2020.7.31(金)
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男は、2通目の手紙をしたためた。
手紙と云うより、脅迫状だが。
もちろん、花屋のオーナーである白髪女性と、直接会うためのものだ。
やはり、互いのマンションの居室は避けた方がいいだろうと思った。
向こうに乗りこむのは、あまりにも危険だ。
あの窓辺に映った男が、待機しているかも知れない。
こちらの部屋も、出来れば知られたくはない。
男は散々考えた末、埠頭にあるベンチを指定することにした。
見晴らしが良く、周りは広々と開けている。
誰かが隠れられる物陰などもない。
しかも、そのベンチは、近くの橋の上から丸見えだった。
あらかじめその橋に待機し、オペラグラスであたりを観察することにした。
男は、花屋の定休日を指定した。
運良く、朝から綺麗に晴れた。
そのときを、ずっと待ち続けるのはキツすぎると思った。
なので、少し早めかと思ったが、朝の10時を指定した。
しかし待ちきれなかった。
男は、9時過ぎには橋の上に立っていた。
見下ろすベンチの列には、誰の姿もなかった。
遮るものもなく日差しの照りつける埠頭。
こんなベンチに、平日の朝方から座る者がいるはずもなかった。
埋立地まで架かる橋を、幾度か往復した。
薄くなり始めた頭頂部が熱くなった。
橋の支柱で、海猫が鳴いていた。
腕時計を何度見ただろうか。
時間の経過が、これほど遅く感じたのは初めてだった。
針は、ようやく10時を指そうとしていた。
まだ待たされるのだろうか。
いや。
それどころか、来ない可能性も否定出来ない。
そのときは……。
こんな橋の上に、自分を立たせ続けた罰は大きい。
あの動画を、ネットに晒してやる。
針が、10時を回った。
男は、拳の汗を握りしめた。
そのときだった。
白い日傘が、埠頭に現れた。
もちろん、日傘がひとりで歩いて来るわけはない。
橋の上からは、日傘を差す人物がほとんど見えないのだ。
脚元だけが、わずかに覗いていた。
ワイドパンツと云うのだろうか……。
一見、スカートに見えるが、裾は2つに別れていた。
もちろんそれだけでは、年齢もわからない。
ましてや、あの白髪女性かどうかは判別しようがない。
しかし、日盛りになろうとする埠頭に、1人で現れる用事など、滅多にないはずだ。
そう。
呼び出された以外は。
男は、2通目の手紙をしたためた。
手紙と云うより、脅迫状だが。
もちろん、花屋のオーナーである白髪女性と、直接会うためのものだ。
やはり、互いのマンションの居室は避けた方がいいだろうと思った。
向こうに乗りこむのは、あまりにも危険だ。
あの窓辺に映った男が、待機しているかも知れない。
こちらの部屋も、出来れば知られたくはない。
男は散々考えた末、埠頭にあるベンチを指定することにした。
見晴らしが良く、周りは広々と開けている。
誰かが隠れられる物陰などもない。
しかも、そのベンチは、近くの橋の上から丸見えだった。
あらかじめその橋に待機し、オペラグラスであたりを観察することにした。
男は、花屋の定休日を指定した。
運良く、朝から綺麗に晴れた。
そのときを、ずっと待ち続けるのはキツすぎると思った。
なので、少し早めかと思ったが、朝の10時を指定した。
しかし待ちきれなかった。
男は、9時過ぎには橋の上に立っていた。
見下ろすベンチの列には、誰の姿もなかった。
遮るものもなく日差しの照りつける埠頭。
こんなベンチに、平日の朝方から座る者がいるはずもなかった。
埋立地まで架かる橋を、幾度か往復した。
薄くなり始めた頭頂部が熱くなった。
橋の支柱で、海猫が鳴いていた。
腕時計を何度見ただろうか。
時間の経過が、これほど遅く感じたのは初めてだった。
針は、ようやく10時を指そうとしていた。
まだ待たされるのだろうか。
いや。
それどころか、来ない可能性も否定出来ない。
そのときは……。
こんな橋の上に、自分を立たせ続けた罰は大きい。
あの動画を、ネットに晒してやる。
針が、10時を回った。
男は、拳の汗を握りしめた。
そのときだった。
白い日傘が、埠頭に現れた。
もちろん、日傘がひとりで歩いて来るわけはない。
橋の上からは、日傘を差す人物がほとんど見えないのだ。
脚元だけが、わずかに覗いていた。
ワイドパンツと云うのだろうか……。
一見、スカートに見えるが、裾は2つに別れていた。
もちろんそれだけでは、年齢もわからない。
ましてや、あの白髪女性かどうかは判別しようがない。
しかし、日盛りになろうとする埠頭に、1人で現れる用事など、滅多にないはずだ。
そう。
呼び出された以外は。
コメント一覧
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1. Mikiko- 2020/07/31 06:25
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今日は何の日
7月31日は、『ビーチの日』。
日本古来の地域特性を活かした海辺利用に精通した人材による、海辺活用方法の提唱、啓発を行ってる『NPO・日本ビーチ文化振興協会(https://www.jbeach.jp/)/東京都中央区新川』が制定。
日付は、ビーチ(砂浜)は波によって砂が形成され浄化されることから……。
「な(7)み(3)がい(1)い⇒波がいい」と読む語呂合わせ。
海に囲まれた島国の日本は、古来より海の恩恵を受けてきました。
その海と陸の境目であるビーチが通年で利用され、活性化につながるように……。
ビーチの大切さを、多くの人に知らせることが目的。
この日には、お台場海浜公園のビーチなどにおいて、メッセージアート展が開催されます。
記念日は、2017(平成29)年、『(社)日本記念日協会(https://www.kinenbi.gr.jp/)』により認定、登録されました。
上記の記述は、こちら(https://zatsuneta.com/archives/107316.html)のページから転載させていただきました。
さらに同じページから、「ビーチについて」を引用させていただきます。
ビーチ(beach)とは、英語で砂浜、浜辺のこと。
潮の流れによって海から砂が運ばれて堆積した海岸で、海水浴などに適する場所です。
サンゴに由来して出来た砂浜は、炭酸カルシウムを多く含み、白っぽいのが特徴。
また、海水浴客を集める思惑から、人工的に砂浜を造る場合もあります。
最も有名なのはハワイのワイキキビーチで……。
本来はサンゴ礁の礁湖(しょうこ=ラグーン)だった場所に、カリフォルニア州から砂を運び込んで白い砂の海岸が造成されてます。
以上、引用終わり。
続きは次のコメントで。
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2. Mikiko- 2020/07/31 06:26
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今日は何の日(つづき)
新潟市の海岸にも、かつては広い砂浜が広がってました。
海まで、120メートルも砂浜が続いたそうです。
熱くて、裸足では歩けなかったでしょうね。
それが今は、まったく無くなりました。
なぜかと云うと、信濃川の流量が減ったからです。
つまり、運ばれて来る砂が激減したわけ。
ということで、供給と浸食のバランスが崩れてしまったのです。
浸食される方が大きくなってしまったんですね。
なぜ、信濃川の流量が減ったかというと……。
大河津分水の開削です。
信濃川中流部で、ほぼ半分の水が、海に排出されることになったのです。
大河津分水を作った目的は、下流部を洪水から守るためです。
江戸時代からの悲願でした。
なので、砂浜がなくなることくらいで文句は言えないんです。
この梅雨は、ほんとに雨が多かったです。
大河津分水があって、心から良かったと思います。
でも、白く長い砂浜……。
もしあったら、観光客を呼べたでしょうね。
といっても、わたしには無縁です。
泳げませんから。
しかし、今年の海の家(浜茶屋)、大変みたいですね。
もちろん、コロナの影響。
海水浴場自体の開設が中止されるところも多いようです。
といっても、柵などが設けられるわけではありません。
泳ごうと思えば、泳げます。
でも、ぜったいに止めた方がいいです。
まず、監視員がいません。
溺れたらそれっきりです。
あと、人が来ないことを前提に……。
漁師さんが網を仕掛けてることもあるそうです。
それに脚がからまったら……。
助けを呼んでも、誰も来てくれませんよ。