Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
東北に行こう!(97)
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老「どうぞ」
律「すみません。
 いただきます」
老「ほら、こうやって、両手で受けるもんですよ」
こうやって、両手で受けるもんですよ

み「猫かぶりです」
猫かぶりです

律「かぶってません。
 津島さんもどうぞ」
老「すみません」
み「おっとっとって言え」
おっとっとって言え

老「言いませんって。
 かなり回ってきたんじゃないですか?」
律「この人、絡み上戸だから気をつけてください。
 あら、ほんとに美味しいわ」
老「でしょう。
 あなた、ちょっとオーバーペースみたいですよ。
 お腹にたまるものを食べた方がいいです。
 『納豆揚』をどうぞ」
『納豆揚』をどうぞ

み「まだ、熱い恐れがある」
老「じゃ、お酒と水とちゃんぽんに飲んだらいかがです。
 ご主人、お冷を一杯ください」
店「へい。
 お冷、一丁」
老「ほら、熱燗を一口飲んだら、水で喉を冷やしてください」
み「おー、こういう水のことを、何と言うか知っちょるか?」
老「だから、お冷でしょ。
 あ、チェイサーか」
み「今は、もっと洒落た言葉があるの。
 “和らぎ水”と言い申す」
“和らぎ水”と言い申す

老「ほー。
 確かに洒落てますな」
み「日本酒ってのは、ワインと並んで、アルコール度数の高い飲み方をされるお酒なわけよ」
律「でも、14~15度くらいでしょ。
 ウィスキーや焼酎は、もっと高いわ」
わたしが初めて飲んだウィスキー、サントリー『角瓶』
↑わたしが初めて飲んだウィスキー、サントリー『角瓶』。ものの見事に吐きました。でも、今でもときおり飲みたくなるんですよね。

み「だから、そういう蒸留酒は、割って飲むでしょ。
 ハイボールとか、酎ハイとか。
 実際に飲むときの度数は、10度未満じゃないの?
 飲み放題コースの酎ハイなんて、ビールより薄いよ」
飲み放題コースの酎ハイなんて、ビールより薄いよ

律「ま、それは言えてるわね」
み「それに対し、日本酒やワインなどの醸造酒は、そのまま飲まれるでしょ。
 だから、口に入るときの度数は、酎ハイなんかより高いわけ」
中央に鎮座するのは、“仙台四郎様”。実在した人物だそうです。
↑中央に鎮座するのは、“仙台四郎様”。実在した人物だそうです。詳しくは、こちらを。

律「確かに、ワイン飲んで気持ち悪くなる子はいるわね」
こんなので飲めば、誰でも悪酔いします
↑こんなので飲めば、誰でも悪酔いします。

み「なので、日本酒やワインを飲むときには、チェイサーも一緒に飲んだ方がいいのです」
日本酒やワインを飲むときには、チェイサーも一緒に飲んだ方がいいのです

老「水を飲むと、舌もリフレッシュしますしね」
水を飲むと、舌もリフレッシュしますしね

み「それそれ。
 口も飽きにくい」
律「家でもそうやってるの?」
み「熱燗を飲むときはね」

↑日本酒の仕込み水だそうです。詳しくは、こちらを→http://item.rakuten.co.jp/asabiraki/10000473/#10000473。

律「冷やのときは?」
み「冷やは、氷を入れるから薄まるのです」
2012年が元年なら、わたしは紀元前から飲んでおります
↑2012年が元年なら、わたしは紀元前から飲んでおります。

律「日本酒を割って飲むわけ?
 なんか、もったいないわね」
み「わたしが飲むのは、紙パックのお酒だから……。
 何の躊躇も無く割れます。
 そもそも、日本酒ってのは、水で割って売られてるんですよ。
 原酒は、20度くらいだからね」
“呑切(のみきり)”とは、タンクの呑み口を開き、酒質をチェックすることを云います
↑“呑切(のみきり)”とは、タンクの呑み口を開き、酒質をチェックすることを云います。

老「割り水というやつですな」
割り水というやつですな

み「左様。
 水で割って、14~15度に調整されて出荷されてるわけ」
水で割って、14~15度に調整されて出荷されてるわけ

み「最初から水で割ってあるってこと。
 飲むときに、さらに割って悪いはずないでしょ」
律「でも、14~15度ってのが意味があるんじゃないの?
 一番美味しい度数とか」
み「ぜーんぜん違います。
 昔は、15度以上だと、酒税が高くなったの。
 だから、15度を切るように調整して出荷してたわけ。
 今の日本酒は、その名残りを引きずってるだけなんです」
老「詳しいですな」
み「新潟には、『新潟清酒達人検定』というご当地検定があるのです」
大々的な検定試験です
↑大々的な検定試験です。

み「わたしは、この検定に合格しております」
大威張り
↑大威張り。

老「へー。
 達人検定と言うからには、利き酒とかもあるんですか?」
み「『金の達人』にはあります」
事前提出の小論文と、当日の利き酒が試験科目
↑事前提出の小論文と、当日の利き酒が試験科目。利き酒は、10種類のマッチングです。利き酒をするときは、口に含んで吐き出すそうですが、わたしなら飲んじゃうでしょうね。

老「ほー。
 ランクがあるわけですね」
み「『金』、『銀』、『銅』とあり申す」
『金』、『銀』、『銅』とあり申す

律「なんだか、池に斧を落とした木こりの話みたい」
池に斧を落とした木こりの話みたい

老「あなたは、『金』まで合格されたんですか?」
み「するわけなかろ。
 わたしの舌で、利き酒なんか無理です」
老「じゃ、『銀』?」
み「『銀の達人』は、現役の杜氏が落ちるほど難しいのです」
『銀の達人』は、現役の杜氏が落ちるほど難しいのです
↑『銀の達人』、例題を御覧ください。そうとう勉強しなければ受かりません。

老「ダメだったわけですね」
み「ダメも何も、最初から受けてませんがな」
老「つまりは『銅』の達人ということですね」
つまりは『銅』の達人ということですね

み「“銅でもいい”とか言うなよ」
老「言いませんよ」
み「『銅』でも、素人が勉強しないで受けたら、100パーセント落ちます。
 そのくらい、専門知識を問われるのです」

↑こちらは、『金の達人』合格者に贈られる猪口。『銅の達人』、例題はこちら

老「どうやって、勉強したんです?」
律「それ、『銅』に掛けた洒落?」
老「そんなつもりはありません」
み「『新潟清酒ものしりブック』という公式テキストがあるのです」
『新潟清酒ものしりブック』という公式テキストがあるのです

み「それを電車の中で読んで勉強しました。
 ていうか、面白いから、勉強という感覚じゃなくて読めました」
老「それに、割り水も出てきたわけですね」
み「清酒造りの、最後の工程です」
清酒造りの、最後の工程です

律「『納豆揚』、そろそろ冷めたんじゃない?」
み「おー、語るに忙しくて、すっかり忘れとった。
 どれどれ」
律「また分解する。
 それじゃ、皮に包んだ意味がないでしょ」
み「皮ごとかぶりついて、もし熱かったら悲惨でしょ。
 どうやら、大丈夫らしいな。
 うむ。
 確かに、分解すると食べにくいわい」
律「当たり前です」
み「うむ。
 こりゃイケます。
 珍味珍味。
 ちゃんと納豆の味がするわい」
律「後は、津島さんに残しておくのよ」
老「大丈夫ですよ。
 美味しければ、どうぞ食べてください」
律「いつも、あまり食べずに飲まれるんですか?」
老「ですね。
 独り身だと、いろいろと面倒で」
律「料理を習われたらいかがです?
 楽しみが増えますよ」
料理を習われたらいかがです?

み「自分のことを棚に上げて、よく言えますな」
律「うるさい」
み「じゃ、『納豆揚』は、おっさんに譲るとして……。
 もうちょっと、熱燗の友が欲しいのぅ。
 何か、お勧めない?
 揚げ物とかは、もう十分だから。
 箸の先っぽで舐めながら飲めるようなやつ」
老「それなら、最適なツマミがありますよ。
 『あじの味噌たたき』です」
『あじの味噌たたき』

み「これも、捻ってる?」
老「いえ。
 これは、直球ですね」
み「ならば、皆まで言うな。
 想像でき申す。
 鯵の身を、味噌と一緒に叩いてあるわけだ」
老「その通りです」
み「注文してちょ」
老「ご主人、『あじの味噌たたき』をひとつ」
店「へい。
 『あじの味噌たたき』、一丁。
 津島さん、今日は豪勢ですね」
老「はは。
 今日は、わたしが客なのです」
店「いつもは、『焼きおにぎり』で飲んでますものね」
『焼きおにぎり』で飲んでますものね

み「お、それは美味そうだ」
老「イキますか?」
律「わたしも乗った」
老「それでは、わたしもご相伴させてください。
 やっぱり、あれが無いと締まりません。
 ご主人、『焼きおにぎり』を3つ」
店「ありがとうございます。
 『焼きおにぎり』、三丁」
老「おや、『喜久泉』も好評のようですね」
み「そろそろ、払底し申す」
老「追加しますか?」
み「以前、秋田のお酒を貰って飲んだことがあるんだけど……。
 新潟のお酒と、ぜんぜん味わいが違うんだよね」
秋田のお酒を貰って飲んだことがあるんだけど……

老「でしょうな。
 東北のお酒は、総じて濃厚で、どちらかと言うと甘口です」
み「締めはやっぱり、さらっと飲めるのがいいな」
老「そうですか。
 それじゃ、『じょっぱり』を試してみてください」
『じょっぱり』を試してみてください
↑赤ダルマがトレードマーク

み「おー、津軽そのものといった名前だね」
老「濃厚甘口が主流の津軽で、淡麗辛口を貫いてるお酒です。
 だから、『じょっぱり』ですね」
だから、『じょっぱり』ですね

律「『じょっぱり』って、聞いたことありますけど……。
 どういう意味なんですか?」
老「まさしく、“意地っ張り”、“頑固者”を表す言葉です」
頑固親父
↑頑固親父

み「ほー。
 青森市内の酒蔵?」
老「ご主人、『六花酒造』さんは、どこでしたっけね?」
店「弘前です」
『六花酒造』。工場見学が出来るそうです。
↑工場見学が出来るそうです。行ってみたいです。

老「あ、そうでした。
 酒米も、確か県内産ですよね?」
店「『華吹雪(はなふぶき)』ね」
『華吹雪(はなふぶき)』

老「そして水は、白神山地の伏流水」
水は、白神山地の伏流水

み「そりゃ、美味そうだ。
 頼んで、ちょーだい」
老「ずいぶん古いギャグを知ってますね」
み「『蛇口一角』時代の財津一郎には、凄みがあったね」
『蛇口一角』時代の財津一郎には、凄みがあったね
↑抜いた刃を、蛇のように舐め回したりしました(“蛇口”は、“じゃぐち”ではなく、“へびぐち”です)。

み「ビデオでしか見たことないけど」
老「ご主人、『じょっぱり』の燗を2本」
店「へい。
 『じょっぱり』、燗で2本」
老「後の芸人にも、財津一郎の芸に心酔た人は多かったようですね」
み「芸人じゃないけど、陣内孝則が、『テレフォンショッキング』に出たときね……」
テレフォンショッキング
↑今となっては懐かしい。

律「あら、その人なら、芸人じゃないの。
 藤原紀香と結婚した人でしょ?」
藤原紀香と結婚した人でしょ?
↑こんな格好したんか!

み「違います。
 それは、陣内智則でしょ。
 わたしが言ってるのは、陣内孝則。
 俳優。
 昔は歌手だったそうだけど、ぜんぜん知らん」
老「ロック歌手だったんじゃないですか?
 ま、あんまり売れなかったと思いますが」
『ザ・ロッカーズ(1976~1982)』だそうです
↑『ザ・ロッカーズ(1976~1982)』だそうです。

み「で、その陣内が、テレフォンショッキングで、財津一郎のことを話してたわけよ」
陣内が、テレフォンショッキングで、財津一郎のことを話してたわけよ
↑最多とは知りませんでした。

み「コントの一場面ね。
 森の中みたいなセットの中に、財津一郎がサファリルックで出てくる」
コントの定番です
↑コントの定番です。

み「で、舞台中央に立つなり、開口一番、こう言い放ったそうです。
 『昼間に来ても、バンガロー』」
昼間に来ても、バンガロー

み「これを聞いた陣内孝則は、一生、この人についていきたいと思ったとか」
律「それって、面白いの?」
み「面白いでしょうが。
 突き抜けた感がありますよ」
店「『じょっぱり』の燗が上がりました」
『じょっぱり』の燗が上がりました
↑『六兵衛』さんの画像ではありません。

み「おー、来た来た。
 『喜久泉』は、先生に任す」
律「新しい物が欲しくなるわけね
 子供みたい」
み「新しもの好きは、新潟市民の特性でもあります」
律「あら、新潟というと、保守的なイメージがあるけど」
み「新潟でも、港町に限るけどね。
 港ってのは、新しいものが入ってくる入口なわけよ」
吉田初三郎による新潟市鳥瞰図(昭和12年)
↑吉田初三郎による新潟市鳥瞰図(昭和12年)。

老「なるほど」
み「で、新しいものに飛びついて、古いものは捨てちゃう。
 そういう気質が育ったのです」
律「ほんとかしら。
 あんただけだと思うけど」
み「一番、象徴的だったのは、掘割ね。
 新潟市内には、昔、縦横に掘割が走ってたの」
新潟市内には、昔、縦横に掘割が走ってたの
↑水色が掘割。

 原図はこちら

律「掘割って言うと、城下町のイメージだけど」
弘前城。桜の花びらが、堀を埋め尽くすそうです。
↑弘前城。桜の花びらが、堀を埋め尽くすそうです。

み「あの堀は、お城を守る堀でしょ。
 新潟の堀は、物資の運搬路だったわけ。
 北前船から降ろされた荷が、小舟に積まれて堀を遡って、地方に運ばれたり……。
 逆に、近在で採れた野菜なんかが、小舟に積まれて堀を下り、新潟市内の市場に出された」
明治11(1878)年の新潟市街(女性紀行作家イザベラ・バードの直筆スケッチ)
↑明治11(1878)年の新潟市街(女性紀行作家イザベラ・バードの直筆スケッチ)。

み「わたしの住んでるのは、昔、亀田郷と言われた地域で、海からは何キロも離れてるけど……。
 家の裏に繋いだ舟に乗れば、掘割から信濃川を通って、海にまで出られた。
 舟でどこまでも行けたのよ」
亀田郷内には100本を越える舟堀が縦横に走り、集落をつないでいました
↑亀田郷内には100本を越える舟堀が縦横に走り、集落をつないでいました。

老「今のマイカーみたいなものですな」
み「それそれ。
 1家に1艘」
鳥屋野潟の底から土を掻き揚げ、舟に積んでます。この土を、自分の田まで運んで入れるのです。
↑鳥屋野潟の底から土を掻き揚げ、舟に積んでます。この土を、自分の田まで運んで入れるのです。田を、少しでも高くするためです。よその土を招き入れることから、“客土(きゃくど)”と呼ばれました。作業を急ぐあまり、土を積み過ぎて、舟とともに潟底に沈んでしまう農民もいたとか。

み「神社のお祭りにも、舟で行ったんだよ。
 新潟に、近在の農民の信仰を集める蒲原神社っていう古い神社があるわけ」
律「古いって、いつごろ?」
み「起源ははっきりしないみたいね。
 何しろ新潟は、信濃川と阿賀野川という、暴れ川に支配される町だったからね」
北上する信濃川と西行する阿賀野川の河口が合流してました
↑天保2(1682)年に描かれた古地図。北上する信濃川と西行する阿賀野川の河口が合流してました。

み「氾濫の度に川筋が変わって、古い遺跡は残ってないの。
 川底にならなかった土地は無いと云われてるくらい。
 だから、『渟足柵』の遺跡も出ない」
だから、『渟足柵』の遺跡も出ない

み「てなわけで、蒲原神社も、何度も移転してるの。
 今の場所に移ってきたのが、元禄時代」
律「今もあるの?」
み「ありまんがな」
『蒲原神社』。梅の名所でもあります。
↑梅の名所でもあります。

 わたしが乗る電車の中からも、境内が見えます。
『蒲原神社』境内から撮られた写真
↑境内から撮られた写真。

 春を待ちわびる新潟の人にとって、蒲原神社の梅が咲くと、ほんとに嬉しいです。

み「で、その蒲原神社のお祭を『蒲原まつり』って云うんだけど……」
現代の蒲原まつり
↑現代の蒲原まつり。6月末に行われるので、雨に祟られることが多いです。農閑期に合わせたんでしょうか? 今でも、400以上の露店が並ぶ大盛況のお祭りです。

み「そのお祭りの日には、近在の農民が農作業を休んで、やってきたわけ。
 なぜかと云うと、『蒲原まつり』の夜に、御託宣(おたくせん)という占いが行われたから。
 これは、今でも続いている神事なんだけど……。
 その年の作況、つまり米の出来を占うわけよ」
『蒲原まつり』の夜に、御託宣(おたくせん)という占いが行われる
↑今もやってます。

律「占いどおりになるの?」
み「ならないとしても、スゴい影響力があった」
律「外れても?」
み「米相場ってのは、先物取引だったわけよ」
米相場ってのは、先物取引だったわけよ

み「つまり、米の出来を見越して、取引されるの。
 だから、蒲原神社の御託宣(おたくせん)が出ると、米相場が動いたのよ」
蒲原神社の御託宣(おたくせん)が出ると、米相場が動いた

老「そりゃすごい」
み「で、その御託宣(おたくせん)を聞きに、近在の農民がやってくる」
老「自家用舟で、ですな?」
み「さよう、さよう。
 集落の小さな掘割から漕ぎ出し、だんだん太い堀に入り……。
 そして、栗ノ木川っていう幹線路に出る。
 川幅は、70メートルもあった」
昭和初期の栗ノ木川
↑昭和初期の栗ノ木川。

み「その川のほとりに神社があるの。
 参詣者は、川端に舟を繋いで上陸するわけ。
 だから、神社の鳥居は、川に向かって立ってるのよ」
だから、蒲原神社の鳥居は、川に向かって立ってる

律「今は、掘割は使われてないの?」
み「それでんがな。
 わたしの言いたかったのは。
 まず、栗ノ木川だけど……。
 すべて埋め立てられて、道路になりました。
 名称は、『栗ノ木バイパス』。
 昔、舟が行き交ってたところを、車が行き交ってる」
昔、舟が行き交ってたところを、車が行き交ってる

老「昔も今も、バイパスの役目は同じということですな」
み「そうそう。
 川だったころの名残りは、信号機に残ってる」
律「何が残ってるのよ?」
み「名前ですよ。
 交差点の。
 『栗ノ木橋』とか『笹越橋』とか『紫雲橋』とか」
『栗ノ木橋』とか『笹越橋』とか『紫雲橋』とか

み「交差点の名称に、“橋”が付くの。
 今は、ただ道路が交差してるだけだけど……。
 昔はそこに、栗ノ木川を跨ぐ橋が架かってたわけよ」
昭和34年の『紫雲橋』。タイムマシンに乗って、見に行ってみたいです。
↑昭和34年の『紫雲橋』。タイムマシンに乗って、見に行ってみたいです。

老「なるほど。
 役目を終えた川を埋め立て、道路に変えちゃったわけですね。
 となると、新潟市内の掘割の運命も、なんとなくわかりますな」
現在の『紫雲橋』交差点
↑現在の『紫雲橋』交差点。前後方向の道路が、昔の栗ノ木川。横断歩道が渡ってる左右方向の道路が、『紫雲橋』でした。

み「車社会になると、堀は邪魔なだけになった。
 堀の両脇が道路になってたんだけど……。
 車が増えてくると、当然、狭い」
昭和31年の西堀
↑昭和31年の西堀。

み「混雑が起きる。
 堀なんか埋めちゃえという声があがる」
埋め立て前の西堀。地盤沈下の影響もあり、流れが淀み、臭かったそうです。
↑埋め立て前の西堀。地盤沈下の影響もあり、流れが淀み、臭かったそうです。

老「でしょうな」
み「でも、ほかの地方なら、反対運動なんかが起きて、そう簡単にはいかないはず。
 実際、城下町なんか、今でも堀が残ってるでしょ」
老「柳川とかですな」
柳川。住んでみたい街のひとつです。
↑住んでみたい街のひとつです。

み「そうそう。
 松江にも行ったけど、あそこも見事に残ってた」
松江にも住みたい!
↑松江にも住みたい!

律「新潟には、残ってないの?」
み「ない。
 ものの見事にない。
 1本も残ってない。
 ぜーんぶ、埋めちゃったんです。
 ものの見事に」
復元された早川堀。復元するくらいなら、埋めるなって話ですが。
↑これは、復元された早川堀。復元するくらいなら、埋めるなって話ですが。

老「なるほど。
 それが、新潟市民の気質だと?」
み「そう。
 新しもの好き」
律「延々と語ったけど……。
 つまりは、『じょっぱり』を独占したいってことね」
『じょっぱり』。楽天市場ランキングで、純米酒東北部門第1位獲得。
↑楽天市場ランキングで、純米酒東北部門第1位獲得。

み「そうは言うておらんぞ」
律「言ってるようなものじゃない。
 ま、いいわ。
 新潟の歴史まで持ち出して、自分の新しもの好きを正当化する……。
 その意地汚さに免じて、飲ませてあげましょう。
 はい、お注ぎしますよ」
佐賀県伊万里市『松浦一酒造』にある、お酌する巨乳河童
↑佐賀県伊万里市『松浦一酒造』にある、お酌する巨乳河童。

み「ふぉ。
 ごっちゃんです」
律「どう?」
み「うーむ。
 確かに、さらっと飲める。
 新潟のお酒に似てるね」
老「でも、しっかりとした旨味もありますでしょ」
み「ふむ。
 そうかも」
律「頼りないわね」
み「わたしの舌は、利き酒には向かないと言ったでしょ」
ぐるぐる模様は、目を回すためではなく、お酒の色を見るためにあります
↑ぐるぐる模様は、目を回すためではなく、お酒の色を見るためにあります。

律「バカバカしい。
 そんなら、何飲んだって一緒じゃない」
み「甘口と辛口くらいは区別出来ます」
甘口と辛口くらいは区別出来ます

み「でも、辛口のお酒同士では……。
 ちょーっと、わからねえな」
律「また、古い歌持ちだしたわね」
老「『港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ』ですな」


み「この歌が流行ったのは、叔父の高校のころだったんだって」
最初はB面だったそうです
↑最初はB面だったそうです。

み「で、この題名の捩りで、『港のヨーコ・マツハマ・ヨコゴシ』というフレーズが流行ったそうです」
律「なにそれ?」
み「今は、新潟市になってるけど……。
 昔は、新潟市郊外だった地域。
 松浜は、阿賀野川の対岸(昭和29年、新潟市に編入)。
 横越は、亀田郷(平成17年、新潟市に編入)」
松浜と横越

み「早い話、そういう辺境地から通ってる同級生を揶揄するフレーズだったわけ」
律「あんまり愉快な話じゃないわね」
み「完全に、目くそ鼻くそを笑うです。
 新潟市だって、横浜や横須賀に比べれば、ど田舎そのものなんだから」
店「『あじの味噌たたき』、お待ち」
『あじの味噌たたき』

老「さぁ、来ましたよ。
 お腹が一杯になったけど、まだもうちょっと飲みたいというときは……。
 これに限ります」
まだもうちょっと飲みたいというときは、これに限ります

み「なるほど。
 これは、直球ですな」
老「鯵を粗く叩いて、味噌であえてあります。
 箸の先で摘んで一口。
 お猪口の酒を一口。
 至福のときです」
み「どれどれ。
 ふーむ。
 イケるわ、これ。
 先生も、食べてみ」
律「それじゃ失礼して……。
 お箸を入れさせてもらいます。
 ……」
み「ね?」
律「ほんとだ。
 生臭いかと思ったら、ぜんぜんそんなこと無いんだ」
み「だろ」
老「わたしも一箸、よろしいですか?」
み「ダメ。
 あーたはまだ、『納豆揚』が残ってるでしょ」
『納豆揚』。よく見ると、金魚の揚げ物のようでもあります(失礼)。
↑よく見ると、金魚の揚げ物のようでもあります(失礼)。

律「卑しいこと言わないの!
 そうとう酔っ払って来たわね。
 危険信号だわ。
 津島さん、どうぞ摘んでください。
 この女、天邪鬼上戸だから」
天邪鬼上戸だから

み「なんじゃい、それは?」
律「何か言うと、必ず反対するじゃない」
口で逆らってるだけの者を踏みつける。間違いなく、踏んでる方が犯罪者です。
↑口で逆らってるだけの者を踏みつける。間違いなく、踏んでる方が犯罪者です。

み「わたしは、女子同士がうんうん頷いて、同意しあってる風景が嫌いなの」
わたしは、女子同士がうんうん頷いて、同意しあってる風景が嫌いなの
↑わたしは共学で、女子の比率は1割くらいでした。女子校に行ってたら、もっと社交的になれたのかも知れません。

律「それとこれとは別でしょ」
み「ま、天邪鬼だったのは、子供のころからだったけど。
 ジイちゃんには、“共産党”って言われてた」
共産党の旗。稲穂と歯車。知りませんでした。
↑共産党の旗。稲穂と歯車。知りませんでした。

律「どういう意味よ?」
み「なんでも反対するから」
店「『焼きおにぎり』、お待ち」
『焼きおにぎり』、お待ち

律「ほら、おにぎりが来たから食べなさい」
み「へ。
 お味噌汁が付いてるの?
 よし。
 そしたら、『あじの味噌たたき』、食べてよし」
老「ありがとうございます。
 いただきます。
 うむ、何度食べても飽きませんな」
律「ちょっと、なんでおにぎりまで、箸で分解するのよ」
なんでおにぎりまで、箸で分解するのよ

み「焼きおにぎりとは、おにぎりを焼いたものであろう。
 熱そうではないか」
律「食べられないほど熱くないわよ」
み「表面が冷めてても、中心部が熱い恐れがある。
 マグマと一緒じゃ」
律「一緒じゃないでしょ」
み「おや?
 この赤いのはなんじゃ?」
律「梅干しでしょ」
み「違いまーす。
 にゃんと。
 これは、筋子ですな」
これは、筋子ですな

律「『焼きおにぎり』に筋子?」
み「一見、ミスマッチであるが……。
 これは、これでイケるね」
老「でしょう。
 十分、ツマミになりますでしょ」
み「確かに。
 このおにぎりはツマミであるからして、箸で摘むのが正しいのである」
律「そうとう回ってきたわね」
酩酊女子
↑購入は、こちら(ちと高すぎ)。

み「わたしは、東京に遊びに行くとき……。
 夕食は、ビジネスホテルの部屋で取るわけ」
名称は、ちょっとどうかと思われますが、このホテルはマジで良かったです
↑名称は、ちょっとどうかと思われますが、このホテルはマジで良かったです。

律「何の話?
 食べに出ればいいじゃないの」
み「ひとりで初めての店に入るのは、気鬱ではないか。
 好きなものを買って、ホテルの部屋で食べる方が、よっぽど楽しい。
 でも、ホテルの場所によっては、スーパーマーケットが近くに無い場合もある。
 あるのは、コンビニだけ。
 先生なら、酒のツマミに何を買います?
 コンビニで」
律「お惣菜くらい置いてあるでしょ。
 コンビニでも」
コンビニでも、お惣菜くらい置いてあるでしょ

み「確かにね。
 でも、そういう惣菜は、味付けが甘かったりしがちです。
 それでは、ガッカリ」
律「じゃ、缶詰と乾き物ね」
じゃ、缶詰と乾き物ね

み「それは、少々寂しいではないか?
 せっかくの晩餐だぞ」
律「コンビニで晩餐なんて買えないでしょ。
 あ、オデンがあるじゃない」
あ、オデンがあるじゃない

み「確かに。
 しかし、わたしは、レジ前でオデンの具を選んだりするのが苦手なのじゃ」
律「何でよ?」
み「恥ずかしがり屋さんだからじゃ」
恥ずかしがり屋さんだからじゃ

律「バカバカしい」
み「そんなとき!
 コンビニの食べ物で、ぜったい外れのないものがある」
律「何よ?」
み「おにぎり」
おにぎり

律「は?
 お酒のツマミを買うんじゃないの?」
み「だから、おにぎりをツマミにするんです。
 白いご飯の部分も十分美味しいし……。
 もちろん、具の部分は、立派なツマミに成り申す」
もちろん、具の部分は、立派なツマミに成り申す

律「呆れた。
 おにぎり噛じりながら飲んで、どこが晩餐なのよ」
み「噛じりません。
 あくまで、おにぎりはツマミだからです」
律「どういうこと?」
み「まず、海苔は別にします。
 これはこれで、一品になるでしょ」

↑なんと、フィルムに入った海苔が、市販されてました! 自宅で、コンビニおにぎりが作れるというわけです(こちら)。

律「貧しい……」
み「黙らっしゃい。
 そして、白いご飯のおにぎりは……。
 少しずつ、箸で分解しながら食べるのです」
少しずつ、箸で分解しながら食べるのです
↑こんなには食べませんが。

律「何で分解するのよ?」
み「パカモン。
 丸ごと箸で持ち上がらないでしょ」
丸ごと箸で持ち上がらないでしょ
↑無謀です(『モーニング娘。』のえりぽん)。

律「手で持って食べればいいじゃない」

↑おにぎりを手で持って食べるリス。

み「だから、それではツマミにならんと言うておろうに」
律「この酔っぱらい」
み「箸の先で、チビチビと切り取って……。
 ひと粒ずつ舐めるように食べるからこそ、ツマミなのです」
律「海苔と一緒にかぶりつく方が、ずっと美味しいと思うけど」
海苔と一緒にかぶりつく方が、ずっと美味しいと思うけど

み「箸で、硬いご飯を千切る行為には、甘酸っぱい思い出もあるのじゃ」
律「お腹こわしたんでしょ。
 酸っぱくなったご飯なんか食べて」
酸っぱくなったご飯なんか食べて

み「ご飯がすっぱいんじゃないわい!
 想い出が甘酸っぱいと言っておろうが」
律「どんな想い出よ?」
み「中学校のころのお弁当」
中学校のころのお弁当
↑堺市立泉ヶ丘東中学校1年3組。

律「あら、給食じゃなかったの?」
み「新潟で給食は、小学校だけ。
 中学は、お弁当か菓子パンよ。
 で、中学生ってのは、成長期でしょ。
 お腹が減るわけ」
老「確かに、減りましたな。
 みんな、アルマイトのでっかい弁当箱でしたよ」
み「いわゆる、“ドカベン”というやつだな」
いわゆる、ドカベンというやつだな

老「そうです」
み「最近では、この“ドカベン”の意味を知らない若者も増えてるらしい」
律「漫画で知ってるんじゃないの?
 主人公のアダ名でしょ」
最近では、この“ドカベン”の意味を知らない若者も増えてるらしい

み「山田太郎に固有のアダ名と思ってる人も多いであろう。
 しかし、“ドカベン”には、普遍的な意味があったのじゃ」
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    • ––––––
      1. ハーレクイン
    • 2014/12/20 10:15
    •  入院前にやっていましたご紹介コメ。
       現在「後追いコメ」を書いていますので、追いつくまでは総集編へのコメは無し。
       ということで宜しくお願いします。
    コメントする   【東北に行こう!(97)】
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