Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
由美と美弥子 2120
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 でも……。
 どうして?
 わたしは、上半身を起した。
 身体のどこにも痛みは感じない。
 脚を動かしてみたが、麻痺などもまったく無い。
 しかし……。
 やっぱり、距離感がおかしい。
 爪先までの距離が遠いのだ。
 わたしは、脚元から布団を剥いだ。
 青い縦縞のパジャマの脚。
 わたしの脚は、こんなに長くはなかった。
 脚を回し、床に下ろす。
 スリッパを履く余裕も無かった。
 テレビ台の手鏡に駆け寄る。
 両手で持ちあげ、覗きこむ。

「うわっ」

 鏡を取り落としそうになった。
 わたしじゃない。
 鏡に映ってるのは、わたしじゃなかった。
 鏡を掴み直し、もう一度覗きこむ。
 知ってる顔だ。
 鏡の中には……。
 もう一人の薫がいた。
 わたしと同姓同名のクラスメイト、山中薫だった。
 わたしがいじめられる原因となった男だ。
 そう。
 男なのだ。
 女より綺麗だけど。
 でも、どういうこと?

 混乱した頭で、室内を見回す。
 ベッドは、ひとつ。
 どうやらここは、個室のようだ。
 むろん、あの継母が、わたしを個室などに入れるわけがない。
 とすればここは、山中薫の親が契約した部屋だろう。
 どうなったんだろう?
 もちろん、本物のわたし、“山中かをる”の身体は?
 そのときだった。
 扉がノックされたのだ。
 わたしは慌てて布団に滑りこんだ。
 逃げも隠れもする必要がないことは、布団に潜ってから気づいた。
 看護師さんだろうか。
 落ち着いて、事情を聞かなければ。
 心を落ち着けようと、天井を見つめる。
 なんだか怖くて、足音の方を向けなかった。

「あれ?
 薫。
 あなた、気がついたの?」
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コメント一覧
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    • ––––––
      1. Mikiko
    • 2016/10/31 07:39
    • ここまで書けば……
       みなさんにもおわかりでしょう。
       章題の『あいつがわたし?』は、もちろん……。
       山中亘(ひさし)の名作『おれがあいつであいつがおれで』のパクリです。
       この作品は、大林宣彦で映画化もされてます(『転校生』)。
       こちらの語り主の名前、「山中薫・かをる」は、パクリであることの宣言ですね。
       でも、性転換フィクションは、これが嚆矢では無いようです。
       サトウハチローの『あべこべ物語』(原題は『あべこべ玉』、TBSドラマ『へんしん!ポンポコ玉』原作)が元祖だとか。
       最近では、『君の名は』も同様のシチュエーションのようです(見てませんが)。
       これら、男女の身体が入れ替わるというのは、大変魅力的な設定です。
       しかしわたしには、先人たちの作品に、大いなる不満がありました。
       思春期の男女にとって、相対する性の体というのは……。
       ひっじょーーーーーーに、興味がある事柄だと思います。
       もし、性が入れ替わったら……。
       まず我が身となった逆の性の体のことで、頭がいっぱいになるのではないでしょうか。
       先人の作品には、これが書かれてない。
       ま、児童文学やジュブナイルでは、仕方ありませんけどね。
       ということで、わたしの『あいつがわたし?』からの章では……。
       はからずも男性の体を手に入れてしまった女子高生の、『ヰタ・セクスアリス』を描きたいと思ってます。

    • ––––––
      2. 変身願望ハーレクイン
    • 2016/10/31 10:23
    • ?入れ替わり
      おっさんと若い女性が入れ替わる話を読んだことがあります。
      浅田次郎『椿山課長の7日間』(ちょっとうろ覚え)
      このおっさん。入れ替わった直後にやったことは、自らの(女性の)体を、心ゆくまでいじくりまわすことでした。
      男というものはしょうのないものですが、気持ちはよくわかります。

    • ––––––
      3. Mikiko
    • 2016/10/31 19:44
    • そういう小説があったんですか
       しかし、おっさんはいただけませんな。
       読む気がしません。
       男女入れ替わり。
       平井和正に『ダブル・セックス(1969年)』、筒井広志(康隆に非ず・故人)に『オレの愛するアタシ(1982年)』という作品があるようです。
       共に未読と思われます。
       筒井広志の表題は、『おれがあいつであいつがおれで(1979年)』を意識したものでしょう。
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