2018.1.17(水)
由美は掌底から力を抜いた。
陰核はまだ、心音に呼応して脈打っていた。
「ぶ」
かなえは、鼻水を噴き出した。
かなえが道場に通い始めたころ、いつも鼻水を垂らしながら泣いていたことを思い出した。
風邪というわけではなく、おそらくは多汁質な体質なのだろう。
鼻水を唇まで垂らしたかなえは、一瞬で幼な帰りをしたように見えた。
かなえの身体が、ゆっくりと沈み始める。
脚から、骨が抜けてしまったようだった。
由美は、かなえの身体を支え、下方ベクトルにブレーキをかける。
尻が軟着陸した。
そのまま、ゆっくりと仰向ける。
意思を失ったかなえの身体は、素直に床に延べられた。
由美の腕を掴んでいたかなえの手の指が、ぽろぽろと外れた。
由美の腕には、真っ赤な指形が残っていた。
由美は、机からウェットティッシュのボトルを持ってきた。
再びかなえの傍らにしゃがみ、鼻水を拭き取る。
さらにティッシュを引き出し、かなえの手の平を清める。
歩の精液が付着しているのだ。
目を覚ましたとき、性器に触ってしまうかも知れない。
由美は、拭き取ったティッシュをゴミ箱に落とし、自らの手の平も新しいティッシュで拭った。
ゆっくりと後ずさる。
少年が2人と、少女が1人。
3体は、間隔を置いて仰向けに並んでいる。
まるで、海辺に打ちあげられた水死体のようだった。
マッチ棒で造ったみたいな痩せた少年たちに対し……。
少女だけが、マシュマロのようなフォルムを有していた。
長い人生の中で、同世代の男の子と女の子が、このような体型でいるのは、ほんの一瞬のことだろう。
床に横たわる3体を、心底愛しいと思った。
由美は自らのスマホを取り出すと、美しき瞬間を画角に収めた。
無機質なシャッター音が、無数の白い小鳥となって、砂浜に舞い散るように思えた。
陰核はまだ、心音に呼応して脈打っていた。
「ぶ」
かなえは、鼻水を噴き出した。
かなえが道場に通い始めたころ、いつも鼻水を垂らしながら泣いていたことを思い出した。
風邪というわけではなく、おそらくは多汁質な体質なのだろう。
鼻水を唇まで垂らしたかなえは、一瞬で幼な帰りをしたように見えた。
かなえの身体が、ゆっくりと沈み始める。
脚から、骨が抜けてしまったようだった。
由美は、かなえの身体を支え、下方ベクトルにブレーキをかける。
尻が軟着陸した。
そのまま、ゆっくりと仰向ける。
意思を失ったかなえの身体は、素直に床に延べられた。
由美の腕を掴んでいたかなえの手の指が、ぽろぽろと外れた。
由美の腕には、真っ赤な指形が残っていた。
由美は、机からウェットティッシュのボトルを持ってきた。
再びかなえの傍らにしゃがみ、鼻水を拭き取る。
さらにティッシュを引き出し、かなえの手の平を清める。
歩の精液が付着しているのだ。
目を覚ましたとき、性器に触ってしまうかも知れない。
由美は、拭き取ったティッシュをゴミ箱に落とし、自らの手の平も新しいティッシュで拭った。
ゆっくりと後ずさる。
少年が2人と、少女が1人。
3体は、間隔を置いて仰向けに並んでいる。
まるで、海辺に打ちあげられた水死体のようだった。
マッチ棒で造ったみたいな痩せた少年たちに対し……。
少女だけが、マシュマロのようなフォルムを有していた。
長い人生の中で、同世代の男の子と女の子が、このような体型でいるのは、ほんの一瞬のことだろう。
床に横たわる3体を、心底愛しいと思った。
由美は自らのスマホを取り出すと、美しき瞬間を画角に収めた。
無機質なシャッター音が、無数の白い小鳥となって、砂浜に舞い散るように思えた。
コメント一覧
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1. Mikiko- 2018/01/17 07:31
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今日は何の日
1月17日。
もちろん、『阪神淡路大震災』が発生した日です。
1995(平成7)年1月17日5時46分52秒。
明石海峡の深さ16kmを震源として、マグニチュード7.3の地震が発生しました。
もう、あれから23年になるんですね。
高速道路が横倒しになったり、千切れた高速道路にバスが半分乗り出してたり……。
衝撃的な映像は、はっきりと脳裏に刻まれてます。
犠牲者、6,434名。
もし、今の新潟でこんな大地震が起こったら大変です。
ただでさえ雪で道路が塞がってるところに……。
建物が道路に倒壊したりすれば、どうなるでしょうか。
半壊した建物に雪が積もれば、間違いなく潰れます。
あと、山間地だったら、雪崩が起きるでしょうね。
実は、昨年、イタリアで……。
大雪と地震に見舞われた地域があります。
ローマから100㎞ほどのアマトリーチェ。
標高1,000メートルほどの高地です。
日付まさしく、ちょうど1年前。
2017年1月18日。
夕方の余震では雪崩が起き……。
四つ星のリゾートホテル「リゴピアノ」を襲いました。
雪に覆われた道路と吹雪に妨げられ……。
↓救助隊の第一陣が到着したのは、翌日の午前4時だったそうです。
http://www.bbc.com/japanese/38702946
冬の地震、わたしも考えなくてはなりません。
まずは、暖房ですね。
うちには、停電で使えるストーブは……。
ファンヒーターでないガスストーブが1台あるだけ。
でも、都市ガスが供給されてるという保証はありません。
やっぱ、ガスボンベのストーブですかね。
地震が起きてからでは間に合いません。
買うことにします。
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2. ハーレクイン- 2018/01/17 10:50
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>打ち上げられた……
死体。
マグロかと思った。
阪神淡路大震災
こちら、朝のテレビはこれ一色でした。
知らなかったんですが、今では「神戸大地震」が通り名になっているそうです。
無論、今の神戸を歩いても、地震の名残などかけらもありません。あるのは、記憶だけですね。
大阪-神戸をつなぐ鉄道は阪急・JR・阪神の三路線ですが、このうち、地震直後に生きていたのは阪神電車のみ。
当時勤務していた神戸の予備校に電話したところ繋がり、何と「今日の授業はあるよ」とのこと。最寄駅は阪急電車なので、阪神電車を近くまで乗り、歩きました。途中、倒壊したビルの脇を歩いて予備校へ。
校舎には何の被害も無く、生徒も結構出席していました。
〔もう23年になるのかHQ〕
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3. Mikiko- 2018/01/17 19:49
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『阪神・淡路大震災』は……
地震災害の名称だそうです。
地震そのものの名称は、『兵庫県南部地震』。
『神戸大地震』という通り名は、初めて聞きました。
1月17日。
受験生は、目の色が変わってるときです。
無事だった受験生は、「地震どころじゃない」ということだったのでしょうね。
入試を延期したり中止した大学は、あったんですかね?
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4. ハーレクイン- 2018/01/18 00:34
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神戸大地震
まあ、例えば淡路島なんかではそうは呼ばないのかもしれません。
このあたりは多数決?みたいなものですかね。
延期や中止
当然あったでしょうけど、全く覚えていません。
やはり頭に血が上ってたんでしょうか。
前コメに書いた予備校には井戸がありまして、これも無事。近所の方が聞き付けて「もらい水」に来てはりました。