2019.8.9(金)
妻は、思いのほか素直にサングラスをかけると、指をピンと揃えて位置を整えた。
妻の手を引きながら、クローゼットの扉を開く。
鏡の前に立たせる。
鏡に、サングラスをかけた女が映った。
顔が小さいので、よく似合う。
「ほら、誰だかわからない」
「やっぱりダメよ。
鼻と口で、わたしってわかる」
「知らない人が見たらわからないよ」
「そんなの当たり前じゃない。
知ってる人が見たときよ。
ぜったいわかるわ」
「じゃ、マスクでもする?」
そう言ったとき、わたしの頭に、ある考えが閃いた。
部屋に妻と雑誌を残し……。
翌朝、わたしは旅立った。
はは。
単に、東京本社に出張しただけさ。
時刻表は、そのために買ったんだ。
出張の帰りに時間を作って、新宿のある店に寄った。
早い話、大人のおもちゃを扱う店だ。
売ってるものが、すべてそういう類いの品だから……。
入ってしまえば、恥ずかしさも何も感じない。
探してるコーナーは、すぐに見つかった。
さまざまなSMグッズが並ぶ一角だった。
鞭とか首輪とかね。
手錠もあったかな。
わたしの目的だったアイテムも、すぐに見つかった。
マスクだ。
もちろん、風邪のマスクじゃない。
覆面用のマスクだ。
さまざまなタイプがあった。
全頭マスクと云って、完全に頭全部を覆ってしまうものから……。
仮面舞踏会みたいに、目だけ隠すものまで。
妻は、鼻と口を隠したいわけだ。
でも、目までも隠したら、自分の姿が見えなくなる。
ナルシストの妻としては……。
それじゃ、物足りないだろう。
探す内、求めるものが見つかった。
色は深紅。
合皮製らしい。
全頭マスクに近いが、目の部分だけが開いている。
目の穴は、吊りあがる形をしていて、かなり大きめだった。
後頭部を縦に、靴紐状に結ぶようになっていた。
サイズ調節が可能なわけだ。
これなら、目の穴の端にサングラスの蔓を通せるだろう。
マスクで鼻と口が覆え、目はサングラスで隠せる。
自らの視線は確保しつつ、顔全体が覆えるわけだ。
価格も、支社用に買った土産の菓子より安かった。
わたしは飛び立つ思いで、N市に戻る列車に乗った。
妻の手を引きながら、クローゼットの扉を開く。
鏡の前に立たせる。
鏡に、サングラスをかけた女が映った。
顔が小さいので、よく似合う。
「ほら、誰だかわからない」
「やっぱりダメよ。
鼻と口で、わたしってわかる」
「知らない人が見たらわからないよ」
「そんなの当たり前じゃない。
知ってる人が見たときよ。
ぜったいわかるわ」
「じゃ、マスクでもする?」
そう言ったとき、わたしの頭に、ある考えが閃いた。
部屋に妻と雑誌を残し……。
翌朝、わたしは旅立った。
はは。
単に、東京本社に出張しただけさ。
時刻表は、そのために買ったんだ。
出張の帰りに時間を作って、新宿のある店に寄った。
早い話、大人のおもちゃを扱う店だ。
売ってるものが、すべてそういう類いの品だから……。
入ってしまえば、恥ずかしさも何も感じない。
探してるコーナーは、すぐに見つかった。
さまざまなSMグッズが並ぶ一角だった。
鞭とか首輪とかね。
手錠もあったかな。
わたしの目的だったアイテムも、すぐに見つかった。
マスクだ。
もちろん、風邪のマスクじゃない。
覆面用のマスクだ。
さまざまなタイプがあった。
全頭マスクと云って、完全に頭全部を覆ってしまうものから……。
仮面舞踏会みたいに、目だけ隠すものまで。
妻は、鼻と口を隠したいわけだ。
でも、目までも隠したら、自分の姿が見えなくなる。
ナルシストの妻としては……。
それじゃ、物足りないだろう。
探す内、求めるものが見つかった。
色は深紅。
合皮製らしい。
全頭マスクに近いが、目の部分だけが開いている。
目の穴は、吊りあがる形をしていて、かなり大きめだった。
後頭部を縦に、靴紐状に結ぶようになっていた。
サイズ調節が可能なわけだ。
これなら、目の穴の端にサングラスの蔓を通せるだろう。
マスクで鼻と口が覆え、目はサングラスで隠せる。
自らの視線は確保しつつ、顔全体が覆えるわけだ。
価格も、支社用に買った土産の菓子より安かった。
わたしは飛び立つ思いで、N市に戻る列車に乗った。
コメント一覧
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1. Mikiko- 2019/08/09 06:07
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今はもう秋
きのうの8月8日が、2019年の『立秋』でした。
すなわち、きのうからは、暦上では秋なんです。
もう、「暑中お見舞い」は書けません。
「残暑お見舞い」になります。
ところで、『立秋』とは何でしょう。
Wikiでは、「夏が極まり秋の気配が立ち始める日」となってます。
『暦便覧』では、「初めて秋の気立つがゆゑなれば也」という説明がなされてます。
「秋の気が立つ」から、『立秋』なわけです。
しかし!
どこが秋じゃ!
暑い。
とにかく暑い。
毎日暑い。
きのうついに、新潟市中央区で猛暑日となりました。
連日、コンスタントに暑いです。
しかも、連日熱帯夜。
ボディーブローのように効いてきます。
ここまで暑いと……。
秋風が恋しくなってきますね。
そう云えば、数年前。
8月の終盤だったと思います。
朝、新潟駅付近に置いた自転車に跨がったら……。
パンクしてました。
で、自転車を押して会社まで歩いたんです。
朝の太陽が背中を直撃。
リュックが燃えてるようでした。
汗がダラダラ流れました。
このときばかりは……。
「夏はもういい!」と思いましたね。
冬の方がマシとも感じました。
でも、冬になってみれば……。
いくら暑くても、夏の方がいいと思うわけです。
続きは次のコメントで。
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2. Mikiko- 2019/08/09 06:07
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今はもう秋(つづき)
冬でも、雪が積もらなきゃ、まだいいんですよ。
自転車に乗れますから。
雪は降っても……。
ワークマンの防寒ジャケットを着てれば、まったく問題ありません。
下も、防風ズボンですから、無敵です。
でもねー。
雪が積もると、どうしようもありません。
根性とかの問題じゃないんです。
タイヤが空転して走れなくなるんです。
橋のスロープなんか、とてもじゃないけど上れません。
歩いてもいいんですけど……。
ダイヤ改正で、歩くと、電車に乗るのがギリギリの時間になってしまったんです。
懸命の早足で歩かなきゃなりません。
いい運動でしょ。
そのままお風呂に入れるなら、喜んで歩きますよ。
でも、新潟駅にたどり着いたら……。
電車に乗らなきゃならないんです。
電車の中は、ガンガンに暖房が効いてます。
長時間歩いてきた身には、暑すぎる。
といって、いちいちジャケットを脱ぐのも面倒くさい。
リュックも背負ってるし。
ということで、汗が噴き出るわけです。
それが嫌で、バスに乗ります。
バスだと、自転車より早く着きます。
お金払ってるんだから当たり前ですが。
でも、とにかく混むのよ。
みんな、着ぶくれてるし。
停留所ごとに、乗ってくる人、降りる人で、通路で揉みくちゃにされます。
ストレス、半端じゃないです。
なので、バスは出来るだけ使いたくない。
歩けば大汗。
自転車が一番楽なんですよ。
あ、もっと楽な方法がありました。
タクシーです。
これなら快適ですね。
よし、サマージャンボが当たったら、タクシー通勤にするかな。
ていうか……。
もう、働かなくていいじゃん。