Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
カテゴリ:紙上旅行倶楽部/総集編 > 大分に行こう!
「え?
 ビュッフェって、こんな感じなんですか?」
「ゆふいんの森」ビュッフェ

「ま、寝台特急の食堂車をイメージしてると、肩すかしを食うだろうね」

 「ゆふいんの森」のビュッフェは、基本的に売店です。
 座席はありません。
 でも、売店で買ったものを、ビュッフェで食べようと思えば、食べれます。
 ただし、立ち食い。
 これです。
「ゆふいんの森」ビュッフェで立ち食い

 「ゆふいんの森」は、全席指定だから、席がない人はいません。
 わざわざ、ここで立って食べる人なんて、いるんでしょうかね?

 ビュッフェでは、駅弁のほか、軽食類も売ってます。
 でも、温かい料理は、“あんかけ焼きそば”くらいみたいですね。

「よかった。
 まだ売り切れてなかった」

 わたしのお目当ては、これでした。
「ゆふいんの森弁当」

 その名も、「ゆふいんの森弁当」。
 そのまんまの名前ですが……。
 評判が高いです。
 ま、値段も高いけどね。
 1,200円。
 これを2つ買うことも出来たけど……。
 後から来る人に残してあげましょう。
 楽しみは、みんなで分かちあわなきゃね。
 もうひとつは、「香草物語」というお弁当を買いました。
「香草物語」

 パッケージが綺麗だったので、即決。
 たぶん、女性をターゲットにした商品でしょうね。
 値段は少し安くて、850円。
 例によって、誰がどっちを食べるってわけじゃなく……。
 2人で、半分ずつ分けあうつもり。

「おぉ。
 もう走り出したね」
「とうとう、由布院とお別れなんですね」
車窓から見る由布院

「寂しいこと言わないの。
 博多までは、『ゆふいんの森』に乗ってるんだからさ。
 まだお別れじゃ無いよ」
「そうですね」
「それじゃ、座席に戻ってお弁当食べよう」
「はい」

 ビュッフェの扉を抜けます。
 連休後の、週の真ん中の平日とあって……。
 座席には、少し空席もあるようです。

「げ。
 セミコンパートメントが、ひとつ空いてるじゃん」
「?」
「ここのことだよ。
 ほら、テーブルを挟んで、座席が向かい合わせになってるでしょ」
「ゆふいんの森」セミコンパートメント

「コンパートメント(個室)まではいかないけど……。
 区画が、ガラスで仕切られてて……。
 これを、セミコンパートメントっていうわけ。
 3号車のビュッフェ寄りに、4区画しか無いんだよ」
「テーブルがあるってのは、お弁当食べるのにいいですね」
「だろ。
 ただし、この席、3名以上じゃないと予約できないんだ」
「なんだー。
 2人じゃ、座れないんですか」
「空いてれば別だよ。
 席を変えてくれるはず。
 さっき見た、スッチーみたいな車掌さん捜して来よう。
 あ、美弥は、ここ座って席取っといて」
「なんでです?」
「わたしと同じこと考えるヤツが、きっといるからだよ。
 スッチー捜してる間に居座られたら、面倒だろ」
「切符も持ってないのに……。
 なんか、心細いです」
「でっかい図体して、情けないこと言うなよ。
 美弥が堂々と座ってたら、誰も切符持ってないなんて思わないって」
「そうでしょうか……」
「でも、ずうずうしいヤツもいるからな。
 もし、そんなヤローが座り込もうとしたら……。
 必殺の呪文がある」
「どんな呪文ですか?」
「トットットー」
「何です、それ?
 ニワトリの真似?」
「ちがーう。
 いきなりニワトリの真似してどうする。
 これはだな……。
 “この座席は、わたくしが確保しております”という意味の、九州弁だ。
 昔、テレビで武田鉄矢が言ってた。
 九州で、座席の確保宣言をするときは、必ず使わなきゃならんらしい。
 たぶん、九州の法律で決まってると思う」
「そんな、バカな……」
「練習してみるか?
 言ってごらん。
 テーブルを抱え込んで、上目遣いで……。
 トットットー」
「わたし……、言えません」
「簡単じゃないの。
 トットットー」
「わたしが、車掌さん捜してきますから。
 Mikikoさんが残ってください」

 美弥ちゃんは、風のように去っていきました。
 くっそー。
 逃げられたぜ……。
 押し出しに迫力ある方が、ずっと座席確保の役目に向いてるんだけどな。
 早く帰ってきてよね。
 たぶんわたしも……。
 いざとなったら、“トットットー”は、言えないと思うから。

 ほどなく、スッチーを伴った美弥ちゃんが戻ってきました。
 両肩に、わたしたちの荷物をかけてます。
 てことは……。
 美弥ちゃんは、にっこり笑ってオッケーマークを出しました。
 やた!

 大ラッキーですね。
 2人で、セミコンパートメント独占だよ。
 もちろん、割増料金もありません。

 さっそく、畳まれていたテーブルを開きましょう。
「ゆふいんの森」セミコンパートメントのテーブルを開く

「さっそく、食べよう。
 朝遅かったけど、お腹空いたよね」
「馬車に揺られたせいでしょうね」
「それじゃまず、“ゆふいんの森弁当”から……」
「ゆふいんの森弁当」

「おぉ~」
「豪華~」

 お品書きまで付いてました。
「ゆふいんの森弁当」お品書き

 書き出してみます。

『ゆふいん産農家米白ご飯
 鶏味噌添え

 ほうれん草胡麻おひたし
 梅干土佐煮・大根カボス漬
 大根もち照り焼き
 しいたけカレーフライ
 ししとう塩煮
 竹の子土佐煮
 鰻巻き
 こんにゃくステーキ
 胡麻豆腐
 人参うま煮
 ぜんまいうま煮
 金時豆
 茄子の南蛮漬け
 葱焼き ナンプラー風味
 鮭の西京焼き
 きんぴら牛蒡
 南瓜うま煮
 大学いも

 おはぎ
 牛乳豆腐(ブルーベリーソース)』

「スゴ……。
 これで1,200円なら、ぜったい安いって。
 料理屋でこんなメニュー食ったら、いったい幾ら取られるんだ?」
「買えて良かったですね」
「だろ~。
 のんびり車内販売なんか待ってたら、ぜったい売り切れだよ」
「もうひとつのも開けてみましょう」
「“香草物語”か。
 可愛らしいパッケージだね」
「箱に、千代紙が貼られてるんですね」
「香草物語」パッケージ

「箱だけでも売れるぜ。
 さっそく開けてみよう」
「うわ~。
 可愛いぃ」
「香草物語」中身

 美弥ちゃん、すっかり瞳がハートになってます。

「パッケージも綺麗だけど……。
 中身もまた、色合いが鮮やかだね」
「食材だけで、こんなに彩りが表せるなんて……」

 ご飯は、おかずと同じ大きさの区画に、3箇所入ってますが……。
 男性なら、一口で食べられちゃうほど。
 これは、完全に女性向きですね。
 目で味わうお弁当。
 このパッケージに、この中身で……。
 850円。
 安い!

 “ゆふいんの森弁当”は、ひとつずつ、お品書きと確かめながら口に運びます。
 ひとつのおかずを、2つに分けて。
 “香草物語”も、一区画を分け合って食べましょう。
 由布院、最後の思い出を噛み締めます。

 そうこうするうち、「ゆふいんの森」は、最初の停車駅に着きました。
 豊後森(ぶんごもり)、12時33分。
 玖珠郡玖珠町(くすぐんくすまち)にある駅です。

 この駅には、鉄ちゃんが喜びそうな施設があります。
 「豊後森機関庫」と云います。
「豊後森機関庫」

 扇形機関庫と転車台を備えてます。
 完成は、1934年(昭和9年)。
 最盛時には、蒸気機関車21台が所属する、大規模な機関庫でした。
 “でした”と言うとおり、今は使われてません。

 ところで、こんな大がかりな施設が、なぜ必要だったんでしょう?
 蒸気機関車から、ディーゼル機関車に移行したとき、一番大きな違いは、何だったと思います?
 それは、車両に前後の区別が無くなったことです。
 ディーゼル機関車は、頭と尻尾に運転台があります。
 方向を変えるときは、運転士が乗り換えればいいだけです。
 その点、蒸気機関車の頭はひとつです。
 方向転換する場合は、転車台を使って、車両の方向を変える必要があったんですね。

 蒸気機関車が無くなると、こういう施設は不要になり……。
 豊後森機関庫も、1970年(昭和45年)に廃止されました。
 その後は、ほぼ廃墟状態のまま放置されてたようですが……。
廃墟状態の「豊後森機関庫」

 2001年(平成13年)、地元有志による保存委員会が結成され、保存活動が始まりました。
 2006年(平成18年)には、玖珠町が、機関庫と敷地10,200㎡をJR九州から購入。
 3,466万円だったそうです。
 機関庫や転車台はタダとして、土地は、1㎡あたり3,400円の計算。
 JR九州も、サービスしたんでしょうね。
 将来は、鉄道記念公園として整備される予定だそうです。
 それに先立って、2009年2月……。
 扇形機関庫と転車台が、経済産業省により“近代化産業遺産”に認定されました。
神殿のような「豊後森機関庫」

 なんか……。
 神殿みたいですよね。

 今思いついたけど、「“近代化産業遺産”を巡る旅」ってのも面白そうだね。
 富岡製糸場とか、琵琶湖疏水とかさ。

 なお、この豊後森機関庫の壁面には、弾痕が残ってます。
 太平洋戦争中の、米軍機の機銃掃射による傷跡。
 この銃撃により、3名の職員が命を落としたそうです。

 鉄道に興味がある人なら、きっと降りて見てみたいでしょうね。
 でも、「ゆふいんの森」を途中下車するわけにはいきません。
 鉄道記念公園が出来た暁には……。
 鈍行列車に乗って見に来たいです。

 さて、再び「ゆふいんの森」は走り出しました。
 書き忘れてましたけど、今走ってる路線は、久大(きゅうだい)本線と云います。
 福岡県の久留米と大分県の大分を結ぶ路線なので、“久大”本線。
 あんまりおしゃれな名称じゃありませんね。
 でも、この路線には、愛称があるんです。
 「ゆふ高原線」。
 これなら、十分おしゃれです。
 愛称どおり、高原を走る気持ちのいい路線です。

「あ~、美味しかった」
「Mikikoさん、お願いがあります」
「なに?」
「“香草物語”の箱、わたしがもらっていいですか?」
「綺麗だもんね。
 いいよ。
 何に使うの?
 あ、そうか。
 あのディルドゥ入れるのか?」
「入れません!」
「厚みがちょっとな~」
「ですよね~。
 ぜったいフタが閉まりませんよ。
 って、入れませんって!」
「おぉ。
 ノリツッコミ、覚えたじゃない」

 さて、アホな話をしてるうちに……。
 電車は、次の駅、天ヶ瀬に着きました。
 12時46分。

 ここには、天ヶ瀬温泉があります。
「天ヶ瀬温泉」

 別府や由布院のように、名前は知られてませんが……。
 別府、由布院、天ヶ瀬が、豊後三大温泉なんですよ。

 ところで、天ヶ瀬というのは、どこかで聞いたことがあるぞ、と思ったオトーサン。
 たぶん、勘違いです。
 オトーサンの脳裏に浮かんだのは……。
 美川憲一の演歌じゃないですか?
 でもあれは、「柳ヶ瀬ブルース」です。
「柳ヶ瀬ブルース」

 天ヶ瀬とは、ぜんぜん関係ありませんね。
 柳ヶ瀬は、岐阜市にある歓楽街です。

 さて、冗談はさておき……。
 ここ天ヶ瀬は、古い温泉地なんです。
 奈良時代初期に編纂された「豊後国風土記」に、その名が出てきます。
 別府の“血の池地獄”と一緒ですね。

 「豊後国風土記」では……。
 天武天皇時代の大地震で、熱湯が湧いたと記載されてるそうです。
 天武天皇は、天智天皇の弟。
 天智天皇は、知ってますよね。
 “大化の改新”を起こした人です。
 日本史の授業では、1学期早々に出て来ます。
 ちょっとおさらいしておきましょう。
 ときは、645年。
 中大兄皇子(なかのおおえのおうじ・後の天智天皇)は、中臣鎌足(なかとみのかまたり・後の藤原鎌足)と謀り……。
 クーデターを決行。
 政権を掌握していた蘇我入鹿(そがのいるか)・蝦夷(えみし)親子を暗殺し、政権を奪取したんです。

 で、天武天皇は、その天智天皇の弟。
 天武天皇の在位は、673年~686年です。
 7世紀、飛鳥時代のころですね。
 今から、1,300年以上も前のこと。
 こんな昔に湧いた温泉が、今でも豊富な湯量を誇っているんですから……。
 火山の力って、ほんとにスゴいですよね。

 天ヶ瀬温泉、古さでは、別府や由布院に負けませんが……。
 温泉街の規模としては、やはり少し劣ります。
 玖珠川沿いに、20件ほどの旅館やホテルがひしめくように建ってますが……。
明かりの灯る「天ヶ瀬温泉」

 豊後三大温泉のひとつとしては、ちょっと寂しい感じ。
 黒川温泉なんかの方が、有名になっちゃいましたからね。
 でも、昔は栄えてたそうです。
 筑豊炭坑の全盛期は、歓楽温泉地として賑わったとか。

 今の名物は、玖珠川沿いに点在する共同露天風呂。
「天ヶ瀬温泉」共同露天風呂

 河川敷にあって、お湯と川の水面が同じ高さなので……。
 まるで川に浸かっているようです。
 昔は、河原のどこを掘ってもお湯が湧いたそうです。

 さて、その共同露天風呂ですが……。
 まったく囲いのない所もあります。
 周りの旅館から、丸見えです。
丸見えの「天ヶ瀬温泉」共同露天風呂

 もちろん、混浴。
 てことは……。
 合法的露出が出来るってことです。
 混浴のお風呂なんですから……。
 見知らぬ異性の前で真っ裸になっても、誰に咎められることもありません。
 周りから丸見えだって、そういう構造のお風呂なんですからね。
 見る方が悪いってなもんですよ。
 文句言われる筋合いありません。
 入湯料は、たったの100円!
 100円で、思うさま露出が出来る!
 全国の変態さん、今すぐ天ヶ瀬に集いましょう!

 こんな宣伝したら、天ヶ瀬温泉、大迷惑だろうなぁ。
 ちょっと反省し、真面目に褒めることにします。

 良いとこは、温泉以外、ほぼ何もないこと(褒めてるのか?)。
 だから、気を散らさずに、温泉三昧にひたれます。
 こういう温泉地に連泊したら……。
 わたしにも、「城の崎にて」みたいな小説が書けるかも?
「城の崎にて」

 なんとな~く、物語が生まれそうな温泉です。
 「男はつらいよ」のロケ地にもなったそうです(第43作「寅次郎の休日」)。
 観光客の溢れる、別府や由布院はちょっと……。
 という人は、ぜひチェックしてみてください。

 さて、次なる停車駅は……。
 日田です。
 なお、さっき停車した天ヶ瀬も、日田市にあります。
 ここも、平成の大合併で大きくなった市です。
 カメルーンのキャンプ地で有名になった中津江村も、日田市に編入されました。
 隣はもう、福岡県。
日田市の位置

 大分県では結局……。
 別府と由布院に泊まっただけでしたが……。
 気になる場所は、ほかにもありました。
 滝廉太郎が少年期を過ごした、竹田とか……。
 「昭和の町」が残る、豊後高田とか。

 中でも、もっとも心残りだったのが、日田でした。
 日程が許せば、ここでもう1泊したかったくらい。
 今回は、車窓から眺めるしかできませんが……。
 いつかまた、大分に来るときがあれば、必ず下りて楽しみたい町です。

 せっかくなので、日田の魅力を書きだしてみますね。
 周囲を山に囲まれた日田盆地に、町があります。
 三隅川(みくまがわ)や花月川など、清流が流れる水郷の町。
 小京都と呼ばれる町のひとつ。
小京都・日田

 日田駅の北にある豆田町は……。
 江戸時代の町割りがそのまま残っており、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されてます。
日田市豆田町

 駅の南側は、温泉街。
 三隅川のほとりに、旅館やホテルが並んでます。
日田市・三隅川

 川のほとりから、温泉が湧くんですね。

 この三隅川では、夏場、鵜飼も行われます。
 旅館に泊まって鵜飼を見る、という夜の楽しみ方もありますね。
 わたしはちょっと、あの鵜飼ってヤツは……。
 可哀想な気がしてアレなんですが……。
 でも、映像はきっと胸に残るでしょうね。
日田市・三隅川の鵜飼

 あ、そうだ。
 3月の今なら、おもしろいイベントをやってます。
 「天領日田おひなまつり」。
天領日田おひなまつり

 江戸時代、日田は天領(幕府直轄地)でした。
 「天領日田おひなまつり」では……。
 その天領時代から受け継がれてきた雛人形が、旧家など、市内の各所で公開されてるんです。

 江戸時代の日田では、代官により“掛屋(かけや)”に指定された商人が、莫大な利益を得てました。
 この“掛屋”とは何ぞや、ということですが……。
 マイペディア(百科事典)によると……。

『江戸時代、大坂で諸藩の蔵屋敷に属して領主の蔵物の売却、代金の収納・保管・送金等に当たった町人。領主は蔵物の処理一切を掛屋にまかせ資金面の援助をうけたから、掛屋は藩の財政・金融面に勢力を振るい、士分待遇をうけた』

 よーわかりませんね。
 でも、ボロ儲けできそうということだけは、なんとなーくわかります。
 日田の掛屋は、こうして儲けたお金を、九州の諸大名などに、さらに高利で貸し付けました。
 これを、日田金(ひたがね)と云ったそうです。
 まさに江戸時代の日田は、金が金を生む、一大金融都市だったわけです。

 で、儲かって仕方がない日田の掛屋たちは……。
 京や大阪で、絢爛豪華な雛人形や雛道具を買い集めてたんですね。
 金に糸目はつけないってやつでしょうね。
 その雛人形が、今も商家に残ってるってわけ。
日田市・雛人形

 これは、一見の価値がありそうでしょ。

 なお、天領時代の日田をもっと知りたければ……。
 豆田町のメインストリート「御幸通り」に、「天領日田資料館」があります。
「天領日田資料館」

 資料館に寄られる場合は……。
 「御幸通り」を挟んだはす向かいにある、「日田土鈴 東光堂」というお店が面白そうです。
「日田土鈴 東光堂」

 魔除けのお守りとされている土鈴の専門店。
 全部手作業で作られてるそうです。
 まん丸なお雛さまの土鈴(墨絵ひな土鈴・2,000円)が可愛い。
墨絵ひな土鈴

 土鈴に和紙を貼り、墨で絵付けしたものだとか。
 もっと安い、干支土鈴(250円)なんかもあるようです。
 魔除けのお守りをお土産にしたら、きっと喜ばれると思いますよ。

 さて、もう一つ、天領とは違う一面を見てみましょう。
 日田には、変わった名物があるんです。
 食べ物。
 もちろん、懐石料理とか、天領らしい食べ物屋さんも多いです。
 でも、あえてお昼は、ラーメン屋さんにしましょう。
 と言っても、ラーメンは注文しません。
 お目当ては、「日田焼きそば」。
日田焼きそば

 いわゆるB級グルメとして、人気の一品です。
 これを食べるためだけに、県外から来るファンもいるそうです。

 「日田焼きそば」の起源は古く、昭和30年代に遡ります。
 茹でたラーメンの麺を鉄板で焼く、という焼きそばがメニューに登場し……。
 やがて、町中に広がっていきました。
 具は、オーソドックスな豚コマとモヤシ。
 お店によっては、長ネギやキャベツも入るようです。
 味付けは、ウスターソースが基本ですが、店ごとに秘伝があるようです。

 焦げ目が付くほど焼いたバリバリの麺と、しゃきしゃきしたモヤシの食感。
 歯触りで食べる焼きそばですね。
 うーむ。
 マジで食いたい!

 ここでまた脱線しますが……。
 ロングセラーのカップ焼きそばに、「ペヤング ソースやきそば」ってありますよね。
ペヤング ソースやきそば

 上京したころ……。
 よく、夜食にあれ食べてました。
 夜中まで起きて本読んでると、小腹が空きます。
 と言って、夜中に料理なんか作る気にはならんので……(昼間もならんが)。
 買いおきのカップ麺のたぐいで、小腹を満たすわけね。
 でも、カップラーメンをスープまで飲んじゃうと、夜食としては腹応えが良すぎます。
 その点、スープの無い“やきそば”は、ちょうど良い。
ペヤング ソースやきそば

 お湯で茹でるのに、なぜに“やきそば”かというギモンが残りますが……。
 ウマいことだけは、確かでした。
 ま、若い胃は、何食っても美味しく感じたんでしょうけどね。

 ソースをフタの上に載せて、3分間待つワクワク感。
 思い出すなぁ。
 でもあれ、お湯を切るとき、たま~に失敗するんですよね。
 フタを良く押さえてないと……。
 容器とフタの間から、麺がドバドバこぼれちゃうんです。
ペヤング ソースやきそば・大惨事

 大惨事……。
 もちろん、拾ってぜんぶ食いましたが。
 茹でキャベツの食感は、今も覚えてます。

 う~ん。
 食いたくなってきた。
 今度の休日のお昼は、ペヤングにしようかな。

 さて、「ゆふいんの森」2号は……。
 12:58、1分停車で日田を出ました。

 間もなく、福岡県との県境です。
 大分県に残る駅は、あと2つですが……。
 「ゆふいんの森」は、停車せずに通過して行きます。
 その2つ目、大分県最後となる駅名が、非常に印象的です。
 “夜明”と云います。
夜明駅

 文字通り、読みは“よあけ”。
 縁起のいい駅名のひとつに数えられてます。
 名前は縁起がいいんですが……。
 少し前までは、どう見ても縁起がいいとは思えない、年季の入った木造駅舎でした。
 昭和7年の開業当時からの建物。
夜明駅・旧駅舎

 けっこう、強烈でしょ?
 こんな駅で一晩過ごすことになったら、怖いだろうな。
 夜明けが来たら、ホッとする駅って感じですね。
 でも、この3月、ようやく新駅舎が竣工したんです。
夜明駅・新駅舎

 なんか……。
 公衆トイレみたいになっちゃいましたね。
 もちろん、完全な無人駅です。

 駅名の“夜明”は、別に狙って付けられた名称ではありません。
 開設当時、日田郡夜明村にある駅だったからです(現在は、日田市夜明中町)。
 焼畑開墾地だった村は、最初は夜焼(よやけ)と呼ばれてたそうです。
 でも、“焼”が縁起が悪いということから、「夜開→夜明」と改名されたとか。

 “夜明”からは、日田彦山線が分岐してます。
日田彦山線

 ここからまっすぐ北上し、北九州へ向かう路線です。
 昔は、久大本線と日田彦山線は、この“夜明”で乗り換えたんですが……。
 日田彦山線の電車が、すべて日田まで乗り入れることになり……。
 “夜明”で乗り換える人はほとんどいなくなりました。
 そんなことから、無人駅になったんですね。

 余談ですが……。
 この“夜明”を、夜明けに通る列車は無いものか……。
 探してみました。
 夏期の夜明けは早すぎてムリですが……。
 今の時期なら、夜明けに間に合う列車がありました。
 本日、3月24日の大分県の日の出は、6:12。
 久留米方面行きの列車が、6:04、“夜明”に停車します。
 その時にぴったりのバックミュージックがありました。


 さて、“夜明”を出た「ゆふいんの森」2号は……。
 そのまま久大本線を西進し、久留米へと向かいますが……。
 日田を過ぎたあたりからは、九州一の大河、筑後川に沿って走ります。
 日田はむしろ、筑後川水系という点で、古くから福岡県の筑後地方と結びつきが深かった町です。
 そのため日田弁も、肥筑方言の特徴を持っているとか。

 “夜明”を過ぎると、筑後川の川幅がどんどん広がります。
筑後川

 ここには、“夜明ダム”という発電専用ダムがあるからです。
夜明ダム

 ダムを過ぎ、トンネルを抜けると、もう福岡県です。

「とうとう、大分県ともお別れか……」
「Mikikoさん、さっき、『ゆふいんの森』に乗ってるんだから……。
 博多までは、まだ由布院とお別れじゃないって言ってたじゃないですか」
「ははは、そうだった。
 福岡県に入ったけど……。
 なぜか、『大分に行こう!』は続くのであった」

 夜明ダムを境に、筑後川は中流域となります。
 流れも緩やかになり、川幅も広がってきました。
 福岡県に入ると、もうトンネルはありません。

 停車駅ではありませんが、久留米までの途中に、思い出深い駅名があります。
 “田主丸(たぬしまる)”。
田主丸

 中学に入学して間もないころ……。
 友達もなかなか出来ず……。
 新しい地図帳を、休み時間にひっくり返して見てました。
 そのとき見つけた地名。
 すぐ近くの席に、タヌキと呼ばれてる男子生徒がいました。
 陸上部で、4月なのにもう真っ黒。
 タヌキと言うより、アナグマみたいな感じでしたが。
 この駅名のこと、誰かに教えたかったんですが……。
 そんなことで笑いあえる友達は、まだいませんでした。

 さて、この先、「ゆふいんの森」の停車駅は、3つ。

 久留米、13:38。
 久大本線は、久留米が終点。
 ここから博多までは、鹿児島本線になります。

 久留米は、焼き鳥の町です。
 人口に対する焼き鳥店の数が、日本一とのこと。
 内臓系の、ディープな串が豊富です。
 鳥のほかにも、「豚のダルム(腸)」とか、「馬のヘルツ(心臓)」とか……。
久留米・焼き鳥

 続いて、鳥栖。
 13:45。
 鳥栖は、佐賀県になります。
 「焼麦(シャオマイ)弁当」(中央軒)という名物駅弁があります。
焼麦(シャオマイ)弁当

 “焼麦(シャオマイ)”とは、シューマイのこと。
 「東の崎陽軒、西の中央軒」と呼ばれるほど、有名なお店だそうです。

 再び福岡県に戻り……。
 二日市、13:57。
 太宰府天満宮への最寄り駅です。
 時間が許せば……。
 「東風吹かば……」の“飛梅”を見に行きたいところですが……。
太宰府天満宮・飛梅

 今回は、諦めましょう。

 そして、終点。
 「ゆふいんの森」2号は……。
 14:09、滑るように博多駅ホームに入りました。
博多駅に入る「ゆふいんの森」

「あ~ぁ。
 とうとう着いちゃったね」
「ですね。
 Mikikoさん、飛行機で帰るんでしょ」
「うん。
 高いけどね。
 さすがに、ここから電車で帰る気にはならんわな」
「福岡空港って、駅から近いんですか?」
「それが、たまげるほど近いんだよ。
 とかく地方空港ってのは、JRの駅からアクセスが悪いじゃない。
 新潟もそうだったろ。
 エアポートリムジンなんて、大層な名前の直行バスが走ってたけど……。
 あれは、アクセスの悪さの裏返しだもんな。
 ところが福岡は……。
 驚くべきことに……。
 地下鉄で2駅。
 所要時間5分だよ。
 地下鉄が乗り入れてる空港は、全国でここだけなんだ」
地下鉄が乗り入れる福岡空港

「便利ですね」
「空港がこんだけ近けりゃ、飛行機にも乗る気になるよ。
 新潟との直行便もあるし、大助かり。
 でも、新潟との路線は、廃止になるかも知れないんだ」
「え~。
 何でですか?」
「客が少ないからに決まってるだろ。
 だいたい、福岡から新潟に行く用事のある人なんて……。
 1日何人いるんだよ?」
「言われてみれば……」
「だろ。
 新潟県なんかが、路線存続を働きかけてるみたいだけどさ。
 路線を維持するだけの需要は……。
 新潟人のわたしから見ても、あるとは思えない」
「1日に何便出てるんですか?」
「たった1便の1往復。
 1日1便じゃ、時間を限られちゃうから……。
 とても使いづらい。
 新潟行きの福岡空港発は、16:15だよ。
 新潟着が、17:45分。
 こんな時間に着いたって、何も出来ないじゃん」
「じゃ、新潟行きの便まで、まだ2時間あるんですね」
「そうなんだ。
 せっかく、空港が近いのになー」
「羽田行きは、何時かな?」
「羽田経由で新潟行くっての?
 そんなことするんなら、ここで2時間待つ方が早いよ」
「え?
 なんで羽田から新潟行くんです?
 わたしは、羽田からマンションに帰りますよ」
「ちょっと待て!
 まさかだけど……。
 自分だけ、羽田行きに乗ろうって魂胆じゃないでしょうね?」
「魂胆って……。
 わたしは東京に住んでるんですから、羽田行きに乗るのが普通じゃないですか?」
「ヒ、ヒドい!
 わたしを福岡に置いてこうっての!」
「だって、仕方ないでしょ。
 方向が違うんですから」
「やだ!
 ぜったい、やだ~。
 まだ旅は終わってないんだぞ。
 新潟から出発したんだから……。
 新潟に帰るまでが旅じゃないのよ!
 こんな、西の果てで別れるなんて、絶対にイヤ!」
「だって……。
 明日の授業の予習もしなきゃならないし」
「授業休めば、予習要らないでしょ」
「そんな!
 2日も休んでるんですよ」
「わたしだって、会社2日休んでるよ。
 2日も3日も一緒じゃないか」
「かなり違うと思います」
「やだ~。
 やだ~。
 ここでお別れなんて、絶対にやだ~」
「ちょっと……。
 こんなとこで、しがみつかないでくださいって」
「やだよ~。
 行っちゃやだ~。
 うぇぇぇぇ~ん。
 うぇぇぇぇ~ん。
 だっこ~。
 おんぶ~」
大分に行こう!(7)目次大分に行こう(9)


 ぱっか、ぱっか、ぱっか。

 目の前を、白いお馬さんに引かれた車が通り過ぎて行きました。
お馬さんに引かれた車

「あれって、馬車?]
「そうみたいですね」
「わたしらでも、乗れるのかな?」
「乗ってる人、観光客みたいでしたよ」
「次の便、いつだろ?」
「駅前の方から来ましたから……。
 駅から出てるんじゃないんですか?」
「行ってみよう」

 由布院駅に入ります。
由布院駅

 きのうはバスで由布院に来たので、駅舎に入るのは初めてです。
 構内に、「由布院温泉観光案内所」という窓口がありました。
「由布院温泉観光案内所」窓口

「あそこで聞いてみようか」
「そうですね」

「あの~。
 駅の前で、馬車を見かけたんですけど……。
 あれって、乗れるんですか?」
「はい、乗れます」
「お~。
 どこから出るんですか?」
「駅前からです」
「ナ~イス。
 美弥、大当たりだよ。
 で、次の便は、いつ出ます?」
「次は、10時ですけど……。
 予約でいっぱいです」

 そう言いながら、窓口のおばさんが指さした先には……。
 「辻馬車乗車券売場」の文字が……。
辻馬車乗車券売場

「へ~。
 けっこう出てるんだね。
 30分おきじゃん。
 じゃ、10時の次は、10時半か。
 10時半のには、乗れますか?」
「これも、いっぱいですね」
「あちゃ~。
 じゃ、11時は?」
「ちょうど、2名分空席があります」
「やた!
 ラッキー。
 それ、乗ります。
 最後は、駅に戻るんですよね?」
「戻ります」
「よしよし。
 ところで、30分おきってことは……。
 11時に出たら……。
 11時半前には帰って来ちゃうってことですか?」
「いいえ。
 馬車は3両あって、交代で出てます。
 全行程は、50分になってます」
「てことは……。
 駅に戻るのが、11時50分。
 電車が、12時2分発だから……。
 最高のタイミングだよ」

 ↑の看板にあるとおり、料金は1,500円のようです。
 50分乗って1,500円なら、人力車のほぼ10分の1。
 タクシーより安いじゃん。

 さてこれで、電車に乗るまでの予定も入りましたので……。
 若女将に教えられた、朝食が取れるお店に向かいます。
 向かうと言っても、ほぼ駅前。
 目の前にありました。
由布院駅前「佳舎」

 若女将は、“けいしゃ”さんと呼んでました。
 喫茶店みたいですね。
 でも、ちょっと引いてみると……。
「佳舎」入口

 ちょっと、違うような……。
 “やせうま”って何だ?

「ひょとして……。
 馬車でこき使って痩せた馬を……。
 ここで食っちゃうのか?」
「そんなわけないでしょ!
 でも、“だんご汁”とか……。
 普通の喫茶店じゃありませんね」
「侮れん店じゃ」

 されに、引いてみると……。
「佳舎」垂れ幕メニュー

「ぎょうざ定食?」
「名物・ざるそば?」
「なんじゃ……、この店」
「でも、コーヒーセットとかもありますよ。
 コーヒーとケーキのセットみたい」
「“ぎょうざ定食”食ってる隣で、ケーキ食べるの?」
「そうみたいですね」
「ま、朝から“ぎょうざ定食”食ってるヤツもいないだろ。
 とにかく、2階に上がってみよう。
 お座敷もありますって」
「佳舎」看板メニュー

 階段を上って2階にあがると……。
 ちゃんとお座敷がありました。
「佳舎」お座敷

 佐伯の“レストランフェリー”を思い出しますね。
 レストランを名乗りながら、上がり座敷がありました。
佐伯の「レストランフェリー」上がり座敷

「たぶん……。
 おしゃれになる前の由布院って、どこもこんな感じだったんだろうね。
 せっかくだから、お座敷に上がろう」

 和食の朝定食もあるみたいですが……。
 あえて、モーニングセットを注文します。
 お座敷でモーニング食べることなんて、滅多に出来ませんから。

 モーニングセットを注文した後、お店の人に“やせうま”のことを聞いてみました。
 大分名物だとか。
 お八つとして食べるようです。
 だんご汁のだんごに、きな粉と砂糖をまぶしてあるそうです。
やせうま

 お店の人から、“やせうま”の語源が聞けました。
 それによると……。
 話は、平安時代に遡ります。
 豊後の国に都落ちしてきた貴族がありました。
 幼い若君には、乳母が付いて来ました。
 乳母は、ときおり若君に、茹でた小麦粉にきな粉をまぶしたものを食べさせてました。
 乳母は、京都の八瀬の出身で、若君からは、“八瀬”と呼ばれてました。
 で、乳母にこの食べ物をねだるとき、若君は……。
 「八瀬、ウマ(“美味しいもの”の幼児語)」と言ってたとか。
 つまり、“痩せ”でも“馬”でも無かったわけですね。
 ほんとかしらん?

 さて、程なくモーニングの登場です。
「佳舎」モーニング

 パンに、オムレツ、ミニサラダ。
 あとはコーヒー。
 フツーでしたね。
 “やせうま”でも付いてくるかと思ってたけど。

 さて、お腹を満たしたら、駅に戻りましょう。

「10時半の便は、出た後みたいだね」
「やっぱり、11時にして良かったんですよ」

 でも、出発までは、30分近くあります。

「なんだあのオンボロ車?」
「オンボロなんじゃありませんよ。
 クラシックカーじゃないですか」

 歴史物の海外ドラマでしか見ないような、レトロ調の乗り合いバスです。
スカーボロ

 バスと云っても、乗車定員は、馬車と同じくらいみたいですね。
 どうやらこれも、観光用の乗り物らしいです。

「ほら、この名前。
 やっぱりボロだったじゃないか」

 停留所に出てた名称は、スカーボロ。
 料金は、50分で1,200円。
 馬車より、300円安いですね。
 やっぱり、生きた馬の方が、維持費がかかるんでしょうかね?

 そうこうするうちに、またあの音が聞こえてきました。

 ぱっか、ぱっか、ぱっか。

 11時には間がありますが、どうやらわたしたちの乗る便のようです。
 同じ便に乗るらしい人たちからは、かすかなどよめきが起こりました。
 小さな子供なんか、うれしくてしょうがない様子。
 子供にとっては、普通のバスもスカーボロも変わりないんじゃないかな?
 そこへいくと、やっぱり馬車は、ぜんぜん別物ですよね。
 300円高くても、子供連れの方は、馬車を選ぶでしょうね。

 発車時刻前ですが、どうやら乗っていいようです。
 お客さんは、続々と乗り込みます。
 それを尻目に、お馬さんは悠然と給油中です。
お馬さんは悠然と給油中

 馬の傍らに立つ方が、御者のようです。
 人力車のあんちゃんほどではありませんが……。
 けっこう若い方です。

 さっそく、取材してみましょう。

「こんにちは~。
 今日は、よろしくお願いします」
「はい、こんちはー。
 楽しんでってくだっせ(すみません。大分弁がわかりません)」
「お馬さんは3頭いるって聞いたんですけど……。
 これって、由布市の持ち馬なんですか?」
「うんにゃ(この口調じゃ、『福島へ行こう!』の運ちゃんと一緒だよな……)。
 馬は、馬車屋の持ち物ですっちゃ」
「なるほど~。
 それじゃお兄さんは、由布市の職員さんじゃないってことですね」
「馬車屋です」
「馬が3頭もいるってことは……。
 やっぱり、会社組織なんですか?」
「うんにゃ、そうでねえっちゃ。
 馬は、3人の御者がそれぞれ持っちょります」
「3人は、独立した馬車屋さんってことですか?」
「そげんです。
 観光協会の下で、馬車組合を作っちょります」
「なるほど~。
 なんとなくわかりました。
 馬車歴は長いんですか?」
「長い人から……。
 ほんの数年って人もおります」
「みなさん、家業を継がれたんですか?」
「由布院で馬車が走り出したのは、三十数年前ですけん。
 昔からの家業って人は、おりましぇん。
 Uターンで戻って来て、馬車屋を始めた人もおります。
 そん人は、馬車屋になって初めて、馬に触ったそうです」
「へ~。
 面白い経歴ですね」
「そろそろ出発しますけん、乗ってくらっしゃい」
「は~い」

 馬車の中では、子供たちが待ちくたびれた顔をしてました。
 中には、わたしたちの顔を恨めしげに見る子も……。
 わたしが御者の人と話してたから、出発できないとでも思ったのかな?
 違うんだからね!

 車両に、窓はありません。
 なので、冬季は運行してません。
 1月の第1日曜が終わると、2月末まで運休になるそうです。
 3月も末とはいえ、今もまだ肌寒い季節。
 座席には、毛布が用意されてました。
辻馬車・座席の毛布

 駅前に出てた看板では、馬車の定員は10名。
 馬車には、3人掛けの客席が、3列あります。
 3×3で、9名ですよね。
 あとの1人はどこに乗るの?
 ってことですが……。
 客席のさらに前にも、座席があるんですね。
 御者が座る席です。
 で、御者の左隣に、1人座れるんですね。
 タクシーだって、運転席の横に1人座れますからね。
 あれと同じなんでしょう。

 タクシーに乗り合わせる場合、あんまり偉くない人が、運転手の隣に座るようですが……。
 この馬車では、御者の隣は特等席です。
 お馬さんの背中が、間近に見えます。
 今、その席には、子供が座ってます。
辻馬車・御者席

 確かに、子供は最前列じゃないと、前が見えませんからね。
 子供優先席なんでしょう。
 ほんとは、わたしが座りたいんだけど……。
 今日は我慢しましょう。

 御者のお兄さんが手綱を引き、馬車が動き出しました。
 お客さんからは、「おぉ~」と歓声が。
 子供たちは、嬉しくてたまらない様子。

 駅前通りの歩道を、たくさんの観光客が歩いてます。
 蹄の音に振り返る人。
 こちらを指さして、何か言ってる子供。
 すごい注目の的で……。
 晴れがましいような、気恥ずかしいような……。
辻馬車・注目の的

 すぐに、五差路にさしかかりました。
 なんと、この五差路、信号がありません。
 そのまま真っ直ぐ進む通りが、きのう歩いた「由布見通り」ですね。
 馬車は、右手10時の方向に分岐する細道に折れました。
 大きな鳥居を潜ります。
由布院駅前・五差路

「こん鳥居は、今日これから行く『宇奈岐日女神社』の“一の鳥居”になっちょります」
「ウナギ姫?
 ウナギの女神さまなんですか?」
「そうとも云われとります。
 大昔、由布院盆地は、大きな湖だったらしいですけん」
「その名残が、金鱗湖なんですよね」
「よく、ご存じですなぁ」
「えっへん」

 しばらく進むと、道は上り坂になるようです。
 御者のお兄さんが立ち上がり、手綱を繰りました。
辻馬車・手綱を繰る御者

 お馬さんが走り出しました。
 勢いをつけて、坂を上るようです。
 乗客からは、喚声があがります。

 お馬さんが駆け上がったところは、橋の上でした。
 橋の間近で、2本の川が合流してます。
2本の川が合流する橋

 なんか、見覚えがありますね。

「Mikikoさん、ここ『城橋』ですよ」
由布院『城橋』

「あ、そうか!
 昨日、人力車降りた場所だ」

 夜、グルメシティに行くときにも渡りましたが……。
 あのときは、もう真っ暗でしたから。

 由布岳が見事です。
 カメラを向けてるお客さんもいます。
 絶好の撮影ポイントなんでしょう。
 御者のお兄さんも、橋の上は、馬車をゆっくりと進めてました。

 橋を渡って、しばらくは温泉旅館が目立ちましたが……。
 やがてあたりは、静かな田舎道になりました。
由布院・静かな田舎道を行く馬車

 田んぼが広がってます。
 青い稲穂がなびくころは、きっと風が気持ちがいいでしょうね。

 狭い道が続きますが、自動車もスピードを落として擦れ違ってくれます。
辻馬車・クルマとすれ違う

 細い川が見えてきました。

「こん川は、さっき『城橋』で渡った大分川の上流にあたります。
 『城橋』からの道は、ほとんど真っ直ぐやったですけど……。
 その間、川は大きく蛇行してますけん、けっこう上流になります」

 それで、こんなに細くなってるんですね。
 川に向かって、馬車はスピードを上げました。

 『城橋』では、勢いをつけて坂を上るためにスピードを上げたんですが……。
 ここは、逆です。
 川に向かって下り坂になってるので……。
 自然とスピードが出るようです。
 橋が見えてきました。
 欄干の無い、低い橋です。
由布院・沈み橋

「こん橋は、『沈み橋』と云います。
 その名のとおり、大水の時は水の中に沈む橋です」

 沈下橋というやつですね。
 以前にも書いたと思うけど……。
 わたしは、橋が苦手なんです。
 欄干の近くには寄れない。
 特に、欄干の隙間から見える水面には、恐怖を覚えます。
 ましてや……。
 欄干のない橋なんて、とうてい渡れません。
 実は、高知の四万十川の見所のひとつに……。
 沈下橋があったんですが……。
四万十川・沈下橋

 怖いのでパスしました。
 まさか、こんなとこで、沈下橋が待ち受けてるとは……。
 でも……。
 飛び越せそうな狭い川に掛かる橋は短く……。
 恐怖を感じる間もなく渡り切ってしまいました。
由布院「沈み橋」を渡る><br>
<br>
 程なく、第一の立ち寄り場所、仏山寺に着きました。<br>
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「降りてもらう前に、馬車の向きを変えますけん、少々お待ちください」

 お馬さんが、ゆっくりと回り始めました。
由布院・辻馬車の転回

 狭い道幅ですが、毎回ここでUターンしてるんでしょう。
 ウマいもんです。
 やり直すこともなく、馬車は石垣に沿って反対を向きました。

 お客さんは、ひとまず下車し、仏山寺の見学です。
 見学時間は10分。
 子供たちは、お寺より馬の方に興味があるらしく……。
 馬の顔近くまで寄って、熱心に見てます。
 わたしたちは大人なので……。
 とりあえず、お寺を見てきましょうか。
由布院・仏山寺山門

 臨済宗のお寺のようです。
 山門は古そうで、古刹の雰囲気を期待したんですが……。
 本堂は、新築間もないようでした。
由布院・仏山寺本堂

 馬車に戻りましょう。
 子供たちは待ちきれない様子で、すでに座席に座ってました。
 中には、座席から立ち上がって、わたしたちを恨めしげに迎える子も……。
 まだ10分経ってないからね!

 さて、出発進行です。
 お馬さんは、石垣沿いに左側を歩みます。
由布院・石垣沿いを歩む馬

 狭い道ですが、これならクルマともすれ違えますね。
 かと言って、寄りすぎたら、馬車が石垣を擦っちゃいます。
 馬車は、石垣と絶妙な間隔を保って進みます。
 偉いもんです。

 もと来た道を戻ります。
 また、『沈み橋』が見えて来ました。
 馬車のスピードが上がります。
 さっきは、下り坂で自然にスピードが上がるのかと思ってましたが……。
 よく考えたら、橋を境に、今度は上り坂になるわけですから……。
 そのために勢いを付けているようです。

 橋を渡りきったところで、道がY字に分かれてます。
 先ほどは右の道から来たんですが……。
 お馬さんは、迷うことなく左の道を選びました。
由布院「沈み橋」袂のY字路

 辻馬車は、田園風景の中、一路、宇奈岐日女神社へと向かいます。
由布院・田園風景を走る辻馬車

「これから参ります宇奈岐日女神社は、六所宮とも呼ばれちょります。
 6柱の神さんが祀られておるからです。
 ばってん、そん神さんの中に、宇奈岐日女さまはおらんとです」
「どうしてですか?」
「ようわからんとです。
 山岳信仰なんかが隆盛する過程で……。
 昔からの女神伝説が抹消されていったとか云われとりますが」
「でも、なんで、名前だけが残ってるの?」
「謎ですなぁ。
 ひょっとしたら、外から来た人間が……。
 宇奈岐日女さまの名前を消して、ほかの名前を付けたけれど……。
 由布院の人が、頑として宇奈岐日女さまと呼び続けたからかも知れませんのう」
「地元の人に愛された女神さまなんですね」
「由布院盆地を作った神さまですけん」
「え?
 由布院が湖だったころ、湖の主だった方ですよね。
 なんでその女神さまが、由布院盆地を作ったんです」
「由布院の人たちが、山肌に張り付くようにして耕作してる姿を見て……。
 この湖が干上がれば、人々は、平らな広い耕地を得ることが出来る……。
 そうなれば、みんなの暮らしも楽になる。
 そう思われましてな。
 家来の力持ちに命じ……。
 山を蹴破らせたんですわ。
 湖の水は一気に流れだし、湖底だったところが、由布院盆地になりました」
「スゴい女神さまですね。
 自分の住み家を破壊して、人々に耕地を与えたわけですね」
「そげんです」
「由布院の人たちが、女神さまの名前を決して忘れようとしなかったわけ……。
 よくわかりました」

 うぅ。
 聞いてて、涙が出そうになりました。
 今、こんなことが出来る政治家って、いる?

 宇奈岐日女さまのお話に引きこまれてるうち、馬車は神社へと到着したようです。
宇奈岐日女神社

 ここでも、10分休憩です。
 いい話を聞いたので、真面目に見る気満々です。
 でも、涙腺が緩んだら、下の蛇口も刺激されたようです。
 おしっこがしたくなりました。
 しばし、トイレタイム。
 綺麗な公衆トイレがありました。
宇奈岐日女神社の公衆トイレ

 たぶん、馬車に揺られると、催す方が多いんでしょうね。

 それでは、駆け足で見ていきましょう。
 社殿は大きくはありませんが、それなりに厳かです。
宇奈岐日女神社・社殿

 狛犬がいました。
 なんじゃ、この顔?
宇奈岐日女神社・狛犬

 この神社、一番の見所は、これでした。
宇奈岐日女神社・切り株

 説明板が掲げられてました。
宇奈岐日女神社・切り株の説明板

 台風で倒れたんですね。
宇奈岐日女神社・切り株のアップ

 これだけ大きくなるまで、木が倒れるほどの台風は無かったってことですよね。
 つまり、何百年に1度という台風だったってこと。
 ↓目がはっきりわかりますね。
宇奈岐日女神社を襲った台風19号

 進路は、下のようになってます。
宇奈岐日女神社を襲った台風19号の進路

 台風ってのは、進路の右側で被害が大きくなりますから……。
 日本にとって、最悪のコースを通ったってことです。

 ここ由布院だけでなく、九州の山林では、大規模な倒木が発生したそうです。
 九州全体の36%に当たる210万戸で停電。
 博多湾では貨物船が沈没。
 日本全土での死者は、62名。
 保険金支払額は、史上最高の5,679億円だったそうです。
 九州は、気候的には魅力的だけど……。
 やっぱり……、台風が怖いよね。

 さて、10分は、あっという間です。
 急がないと、またあの子に恨まれるからね。

 出発進行!
 馬車は、田園風景の中を、終点の由布院駅へと向かいます。
田園風景の中、由布院駅へと向かう辻馬車

 『城橋』が見えて来ました。
 御者のお兄さんが起ち上がり、手綱を繰ります。
御者のお兄さんが起ち上がり、手綱を繰ります

 『城橋』を渡る観光客が、こちらを見てます。
 中には、口を開いてる子も。
 乗りたいんだろうな。
辻馬車を見送る城橋の観光客

 川面が、春の光に輝いてました。
城橋から見る川面の光

 程なく、宇奈岐日女神社の一の鳥居に差しかかり……。
宇奈岐日女神社の一の鳥居

 お馬さんが、鳥居を左折しました。
宇奈岐日女神社の一の鳥居を左折

 車両が道を曲がるときは、フワーっと体が浮くようです。

 由布院駅が見えて来ました。
由布院駅が見えて来ました

 う~ん。
 まだずーっと乗ってたいんだけど、もう終点なんだね。

「はい、お疲れ様でした」

 とうとう着いちゃいました。
 お客さんたちは、名残を惜しむように、お馬さんと記念撮影。
辻馬車・お馬さんと記念撮影

 わたしたちも、名残を惜しみたいけど……。
 残念ながら、電車の時間が近づいてます。
 後ろ髪を引かれながらも、駅舎に向かいます。

「面白かったね~」
「ほんとに。
 人気なのもわかりますね」
「だよな。
 でも、あの馬車屋の兄ちゃん、どれくらい儲かるんだろ?」
「また始まった~。
 経理のサガですね」
「朝の9時30分から、夕方の16時30分まで、15便あるわけだ。
 馬車屋は3人だから、1人あたり、5便を担当する」
「はいはい」
「とりあえず、大人料金で計算するけど……。
 1,500円だったよね」
「あれだけ楽しいんだから、妥当ですよね」
「でも、この1,500円が、丸々馬車屋の懐に入るはずはない。
 乗車券を販売してる観光協会が、手数料を取るはず」
「ですよね」
「どのくらい取るのかな?
 ま、良心的にみて、5%としよう。
 てことは、馬車屋の懐には、1人あたり1,425円が入る計算になる」
「けっこう残りますね」
「満席だとして、定員10名だから……。
 1便あたりの手取りは、1,425円×10名で、14,250円。
 これが1日5便だから……。
 71,250円!
 1ヶ月にどのくらい稼働するんだろうね?」
「休みなしじゃ、お馬さんが可哀想ですよね」
「あんな重い客車を引いてるんだからね。
 あれだけ調教した馬が潰れちゃったら、元も子もなくなる。
 ま、2勤1休で、1ヶ月20日くらいかな」
「ですね」
「てことは、71,250円×20日で……。
 1,425,000円!
 月収だよ」
「すご……」
「1月と2月は休みだから……。
 年に10ヶ月稼働するわけだ。
 てことは……。
 1,425,000円×10ヶ月で……。
 14,250,000円!!
 どひゃー。
 年収、せんよんひゃくまーんんんんんんんん」
「Mikikoさん、固まっちゃってますよ」
「わたし……。
 馬車屋になろうかな」
「また、そういう短絡的な結論を……。
 経費をぜんぜん考えてないじゃありませんか」
「経費ったって、馬の餌だけだろ?」
「たくさん食べるんじゃないんですか?」
「たくさんたって、豊後牛を食べるわけじゃないぞ。
 ワラだろ。
 せいぜい、人参とかリンゴだよ」
「きっと、そんなにウマくはいかないんですよ。
 そうじゃなきゃ、馬車屋さんだらけになっちゃいますよ」
「だよなぁ」

 なお、前回までの辻馬車道中記事は……。
 「愉快に由布院ドッとコム!」さんの、「辻馬車に乗って」というページを参考にさせていただきました。
 参考にさせていただいたと云うより……。
 ほとんどパクリです。
 写真もたくさん使わせていただきました。
 マズいかな~とも思ったんですが……。
 「このサイトについて」を開くと……。
 下のような、ありがたい一文がありました。

『このサイトに掲載している写真は当サイト運営者が撮影編集したものです。必要であれば転載使用してください。連絡は無用です。湯布院を大いに宣伝してください。できましたら当サイトをリンクしていただけますとありがたいです』

 ほんとは、お礼メールをしたいところなんですけど……。
 こんなサイトに載ってしまうのは、迷惑だと思いますので……。
 黙って使わせていただくことにしました。
 「愉快に由布院ドッとこむ!」さん、ほんとにありがとう!
 しかし、ここの掲示板、スパムに荒らされ放題だな……。

 さて、時間がないので、すぐに改札を抜けましょう。
 ホームには、すでに、わたしたちの乗る「ゆふいんの森」2号が待ってました。
「ゆふいんの森」2号

 博多を9時16分に出た「ゆふいんの森」1号が、11時28分に由布院に着きます。
 この折り返しが、12時2分初の「ゆふいんの森」2号となります。
 当然、行き先は博多です。

 どうです、格好良い車両でしょ?
「ゆふいんの森」2号・近影

 見るからに豪華そう。

 エンブレムも、金!
「ゆふいんの森」・エンブレム

 九州旅行では、豪華列車に乗れるという楽しみがあります。
 JR九州の特急は、豪華なんですよ。
 特に、この「ゆふいんの森」は、人気抜群。
 今日は、連休終了後の週半ばの平日ということで、切符が取れましたが……。
 お休みの日の切符を手に入れるのは、とても困難のようです。
 全席指定で、自由席はありませんので、並んでも乗れません。

 では、どこが豪華なのか。
 まず、ビュッフェが備えられてること。
 ビュッフェというのは、簡易な食堂車のことです。
 JR列車の中で、夜行の食堂車以外で、ビュッフェがあるのは……。
 「ゆふいんの森」と、同じくJR九州の「SL人吉」だけです。

 次に、キャビンアテンダント(客室乗務員・女性)が乗務してます。
 云ってみれば、ボイのいた一等車の雰囲気ですね。

 車内の装備も豪華で、ヨーロッパの特急列車のようです。
「ゆふいんの森」・車内の装備

 先頭車両は、ハイデッカーという構造になっています。
「ゆふいんの森」・ハイデッカー構造

 なんか、哲学者の名前みたいですが……。
 “High Decker”のことです。
 高いデッキ、すなわち床が高くなってるんですね。
 客席からの眺めは、地上を見下ろす感じになります。
 これも、気分がいい。
 新幹線なんかには、2階建て車両がありますが……。
 なーんか、身分制度みたいですよね。
 1階なんて……。
 駅では、体がほとんど、ホームの下になります。
2階建ての新幹線

 穴蔵から地上を見上げる感じ。
 ま、運良くミニスカの女の子が近くを通ると、良いことがあるかも知れないけど……。
 ちなみに、2階建て車両のことは、ダブルデッカーと云います。

 カースト制のようなダブルデッカーに対し……。
 ハイデッカーは、乗ってる人に身分関係が無く……。
 全員がアッパークラスって感じ。
 上流社会のサロンにいるみたいな気分になれます。
 こんなとこも、「ゆふいんの森」の人気のひとつじゃないでしゃうか。

 なお、「ゆふいんの森」に乗ろうとして、実際に旅行を計画する場合、注意する点があります。
 「ゆふいんの森」は、時々、長期間運休するんです。
 ちなみに今年、「ゆふいんの森」2号は、6月19日~7月8日まで運休になります。
 なぜ、こんなに長期間休むのかと云うと……。
 早い話、車両のオーバーホールです。
 「ゆふいんの森」用の豪華車両は、3編成しかありません。
 それが、1日1往復ずつ、計3往復してます。
 予備の車両がありませんから、オーバーホールのときは、運休するしかないわけです。
 もちろん、3編成同時に休むわけではなく、交代になります。
 でも、別に豪華列車でなくても、移動さえできればいいって人なら、安心してください。
 「ゆふいんの森」運休のときは、同じダイヤで、「ゆふ」もしくは「ゆふDX」という特急が走ってます。
 これらは、まあ、ふつうの特急です(ゆふ↓)。
特急「ゆふ」

 豪華装備はありません。
 運休についての情報は、時刻表を見ればわかります。
 ネットの情報は、あてになりません。
 必ず、冊子の時刻表で確認してください。
 ただ、女性の中には、時刻表がまったく読めないという方がおられるようです。
 そういう時刻表に不自由な方は……。
 「ゆふいんの森」が載ってる久大本線のページを開くことすらできないと思います。
 そういう方には、「ゆふいんの森」乗車を組み込んだパック旅行がありますので、こちらをお勧めします。
 これなら、切符が取れて大喜びしてたら……。
 ホームに入ってきたのは「ゆふ」だった、などという悲劇を味あわずにすみます。

 「大分に行こう!」、再開します。

 さて、前置きが長くなりました。
 さっそく、「ゆふいんの森」に乗り込みましょう。
 入り口は、こんな感じ。
「ゆふいんの森」

 ハイデッカーの意味がおわかりになると思います。

「美弥、荷物お願い」

 まるで飛行機みたいな荷物棚です。
「ゆふいんの森」飛行機みたいな荷物棚

 背の高い道連れがいると、楽ですね。

「とりあえず、荷物だけ置いたら、ビュッフェに行くぞ」
「そこでお昼食べるんですか?」
「うんにゃ」
「Mikikoさん……。
 まだ、辻馬車の影響が残ってますよ」
「わたしは、音感が繊細だから……。
 すぐ影響されるんだよ。
 そんなことより、売り切れるといけないから、急ごう」
「なに買うんですか?」
「駅弁だよ。
 限定品の駅弁を、ビュッフェで売ってるんだけど……。
 下手すると売り切れる。
 特にこの『ゆふいんの森』2号は、お昼どきの発車だからね」

 ビュッフェは、3号車にあります。
 ちなみに、博多行きの上りは、号車番号が進行方向と逆になります。
 4号車が先頭で、1号車が最後尾。
 私たちの座席は2号車なので、3号車は前方にあたります。

 3号車との連結部に来ました。
 ハイデッカー車両の連結部分は、こんなふうになってます。
「ゆふいんの森」ハイデッカー車両の連結部分

 渡り廊下みたいですね。
 昔の「ゆふいんの森」車両では、この渡り廊下が無く……。
 連結部は、扉と同じ高さになってました。
 つまり、車両を移る場合……。
 階段を下りて、また上らなきゃならなかったわけ。
 そのため、車内販売が出来ませんでした。
 今は、この渡り廊下のおかげで、車内販売も回ってきます。
 だから、温和しく座ってれば、席でも買えるんですけどね。
 こんな列車に乗ったら、嬉しくてじっとしてられませんよ。

 なお、本格的な食堂車とは違い、1両丸々をビュッフェが占めてるわけじゃありません。
 3号車の前方(4号車寄り)が区切られて、ビュッフェになってるんですね。
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