恵子を先頭に怜子とスワンは外部に向かって基地内の通路を走った。
自室の前に差し掛かった恵子は急にその足を止める。
「はあはあ………どうしたの? 急がなくっちゃ」
両膝に手をついて喘ぎながら怜子は恵子に尋ねた。
「ちょっと待ってて。もう一人洗脳された日本人がいるの。彼女はほっとけない。たぶん本部長の命令だと言えば付いて来るわ。すぐ帰ってくる」
「あ、恵子さん!」
呼び止めた怜子に背中を見せて、恵子はあっと言う間に自室の中に姿を消した。
“さあ、急いで急いで!”
“ああ……私白衣のままでは”
中からそんな声が聞こえて、恵子に手を引かれた岸部美波春子医師が姿を現わした。
「私走るのは苦手で、とてもそんなに早く走れません……」
「走れなくなったら私がおんぶしてあげるから。本部長の命令よ!」
今にも泣きそうな美波を見て、怜子は恵子の耳元に顔を寄せる。
「どうするの、こんな人連れてきちゃって……。洗脳されてるんでしょ?」
「いいから。どっかで一発やって正気に戻すわ。さあ、行くわよ!」
恵子は再び脱兎のごとく走り出した。
「一発って、もう溶液は残ってないのよ。ねえってば! ああもう……仕方ない、行きましょ!」
怜子はスワンと美波を連れて恵子の背中を追った。
控室の中からドアに体当たりする衝撃音が指令室に響いた。
小林は真剣なまなざしで大河内本部長に口を開く。
「私が拳銃で脅しますから、本部長はまだ司令官として振舞ってください。そしてミサイル発射を引き延ばし、隊員たちも待機させてください」
「わかった」
小林は再び本部長をベルトで椅子に拘束した。
ドアのロックが壊れる大きな音がして、中からグレタを先頭に警備員が飛び出し、その後から島田副官と技術者たちも姿を現わす。
「本部長、大丈夫ですか!?」
「動くな! 動くと本部長の命はないぞ!」
小林は大河内の頭に拳銃を突き付ける。
「みんな、今は自重してくれ。メトロン総統からもそんな指示が来ている」
大河内の言葉でグレタは動きを止めた。
「ほ、本当ですか本部長?」
島田副官が半信半疑で大河内に問いかける。
「まだ決戦の行方は不透明だ。爆破にも時期と言うものがある、メトロン総統はウルトラウーマンが攻勢に転じた時に爆破する方が、地球とウルトラ一族の絆を切るのにより効果的だという考えだ」
「なるほど……」
島田副官は目を見開いて頷いた。
「通信技官。女性3人がウルトラウーマンの応援に出向くが、手出しをせず待機するように伝えてくれ」
「了解しました!」
通信機材に向かう技師を見ながら、小林は本部長の肩に置いた左手に力を込めた。
“さすがに本部長。ビアンを愛する人は、心広き人。人品卑しからず・風雅を愛し文武両道、見目麗しく情けあり……か“
緊迫した場面でも臨機応変に対処する本部長を見て、小林は目頭が熱くなるのを覚えた。
恵子の運転するジープが、砂埃を巻き上げて灼熱の砂漠を疾走していた。
助手席の怜子、後部席のスワンと美波が周囲に視線を巡らせている。
「あ、あそこだ!」
前方を指さしてスワンが叫んだ。
まだ300メートル以上先だと思われるが、砂丘の起伏の中に巨大な裸体が絡み合っていた。
付近には待機中の地球防衛軍や、望遠キャメラを構える沢山のマスコミ関係者が散在している。
この官能スペクタクルに冷静に対応するため、あちこちに仮設テントが設置され、時折中に入った人間がさっぱりした表情で出てくる様子が見られた。
また、某大手テレビ局の女性プロデューサーがまだ若い美人レポーターをテントに連れ込んだり、東洋とヨーロッパの女性キャスター同士が木陰で手をつなぎ合っていたりなど、まさに年齢や国境を越えた熱いビアン交流の場面が繰り広げられていた。
ただ女性同士の交流には時間がかかることがあり、空きテント確保のためその使用時間に制限が設けられていた。
無粋な男性が汚いものを引っ張り出して外で処理したりするので、仮設テントの増設作業が急ピッチで進んでいる。
「巻き添えの危険を回避するため、100メートル程度手前で止まりましょう」
「了解」
目加田恵子は篠原怜子の指示に頷いた。
やがてジープが止まった地点で4人は前方を見上げた。
100メートル手前と言っても、50メートル級に巨大化した二人の女性はまるで山が揺れ動いているように見える。
飛鳥ゆり子がウルトラウーマンを横抱きにして、反り立ったペニスを右手でしごいている。
ウルトラウーマンは下唇を噛んで必死に耐えながら、左手をゆり子の下半身に伸ばしていた。
だがゆり子が与えてくる快感で体に力が入らず、その指は黒々とした陰毛の中で悪戯にさ迷うばかりであった。
「おねえちゃん頑張って!!」
一番にジープから飛び降りたスワンがウルトラウーマンに叫ぶ。
「ちょっと待って、スワンちゃん」
怜子が今にも走り出そうとするスワンを止めた。
「すでに一回目は耐え切れない可能性が高いわ。恵子さん、あなたは運転席でウルトラウーマンのペニスの射精方向から車を逃がして」
「どうして?」
恵子は冷静な表情で戦況を見守る怜子に尋ねた。
「頭から精液を被りたくないでしょ?」
「うわ、臭そう」
恵子は眉をひそめる。
「一応今装備されてるのは“若々しい栗の花・薄濁り微香タイプ”。想定年齢は18歳だけど」
「まあ、おじさんのよりはいいか。女性仕様はないの?」
「あるわよ。“のどかな瀬戸内の海”とか“モルディヴの浜辺”なんかいい線いってると思うけど……、私のお勧めは“雨上がりのお庭”ね。使用後にいつも私の心を和ませてくれるわ」
「なんだか微妙だけど。分かったわ、注意しとく」
怜子はスワンに顔を向ける。
「OK。じゃスワンちゃん、もっと近くでウルトラウーマンを応援しましょう」
「うん!」
怜子とスワンはウルトラウーマンに向かって小走りに走り始めた。
「あらあ? 誰か近づいて来たわよ」
右手を使いながら飛鳥ゆり子がウルトラウーマンの耳元で囁いた。
「ウルトラのおねえちゃあん!」
怜子とスワンはウルトラウーマンの約30メートル手前で足を止めた。
「は……怜子さんに、ス、スワンちゃん!」
ウルトラウーマンのうろたえる様子にゆり子はにんまりと笑みを浮かべる。
「恥ずかしいわねえ。こんないやらしい姿を見られちゃって」
「み、見ないでスワンちゃん。お願い、こっちへ来ないで……」
ウルトラウーマンは眉を寄せて目を閉じた。
「恥ずかしがってももう遅いわよ。こんなにビンビンになったおチンチンをしごかれて喜んでるんだから」
「よ、喜んでなんか……」
「喜んでるじゃない、こんなに固くして。そうだ、仲良しになった証拠にキスして見せましょうよ」
「いや、やめて!」
ゆり子はウルトラウーマンの顎を掴んで強引に唇を重ねた。
再びペニスを握り直してしごきあげる。
「んぐうう……んむ……」
呻きと共に緩んだ唇が深く溶け合い、舌が絡み合う。
「いやあ、やめて!!」
スワンの叫びが虚しく砂漠に響いた。
「スワンちゃん、我慢して。今はウルトラウーマンの反撃を待つのよ」
怜子は震えるスワンの肩を抱いた。
ゆり子は怜子たちに見せつけるように、ウルトラウーマンの舌をゆっくりと吸い離す。
「なんだ。嫌がってるふりして、自分から舌を絡めてきたじゃないの」
「違う、違う………」
ウルトラウーマンは悲し気に首を振った。
「さあ、あの人たちに射精するところを見せてあげて。かなり焦らしたから、たっぷり出るでしょ?」
「い、いや、やめて!」
ウルトラウーマンは目を見開いて訴えた。
「いや? ……でもあたしには逆らえないでしょう? 仕方ないわねえ……。じゃ、おっぱいも触ってあげようか……?」
ゆり子はウルトラウーマンを抱いている左手をずり上げて、豊かな乳房の先で弾んでいる乳首の廻りを撫で始めた。
「う……く……!」
筋肉質の体が細かく震えた。
容赦なくゆり子の右手がウルトラウーマンのペニスをしごきあげていく。
「あ……だめ!」
ウルトラウーマンは思わずゆり子の手首をつかんだ。
ゆり子は淫らな笑みをウルトラウーマンの耳元に寄せると、白い歯でその耳たぶを噛む。
「我慢できる? だめでしょう? ほら出しちゃいなさい。ね、ほら、思いっきり…」
ゆり子はそんなことを囁きながら、左手で柔らかく乳首を刺激し、右手で熱く反り返ったものをしごきたてていく。
「あああ……いや………」
ウルトラウーマンの眉が苦し気に寄せられた。
ゆり子はウルトラウーマンを追い立てながら、横目で怜子たちに視線を向ける。
「まさか………。に、逃げてスワンちゃん!」
怜子はスワンに叫んで、もと来た方向へと走りだす。
「ほらほら出して! …ああ……ほらほら……もう出ちゃう出ちゃう!」
熱い吐息と共に囁かれて、ウルトラウーマンの均整の取れた裸身が強張った。
「ぐうう!」
ゆり子の手を揺るがしてペニスが跳ね、白濁した精液が飛び出した。
熱い塊が怜子とスワンを襲う。
避け切れずに怜子のスカートに精液が粘り付いた。
辛うじて体制を保った怜子は、スワンと共に射精範囲外へと走り出ていった。
怜子とスワンは、やっと恵子たちが乗っているジープにたどり着いた。
「はあはあ……危ない所だった。……ふう………はあ……」
怜子はスカートをつまんで、付着した粘液を恵子に見せる。
「ちょっと待って。それひょっとして、まだ使えるんじゃない……?」
そうつぶやいて、恵子は怜子の顔を見つめた。
「ウルトラウーマンの変身は、スーツその他の装着具も含めて組織を増加させてるみたい。理屈的には、ただ体外放出されただけのものは機能するはずだわ」
「よし。怜子さん、これにその溶液を充填して。今から美波さんの洗脳を解くわ。洗脳されたままだと、そのうち困ったことになりそうだから」
恵子はジープに積んでいたShinoharaType2を怜子に手渡す。
「わかった」
怜子はスカートから掬い取った粘液をカートリッジに詰めてペニスバンドにセットする。
「じゃ、これ」
ペニスバンドを受け取った恵子は、さっさと下半身裸になってペニスバンドを装着した。
「え~と起動は……?」
「これよ」
怜子がボタンを押して器具にライトが点灯する。
恵子は後部座席の美波を振り返った。
「え~と……、うん、そこでやりましょうか」
「え……?」
座席を乗り越えて恵子は後ろへ移動する。
「やりましょうかって、ななな、なにを………」
「なにって……セックスに決まってるでしょ?」
「きゃ~~~!!!」
美波の悲鳴が砂漠に響いた。
「見えないとこでやってよ、もう……。私たちはウルトラウーマンの応援に戻るわよ」
怜子はジープの幌を上げながら言った。
「わかった。私も洗脳を解いたら小林隊長の応援に戻るわ。美波さんは置いてくから、よろしくね」
「分かった。あなたも気を付けて」
怜子はウルトラウーマンたちの方へ視線を向けた。
どうやら1回目の射精を終えたウルトラウーマンは、砂丘の上に身を横たえたままのようである。
「や、やめてください」
「どうして? 基地で何回もしたじゃない」
「で、でも……」
「あそうか、私も上脱いだ方がいい?」
「そ、そういうことじゃなくて……」
「そういうことじゃないって………、分かった、まだ濡れてないのね。じゃ私がお口で……」
「ぎゃ~~~」
すさまじい嬌声が幌の中から聞こえた。
「大丈夫かしら………?」
心配そうなスワンに、怜子は呆れ顔で肩をすくめる。
「なんだ、もう濡れてるじゃない。じゃあいくわよ………」
「ああ、やめてやめてやめて……」
「問答無用!」
「あ~~~!」
「ほうら、ぬるっと入っちゃった………。ほらほら、こう? それとも、こうだっけ………?」
「いやいや……」
「うん? いやなの? ………ほら、これいや……?」
「やだやだ………あ~ん……」
「先生ったら、嫌がりながらすごく締め付けるのね。もう………可愛いんだから………」
「だめ……よ……あ~ん……」
怜子はスワンに両手を広げて見せる。
「ばかばかしい。さ、スワンちゃん行きましょ。今から反撃よ」
「うん!」
砂漠の砂に足を取られながら、二人は再びウルトラウーマンの元に走った。
数回の狂おしい痙攣を経てウルトラウーマンは射精を終えた。
「はあ……はあ……はあ………」
ゆり子から解放されたウルトラウーマンは、砂漠の上に仰向けになって荒い息を吐いている。
ゆり子は仁王立ちでそんなウルトラウーマンを見下ろした。
「ふふふ……、これからあなたを私の女にしてあげる。心も体も、私無しでは生きられないようにね」
ゆり子はウルトラウーマンの脇に腰を下ろして、銀色の髪を優しく撫でた。
再び唇を重ねながら右手でペニスを撫でると、それは訳もなくお腹の上にそそり立っていく。
「さあ私の中に招待してあげる」
ゆり子は両足を開いてウルトラウーマンを跨いだ。
右手でウルトラウーマンのペニスをゆっくりと自分の中に導く。
「うっく……」
「ふう………」
二人の口から熱い息が漏れた。
“ああ……温かい……”
憧れだった飛鳥ゆり子を、ウルトラウーマンはうっとりと見上げる。
お互いの両手を自然と握り合わせて、ゆり子は円を描くように腰のくびれを動かし始めた。
「……はあ……」
ウルトラウーマンは頤を上げて暑い吐息を漏らした。
“飛鳥隊員………、好きです……”
胸の内でそうつぶやきながら、自分のものがゆり子の中でみるみる硬さを増していくのを感じた。
篠原怜子は二人の手前50メートルで立ち止まった。
“いけない。完全に飛鳥隊員の術中に嵌ってるわ”
騎乗位でゆり子と繋がったウルトラウーマンは、快感に蕩けた眼差しを宙にさ迷わせている。
怜子はスワンを振り返った。
「スワンちゃん、目を覚まさせないとウルトラウーマンが危ないわ」
スワンは怜子に頷く。
「うん、おねえちゃんを助けないと」
スワンと怜子はさらにウルトラウーマンの近くに駆け寄っていった。
「おねえちゃん! おねえちゃん!」
ウルトラウーマンの瞳がふと焦点を取り戻す。
「頑張って目を覚まして!」
スワンと怜子の接近に気づいたゆり子が砂を掴んで二人に投げつける。
砂の塊に飛ばされた二人は砂丘の斜面を転がり落ちた。
埃まみれのロングヘア―を振り立てて怜子が叫ぶ。
「ハンナさんも、あなたの勝利を祈ってるわ。飛鳥隊員を洗脳から目覚めさせるのよ!」
ウルトラウーマンは二重瞼を瞬かせた。
“そうだ、スワンちゃんやハンナさんが私を待ってる。愛する飛鳥さんの洗脳を解かなくては”
ウルトラウーマンは飛鳥の両手を握り返すと、渾身の力を込めて上体を起こした。
そのまま腰のくびれを抱いて正常位に体位を移行する。
“お願い飛鳥隊員。悪夢から目覚めて!”
ウルトラウーマンは歯を食いしばって、快感に疼くペニスをゆり子の中にえぐり込んだ。
「あ、ウルトラウーマンが攻勢に転じました。本部長、爆破の時が来たようです」
スクリーンを注視していた島田副官が大河内本部長に言った。
「あ、ああ、その様だな」
言葉を濁した大河内本部長は小林隊長と目を見合わせる。
「何故かあなたには目的を達成する意思が無さそうです。ということは、私はあなたの命を犠牲にしても目的を達成せねばなりません」
島田副官の顔から人間らしい表情が消えた。
まるで人形の様に小林の前に置かれた爆破スイッチボックスに歩み寄ってくる。
「ち、近づくな」
小林は持ち上げた爆破ボックスに銃口を向けた。
「近づくとこの爆破スイッチを破壊するぞ」
島田副官の足が止まった。
小林は爆破ボックスに銃口を突き付けたまま、じりじりと出口へ移動する。
「本部長、部屋の外に出てください」
大河内本部長は後ろ手で握っていたベルトを離してその場に立ち上がった。
「は、早く」
小林はドアの手前で部屋から脱出する大河内の背中を見送る。
その一瞬の隙をついてグレタが小林に襲い掛かった。
まさにグレタのナイフが小林の喉笛を切り裂いたかと思った瞬間、ドアから飛び出した影がグレタの身体を突き飛ばした。
「隊長、早く逃げて!」
ナイフを握ったグレタの手首を掴んで、目加田恵子がフロアに転がった。
「め、目加田さん!!」
「は、早く!!」
押し込んでくるグレタのナイフを耐え忍んで恵子は叫んだ。
その声に押されるように小林はドアから外に飛び出す。
恵子を抑え込もうとしたグレタの身体が突然後方に舞い上がった。
途端に放たれた警備員たちの銃弾をかい潜って、恵子の姿がドアの外に消える。
再び巴投げで不覚を取ったグレタは、飛び起きてドアへ走った。
しかし開けようとしたドアは、外から心張棒を噛ませたように動かなかった。
「早く行くんだ、小林君!」
背中でドアを押えた大河内が小林に叫んだ。
「一緒に行きましょう、本部長」
「やつらに私を殺す理由はないもうない。早くいけ、小林君!」
「本部長!!」
「早く行くんだ!」
小林の目から涙があふれた。
「さあ隊長、行こう」
目加田恵子も小林の手を引く。
「本部長!!!」
そう叫んで小林は出口へと通路を走った。
小林が強く操縦桿を引くと、ようやく旧式のセスナ機は前方のテントを越えて上昇し始めた。
「ふう……」
操縦席の隣で目加田恵子が大きな息を吐く。
セスナ機は徐々に高度を上げ、地上の砂丘が小さな波に見える。
「あ、あそこだ!」
恵子の声で小林は下界に視線を向ける。
ウルトラウーマンと飛鳥ゆり子の姿が砂漠の夕日に小さく輝いていた。
「あとはウルトラウーマンと篠原さんの検討を祈るしかない」
「そうね」
小林の言葉に恵子も頷いた。
小林の目からまた一筋涙が伝い降りる。
恵子はポケットから取り出したハンカチで優しく小林の涙を拭いた。
「ではこれから我々の目的地は……」
「日本よ、隊長」
沈みゆく夕日を背にして、セスナ機はゆっくりと東へ進路を取った。
鋭い眼差しでグレタは小林を睨んだ。
「隊長、そんなことしてどうするつもりなの? これから世界中のどこにも、あなたの逃げ場はないわよ。今なら禁固刑程度で許される。さあ、本部長を離しなさい」
そう言いながらグレタは腰の拳銃に手を伸ばした。
しかし拳銃を掴む直前に、グレタの右手を誰かが掴んだ。
「三度目の勝負は命のやり取りになるわ。出来ればあなたとはそんなことしたくない。お願い、じっとしてて」
後頭部に拳銃を突き付けながら、グレタの耳元で目加田恵子が囁いた。
「く……」
グレタは悔しそうに唇を噛む。
「本部長以外の基地関係者には隣の控室に入ってもらおう。確か中には窓も出入口もなかったはずだ」
小林の提案に恵子が頷く。
「と言うことよ。名残惜しいけど、あなたたちはこの中に入って。余計なことをすると、何が起こるか分からないわよ」
恵子は島田副官とグレタ以下関係者を控室に入れて、ドアノブに椅子を挟んで固定した。
小林は本部長を椅子に座らせてベルトで拘束する。
「さて、爆破は中断したがこれからどうする。いずれ通信がない場合、異常を感知して救出部隊が来るに違いない」
小林は悲壮な顔で恵子たちを見回した。
「早くウルトラのお姉ちゃんを助けに行かなくっちゃ!」
スワンはそう小林に叫ぶ。
「そうねスワンちゃん。でも、今出て行けば掴まって私たちの目的は達成できない。その前にすることがあるわ」
篠原怜子は小林の前に歩み寄った。
「まず本部長の洗脳を解くのよ。そして本部長から部隊を動かしてもらうしか方法はないわ」
怜子の意見に目加田恵子は目を瞬かせた。
「まあ、美人だとは思ってたけど、頭脳も明晰なのね。
「洗脳!? や、やはり本部長は侵略者に操られていたのか。ビアン崇拝者には悪人はいないはずだ」
小林は無表情のままの大河内本部長を見た。
「Type2で洗脳を解きましょう。小林隊長、それを取ってください」
小林からペニスバンドを受け取った怜子は入念にそれをチェックする。
「ふう……、やはり溶液が足りないわ。これでは通常のやり方では洗脳が解けない」
「え! だめなんですか?」
身を乗り出した小林に怜子は頷く。
「でもまだ方法は残されてる。小林隊長、やってくれますか? ここでやれるのは、あなたしかいない」
「わ、私が!? しかしどうやって」
小林は困惑した表情で怜子の顔を見つめた。
「小林隊長、最近出しました?」
「出しましたって……、何を?」
「精液です」
「ひぇ!」
小林は素っ頓狂な声を出した。
「ななな、なんでそんなこと……」
「本部長の洗脳を解くために必要なことなんです」
怜子は冷静な表情で小林の返答を待つ。
「い、いえ………三日間は出してませんが……」
「なんだ四日前に出したの。年の割にはお盛んじゃない」
横から恵子が茶々を入れた。
「それじゃ、たっぷり出ますね」
「たっぷりかどうかは分かりませんが、まあそれなりに……」
「分かりました。とにかくやってみましょう」
「早くして!早くしないとおねえちゃんが………」
スワンが悲痛な叫びを上げた。
小林たちは一斉にスクリーンに目を向ける。
ペニスをしごかれたウルトラウーマンの身体から力がぬけてゆき、上からのしかかるようにゆり子が態勢を入れ替える。
「だめ……飛鳥隊員………」
小さなつぶやきを漏らしたウルトラウーマンの唇を、ゆり子がねっとりと吸いふさぐ。
ゆるゆると上下に揺れるゆり子の手の中で、ウルトラウーマンのものが益々固く弾き立っていく。
「んぐぐ………」
なし崩しに唇を受け入れながら、ウルトラウーマンの眉が苦し気に寄せられた。
“憧れの人にあんなふうにリードされたらとても我慢出来ない。このままじゃノーチャンスだわ。ウルトラウーマン頑張って!”
目加田恵子は画面を見つめながら右手を握りしめる。
“す、素晴らしい………”
小林はそう思いながら、怜子たちに気づかれぬよう密かに息子の位置を修正した。
(女性の皆様へ御説明:変な位置のまま元気になると、ズボンに突っ張って痛いのです)
“2回分しかチャンスは無いのよ。私たちが行くまで頑張って、ウルトラウーマン”
怜子は祈る様な眼差しでスクリーンを見つめた。
今や全世界が興奮に包まれていた。
不法に映像が流出し、各家庭、職場はおろか、一部街角スクリーンにまで現地の状況が映し出されて、人々の目はその映像に釘付けになった。
ことにビアン愛好者は感動の涙を流しつつ画面に見入っていた。
もうティシュ箱片手に一度目の作業を終え、引き続き二度目に入っている人がおり、要領のいい方は後でゆっくりというんで、録画に専念している人もあった。
中には子供がいるとか、奥さんに理解がないとかいう理由で、泣く泣くテレビのスイッチを切られちゃったという不幸な方もいた。
また、それを見るために奥さんを叩きだしちゃったという豪の者もいたようである。
(注:後日総務省の統計によると、ビアンな奥様の家庭では逆のケースもかなりあった。これは推奨されるケースで、慶賀の至りと発表された)
画面の中では飛鳥ゆり子がウルトラウーマンを快楽の虜にすべく、いよいよ激しくオーガズムに追い立てていた。
「ああ! ウルトラウーマンが危ない!!」
「やれやれ、ゆり子やっちまえ~!」
「ああ素晴らしい……。願わくばこのひと時が永遠に続くくことを………」
そんな様々な思いとともに、大地の上に巨大な裸身を絡ませて、飛鳥ゆり子とウルトラウーマンの死闘は続いていた。
地球防衛軍指令室の中。
大型スクリーンの中では、まるで幼子の様にウルトラウーマンが飛鳥ゆり子の胸に抱かれていた。
「あ……ああ……だめ、やめて………」
「このままやめていいの? ほらほら……」
まるで母親の様にゆり子は耳元でささやく。
ただ母親とは違うのは、白い指で脈打つものの先から透明な先走りを絞り出していることだった。
怜子は眉を吊り上げた。
「もう一刻の猶予も無いわ。早速取り掛かりましょう」
「取り掛かるって、いったいどうすれば……」
戸惑う小林に怜子は口を開く。
「くわしく説明してる暇はありません。恵子さんは下を脱いでこのペニスバンドを着けて」
「わかった」
「わかるの?」
さっさとズボンを脱ぎ始めた恵子に小林はつぶやく。
「小林隊長、ぼんやりしてないで、あなたも下を脱いで」
「ええ~!!」
思わず小林は突っ張ったズボンの前を押えて叫んだ。
「本部長の射精と小林隊長の射精との化学反応で、洗脳解除の効果を増幅させて溶液が足りない分を補うのよ。いわゆるX射精効果ね」
「え~、汚ったね~」
恵子が眉をひそめる。
「そ、そんなこと出来る訳ないじゃないですか!」
小林は叫んだ。
「もう四の五の言ってる暇はありません。一人で難しければお手伝いします。恵子さんの介助をご希望なら、私がペニスバンドを着けます」
「いえ、出来れば篠原さんに……」
小林は即座に要望する。
「何が出来ませんよ。出来るじゃないの!」
ペニスバンドを着け終わった恵子が叫ぶ。
「じゃ、スワンちゃん。本部長のズボンも脱がせて」
「わかった」
スワンは両手を使えず拘束されている本部長のベルトを緩め始めた。
「や、やめろ。やめてくれ!」
「大丈夫よ、おじちゃん。きっと気持ちいいよう」
「ほんと………?」
スワンにうまく誘導されて本部長は下半身裸になった。
「じゃあ恵子さんはフロアに胡坐をかいて、本部長を後ろ向きにのっけて合体。専用ローションんもここにあるから使ってください」
「了解」
恵子がローションを使うと、装着した本物そっくりのペニスバンドが濡れ光って勃起した。
「じゃ、そちらは手早く合体しちゃって。小林さん、こちらも準備しましょう」
恵子は胡坐をかいた恵子の位置を確認して小林を誘導する。
「あお~~~~!」
怜子の背後で本部長の遠吠えが聞こえた。
「入りました……?」
小林の方を向いたまま怜子は恵子に尋ねる。
「ええ、ずっぽり」
「おじちゃん、痛い?」
「い、いや………だんだん気持ちよく……う……」
大河内本部長の返事が聞こえた。
「ふ……よかった」
怜子は少し表情を和らげて小林を見上げる。
「いつもどのくらい飛びますか?」
「どどど、どのくらいってよく分かりませんんが……、たぶん1メートルちょっとは……」
「ゴルフじゃないけど、年齢の割には飛ぶのよ小林隊長。あはは……」
恵子に笑われて小林は顔を赤らめる。
「おそらく興奮状態で2割は余分に飛ぶわね。ではここでズボンを下ろします」
怜子は1.5メートルほどの距離で小林と本部長を正対させた。
「じゃ、脱いで射精の準備しましょう。隊長失礼します」
怜子は小林のズボンのベルトを緩めて、パンツもろとも引き下げた。
「あら………、隊長もう準備出来てますね」
怜子が驚いたようにつぶやいた。
小林のものは、小さいながらも元気に上を向いていたのだ。
目加田恵子は大河内本部長の大きな体を腰の上で揺さぶり上げながら、硬くなったペニスを右手でしごいている。
「あうう……ああ……もう、もう出そうだ……」
「まだ駄目よ!」
恵子は本部長の尻を左手で叩いた。
小林に右手を使いながら怜子は恵子を振り返る。
「目加田さんどう? いく感じが分かる?」
「すごいわこの器具、相手がいきそうなのも手に取るように分かる。本部長はもうすぐよ」
恵子は本部長をしごきながら言った。
「わかった。じゃあスワンちゃん、目加田さんを直前まで追い上げちゃって」
「OK!」
スワンは恵子の横に寝そべると、乳房を揉み上げながらディ―プキスをする。
唾液の線を引きながら恵子の口元から首筋へとスワンの唇が滑り降り、そのまま体中に舌が這いまわる。
「ああ……すごい、込み上げてきた……」
恵子が切羽詰まった声を出す。
「恵子さん、我慢して! スワンちゃんこっちをお願い!」
「OK!」
スワンは素早く小林の下に滑り込んで、揺れる玉にしゃぶりつく。
「あおおおお~う………」
小林隊長が遠吠えの様な声を上げた。
「恵子さん、解除は本部長のオーガズムから3分程度の余裕があるの。まず本部長をいかせて、その後あなたが射精して」
「わかった。我慢する」
涼子は右手の動きを速めながら小林を見上げる。
「さあ、出るときは教えてください!」
涼子の指が忙しなく動き、小林のしわ玉がスワンの舌で転がされる。
「ああ~~~! 出ます出ます出ます!」
小林は叫んだ。
「隊長、我慢して! 恵子さん頼みます!」
涼子はそう言いながら恵子を振り返る。
「いくわよ!!」
右手で勃起したものをしごきながら、恵子はでこぼこ道のバスのように本部長を突き上げた。
「あおおおおお!」
大河内本部長のものが二十歳代のやんちゃ坊主のようにはねた。
堰を切ったように白濁した塊が宙を飛ぶ。
「ほうら隊長も、思いっきり!!」
涼子の手を押し広げるようにして、小林のものから熱い情欲が飛び出す。
「んが!!」
大河内本部長と小林隊長、左右から飛び出したザーメンがまるで“サインはV”の“エックス攻撃”のように交差した。
交差部分で発生した稲光が本部長の体を包む。
「あは……おやじのお尻いい……くうう…出ちゃう!!!」
直後に本部長の奥深くで恵子のペニスが跳ねた。
「うぐ! ……気持ちい……く………」
幾度も快感を吐き出しながら、引き締まった恵子のお尻が断続的に震える。
「ふんぐうう!!!」
虹色の輝きが大河内本部長を包み込んだ。
「は………私はここでなにを………」
小林以下4人が見つめる中、大河内本部長はうっすらと目を開いた。
「本部長、お気づきになられましたか」
「君は………? あ、あれは!!」
小林の背後にあるスクリーンを見て大河内は声を上げた。
スクリーンの中には、全裸で悩ましく絡み合う巨大な女性たちが映し出されていた。
「す………素晴らしい……」
「本部長!!」
小林は目を輝かせた。
「この素晴らしい情景を、本部長は爆破せよとの命令を出されたんですよ」
「ば、ばかな!」
大河内本部長はフロアから立ち上がった。
「こんなに美しい女性たちの交流を爆破するなんて、そんな罪深いことをしては断じてならん!」
涼子は小林と顔を見合わせた。
「成功ね。洗脳は解けたわ」
「篠原さん」
小林隊長は涼子と手を握り合った。
「隊長」
「はい!」
「もうズボンを履いたほうがいいと思うけど……」
小林の股間には、一世一代の大仕事を終えて疲れた息子がぶら下がっていた。
「あ!」
小林隊長は慌ててズボンをずり上げる。
“ドスン! ドスン!”
控室の中から、警備兵たちがドアに体当たりして壊そうとしていた。
「早くウルトラのお姉ちゃんを助けに行かなくちゃ!」
「そうね、行きましょう」
涼子はスワンにうなづいた。
「篠原さん、早くウルトラウーマンの応援に行ってください。私は本部長に隊員の統制をとってもらうためここに残ります。それから目加田さん、二人を頼みます。目的達成するため、二人を守ってください」
「わかってるわ隊長、任しといて」
篠原涼子、目加田恵子、スワンの3人は立ち上がって部屋を走り出ていく。
ドアの向こうで恵子が小林を振り返った。
「小林隊長、見直したわ。次は五反田の居酒屋で会いましょう」
小林隊長は恵子を敬礼で見送った。