「いきなり、これ見せちゃ、刺激が強すぎるね。
逃げ出されたら面倒だ。
おい、制服掛けてやんな。
裸が見えないように」
リーダーが、チビ女に指図した。
チビ女が、投げ捨てられてたわたしの制服を拾って戻った。
わたしの身体の上に広げられる。
裸体が隠されるだけで、安心感が違った。
わたしは一瞬、リーダーに感謝の気持ちさえ抱いた。
しかしもちろん……。
わたしを気遣っての配慮などでは無かった。
「おい。
入れな」
用具室の扉が、再び開く音がした。
「なんだ、ジャージ着てんの。
部活は?」
柔道女に連れられて入ってきた人物を見て、わたしは身体を固くした。
男だった。
確か、情報科の1年生だ。
一瞬にして腑に落ちた。
この男が、柔道部唯一の男子部員だ。
「今日、部活休みなんすよ」
おどおどする男子部員に代わり、柔道女が応えた。
「そうか。
おまえが今、ここにいるんだもんな」
「休みの日は、道着の洗濯をするんです。
こいつひとりで」
「女子のも?」
「ていうか、自分ののほかは、女子のばっかりですけど」
「人使いが荒いね。
ひとりにそんなことさせて」
「喜んでやってるんすよ。
役得ですから」
「何それ?」
「殆どの子は、道着だけ置いて、下着類は持ち帰ってるんですけど……。
中には、下着まで置いてくヤツがいて」
「男子は、道着の下、何も付けないんだったね。
女子はどうなの?」
「いろいろです。
上は、スポブラにTシャツなんてのが多いです。
下は、普通のパンツの上にスパッツ穿きますね。
道着のズボンって、透けるんすよ。
でも、うちみたいに女子ばっかりのところだと……。
練習では、スパッツ穿かないことも多いです。
試合のときは穿きますけど」
逃げ出されたら面倒だ。
おい、制服掛けてやんな。
裸が見えないように」
リーダーが、チビ女に指図した。
チビ女が、投げ捨てられてたわたしの制服を拾って戻った。
わたしの身体の上に広げられる。
裸体が隠されるだけで、安心感が違った。
わたしは一瞬、リーダーに感謝の気持ちさえ抱いた。
しかしもちろん……。
わたしを気遣っての配慮などでは無かった。
「おい。
入れな」
用具室の扉が、再び開く音がした。
「なんだ、ジャージ着てんの。
部活は?」
柔道女に連れられて入ってきた人物を見て、わたしは身体を固くした。
男だった。
確か、情報科の1年生だ。
一瞬にして腑に落ちた。
この男が、柔道部唯一の男子部員だ。
「今日、部活休みなんすよ」
おどおどする男子部員に代わり、柔道女が応えた。
「そうか。
おまえが今、ここにいるんだもんな」
「休みの日は、道着の洗濯をするんです。
こいつひとりで」
「女子のも?」
「ていうか、自分ののほかは、女子のばっかりですけど」
「人使いが荒いね。
ひとりにそんなことさせて」
「喜んでやってるんすよ。
役得ですから」
「何それ?」
「殆どの子は、道着だけ置いて、下着類は持ち帰ってるんですけど……。
中には、下着まで置いてくヤツがいて」
「男子は、道着の下、何も付けないんだったね。
女子はどうなの?」
「いろいろです。
上は、スポブラにTシャツなんてのが多いです。
下は、普通のパンツの上にスパッツ穿きますね。
道着のズボンって、透けるんすよ。
でも、うちみたいに女子ばっかりのところだと……。
練習では、スパッツ穿かないことも多いです。
試合のときは穿きますけど」
■
笑い声で、目が覚めた。
天井が見える。
コンクリートだ。
家じゃない。
わたしは、身を起こそうとした。
でも……。
叶わなかった。
身動きが出来ないのだ。
四肢に力を入れる。
ガタガタと音がした。
「あ、目を覚ましましたよ」
「そんなに暴れると、跳び箱ごとひっくり返るよ」
ようやく、自分の身体がどうなっているか、理解できた。
跳び箱に仰向けにされ、縛り付けられているのだ。
両手と両脚は、跳び箱の縁から側面に沿って下ろされ、拘束されているようだ。
手脚を引っ張っても、ヒモのような感覚は無かった。
おそらく、ジャージみたいな、伸縮性のある柔らかい布地で縛られているのだろう。
わたしの身体に傷をつけないために。
もちろん、いじめがバレないようにするズル賢さだった。
動くのは首だけだ。
わたしは、首をもたげた。
仰向けの自分の身体が見える。
相変わらず、全裸だった。
仰向けにされることによって、貧弱さがいっそう際立って見えた。
乳房は完全に起伏を失っている。
体側にはアバラが浮いていた。
乳首さえ無ければ、男子児童と区別がつかないだろう。
凹んだ腹の彼方に、わずかに陰毛が戦いでいた。
性器は見えない。
用具室の扉が、乱暴に開かれる音がした。
「連れて来ました」
柔道女の声だった。
「まだ入れるんじゃないよ」
外に向かって言い捨てたリーダーが、わたしの傍らに回りこむ。
ほかの連中も、わたしを取り囲んだ。
「いい格好だね。
まな板の鯉ってのは、きっとこういうことを言うんだ」
リーダーは、ニヤリと笑った。
綺麗な顔だけに、いっそう品性の無さが覗けたようだった。
笑い声で、目が覚めた。
天井が見える。
コンクリートだ。
家じゃない。
わたしは、身を起こそうとした。
でも……。
叶わなかった。
身動きが出来ないのだ。
四肢に力を入れる。
ガタガタと音がした。
「あ、目を覚ましましたよ」
「そんなに暴れると、跳び箱ごとひっくり返るよ」
ようやく、自分の身体がどうなっているか、理解できた。
跳び箱に仰向けにされ、縛り付けられているのだ。
両手と両脚は、跳び箱の縁から側面に沿って下ろされ、拘束されているようだ。
手脚を引っ張っても、ヒモのような感覚は無かった。
おそらく、ジャージみたいな、伸縮性のある柔らかい布地で縛られているのだろう。
わたしの身体に傷をつけないために。
もちろん、いじめがバレないようにするズル賢さだった。
動くのは首だけだ。
わたしは、首をもたげた。
仰向けの自分の身体が見える。
相変わらず、全裸だった。
仰向けにされることによって、貧弱さがいっそう際立って見えた。
乳房は完全に起伏を失っている。
体側にはアバラが浮いていた。
乳首さえ無ければ、男子児童と区別がつかないだろう。
凹んだ腹の彼方に、わずかに陰毛が戦いでいた。
性器は見えない。
用具室の扉が、乱暴に開かれる音がした。
「連れて来ました」
柔道女の声だった。
「まだ入れるんじゃないよ」
外に向かって言い捨てたリーダーが、わたしの傍らに回りこむ。
ほかの連中も、わたしを取り囲んだ。
「いい格好だね。
まな板の鯉ってのは、きっとこういうことを言うんだ」
リーダーは、ニヤリと笑った。
綺麗な顔だけに、いっそう品性の無さが覗けたようだった。