Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
カテゴリ: 八十八十郎劇場
「元禄江戸異聞 根来」 作:八十八十郎(はちじゅう はちじゅうろう)


(五十九)


 出入りの商人だろうか、各々背袋や天秤棒を担いだ男女が数名、外堀の石垣上に佇んでいる。
 一人の女商人が城内に向けて走り出したのを合図に、商人たちは急ぎ足で城下へと姿を消した。

 程なく慌ただしく走り込んで来た侍たちは呆然と辺りの草原を見回す。
「こ、これは……」
 お庭番の報告通り、警護の侍三人と一人の腰元が草原に転がっていた。
 毒を盛られたのか、全員が食べ物の散乱した中に苦悶の表情で絶息している。
「若とあの清国人の姿がない。すでにお庭番は城下に散った。城内に居る者、非番で居宅の者全て集めて、我々も藩内を隈なく探し回るのだ」
 引き続き城の中から駆けつける家臣たちに合図をすると、一同は城下へと続く下り坂を駆け下りて行った。

 昼下がりの好天が嘘のように、暗い雲が空を覆い始めた。
 足軽たちが城内に亡骸を引き上げるや否や、ぽつぽつと雨粒が地面に音を立て始める。
 次第に強まりゆく雨が植込みを叩くなか、石垣の入隅で腰まで伸びた藪が不自然に揺れ動いた。
 内堀の排水口か、雑草を透かして石垣の根元に尺五寸(45㎝)四方ほどの小さな穴が見えて、中から支那服に身を包んだ春蘭が這い出て来た。
 用心深く辺りを窺うと、空堀の外が見渡せる石垣の先端へと向かう。
「うふふ、やはり私たちの様に揉まれていない日の本の田舎侍は容易いものね……」
 余裕の笑みで石垣下の駕籠かきに合図を送ろうとした時、
「やはりお前だったか……」
 背中のつぶやきに春蘭は振り返った。

 降りしきる雨の向こうから、大刀を杖代わりについた若侍が射貫く様な視線を向けていた。
「どうやら、皆の様に素早く動けなかったのが功を奏したようだ」
 大石桔梗は鞘の房を噛んで、眉を寄せながら右手で大刀を抜き取いた。
 落ちた鞘が地面に音を立て、左手が背負うた小刀を引き抜く。
「当藩士、大石桔梗と申す。若はいずれに?」
 悲壮な面持ちで問う桔梗に、春蘭は不敵な笑みを浮かべた。
「二刀流……、生きていたのですね。しかしその様子では、かなりの深手を負っているよう……。もうこれ以上無駄な忠義を立てぬ方がよろしいのでは?」
 桔梗は凛とした眉を寄せて大小を目の前に構えた。
「下の仲間に合図を送ろうとしていたところをみると、若もこの周りにおられるのだろう。
 大人しく若を引き渡さねば、この剣にかけて取り返すまでだ」
 斜に構えた野太い刃を本降りとなった雨のしずくが伝い落ちる。
「うっふふふ、いよいよ侍とは愚直なもの……。その武骨な刀をまともに振れるようには見えませんが、では、手早くお相手しましょう」
「侍を伝えるにはまだ未熟だが、今はただ、若をお助けするばかりだ」
 その身体を春蘭に正対させると、桔梗は刀を掴んだ両手をゆっくりと下げた。
 そのまま大小を八の字に構えた身体から、何故か力みが抜けていくようにさえ見える。
 “ふうん……”
 挑発に動じぬ相手に、春蘭の顔から笑みが消えた。

「いずれにせよ、その身体では私に傷ひとつ付けることは出来ません」
 春蘭は肩越しに背袋へと両手を上げる。
 上に突き出た黒いものを掴んだ次の瞬間、雨を切り裂く空気音が巻き起こった。
 “鞭……?”
 桔梗が目を見開いた先で、各々十尺(3メートル)ほどもあろうか、春蘭の両手に握られた黒い鞭が地面にうねっていた。
 ゆっくりと踵が地面を離れて、春蘭のしなやかな身体が宙に浮き上がる。
 両手の鞭を地上に遊ばせながら、まるで踊りでも踊るかのように、桔梗を中心にその動きが円を描き始めた。
 長い足を一歩円の中心に踏み出した時、
 “ん……!”
 思わず春蘭はその爪先を止めた。
 地面を向いた桔梗の切っ先が微かに上向いた時、静けさの中から突然マムシが飛びかかる様な殺気を覚えたからである。
「なるほど……。気で壁を作るとは、伊達に噂になってはおられませんね。しかしその身体でどこまで威勢を張れるか……、私も気を取り直して参りますよ」
 大きく開いた股割れから長い右足が覗いた時、春蘭の上半身が鋭くしなった。
 流れるような華やかな動きに反して、その後から稲妻が空気を切り裂いてくる。
 一瞬桔梗は右手の大刀を身体に引き寄せた、的を外された鞭が右肩先を襲う。
 “く!!!”
 皮を叩く湿った音と共に羽織が破れて、桔梗は激しい痛みと共に生暖かい血が右手を伝うのを感じた。
 “柔に身を任せた先に勝機が……”
 一瞬猿飛の言葉が桔梗の脳裏をよぎった。
 息つく暇もなく地を這って襲い来るもう一本の鞭を、桔梗は飛び上がって交わす。
 顔を歪めて着地した桔梗を再び鞭が襲って、今度は右手の大刀にきつく絡み付いた。
 得物を制そうと春蘭が右手の鞭を引き絞った途端、桔梗はその春蘭に向けて突進した。
「あ!!」
 一瞬虚を突かれた春蘭は、慌てて左手の鞭を振るう。
 無情にも片足を鞭に絡まれた桔梗は、濡れた地面に水しぶきと共に転がった。

 春蘭は大きく右手を振るって桔梗の大刀を背後へ飛ばす。
「さあ、もう先が見えましたね。その身体と短い刀一本で、私の二本の鞭が防げますか?」
 唇を噛んで春蘭の言葉を聞きながら、桔梗は足から外した鞭をきつく右手に絡み付ける。
「ふふ、なるほど。自ら鞭に絡んで一本を失くしたつもりですか。いいでしょう、一本になった者同士、改めて参りますよ」
 再び春蘭の左手がしなって、風を切った黒い稲妻が桔梗を襲う。
 身を丸めた桔梗の背中で絹を引き裂く音が上がった。
 裂けた衣の間から白い肌が覗き、みるみるその上に赤い血の道が滲み出る。
 続けて襲い来る鞭が、転がって逃げる桔梗の身体を二度三度と襲った。
 泥の混じった雨水に汚れ、裂けた着物がぼろ布と化していく。
「いかに気位の高い侍と言えど、こうなると哀れなものですねえ。うふふふ……」
 そう嘲笑を漏らした春蘭に桔梗は顔を向ける。
「く……こんなことでは私のとどめは刺せんぞ……」
 桔梗は歯を食いしばって立ち上がった。
 右手の鞭を引き寄せながら、桔梗の左手の小刀が弧を描く。
 危うく横に身を避けた春蘭は、桔梗の追撃を二間(3.6メートル)の距離で交わし続ける。
 互いに鞭を掴み合ったままの近距離では、もう一方の鞭を振るうことも難しいのである。
 いよいよ石垣の先端が背中に迫った時、とうとう春蘭は桔梗に掴まれた右手の鞭を手放した。
 怪我で動きの遅い桔梗の太刀を交わすと、がけっぷちで長い足を高く振り上げる。
 その足が踵落としに桔梗の左手を襲うと、蹴り落された小刀が石垣の下に落ちて行った。
「さあどうやら勝負あったようですね。武器が残ったのは私の方です」
 余裕の表情を向ける春蘭を、桔梗は悲壮な面持ちで睨み返す。
「まだ勝負はついておらん。命あるうちは、私の役目は若を取り返すことだ」
「ふ……」
 その言葉を鼻で笑った春蘭は、桔梗の背後へ目を向ける。
 石垣から空に手を差し伸べる様に、一本の太い松の枝が空堀の上に伸びていた。
「武士は辱めを受けるより死を選ぶとのこと……。あなたには、それにふさわしい最期を迎えていただきましょう」
 次の瞬間春蘭の左手が一閃して、その鞭が桔梗の首に巻き付いた。
 そのまま桔梗の身体を引き倒した隙に、二本の鞭を素早く結び合わせる。
 必死に起き上がった桔梗が我が身もろとも相手を崖下に落とそうとした時、春蘭のしなやかな身体が崖から空中に舞い上がった。
 松の枝に鞭がかかって、その下に春蘭の身体がぶら下がる。
「ぐうう!」
 桔梗は足を踏みしめると、首を締める鞭を両手で掴んでうめきを上げた。
 もう相手との距離を縮めて攻めを殺す手は使えない。
 近付けば崖から落ちて首を吊ることになってしまうのだ。
 雨でぬかるんだ土で、崖に向かってずるずると足が滑る。
「あっははは、さあもうあと少し」
 笑い声とともに春蘭が大きく前後に身を揺らすと、桔梗の身体がぐいぐいと崖に引き寄せられていく。
 深手を負ったせいで、右手にはほとんど力が入らない。
 首を締め付ける鞭に逆らえば逆らうほど、意識が遠のいていくような気がする。
 “くう……ら、羅紗様……”
 桔梗は思い切って鞭から左手を放した。
 途端に崖に向かってずるずると身体が滑っていく。
 鞭を掴んだ春蘭を見つめながら、桔梗は左手を懐に差し込む。
 朦朧とした視界に崖が迫った時、桔梗は必死に小柄を掴んだ左手を振った。
「きゃああ~~!!」
 ふと鞭の力が緩んで、春蘭の悲鳴が下方に消えていく。
 崖の手前で仰向けに倒れた桔梗の顔を、秋の冷たい雨が叩いた。

「若!」
 狭い排水溝の奥に、頭を外に向けた鶴千代が横たわっていた。
 桔梗は必死でその身体に左手を伸ばす。
 “ふう……。眠らされているだけだ”
 若の首筋から桔梗の手に、温かい命の鼓動が伝わって来た。
 “よし。城から助けを呼んでこよう”
 今の桔梗の身体では、とても若を担いで戻ることは出来そうにないからである。
 やっと身を起こした桔梗は、城に向けてよろめきながら歩き始めた。
 途中泥にまみれた鞘を拾い上げた桔梗は、飛ばされた大刀を求めて周囲に視線を巡らす。
 少し離れた石垣の根元に、地面から湧き出る様に立ち込めた白い霧を見つけた。
 誘われるように桔梗はその霧に近付いて行く。
 “こ、これは……?”
 石垣の根元に尺角(30㎝角)ほどの城の礎石があり、その横で鉄をも噛む胴田貫の大刀が真っ二つに折れていた。
 白い霧に足を踏み入れると、桔梗は折れた大刀を拾い上げた。
 そして何故か何者かの声を聞く様に、辺りを見回したのである。


「女官に? 大石殿、何故そのような……」
 初音は目を見開いて桔梗の顔を見つめた。
「その時、私は再び父上の声を聞いたのです」
「左内様の声を……?」
 桔梗は訝し気な目を向ける初音にゆっくりと頷いた。
「はい……。白い霧が父上と蔓の顔になって、どこからか声が聞こえて参りました」
 初音は言葉もなく桔梗の顔をじっと見つめる。
「その声が、剣を捨てて城にお仕えせよ、と……」
「剣を捨てお城に……」
 桔梗に傾けていた上体をゆっくりと起こして、初音は静かに目を閉じる。
「ご家老様がそう申されましたか……」
 しばらくの沈黙の後再び目を開けた初音は、これまで見せた事の無い様な穏やかな表情を浮かべていた。

「やっと私も国に帰る時が参りました」
 桔梗は大きく目を見開いた。
「い、今何とおっしゃいました?」
 初音は桔梗に笑みを向ける。
「私の思い描いていた方が、このように近くに居られたとは……。十五で羅紗様にお仕えして以来三十年。これからは桔梗様、羅紗様をよろしくお願いします」
「そ、そんな!」
 桔梗は初音に驚愕の眼差しを向けた。
「何をおっしゃいます! 初音様にはこれからも末永く、羅紗様や私共をご指導いただかねば……」
 初音は静かに首を横に振った。
「いいえ。私は羅紗様を思うがあまり、曲者の罠に落ちてしまいました。もうその時が参ったのです。子供の頃を思い出して時折夢に見た、ふるさとの野山に鍬を振るう時が……」
 初音を見上げる桔梗の目が、みるみる赤く潤んでいく。
「女官ではなく……、いえ初めは女官でも構いませぬ。昼夜を問わず、お近くで羅紗様をお支えください」
「は、初音様……」
 桔梗の目から大粒の涙がこぼれ落ちた。
「羅紗様には殿方ではなく、あなたの様に強い女の方が必要なのです。桔梗様、私の一生の願い、どうかお聞き届けください」
 そう訴えて両手をついた初音に、桔梗も涙ながらに頭を下げたのである。
元禄江戸異聞 根来(五十八)目次【マッチロック・ショー】フェアリーズ・パーティ(Ⅰ)
「元禄江戸異聞 根来」 作:八十八十郎(はちじゅう はちじゅうろう)


(五十八)


 二の丸を吹き抜ける風に、羅紗は襟元を掻き合わせた。
 すでに長月(旧暦9月・新暦では10月ころ)に入ったにも関わらず、鶴千代の一件で季節の移ろいさえ忘れていたような気がする。
 欄干から身を乗り出して、羅紗は眼下に甲斐甲斐しく動く腰元たちを頼もし気に見つめた。
 無事若が城に戻ったことを契機に、本日遅れていた衣替えの着手を一同に申し渡したのである。

 ふとそんな羅紗の鼻先に、何故か芳しい香りを乗せた秋風がそよいだ。
 その小顔に愛らしい笑みを浮かべた春蘭が、いつの間にか背後に近付いていたのである。
「おめでとうございます、羅紗様」
「うん。鶴千代の元気な顔を見て、昨夜は久しぶりに良く眠れた」
「まあ……、それは何より」
 羅紗は思わず春蘭と手を取り合い満面の笑みで頷いた。
「今朝初めて若様に拝謁した折、私の身なりや生まれ育ちにたいそう興味をお持ちになり、機会があれば大陸の話をお聞きになりたいとの思し召しでした」
「ほうそうか……、それは鶴千代にとっても将来の糧になりそうじゃ。では部屋を設える故、よろしく頼みます」
「いえ、羅紗様……」
 春蘭の黒目がちな瞳が輝きを増す。
「いくら話や書物で学ばれても、実地での経験が無ければ身に着くものではございません。もしよろしければ、私が城下をご案内しながら清国との違いをお教えしたいと思うのですが」
「う、うむ……。お前の申すことは分からぬではないが、それは……」
 そう呟いた羅紗の顔を春蘭は笑顔で覗き込む。
「大丈夫でございますよ。城下のごく近くを廻るだけですし、もしご心配なら手練れの警護を二三名お付けになれば……」
 春蘭の言葉にしばし目を移ろわせた羅紗であったが、やがて意を決して顔を上げる。
「よし。では警護と腰元を数名随行させよう」
 春蘭はその顔を明るく輝かせた。
「はい、善は急げと申します。この度の一件、災い転じて福となさねばなりません。若の熱が冷めぬうちに明日にでも」
「わかった。大殿にもお伝えし、準備をさせていただく」
 そう表情を引き締めた羅紗に春蘭は濡れ光った眼差しを向けた。

「羅紗様におかれましては、このところ国境まで出向かれ、しばらくお楽しみもないままに遊ばされました。此度は無事若君を迎えられ、それまでの御心労も報われた今、もう心置きなく御心をお解き放ちください。せめて私の前ではご存分に……」
 春蘭のほっそりとした両手の指がするすると羅紗の指に絡み付いてきた。
「夜までお待ちくださいますか? それとも、とりあえずここで毒気をお抜きしましょうか……?」
「お、お前何を……?」
 音もなく身を摺り寄せて来た春蘭に、羅紗は戸惑い気味のつぶやきを漏らした。
「もしや、もう御身を固くしておられるのでは……?」
 しなやかな指が羅紗の手元を離れて、微かに膨らんだ帯下の合わせ目を摩った。
「お前、何をそのような!」
「お隠しになっても駄目ですよ。久しぶりに近くで私のにおいを嗅いで、もう思し召しでいらっしゃるのでしょう?」
「ち、ちが……」
 慌てて春蘭の手を払おうとした時、
「母上!」
 そう呼びかける声に、羅紗は欄干から下へ視線を落とした。

 鶴千代の無垢な眼差しが三階櫓の上に向けられていた。
「衣替えが始まったと聞き、久しぶりに皆の務めを学んでおります」
「そうですか、それは感心な事」
 羅紗は嬉しそうな笑顔を外から見上げる鶴千代に向ける。
「お帰りになったばかりだというのに、鶴千代様には本当に感服致します」
 そう羅紗に賛辞を送りながら、何故か春蘭は支那服の切れ目を開いてその場に身をかがめた。
「鶴千代……、皆の務めを学ぶのはよいが邪魔をしては、ひ……!」
「母上……?」
 欄干の腰板の陰で春蘭の両手が着物の裾を押し開いて、その間から羅紗の猛々しいものが突き出ていた。
「このままお世話いたしますがゆえ、羅紗様にはご遠慮なく若様とお話を……」
 上目遣いに囁きながら、春蘭は羅紗のものを右手で掴む。
「ば、馬鹿を申せ! こ、これ……う!」
 固くなったものをぬるぬると熱い口中に吸い含まれて、たまらず羅紗は身を震わせた。
「は、母上? どうかなされたのですか……?」
「な、何でもありません。お前も皆の邪魔をしてはなりませんよ」
「わかっています、母上……」
 みるみる顔を赤らめた羅紗を鶴千代は不思議そうに見上げる。
「うふふ。たくさんお溜めになって、もうすぐ出てしまいそう。この上もなく固とうなっておいでです。さあ、若とお話になりながら遠慮なく気をお晴らし下さい。畏れながら私の口でお受けいたします」
「や、やめ……」
「母上、誰かとお話なのですか……?」
 うつむいて咎めようとした羅紗は慌てて顔を上げた。
「い、いえ、誰も居ませんよ。その……本日のお勤めを考えていたのです。鶴千代、昼餉は初音に……うく!!」
 反り上がったものを吸われながらふぐりを揺さぶられて、羅紗は爪先だって背筋を震わせた。
 白魚の様な指先がまとわりついて、溢れるほど溜まった子種をふぐりから竿へと追い立てられる。
 泣きたいような快感が怒張の根元に押し寄せる。
「昼餉は初音ばあに頼めばよいのですか?」
 頑是ない鶴千代の視線に羅紗は必死で頷いた。
「ええ、もう初音にたの……ん………ぐ……」
 音を立てる様に、羅紗は最初の塊を春蘭の口中に放った。
 咥えたまま飛び出しやすい角度に怒張を向けて、春蘭は優しく睾丸を揺さぶる。
「では初音のところに行けばよいのですね?」
「ええ、……そ…そうで………す。……う……気を付けて……い、……うぐ……行き……な……さい……」
 爪先立って鶴千代に答えながら、羅紗は三度四度と春蘭の口中に精を放った。
「では母上、行って参ります」
 まだ怒張に残る雫を吸い出されるままに、羅紗の身体が小さく弾む。
「はあ……ふう……ふうう……」
 目くるめく快感が過ぎ去った後、羅紗は軽いめまいを覚えた。
 まだ脈打っているものをきれいに舐め上げると、春蘭はゆっくりと立ち上がる。
「もうお溜めになっていたものは全部いただきました。今宵はまた新しくおつくりになった子種を思うがまま私に……」
 羅紗は春蘭の顔からゆっくりと目を伏せた。
 我が子の前で気を晴らした後ろめたさと裏腹に、我が身の奥底に灯る妖しい炎を感じたからである。


 ふと眠りから覚めた帯刀紫乃は、眉をひそめて辺りを見回した。
 もう日も高くなっているのだろう、外に面した障子に庭の植え込みが濃い影を落としている。
 柔らかい弾力を頬に感じると同時に、甘い汗の香りが鼻をついた。

 “は……”
 慌てて顔をもたげた紫乃は、自分が春花の裸の胸に抱かれていることを悟った。
 前後の春花秋花ばかりか、自分も一糸まとわぬ裸のまま川の字で寝入っていたのだ。
 途端に昨夜の悪夢が脳裏によみがえってくる。
 “ああ……”
 たまらず紫乃はその目を固く閉じ合わせた。
 お蝶たちが姿を消した後、紫乃は両手を制されたまま双子の部屋に連れ込まれたのである。
 否応もなく二人の女に全身を弄ばれた。
 柔らかい女体に絡み付かれ、全身を指と舌が這いまわった。
 三度目の大きな愉悦の波に叫びを上げた後は、もう何度極みに揉まれたかも覚えていない。
 とっくに手首の枷が外れたにもかかわらず、処女を失くしたばかりの潤みを女たちに貪られるままに、相手に抱きすがって快感の泣き声を上げたのだった。

「うう……ん? 紫乃さん、目が覚めたのかい……?」
 身じろぎして朦朧とつぶやいた春花から、紫乃は急いで身を引いた。
「ああ……あ~~よく寝た……。昨夜は久しぶりに思いっきり満足したからねえ……」
 後ろの秋花も薄っすらと目を開いて大きな伸びをする。
 紫乃は急いで脱ぎ捨てた襦袢を肩から羽織った。
「うっふふふ、今更そんな体裁付けたってもう遅いよ。ほら、見てごらん……」
 その言葉に紫乃が恐る恐る振り向くと、春花が恥ずかしげもなく裸の両足を開いていた。
 内腿の抜ける様な白い肌に何やら赤い模様が見える。
 目を凝らしてよく見ると、小さな朱色のあざが半円型に並んでいた。
「分からないのかい? あんたに噛まれたんだよ。あたしあんたのそこを舐めながら“痛い!”って言ったんだけど、どうやら聞こえなかったみたいだねえ……」
「あっははは、ちょうど極みの最中で、噛みつきながら腰を振ってたからねえ」
「だ、だまれ! そんなこと嘘です!」
 紫乃はそう声を荒げると、話に割り込んで来た秋花から顔を背けた。
「あはは、もう昨夜の話はこれくらいにして。あたしお腹空いちまった。秋ちゃん、何か食べに行こうよ」
「ああ、そうしようか。紫乃さん、これから仲間になるんだから仲よくしようよ。身じまいが済んだら勝手場においで。この大店、いつも御馳走が用意してあるんだよ。じゃ、先に行ってるからね」
 春花と秋花は短い白ふんどしを締め、膝上までの単衣を腰のくびれに帯を巻いて座敷を出て行った。

 “伊織様……”
 その名前をつぶやいた時、紫乃は胸の内が締め付けられる思いがした。
 敵の目を欺くためとはいえ、獣の様に相手と情を交わしたのである。
 今も全身の肌が互いの唾液や体液の名残で粘つき、三人の甘酸っぱい体臭が離れないのだ。
 “私は何ということを……”
 そう思って紫乃が両手を握り締めた時、ふと頭の片隅にお蝶の透き通った眼差しが浮かんだ。
 “本当は……、伊織様には貴女のような方がふさわしいのです……”
 “伊織様を頼みます。紫乃さん……”
 帯刀紫乃は顔を上げた。
 庭に面した障子を細く開けてみる。
 三間ほど先にそう高くない六尺ほどの外塀が見えた。
 手前の大きな庭石に登れば、屋根に腰まで届きそうである。
 障子から顔を出して辺りを窺うと、商いで忙しい頃合いか屋敷の裏手に当たるこの庭には全く人気はない。
 “よし、今だ”
 紫乃は急いで部屋の隅に渦巻いていた褌を取り上げ、引き締まった尻に締め付けた。
 そのまま羽織はかまを着込むと、もう一度外を窺って大きく息を吸い込む。
 まなじりを決した紫乃は、大きく障子を開け外塀手前の庭石に向かって足を進めた。


「ではそろそろお昼にいたしましょうか。下調べではあの城壁が景色も良く、城下を一望できると思われます」
「おお、それはよい考えじゃ」
 春蘭の呼びかけに対して、護衛の一人が笑顔で頷いた。
 折からの好天で午前中の視察は滞りなく終わり、本日は城の外堀まで戻って昼餉をいただき帰城する予定である。
「本日はいろいろな話を聞き面白かった。また頼むぞ」
「はい、お喜びいただいて嬉しゅうございます。では、こちらへ……」
 鶴千代と春蘭を先頭に、護衛三名腰元一名は外郭の石垣の上に足を進める。
 城壁の上の草原に陣取ると、なるほど春蘭が言う通り城下を一面に見渡すことが出来た。
 城壁といってもまだ大手門より外に位置して、城を出た開放感がある一方、一般庶民は足を踏み入れぬ場所である。
 この空堀の上にそびえる石垣は城の内部からも目の届かぬ、いわばのんびりと足軽たちが休息する場所にもなっていた。

 城下を向いて鶴千代を先頭に腰を降ろすと、腰元が竹折を配り始める。
「苦しゅうない。皆の者昼餉をいただきなさい」
 鶴千代が箸を付けたのを合図に、一同折の蓋を開けて食べ始める。
 春蘭は降ろした背袋の中から何やら竹筒を取り出した。
「本日はお疲れ様でございました。もうお城も目前、昼餉の足しにと清国の酒を少々お持ちしました。お味見いただければ幸いです」
 護衛の一人が戸惑った表情を浮かべる。
「いやしかし、お役目の途中でそうゆう訳には……」
「なに、もうお城は目の前。一杯ずついただく位は別段ことのこともありませんよ。それに鶴千代様ご帰還後最初のお役に就いた私達ではありませんか。ここは私達だけのお祝いということで……」
 春蘭から視線を向けられた鶴千代は、箸を休めて一同を振り返る。
「うん、苦しゅうない。私に構わず飲むがよいぞ」
 護衛たちの顔に笑みが浮かんだ。
「そ、そうでございますか? ははは御一同、では遠慮なくいただくとしますか」
「どうぞどうぞ。ではこれを……」
 竹筒が回るのを見つめる春蘭は、やがてその眼差しをゆっくりと城壁の下へと向ける。
 そして城壁から城下へ出た先に、何やら人相の悪い駕籠かきの姿が見えたのである。

 茣蓙を擦る涼やかな音が目の前で止まった。
「苦しゅうない。面を上げなさい」
 片手をついて顔を歪めると、大石桔梗はようやく上体を起こす。
「大石桔梗。ただいま戻りました」
「大石……」
 凛々しく上げた桔梗の顔を見つめながら、羅紗の目にみるみる熱いものが溢れた。
「よ、よくぞ無事で戻った……。そして伊織様と共に鶴千代を助け出したこと、心より礼を申す……」
 再び痛々しく頭を下げる桔梗に、羅紗は膝を擦って近づく。
「も、もうよい桔梗。見れば深手を負っておるのに、すぐ傷の手当てをいたせ」
「は、はい。して、鶴千代様はどちらに……?」
「うん、本日は城下に学びに出ておる。今、清国から女の客が来ておってな。大陸のことを教えてもらっておるのじゃ」
「清国から……?」
 桔梗は怪訝な表情で羅紗を見つめた。
「うん。それが小浜で若を見たとか申してな」
「小浜で!」
 桔梗は大きく目を見開いた。
「うむ。し、潮影にもおったと申したが、それが……?」
 潮影の港で見た支那服の女が桔梗の脳裏に浮かんだ。
「今どこに!!」
 脇の大小を掴むと桔梗は唇を噛んで立ち上がった。
「どうしたのじゃ、桔梗! お前、その様に激しく動いては……」
「そのようなことを言っている場合ではありません。一同に伝えて、城下を隈なく探させるのです!!」
「わ、分かった」
「では私もこれにて」
「き、桔梗! お前、その身体で……」
 悲痛な声を背中に聞きながら、大石桔梗は痛む身体に鞭打って羅紗の桟敷を後にした。
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