆「ほれ、みなさん、並んでおろうが」
み「あなた、人ですか?」
婆「見ればわかるじゃろ」
み「わからんから聞いておる」
婆「失敬なオナゴじゃ」
律「入場料ということですね」
婆「恐山は、テーマパークではないわ。
 入山料じゃ」
律「おいくらかしら?」
婆「一人、500円じゃ」
一人、500円じゃ

み「負かりまへんか?」
婆「負からん!
 恐山を値切るとは、この罰あたりめ」
罰あたりめ

婆「500円くらい払いなされ。
 バス代より安いではないか」
み「確かに。
 小一時間で、800円は高いよな。
 東京だったら、そのくらいの時間、乗る路線もあるけど……。
 みんな、210円均一だもんね」
まだ回数券が売られてるようです
↑まだ回数券が売られてるようです。新潟では、2013年9月で終了しました。
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