2017.2.8(水)
「こんなのしかなかった。
これでいい?」
橋本先生は、小さなお茶のペットボトルを2つ持ち、ソファーを回りこんだ。
ペットボトルをテーブルに置くと、わたしの向かい側に腰を下ろした。
腰掛けた身体が、ぐっと沈みこむ感じがした。
先生の体重は、40キロそこそこしかないはずだ。
ソファーの座面が、よほどヘタっているのだろう。
わたしの座ったソファーは2人掛けで、向かい合わせに、1人掛けのソファーが2つ並んでいる。
橋本先生が座ったのは、そのひとつだ。
わたしに、一番座り心地のいい場所を勧め、自分は一番悪い椅子に座った。
好意的に考えれば、そうなるだろう。
しかし、どうしてもそうは思えなかった。
不自然に沈みこんだ座面にミニスカートで座る先生は、ストッキングの内腿まで見通せてしまっていた。
橋本先生は、口角を上げた表情で、わたしの瞳を覗きこんだ。
わたしは思わず視線を伏せた。
しかし、伏せた視線は、どうしてもスカートの奥に潜りこもうとする。
どうしたのだろう。
嫌いだった教師なのに。
やはり、男の身体になって、生じる感情も変わってしまったのだろうか。
先生は、わたしの困惑ぶりを楽しむように、いっそう口角を引きあげた。
「緊張してる?
お茶、飲んでちょうだい」
先生は、わたしの前に置かれたペットボトルを取りあげると、キャップを回した。
手を伸ばしたとき、上体を折ったままの姿勢だった。
ブラウスの襟元から、そばかすの散った肌が覗いた。
さすがにブラまでは見えないが……。
豊かではない胸元に、微かに谷間が生じるところまで顕わとなった。
これでいい?」
橋本先生は、小さなお茶のペットボトルを2つ持ち、ソファーを回りこんだ。
ペットボトルをテーブルに置くと、わたしの向かい側に腰を下ろした。
腰掛けた身体が、ぐっと沈みこむ感じがした。
先生の体重は、40キロそこそこしかないはずだ。
ソファーの座面が、よほどヘタっているのだろう。
わたしの座ったソファーは2人掛けで、向かい合わせに、1人掛けのソファーが2つ並んでいる。
橋本先生が座ったのは、そのひとつだ。
わたしに、一番座り心地のいい場所を勧め、自分は一番悪い椅子に座った。
好意的に考えれば、そうなるだろう。
しかし、どうしてもそうは思えなかった。
不自然に沈みこんだ座面にミニスカートで座る先生は、ストッキングの内腿まで見通せてしまっていた。
橋本先生は、口角を上げた表情で、わたしの瞳を覗きこんだ。
わたしは思わず視線を伏せた。
しかし、伏せた視線は、どうしてもスカートの奥に潜りこもうとする。
どうしたのだろう。
嫌いだった教師なのに。
やはり、男の身体になって、生じる感情も変わってしまったのだろうか。
先生は、わたしの困惑ぶりを楽しむように、いっそう口角を引きあげた。
「緊張してる?
お茶、飲んでちょうだい」
先生は、わたしの前に置かれたペットボトルを取りあげると、キャップを回した。
手を伸ばしたとき、上体を折ったままの姿勢だった。
ブラウスの襟元から、そばかすの散った肌が覗いた。
さすがにブラまでは見えないが……。
豊かではない胸元に、微かに谷間が生じるところまで顕わとなった。
コメント一覧
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1. Mikiko- 2017/02/08 07:58
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ネタがございません
てなわけで、今日は何の日。
本日、2月8日は、『〒マークの日』だそうです。
1887(明治20)年の今日……。
逓信省のマークが、逓信の「テイ」に合わせて、甲乙丙丁(てい)の“丁”に決定したのです。
ところがこのマーク、万国共通の郵便料金不足の記号“T”と紛らわしいことがわかりました。
で、急遽、6日後の14日に、「テイシンショウ」の「テ」を図案化した“〒”に変更されたのです。
てことは……。
『〒マークの日』は、2月14日でないの?
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2. 『百日紅』HQ- 2017/02/08 13:00
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↑北斎とお栄などを描いた、杉浦の日向子姐さんの作品
渓斎英泉も登場します
面白いよ
>伏せた視線は、どうしてもスカートの奥に潜りこもうとする
わかる、わかるぞ薫くん。いや、かをるちゃん。
いやいや、やはり薫くん。
男ってのはそういうもんだよなあ。
へええ
はじめからすんなり『テ』じゃなかったのか。
まずは『丁』。
これが“料金不足です”で差し戻しねえ。
しかもその理由が「Tは万国共通」。
知りませんでした。
実に興味深い話です(それほどでも)
しかし、手紙・はがきの類に縁が無くなりました。
年賀はがきすら出さなくなったもんなあ。
早い話が、現在の郵便料金、全く知りません。半ば世捨て人です。
酒もたばこもやらなくなったし……そのうち仙人になったりして。
そういえば、北斎の娘お栄。
おやじに似て筆が立ち、北斎の代筆までこなしたそうです。号は『葛飾応為』。おやじ殿からしょっちゅう「おうい、おうい」と呼びかけられていたことが由来だとか。
栄女、葛飾応為。
一時、仙人に凝っていたそうです。昇仙でもするつもりだったんでしょうか。
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3. Mikiko- 2017/02/08 19:53
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お栄
絵師の南沢等明に嫁いだものの……。
等明の絵の拙いところを指摘して笑ったため、離縁されたとか。
以後は実家に出戻り、北斎と起居をともにしたそうです。
性格に問題があるうえ、不美人だったそうですから……。
再婚話などは出なかったのかも知れませんね。
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4. おーいお茶HQ- 2017/02/08 21:46
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お栄
なんとなく、Mikiko姐さんのイメージがあるんだよね。もちろんわたしは、直にはどちらも知らないんだけど、まあ作品とエピソードを通して、ね。
『由美美弥』愛読者におっさんが多いのは(だよね)このイメージにひかれて、じゃないかなあ。あと、文体と。
あ、Miki姐さんの性格に問題があるとか、まして不美人だとかは言ってませんぜ。
応為、栄女。
仙人云々は別にして、唯一の趣味が火事場見物だったとか。
で、離縁一件。
「その程度で離縁だなんちゅうケツの穴の狭い野郎は、こっちから願い下げじゃい」で等明のとこをおん出てきたんじゃないでしょうか。
また、「筆一本ありゃあ親父と二人、食ってけるわな」と嘯いたとか。あっぱれ、お栄姐さん。
晩年は不詳だそうですが、作品は永遠に残ります。
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5. きりしま- 2017/02/09 00:18
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貧乳の人間って胸元の奥の方まで見えちゃいますよね。
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6. Mikiko- 2017/02/09 07:40
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ハーレクインさん&きりしまさん
> ハーレクインさん
お栄が、おっさんに人気があるんですかね?
火事好きで思い出すのは……。
半鐘が鳴ったら、いつでも飛び出せるように、下駄を履いたまま寝たという話。
誰のエピソードだったですかね。
> きりしまさん
人間ですか。
地図帳に載ってた、スケベニンゲンという都市を思い出しました。
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7. あらよハーレクイン- 2017/02/09 08:32
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↑出前一丁~
「あらよ」を書きたかっただけで、何の関係もねえわな
へい、ごめんなすって
下駄ばき就寝
まさにそのお栄さんです。
草鞋の方が寝やすいしもっとよかろう、と思いますがねえ。
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8. Mikiko- 2017/02/09 19:46
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草履で火事場に行ったら……
釘などを踏み抜く恐れがあります。
燃えさしを踏んだりしたら、下手すりゃ火が付きますよ。
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9. 火事場泥棒HQ- 2017/02/09 22:05
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草履で火事場
ははあ、なるほろー。
このあたりなんだよなあ。「実戦?経験不足」がもろバレです。
君子危うきに近寄らず。
今度は『おこぼ』で行ってもらいますかね。
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10. Mikiko- 2017/02/10 07:32
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ゾーリ大臣
わたしだって、草履で火事場に行ったことはおろか……。
草履を履いたことすらありません。
網走刑務所の雪駄なら履きましたが。
経験ではなく、想像力の問題では?
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11. 素直すぎるHQ- 2017/02/10 10:15
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想像力欠如
というより、注意力散漫、でしょうか。