2016.3.26(土)
「何度も中断させてすみません」
「どうぞ」
「さっき、日本人にはちょっとないサイズとおっしゃいましたが……。
確かに、うちの主人のは、この半分くらいです」
ご主人は気の毒だった。
糾弾される罪人のように、深くうなだれてしまった。
「主人のサイズでは、とうていこんな奥までは入りません。
だから妊娠しないんでしょうか?」
「そんなことはありませんよ。
もし、ほんとにそうなら……。
日本人は、とうの昔に絶滅してしまってます。
笹川さん、精子の画像、出してみて」
佳代ちゃんがパソコンを操作すると、画面の画像が変わった。
綿棒のような頭に、長い尻尾を持った精子が、たくさん映っていた。
「精子は、この尻尾で膣内を懸命に泳ぎ、子宮口まで到達します。
だから、子宮より手前で射精された場合でも、ちゃんと妊娠するんです」
女性が再び手を挙げた。
手を挙げることに慣れている所作に見えた。
おそらく子供のころから、教室では真っ先に手を挙げる生徒だったに違いない。
何ごとにも一生懸命になるタイプなのだろう。
大きな瞳には、一点の翳りも無かった。
「精子の泳ぐスピードって、どのくらいなんですか?」
「1分間に2~3ミリと云われてます」
「ということは、3センチ進むのに、10分かかるということですよね。
6センチなら、20分。
女性の膣内って、雑菌の侵入を防ぐため、酸性になってると聞きました。
精子にとっては、厳しい環境ですよね。
やっぱり、子宮口の近くで射精された方が、生き残る確率は高くなるんじゃないですか?」
「もちろん、数の多さという観点から言えば、そうなると思います。
でも、1回の射精で放出される精子の数は、1億~4億もあるんです。
これだけいれば、いくら厳しい環境でも、必ずたどり着く精子はいます。
実際、卵子まで到達するのは、200個と云われてます。
確率で言えば、200万分の1ですが。
さらに、この中のたった1個だけが受精できるわけです。
だから、男性のペニスが短いから妊娠できないなんてことは、ぜったい無いんですよ。
村井さん」
参加者には、首から名札を下げてもらっている。
と言っても、苗字だけだが。
学級委員長タイプの女性と、隣の男性の胸には、『村井』という名札が下がっていた。
村井さんは、ようやく納得した様子で、頷いていた。
「どうぞ」
「さっき、日本人にはちょっとないサイズとおっしゃいましたが……。
確かに、うちの主人のは、この半分くらいです」
ご主人は気の毒だった。
糾弾される罪人のように、深くうなだれてしまった。
「主人のサイズでは、とうていこんな奥までは入りません。
だから妊娠しないんでしょうか?」
「そんなことはありませんよ。
もし、ほんとにそうなら……。
日本人は、とうの昔に絶滅してしまってます。
笹川さん、精子の画像、出してみて」
佳代ちゃんがパソコンを操作すると、画面の画像が変わった。
綿棒のような頭に、長い尻尾を持った精子が、たくさん映っていた。
「精子は、この尻尾で膣内を懸命に泳ぎ、子宮口まで到達します。
だから、子宮より手前で射精された場合でも、ちゃんと妊娠するんです」
女性が再び手を挙げた。
手を挙げることに慣れている所作に見えた。
おそらく子供のころから、教室では真っ先に手を挙げる生徒だったに違いない。
何ごとにも一生懸命になるタイプなのだろう。
大きな瞳には、一点の翳りも無かった。
「精子の泳ぐスピードって、どのくらいなんですか?」
「1分間に2~3ミリと云われてます」
「ということは、3センチ進むのに、10分かかるということですよね。
6センチなら、20分。
女性の膣内って、雑菌の侵入を防ぐため、酸性になってると聞きました。
精子にとっては、厳しい環境ですよね。
やっぱり、子宮口の近くで射精された方が、生き残る確率は高くなるんじゃないですか?」
「もちろん、数の多さという観点から言えば、そうなると思います。
でも、1回の射精で放出される精子の数は、1億~4億もあるんです。
これだけいれば、いくら厳しい環境でも、必ずたどり着く精子はいます。
実際、卵子まで到達するのは、200個と云われてます。
確率で言えば、200万分の1ですが。
さらに、この中のたった1個だけが受精できるわけです。
だから、男性のペニスが短いから妊娠できないなんてことは、ぜったい無いんですよ。
村井さん」
参加者には、首から名札を下げてもらっている。
と言っても、苗字だけだが。
学級委員長タイプの女性と、隣の男性の胸には、『村井』という名札が下がっていた。
村井さんは、ようやく納得した様子で、頷いていた。
コメント一覧
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1. Mikiko- 2016/03/26 08:42
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生存競争
この世にある人はすべて、数億分の1の生存競争を勝ち抜いて生を受けたわけです。
それを考えると、“平等”などという概念は、はなはだ白々しく思えます。
話はそれますが、宇治の平等院。
仏の救済が平等というのが名前の由来みたいですが……。
創建当時から、貴族と庶民じゃ、入れる場所が違ってたそうです。
♪人間なんて ララーラー ラララ ラーラー
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2. 電卓欲しいHQ- 2016/03/26 10:41
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>うちの主人のは、この半分くらいです
しかし、↑ここまで言うかね、村井さんの奥さん。
ご主人、そのうち不能になっちまいますぜ。
で、こういうタイプのご婦人にやんわり忠告とすると「だって事実じゃないですか」とか、血相変えて反論してくるんだよね。おー、怖(こわ)。
まあ、近寄らない方が賢明です。
>ということは、3センチ進むのに、10分かかる
おー、計算が早いね、村井さんの奥さん。
ていうか、普通のご婦人なら、まず単位の換算が出来んよ。
やはり、近寄らない方が賢明だな、村井さんの奥さん。
>確率でいえば、200万分の1
おお、負けじと計算し返す史恵さん。
もうこの二人、遠巻きに見守るしかないね。
「君子危うきに近寄らず」
で、宇治の平等院、ですかい。
平等院鳳凰堂。10円玉の図柄ですな。
♪人間なんて ララーラー ラララ ラーラー
なんじゃい、↑これ。
で、検索かけちまったぜ。
吉田拓郎作詞・作曲・歌唱『人間なんて』ですな。
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3. Mikiko- 2016/03/26 12:33
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1分間に3ミリ
これを、10分で3センチに換算するのは、小学校低学年でも出来ると思います。
吉田拓郎の『人間なんて』は、けっこう有名ですよ。
ほかの部分の歌詞は、ぜんぜん知りませんが。
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4. 塾講師ハーレクイン- 2016/03/26 14:38
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計算
ご婦人、特に主婦には難しいと思いますよ。
小学生だから簡単にできるんです(出来んやつもおるけど)。
『人間なんて』知らん。
ちょっと歌(うと)てみ。
拓郎で知ってるのは↓これだけ。
♪浴衣の君はススキのかんざし……
歌詞中「上弦の月」が印象的ですね。
上弦の月を見ながら一杯、ということは、まだ宵の口だな。
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5. Mikiko- 2016/03/26 18:25
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なんで……
小学生に出来て、主婦に出来んのじゃ?
主婦だって、元小学生ではないか。
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6. 〽忘却とは……HQ- 2016/03/26 21:59
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忘れ去ることなり。
>主婦だって、元小学生
いったい、何年前の話をしておるのかね。
「1センチは10ミリ」
こんな知識、主婦の頭からはとっくのとうに掻き消えております。