Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
東北に行こう!(107)
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み「そんなら、ゴミ捨て場?」
小「日常的に使うゴミ捨て場とは、違ってたようですね」
こちらは、明らかなゴミ捨て場の貝塚
↑こちらは、明らかなゴミ捨て場の貝塚。

み「当たり前じゃ。
 この場所の名前からもわかるわい」
律「何が?」
み「『南盛土』」
『南盛土』

み「つまり、土が盛ってあるわけでしょ」
律「捨ててったら、どんどん高くなったからでしょ?
 これ、どのくらいの厚さがあるの?」
小「2メートルから、2メートル50センチくらいあるそうです」
奥の作業員さんの服装が秀逸です
↑奥の作業員さんの服装が秀逸です。

小「ここは、1,000年間使われたようですね」
律「1,000年もゴミを捨ててったら、そのくらい積もるでしょ」
み「あにょな。
 日常的に出るゴミを捨てようと思ったら……。
 普通、穴を掘って埋めるでしょ」
敷地が広いので、穴を掘って埋めちゃうんですね
↑ゴミは集積場所に出すのが当たり前と思ってるのは、都会人です。田舎では集積場所まで遠い家もあります(車で15分というところもあるとか)。どうするかと云うと、敷地が広いので、穴を掘って埋めちゃうんですね。

律「穴がいっぱいになったから、今度は盛っていったってことじゃないの?」
み「捨てづらいだろ。
 穴がいっぱいになったら、別の穴を掘って、そこに捨てるのが当たり前。
 同じ場所に、1,000年もゴミを捨て続けるわけがない」
英国科学者が予測した、1,000年後の人類
↑英国科学者が予測した、1,000年後の人類。

み「どうなの?」
小「単なるゴミ捨て場じゃなかったろうとは云われてます。
 お祭りなんかが行われたんじゃないかって」
長野県茅野市。『尖石遺跡(縄文時代の集落遺跡)』があります。
↑長野県茅野市。『尖石遺跡(縄文時代の集落遺跡)』があります。

み「お祭りというか、儀式だな。
 たぶん、甦りの儀式」
甦りの儀式

律「どういうこと?」
み「土器だの土偶なんかは、元もと土だったわけでしょ」
土器だの土偶なんかは、元もと土だったわけでしょ

み「石器やヒスイも、鉱物資源だよね」
石器やヒスイも、鉱物資源だよね
↑ヒスイの原石。

み「だから、それらが壊れたりしたとき……。
 感謝を込めて、土に返そうとしたんじゃないの?
 そしてまた、新たな資源となって、自分たちの前に蘇ってほしいって」
三内丸山遺跡から出た袋状編物(別名『縄文ポシェット』)
↑これは、三内丸山遺跡から出た袋状編物(別名『縄文ポシェット』)。針葉樹(ヒノキ科)の樹皮から作られてるそうです。右下の丸いのは、中に入ってたクルミ。クルミを1つ残して埋めるってのが、儀式っぽいですよね。

小「へー。
 なるほど」
み「でも、儀式的な盛土が、1,000年も続いたってことは……。
 宗教的なバックボーンが、1,000年間変わらなかったってことだよね。
 そうとう強固な支配階級がいないと、そうはいかんよな」
律「卑弥呼とか?」
卑弥呼役は、監督の妻・岩下志麻
↑映画『卑弥呼(1974年・監督:篠田正浩)』。卑弥呼役は、監督の妻・岩下志麻。

み「ま、時代はぜんぜん違うけど……。
 そういうシャーマンを兼ねた支配者がいた可能性があるな」
『吉野ヶ里遺跡(弥生時代)』の展示物
↑こちらは『吉野ヶ里遺跡(弥生時代)』の展示物。ここにも行きたい!

律「縄文時代って、まだそういう社会が無かったんじゃないの?」
み「獲物を求めて、原野を点々としてたみたいな?」
獲物を求めて、原野を点々としてたみたいな?

律「そうそう」
み「この遺跡を見れば、そうじゃなかったってことが、一目瞭然でしょ。
 だいたい、何人くらい住んでたわけ?」
小「500人はいたみたいです」
縄文人の生活。新潟県『十日町博物館』の展示。
↑縄文人の生活。新潟県『十日町博物館』の展示。十日町の笹山遺跡からは、有名な火焔型土器(国宝)が出土してます。

み「500人!
 これが社会でなくてどうする」
小「ですね」
み「でも、500人となると……。
 狩猟で食べていくなんて、とうてい無理だわな」
狩猟で食べていくなんて、とうてい無理だわな

律「どうして?」
み「例えば、ライオンの群れを考えてみればいい」
例えば、ライオンの群れを考えてみればいい

み「多くても、20頭くらいでしょ。
 500頭のライオンの群れがいたとして……。
 食べていけると思う?」
律「ムリってことね」
み「んだす。
 食べられる陸上動物なんて、定住当初に狩り尽くされてる。
 以後は、狩猟で食べていくなんてムリだったはず」
小「学校の図書館で調べたんですが……。
 食料のうち、獣の肉が占める割合は、1%に満たないらしいです」
み「1%じゃ、オカズにもならんわな。
 薬用みたいなもんじゃないの」
京都大原の朝市で売られてたそうです
↑京都大原の朝市で売られてたそうです。

律「じゃ、何を食べてたの」
み「だから、縄文海進でしょ。
 この丘のすぐ下が、海だったんです」
この丘のすぐ下が、海だったんです

律「魚ってこと?」
魚ってこと?

み「然り」
律「魚だって、獲り過ぎたらいなくなるんじゃないの?」
ニシンです。いなくなって当たり前ですね。
↑ニシンです。いなくなって当たり前ですね。

み「近代漁業で獲ったらそうなるだろうけどね。
 それは、魚をよその地域に出荷して生活するためでしょ」
ニシンの出荷。モッコ背負いの人夫は、食事を摂る時間も無く、歩きながらにぎり飯を食べたそうです。
↑ニシンの出荷。モッコ背負いの人夫は、食事を摂る時間も無く、歩きながらにぎり飯を食べたそうです。

み「500人程度を養うためだけに捕るなら……。
 海の資源は、無尽蔵と言ってもいいんじゃないの。
 捕っても捕っても、向こうから押し寄せて来たはず」
捕っても捕っても、向こうから押し寄せて来たはず

み「ここが陸上動物との違いだね」
律「数が違うってこと?」
み「ていうか、陸上の野生動物は、人間と生活圏が重なるから……。
 共存できんわけよ。
 捕り尽くされたり……」
捕り尽くされたり……

み「人間によって生活環境が変えられて、追い立てられたり。
 その点、魚は、こんなにすぐ近く住んでても……。
 人間と生活圏が重ならないわけじゃない。
 陸と海で」
青木繁『海の幸』
↑青木繁『海の幸』。

み「だから、ここの人たちにとってのタンパク源は、魚だったはず」
『新潟県立歴史博物館』
↑『新潟県立歴史博物館』。

律「魚だけ食べてたの?」
み「魚はオカズです。
 主食は、栽培してたんだと思うよ」
律「お米とか?」
み「米は、まだ来てないでしょ。
 ヒエとかだったんじゃないかな」
ヒエとかだったんじゃないかな

律「ヒエ……。
 やっぱり、貧しかったわけね」
小「これも図書館で調べたんですが……。
 ヒエは、貯蔵も簡単で、栄養的にも優れてるそうです」
ヒエは、貯蔵も簡単で、栄養的にも優れてるそうです
↑粘りが無くモソモソした舌触りなので、汁をかけたりして食されたと思われます。

み「主食として、最適ではないか」
小「あと、ヤマブドウやキイチゴ、ヤマグワなんかの種がたくさん出土してます」
ヤマブドウ
↑ヤマブドウ

み「山の実も、主食のひとつだったってことか」
小「どうも、違うらしいんです」
み「どう違うの?」
小「これらの木の実から、お酒を作ってたんじゃないかって云われてます」
これらの木の実から、お酒を作ってたんじゃないかって云われてます

律「果実酒?」
み「つまり、食生活には余裕があったってことだよ。
 木の実をそのまま食べてしまわず、嗜好品に変えて楽しんでたわけだから」
律「じゃ、主食は、ヒエだけ?」
小「クリも栽培されてたみたいですよ」
クリも栽培されてたみたいですよ

み「おー、クリはええね。
 食べるのが簡単で。
 アク抜きとかしなくていいからね」
栃の実のアク抜き
↑栃の実のアク抜き。重曹と木灰を使うそうです(『只見町ブナセンター(福島県南会津郡)』でのアク抜き作業→こちら)。

み「生でも食べれるし」
犬も食うなる
↑犬も食うなる。

小「ものすごい大木のクリの柱も発見されてます。
 次は、その柱を使った、例の復元建物を見てみましょう」
み「しかしこのシェルターの中……。
 今は秋だからいいけど……。
 ちょっと前だと、暑くてたまらなかったんじゃないか?」
小「冷房、ありませんからね」
み「いい時に来たわい」
小「それじゃ、出ましょう」
み「おー、やっぱり外界の空気は美味い。
 次のターゲットは、あれじゃな」
『三内丸山遺跡』を象徴する建造物ですね

小「『三内丸山遺跡』を象徴する建造物ですね」
み「うーむ。
 これは、インパクトあるわ。
 柱は、クリなわけね?」
小「そうです。
 実際、穴の中にクリの柱が残ってましたから」
み「ほんとにこんな形だったのかね?」
小「これは、学説のひとつを元に復元した形です。
 栽培されたクリなら、こんな高いはずがないという説もあります」
“栗林”という苗字があるくらいですから、栗を栽培するシステムは、昔からあったのでしょう
↑“栗林”という苗字があるくらいですから、栗を栽培するシステムは、昔からあったのでしょう。

み「なるほど。
 こんなに高いんじゃ、栗の実は落ちてくるまで待たなきゃならんわな」
律「あら、栗の実なんて、落ちてるのを拾うんじゃないの?」
長靴で踏んづけて、栗の実を取り出します
↑長靴で踏んづけて、栗の実を取り出します。

み「観光農園の栗拾いならそうだろうけど……。
 主食にするとしたら、そんな悠長な収穫はしてられんでしょ」
律「どうするの?」
み「上に伸びる枝は切って、枝を横に伸ばすようにして……。
 棒で叩くとかしたんじゃないの」
棒で叩くとかしたんじゃないの

律「頭の上に落ちてきたら大変よ」
み「ヘルメット、被ってたの」
ヘルメット、被ってたの

律「縄文時代にあるわけないでしょ」
み「わかった。
 幹にロープを結んで、揺さぶるんだ。
 これなら、幹から離れて作業できる」
伐採作業で、木を倒す方向を調整してるのです
↑これは栗拾いではありません。伐採作業で、木を倒す方向を調整してるのです。

律「こんな大木、揺さぶられないでしょ」
マジで太いです
↑マジで太いです。

み「これは、実を収穫するクリじゃなかったんだよ。
 つまり、収穫用のクリと、柱にするクリは、別に育てられてた」
『栗太郎』と呼ばれる赤城山の巨木
↑『栗太郎』と呼ばれる赤城山の巨木(樹齢、500~600年)。

小「なるほど」
み「1,500年も続いた集落なんだから……。
 何世代か後の子孫のために木を育てるって考え方も、持ってたはず」
何世代か後の子孫のために木を育てるって考え方も、持ってたはず

律「でも、柱にする木なら、クリじゃなくてもいいわけでしょ?
 クリの柱なんて、あんまり聞かないじゃない。
 どうして、ほかの木を使わなかったのかしら?
 日光の杉並木とか、スゴく太くて真っ直ぐよね」
日光の杉並木とか、スゴく太くて真っ直ぐよね

み「はい、チミ」
小「またボクですか。
 “桃栗三年”って言葉があるでしょ」
“桃栗三年”って言葉があるでしょ
↑チロルチョコです。ちなみに、“かき”には柿の種が入ってるとか。

小「クリは、成長が早いんですよ。
 しかも、その材は、湿気に強くて腐りにくいうえに……。
 割りやすくて、加工もしやすい」
栗材の円卓。直径、1.2メートル。信じられないほど高いです。なんと、116,000円。
↑栗材の円卓。直径、1.2メートル。信じられないほど高いです。なんと、116,000円。誰が買うんじゃ?

み「おー、まさしく、柱に打ってつけではないか。
 このころは、カンナがけするわけじゃないんだから……。
 ちょっとくらい曲がってたっていいのよ」
柱用の栗材
↑柱用の栗材。

み「一番大切なのは、材質ってこと。
 おわかり?」
律「あんたが答えたわけじゃないでしょ。
 で、これは、何をする建物なの?」
で、これは、何をする建物なの?

み「そもそも、どういうものが建ってたのかわからんのだから……。
 何をするためのものか、わかるはずがないでしょ」
律「これが建ってたんじゃないの?」
み「だから……。
 これは、ひとつの説を元に復元された形よ。
 ま、当たらずとも遠からず、って気はするけどね」
律「これだとしたら、ここで何をするわけ?」
み「はい、チミ」
小「一番考えられるのは、物見櫓でしょう」
一番考えられるのは、物見櫓でしょう
↑吉野ヶ里遺跡(弥生時代)の『物見櫓』。地震が来たら、倒れそうですね。

み「なるほど。
 物見がいるということは……。
 攻めて来る敵がいるということ?」
攻めて来る敵がいるということ?
↑これも吉野ヶ里遺跡での想像図。

小「これだけ豊かな集落なら、貯蔵物とかは魅力でしょうね」
これだけ豊かな集落なら、貯蔵物とかは魅力でしょうね

み「だよな。
 でも、結局、1,500年も続いたわけよね。
 てことは、ここらでは、この集落が最強だったと言っていいんじゃない?」
『国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市)』の展示。弥生時代です。
↑『国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市)』の展示。弥生時代です。ここも行きたい。

小「攻めてくる敵はいないってことですか?
 じゃ、これは、物見櫓じゃないことになりますね」
み「うんにゃ。
 敵じゃない者を見張ってたかも知れん」
小「誰です?」
み「海じゃよ。
 これは、海を見張るための物見櫓」
明治初期の新潟港。水戸教(みとおしえ)と呼ばれる水先案内人が、船を見張ってました。
↑明治初期の新潟港。水戸教(みとおしえ)と呼ばれる水先案内人が、船を見張ってました。

律「海から誰かが来るって云うの?
 泳いで?」
海から誰かが来るって云うの?

み「アホきゃ。
 半魚人じゃあるまいし」
これは、半人魚?
↑これは、半人魚? 走り出す直前のニシンですかね?

律「じゃ、誰よ?」
み「交易相手に決まっておる。
 つまり、船が来るのを、ここで見張ってたわけ」
律「この時代に船があったのかしら?」
6000年前なら、三内丸山遺跡よりも早い時代です
↑ありました。6000年前なら、三内丸山遺跡よりも早い時代です。

み「チミ。
 たしかここでは、ヒスイも出たんだよな」
小「出ました」
『三内丸山遺跡』から出土したヒスイ
↑『三内丸山遺跡』から出土したヒスイ。

み「どこのヒスイかわかったの?」
小「成分分析したところ……。
 新潟県の糸魚川産でした」
み「糸魚川市の姫川では、今でもヒスイが採れる」
天然記念物につき、採石はできません
↑天然記念物につき、採石はできません。

律「ほんとに海から来たのかしら?
 陸の道じゃないの?」
み「糸魚川から青森まで、何キロあると思ってるんだ」


み「しかも、日本海の海岸沿いは……。
 高速道も通らないほど山が海際まで迫ってる箇所が、いくつもある。
 糸魚川を出たら、すぐに『親不知子不知(親知らず子知らず)』と呼ばれる天下の険がそびえてる」
『親不知子不知(親知らず子知らず)』と呼ばれる天下の険がそびえてる
↑失礼! 『親不知』は、糸魚川より富山寄りでした。

み「動物に乗せて行けないから、人間が担いでいくしかないんだぞ。
 ヒスイの原石を。
 どれだけ運べるっていうの?」
動物に乗せて行けないから、人間が担いでいくしかないんだぞ

律「どうして動物に乗せられないの?
 暖かかったら、象とかいたんじゃない?」
旧石器時代まで生息してました
↑『野尻湖ナウマンゾウ博物館(長野県信濃町)』。旧石器時代まで生息してました。

み「おるかい!
 そもそも、道なんか無いわけ。
 崖が海から切り立ってるの。
 その崖に張り付きながら、ロッククライミングみたいに進んでいくしかないの」
実際に親不知の崖のようです
↑実際に親不知の崖のようです。

み「自分のことだけで精一杯。
 親は子を気遣う余裕もなく、子もまた、親を気にかける余裕もない」
親は子を気遣う余裕もなく、子もまた、親を気にかける余裕もない

み「これをもって、『親知らず子知らず』と呼ばれることとなったのじゃ」
これをもって、『親知らず子知らず』と呼ばれることとなったのじゃ
↑『親不知子不知の像』

律「何で語り部になるのよ」
み「ときどき、乗り移るのじゃ」
ときどき、乗り移るのじゃ

律「気味の悪い女」
み「じゃからして!
 糸魚川から青森までは、海上以外のルートは、とうてい考えられない。
 海なら、対馬海流が北上してるからね」
海なら、対馬海流が北上してるからね

み「ベルトコンベアみたいな海の道があるわけ。
 船なら、ヒスイの原石もたくさん積めるし」
律「ほんとに、そんな船があったのかしら?」
葦船だそうです。沈みそうで怖いです。
↑葦船だそうです。沈みそうで怖いです。

み「あったの!
 外洋に出る必要なんか無いのよ。
 陸地を見ながら北上すればいいんだから。
 ところどころに、寄港地もあったはず」
糸魚川市には、県立海洋高校があります
↑糸魚川市には、県立海洋高校があります。水産高校ですが、実習船『海洋丸(299t)』を保有しており、40日の航海実習もあります。中央の美人は先生ではなく、アナウンサーです。

律「ま、いいわ。
 船で糸魚川からここまで来るとしましょう。
 でも、どうしてそれを見張ってなきゃならないの?」
み「当時は、電話も電報も無いのよ。
 いつ、どこから船が入るかわからない。
 遠くから船を見つけて、受け入れの準備をするわけだ」
律「何の準備?」
み「やっぱり、とりあえずは、遠路の無事を祝って……。
 一杯、やるんじゃない?」
一杯、やるんじゃない?

律「あんたじゃあるまいし」
み「チミ、さっき言ってたよね。
 ここでは、お酒も作られてたって」
小「はい。
 ヤマブドウやキイチゴ、ヤマグワを発酵させて作ってたらしいです」
ヤマグワです。美味しそうですね。これを食べずに、お酒にしてしまうんだからスゴい。
↑ヤマグワです。美味しそうですね。これを食べずに、お酒にしてしまうんだからスゴい。

み「すなわちそれは……。
 遠路の航海を乗り越えた者たちを迎える、宴のためのお酒よ」
遠路の航海を乗り越えた者たちを迎える、宴のためのお酒よ

律「ほんとかしら?」
み「お酒はもちろん、食べ物も準備しなければならない」
お酒はもちろん、食べ物も準備しなければならない
↑『新潟県立歴史博物館(長岡市)』の展示。

み「着いてから準備したんじゃ、大事な使者を待たせてしまう。
 だから、遠目から見つけるために、こういう櫓を建てた」
律「ふーん。
 でも、単なる物見櫓が、ここまで立派な建物だったのかしら?」
でも、単なる物見櫓が、ここまで立派な建物だったのかしら?
↑茨城県『逆井城』の物見櫓。壊れたら、また立て直せばいいという造りですね。

み「ほー。
 案外、鋭いではないか」
律「そんなもの、見ればわかるわよ。
 遠くを見るだけなら、こんな建物を建てなくても……。
 高い木に登ればいいわけでしょ。
 当時の人は、まだ半分、猿だったんだろうから、お手のものじゃない?」
大相撲を見てると、上半身毛だらけで、明らかに進化の途上にあると思われる力士がいます
↑大相撲を見てると、上半身毛だらけで、明らかに進化の途上にあると思われる力士がいます。

み「バカタレ!
 猿とは、はるか昔に分化しておるわ。
 じゃがしかし、物見櫓の用途だけで、これだけの構造物は不要なことは確か」
律「じゃ、どういう用途?」
み「漫画家の星野之宣は『宗像教授伝奇考』の中で……」
漫画家の星野之宣は『宗像教授伝奇考』の中で……

み「鳥葬に用いられたと描いているな」
律「何よ、それ?」
み「すなわち、亡骸を高みに上げて、鳥に食べさせるわけ」
これはもちろん鳥葬ではありません。怒ってますね。巣が近いんでしょうか。
↑これはもちろん鳥葬ではありません。怒ってますね。巣が近いんでしょうか。

律「ヒドいじゃない」
み「鳥が魂を咥えて、天に運んでくれるという思想です」
律「ほんとなの?」
み「説のひとつです。
 実際には、どうかね。
 人間の死体を食べつくすほどの猛禽類がいたのかってこと」
知床に群れる大鷲。北の海は豊かです。
↑知床に群れる大鷲。北の海は豊かです。

み「猛禽類が狙う地上の小動物は、おそらく人間に狩り尽くされてるからね。
 ここらを縄張りにしてるのは、せいぜい一つがいくらいじゃないの?」
律「昔の人は、たくさん死んだから、毎日のように死体が出たんじゃない?」
『荼毘室(やきば)混雑の図』。安政5年(1858) 、コロリ(コレラ)大流行。
↑『荼毘室(やきば)混雑の図』。安政5年(1858) 、コロリ(コレラ)大流行。安藤広重、山東京伝もこれで亡くなったそうです。

み「てことはなにかい?
 鷲は、人間の死体だけを餌にしてたと?」
律「じゃないの」
み「あにょな。
 大集落とはいえ、せいぜい人口500人です。
 毎日のように人が死んでたら、あっという間に滅びてしまうわい」
あっという間に滅びてしまうわい
↑京都の山奥にあるそうです。詳しくは、こちらを。

小「でも、その説、面白いですね。
 ラドンみたいなのが飛んでたりして」
ラドン違いでした
↑ラドン違いでした。

み「そんなのがいたら、生きてる人間が食われるわ」
そんなのがいたら、生きてる人間が食われるわ
↑こちらです。

律「じゃ、あなたの説はどうなのよ?
 これを、何に使ったか?」
み「使ったというより、見せるために作ったんじゃない?」
使ったというより、見せるために作ったんじゃない?

律「誰によ?」
み「船でやってくる交易相手だよ。
 ひとつは、灯台代わり。
 海際の高台に、こんなのが建ってたら、そうとう遠くから目立つでしょ。
 夜は、この上で火を焚いたかも知れない」
護摩壇の火ですが、人の形に見えます
↑護摩壇の火ですが、人の形に見えます。

小「火の見櫓じゃなくて……。
 火見せ櫓ってことですか?」
み「うまい。
 座布団十枚」
座布団十枚

小「いりませんって。
 危なくて座れないでしょ」
畳なら安定したものです
↑畳なら安定したものです。

小「でも、火を焚いたのなら、屋根がなくて正解ですね」
み「たぶんね」
もちろん、屋根があったという説もあります。一番左は、柱だけだったという説。
↑もちろん、屋根があったという説もあります。一番左は、柱だけだったという説。

律「今、“ひとつは”って言ったわよね。
 それじゃ、まだほかの用途があるってこと?」
み「用途っていうか……。
 早い話、権威付けでしょ。
 ここには、これだけの構造物を建てられる文明があり……。
 それを率いる強力な支配者がいるってことを示してるわけだ」
どうしても、卑弥呼のイメージです
↑どうしても、卑弥呼のイメージです。

律「なるほど。
 これだけの柱を建てたんだもんね。
 象とか、使ったのかしら?」
スリランカの象。運んでる丸太は建築資材ではなく、自分のエサだそうです
↑スリランカの象。運んでる丸太は建築資材ではなく、自分のエサだそうです。踏み折って、芯を食べるのだとか。

み「象なんておるかい!」
律「じゃ、人力だけ?」
み「だしょうな」
律「復元するときも、人力だったのかしら?」
み「どうなの?」
小「大型クレーンを使ったみたいですね」
大型クレーンを使ったみたいですね

み「やっぱり」
小「それじゃ、実際の穴を見てみましょう」
律「あら、そこに建てたんじゃないの?」
み「違うに決まっとろうが。
 中に柱も残ってるんだから、穴は保全しなくちゃならないのです」
小「こちらです」
無料の施設で、監視員とかは、ちゃんと置いているんでしょうかね?
↑こういう状態で展示されてるようです。しかし、無料の施設で、監視員とかは、ちゃんと置いているんでしょうかね? これだと、子供が落ちたりしかねませんよ。

み「うひょー。
 こりゃ、デカすぎだろ」
律「聞くと見るとじゃ大違いってやつね」
み「大きさは、どんななの?」
小「穴は、直径、深さ共に2メートルです。
 これは、6つの穴、すべて同じです。
 穴の間隔はすべて、4.2メートル」
穴の間隔はすべて、4.2メートル
↑出土当時のようす。

律「ものさしでもあったのかしら?」
小「あったようです。
 しかも、この三内丸山遺跡でだけ使われたものさしではなく……。
 ほかの遺跡とも共通の尺度があったといわれてます」
み「どうしてわかるの?
 ものさしが出土したわけ?」
こちらは、平城京(710~784)跡から出土したものさし
↑こちらは、平城京(710~784)跡から出土したもの。三内丸山遺跡が栄えたのは、これより4,000年も昔です。

小「それは、無いです。
 でも、こうした柱の間隔なんかが、35センチの倍数になってるそうです」
み「4.2メートル割る、35センチは……」
小「ぴったり、12です」
み「暗算で答えおったな。
 お前、ソロバン1級か?」
トニー谷。子供のころ、実際にそろばん塾に通ってたそうです。
↑トニー谷。子供のころ、実際にそろばん塾に通ってたそうです。1級では無かったと思いますが。

小「前に計算して覚えてるだけです。
 1級の暗算は、もっと難しいと思うけど」
“あんざん”違いですが。こんなの、どこに着て行くんでしょう。
↑“あんざん”違いですが。こんなの、どこに着て行くんでしょう。

み「まぁ、いい。
 じゃ、ほかの遺跡の柱間隔も、35センチの倍数になってるってこと?」
小「そうです。
 35㎝は、縄文尺と云われてるんですよ」
み「おー、それは初めて聞いた。
 アルプス一万尺なら、聞いたことがあったが」
『アルプス一万尺』のアルプスは、日本アルプスだそうです
↑『アルプス一万尺』のアルプスは、日本アルプスだそうです。槍ヶ岳の頂上を『大槍(おおやり)』と云い、その西側に『小槍(こやり)』があります。こんなところで踊りを踊るのは、頭がオカシイとしか思えません。

律「ぜんぜん違うでしょ」
み「穴に、柱が残ってたんだよね」
小「直径1メートルのクリの柱です」
直径1メートルのクリの柱です

律「何千年も前のものが、よく残ってたわね」
小「柱の周囲が焦がされてたそうです。
 それで、腐食が防げたんですね」
これは柱ではなく杭ですが、防腐のために“焼く”という工法は、現在でも使われてます
↑これは柱ではなく杭ですが、防腐のために“焼く”という工法は、現在でも使われてます。

み「そういう知識があったわけだ」
律「スゴいわね」
み「しかし……。
 2メートルの穴に、直径1メートルの柱なんて、どうやって入れたんだ?」
柱は、縮んでるそうです
↑柱は、縮んでるそうです。

律「入るんじゃないの?
 2倍もあるんだから」
み「そりゃ、20センチの穴に、10センチの柱を建てるんならわけないよ。
 突っ立てて落とせばいいだけだからね」
突っ立てて落とせばいいだけだからね

み「でも、直径1メートルの柱を、立てて入れたわけだろ」
律「ふふ。
 わかったわよ」
わかったわよ

み「ハズレです」
ハズレです

律「何でよ!
 いいから、聞きなさい。
 この穴は、丸く掘ってあるけど……。
 実際は、そうじゃなかったの」
み「どゆこと?」
律「つまり、穴の一方は、緩やかな角度で、斜めに掘られてた。
 斜路ね」
み「なるほど。
 その斜路に柱の根元を寝かせて……。
 頭の方を、少しずつ持ち上げていくわけか」
『諏訪大社』御柱祭
↑『諏訪大社』御柱祭

律「そうそう。
 土を盛りあげるかして、少しずつね。
 で、ある程度まで立ち上がったら……。
 反対側から、綱で引っ張る」
“ヨイトマケ”という地盤を突き固める作業です
↑これは、“ヨイトマケ”という地盤を突き固める作業です。

み「にゃんと。
 当たらずとも遠からずかも。
 それなら、出来んこともないか」
律「でしょ」
み「でも、弱点が1つある」
5つもあるのかよ!
↑5つもあるのかよ! 詳しくは、こちら

律「何よ?」
み「穴の強度。
 斜路を掘った箇所は、いくら後から突き固めても……。
 どうしても、地盤が弱くなる。
 反対側から風が吹いたら、柱が傾きかねないでしょ」
反対側から風が吹いたら、柱が傾きかねないでしょ

律「あなたの知能は、縄文人以下ね」
あなたの知能は、縄文人以下ね
↑『国立科学博物館』の展示

み「なんじゃと!」
律「1本柱なら、そういうことも考えられるけど……。
 これは、6本もあるのよ」
これは、6本もあるのよ

律「斜路を掘る方向を、1本1本変えればいいじゃない。
 柱同士は、がっしりと繋げてあるわけでしょ」
柱同士は、がっしりと繋げてあるわけでしょ

律「それなら、どの方向から風が吹いても、残りの5本で耐えられるわよ」
小「なるほど。
 現場の責任者なら、当然、そう考えますね」
み「にゃんと……。
 ひょっとして正解?」
律「えっへん!」
小「でも……。
 実際、斜路のある柱穴はひとつもないんです」
実際、斜路のある柱穴はひとつもないんです

律「どうして!
 まさか、思いつかなかったとか?
 やっぱり、人間と言っても、まだサルが入ってたってこと?」
人間と言っても、まだサルが入ってたってこと?

み「先生が思いつくことを、縄文人が思いつかないわけ無いでしょ」
律「どういう意味よ」
み「そのまんまの意味。
 素人だって思いつくってこと。
 ということは……。
 あえて、斜路を掘らなかったってことだよね?」
弥生時代後期の『伊勢遺跡』。柱穴には、明らかに斜路が掘られてます。
↑弥生時代後期の『伊勢遺跡』。柱穴には、明らかに斜路が掘られてます。

小「そうなりますね」
み「やっぱり、宗教的な匂いがプンプンするな」
宗教的な匂いがプンプンするな

み「実用的なだけの用途だったら……。
 ぜったい、斜路を掘って建ててる」
律「斜路説は、わたしが言ったんですからね」
み「誰でも思いつくことでしょ」
律「あんた、思いつかなかったじゃない。
 斜路を掘った方向に、風で倒れるとか言って」
2012年4月の嵐。滋賀県近江八幡市で、電柱17本が倒れたそうです。同じ日、わが家も停電しました。
↑2012年4月の嵐。滋賀県近江八幡市で、電柱17本が倒れたそうです。同じ日、わが家も停電しました。

み「過去を振り返るな!
 とにかく、この柱には、楽して建てようという意図がまったくない。
 むしろ、あえて困難な方法で建てられてる。
 それだけ、ここの住民にとっては、特別な建物だったわけだ」
あえて困難な方法で建てられてる

小「異議ありません」
み「先生は?」
律「あんたが打ち立てた学説じゃないでしょ。
 どうでもいいじゃないの。
 何千年も前に済んじゃったことなんだから」
何千年も前に済んじゃったことなんだから

み「過去を見極めることにより……。
 これからの日本の行く末を、正しく導く指針が得られるのじゃ」
これからの日本の行く末を、正しく導く指針が得られるのじゃ

律「こないだ、看護師長が、あるドクターのことを……。
 風呂屋の釜って言ってた」
み「なんじゃそれ?」
律「わたしも、ナースたちもぜんぜんわからないから、聞いたのよ。
 そしたらね……。
 『風呂屋の釜』の中は、お湯ばっかりでしょ。
 つまり、『湯うばっか』……」
湯うばっか

律「『言うばっか』ってこと」
み「その話が、なんでここで出てくるのじゃ」
律「だから、あんたにもその称号を差し上げますってこと」
み「失敬な!
 学問をないがしろにする気か」
律「学問ってのは、あんたみたいな薄っぺらい絵看板を立ち上げることじゃないの。
 看板の裏側に、しっかりした裏付けを打ち付けるのが学問」
看板の裏側に、しっかりした裏付けを打ち付けるのが学問

み「思いつきで言ったでしょ」
律「わかる?」
み「わかりまんがな。
 風呂屋仲間ではないか」
風呂屋仲間ではないか

律「一緒にしないで」
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